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学位論文題名韓国稲作の構造改善政策に関する研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 鄭   弘 祐

     学位論文 題名

韓国 稲作の構 造改善政策に関する研究

一大規模稲作専業農家と生産組織体を中心に一

学位論文内容の要旨

  本 論文は、総頁数220頁、図8、表73を含む邦文論文である。別に 参考論文5よ18編が添えられている。

  本 論文は、韓国内外の経済状勢の変化に対応するための稲作の生 産構造改善政策を分析対象とし、個別農家では3ha以上の階層を中心 に、階層別生産費軽減の程度と目標経営規模を明らかにすると共に、

一方 生産組織体の発展方向では、運営制度上の問題点と改善方策を 総合 的に検討した上で、その結果を反映した政策の提示を目的とし たものである。

  分 析の特徴としてはまず、韓国稲作の生産構造に関する従来の研 究を 踏まえて、農業構造政策の歴史的な考察を行うと同時に、米生 産の 国際競争カの比較分析を通じて、韓国稲作の生産構造を位置づ けた 。次いで、農林水産部「農林水産統計年報」等の統計が現在公 表している最大規模層が2 haであるのに対し、本論文では、韓国で、

初め て、この規模を越えた3 ha以上層をも分析対象として、大規模 の個 別経営体及び生産組織体を中心に、全国的に調査した資料に基 づ き 稲 作 構 造 の 分 析 を 行 っ た と い う こ と で あ る 。   調 査は1991年12月から1992年2月にかけて行ったが、大規模農家 は西 海岸や東北地方の平野地帯に集中されているため、3 ha規模以 上の 調査農家はこれらの地域で選定、3 ha規模未満の農家は、全国 的視 野から平野地、中・山間地域を対象として選定した。そして、

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家族経営で作業管理が可能な耕作規模を上限20haと限定し、調査農 家 を5っの 階層 に分 類し て、階 層間 の規 模の 有利性 を究 明した。

  規模 階層 の分 類は、1 ha未満 (I階層 )、1〜3ha(II階層)、

3〜5 ha(III階 層)、5〜10ha(IV階層)、10ha以上(V階層)で あ り、 各耕 作規 模別に 調査 した農家数は、1階層30戸で、全体150 戸が分析対象農家となっている。

  受託営農法人に関しては、国庫補助で育成されるものと、地方財 政の支援で設立されたものを対象とした13社を調査した。そして、

委 託農 家は 、各 調査対 象の 受託営農法人から6−7農家づっ選び、

計89農家の調査を行った。

  第1章では、本稿の課題設定及び従来の韓国農業構造政策に関す る 研 究 を 紹 介 、 本 研 究 の 位 置 づ け を 明 確 に し た 。   第2章では、韓国における農業構造政策と生産組織体の展開過程 を整理するとともに、このような生産組織体は、米の自給達成、農 村労働力不足に対処する為の農業機械化促進に大きく寄与したこと を指摘した。

  第3章では、韓国における稲作生産構造の展開に関する歴史的な 考察を行った結果、そこでは耕作規模別農家戸数の変化において、

最 近l.Oha未満 農家 階層 の比率が低<なる反面、2ha以上の農家階 層が増加しており、経営規模拡大は農地購入よりも賃借方法によっ て拡大してきていることが明らかにされた。

  第4章の米の国際競争力比較分析では、韓国の米の平均生産費が 米国カリフエルニア米に比して3.7培も高く、国際競争カが甑めて 低いこと、その主たる理由は地代と労働費の大きな差にあることが 明らかになった。一万、米の収益性に関して、カリフエルニアの稲 作農家は10アール当たり韓国の3倍もの補助金を受け、この補助金 なしには赤字経営になることを明らかにした。

  第5章で は、 韓国 で初 めて3ha以上の農家階層も分析対象とし、

経営規模問の平均生産費の差及びその要因を分析した結果、@家族 労働による水田耕作の作業規模の限界は10〜15 haで、このような耕 作規模以下層の営農は、殆ど家族労働によって行われており、それ

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以上層の農家5ま年雇なしには経営が困難であること、@農家が都市 勤労者並 の生活水準 を維持して行くためには、試算の結果、2001年 までに11.57haの規模が 必要である こと、◎3ha未満の農家階層5ま 3ha以上 の農家階層 と比較して 肥料、農薬 、農機具の投入が乏しい など、生 産基盤の条 件が劣っているため、生産基盤整備投資の早期 実施が必 要であるこ と、@経営規模ごとの熟期別の品種比率が、第 I農 家 階 層は 中 生種5.4% 、晩 生 種94.6% で ある 反面、 第V農 家階 層は早生 種が32.4%、中生種が31.9%、晩生種35.7%であった。し たがって 、熟期別品 種の配置は、農業機械の作業日数を延長させて いること等が明らかになった。

  第6章 では、規模 拡大による 生産費節減 の目的として設立された 受託営農 法人体を分 析対象とし、法人体の運営実態及び委託農家の 生産費実 態を分析し 、それが如何に生産費節減に寄与してきたかを 分析して いる。その 結果を以下に整理すると、@受託営農法人体の 農業機械 作業規模の 拡大にも関わらず、受託作業料が一定している ので、委 託農家の生 産費節減には大きく寄与していないこと、@委 託農家の 委託形態別10a当り生 産費は、全 国平均に比して、一部作 業を委託した農家のばあい、0.8%、主な作業を委託Lた農家.は4.5

%、大部分の作業を委託した農家は8%、各々高くなっていること、

◎しかし 完全賃貸農 家より、実現した所得は大部分委託農家の方が 多いこと 、@作業手 数料の高低を規定する主要要因は、賃金と兼業 の比率で あり、した がって大都市近郊地域は委託手数料が高くなっ ていること、@支出を固定資本投資額のる0%融資基準、実作業日数 の現地賃金を適用する時iま、収益が31、161干ウオンとなっており、

社員賃金 を年間農家 所得を基準として支給する場合、投資全額融資 の基準時 では、13社のなかで10社が、50%補助‑ 50%融資の基準時 で は 、  7社 が 各 々 赤 字 を 示 し て い る こ と 明 ら か に な っ た 。   第7章 では、各章 の要約と、 各分析結果 に基づいて、以下のよう な政策提言をおこなっている。

@今後、 米政府買上 げ価格の下落による稲作の専業農業所得を都市 勤労者所 得と同一水 準に(2001年)維持するためには、水田の耕作

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規模を10〜15 haまで拡大させることが必要であり、そのためには現 在 の農地上限 制度を改善すると共に、このような専業農家に対し、

農 業機械購入 補助支援を20%から受託営農法人体の受けている50% 水準まで拡大するような支援が必要であること、

@ 農漁村発展 基金42兆ウオン (2001年まで) のなかで、1筆当り規 模 拡大、土地 交換分合、農道開設等の生産基盤整備の投資に農漁村 発展基金を優先的に配分すぢこと、

◎ 現在、受託 営農法人体に農作業を委託する委託農家の農作業手数 料 倣、受託営 農法人体の作業規模と関係なく一定であるため、委託 農家の生産費節減には如何なる影響も及ぼしていない。したがって、

農 家経済的な 側面で生産費節減のためには、受託営農法人体の部分 借 地直営制度 導入及び大規模の共同経営生産組織体の育成を提示す る。

  以上 のように、 本論文は、従来における韓国稲作の構造政策分析 に5ま利用 できなかった3ha以上階層農家の生産費調査をはじめて本 論 文提出者が 実施すると共に、そこから得られた知見が日米の稲作 構 造とはじめ て比較出来る素材をもたらし、特に今後のわが国稲作 生 産組織のあ り方に重要な示唆を与える点で、学術上極めて高く評 価される。

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(5)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

韓国稲作の構造改善政策に関する研究

―大規模稲作専業農家と生産組織体を中心に―

  本 論文は 、総 頁数220頁、 図8、表73を 含む邦 文論 文で ある。別に 参考論文は18編が添えられている。

  本 論文は 、韓 国内 外の経 済状 勢の 変化 に対応 する ため の稲作の生 産構 造改善 政策 を分 析対象 とし 、階 層別 に生産 費軽 減の 程度と目標 経営規模を明らかにすると共に、一方、生産組織体の発展方向では、

運営 制度上 の問 題点 と改善 方策 を総 合的 に検討 した 上で 、その結果 を反映した政策の提示を目的としたものである。

  分 析の特 色と して は、韓 国農 林水 産部 「農林 水産 統計 年報」等で 公 表さ れ て い る 韓 国 稲 作 最大 規模 層の統 計は2haであ るが 、本 論文 で は、 韓 国 で 、 初 め て 、 この 規模 を越え た3ha以 上層 をも 本論 文の 提出 者が調 査、 分析 対象と して 、大 規模 の個別 経営 体及 び生産組織 体を 中心に 、全 国的 に稲作 の構 造分 析を 行った とい うこ とである。

  第1章 で は 、 本 稿 の 課 題設 定及 び従 来の 韓国農 業構 造政 策に 関す る研究を紹介、本研究の位置づけを明確にした。

  第2章 で は 、 韓 国 に お ける 農業 構造 政策 と生産 組織 体の 展開 過程 を整 理する とと もに 、この よう な生 産組 織体は 、米 の自 給達成、農 村労 働カ不 足に 対処 するた めの 農業 機械 化促進 に大 きく 寄与したこ     −395―

雄 生 久 昭 俊 長 時 高 柳 戸 井 原         田 黒 七 土 太 授 授 授 授 教 教 教 敦        

(6)

とを指摘した。

  第3章では、韓国における稲作の生産構造の展開に関する歴史的 な分析を行った結果、そこでは耕地規模別農家戸数の変化におぃて、

最近1. Oha未満農家階層の比率が低くなる反面、2ha以上の農家階 層が増加しており、経営規模拡大5ま農地購入よりも賃借方法によっ て拡大してきていることが明らかにされた。

  第4章の米の国際競争力比較分析では、韓国の米の平均生産費が 米国カリフエルニア米に比して3.7培も高く、国際競争カが極めて 低いこと、その主たる理由は、地代と労働費の高いことにあるが、

収益性の低さは、米国稲作農家にくらべ補助金交付が3分の1も小 さぃためであることを明らかにした。

  第5章では、韓国で初めて3ha以上の農家階層も調査分析対象と し、経営規模間の平均生産費の差及びその要因を分析した結果、@

家族労働による水田耕f乍の作業規模の限界は10〜15 haで、このよう な耕作規模以下層の営農は、殆ど家族労働によって行われており、

それ以上層の農家は年雇なしには経営が困難であること、  3農家 が都市勤労者並の生活水準を維持して行<ために;ま、試嘉の結果、

2001年までに11.57haの規模が必要であること、@3ha未満の農家 階層は3ha以上の農家階層に比較して肥料、農薬、農機具の投入が 乏しいなど生産基盤の条件が劣っているため、生産基盤整備投資の 早期実施が必要であること、@熟期品種配置が農業機械のf乍業日数 を延長させていること等が明らかになった。

  第6章では、規模拡大による生産費節減の目的として設立された 受託営農法人体を分析対象とし、法人体の運営実態及び委託農家の 生産費実態を分析した結果、@受託営農法人体の農業機械作業規模 の拡大にも関わらず、委託作業料が一定しているので、委託農家の 生産費節減には大きく寄与していなぃこと、◎委託農家の委託形態 別10a当り生産費Iま、全国平均に比して、一部作業を委託した農家

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のばあい、0.8%、主な作業を委託した農家は4.5%、大部分の作 業を委託した農家は8%、各々高くなっていること、◎しかし完全 賃貸農家より、実現した所得は大部分委託農家の方が多く、@作業 手数料の高低を規定する主要な要因は、賃金水準と兼業の比率であ ること、◎特に、実作業日数の現地賃金を適用し、法人の社員賃金 を年間農家所得を基準として支給するばあい、投資全額融資を基準 とすれば、ユ3社のなかで10社が、50%補助―50%融資の基準とする 時、7社が各々経営の赤字を示していること等が明らかになった。

  第7章では、各章の、要約と、各分析結果に基づき、以下のような 政策提言をおこなっている。

@今後、米政府買上げ価格の下落による稲作の専業農業所得を都市 勤労者所得と同一水準に(2001年)維持するためには、水田耕作規 模を10−15haまで拡大させることが必要であり、そのためには、現 在の農地上限制度を改善すると共に、このような専業農家に対し、

農業機械購入補助支援を20%から受託営農法人体の受けている50% 水 準 ま で 拡 大 す る よ う な 支 援 が 必 要 で あ る こ と 、

@農漁村発展基金42兆ウオン(2001年まで)のなかで、1筆当り規 模拡大、土地交換分合、農道開設等の生産基盤整備の投資に農漁村 発展基金を優先的に配分すること、◎受託営農法人体の運営におい て、委託農家の生産費節減には如何なる影響も及ぼしていないので、

農家経済的な側面で生産費節減のためには、受託営農法人体の部分 借地直営制度導入及び大規模の共同経営生産組織体の育成を提示す る。

  以上のように、本論文は従来における、韓国稲作の構造政策分析 には利用できなかった3ha以上の階層農家生産費調査をはじめて本 論文提出者が実施すると共に、そこから得られた知見が日米の稲作 構造と;まじめて比較出来る素材をもたらし、特に今後の日本の生産 組織のあり方に重要な示唆を与える点で、学術上極めて高く評価さ

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れる。

  よって審査員一同は、別に行った学力認定試験の結果と合わせて、

本 論 文 の 提 出 者 鄭弘 祐 は博 士( 農 学) の 学位 を 受け る のに 十 分な資格があるものと認定した。

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