・224 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(51) ナベ シマ鍋島みどり(昭和
博士(医学) 二二1298号平成4年9月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
アデノイド切除術前後の鼻腔通気度に関する研究 (主査)教授 石井 哲夫 (副査)教授 金野’公郎,武田 佳彦画面内容の要旨
目的 アデノイドは上咽頭後上壁に存在し,いびき,口呼 吸,鼻閉などの臨床症状を呈することから鼻呼吸障害 の存在が考えられる.アデノイド切除術による鼻腔の 生理学的変化を調べるため,鼻腔通気度を測定した. 鼻腔通気度測定法にはanterior法(前鼻誘導法)と po5terior法(後鼻誘導法)があり, anterior法は測定 方法が簡便なため小児でも容易に施行可能であるのに 対し,posterior法は鼻腔後方の状態をより正確に反映 するが,特殊なマウスピースを用いるため小児の測定 は困難なことがある.そのため機材の適切な改良を行 い,小児によるposterior法の測定を試みた. 対象および方法 1)1987年から1991年に当科でアデノイド切除術を 施行した2歳~13歳までの三児263例を対象とした.鼻 腔抵抗値は鼻腔通気度計を用いて術前と術後約3週目 に測定を行った. 2)頭蓋側面X線写真よりアデノイドの大きさ(A) と鼻咽腔の大きさ(N)を測定し,術前および術後のA/ N比と鼻腔抵抗値との関係を相関分析を用いて調べ た.また切除アデノイド重量を測定し,術前術後の鼻 腔抵抗値との関係を相関分析により検討した.さらに 臨床症状の有無と鼻腔抵抗値との関係についても検討 した. 結果 1)anterior法は全例において測定可能であったが, posterior法は263例中245例が測定可能であった.術後 の鼻腔通気度の改善率はanterior法では63.9%, pos一 terior法では93.1%であった. 2)posterior法では,鼻腔抵抗値とA/Nとの間に は術前,術後ともに正の相関がみられ,相関係数はそ れぞれr=0,741,r=0.479(p〈0.005)であった. また,切除アデノイ・ド重量との間には正の相関(r= 0.848,p<0.005)がみられたが,術後両老の間には相 関関係はなかった.また,術前に臨床症状がみられた 群は,無症状の群より鼻腔抵抗値が有意(p〈0.01)に 高値であった.術後鼻腔通気度が改善しなかった17例 中11例に鼻アレルギーが合併していた. 考察 アデノイド切除術前後の上気道の状態の測定には posterior法による鼻腔通気度が適しており,特に術前 の評価に有用であると考えられた. 術後も鼻腔抵抗値が高い症例の中には,鼻疾患によ る鼻粘膜肥厚や,鼻汁の増加などの前処置に対するリ バウンド現象が出現したためと推測される. 結論 機材の改良により,小児においてposterior法によ る鼻腔通気度測定が可能となった.鼻閉の改善を目的 として手術を行う場合は鼻疾患とくに鼻アレルギーの 有無を確認しておくことが術後鼻閉改善の予測にとっ て必要である. 一858一225