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新しい病院食の概念:栄養成分別コントロール食

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Academic year: 2021

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外科と代謝・栄養 55巻 2号 2021年 4月- 78 -. Ⅰ はじめに 近年,病院など医療機関に勤務する管理栄養士 が,入院患者の低栄養状態の早期発見,早期治療を 目指して,栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)の中心的役割を担い,ベッドサイドで活躍 している. ベッドサイド(NST活動含む)で管理栄養士に 求められる重要な業務は「栄養管理計画の立案」で あり,栄養補給法(Nutritional support method)の 選択と投与栄養目標量の設定が行われる.栄養補給 法の種類は大きく分類して経口的に栄養素を補給す る経口栄養法(Oral nutrition),経腸栄養法(Enter- al nutrition),経静脈栄養法(Parenteral nutrition) があり,投与方法は多様化している.この栄養補給 方法の選択では,食事だけで投与栄養目標量を充足 できるか,あるいは栄養補助食品(Oral  Nutri- tion  Supplementation:ONS)を加えるか,経腸栄 養法や経静脈栄養法を併用するかなどについても検 討し,栄養管理計画が立案される. すなわち,管理栄養士は,静脈栄養管理,経腸栄. 養管理を中心とした急性期栄養管理はもちろんのこ と,その後に続く慢性期栄養管理面で重要となる適 切な治療食提供を目的とした食事療養関連業務(病 院給食の提供)にも精通していることが求められ る.特に,食事療養関連業務の重要な点は,入院時 の栄養指導や病棟訪問時に必要となる情報であるば かりではなく,患者が退院後に直面する日常生活 (特に食生活)における各種問題点に対して,具体 的にサポートできる情報を持ち合わせている点であ る.特に入院中に提供された治療食そのものは栄養 指導の媒体となることから,外科治療においても患 者給食(食事提供)がもつ意義は非常に大きい.. Ⅱ 病院給食とは 病院給食は,医師が発行する食事箋(オーダー) に基づいて提供され,入院患者を対象に疾患の治 療,健康の早期回復を目的に医療の一環として行わ れるものである.一般家庭で提供される食事とは異 なり,患者個々の病状や活動量(術後リハビリを含 む)に応じてエネルギー量や各種栄養成分(たんぱ く質,脂質,炭水化物,ビタミン,ミネラルなど) が各種学会の治療ガイドラインなどに基づき設定さ れ,加えて咀嚼・嚥下機能や体質(食物アレルギー. 「外科治療における患者給食の意義」. 新しい病院食の概念:栄養成分別コントロール食. 幣 憲一郎. 外科治療における管理栄養士の役割は,静脈栄養管理,経腸栄養管理を中心とした急性期栄 養管理はもちろんのこと,その後に続く慢性期栄養管理面で重要となる適切な治療食提供など を含めた栄養管理計画の立案までを担当する.従来は「院内約束食事箋(栄養食事基準)」を 構築する際,「疾患別栄養管理法」が採用されてきたが,近年の多臓器疾患や多くの合併症を 有する患者が増え,個別栄養管理の観点から「栄養成分別コントロール食」を導入する施設が 増えている.「栄養成分別コントロール食」は,特別治療食を各基本となる栄養素の組成に着 目し,グループ化して管理するものであり,「エネルギーコントロール食」,「たんぱく質コン トロール食」,「脂質コントロール食」などがある.今後は,病棟ごとに配置された管理栄養士 が各種学会の定めるガイドラインなどを熟知しながら「適切な食事」を提案することがますま す求められている.. 病院食,治療食,栄養成分別コントロール食. 特 集. 京都大学医学部附属病院疾患栄養治療部 〒606-8507 京都府京都市左京区聖護院川原町 54. 幣:栄養成分コントロール食 - 79 -. など)にも対応して提供されるものである. 病院など医療機関において調整される「治療食」 は,医学の発展や患者の QOLを重視した食事提供 サービス推進の視点から,治療食の種類,同じ種類 の治療食であっても食事基準の別,および再加工調 理施行の有無などにより,非常に多くの種類(たと えば許可病床数 1000床規模の病院では,300種類 を超える治療食)が準備されている(図 1).すな わち,医学,病態栄養学の発展は,臨床的に提供さ れる治療食の種類を増加させてきたともいえる.そ のため,多様化し増大する献立関連業務を,より効 率よく処理するための手法として「展開食」の考え 方に基づく献立管理法が採用されており,「展開食」 は,各病院医療機関において基本となっている献立 (一般治療食:常食)を活用し,軟食や全粥食,各 種特別治療食へと献立を展開・作成していくもので ある.これにより治療食調整作業の合理化と,使用 食材調達の効率化という効果が期待できる.. Ⅲ 病院給食における「院内約束食事箋(栄養食事 基準)」について. 病院給食で提供される食事は「一般治療食」と 「特別治療食」に大別され(図 1),いずれも疾病治 療の根幹として食事療法の重要な役割を担ってい る.「一般治療食」は入院患者の栄養状態を良好に 維持し,回復力を高めることが目的であり,エネル ギーや各栄養素などについて特別な制限はないもの の,消化・吸収の観点や咀嚼・嚥下機能などの理由 で形態調整された常食,軟食,流動食などに分類さ れる.一方,「特別治療食」は,健康増進法第 30条 の 2に規定されている「食事基準(栄養管理基準)」. に基づき調整され,この基準に規定された栄養基準 量(給与栄養量)を充足するように設定されている 必要がある.すなわち,入院患者の年齢や疾患の種 類や病状,栄養状態,摂食状況,さらには投薬など を考慮し,エネルギー量や各種栄養成分(たんぱく 質,脂質,炭水化物,ビタミン,ミネラルなど), さらには食事形態や食事回数などの管理が行われた ものである. また,各病院では,病院機能別に専門領域別の特 徴を踏まえた「院内約束食事箋(食事基準)」が設 定され,栄養治療が必要となる患者に対して適切な 治療食がスムーズに選択できるように対応されてい る.また,この食事基準は,日本人の栄養所要量が 改定される際,および病態栄養学の最新情報(疾患 別ガイドラインなど)に基づいて見直すことが求め られている. 従来は多くの病院(医療機関)において,「院内 約束食事箋(栄養食事基準)」を構築する際,「疾患 別栄養管理法」が採用され,特別治療食の提供がサ ポートされてきた.しかし,近年の入院患者の高齢 化の影響(多臓器疾患や多くの合併症を有する患者 の増加)ならびに個別栄養管理(栄養ケア・マネー ジメント)の観点から,疾患別の栄養管理では対応 が困難となる事例が増えている.特に,医療の進歩 に追随した栄養治療の進展もめざましく,がん患者 など一律の疾患名で栄養管理を行うことには限界も あり,疾患の種類や発生部位による消化管への影響 など個別化に対応する新たな食事管理基準の設定が 求められるようになり,調理作業の煩雑さや栄養管 理面から,現在では多くの病院(医療機関)が「栄 養成分別栄養管理法:(以下,栄養成分別コント. 図 1 京都大学病院における食事の種類. ⼀般治療⾷. 常⾷ 軟⾷ 産後⾷/出産祝膳 幼児⾷/⼩児⾷ 化学療法後⾷. 特別治療⾷. 貧⾎⾷ 肥満⾷ 糖尿病⾷ 痛⾵⾷ 脂質異常症⾷ ⾼⾎圧⾷ ⼼臓病⾷ 妊娠⾼⾎圧⾷ 腎臓病⾷ 透析⾷ 肝臓病⾷ 腎臓病⾷ 胃切⾷ 低残渣⾷ IBD⾷ 易消化⾷ 嚥下困難⾷ ソフト トロミ ペースト他. ・食事オーダーの組み合わせは食 種・主食・形態・食塩量・コメントな どにより約3000種類にもおよぶ。. ・病院内の厨房で、1日平均 2,700食(特別治療食約40%)を調理。. ・高度急性期病院のため、移植・ がん患者など免疫力の低下した 患者に美味しく、衛生的で安全な 食事を提供することを方針とし、 ニュークックチルシステムを採用。. 幣:栄養成分コントロール食- 80 -. ロール食)」を導入するにいたっている.(表 1). 〇疾患別栄養管理法に基づく「特別食加算 1)」につ いて 特別食加算とは,入院時食事療養(Ⅰ)または入 院時生活療養(Ⅰ)の届出を行った保険医療機関に おいて,患者の病状などに対応して医師の発行する 食事箋に基づき「入院時食事療養及び入院時生活療 養の食事の提供たる療養の基準等」(平成 6年厚生 省告示第 238号)の第 2号に示された特別食(治療 食)が提供された場合に,1食単位で 1日 3食を限 度として算定できるものである.すなわち,表 2 に示すように,腎臓疾患食,肝・胆疾患食,糖尿病 食,胃・腸疾患食,貧血症食,膵臓疾患食,脂質異 常症食,痛風食,先天性代謝異常症食およびてんか ん食などがあげられる.これら治療食は厚生労働省 通達で使われている呼称で,各病院独自の名称を使 用しているところもあるが通達に使用されている 「一般的名称」を使用するように要望されている. すなわち,医師の指示に対して,実際として栄養管 理側は「栄養成分別コントロール食」として対応し ている場合も,治療食加算の算定を行う場合は,一 般的名称を用いた病態別の治療食を選択窓口として 用意しておく必要がある. 特に,医学部附属病院などでは,研修医の教育的 側面もあり,栄養指示(オーダー)を出しやすいよ うに「疾患別」の栄養管理法がまだまだ主流となっ ているが,先にも述べたとおり,患者の高齢化に伴 う複数疾患への対応を考えた場合,本来ならば「栄 養成分別コントロール食」が主となる栄養指示 (オーダー)が行われ,治療食管理,調理作業の効 率化が図られる必要があると考えている.栄養学に 造詣の深い先生方であれば,患者個々に必要となる 栄養量をガイドラインなどに準拠して算出し,栄養. 組成の配分まで考慮したオーダーを栄養成分別コン トロール食でも指示・選択することができると思わ れるが,「栄養成分別」だけのオーダー画面では, 多くの医師が適切な治療食の選択に難渋されること も予測されるので,京都大学医学部附属病院では, 図 2に示すような「疾患別」の栄養管理法ととも に,「栄養成分別」のオーダーにも対応できるよう に「院内約束食事箋(食事基準)」の工夫がなされ ている.. Ⅳ 「栄養成分別コントロール食」について 「栄養成分別コントロール食」とは,疾患別の栄 養管理を行ってきた特別治療食を基本となる栄養素 の組成に着目し,特別治療食をグループ化して管理 するものであり,代表的なものとして「エネルギー コントロール食(従来の糖尿病食・肥満症食な ど)」,「たんぱく質コントロール食(従来の腎臓病 食・肝臓病食など)」,「脂質コントロール食(従来 の肝臓病食・脂質異常症食など)」などが設定され ている(図 3). すなわち,さまざまな栄養素の中から,エネル ギーや特定の栄養素などの制限あるいは付加(調 整)により,各種疾患の治療に直接かかわることを 目的としたものであり,それぞれのコントロール食 には,さらに食塩コントロールならびにアレルギー 対応を併用することができる.. 1.エネルギーコントロール食 1日の投与エネルギー量を低エネルギーあるいは 高エネルギー状態にコントロールすることにより, 体重管理や血糖値の安定化などを図ることができる 疾患に適応される. エネルギー以外の栄養素比率(PFC比)は,通 常,たんぱく質 15~20%,脂質 20~25%,炭水化. 表 1 栄養成分別コントロール食と主な疾患例. 主疾患 エネルギー. コントロール食 脂質コントロール食 たんぱく質 コントロール食 備考. 維持 減量 質調整 減量 増量 減量 糖尿病 肥満 脂質異常症. 〇 〇 〇 ・食塩制限. 腎臓病 (CKD) 〇 〇. ・高 K血症,高 P血症の場合は,Kと Pを制限 ・食塩制限. 慢性肝炎 肝硬変 〇 〇. ・肝性昏睡の危険性があればたんぱく質制限 ・食塩制限. 肝炎, 脂肪肝 〇 〇. 心疾患 〇 〇 ・食塩制限 膵炎 胆嚢疾患 〇 ・食塩制限. 幣:栄養成分コントロール食 - 81 -. 物 40~60%が適正比率とされている. また,低エネルギーコントロール食では,身体を 構成するたんぱく質,必須脂肪酸の必要量を確保す ることに加えて,食物繊維を含有する食品(野菜・ 海藻・きのこ類)を積極的に使用し,満腹感を得る. ことや,炭水化物の吸収を遅らせ急激な血糖値の上 昇を抑制できる働きを取り入れていることが多い.. 表 2 治療食の分類. 区分 食種名 適 応 症 お よ び 食 種加算食 ※ 非加算食. 一 般 治 療 食. 1.常 食. 2.軟 食. 3.流 動 食. 特殊な食事療法を必要としない常食. 特殊な食事療法を必要としない三・五・七・全が ゆなどすべての軟食 特殊な食事療法を必要としない流動食. 特 別 治 療 食. 4.口腔・咽頭・食道疾患食. 5.胃 ・ 腸 疾 患 食. 6.肝 ・ 胆 疾 患 食. 7.膵 臓 疾 患 食 8.心 臓 疾 患 食 9.高 血 圧 症 食 10.腎 臓 疾 患 食. 11.貧 血 症 食. 12.糖 尿 病 食 13.肥 満 症 食. 14.脂 質 異 常 症 食. 15.痛 風 食 16.先天性代謝異常症食. 17.妊娠高血圧症候群食 18.ア レ ル ギ ー 食 19.食 欲 不 振 食 20.治 療 乳. 21.術 後 食 22.検 査 食. 23.無 菌 食. 24.経 管 栄 養 食. 25.濃 厚 流 動 食 26.乳 児 期 食 27.離 乳 期 食 28.幼 児 期 食 29.そ の 他. 30.て ん か ん 食. 胃・十二指腸潰瘍,クローン病及び潰瘍性大腸炎 等の低残渣食 急性・慢性肝炎,肝硬変,ウイルソン病,閉塞性 黄疸(胆石症・胆嚢炎によるものを含む) 急性・慢性膵炎 心臓疾患(食塩 6 g/日未満). 急性・慢性腎炎,急性・慢性腎不全,ネフローゼ 症候群 血中ヘモグロビン濃度 10 g/dl以下で鉄欠乏に由 来する時 糖尿病 高度肥満症(肥満度+70%以上又は BMI≧35以 上)は脂質異常症に準ず 脂質異常症 LDL値 140 mg/dl以上,HDL値 40 mg/dl未満もしくは中性脂肪値 150 mg/dl以上 痛風 フェニールケトン尿症,ホモシスチン尿症,ヒス チジン血症,ガラクトース血症,楓糖尿症 妊娠高血圧症候群(食塩 7~8 g/日未満). 乳児栄養障害症(直接調整する酸乳・バター穀粉 乳など) 低出生体重児(HMS-2などの母乳添加剤) 侵襲の大きな消化管手術後(食道・胃・腸など) 潜血食,大腸 X線検査・内視鏡検査食のため残 渣の少ない調理済食品を使用した場合も含む 無菌治療室管理加算を算定している場合. 難治性てんかん,グルコーストランスポーター1 欠損症,ミトコンドリア脳筋症. 口内炎,舌炎,舌癌,上下顎癌,上下顎骨折,食 道炎,食道潰瘍,食道癌など 胃癌,その他癌関係,便秘症,その他大腸疾患な ど 肝癌など. 膵癌など その他の心疾患 高血圧症,その他の高血圧疾患. 白血病,血友病,紫斑病,悪性腫瘍など. 肥満症. その他の脂質異常症. 高尿酸血症 その他の代謝異常疾患. その他の妊娠高血圧症候群 食事性アレルギー症 悪性腫瘍,神経性食思不振症,放射線宿酔食など. 各種疾患の術後食 各種検査食(ヨード制限,ミネラル定量テスト, レニンテスト,乾燥食,その他) 白血病,免疫不全症,再生不良性貧血症無顆粒球 症など 経管栄養(1 kcal/g程度の熱量を有する濃厚流動 食) 濃厚流動食 乳児期(調乳が大部分を占める時期) 離乳期(離乳食が大部分を占める時期) 就学前の幼児期 特定栄養素の付加あるいは制限を必要とする疾 患,上記に属さない疾患. 注 1) 加算の対象となる特別食は,疾病治療の直接手段として,医師の発行する食事せんに基づいて提供される患者の年齢,病状等に対 応した栄養量及び内容を有する治療食,無菌食および特別な場合の検査食をいうものであり,治療乳を除く乳児の人工栄養のため の調乳,離乳食,幼児食などならびに治療食のうちで単なる流動食および軟食は除かれる.なお,高血圧症の患者に対する減塩食 (塩分の総量が 6 g/日未満のものに限る.)および小児食物アレルギー食は,栄養食事指導の場合には特別食に含まれる.また,栄 養食事指導の肥満症食は肥満度+40%以上又は BMIが 30以上の患者に対する治療食が特別食となる.. 2) 栄養食事指導料の対象には上記特別食を必要と認めた患者以外に,がん患者,摂食機能または嚥下機能が低下した患者,低栄養状 態にある患者が含まれる.. 3) 上記の分類は平成 28年 4月版,社会保険・老人保健診療報酬「医科点数表の解釈」厚生労働省保険局医療課,厚生労働省老人保 健福祉局老人保健課編,指導管理などおよび食事療養を参照してください.. 幣:栄養成分コントロール食- 82 -. 【適応疾患】 ・低エネルギー食: 肥満症,糖尿病,脂肪肝,脂. 質異常症,高尿酸血症,甲状 腺機能低下症など. ・高エネルギー食: 低栄養状態(PEM),慢性閉 塞性肺疾患(COPD),甲状 腺機能亢進症など. 2.たんぱく質コントロール食 1日の投与たんぱく質量を減量調整することによ り,腎機能や肝機能の負荷軽減や安定化を図るこ と,サルコペニア・フレイル患者を代表とする低栄 養状態の改善にはたんぱく質を付加することで病状 の改善を図ることができる疾患に適応される.たん ぱく質量の調整のみならず,たんぱく質のアミノ酸 組成,必須アミノ酸量とそのバランスが調整された 治療食である. 【適応疾患】 ・低たんぱく質食: 腎疾患(CKD),肝硬変非代. 償期,肝不全など ・高たんぱく質食: 肝疾患(再生期)および低た. んぱく血症,重度の外傷,術 前・術後の回復期,低栄養状 態など. 3.脂質コントロール食 1日の投与脂質量を減量あるいは脂質の質をコン トロールすることにより,肝機能の負荷軽減や脂質 異常の安定化,脂質の量をコントロールによる消化 管への刺激を抑えるとともに,消化酵素の分泌を抑 制することにより臓器の炎症の沈静化を目的とした 治療食である. 脂質コントロール食では,脂質量が 1日あたり 20~30 gの「低脂質食」と,不飽和脂肪酸と飽和 脂肪酸の比率(P/S比)を上げるために不飽和脂肪 酸の摂取量を増大させた「脂質コントロール食」の 2つに分類される.質の調整には,必須脂肪酸を確 保し,適切な脂肪酸比率を保ち,コレステロールの. 図 2 食事オーダー指示画面(例). 指示栄養量,食事形態に合わせ選択. 図 3 栄養成分別コントロール食の献立展開. • 献⽴の個別対応化により管理する献⽴数が増加 • 献⽴管理や調理の合理化,使⽤⾷材調達の効率化. 常 ⾷. 糖尿病⾷. 腎臓病⾷. 軟 ⾷. 低残渣⾷潰瘍⾷術後⾷. 嚥下調整⾷. エネルギーコントロール⾷. たんぱく質コントロール⾷. 脂質コントロール⾷. ⼼臓病⾷ 肝臓病⾷. 幣:栄養成分コントロール食 - 83 -. 適正量に注意する.S:M:Pは 3:4;3または n- 6:n-3は 3~4:1を目安とし,多価不飽和脂肪酸 は体内で過酸化物を生成しやすので,ビタミン E, ビタミン C,β-カロテンなどの抗参加物を合わせて 摂取することが求められる. 【適応疾患】 ・低脂質食: 急性・慢性膵炎,胆嚢炎,急性肝. 炎,脂肪肝,胆石症および一部の脂 質異常症など. ・脂質コントロール食: 脂質異常症(高 LDL-コ レステロール血症),動 脈硬化症など. 4.食塩コントロール食 日本人の食塩摂取量は諸外国に比べて多く,「日 本人の食事摂取基準」でも 2020年版の目標量は, 成人男性で 7.5 g/日未満,成人女性で 6.5 g/日未 満が示されている.高血圧を主とする循環器疾患患 者に選択される特別治療食であり,これまでに述べ てきた各種コントロール食に併用する形で選択され ることが多く,高血圧治療ガイドラインに基づき, 高血圧症患者に対しては 6 g/日未満が推奨されて いる. 【適応疾患】 ・食塩制限食: 高血圧症,腎疾患,糖尿病,動脈. 硬化症,妊娠高血圧症候群,低栄 養(腹水のある場合)など. Ⅳ おわりに わが国が直面する超高齢化社会を背景として,入 院患者の高齢化が進行し,多くの合併症を有する患 者が増えたことから,病院給食に求められる視点が 「必要栄養量を充足し,バランスの良い食事の提供」 といった観点だけではなく,「複合的な疾患を有す る患者へ最も適切な食事の提供」といった役割に力 点が置かれるようになっている.さらに,より献立 の個別化が求められ,咀嚼・嚥下機能なども考慮し た副食形態(普通菜,軟菜,きざみ菜,ソフト菜な ど)までを選択しなければならない現状にある.そ のため,従来の「疾患別の栄養管理による食事基 準」では十分な対応ができず,それらをカバーする ためには栄養治療上,最も重要視される栄養成分を 中心に食事基準を管理する必要があり,栄養管理・ 調理作業などの業務の煩雑化の改善をも踏まえた 「栄養成分別コントロール食」が主流となっている. そこで,病棟ごとに配置された管理栄養士が各種 学会の定めるガイドラインなどを熟知しながら,患 者個々に「至適栄養素が配分された栄養成分別コン トロール食」を提案することで,医師・看護師の負 担軽減にも繋がると考えており,今後ますますチー ム医療の考え方の中で管理栄養士の活躍の場が広が ることを願っている.. 文献 1)医科点数表の解釈(令和 2年 4月版).社会保険研究 所,東京,2020,p1032

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