〔原 著〕
(野洲堕鵬鵜馨器/
本邦人血圧の疫学的研究
第 皿 報一埼玉県農村地区における一・小学稜児童の血圧
調査(最高血圧および最低血圧について)
1 緒 東京女子医科大学衛生学教室(主任 吉岡博人教授) 言 吉 ヨシ 田 ダ 央 ヒロシ(受付昭和33年9月2日)
高1血圧についての研究は,古くより医学の各分 野からおこなわれてきたが,最近になって一層活 濃となり,公衆衛生の分野においても,全国各地 方において血圧の集団検診がおこなわれるように なった。高.血圧症が,主として老年層,壮年層に あらわれる疾患であるため,在来は40回目らいか らの高年斜里を対象とする調査が大部分であった が,最:近になって若年性の高血在症が問題視され てくるにともない,青少年層を対象とする血圧 の集団調査もおこなわれるようになってきた。中 沢ユ)は,秋田県と宮城県の15才から20才までの 農学校の生徒について,遺伝関係の濃さ,無自覚 愕高血圧者の発見率,.血管脆弱性,寒冷昇圧効果 陽性率などを調査した結果,まだ環境の影響を充 分にうけていない青少年において,遺伝素質の影 響が著しいものであることがわかったと述べてい る。丘2)は,遺伝の有無によって若年性高一血圧の 発病頻度に相違があるか否かを調査したところ, 遺伝の濃厚な者の子ほど,高血圧の発病率も高率 であることを観察している。高橋5)らは,青森県 下の3力村民について血圧を測定した結果,最高 血圧の平均値は全国統計に比し高位にあり,中学 生にも高血圧の傾向があることを認めている。そ してこの事実は,若年者脳卒中死亡率が車北地方 に高いことに関連があると思われると述べてい る。また佐々木ら4)は,秋田県の水馬早酢地帯にお ける一小学校児童について血圧を測定した結果, 従来他の地方で発表されている数値に比較しては るかに高い値をえた。これは高.血圧症が成人にの み問題となるばかりでなく,小児の時からかたち ずくられてきていることを示唆するものであると 述べている。先に諸岡5)らは,埼玉県福岡村のJ血 圧調査において,40才以上の男女の血圧平均値が 他の地方に比して相当に高いレベルにあり,高血 圧者の出現率もまた比較的高率であったと報告し ている。著者は,同村の小学校,中学校において 血圧測定をおこない,他地方の小学校,中学校生 徒の血圧値に比していかなるレベルにあるか,年 令的に血圧値はどう変化していくか,性別にみた 血圧値はどうかなど検討すべく分析をおこなった が,今回は小学校児童における研究結果について 報告する。この村は,諸岡5)らののべているごと く,農村とはいっても純農家は約1,500世帯の半 数以下であり,他は俸給生活者,商店でしめられ ており,大都市を近くにひか衆た農村の特色をし めすごとき感がある。 ∬ 対象および研究方法 Hirosi YOSIDA (Department of Hygiene, Tokyo Women’s Medical College) : The epidemiologicstudies of bTo6d pressure of Japanese. Report m.Investigations on the blood pressure of puPils in a
primary school in the rural area in Saitama prefecture (on the systolic pressure and diastolic
pressure.
対象:血圧の測定を実施しえたものは,1年から6 年までの男子679名,女子643名,計1,322名であっ た。欠席その他の事故のため測定できなかったものは 数名に過ぎず,ほとんど全校児童について測定しえ た。 調査期間:昭和33年6月4Hから同11目までで, 気温は20。Cないし250Cであった。 血圧測定の方法:」丁田測定には4名の医師がこれに あたり,各学年の教室をまわって測定した。児童には 全員測定がおわるまで各自の席についているよう命 じ,心身ともに婆静を保たせるよう留意した。上衣は 全員ぬがせるようにし,衣服による上腕の圧迫をさけ た。加斗位にて,右腕のみ3回連続測定をおこなった が,血圧計はリバロッチー氏水銀血圧計をもちい,マ ンシエットはすべての児童について成人用の13cm巾 のものをもちいた。最低血圧としては,スワン一三4 点をとった。ただし,右側3回測定値のうちから,最 高血圧,最低血圧とも低めの値をえらび,これをもっ てその児童の血圧値を代表させた。
皿研究結果
1) 性別学年別最高一血圧および最低1血圧の分布 表一Ia,表一Ib,表一Icおよび表一Idに, 性別学年別にみた最:高一血圧の度数分布をかかげ, それらについて図一Iaおよび図Ibに図示した。 a)最高」血圧の分布について i)男子について 表一Iaおよび図一Iaによって,男子の学年別 品:高血圧値の分布をながめると,一般的にみて分 布の形はすべての学年を通じてあまり変化をしめ さず,各学年ともほぼ正規分布に近い形を保って いるといえる。最頻値についてみると,1学年, 2学:年では80∼89mmHgにあり,ともに32.7%をしめている。3学年,4学年では90∼99mm
Hgとなり,それぞれ36. 7%,42.7%をしめし ている。さらに5学年,6学年になると100∼109 mmHgとなり。それぞれ31. 1%,29.6%とほぼ 同じ程度の分布率をしめしている。すなわち,最:三一la学年別最高血圧分布
男 子 ( )内は% 孚年別 血圧値mmHg
50 tv 59 60 rv 69 70 一v 79 80 tv 89 90 rv 99 100 tv 109 110 ・v 119 120 fv 129 130 tv 139 140 tv 149 150 rv 159 1 学 年 4 ( 4. 2) 12 (12.6) 31 (32.7) 26 (27.4) 20 (2!0) 2(2.1)2 学年
21 (22.1) 31 (32.7) 25 (26.3) 16 (16.8) 2(2.1)3 学年
2(1.6) 3(2.3) 25 (19.5) 47 (36.7) 37 (28.9) 11 ( 8. 7) 9(2.3) 4 学 年 2(16) 28 (22.6) 53 (42.7) 27 (21. 7) 14 (11.4)5 学年
1(O.8) 2(1.6) 18 (14.8) 31 (25.4) 3tt,/,〈31. 1) 19 (15.6) 11 ( 9. 1) 2(1.6)6 学年
1(O.9) 3 ( 2. 6) 19 (16.5) 31 (26.9) 34 (29.6) 24 (20.9) 3(2.6) 計 95 95 128 124 122 115頻値は2学年ずつ10㎜皿gだけ高圧1購移行し
ている。小児の1血圧値に関する詳細な報告はあま りないが,山本6)が学童の最高1血圧の正常値は100∼110mmHg,最低血圧は60∼70 mmHgである
とのべている点を野老として,いま便宜上図一I aのごとく120mmH9に線をえがいてみる。120m mHg以上の高圧側に分布するものは3学年で2.3 %,5学年で10.7%,6学年で2.6%となり,1 学年,2学年および4学年には現われていない。 ii)女子について 表一Ibおよび図一Iaによって,女子の学年別 最高1血圧値の分布をみると,分布の形は各学年を 通じてほぼ正規分布に近い形をしめしており,あ まり変化がないのは男子と同様である。最頻値についてみると,1斡では80∼89mmHgにあっ
て32.8%をしめている。2学年,3学年および 4学年では90∼99mmHgとなり,それぞれ36.4 %,39.3%わよび37.1%とあまり変らない分布率 一784一表一Ib学年別最高血圧分布
女 子
( )内は% 学年別1 学年
血圧値mmHg
50 rv 59 60 fv 69 70 rv 79 80 rv 89 90 rv 99 100 rv 109 110 iw 119 120 N 129 i 130 ・v 139 140 iv 149 150 xv 159計
6 ( 6. 3) 21 (21.9) 31 (32.3) 25 (26.0) 11 (11.5) 1(1.0) 1(LO)2 学年
4(3.6) 17 Q5. 5) 27 (24. 5) 40 (36.4) 13 (11. 8) 9 ( 8. 2)3学年 4学年 5学年
96 男 子 1106 学年
10 ( 8. 5) 18 (15.4) 46 (39.3) 29 (24. 8) 11 ( 9.4) 3(2.6) 6 ( 5. 7) 17 (16.2) 39 (37. 1) 23 (22.1) 13 (!2.4) 7 ( 6. 5)1
、lll:ll「、(。,) 32 (24.9) 20 (23.0) 37 (28.9) 1 32 (36.6) 17 (19.8) 29 (22.7) 1 、4(・・.gi 1 8(9.2) 5(3.9)i 117 105 2(Z2)表一lc学年別最低血圧分布
IZ8uml−T.T.rrm−8dZuLi, ( )内は%㌦譜凹・学年レ学年
mmHg] 1
0N 9V i
弟溺㌦、.、,
30 (ノ 39 1 20 (21.0)40∼49134(35・8)
50 ∼ 59 . 30 (31.6) 60tV 69 70∼ 79 : 、器Z、駕1 110∼119[ } 16 (16.8) 37 (38.9) 27 (28.4) iO@(iO.5) 1 ig ((igl?,)3学
`4学制5
1(O.8) s(3.9) 1 31 (24. 2) / 57 (44. 5) 31 (24.2) il
2( 1. 6) 1 1(O.8) i 3 ( 2. 4) 26 (21. 0) 53 (42. 7) 35 (28.3) 6 ( 4. 8) 1(O.8)】学年
m陛釦
f [ ] l l i( o. s) 1 ! 1 12 ( 9. 8) 1 6 ( 5. 2) 34 (27.g) 1 27 (23.5) 1 41 (33.6) 1 19 (15.6) F 12 ( g. s) 1 3(2.5) 95 128 4/ (35. 7) i 31 (26.9) 9(7.8) i 1 ( o・ 9) [ 計 95 一124 ” 1 一{≡Σを』一r一”ttsu..t..一一三[1[;一… をしめしている。5学年,6学年になると100∼ ユ09mmHgとなり,それぞれ22,7%,19.8%と 同程度の分布率をしめしている。男子の場合と同じように120mmH9に線をえがくと,それ以上
の高圧側に分布するものの率は,1学年で1.0%, 3学年で2.6% 4学年で6. 5%,5学年で14.8 %,6学年で11,4%をしめし,120mrnH9以上に 分布するものをみないのは2学年のみであった。 iii)男女の比較 以上述べた点について,男女の学年別最:高血圧 値の分布を比較してみると,分布の形は男女問に あまり差は認められない。各学年別の分布の最頻値は,2学年のみ男子が80∼89mmHg,女子が
90−99㎜Hgにあって異るのみで,闘士
では男女同じ一血圧値を有している。すなわち,最: 高血圧の分布の最頻値は,高学年となるにつれて 男女ほぼ同じ程度で高圧側に移行していくといえる。120㎜Hg肚の離側紛布するもの1ま,
女子では2学年のみにそれをみないのに反し,男 子では1学年,2学年および4学年において認め られない。120mniHg以上の分布が男子においてみられる3学年,5学年および6学年において
も,各学年の120mmHg以上に分布するものの率 は,男子より女子の方が高率である。すなわち, 一 78S 一表一Id学年別最低血圧分布
女 子 ( )内は%血些些∵学年・学年・学年1・学年・学年
mmHg
Otv 9
10 r−v 19 20 tv 29 30 tv 39 40 tv 49 50 rv 59 60 t・v 69 70 rv 79 80 tv 89 100 t・u 109 110 tv 119 1(1.0) 10 〈10.4) 43 (44. 8) 34 (35.5) 7 ( 7. 3) 1(1.0) 1(O.9) 7 ( 6. 4) 32 (29.1) 47 (42,7) 21 (19.1) 2(1.8) 8(6.8) 25 (21. 4) 45 (38.5) 29 (24.8) 10 ( 8. 5) 1(1.0) 1( 1. 0) 28 (26.7) 42 (40.0) 27 (25.6) 6(5.7) 1( Q. 8) 7 ( 5. 5) 29 (22.7) 45 (34.9) 33 (25. 8) 11 ( 8. 7) 1 ( O. 8) 1(O.8) 6 学 年 1( 1. 1) 1(1.1) 18 (20. 7) 34 (39.3) 15 (17.2) 15 (17.2) 3(3.4) 計 96 110 117 105 128 87鵬妊の飾において120㎜H鰐上の離
開に分布するものの率は,ほぼすべての学年を通 じて女子は男子よりも高率であるといえる。 b)最:低」血圧の分布について i):男子について 表一Icおよび図一Ibによって,男子の学年別 最:低血圧値の分布をみると,一般的にみて分布の 形はすべての学年を通じてほぼ正規分布に近い形 をとっている。最頻値をみると,1学年および2 学年では40∼49mmHgにあり,それぞれ35.8%, 38.9%をしめてあまり変らない分布の率をしめし ている。3学年以上はすべて50∼59mmH9にあり, 3,4,5,6学年となるにつれてそれぞれ44.5%, 42.7%,33.6%,35.7%と漸次低率となってい る。さきにのべたごとく,山本6)が学童の最低1血 圧の正常値は60∼70mmHgであるといっている点鯵考として,囎上図一Ibの80㎜H9嚇
をえがいてみる。80mmHg以上の高側に分布す
るものは,3学年0.8%,4学年0.8%,5学:年 2. 5%,5学年0.9%をしめし,1学年,2学年に は現われていない,e ii)女子について 表一Idおよび十一Ibによって,女子の学年別 最低血圧値の分布をみると,分布の形はすべての 学年を通じてほぼ正規分布に近い形を保ってい る。最:頻値についてみると,1学1年では40∼49 mmH9にあって44. 8 %をしめている。2学年以 上ではすべて50∼59mmHgにあり,2,3,4,5,6学 年となるにつれてそれぞれ42.7%,38.5%,40.0 %,34.9%,39.3%となっている。図一Ibにお いて,男子の揚合と同様に801nmH9にえがいた 線より高圧側に分布するものをみると,5学年に おいて1.6%をしめしているのみで,他の学年に は現われていない。 iii)男女の比較 以上のべた点について,男女の学年別最低血圧 値の分布を比較してみると,分布の形は男女各学 年ともほぼ正規分布に近い形をしめして,あまり 男女差は認められない。分布の最頻値は,2学年において男子が40∼49mmHg,女子が50∼59mm
Hgにあって異っているのみで,他の学年では男 女とも同様の血圧値を有している。すなわち,最 低血圧の分布の最頻値は,最高血圧のごとく高年 令となるにつれて高圧側に移行する傾向は,男女ともあま曙明ではない。80㎜Hg肚紛回
するものは,男子においては1学年,2学年を除 いたすべての学年に現われるが,各学年とも極め て少数である。女子においては5学年のみに現わ れるが,これも極めて少数に過ぎない。すなわ ち,最低血圧の学年別分布において,80mmHg 以上の高圧側に分布するものの率は,女子よりも 男子の方が高率ではあるが,その傾向はあまり著 明ではないQ 2) 性別学年別最高一血圧及び最低血圧の平均値 表一■および図一Hに,性別学年別最:高.血圧およ び:最低!血圧の平均値をかかげた。 一 786 一e/. )b
1回目2。
lo o ’30 ユ母年 ユ。 lo o 3S 321S年 ユ・ lo o 3ロ阜鱈ユ・
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o 30き瞥2e
le Q 30 酵年・・ (o 努 }女 子
” 一 =td一一一一一一一L−pt一 o一雇一〕一・_一こユー一一S.._・。_m・ ・ too lso 』』りSo 血 圧 値 100 za’:1 1bU 一id,図一la性別学年別最高血圧分布
a)最高血圧の平均値について i)男子について 1学年の平均値が90.5mmH:9,2学年が89.4mmHgで,1学年より2牽年がわずかに下降を
しめしているが,検定によれば両者の平均値間に 有意の差はない。2学年から3学年には,89,4nrmHgから97.4mmHgと有意の差をもつて上
昇する。3学年から4学年になると,♀7,4mmHg から96. 9 mmHgと僅かに下降をしめしている が,両者の平均値間に有意の差はない。4学年から5学年へは,96.9mmHgから102.4mmHgと
有意の差をもつて上昇する。また,5学年から6 学年へは,102.4mmH:9から100. 5 i:nmHgと下 降をしめすが,両者間に有意の差は認められな い。以上を概観すると,男子の最高血圧平均は, 高学年となるにつれて,あまり著明ではないが上 昇の傾向をしめしているといえる。 ii)女子について 1学年,2学年,3学年の平均値は,それぞれ 87.2,91.2,96.9mmHgと漸次有意の差をもつ 一 7st 一男 1}一
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Sb loo ntmH;図一lb性別学年別最低血圧分布
て上昇している。 3学年から4学年へは,96.9 mmHgから98.9mmH:gと僅かな上昇をしめして いるが,両者闘に有意の差は認められない。つい で4学年から5学年へは,98.9mmH:gから106. 3mmHgと有意の差をもつて上昇する。5学年か
ら6学年へは,106.・ 3mmHgからユ05. 6mmHgへ と僅かに下降をしめしているが,有意の差は認め られない。全体を通じてみれば,女子の最高血圧 平均値は,高学年となるにしたがって上昇してい るといえる。 iii)男女の比較 男女の最高1血圧の平均値間に有意の差が認めら れたのは,3つの学年においてであった。すなわ ち,1学年では男子が高く,5学年,6学年では 女子が高かった。全体としてみると,1学年では 3. 3mmHgの差をもつて男子の平均値が女子のそ れよりも高かったが,2, 3,4学年では,男女の平 均値はほぼ同じくらいの値をしめしている。5学年になると,男女平均値間の差は3.9mmHgで
女子が高く,6学年では5’1mmHgの差をもつて 一 78S 一表一1 性別学年別最高血圧および最低血圧平均値
学年別障吻Pt最高血酬標鞠劃最低血
酬合評差
1学年
2学年
3学年
4学年
5学年
男 女 男 女 男 女 95 96 95 110 128 117 男 124女1105
男 女、学年陣
女 122 128 ユ15 87mmHg
90.5 ± 1.2 87ご2 ± 1.2 89.4 土 1.1 91.2 土 1.2 97.4 ± 1.0 96.9 ± 1.1 96.9 士 0.9 98.9 ± 1.2 102.4 ± 1.2 106.3 士 1.1 ユ0α5士ユ.ユ 105.6 ± 1.3 11.4土0.8 11. 8±O. 8 10. 7±O. 7 12. 2±O. 9 11.0±O.7 11.5±O.8 9.6±O.6 12.5±O.9 13. 2±O. 8 12.8土0,8 11.4±O.8 12. 4±O. 9 iilimr−Hg 48.0 ± 1.0 48.9土1.0 49.5 士 1.0 52。6 士 O.9 54,5 士 0.8 55.7 士 1,0 56.5 士 0.8 55.6 ± O.9 54.2 土 1.1 56.3 土 1,0 56.1 ± ユ。0 58.6 土 1.3 9.5土0.7 9.3土O.7 9.9土0.7 9. 9±O. 7 9.1土0.6 10.4±O. 7 9. 1±O. 6 9. 3±O.6 1 12.5土0.81 11.7士0.7 10.5±O.7 11.8±O.9 陶浦∂ rlo Ioo 暫。 80 ワ。 血.60S6
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挙 4
図一豆 性別学年別最高血圧わよび最低血圧平均値 同様に女子が高い。したがって,最高血圧の平均 値が高学年となるにつれて上昇する傾向は,男子 よりも女子において著明に観察される。 b)最:低血圧の平均値について i)男子について 男子の学年別最低血圧平均値が有意の差をもつ て上昇するのは,2学:年の49.5mmHgから3学 年の54. 5 mmHgとなる場合のみで,他のすべて の学年の平均値間には,有意の差は認められなかった。また,1島物48.0㎜Hgと6斡の
56.1mmHgとの間には有意の差が認められた。 すなわち,男子の最低血圧の平均値においては, 2学年から3学年の間で上昇をしめしたのみで, 学年別にはあまり著しい変化は認められないが, 全体としてみれば高学年となるにつれてわずかな がら上昇する傾向が認められる。 一789一ii)女子について 1学年,.2学年,3学年の平均値は,それぞ れ48.9,52.6,55.7mmHgで,漸次有意の差 をもつて上昇している。しかし,それ以後の高学 年においては,各平均値間に有意の差は認められ
ず,3学年の55。7mmHgと6学年の58・6mmHg
との闘にも有意の差は認められなかった。しか し,1学年と6学年の平均値の間には有意の差が 認められた。すなわち,女子の最低1血圧の平均値 においては,1学年,2学年,3学年となるにつ れて漸次上昇し,それ以後は学年別にあまり変化 は認められないが,全体としてみれば高学年とな るにつれて上昇する傾向が認められた。 iii)男女の比較 男女の最低血圧の平均値間に有意の差がみとめ られたのは,2学年にわいて男子89.4mmHg, 女子91.2mmHgをしめしたときのみで,他の学 年ではすべて有意の差は認められなかった。全体 を通じてみると,男女の最低血圧の平均値間に は,ほとんど差は認められず,各学年同じような 値をしめしているといえる。 IV 考 wtta”D t30 IXo INv too Ro go 70 も。圧So
40
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to 察 図一皿に,佐々木4ノらが昭和32年4月に秋田県 の水田単作地帯の1つである南秋田郡井川村の井 川東部小学校児童541名についておこなった調査 と,藤本7)が昭和24年に大森,蒲田地区の小学 校,千葉県富浦小学校でおこなった調査とを,本 調査とともに最:高血圧および最低血圧の平均値に ついてかかげる。ただし,藤本7)の調査は,最低 血圧についての報告がないため,最高.血圧のみし めした。最:高血圧についてみると,佐々木ら4)の 調査が圧倒的に高く,男女とも全学年を通じて本 調査より高い値をしめしている。また,藤本りの 調査と比べると,本調査の方が男女ともすべての 学年において高い値をしめしている。なお,佐々 木ら4)の調査でも,藤本6)の調査でも,各学年間 の平均値における男女差は著明ではない。つぎ に,最低血圧についてみると,やはり佐々木ら4) の調査が本調査よりも全学年を通じて男女とも圧 倒的に高い値をしめしている。佐々木ら4)の調査 においても,本調査と同様男女差はあまり認めら れない。また図にはしめさなかったが,矢野8)が 前橋市桃井小学校の1,2,3学年において,昭和 31年5月におこなった調査がある。普通学級と養 。==二署}禾織劉墨継ノ鎌(徹柵,
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1 母 3 』耳 “ ‘ 図一叫 最高血圧および最低血圧の平均値の比較 一 790 一護学級について調査しているが,そのうち普通学 級における最高血圧の平均値をみると,最高一血圧 では男女とも藤本7)の曲線と同じようなレベルに あり,男女差は著明ではない。最低血圧は,佐々 木ら4)の調査と本調査との,ほぼ中間にくらいし ている。 また著者はさきに,40才以上の男子の血圧値に ついて2,3の地区を比較したユ。)。それによると, 最:高一血圧の平均値は秋田県が最:も高く,つついて 埼玉県,全国,東京都の順になっている。:最低血 圧ではやはり秋田県が最も高く,埼玉県がこれに つぎ,全国と東京都とはほぼ同様の値をしめして いた。これと,昭和25年の地区別脳卒申死亡率と が,ほぼ平行していることを観察した。 一上にのべた点を考慮しつつ図一皿をみると,小学 校児童の血圧平均値を地区別にみアこ場合も,成人 の場合とほぼ同様のことがいいうるように思われ る。なぜならば,秋田県の一農村地区における小学 校児童の血圧平均値が,最高」血圧:最低血圧ともに 圧倒的に高く,ついで本調査の牛王県となってい る。藤本7,による東京都大森,蒲田地区の小学校児 童の調査が,最高血圧値のみであるが最も低い。さ きにのべたごとく,郡馬県前橋市における矢野8) の調査は,3学年までであるが,最:高血圧は藤 本7)の調査とほぼ同じ値をしめしており,最低血 圧は佐々木ち4)の調査と本調査のほぼ中興にくら いしている。藤本7)の報告は,東京都の大森,蒲 田地区の小学校と,千葉県蝉茸小学校の児童とを 合計したものであるため,あまり明瞭ではない が,千葉県富蒲は房総半島の先端近くにあり,内房 に面する海岸地帯であるから,福田11)が千葉県の 漁村部落は農村部落に比べると高ti11圧の出現率が 低いとのべているところがらみても,その地区の 成人の血圧値が千葉県全体としてみたときよりも 高いとは考えられない。ゆえに,藤本7)の大森, 蒲田地区の小学校と,千葉県富蒲小学校との児童 の血圧値を分けてみれば,あまり極端な差はない ものと考えられる。また第H報10)においても観察 したが,金!2)の研究によって昭和25年の地区別脳 卒中死亡率をみると,秋田県が人口10万対248.1 をしめして:最高であり,ついで埼玉県148.3,千 葉県144.5,群馬県ユ41.0,東京都125・0となっ ている。 上述のことから,小学校児童における血圧値 も,成入の解合と同様にほぼその地区の脳卒中死 亡率と平行しているごとく考えられる。と同時 に,その地区における成人の血圧値とも平行して いるわけである。これは,さきに述べた中沢1’, 丘2)の報告をうらずけるものであろう。すなわ ち,小学校児童のごとき年令層にあっては,まだ 環境による影響はそれほど著しくないと考えられ るから,遺伝素質の影響が甚だ大きいものである ことをしめすものと思われる。 つぎに,血圧値の男女差について観察してみよ う。最:高血圧の平均値においては,1学年では男 子が高く,5学年,6学年では女子が高い。最低 血圧の平均値においては,ほとんど差をみなかっ た。図一mにより,他の調査について平均血圧値 の男女差をみると,佐々木ら4)の調査において も,藤本6)の調査においても,また本:文にのべた 矢野8)の調査においても,男女差は最高一血圧,最: 低血圧とも著明には認められない。大庭15)は, 宮城県の一農村で6才以上の男子2,405名,女子 2,445名について血圧調査をおこない,5才階級 ごとに分析している。それによって,平均血圧値 の男女差をみると,最高血圧においては,10∼14 才では女子が高く,20才台では男子が高くなって おり,その後の年令層では男女平均値間に有意の 差は認められなかった。最低血圧の平均値におい ては,6∼9才から50∼54才までは女子が男子よ り高い値をしめしているとのべている。諸岡ら5> は,最高血圧の平均値において,40 N 44才は男 子が高く,50∼54才以後の高年令層ではほとん ど女子の方が高く,最低血圧値においてはあまり 差がなかったとのべている。著者はさきに,50才 以後は,最高血圧の平均値は男子よりも女予の方 が高い値をしめしており,最低血圧の平均値では 男女差が認められないとのべナニ14)。Master 15)ら は,大部分が白人である米国人15,000名につい て血圧調査をおこない,最高血圧の平均値は・45 才までは男子が高いが,それ以後の年令層では女 子が高く,最:低血圧の平均値は,男子が女子より も高かったとのべている。 上述の各調査その他を綜合すると,次のような ことが考えられる。最高血圧の平均値において は,20才台,.30才台の若年層では男子が高いと いう報告が多いが,40才あるいは50才以後の高 年令層にあっては,女子の方が高いという報告が 一 791 一
多くみられる。また,小学校児童や中学校生徒を 対象とした報告は,まだあまり多くないので明ら かにはなしえないが,男女差は認められないとい う報告もあり,差があるとすれば男子よりはむし ろ女子の方が高い傾向にあることが推察される。 すなわち,男女の最高.血圧平均値曲線は,10才台 の後半で一度交叉し,40才台の後半で再び交叉す る可能性が多いことを示唆している。蔦れに反 し,最低一血圧の平均値における男女差は,報告に より種々であり,最:高血圧におけるごときほぼ一一 定の傾向は,今までのところ見出しえないようで ある。 このように,一血圧値における性差,年令差等に 関しては,次第に明らかにされてきつつあるが, より明瞭な知見をうるためには,各地方における 社会人の男女各年令層を含む一病再調査が,今後数 多くおこなわれなければならない。従来いわれて いたように,血圧値は男子の方が女子よりも高い という概念は,全面的に再検討されるべき問題で あろう。 V 総 括 諸岡ら5)は先に,埼玉県入間郡福岡村におい て,40才以上の男女について血圧の集団検診をお こない,血圧値が各地方に比べて比較的高めであ ることを観察した。著者は,同村における小学校
児童の血圧に注目し,昭和33年6月4日から11
日まで,全校児童男子679名,女子643名につい て血圧測定をおこなった。血圧計はリバロッチー 氏水銀血圧計をもちい,マンシエットはすべて成 人用の13cm巾のものを使用した。椅坐位で右腕 のみ3回連続測定し,そのうちから低めの値をと ってその児童の血圧値とした。その結果を要約す ると次のごとくである。 1) 性別学年別最高血圧および最:低血圧の分布 最:高血圧の分布をみると,男女とも一般的に分 布の形は,すべての学年を通じてあまり変化をし めさず,ほぼ正規分布に近い形を保っている。高 学年となるにつれて高圧側に分布するもの数が増 加する傾向は,男子よりも女子に著しい。 最低血圧についてみると,男女とも一一ma的に分 布の形はあまり変らず,ほぼ正規分布の形をとっ ている。高学年となるにつれて高圧側に移行する 傾向は,男女ともあまり著明ではない。 2)性別学年別最高,血圧および最低血圧の平均 値 最高.血圧の平均値を男子についてみると,1学年が90.5mmH9,6学年が100,5mmHgをしめ
し,高学年となるにつれてあまり.著明ではないが 上昇の傾向が認められる。女子についてみると,1学年が87。2mmHg,6学年が105.6mmHgを
しめし,高学年となるにつれて上昇する傾向は, 男子よりも女予において著しくみられる。男女の 平均値を比較すると,1学年では男子が高く,2, 3,4学年ではほぼ同様の値をしめしているが,5, 6学年では逆に女子の方が高くなっている。 最低血圧の平均値を男子についてみると,1学年の48. OmmHgから6学年の56.1mmHgにい
たるまで,わずかながら上昇する傾向が認められ る。女子・についてみると,1学年の48.9mmH:9から6学年の58.6mmHgまで,わずかながら上
昇する傾向が認められるが,その傾向は高学年よ り低学年に著しくみられる。男女の平均値を比較 すると,ほとんど差は認められず,各学年とも同 じような値をしめしている。 以上の研究結果を,秋田県の一農村,東京都お よび千葉県海岸地帯,群馬県前橋市における一小 学校児童の調査と比較した。さきに成入の血圧値 が,ほぼその地区の脳卒中死亡率と平行している ことをみたが,今回の小学校児童の血圧値におい ても,ほぼ同様の傾向が認められることを観察し た。また,血圧値の男女差について,各種:の報告 による成人の一血圧値とともに観察し,従来の男子 の血圧値が女子のそれよりも高いという概念は, 全面的に再検討されねばならないことを強調し た。 稿を終るにのぞみ,、終始御懇切なる御指導,御校閲 をたまわった吉岡博人教授,ならびに教室員諸氏に深 謝いたします。 文 献 1)中沢房吉;高血圧(臨床方面)H本内科学雑誌 40,487 (目召26) 2)選訳司:血圧の遺伝学的研究,第11編,高血 圧の遺伝に関する研究,第2報,高血圧の家系 に関する研究,体質医学研究所報告,3,120, (昭27) 3)高橋英次・他:東北の三農村部落における血圧 の観察,医学と生物学,37,209(昭30) 4)佐々木直亮・他:秋田県水田単作地帯一小学校 児童の血圧観察,医学と生物学,44,132(昭32) 一 792 一5)諸岡妙子・他:農i村における血圧調査,1埼玉 県福岡村における調査,東京女子医科大学雑誌 26, 397 (日召 31) 6)山本廉裕:血圧,小児科学,総論,南江堂,22 (昭30) 7)藤本佐賀枝;日本人諸機能の発育に関する研究 民族衛生,22,6(昭31) 8)矢野亨・他:小学校低学年児童の体位血圧反射 一特に養護学級児童との比較について一民族衛 生,23,82(昭32) 9)福田篤郎;秋田県農i村の高血圧調査(1)平鹿 郡農村(館合村)高」血圧情況,秋田県医師会雑 誌, 3, 19 (日召 26) 10)吉田 央:本邦人血圧の疫学的研究,第II報 『某公社男子職員における血圧調査一東京女手 医科大学雑誌,28,585(昭33) 11)福田篤郎;生活と高血圧,光文堂,78(昭29) 12)金田銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究,eeVll報 一府県別死亡率の年代的推移について一三京女 子医科大学雑誌,28,365(昭33) 13)大庭英子: 東北農村における血圧の年令的変 化,医学と生物学,46,82(昭33) 14)吉田 央:本邦人血圧の疫学的研究,第1報 一埼玉県農村地区における血圧調査一東京女子 医科大学雑誌,28,525(昭33)
15) Master, A. M., et al.:The normal blood pressure range and its climcal implications. JAMA 143, 1464 (1950)