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広報ニュース第 29 号目次 第 26 回学術大会 特別講演 : 新しい運動生理学 スポーツケアを中心に 札幌医科大学医学部細胞生理学講座當瀬規嗣先生 3 シンポジウム柔道整復師大学認可までの道筋明治国際医療大学保健医療学部柔道整復学科林知也先生 5 4 年制の専門学校教育について - 国民の信頼と

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広報ニュース

大会テーマ

「地域のゲートキーパーとしての柔道整復師」

―安心・安全な柔道整復の提供のためにー

平成29 年 11 月 3 日(金・祝)・4 日(土)大 阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)で、第 26 回学術大会が開催された。 特別講演は、札幌医科大学医学部の當瀨規嗣先 生が、ご自分の運動体験から探求された運動生理 学の新しい考え方を解説していただいた。シンポ ジウム、教育研修セミナー、実践スポーツ医科学 セミナー、8 つの分科会フォ-ラムを掲載。口頭 による会員発表、ポスター発表なども行われ、2 日間で延べ2,114 名の参加があった。 3 日の特別講演の前に、接骨医学会賞の授賞式 が行われ、櫻井康司会長から堀口忠弘(福岡県) 会員へ賞状が授与された。

The

Japanese

Society

of

Judo

Therapy

(一社)日 本 柔 道 整 復 接 骨 医 学 会

-広 報 -

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広報ニュース第29号目次 ≪第 26 回学術大会≫ ○ 特別講演:新しい運動生理学―スポーツケアを中心に― 札幌医科大学医学部 細胞生理学講座 當瀬 規嗣 先生・・・ 3 ○ シンポジウム 柔道整復師大学認可までの道筋 明治国際医療大学 保健医療学部柔道整復学科 林 知也 先生・・・ 5 4年制の専門学校教育について -国民の信頼と期待に応えるには柔整教育は最低でも 4 年制の新時代へ- 公益社団法人大阪府柔道整復師会専門学校 徳山 健司 先生・・・ 7 柔道整復学博士課程の教育について 東京有明医療大学保健医療学部柔道整復学科 成瀬 秀夫 先生・・・ 8 帝京大学グループの教育について 帝京平成大学ヒューマンケア学部 柔道整復学科 樽本 修和 先生・・・10 ○ 教育研修セミナー 痛み治療に必要なトリガーポイントの知識 明治国際医療大学 鍼灸学部 はりきゅう学講座 伊藤 和憲 先生・・ 11 ○ 実践スポーツ医科学セミナー 肥満予防における運動と栄養の役割 摂南大学 スポーツ振興センター 藤林 真美 先生・・ 14 〇 分科会フォーラム 基礎医学研究分科会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 画像解析分科会 * * * * * * * * * * * * * * 17 柔整・接骨史分科会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 社会医療分科会 * * * * * * * * * * * * * * 19 スポーツ柔整分科会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 整復治療手技固定分科会 * * * * * * * * * * * * 21 物理療法分科会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 柔整鑑別診断分科会 * * * * * * * * * * * * * 23 〇編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

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□特別講演

新しい運動生理学ースポーツケアを中心にー

札幌医科大学医学部 細胞生理学講座 當瀨 規嗣 先生

私の専門は 循環生理学で 心臓が研究分 野なのですが、 趣味で運動を 始めまして自 分の体を使っ て実験を繰り 返してきまし た。 まず、走り出したらすぐ故障しまし て、何が原因なのかと思い研究を開始 しました。 乳酸はエネルギー物質 乳酸は 50 年ほど前から疲労物質と いわれていますが、実はエネルギー物 質であることが確認されています。筋 肉を使うと乳酸が出てきますが、筋肉 内に溜まってはいません。いつのまに か筋肉内に乳酸が溜まると信じられ ていました。 酸素を使わない嫌気的解糖では、グ ルコースを解糖して ATP→ピルビン酸 →乳酸(細胞外へ排出) 酸素を使う TCA サイクルには、両変 化的リン酸化機構があり、乳酸は TCA サイクルに取り込まれる。 筋肉の分類 Ⅰ型筋(遅筋)SO 線維 疲弊しにくい・ミオグロブリンが多 い・グリコーゲン含有は少ない ⅡB 型筋(速筋)FG 線維 疲労しやすい・ミオグロビンは少な い・グリコーゲン含有は多い ⅡA 型筋 上記の型の中間 運動を開始すると、FG 線維中のグル コースが分解されて乳酸が排出され、 その乳酸は SO 線維に取り込まれてエ ネルギー源となります。 痛みのしくみ 筋肉痛は、筋膜の神経に刺激がある と感じる痛みで、急性・遅発性などが あります。 遅発性筋肉痛は、運動後数時間から 数日後に現れます。 乳酸は運動停止後、数十分で消失し ますので、乳酸は発痛物質ではありま せん。

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血行不良は痛みを増悪します。 なぜ疲労は起こるのか‼ 疲労は ATP の枯渇によると実験結果 からもわかります。 筋収縮と ATP ストレッチの仕方 ランニングを始めて腸脛靭帯に痛 みがでるランナー膝になり、走れなく なりました。最初は何をしてよいか分 かりませんでしたが、大腿筋膜張筋の ストレッチをしたらランナー膝は治 ってしまいました。 硬くなった筋肉は血行が悪く、筋肉 の緊張は血管を圧迫します。 静的ストレッチの効果 ・筋肉の緊張を解除する ・血管への圧迫がとれる ・血流が改善する ・発痛、炎症物質が洗い流される ・筋肉痛を防止できる ・トレーニング直後にするのがお勧 め! 1 回の静的ストレッチ効果は 45 分 位持続する。 血行を改善することが大事 炎症でケガを治す 熱感は充血のため(発熱ではない) 熱は組織を壊さない 捻挫や打撲などは、冷やして痛みを 取ることは必要ですが、筋肉痛に関し ては、温めた方が良い。 冷却では、遅発性筋肉痛は改善しま せんが、温熱は、遅発性筋肉痛を抑制 する、という実験結果も出ています。 関取も取組後は風呂に入ります。シ ャワーでの温熱効果は少ない。 入浴は血行を改善します。

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トレーニングと栄養 疲労感は警告です。 長期疲労の仕組み これまでの学説は、脳の全体的な疲 労でしたが、サイトカインやセロトニ ンの増加も考えられます。 最近は、疲労因子(FF)というもの も発見され、動物実験でもヒトでも疲 労で FF が増えます。 これからの体調管理 ・トレーニングの疲労は速やかに取り 除く ・筋肉痛はストレッチと風呂で対処 ・睡眠、入浴などを積極的に

□シンポジウム

良質な柔道整復師の養成について、立場の異なる4名のシンポジストの講演 をいただき、その後に、会場の皆様と質疑応答を行いたいと長尾淳彦座長が述 べて、シンポジウムが開催された。

柔道整復師大学認可までの道筋

明治国際医療大学 保健医療学部柔道整復学科 林 知也 先生

明治国際医 療大学は、約 18年前、日 本で初めて柔 道整復学部の 設置申請を行 いました。当 時の経過を辿 りながら柔道 整復学部の設置に何が必要だったの かについて考えます。 1999年9月の設置認可申請で は、柔道整復の役割を踏まえ、医師と の適切な連携、禁忌・適応を明確に把 握、客観的なデータで記録する等、2 1世紀をみすえた柔道整復師の人材 育成を目的としました。特に4年制の 学部教育による臨床実習教育のさら なる充実、超高齢化社会、国民総スポ ーツ愛好家時代への対応、柔道整復の 技能をいかした地域包括医療への貢 献、柔道整復学の学問体系への貢献等 を設置が必要とする理由としました。

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大学設置・学校法人審議会から「柔 道整復学の教育は、専門分野における 業績を有する教授3名、助教授(※当 時)・講師5名の計8名の専任教員が 必要」という総合意見が出され、留意 事項として「柔道整復師として特有の 分野を明確に説明すること」と指摘さ れました。要するに、教授の数と学位 に関しては問題ないが、申請教員の研 究業績が整形外科領域の内容と重複 し、柔道整復特有の研究と判断しても らえず、柔道整復領域の授業を教授す るには適さないと判断されたのだと 思われます。大学設置・学校法人審議 会の意見としては,柔道整復師養成の 4年制の学部設置には柔道整復師で 博士の学位を持ち、かつ柔道整復領域 での研究業績を持つ教育研究者があ る程度の数、必要であるということだ と考えられます 当時は柔道整復師で博士を持つ方 が少なく,審議会に認めてもらえる柔 道整復の教員の基準をクリアーでき なかったため、4年制の学部設置を一 度断念し,基準が緩やかな3年制の短 期大学として、2002年4月に明治 鍼灸大学医療技術短期大学部柔道整 復学科を届け出開設しました。200 3年4月に大学設置基準変更に伴い、 2004年4月、明治鍼灸大学保健医 療学部柔道整復学科を届け出開設し ました。 国の基準が緩やかになりましたが、 今後も4年制大学での柔道整復師の 養成には柔道整復専門の教育研究者 が多く必要であることは変わりない と考えます。その養成には、柔道整復 大学院での教育が必要となります。現 在5校の大学院修士課程、3校で博士 課程があり、明治国際医療大学でも2 019年より大学院保健医療学研究 科柔道整復学専攻の設置を予定して います。 今後、各大学院での独自の教育研究 者養成に期待し、柔道整復領域の独自 の業績、難しいかもしれませんが特に 臨床分野での活発な研究を期待して います。 大学設置・学校法人審議会からの総合意見は 柔道整復学の教員資格のみ 教育の内容に関するものはなし 大学教育(当時の)と しては基準をクリヤー している? 申請ではっきりした柔道整復の大学学部・学科に足りないもの 柔道整復専門の教育研究者 教授-博士の学位 准教授-修士以上の学位 柔整領域(特に臨床領域)での研究業績 教育研究者に必要なもの + 柔道整復領域が専門の教育研究者養成に必要なもの ・修士,博士の養成 柔道整復の大学院での養成が必要 現在,5校の大学院修士課程 3校の大学院博士課程 ・柔道整復領域(特に臨床分野)で研究業績が必要 今後,各大学院での独自の視点での教育研究者養成に期待 明治国際医療大学でも2019年度より 大学院保健医療学研究科柔道整復学専攻を 設置予定 柔道整復領域独自(難しい・・・)の研究が必要となる。

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4年制の専門学校教育について

―国民の信頼と期待に応えるには

柔整教育は最低でも4年制の新時代へー

(公社)大阪府柔道整復師会 徳山 健司先生

大阪府柔道整 復師会は、あえて 4年制の専門学 校を立ち上げま した。昨年の3月 31日、柔道整復 養成施設指定規 則が改正され、柔道整復師による療養 費の不正請求、詐欺事件等が横行、柔 道整復師の資質低下、モラルの低下が 著しくその事が改正の背景と考えて います。国民・保険者の信頼回復、医 療人としての自覚を認識させる学校 教育が必要と考えています。 88単位から95単位以上、最低履 修単位2750時間以上、臨床実習が 1単位45時間から4単位180時 間に変更されました。本校では、10 年前から総単位174単位、3283 時間で教育をおこなっています。追加 カリキュラムとして介護、スポーツ分 野への貢献、社会保障制度、倫理等、 開業できる医療人としての柔道整復 師としてのモラル・倫理観が必要です。 現場の研修ばかりで、学士に相当す る単位が不足していると思われます が、本校は文科省から直接大学院に進 学できる「高度専門士」という専門医 療人としての称号を得ている全国唯 一の専門学校です。 大学は、学問を修める学士育成、専 門学校は、専門職業人、職人を育成す る。適正な療養費の請求をするための 教育も取り入れています。 論文執筆のための指導を行い、接骨 医学会、大阪学術大会等に毎回論文発 表を行い、卒業生の中には、海外の雑 誌に掲載、教員も、国際的なジャーナ ルに原著論文を投稿、大学での研究は 大切ですが、柔道整復師の伝統技術を 継承するため、4年制の専門学校が必 要と考えます。

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本校では、考える能力の育成、国民 の信頼を取り戻すためには4年制の 教育が絶対条件であり、国民の信頼を 喪失しつつある業界では、学校教育で の質の向上、倫理観を追求するのは当 然であり、伝統医療を継承するために は必須条件、10年前に多くの専門学 校が開設しました。当校は、柔道整復 師を養成する専門学校のファースト ペンギンでいきたいと思います。

柔道整復学博士課程の教育について

東京有明医療大学保健医療学部柔道整復学科

成瀬 秀夫 先生

1956年、 花田学園 (現:日本鍼灸 理療専門学校、 現:日本柔道 整復専門学 校)は創立さ れた。200 9年、豊かな 人間性と高い 倫理観を兼ねそなえ、臨床、研究を 通じて医療の国際的な発展に貢献 できることのできる人材を育成す ることを目的として、保健医療学部 (鍼灸学科、柔道整復学科)、看護学 部(看護学科)からなる学校法人花 田学園・東京有明医療大学が設置さ れた。 この1期生が卒業し、大学として の完成年度を迎える2013年に 大学院保健医療学研究科修士課程 (鍼灸学分野、柔道整復学分野)、 看護学研究科を設置し、さらに、高 等研究機関を目指す大学の使命と して2015年には博士後期課程 が設置された。 教育目標として、大学では①教養 科目の修得(教養を身につける)、 ②柔道整復師に必要十分な知識・技 能の修得、研究技法の修得、修士課 程(博士前期課程)では①高度な臨 床力の修得、②研究の素養を身につ けること、博士課程(博士後期課程) においては、研究に特化した教育に

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よって、柔道整復師に有益な研究成 果を実現し、高度な研究手法を修得 して柔道整復業界の発展に貢献で きる人材を育成することが、各々あ げられる。 博士後期課程の教育カリキュラ ムは共通科目と特別研究からなり、 共通科目として保健医療学国際関 係特講が1年前期・2単位、保健医 療学研究特講が1年前期・2単位、 特別研究として柔道整復学特別研 究1が1年通年・4単位、柔道整復 学特別研究2が2年通年・4単位、 柔道整復学特別研究3が3年通 年・4単位、以上共通科目4単位、 特別研究12単位の合計16単位 を修得し、かつ、必要な研究指導を 受けた上、博士論文の審査及び最終 試験に合格することにより博士(柔 道整復学)の学位が授与される。 保健医療学国際関係特講では、国 際的な学会発表や欧米学術誌への 投稿の知識、英文論文の書き方、柔 道整復術の国際的普及活動の現 状・今後の展望などについて学修し、 保健医療学研究特講では、最先端の 形態学、免疫学、呼吸循環機能、神 経科学の研究法などを学修する。 1年次に行う特別研究1では、国 内外の専門誌の文献検索、研究テー マの設定、研究方法の立案・実施、 倫理審査委員会申請書類の作成な ど、特別研究2では、研究テーマ・ 研究計画に基づく実験・調査、実験 結果のまとめ、解析・考察などを行 う。特別研究3は最終年度にあたり、 ここでは研究の論理、実証性の総点 検、博士論文のテーマ、題目の決定、 論文構成目次の作成、国内外の専門 誌への投稿を経て博士論文を完成 させる。その後、論文審査・最終試 験に合格して博士(柔道整復学)の 学位が授与される。 平成30年3月修了予定の1期 生は、現在、「柔道選手における肘 関節損傷に関する研究」として、柔 道選手の肘関節損傷の特徴、超音波 画像装置による柔道選手の肘関節 部の特徴の把握、危険因子の探索を 行い、柔道選手の肘関節損傷の予防 に貢献し、柔道整復の臨床現場に有 用な情報を提供するための研究を 鋭意おこなっています。 全日本学生柔道連盟に加盟する 大学柔道部(18大学)の柔道選手 の協力の下、アンケートによる実態 調査を実施し、さらに、肘関節損傷 の危険因子を探索するため若年柔 道選手を対象に前向き研究をおこ なっている。既に、1・2・3年次 に国内外で発表している。研究手法 の確立により、今後他の部位の研究 にも応用が可能になるものと考え られる。 柔道整復学博士課程の研究が柔 道整復師に有用な情報提供となり、 また、修了した者が柔道整復業界に 貢献できる人材になるものと考え ている。

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帝京大学グループの教育について

平成帝京大学ヒューマンケア学部柔道整復学科

樽本 修和 先生

平成16年 に柔道整復学 科を設立、現在 帝京大学グル ープでは4大 学、5学部、6 学科、学生数は 約1000名、 多くの柔道整復師を輩出、科学的根拠 に基づいた医学的知識と、先進的技術 の獲得を目指し、各キャンパスが特徴 ある科目を展開するためのカリキュ ラムを編成しています。 帝京短期大学ライフケア学科では、 人格を磨き、社会に役立つ「実学」を 重視する教育理念のもと幅広い知識、 診る能力、治療技術、コミュニケーシ ョン能力、マナーと接遇、OSCEの 実施。 帝京平成大学では、知識・技術・心 のこもった柔道整復師を育成するた め幅広い基礎医学をもとにした教育 者・研究者の育成を帝京大学グループ のネットワークをいかして、シミュレ ーション実技で実践的な能力をつけ 接骨院、病院でスキルアップを目指し ています。 実学を基礎に治せる 柔道整復師として必要な能力 • 幅広い知識 (基礎医学=解剖学・生理学・病理学…) • 診る能力 (問診・視診・触診・画像診断) • 治療技術 (整復法・固定法・機能訓練) • コミュニュケーション能力 (インフォームド・コン セント) • マナーと接遇 • OSCEの実施 1 健康医療スポーツ学部では、建学の 精神である実学、病態把握能力、実践 力、コミュニケーション能力に優れた 卒後すぐに活躍できる柔道整復師の 育成を行っています。 帝京大学医療学部柔道整復学科で は、多彩なコースによる複数ライセン スの取得、第1,2付属接骨院による 臨床実習の充実、医学部を利用した解 剖実習の充実、介護分野にも力を入れ、 研究活動、地域連携、産学連携を目指 しています。 学生に対するアンケート調査から の教育対応(千葉キャンパスで実施) でみると、大学の使命は、優秀な人材 を柔道整復業界に供給する、一方柔道 整復師を希望する学生は80%、2 0%は柔道整復師以外の職種を希望し ています。いかに希望していない学生 を柔道整復師に育てていくかが今後 の課題。 根拠が明確でない治療結果を科学 的に証明し、効率的で効果的な治療の

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論文、基礎医学で得た情報を臨床へフ ィードバックさせる臨床ことが大切。 企業と共同して「高齢者の転倒予防に 対するバランス評価、訓練機器の開発」 という産学共同開発もおこなってい ます。 総合大学の特徴として、他学部との 交流、連携を活かし各学科との知識、 技術の教育交流を行い幅広い医療観 を吸収させることができます。他分野 の知識人の協力のもと、教育を向上さ せ、臨床技術の研鑽を行い、臨床経験 豊富な教員が必要で、学生との信頼性 が重要、教育と研究が一連化するには、 教員は教育目標の柱をたて、問題点の 中から研究課題を探すことが教育者 としての真の研究であると考えます。 柔道整復学の専門性を立証する科学 的根拠を確立するには、大学研究機関 で施術の有用性、妥当性を科学的手法 で研究、教員、臨床家が多くの研究論 文を提出することで真の柔道整復の 専門性のある人材を輩出することが 本大学グループの今後の展望です。

□教育研修セミナー

痛み治療に必要なトリガーポイントの知識

明治国際医療大学 鍼灸学部 はりきゅう学講座

伊藤 和憲 先生

伊 藤 先 生 は、まず痛み に つ い て 原 因 あ り き の 考 え 方 が 間 違 っ て い る と述べ、痛み の 臨 床 を 行 う に は 検 査 では把握することが難しい筋肉の痛 みを理解することが必要だと述べた。 急性痛ではその原因を特定しやすい が、慢性痛では痛みの原因が存在しな い場合が多いとも述べた。 痛みで病院に通院している人は、割 合からすると少ない。内科疾患は病院 が多くて、痛みの治療では、鍼灸院や 接骨院が多くなっている。我々は痛み の最前線にいるわけである。

痛みの定義

痛みの定義とは「組織の実質ないし 潜在的な傷害と関連した、あるいはこ のような傷害と関連して述べられる 不快な感覚的・情動的体験である!」 (1979 年,IASP 定義)となっている。 急性痛と慢性痛 ・急性痛(警告信号として痛み)外傷 などに伴う症状 ・慢性痛(警告信号としての意味は少 ない)痛み自身が疾患、情動が多分 に関与 慢性痛とは、3~6 か月を超えて継続 する疼痛で、痛みの原因が除去された と思われる後も残存する痛み。リウマ チのように原因の治癒自体が困難で

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持続する痛み。 痛みを治療するには急性か慢性を 区別し、急性の治療では原因の鑑別、 慢性痛では、痛みを止めることが必要。 慢性化の原因には筋肉の痛みが多い。 筋肉の痛みはなぜ問題となるのか 筋肉痛は、筋肉の一部が損傷するこ とで生じるが、脳はその筋肉全体やそ れ以外の部位の痛みとして理解する ことがある。そのため、痛いと感じる ところが原因の場合は約 3 割で、残り の 7 割は痛みの場所とその原因が違っ ている。

トリガーポイントとは

D.シモンズ博士がトリガーポイン トを提唱し、トリガーポイントの父と 言われている。 トリガーポイントにはたくさんの 特徴があり、特に索状硬結が触知しや すい。また筋肉の圧痛ポイントもわか りやすいが、索状硬結と押しての痛み の再現が重要となる。 トリガーポイントは筋肉に関する 痛みに有効であるが、治療の前に痛み の種類の確認が必要となる。 トリガーポイントが存在している筋 肉の特徴 筋肉は短縮すると疼痛が出現し、伸 展されると軽減する性質を持つ。自動 運動や可動域測定で確定する方法が ある。その後の触診で硬結を探し、筋 線維を 2 時あるいは 10 時方向から押 し痛みの再現を測る。 治療としては、鍼や dry needling が効果的であることが確認されてい るが、手技を用いてもよい。 トリガーポイントは、姿勢筋(抗重 力筋)と相動筋(運動筋)のなかでは 姿勢筋に出現しやすい。 慢性的な筋痛とは? ・筋・筋膜疼痛症候群 トリガーポイント ・線維筋痛症 広範囲に及ぶ筋痛 脊髄・脳でシナプスは痛みを記憶する。

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トリガーポイントは、末梢レベルで の痛みである。脊髄レベルの治療では、 デルマトームなどを利用して傷害さ れている部位と同じ脊髄レベルの筋 肉に強い刺激を与え、ゲートコントロ ールをおこなう。しかし持続性はない。 脳性鎮痛では、下行性疼痛抑制系の 賦活をおこなう。四肢への置鍼・鍼通 電などがあるが、柔整では SSP などが 有効と考える。 慢性痛患者の治療は原因の治療だ けでは難しい 前頭前野のブロックを外すことが 必要で、活性化させるためには褒める ことが重要となる。 脳レベルでの痛みの記憶に関して は、認知行動療法、運動療法などが必 要となる。 慢性痛の予防や治療としては、感 覚・情動・認知の 3 つが重要となる。

患者力を高める

身体は人それぞれ異なる。どのよう な原因が症状を悪化・軽減させるのか を知ることが大切。治療院だけでは痛 みをコントロールすることはできな いので、家庭でできることを指導する ことが大事。 患者力と治療力で慢性疾患に立ち向 かう 患者と一緒になって病気に立ち向 かっていくことが、これからは必要と なる。

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□実践スポーツ医科学セミナー

肥満予防における運動と栄養の役割

摂南大学 スポーツ振興センター 藤林 真美 先生

近年、男性 の肥満が増 えており、 女性では若 年・中年層 の痩せが増 えていることが特徴的である。皆さん の日頃の臨床に繋がる内容について、 運動生理学を専門としている立場か らお話させていただきたい。 「太る」ということは、見た目に格 好良くないことに止まらず、「生活習 慣病を惹起しやすい」「運動器疾患に 影響することがある」といった、身体 に良からぬ変化をもたらすことが少 なくない。 サルコペニアとは、加齢や疾患によ って骨格筋量が減少し身体機能の低 下が起こった状態であるが、近年「サ ルコペニア肥満」が話題となっており、 これは骨格筋量が減った上に、脂肪量 が増えた状態を指す。この状態の人が 身体を動かさない生活を続けている と筋肉量はさらに減少、そうなると動 くのが益々億劫になり、余ったエネル ギーが脂肪としてたまる。このような 人は、血圧、中性脂肪値、血糖値全て においてサルコペニアや肥満のみの 人よりも数値が格段に高いという研 究結果がある。 肥満対策として体重を落とす場合 でも、骨格筋量を維持することが重要 である。基礎代謝は、骨格筋・肝臓・ 脳でほぼ2割ずつ、合計6割を消費し ている。基礎代謝量は一般的に中学生 頃ピークを迎えるが、その後は加齢に 伴う低下によって脂肪量が1年に1 kg 程度増える計算になる。そこで、基 礎代謝を上げるために骨格筋量を保 つことが重要になってくる。筋肉は何 歳になっても増やすことができる。 ある調査の結果、田舎の人の BMI は 都会の人に比べて高い傾向が見られ、 その理由として車移動などが多く、身 体活動量が少なくなったためと考え られている。性別にみると、女性の BMI は男性と比較して低い傾向にある。し かしこれは健康的な結果とは言い難 く、女性の体重は確かに少ないが、体 組成の観点から見ると骨格筋量は減 り、体脂肪量はむしろ増えているとい う、由々しき状態にある。

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また、驚くことに、日本人の摂取エ ネルギーは、終戦直後よりも現代の方 が少なくなっている。しかも、三大栄 養素(タンパク質、脂質、糖質)のう ち、脂質の摂取量が激増している。一 日の総エネルギー摂取量の内訳とし て、脂質は 20~25%程度であることが 望ましい。 有酸素運動をすると、細胞内で糖輸 送担体(Glucose transporter-4: GLUT4)という、言わば糖が細胞内へ 入るための門(普段は細胞の内側に存 在している)が細胞膜へ移動し、ブド ウ糖を細胞内に取り込むシステムが 活性化する。細胞膜に移動した GLUT4 は 48 時間そのまま居続ける事がわか っている。ということは、運動をする と「ブドウ糖の取り込みが活性化され た状態=エネルギーをたくさん燃焼 させる状態」が長く続く。例えば、食 品を食べてエネルギーを摂取し、その 後、同じだけのエネルギー量を運動に より消費した場合、引き算の結果とし てプラスマイナスゼロではなく、細胞 内ではエネルギーを消費しやすい状 態が続く事になる。食事のみによるダ イエットよりも、身体活動量を増やす 方が肥満対策として有効な所以であ る。 自律神経と体組成・血液組成につい て、中年女性を対象に調べた研究で、 自律神経が活発に働く人の BMI や体脂 肪率が低いという結果が出ている。総 コレステロール値、LDL コレステロー ル値、中性脂肪値も自律神経活動が活 発な人の方が低かった。また、自律神 経の働きは、運動を継続することで活 発になるというデータもある。 近年、脂肪細胞から多くの生理活性 物質が分泌され、身体に様々な信号を 送っていることがわかってきた。 日本人は、世界的に見て睡眠時間が 著しく少ない。睡眠不足になると、食 欲亢進、脂肪蓄積、交感神経の緊張、 血糖値上昇などの生理作用が起こる。 これらは生活習慣病の元になるもの で、実際に生活習慣病罹患者は、無呼 吸症候群や不眠症の人が多い。睡眠不 足や睡眠障害は肥満に繋がり、様々な 疾患の原因となる。 肥満予防の一つとして、短時間にで きる効率的な運動方法「心拍数を上げ る→少し下げる」ことを繰り返す、イ ンターバルトレーニングがある。この

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方法は、きつい運動をして筋肉中で乳 酸の産生量を増やした後、運動強度を 下げ、その乳酸を血流により速く循環 させる。乳酸は過去、疲労物質と言わ れてきたが、近年、遅筋線維のエネル ギー源となることがわかっている。イ ンターバルトレーニングは、量や一定 の強度にこだわらず、個人差に合わせ て強度を交互に変化させることがポ イントである。

□分科会フォーラム

基礎医学研究分科会

テーマ:骨癒合と痛みの科学―基礎から臨床へ―

東京有明医療大学 保健医療学部柔道整復学科 成瀬秀夫会員が演者、座長の 森ノ宮医療大学 川畑浩久会員を紹介し、フォーラムは開催された。 1.骨折治癒過程における組織学的動 態~骨折はなぜ治るのか~ 昭和大学大学院歯学研究科 口腔解剖学講座 井上 知 会員 骨折の治癒過程について解説し、研 究結果を発表した。 2.骨折の痛みを科学する~局所性圧 痛はなぜ生じるのか~ 名古屋大学大学院 組織学 時實 恭平 会員 愛知医科大学 解剖学講座 安井 正佐也 会員 骨折にみられる局所性圧痛のメカ ニズムについて考察した。

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3.骨折の圧痛閾値と治癒過程の相関 性について ~限局性圧痛の変化から治癒過程を 予測する~ 米田医院 中村 宜之 会員 臨床的立場から患者の疼痛閾値、変 化をレントゲン画像、エコー画像の相 関性を解析した。 最後に、3人の演者が登壇して、フ ロアーとの質疑応答をおこなった。

画像解析分科会

テーマ:超音波画像解析の応用と展開

画像解析分科会では、超音波骨観察 装置SRI による橈骨骨折化骨観察と 題して井澤会員 超音波スクリーニングの応用と展 望と題して高橋会員 頸椎捻挫の画像解析評価と整復と 題して志保井会員 画像解析分科委員会の展望と展開 と題して櫻井会員がそれぞれ発表さ れた。 超音波画像解析に関する学会認定 についても議論の対象となった。

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柔整・接骨史分科会

テーマ:適塾と近代日本を牽引した人々

今回のフォーラムが大阪で開催さ れるということで、大阪に所縁のある 緒方洪庵が開いた適塾に関して4名 の会員発表があった。 冒頭、福田格分科会委員から以下の 説明があった。適塾は洪庵 29 歳(天 保 9 年)で開き、蘭学塾であった。こ の塾からは、「大村益次郎・福沢諭吉・ 橋本佐内・長与専斎」などの人材が育 っていった。今回は緒方洪庵と適塾を 通して、適塾が生まれた経緯、緒方洪 庵の崇高な理念、多くの傑出した人材 が世に出たのかの検証をすることと する。 乾和彦会員は、緒方洪庵の師である 橋本宗吉についての研究報告をおこ なった。橋本宗吉は、我々柔道整復師 の祖である各務文献の師匠でもあり、 絲漢堂という蘭学塾を創設。東の宇田 川玄真、西の橋本宗吉として日本を二 分する蘭学者であった。各務文献は、 50 歳を過ぎてから「解体新書」と出会 い、医所を畳んで 16 歳も年下の橋本 宗吉の門人となり、現代の柔道整復師 へと繋がっている。 大河原晃会員は、適塾門下生の長与 専斎を通して日本の近代化を考察し た。専斎は父中庵と 3 歳で死別、祖父 の俊達が親代わりで、大村藩の五教館 から適塾へ入門。福沢諭吉の後の塾頭 となり、その後長崎へ渡り海軍伝習所 医官のポンぺの指導の下、洋式病院で 伝染病や医療の教えを受けた。明治 5 年に外遊し、ドイツで衛生行政を学び、 「衛生」という言葉を採用した。 適塾を医学塾とみるか語学塾とみ るかという問題では、二者択一に判断 すべきではないと考える。明治維新で 急に世の中が変わったと考えがちで あるが、江戸時代の後半から庶民の間 では西洋文化に出会い、変化の土壌が 醸し出されていたのではないかと考 える。 高場彩会員は、緒方洪庵 40 歳の時 に出版された「病学通論」を通して彼 の医学に対する思いについて触れた。 「病学通論」は、洪庵の師である宇 田川玄真の発案で、病理学の医学書を 緒方洪庵と青木周弼の二人に翻訳さ せ、まとめようとしていて亡くなり、 その遺稿を洪庵に託して完成された ものである。洪庵がこの書を出版した 意図は、学者がこの学問を理解して世 の苦しみから人民を救うための一助 となり、師匠の恩に報いたいとの思い からであった。病因の理解から疾病を 治療することが、多くの人民を救うこ とになるという彼の思いであった。 福田格会員は、「扶氏医戒之略」か ら医療人の倫理観を読むと題して解 説した。 緒方洪庵は、ベルリン大学教授だっ たフーヘランドが執筆した

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「Enchiridion Medicum」の蘭訳書を 愛読していた。約 20 年かけて完訳し たのが「扶氏経験遺訓」で 30 巻に及 ぶ。その巻末に載せた「医戒之略十二 章」で医師への戒めと心構えが示され、 現代も医学倫理教育に繁用されてい る。洪庵が医師として取り組んだもの に種痘がある。洪庵たちの努力が実を 結び、除痘館設置が公認され種痘普及 となった。 「扶氏医戒之略」には、医業につく 人は「人の為に生き、己の為に生きる べきではない、人の命を守る為にのみ 医はある」などの医に関する倫理が記 載されている。

社会医療分科会

テーマ:2025 年問題へ向けての医療・介護の取組

―地域包括ケアと個人情報の取扱い―

社会医療分科会では、「個人情報保 護法」改定と医療従事者の認識と題し て前田会員が、地域包括ケアシステム で何が変わるのかと題して三谷会員 がそれぞれ発表された。 地域の中での柔整師の活動は、知ら れているようで知られていないとい う問題があり、伝える力、伝える作業 が大切であるという事を実践の上か らも力説された。2025年問題、5 人に1人が75歳以上、3人に1人が 65歳以上になると予測の中で、次世 代医療基盤法が可決している。「要配 慮個人情報」の取り扱いの認識も柔整 師に必要な時代となる。

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スポーツ柔整分科会

Exercise is Medicine ~ハイブリッド治療の必要性~

近年、医療とトレーニングの境界が なくなってきた。実際に症状が運動す ることで改善することもある。自動運 動で ROM 制限があるものはモーターコ ントロールに問題がある。クライアン トと接するには、まず評価が大事。分 類として ・FN(Functional&Non-painful) ・FP(Functional&painful) ・DN(Dysfunctional&Non-painful) ・DP(Dysfunctional&painful) 慢性的な疼痛は DN が原因と言われ ている。 その DN には

・SMCD(Stability or motor control dysfunction:安定性/モーターコン トロール機能不全)

・TED(Tissue extensubility

dysfunction:組織の伸張性機能不 全)

・JMD(Joint mobility dysfunction: 関節の可動域機能不全)がある。 治療家とトレーナーが連携して治 療していければ、より良いものがで きると考えている。

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整復治療手技固定分科会

テーマ:徒手整復技術~脱臼の整復法~

了徳寺大学健康科学部整復医療・トレーナー学科山本清会員が、安心安全な 柔道整復師の提供のために4名の脱臼のスペシャリストに講演をしてもらうと 述べて、分科会フォーラムが開催された。

1.FraDis magnet model と FraDis Video を使った教育法の開発 ~骨模型シミュレーターを利用し脱 臼整復手技の要点を修得する~ (株)フラディス 田邊 美彦 会員・高瀬 周平 会員 森ノ宮医療学園専門学校 小笠原 孝嗣 会員 柔道整復師が外傷を扱う機会が少 なくなり、整復能力を向上させるため の教育法を、骨模型、マグネットを利 用して整復課程における整復手技と 骨の動きを3次元的にイメージして、 整復手技の要点を解りやすく伝え、反 復練習を行うことで、整復手技を修得 できる。卒前教育のみならず、臨床現 場にも役立つ整復手技の伝承に利用 できる。 2.脱臼整復教育の一考察 ~フィードバックと条件制御を用 いた肩関節脱臼整復法~ (公社)香川県柔道整復師会 浪尾 敬一 会員 全国学校協会の柔道整復学理論編 (改定第5版)には、肩関節脱臼整復法 にはコッヘル法、ヒポクラテス法、踵 骨法の記載がある。教育現場では、定 められた順序に従って、各段階を学生 に伝え学習している。シーケンス制御 の中の順序制御であると誤解してい る。しかし臨床現場では、手順通りで はなく条件制御を行って、決して順序 制御で整復操作を行っていない。教科 書の内容を学生らに享受する場合、重 要な意味を持っている行間を教える ことが肝要。教科書に記載されていな い脱臼整復操作を条件制御としてビ デオを交えて紹介した。 3.古い時代の脱臼整復法とその工夫 ~江戸の看護書「病家須知」が示す 現代医療へのヒント~ (公社)宮城県柔道整復師会 横田 良介 会員 江戸の看護書「病家須知」は、庶民 に養生を説いた書として知られ、内容、

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実用性は貝原益軒の「養生訓」より完 成度が高いと評され、脱臼整復法も学 校の授業、教科書を学ぶのに加え、自 らの創意工夫が必要で。整復操作のヒ ントを古典を引用して解説した。 4.肩関節前方脱臼に対する痛みの少 ない整復法~当院で施術している整 復法の紹介~ 疋田整骨院 疋田 拓也 会員 肩関節烏口下脱臼に対して、痛みの 少ない安全、安心な施術法を紹介。整 復操作に強い牽引力を必要とせず、過 剰な整復操作を行わないため、二次的 損傷のリスクも少なく、女性柔道整復 師でも容易に可能であり、推奨される 整復法のビデオを交えて紹介した。 最後に、4名の演者に登壇してもら い、活発な質疑応答がなされた。

物理療法分科会

テーマ:物理療法を考える

一部演者交代をする中で、柔道整復 師が施術に使う物理療法機器の生体 内で何をもたらしていくのかという ことを議論した。 明日から使える物理療法と題して、 宇都宮会員から交代した吉田会員。 日常診療における超短波機器の使 用についてと題して藤原会員。 微弱電流(マイクロカレント)療法と 題して鈴木会員が、それぞれの機器の 特性を解説し日常診療に当たられて いる現状報告があった。

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柔整鑑別診断分科会

テーマ:頚肩部のよくある症例の鑑別と施術

4名の会員が施術所でおこなって いる手技・実技について発表があった。 はじめに荻澤俊彦会員から、鑑別診断 について、鑑別とは『見分ける事』で あり、診断とは『診察・検査をおこな った上で、病気の有無や病状などを判 断し、必要な処置を決めること』であ ると述べた。手技や後療法などに違い はあっても、病態・症状の診断は≒で なければならない。また評価法などに ついても発表が なされた。 田邊哲也会員 は「ストレート ネックの施術と 効果」で発表。 壇上でモデルを 使って実際の方 法を披露し、効 果があることをレントゲン検査で確 認したことも報告した。 しかし、効果があっても症状に反映し ないこともあり、さらなる研究が必要 と述べた。 磯英治会員は「野球肩の鑑別と治療 のポイント」。問診ではどのフェーズ で痛みが出るのかなどを確認し、視 診・触診、フォームのチェックをして、 正しいフォーム ではなく、個人に あったフォーム に修正する。 野球肩の種類 として、リトルリ ーグショルダー、 腱板損傷・棘上筋 損傷などをあげ、治療方針は、まず安 静と肩甲骨の動きを中心とした筋肉 の連動性を見ていく。やはり早期発見、 早期の投球禁止、定期的に状態確認で きる環境を整備していくことが必要 と述べた。 荻澤俊彦会員 は「肩部いわゆる 肩関節周囲炎に おける鑑別と施 術」。鑑別診断の ために腱板機能 の説明を行い、胸 郭出口症候群、肩 鎖関節炎などとの鑑別は必要。肩関節 周囲炎は病態部位の状態に応じて治 療は異なるため、その確認が重要とな る。モデルを使って検査項目の実際を 説明した。

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評価表に愁訴、理学所見、評価、対 応を載せて、総合的に判断しやすいよ うに提示。その後、棒を使って肩関節 周囲炎の体操法を示した。 銭田幸博会員は 「肩こりと頭痛を 科学する」。肩こり は、女性では 1 位の 有訴率で、男性では 2位である。緊張→ 血行不良→酸欠→ 発痛物質の産生の悪循環。 慢性頭痛の分類 他の病気がなく、繰り返し起こる、 いわゆる「頭痛持ち」の頭痛で、頭痛 全体の 8 割はこのタイプ。頭痛自体が 治療の対象となる。 〇緊張型頭痛(6 割が女性) 〇片頭痛(8 割が女性) 〇群発頭痛 それぞれの頭痛について、症例を挙 げながら説明をおこなった。

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編集後記 桜色に染まった今年の桜の季節も終わり、(一社)日本柔道整復接骨医学会に所 属している会員の皆様も、業務、公務、会務と日々を忙しく過ごしていると思 います。近隣の個人契約チェーン整骨院のお知らせに「4月19日は、全体研 修のため休診します」と記載がありました。多分、技術講習会を開催するお知 らせだと思います。 どんな業種でも技術の向上は、必要条件です。我々が業としている医療にお いては、「患者さんに安価で、肉体的精神的に負担のない、早期に社会復帰を目 指す安全・安心な医療を提供する」ことが最低かつ必要なことだと思います。 当会でも年に1回の学術大会、2~3回の各地での研修会、8つの分科会が行 う研修会を開催して、最新のエビデンスに裏打ちされた研修を行っています。 第26回の柔道整復師国家試験も終了し、3,690 名の柔道整復師が誕生しました。 医療資源としての柔道整復師を医療、介護の現場で活用してもらうには、社会 的モラルのある生涯学習を行う柔道整復師を増やすことが肝要だと思います。 会員が所属している医療施設、介護施設、地区、都道府県、各ブロック、専 門学校、大学などでも各種の研修会、講習会が開催されていると思います。当 会もHP、Facebook、Twitter などで情報提供をしています。「m3.com 学会研 究会」に申し込まれると医療の最新情報が提供されます。少しでも多くの医療 関係職種の方が、当会に所属されることを期待します。 広報部副委員長 徳永正人 編集:一般社団法人 日本柔道整復接骨医学会 広報委員会 委員長 長谷川 寿 Hisashi HASEGAWA 副委員長 德永 正人 Masato TOKUNAGA 副委員長 田中 達也 Tatsuya TANAKA 副委員長 阪本 仁司 Hitoshi SAKAMOTO -広報-広報ニュース第 29 号 2018年 4月 25 日 発行 発行者 (一社) 日 本 柔 道 整 復 接 骨 医 学 会 〒110-0014 東京都台東区北上野 1-8-5 ビリーフ上野 6F TEL 03-5830-3025. FAX 03-5830-3026 発行責任者 櫻井 康司 編集責任者 安田 剛 非売品 禁無断転 載非

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(一社)日 本 柔 道 整 復 接 骨 医 学 会

〒110-0014 東京都台東区北上野 1-8-5 ビリーフ上野6F

TEL 03-5830-3025. FAX 03-5830-3026 URL: http://www.jsjt.jp/

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