Title
Plk1 is negatively regulated by RNF8( 内容と審査の要旨
(Summary) )
Author(s)
吉岡, 孝
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 乙第1464号
Issue Date
2013-03-19
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/48077
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 吉 岡 孝(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1464 号 平成 25 年 3 月 19 日 学位規則第4条第 2 項該当 Plk1 is negatively regulated by RNF8 (主査)教授 森 脇 久 隆 (副査)教授 武 田 純 教授 清 島 眞理子 論 文 内 容 の 要 旨
RNF8(RING nuclear factor 8)は N 末端にリン酸化アミノ酸と結合する FHA(fork head-associated) ドメインと C 末端にリングフィンガー(RING-finger)ドメインをもつユビキチンリガーゼである。 RNF8 は間期の核に局在し,放射線などによる DNA 二本鎖切断修復時のチェックポイント機構におい て重要な機能を果たしている。DNA の 2 本鎖切断後に ATM が MDC1 をリン酸化し,そのリン酸化部位 に RNF8 が FHA 領域を介して結合する。その後,UBC13-RNF8 経路によって切断部位近傍のヒストン H2AX がユビキチン化を受け,BRCA1,P53BP1 などの修復タンパク質がリクルートされ,修復が行わ れる。 一方,RNF8 と同様に FHA ドメインとリングフィンガードメインの両方をもつタンパク質 CHFR は細 胞分裂において重要な役割を果たすことが知られている。そこで,RNF8 が細胞分裂を制御している か,特に細胞分裂タンパク質 Plk1 との関連について解析した。 【対象と方法】 siRNA の導入による RNF8 のノックダウンが HeLa 細胞における細胞増殖に及ぼす効果を細胞数の計 測により,細胞周期に及ぼす効果はフローサイトメトリーとライブイメージング解析により検討し た。RNF8 ノックダウンの Plk1 タンパク質量に対する影響をウエスタンブロッティング,フローサ イトメトリー,蛍光抗体法で確認した。Plk1 の細胞内局在についても,免疫蛍光抗体法により細胞 を染色後,蛍光顕微鏡(BIOREVO BZ-9000 microscope ,Keyence,Osaka)で観察した。また,蛍光タ ンパク質 GFP と RNF8 の融合タンパク質を HEK293T 細胞に過剰発現させて,Plk1 タンパク質の量を ウエスタンブロッティングにより検討した。種々の正常およびがん培養細胞における RNF8 タンパク 質と Plk1 タンパク質の発現量をウエスタンブロッティングにより比較検討した。 【結果】 HeLa 細胞への RNF8 siRNA の導入により RNF8 タンパク質の減少を確認した。これらの細胞では細胞 増殖が抑制された。RNF8 ノックダウンの細胞周期に及ぼす効果をフローサイトメトリーにより解析 すると,S 期と G2/M 期の細胞の蓄積がみられ,S 期と G2/M 期の両方で細胞周期が停止することが明 らかとなった。また,ライブイメージングにより,間期および細胞分裂期における細胞死が観察さ れた。RNF8 siRNA のトランスフェクション後 48 から 72 時間において RNF8 タンパク質が減少し, [ ]
Plk1 タンパク質が増加することが,ウエスタンブロッティングで明らかとなった。Plk1 タンパク質 の増加は,フローサイトメトリー及び蛍光抗体法でも確認された。また,GFP-RNF8 融合タンパク質 を HEK293T 細胞に過剰発現させると Plk1 タンパク質は減少した。種々のヒト正常細胞とがん細胞に おける RNF8 及び Plk1 タンパク質の発現量をウエスタンブロッティングで比較した。RNF8 タンパク 質は,調べた全ての正常細胞で高い発現が見られたが,多くのがん細胞では 発現が抑えられてい た。逆に Plk1 タンパク質は正常細胞で発現は低かったが,多くのがん細胞では高い発現がみられた。 【考察】 RNF8 と同様に FHA ドメインとリングフィンガードメインをもつタンパク質のほとんどは,細胞分裂 を制御することが知られている。RNF8 の機能は DNA 二本鎖切断修復時における修復タンパク質のリ クルートおよび細胞分裂制御であることは報告されていたが,細胞分裂制御におけるメカニズムは ほとんど明らかにされていなかった。今回の解析の結果,RNF8 により制御を受けるタンパク質の一 つが Plk1 であることが明らかとなった。Plk1は,細胞分裂期に中心体,動原体,中央体に局在し, 細胞分裂を制御している。RNF8 も細胞分裂期にはこれらに局在することが報告されており,今回の 結果を矛盾なく説明できると考えられる。また,多くのがん細胞では正常細胞に比べて RNF8 の発現 が抑制され,逆に Plk1 はがん細胞において発現亢進がみられた。RNF8 のがん細胞における発現抑 制が CHFR と同様にプロモーターのメチル化によって引き起こされるかについては現在のところ不 明であるが,この発現異常が発がん過程で重要な役割を果たす可能性が考えられる。 【結論】 RNF8 は S 期と G2/M 期の両方を制御しており,細胞分裂制御タンパク質 Plk1 を減少させることもそ の機能の一つであると考えられる。RNF8 タンパク質は多くのがん細胞で発現が抑えられており,逆 に Plk1 タンパク質は多くのがん細胞で発現の亢進がみられた。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 申請者 吉岡 孝は, ユビキチンリガーゼである RNF8 が細胞増殖制御能を有することを確認し, その作用点が S 期と G2/M 期の 2 相にあることを見出した。またこの機能は Plk1 蛋白を介すること を,siRNA を用いたノックダウン系において証明した。さらに各種の正常細胞ならびにがん細胞に おける発現解析から RNF8 はがん抑制性の機能を有する可能性を示唆した。これらの知見は細胞生物 学,分子病態学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Takashi Yoshioka, Masashi Kimura, Masanao Saio, Seiichi Era, Yukio Okano: Plk1 is negatively regulated by RNF8.