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若材齢時におけるトンネル吹付けコンクリートのカ学特性

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 )

  

  

卓 也

学 位 論 文 題 名

若材齢時におけるトンネル吹付けコンクリートのカ学特性      に関する研究

(Study on Mechanical Characteristics of Young‑age Tunnel Shotcrete)

学位論文内容の要旨

  

本研究では、山岳トンネルにおける主要を支保部材である吹付けコンクリートについ て,打設直後から24 時間までの若い材齢時におけるカ学特性変化の重要性を指摘し,特に 変形特性の挙動を求めるための試験方法を新たに開発・確立した。さらに.変形特性に関 するカ学パラメータの有効を評価方法を,提案するカ学モデルとともに示し,数値解析を用 いた検討により実効性を明らかにした。

  

このように,従来の課題であった24 時間未満の若材齢時におけるトンネル吹付けコン クリートのカ学特性の評価を簡易を室内試験により可能とし.力学モデルとそのパラメー ターの評価方法を提案することで支保設計手法について今後の研究の端緒を開いた。

  

第1 章では、若材齢のトンネルの吹付けコンクリートについて。特に24 時間より若い 材齢における評価の重要性を,主に国内における支保の設計事例や打設後の早期に高い剛 性を得られる初期高強度コンクリートをどの開発状況や現場適用をどの背景を基に示し・

国内外における若材齢吹付けコンクリートのカ学的性質の評価に関する研究の状況を示し た。さらに、室内・原位置における吹付けコンクリートのカ学特性(一軸圧縮強度・ヤン グ係数・粘弾性特性)が材齢の進行とともに変化していく場合の評価について,既往の研究 を記すとともに本研究の特徴・目的・内容について述べた。

  

第2 章では、若材齢の吹付けコンクリートおよびそのべースコンクリートについて.試 験体の作成方法と試験方法を開発し.既往の研究では明確に記されていをい具体的を試験 方法を示した。供試体の作成については,ベースコンクリートでは専用のモールドにより,

強度が十分に発現する前の試験体に損傷を与えること無く,試験に供する方法を開発した。

吹付けコンクリートでは,リバウンドを除去し,一度に多くの試験体をコア抜きすること無 しに作成できる方法を考案し,研究的をレベルから現場管理試験にも適用できる技術とし た。また,ヤング係数といった変形係数の評価に用いる試験体の変形を,試験器の上下の載 荷板からではをく,コンプレッソメータおよびクリップゲージによる変位から高い精度で 評価することによって変形特性(ヤング係数,ポアソン比,粘性係数)について信頼性の高 い情報を取得・提供できるようにをった。

  

第3 章では、若材齢コンクリートの一軸圧縮試験と多段階応力緩和試験を実施し.吹付 けコンクリートとべースコンクリートに対し,一軸圧縮強度とヤング係数の発現特性を得 た。また,試験結果より算定したヤング係数の値を,コンプレッソメータによる供試体中央

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100 mm区 間 の 変 位 , 供 試 体 の 上 下 の 載 荷 板 問 の 変 位 , 材 料 試 験 機 の ク ロ ス ヘ ッ ド の 変 位 か ら 換 算 し た ひ ず み に よ る 応 力 ‐ ひ ず み 線 図 に よ り 算 定 し , 既 往 の 研 究 例 で のヤ ング 係 数 の 評 価 の ば ら っ き が , 変 位 の 計 測 方 法 に 起 因 し て い る こ と を 確 認 し た 。 そ の 他 に も 以 下 の よ う を 知 見 が 得 ら れ た 。

・ ベ ー ス コ ン ク リ ー ト と 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 試 験 結 果 の 比 較 か ら は , 円 柱 形 供 試 体 の 直 径 が100 mm程 度 で は , 急 結 剤 の 添 加 量 の わ ず か を 変 化 に よ り 強 度 お よ び 変 形 特 性 の 評 価 が ば ら っ く こ と が わ か っ た 。 こ の 影 響 は , 若 材 齢 ほ ど 顕 著 と な り , 必 要 と す る 評価 精度 と 材 齢 に 応 じ て 、 試 験 数 量 お よ び 供 試 体 サ イ ズ に つ い て 検 討 す る 必 要 が あ る こ と が 判 明 し た 。

・ 材 齢 の 進 行 に 伴 う 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 一 軸 圧 縮 強 度 と ヤ ン グ 係 数 の 変 化 を 評 価 し た 結 果 , 材 齢1日 を 境 界 と し て 発 現 特 性 が 異 を る こ と が 確 認 で き た , ま た , 一 軸 圧 縮 強 度 と ヤ ン グ 係 数 の 関 係 に つ い て は , 一 軸 圧 縮 強 度 が10 MPa(材 齢 約1日 ) 以 下 で は , コ ン ク リ ー ト の 配 合 , 急 結 剤 の 有 無 に 関 係 無 く 両 者 の 関 係 が 類 似 し て い る こ と が わ か っ た 。 こ れは .若 材 齢 時 で は 、 求 め る こ と が 容 易 を ‑軸 圧 縮 強 度 か ら ヤ ン グ 係 数 が 間 接 的 に 評 価 で き る 可 能 性 を 示 し て い る .

・ ベ ー ス コ ン ク リ ー ト と 吹 付 け コ ン ク リ ー ト と を 比 較 す る と . 急 結 剤 の 効 果 で 初 期 の 剛 性 発 現 特 性 が 明 ら か に 異 な る . 特 に , 材 齢1日 ま で は , 概 ね 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 方 が 一 軸 圧 縮 強 度 , ヤ ン グ 係 数 と も 大 き い , た だ し , 材 齢28日 で 比 較 す る と 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 一 軸 圧 縮 強 度 , ヤ ン グ 係 数 は と も に 小 さ い と い う 急 結 剤 使 用 時 の 一 般 的 な 傾 向 が 確認 され た 。   4章 で は 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 時 間 経 過 に よ る 粘 弾 性 特 性 を 含 む 変 形 特 性 の 変 化 を 模 擬 で き る カ 学 モ デ ル に つ い て 検 討 し た 。 採 用 す る モ デ ル は , 応 力 緩 和 挙 動 と ク リ ー プ 挙 動 を 同 時 に 表 現 で き , か つ モ デ ル の 要 素 数 が 少 を い 三 要 素 の モ デ ル に , 時 間 変 化 によ る要 素 の パ ラ メ ー タ 変 化 を 表 現 で き る 「 係 数 時 間 依 存 型 粘 弾 性 モ デ ル 」 と し た 。 こ の モ デ ル の 妥 当 性 を 検 証 す る た め に , 応 力 緩 和 試 験 を 繰 り 返 し 行 う 多 段 階 応 力 緩 和 試 験 を 実 施 し , そ の 試 験 結 果 か ら 粘 性 係 数 お よ び カ 学 モ デ ル の バ ネ 係 数 を 評 価 す る 手 法 を 確 立 し . 試 験 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 提 案 す る 係 数 時 間 依 存 型 粘 弾 性 モ デ ル の 実 効 性 を 確 認 し た 。   5章 で は , 係 数 時 間 依 存 型 粘 弾 性 モ デ ル を ト ン ネ ル の 逐 次 掘 削 解 析 に 適 用 し , 高 強 度 コ ン ク リ ー ト と 普 通 コ ン ク リ ー ト に よ る 支 保 効 果 の 差 異 を 検 討 す る と と も に , 他 の カ 学 モ デ ル を 採 用 し た 場 合 と の 差 異 を 検 討 し た 。 得 ら れ た 知 見 は 以 下 の と お り で あ る 。

・ 高 強 度 吹 付 け は 。 材 齢 一 日 ま で の 剛 性 に 関 し て 普 通 コ ン ク リ ー ト と の 発 現 特 性 に 差 が を い 場 合 , 地 山 変 位 抑 制 に 対 す る 効 果 は 顕 著 で を ぃ も の の , 支 保 耐 カ の 向 上 と い う点 で普 通 吹 付 け よ り も 余 裕 が あ る と い う 一 般 的 な 予 想 の 裏 付 け が と れ た .

・ 変 形 係 数 が 急 激 に 変 化 し , 普 通 コ ン ク リ ー ト と 高 強 度 コ ン ク リ ー ト の 剛 性 差 が 生 じ た 時 の 応 カ の 増 分 か ら , 早 期 に 剛 性 が 高 く な る 吹 付 け コ ン ク リ ー ト を 用 い た 場 合 は ,初 期の 変 位 も 抑 制 さ れ る が , 剛 性 が 高 い 分 , 僅 か 顔 変 位 で も 支 保 応 カ は 大 き く を る こ と が 予想 され , 適 用 範 囲 が 限 定 さ れ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    藤 井 義明 副査    教授    金子勝比古 副査    准教授   児玉淳一

学 位 論 文 題 名

若材齢時におけるトンネル吹付けコンクリートのカ学特性      に関する研究

(Study on Mechanical Characteristics of Young‑age Tunnel Shotcrete)

  

山岳トンネルにおいては吹付けコンクリートの打設直後から

24

時間までに大きを変形 が生じる。したがって、この期間における吹付けコンクリートのカ学特性は、合理的を 支保を設計するために重要である。そこで、本研究では、打設24 時間未満の吹付けコン クリートの変形特性を求めるための試験方法を新たに開発・確立した。さらに、力学パラ メータの有効な評価方法を、提案するカ学モデルとともに示し、数値解析を用いた検討に より実効性を明らかにした。

  

若材齢の供試体の作製については、ベースコンクリートでは専用のモールドにより強度 が十分に発現する前の試験体に損傷を与えること無く試験に供する方法を開発した。吹付 けコンクリートでは、リバウンドを除去し、一度に多くの試験体をコア抜きすること無し に作製できる方法を考案した。また、試験器の上下の載荷板からではをく、コンプレッ ソメータおよびクリップゲージによる変位から評価することによって変形特性(ヤング係 数・ポアソン比・粘性係数)について信頼性の高い情報を取得・提供できるようにをった。

  

力学特性として、打設後24 時間未満の一軸圧縮強度とヤング係数の発現特性を一軸圧 縮試験と多段階応力緩和試験により求める方法を開発した。ヤング係数は、コンプレッソ メータによる供試体中央部の変位、供試体の上下の載荷板間の変位、材料試験機のクロス ヘッドの変位から換算したひずみによる応力 ̄ひずみ線図により算定し、既往の研究例で のヤング係数の評価のばらっきが変位の計測方法に起因していることを確認した。その他 にも以下のようを知見を得た。

1

)ベースコンクリートと吹付けコンクリートの試験結果の比較から、円柱形供試体の直 径が

100 mm

程度では急結剤の添加量のわずかを変化により強度および変形特性の評価が ばらっくことを明らかにした。この影響は若材齢ほど顕著とをり、必要とする評価精度と 材齢に応じて、試験数量および供試体サイズについて検討する必要があることを示した。

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材齢の進行に伴う吹付けコンクリートの一軸圧縮強度とヤング係数の変化を評価した

結果、材齢

1

日を境界として発現特性が異をることが確認できた。また、一軸圧縮強度と

ヤング係数の関係は、一軸圧縮強度が10 MPa( 材齢約1 日)以下ではコンクリートの配合

    

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や 急 結 削 の 有 無 に 関 係 無 く 類 似 し て い る こ と が わ か っ た 。 こ れ は 、 若 材 齢 時 に つ い ては 、 求 め る こ と が 容 易 を 一 軸 圧 縮 強 度 か ら ヤ ン グ 係 数 を 間 接 的 に 評 価 で き る 可 能 性 を 示 し て い る 。

(3)ベ ー ス コ ン ク リ ー ト と 吹 付 け コ ン ク リ ー ト と を 比 較 す る と 急 結 剤 の 効 果 で 初 期 の 剛 性 発 現 特 性 が 明 ら か に 異 を る 。 特 に 、 材 齢1日 ま で は 概 ね 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 方 が 一 軸 圧 縮 強 度 ・ ヤ ン グ 係 数 と も 大 き い 。 た だ し 、 材 齢28日 で 比 較 す る と 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 一 軸 圧 縮 強 度 ・ ヤ ン グ 係 数 は と も に 小 さ い と い う 急 結 剤 使 用 時 の 一 般 的 を 傾 向 が 確認 さ れ た 。

  次 に 、 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 時 間 に 依 存 し た 粘 弾 性 特 性 を 模 擬 で き る カ 学 モ デ ルに つ い て 検 討 し た 。 採 用 す る モ デ ル は 、 応 力 緩 和 挙 動 と ク リ ー プ 挙 動 を 同 時 に 表 現 で き 、 かつ 、 モ デ ル の 要 素 数 が 少 を い 三 要 素 の モ デ ル に 、 時 間 変 化 に よ る 要 素 の パ ラ メ ー タ 変 化 を導 入 し 、 係 数 時 間 依 存 型 粘 弾 性 モ デ ル と し た 。 こ の モ デ ル の 妥 当 性 を 検 証 す る た め に 、 応力 緩 和 試 験 を 繰 り 返 し 行 う 多 段 階 応 力 緩 和 試 験 を 実 施 し 、 そ の 試 験 結 果 か ら 粘 性 係 数 お よび カ 学 モ デ ル の バ ネ 係 数 を 評 価 す る 手 法 を 確 立 し 、 試 験 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 実 効 性を 確 認 し た 。

  こ の 係 数 時 間 依 存 型 粘 弾 性 モ デ ル を ト ン ネ ル の 逐 次 掘 削 解 析 に 適 用 し 、 高 強 度 コ ン ク リ ー ト と 普 通 コ ン ク リ ー ト に よ る 支 保 効 果 の 差 異 を 検 討 す る と と も に 、 他 の カ 学 モ デル を 採 用 し た 場 合 と の 差 異 を 検 討 し た 。 得 ら れ た 知 見 は 以 下 の と お り で あ る 。

1) 高 強 度 吹 付 け は 、 材 齢 一 日 ま で の 剛 性 に 関 し て 普 通 コン ク リ ー ト との 発 現 特 性 に差 が な い 場 合 、 地 山 変 位 抑 制 に 対 す る 効 果 は 顕 著 で を い も の の 、 普 通 吹 付 け よ り も 支 保 耐カ に 余 裕 が あ る と い う 経 験 的 知 見 を 裏 付 け で き た 。

(2)早 期 に 剛 性 が 高 く 教 る 吹 付 け コ ン ク リ ー ト を 用 い た 場 合 は 、 初 期 の 変 位 も 抑 制 さ れ る が 、 剛 性 が 高 い 分 、 僅 か な 変 位 で も 支 保 応 カ が 大 き く な り 、 適 用 範 囲 が 限 定 さ れ る 可能 性 が 示 唆 さ れ た 。

  こ れ を 要 す る に 、 著 者 は 、 打 設24時 間 未 満 の 吹 付 け コ ン ク リ ー ト の 変 形 特 性 を 求 め る た め の 試 験 方 法 を 新 た に 開 発 ・ 確 立 し 、 力 学 パ ラ メ ー タ の 有 効 を 評 価 方 法 を 提 案 す るカ 学 モ デ ル と と も に 示 し 、 数 値 解 析 を 用 い た 検 討 に よ り 実 効 性 を 明 ら か に し た も の で あ り、 岩 盤 工 学 ・ ト ン ネ ル 工 学 に 対 し て 貢 献 す る と こ ろ 大 を る も の が あ る 。 よ っ て 著 者 は 、 北海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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