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糖尿病性腎症(腎臓病)

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 糖尿病を背景とした腎疾患を原因として末期腎不全まで 進行し透析に導入となる症例が,依然として他の疾病を寄 せつけることなく第 1 位となっている。10 年以上前にアン ジオテンシン受容体拮抗薬が市場に登場し糖尿病性腎症に 対する治療戦略として応用されて以来,画期的な治療薬は 登場していない。また,近年では以前に比し腎機能の悪化 が尿アルブミン増加とパラレルでない症例も多いことが知 られ,典型的糖尿病性腎症ではなく,広く糖尿病性腎臓病 という概念も登場している。そのようななか,そもそも糖 尿病治療薬として開発された薬剤が,腎臓の合併症を改善 する可能性が示されてきた。  いわゆる典型的な糖尿病性腎症(腎症)の経過のなかで, 微量アルブミン尿を呈する糖尿病症例が,後に持続性蛋白 尿に至るとの長期観察の成績が発表されている。典型的な 腎症の経過では,長期にわたる糖尿病罹病期間の後に,ア ルブミン尿排泄量が増加し,間欠性~持続性の蛋白尿を呈 するようになる。その後,少しずつ腎機能が低下し慢性腎 不全へ,さらに末期腎不全に至る経過をたどる。アルブミ ン尿測定は,2014 年発表の糖尿病性腎症病期分類にも含ま れており,アルブミン尿を測定しなければ腎症の診断は不 可能である。アルブミン尿の存在が,糖尿病患者における 腎・心血管予後に対する危険因子であることも報告されて いる。しかしながら,近年,糖尿病症例における腎臓合併 症の進展様式は必ずしも典型的経過をたどらない症例が多 いことも明らかとなってきた。  米国における糖尿病腎合併症の変遷に関して Afkarian ら は重要な報告を行っている1)。彼らは 1988 年から 2014 年 まで 20 歳以上の糖尿病症例の腎合併症の現状を治療薬も 含めて調査した(National Health and Nutrition Examination Surveys:NHANES)。期間を NHANES 1988 ~ 1994, 1999 ~ 2004, 2005~ 2008, 2009 ~ 2014 年に分割したところ,白 人,黒人,ヒスパニックの全人種で HbA1c, 収縮期血圧, LDLコレステロール,中性脂肪に関しては調査開始時に比 し調査後半のサイクルにて低下傾向があること,血糖降下 薬,RAS 阻害薬,スタチンを服用している症例の割合が増 加していることが明らかとなった。腎合併症の存在を「微 量アルブミン尿以上のアルブミンの尿中排泄増加,もしく は eGFR < 60 mL/分/1.73 m2」と定義すると,NHANES 1988 ~ 1994 年から 2009 ~ 2014 年間に有意な変動はないが,ア ルブミン尿陽性症例(ACR ≧ 30 mg/gCr),顕性アルブミン 尿(ACR ≧ 300 mg/gCr)のいずれにおいても減少傾向にある こと(図 1),一方,eGFR< 60 mL/分/1.73 m(図 1),eGFR≦2 30 mL/分/1.73 m2に関してはいずれにおいても有意に増加 していることが明らかとなった。アルブミン尿が減少傾向 にある理由として,彼らは血糖管理の改善と RAS 阻害薬処 方の普及をあげており,実際,本検討での黒人とメキシコ 系アメリカ人におけるアルブミン尿減少効果の欠如は,糖 尿病治療に対する根拠に基づいた治療法が実践される機会 が少ないことが原因の一つではないかとしている。また, eGFR減少傾向にある事象に対しては,十分な根拠がない としながらも,調査した糖尿病症例の年齢に変化が認めら れないことから加齢のみでは説明できないとし,一つの原 因として,RAS 阻害薬による血行動態の改変を介した機序 と全身血圧の管理の低下に伴う可能性をあげている。さら に長い糖尿病歴が腎障害を惹起している可能性にも言及し はじめに 糖尿病症例における腎合併症の推移と変遷

特集:腎臓学 この一年の進歩

糖尿病性腎症(腎臓病)

Diabetic Nephropathy

(Diabetic Kidney Disease)

金 﨑 啓 造

Keizo KANASAKI

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ている。  アルブミン尿陰性の糖尿病患者でも,腎生検にて結節性 病変などの腎症に典型的な病理組織像を呈する症例が存在 することが報告されている。また,他の腎疾患や高血圧, メタボリックシンドロームにおいてもアルブミン尿が陽性 となるため,アルブミン尿自体に疾病特異性はない。腎症 症例を対象にした断面的解析において,組織学的所見と尿 中アルブミン排泄量に関しては有意な相関を認めないが, 典型的な腎症の組織像を呈する症例では尿中アルブミン排 泄が増加するとの報告がなされている2)。本邦でも今後新 たに用いられる糖尿病性腎臓病(DKD)という疾病概念に はアルブミン尿陰性例を含んでいるが,NHANES における DKDはアルブミン尿陽性もしくは eGFR<60 mL/分/1.73 m2 であり,アルブミン尿陰性かつ eGFR≧60 mL/分/1.73 m2 NHANES DKDに分類されない(図 2)。本邦で用いられて いる現行の糖尿病腎症病期分類(2014)においてはこれらの 図 2 腎症病期分類 (2013 年 12 月 糖尿病性腎症合同委員会) NHANESの DKD の診断基準では eGFR 60 mL/分/1.73 m2以下で微量アルブミン尿以上が診断基準となってい る(図の点線で囲まれたボックス)。したがって,eGFR 61 mL/分/1.73 m2以上かつ正常アルブミン尿の症例(図 の灰色のボックス)は DKD とは診断されない。この症例も現行の腎症病期分類では腎症第 1 期と分類される。 図 1 年代別にみた尿アルブミン(ACR)と eGFR の変遷(米国) 近年は尿アルブミン陽性症例は減少傾向にあり,腎機能が低下した症例が増加してきている。 N.A.:NHANES,DKD:糖尿病性腎臓病 (文献 1 より引用) 30 20 10 0 (%) Any DKD N.A. ACR≧30 (mg/gCr) (mg/gCr)ACR≧300 (mL/分/1.73meGFR<60 2 Prevalence 1988~1994年 1999~2004年 2005~2008年 2009~2014年 N.A. p <0.001 p<0.001 アルブミン尿区分 A1 A2 eGFR=60 A2尿アルブミン定量 尿アルブミン/Cr 比 (mg/gCr) (尿蛋白量) (尿蛋白 Cr 比:g/gCr) 正常アルブミン尿 30未満 微量アルブミン尿 A3 顕性アルブミン尿 300以上 (or 高度蛋白尿) (0.50以上) 30~ 299 GFR区分 (mL/分/1.73 m2 6090以上 第 1 期 第 2 期 第 3 期 ~ 89 45~ 59 第 4 期(腎不全期) 第 5 期(透析療法期) 30~ 44 15~ 29 <15

(3)

症例は腎症第 1 期に分類される(図 2)ことから,今後,本 邦における DKD と糖尿病性腎症病期分類の整合性は確認 する必要がある。  この 1 年,新たに発売された糖尿病治療薬に,当初は予 測されなかった糖尿病腎に対する保護効果の詳細が次々と 明らかになってきた。 1.SGLT2 阻害薬と腎  心血管疾患既往を有する 2 型糖尿病症例に対する SGLT2 阻害薬エンパグリフロジンを投与した EMPA-REG 試験腎 機能サブ解析結果では,エンパグリフロジン投与群全体で は投与初期に eGFR 低下が認められ,その後 eGFR の更な る低下は認められず,プラセボ群よりも最終的に eGFR 低 下が抑制された。エンパグリフロジン投与群におけるこの ような eGFR 抑制は一過性の糸球体血行動態の改変を介し ていると考えられる3)。アルブミン尿解析結果からは,試 験開始時に正常アルブミン尿群ではプラセボ群,エンパグ リフロジン投与群ともに尿アルブミンは観察期間を通して 増加傾向にあるものの,介入最終日のサンプルではエンパ グリフロジン投与群で対照群に比し有意にアルブミン尿は 抑制されていた3)。微量アルブミン尿群(30≦UACR<300 mg/gCr),顕性アルブミン尿群(300≦UACR mg/gCr)におい ては,介入の早期からアルブミン尿抑制がエンパグリフロ ジン投与で確認された。  介入終了後の試験薬 washout 後データは興味深い。試験 開始時正常アルブミン尿群ではエンパグリフロジン投与中 止平均34日後には尿アルブミン値は少し増加,プラセボ群 と尿アルブミン値に差を認めなかった。一方,試験開始時 に微量アルブミン尿群,顕性アルブミン尿群においてエン パグリフロジン投与により低下したアルブミン尿排泄は試 験薬中止後も継続した3)。正常アルブミン尿症例において エンパグリフロジン投与中止後に尿アルブミンがプラセボ 群と同等レベルに増加するのは,尿細管糸球体フィード バック機構の正常化に伴う結果と考えて差し支えない。し かし,微量アルブミン尿群,顕性アルブミン尿群における エンパグリフロジン中止後のアルブミン尿の持続的抑制 は,糸球体血行動態のみでは説明できず,約 3 年間の治療 介入期間での基質的病変もしくは,機能的な改善が得られ た可能性がある。  eGFR 変化も尿アルブミンレベルごとに解析をすると興 味深い結果がわかる。エンパグリフロジン投与は正常アル ブミン尿群,微量アルブミン尿群,顕性アルブミン尿群の いずれの群においても投与後 4 週時点で eGFR を抑制する (図 3)。その後,エンパグリフロジン投与群においては eGFRの更なる低下は認められないがプラセボ投与群では eGFRが持続的に低下する。その結果,eGFR のカーブは正 常アルブミン尿群と微量アルブミン尿群においてはエンパ グリフロジン介入後 66 ~ 80 週程度でクロスする(図 3)。 顕性アルブミン尿群ではベースの eGFR は低く,エンパグ リフロジン投与に伴う eGFR 逆転現象は介入後約 28 週時点 と正常アルブミン尿,微量アルブミン尿群に比しおよそ半 分の期間で確認された(図 3)3)。顕性アルブミン尿群でエ ンパグリフロジン投与による eGFR 低下割合が他群に比し 急峻であるのは,残存ネフロン数減少に伴う負荷増大,代 償的過剰濾過が生じているためと考えられる。  心血管リスクの高い 2 型糖尿病患者を対象とした CAN-VAS試験 4,330 例,CANVAS-R 試験 5,812 例,計 10,142 例 を基にカナグリフロジンの心血管アウトカムを検討したプ ラセボ対照無作為化二重盲検試験も報告された(CANVAS プログラム)4)。CANVAS プログラム4)登録症例の平均 eGFRが 76.5 mL/分/1.73 m2,アルブミン尿ステージでは正 常アルブミン尿群が 69.8%, 微量アルブミン尿群が 22.6%, 顕性アルブミン尿群が 7.6% であり,腎機能正常かつ正常 アルブミン尿の割合が大きい。アルブミン尿ステージ進行 はプラセボ投与群に比しカナグリフロジン投与群でより有 意に少なく,アルブミン尿退縮もカナグリフロジン投与群 で有意に多かった(ハザード比 0.73)(図 4)。eGFR40%以上 減少,腎代替療法,腎疾患死もカナグリフロジン投与群で 発生頻度が減少していた(ハザード比 0.60)(図 4)。カナグ リフロジンによる腎保護効果は EMPA-REG の結果ともき わめて類似しており,SGLT2 阻害薬全般に同様の結果が期 待できる可能性が高い。しかし,腎ハードアウトカムに対 する解析結果は,ほとんど eGFR 低下有無に基づいており, 腎不全進行への影響を確認するためにはより重症症例を対 象とした新しい試験が必要である。腎ハードアウトカムに 対するカナグリフロジンの効果に関しては,現在進行中の CREDENCEの結果が待たれる。エンパグリフロジンとカ ナグリフロジンという対照的な 2 つの SGLT2 阻害薬(きわ めて SGLT2 に対する選択制が高いエンパグリフロジンと SGLT2選択性が市販薬中では最も低いカナグリフロジン) を用いた検討においても腎臓を含めた臓器保護効果が得ら れたことは,きわめて有用な情報であると考えられる。 2.インクレチン関連薬  インクレチンホルモンは消化管よりグルコース,脂質が 糖尿病治療薬と腎臓

(4)

吸収される際に消化管から分泌され,膵β細胞からインス リン分泌を促すホルモンの総称である。臨床応用されてい るのは,glucagon-like peptide-1(GLP-1)のアナログ製剤と, GLP-1 を分解する酵素である dipeptidyl peptidase-4(DPP-4) の阻害薬である。インクレチンホルモンによるβ細胞から のインスリン分泌はブドウ糖濃度依存性であるので,単独 投与では低血糖のリスクはきわめて低く,広く糖尿病診療 に用いられている。  GLP-1 アナログであるリラグルチドを用いた 2 型糖尿病 症例に対する大規模介入試験(LEADER 試験)の腎アウト カムの解析結果が発表された。9,340 例の 2 型糖尿病症例を 対象(プラセボ 4,672 例,リラグルチド 4,668 例:平均 3.84 年観察)とした本試験では,すでにリラグルチドによる心 血管アウトカム,全死亡の抑制結果が報告されていたが, 2017年は腎アウトカム5)に対する詳細な結果が報告され た。腎複合アウトカム(顕性アルブミン尿への進行,血清ク レアチニンの倍加,eGFR45 mL/分/1.73 m2以下への低下, 腎代替療法への導入,腎死)を観察した場合,リラグルチド 群はプラセボ群に比し有意に抑制した(ハザード比 0.78)5) (図 5)。しかしこの結果は,複合とは言いながら顕性アル ブミン尿の改善の結果が主であると考えざるをえない。実 際,更なるハードアウトカム(クレアチニンの倍化や腎代 替療法導入)に関してはリラグルチドで抑制していない(発 症頻度が~2% 程度であり評価が難しい)。2016 年発表され た超長時間作用型 GLP-1(1th/week)製剤であるセマグルチ ドでも同様の腎保護効果が得られており6),GLP-1 製剤に は腎保護効果が期待できる可能性がある。  DPP-4 阻害薬に関しては,われわれの検討をはじめ7,8) して数多くの前臨床試験において優れた腎保護効果が報告 され,臨床的にもその効果は大いに期待された。しかし, 現時点までに実施された前向き大規模試験において DPP-4 阻害薬が腎保護効果を発揮したという根拠は得られてい ない9~ 11)。2017 年に発表された MARLINA-T2D 試験は, 初めて 2 型糖尿病かつ尿アルブミンを有する症例を対象と し,DPP-4 阻害薬リナグリプチンを用いて 6 カ月介入し, アルブミン尿に対する効果を検討した試験であるが,本試 験においても,傾向はあるもののリナグリプチンによる有 意なアルブミン尿抑制効果は確認できなかった12)。しか 図 3 EMPA-REG 試験:尿アルブミンレベル別における eGFR の変化 試験開始時,a:正常アルブミン尿群,b:微量アルブミン尿群,c:顕性アルブミン尿群 すべての群でエンパグリフロジンによる eGFR 低下抑制効果が確認されるが,eGFR の低下してい る顕性アルブミン尿群(c)で最も早期に変化(エンパグリフロジン介入による eGFR の交差現象: 矢印)が確認される。      (文献 3 より引用,改変) 80 75 70 65 60 55 50 45 40 0 4 12 28 52 Follow-up(week) エンパグリフロジン エンパグリフロジン エンパグリフロジン プラセボ プラセボ プラセボ 66 80 94 108 122 136 150 164 178 192 eGFR (mL/分/1.73m 2) c:顕生アルブミン尿群 a:正常アルブミン尿群 試験開始時 b:微量アルブミン尿群

(5)

し,アルブミン尿区分別に観察すると,20% 以上のアルブ ミン尿減少効果を認めた症例はリナグリプチン介入群に多 く,一方,アルブミン尿が増加した症例はリナグリプチン 治療群で少なかった12)(図 6)。この結果は,SAVOR-TIMI 11におけるサキサグリプチンのアルブミン尿に対する効 果と酷似しており,DPP-4 阻害薬の腎保護効果に対する効 果にはまだ可能性がある。現在,リナグリプチンを用いて 心臓,腎臓に対するアウトカムを解析する大規模介入試験 (CARMELINA)の解析中であり,近日中に結果が公表され る予定である。  この 1 年間もさまざまな基礎研究結果が発表されてきた が,ジョスリン糖尿病センターから報告のあった糖尿病腎 における異常解糖系13)の病的意義は大変興味深いので紹介 する。  彼らは,50 年以上の経過を有しかつ腎臓合併症から保護 されている症例の糸球体を解析するなかで,保護されてい ない症例に比しこれら症例の糸球体では pyruvate kinase (PK)活性が高いことを見出した13)。また,ストレプトゾト シン投与糖尿病では非糖尿病に比し PK 活性が抑制されて いた。PK は phosphoenolpyruvate (PEP) を pyruvate に変換す る過程でアデノシン 2 リン酸(ADP)に 1 つのリンを転移し アデノシン 3 リン酸(ATP)を生成する酵素である。この過 程では通常 PK が 4 量体で働くことが知られているが,が ん細胞など異常な解糖系を有する過程では酵素活性が低い 2量体を形成する。彼らはマウス糖尿病腎糸球体において 糖尿病腎に対する新たな治療標的の可能性 図 4 CANVAS プログラム全体におけるカナグリフロジンの心血管,腎臓,入院,および死亡事象への影響 (文献 4 より引用,改変) 0.5 1.0

Canagliflozin better Placebo better 2.0 Outcome Canagliflozin (n=5,795) Placebo (n=4,347) Hazard ratio(95% Cl)

No.of participants per 1,000 patient-yr Death from cardiovascular

causes, nonfatal myocar -dial infarction, or nonfatal stroke

26.9 31.5 0.86(0.75 ~ 0.97)

Death from cardiovascular

causes 11.6 12.8 0.87(0.72 ~ 1.06)

N o n f a t a l m y o c a r d i a l

infarction 9.7 11.6 0.85(0.69 ~ 1.05)

Nonfatal stroke 7.1 8.4 0.90(0.71 ~ 1.15)

Fatal or nonfatal

myocar-dial infarction 11.2 12.6 0.89(0.73 ~ 1.09)

Fatal or nonfatal stroke 7.9 9.6 0.87(0.69 ~ 1.09)

Hospitalization for any

cause 118.7 131.1 0.94(0.88 ~ 1.00)

Hospitalization for heart

failure 5.5 8.7 0.67(0.52 ~ 0.87)

Death from cardiovasclar causes or hospitalization for heart failure

16.3 20.8 0.78(0.67 ~ 0.91)

Death from any cause 17.3 19.5 0.87(0.74 ~ 1.01)

Progression of albuminuria 89.4 128.7 0.73(0.47 ~ 0.79)

40% reduction in eGFR, renal-replacement therapy, or renal death

(6)

5 リラグルチドによる腎保護効果 LEADER 試験のサブ解析結果 。 a の腎複合アウトカムを抑制しているが ,実際のところ顕性アルブミン尿発症抑制がメインであり ,クレアチニンの倍化や腎代替療法の導入 は抑制していない。     (文献 5より引用, 改変) 100

c. Persistent doubling of serum creatinine Level

80 60 40 20 0 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54 (%) 10 Placebo Liraglutide Hazard ratio, 0.89 (95% Cl, 0.67 ~ 1.19) p= 0.43 8 6 4 2 0 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54

Months since randomization

No. at risk Placebo

4,672 4,647 4,596 4,529 4,447 4,367 4,282 4,196 1,682  456

Liraglutide

4,668 4,639 4,591 4,544 4,476 4,403 4,332 4,264 1,692  475

Patients with an event

100

d. Continuous renal-replacement therapy

80 60 40 20 0 (%) 10 Placebo Liraglutide Hazard ratio, 0.87 (95% Cl, 0.61 ~ 1.24) p= 0.44 8 6 4 2 0

Months since randomization

No. at risk Placebo

4,672 4,645 4,590 4,527 4,454 4,370 4,299 4,227 1,699  461

Liraglutide

4,668 4,640 4,596 4,547 4,484 4,416 4,349 4,282 1,710  483

Patients with an event

100

a. Composite renal outcome

80 60 40 20 0 (%) 10 Placebo Liraglutide Hazard ratio, 0.78 (95% Cl, 0.67 ~ 0.92) p= 0.003 8 6 4 2 0 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54

Months since randomization

No. at risk Placebo

4,672 4,643 4,540 4,428 4,316 4,196 4,094 3,990 1,613  433

Liraglutide

4,668 4,635 4,561 4,492 4,400 4,304 4,210 4,114 1,632  454

Patients with an event

100

b. New onset of persistent macroalbuminuria

80 60 40 20 0 (%) 10 Placebo Liraglutide Hazard ratio, 0.74 (95% Cl, 0.60 ~ 0.91) p= 0.004 8 6 4 2 0 0 12 18 6 24 30 36 42 48 54

Months since randomization

No. at risk Placebo

4,672 4,646 4,551 4,455 4,359 4,252 4,162 4,073 1.642  442

Liraglutide

4,668 4,638 4,570 4,508 4,437 4,353 4,268 4,182 1,662  461

(7)

非糖尿病に比し PKM2 の 2 量体が増加していることを見出 し,PKM2 の 2 量体形成を阻害し 4 量体形成を誘導する TEPP-46の投与により糖尿病腎病変を改善させた。興味深 いデータながら疑問が残る。彼らの興味の中心は糸球体に あるが,彼らのデータでは,糸球体において細胞外基質蛋 白であるフィブロネクチンの増加はあるものの,3 型コ ラーゲンや TGFβ1 の増加は認めていないが,尿細管では こ れ ら す べ て の 増 加 を 認 め て い る。 興 味 深 い こ と に TEPP-46投与は糸球体のフィブロネクチンのみならず,尿 細管におけるフィブロネクチン,3 型コラーゲン,TGFβ1 のすべてを抑制した13)(図 7)。腎皮質部位からの遺伝子発 現も同様であった。しかしながら,彼らは一切尿細管にお ける PKM2 の異常や異常解糖系の存在には言及していな い。実際,PKM2 は核内で hypoxia-inducible factor (HIF)-1

αの転写活性を高める可能性が指摘されており(図 8),無 秩序な HIF-1αの集積は上皮細胞から間葉系細胞への分化 プログラムを惹起する可能性が報告され,尿細管でも同様 の報告がある14,15)  歴史的に,近位尿細管におけるエネルギー代謝の中心は 脂肪酸β酸化であり,解糖系活性はない(あってもきわめ て低い)と考えられてきた。これらの見解は 1960 ~ 70 年代 にかけて行われた,正常腎 ex vivo 系の解析結果に基づいて いるが,定説となってきた「解糖系が存在しない近位尿細 管」に関し,最近の技術・病態モデル解析結果から再考が必 要であると言わざるをえない。Hato ら16)は,PET と生体内 多重光子顕微鏡(MPM)を組み合わせ,18F-FDG を用いた PETにて腎皮質への糖取り込みの確認,好気性解糖抑制効 果を有する p53 抑制による糖取り込みの増加を確認した。 80 60 40 20 Glomeruli Tubules Fn Col3z * * TGFβ1 Relative mRNA 4 3 2 1 0 Nondiabetic vehicle(4~6M) Diabetic 6M + vehicle(4~6M) Diabetic 6M + TEPP-46(4~6M) * * * * * * Fn Col3z TGFβ1 0 20 40 60 80 100 >20%

decrease decrease 10~20% decrease <10% Increase

Patients UACR response Linagliptin Placebo Responders (%) Non-responders 図 6 MARLINA-T2D 試験におけるアルブミン尿の抑制 微量アルブミン尿症例を対象とした介入試験 MARLINA-T2D で は,アルブミン尿は,リナグリプチン投与群で低下する症例が多 く,増加する症例は少なかった。 (文献 12 より引用,改変) 図 7 PKM2 の正常化により糖尿病腎の糸球体・尿細管における線維化プログラムが抑制される TEPP-46(PKM2 2量体形成を抑制し,4 量体の形成を誘導する)投与により線維化関連蛋白質は抑 制されるが,その変化は尿細管においてより顕著であった。    (文献 13 より引用,改変)

(8)

NMR解析でも解糖系由来の近位尿細管における乳酸増加 が確認され,腎臓近位尿細管における「解糖系」の存在は ex vivoによる分析結果を基盤として信じられてきたものとは 異なる可能性がある。実際,病態モデルでは異常解糖系阻 害(前述の TEPP-46 とは異なる好気性解糖の阻害薬)による 腎病変の改善効果も報告されており,われわれの予備的検 討もそれを支持している。近位尿細管において「解糖系は 存在しない」という考え方自体が,今から 50 年程度前に実 施された ex vivo 正常腎を用いた実験結果に縛られてきた 可能性がある。ジョスリンからの論文13)は,その呪縛から 逃れ,新たな分析手法と実験結果の再解釈により異常解糖 系の存在が病的腎,特に糖尿病腎に対する新たな治療標的 となる可能性を示唆しているのかもしれない。  糖尿病腎に対する 1 年間の研究成果をすべて網羅するこ とは不可能であり,発表された臨床試験・基礎実験結果か らインパクトの高いものに関して概説した。実際の臨床現 場では,糖尿病症例は他の腎疾患に比し代謝異常に基づく 腎臓のみならず多彩な臓器における合併症を有しており, 糖尿病性腎症(腎臓病)の診療を行う主治医には血糖・血 圧,脂質管理などに対する広い視野と豊富な知識が要求さ れることは言うまでもない。臨床試験結果からも明らかな ように,糖尿病治療薬と合併症抑制は切っても切れない関 係になっている。これはすなわち,糖尿病専門医が腎臓に 対して,腎臓専門医が糖尿病に対して病態生理の理解を深 める必要があることを意味する。薬剤介入に関しても病態 を理解したうえでの一元的な管理,もしくは深い連携のも とのチーム医療が実施できなければ糖尿病性腎症(腎臓病) 症例が不利益を被る可能性もある。更なる研究成果の集積 とそれを理解した人材育成,チーム形成が必要である。   利 益相反自己申告:日本イーライリリー(講演料),日本ベーリン ガーインゲルハイム(講演料,研究費・助成金,寄付講座),サ ノフィ(講演料,奨学寄付金),田辺三菱製薬(講演料,奨学寄 附金,寄付講座),アステラス製薬(講演料,奨学寄付金),キッ セイ薬品工業(奨学寄付金),ノバルティスファーマ(奨学寄付 金),MSD(奨学寄付金),興和(奨学寄付金),協和発酵キリン (奨学寄付金,寄付講座),バイエル薬品(奨学寄付金),大正富 山医薬品(奨学寄付金,寄付講座),第一三共(奨学寄付金), ファイザー(奨学寄付金),日本たばこ産業(奨学寄付金),武田 薬品工業(奨学寄付金),小野薬品工業(寄付講座) 文 献

1. Afkarian M, et al. Clinical manifestations of kidney disease among US adults with diabetes, 1988-2014. JAMA 2016;316; 602—610. doi:10.1001/jama.2016.10924

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HIF-1α target genes

図 8  PKM2 2 量体による HIF-1αの転写活 性化 通常,PKM2 は 4 量体を形成し酵素として機 能している。しかし,PKM2の2量体はHIF-1 αと結合し HIF-1αの転写活性化を惹起す る。HIF-1αの無秩序な発現は,尿細管細胞 に細胞外基質産生細胞(間葉系細胞)への分 化を誘導する可能性がある。

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4. Neal B, et al. Canagliflozin and cardiovascular and renal events in type 2 diabetes. N Engl J Med 2017;377:644—657. doi: 10.1056/NEJMoa1611925.

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図 8     PKM2  2 量体による HIF-1 αの転写活 性化 通常, PKM2 は 4 量体を形成し酵素として機 能している。しかし, PKM2 の 2 量体は HIF-1 αと結合し HIF-1 αの転写活性化を惹起す る。 HIF-1 αの無秩序な発現は,尿細管細胞 に細胞外基質産生細胞(間葉系細胞)への分 化を誘導する可能性がある。

参照

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18) Asano N, Fujimoto M, Yazawa N, Shirasawa S, Hasegawa M, Okochi H, Tamaki K, Tedder TF, Sato S. : B Lymphocyte signaling estab- lished by the CD19/CD22 loop regulates au-

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