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課題遂行のための使用方略と先延ばしとの関連について

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(1)

         平成24年度学位論文

課題遂行のための使用方略と先延ばしとの関連について

    一課題遂行時の状況を考慮して一

兵庫教育大学大学院

学校教育研究科人間発達教育専攻 教育コミュニケーションコース

   MllOO3B

   薗   里  奈

(2)

目次

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  1

第1章問題と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 2  第1節 先延ばしの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…   2   第1項先延ばしの定義

  第2項 不適応的な先延ばし   第3項 適応的な先延ばし

  第4項先延ばしプロセスと個人特性

 第2節 先延ばしと使用方略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  8   第1項行動を実行するための方略について

  第2項セルフコントロールによる方略について

 第3節 先延ばしに関連する要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  13   第1項 認知される課題状況の要因

   1.難易度について    2.他人への迷惑について    3.忙しさについて

  第2項依存性の要因

 第4節 本研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  18

第2章方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 20  第1節 予備調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  20

  第1項問題と目的

  第2項 方法    1.調査対象者    2.調査内容

    (1)フェイスシート     (2)質問項目

    (3)手続き     (4)調査時期   第3項 結果

   L「っいっい後回しにしてしまう、やりたくないことで、でもどうしてもやらなければいけない      こと」について

   2.「そのやりたくないことをやるために、あなたは普段どうしていますか」につい      て

(3)

  第4項考察と本調査の質問項目の設定

  1.日常生活の中で人が何を先延ばししてしまうのかについて

  2.先延ばしにしてしまいそうなことへとりかかるためにどうしているのかについて    (1)気晴らし方略に関する項目

   (2)自己完結型SCによる方略に関する項目    (3)他者介在型SCによる方略に関する項目

第2節 本調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  24  第1項 調査の概要

  1.調査協力者   2.調査時期   3.手続き

 第2項質問紙の構成

  1.フェイスシート

  2.遅延傾向・依存性に関する項目

  3.レポート課題遂行のための使用方略についての項目

  4.課題遂行時の状況と課題にすぐとりかかるかどうかと課題遂行のための使用方略について    (1)レポート課題について

   (2)レポート課題遂行時の状況について

   (3)レポート課題にすぐにとりかかるかどうかについて

   (4)それぞれの状況においての課題遂行のための使用方略について

第3章結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 29  第1節 因子分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  ....2g   第1項 課題先延ばし行動測定尺度の因子構造

  第2項 対人依存欲求尺度の因子構造

  第3項 課題遂行のための使用方略尺度の因子分析について

 第2節 遅延傾向と対人依存欲求と日常の課題遂行のための使用方略との関連につい

     て・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 31   第1項遅延傾向と日常における課題遂行のための使用方略との相関

  第2項遅延傾向と対人依存欲求との相関

  第3項 日常の課題遂行のための使用方略と対人依存欲求との相関

  第4項 依存高低群と遅延傾向と日常の課題遂行のための使用方略との相関

 第3節 課題遂行時の状況と課題遂行の先延ばしとの関連について・・・・・・・・・・・… 33  第4節 状況の各要因と課題遂行のための使用方略との関連について・・・・・・・・・・…  35   第1項状況の各要因と気晴らし方略との関連

  第2項 状況の重要:因と自己完結方略との関連

(4)

 第3項状況の各要因と他者介在方略との関連

第5節個人特性と日常の課題遂行のための使用方略との関連について・・・・・・・・・… 42  第1項個人特性についてのタイプ分け

 第2項個人特性の各群と日常の課題遂行のための使用方略との関連

第6節 課題遂行時の状況と課題遂行のための使用方略との関連について・・・・・・・・…  45 第7節 個人特牲ごとの状況と課題遂行のための使用方略との関連について・・・・・・・…  48  第1項 「遅延低・依存低群」について

 第2項 「遅延低・依存高群」について  第3項  「遅延高・依存中群」について

第4章総合考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 54  第1節 本研究の成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  54   第1項 依存性と先延ばしはどのように関連するのだろうか

  第2項 課題遂行時の状況の各要因が先延ばしや課題遂行のための使用方略にどのように関連する       のだろうか

  1.先延ばしとの関連

  2.課題遂行のための使用方略との関連    (1)気晴らし方略

   (2)自己完結方略    (3)他者介在方略

  第3項 個人特性によって課題遂行のための使用方略はどのように異なるのだろうか   1.日常の場合

  2.状況の異なる場合

 第2節 本研究から導かれる「先延ばし」観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  59  第3節 今後の課題と展望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  61

おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 63

引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  ......64 謝辞

付録(補足資料)

 1.予備調査用紙  2.本調査質問紙

(5)

はじめに

 学校生活ではレポートや課題、日常生活では家事や部屋の片づけなど、しなければいけ ないと思いながらも、っいっい先延ばしにしてしまうことがある。このような傾向を遅延 傾向と呼ぶ。遅延傾向は、大学生に多くみられ、学業不振や学業停滞につながるとされて

いる。

 筆者は、大学でのレポート課題などを、先延ばしにしてしまい、直前になってバタバタ と課題に取り組み、内容が不十分なまま、なんとか提出期限ぎりぎりに出すという経験を 何度となく繰り返した。また、たいていギリギリではあるが提出はできるため、先延ばし

をして痛い目にあったことをすっかり忘れ、また次のレポートが出た時に同じことを繰り 返すという、負の連鎖に陥るという経験がある。この修士論文の問題意識を深める際に、

様々なテL一一一一マについて検討した。そのうちに、自分自身の中に やりたくないことを先延 ばしにしてしまう という問題があることに気づいた。そこから、先延ばし研究にたどり つき、現在に至っている、

 一方、世の中には、先延ばしをせずにすぐに取りかかることのできる人もたくさんいる。

また、同じ課題であってもその時の状況や背景によって、先延ばされることと先延ばしさ れないことがある。そこで、先延ばしする人としない人の違いや先延ばしが生じる状況や 環境について考慮し、検討していくこととした。

 先延ばしにせずに物事に取りかかるために、人はどうしているのだろうか。これが、筆 者の素朴な問いである。先延ばし研究において、個人特性との関係が多く取り扱われてい る。しかし、先延ばしを個人特性のみで検討するだけでは、行動遅延への対処につながら ないとされている。そこで本研究では、先延ばしへの対処につなげるために、行動をおこ すための使用方略に着目していく。自己教示や自己強化といった自ら自己の行動をコント ロールする方略が有効であるとされているが、自分だけではなく他者と一緒に行動するこ とにおいてもよい効果があるのではないかと考える。また、具体的に状況を設定すること で、先延ばしをするかどうかや使用方略が変わってくるのではないだろうか。筆者の場合 は、他人に迷惑をかけるような時には先延ばししない傾向にある。このように、状況を考 慮した先行研究は少ないようであった。

 そこで、本研究では、先延ばしと課題に取り組むための使用方略の関連について検討す る。また、課題に取り組む際の状況を考慮する。本研究から、先延ばし傾向のある人たち の先延ばしが少しでも改善できるような糸口が見つかることを期待したい。

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第1章問題と目的 第1節 先延ばしの概要  第1項先延ばしの定義

 先延ばし(procrastination)の定義は様々であり、研究者によってその解釈は異なってい る。そこで、行動の側面としての定義と遅延傾向や先延ばし傾向といった個人の特性とし ての側面を表す定義の2つの観点(黒田・望月,2012)から考えていく。

 行動の側面を表す定義としては、行動の延期を表すものがある。「主観的な不快感を経 験する作業のとりかかりや完成を不必要に延期する行為」(Solomon&Rothblum,1984)、

「今日すべきことを明日に延期すること」(Milgram, Stroloff,&Rosenbaum,1988)、「目 的に到達するために必要なことを延期すること」(Lay,1986)、「自分が希望する時間の枠 組み内に活動を終わらせることに失敗すること、あるいは完成させるつもりの行動をぎり ぎりまで延期させることを含んでいる」(Wolter,2003)などである。

 行動の回避を表すものもある。「自己のコントロール下にあり、主観的に重要であると 思われる課題の遂行を、一時的または完全に回避したり、そのことから逃避すること」(亀

田・古屋,1996)があげられる。

 また、意に反した行動を先延ばしと捉える定義も存在する。「課題をやらなければなら ないと意識しつつも、一時的に、課題遂行を阻害する別の行動を行うこと」(小浜・松井,

2009)や「やらなければならないと思いながらも、一時的に課題とは無関連、あるいは課 題を妨害する行動をとる現象」(小浜,2010a)、「終わらせよう、あるいは終わらせたいと

まで感じている学業課題にも関わらず、期待された時間の枠内で達成することに失敗する こと」(Senecal, Koestner,&Vallerand,1995)などである。

 一方で、「課題の開始、もしくは完了を意図的に遅らせる行為」(Brownlow&Reasinger,

2000)、「意志決定の回避とは区別され、行動の遅延によって事態がいっそう悪化すること が予想されるにもかかわらず自発的に遅らせることを意味する」(Steel,2007)など、先延 ばしは意図的で自発的な行動である(Ackerman&Gross,2005)とする定義も存在する。

 個人の特性としては、「達成する必要がある取り組みを先延ばしにする行動傾向」(Lay,

1986)、「理由もなくものごとを遅らせる、怠惰で自滅的な習慣」(Tice&Baumeister,1997)、

「意図した行動の実行を不必要に遅らせる傾向」(宮元,1998)、「自己のコントロール下で の活動を一時的または完全に回避あるいは延期する傾向」(Truckma11&Sexton,1989)な

どがあげられる。

      2

(7)

 そこで、本研究では、先延ばしを個人特性と捉えると同時に先延ばし行動とも捉え、「行 為者がやろうと思えばできることを不必要に遅らせている行動と定義する。

 第2項 不適応的な先延ばし

 多くの先行研究において、先延ばしは不適応的な行動(Solomon&Rothblum,1984)、も しくは傾向と捉えられてきた。これらの先行研究を先延ばしによる心理面との関連と実務 的な影響から考えていく。

 心理面との関連として、先延ばし傾向のある人は、それ以外の人に比べて特性不安や抑 うつが高く(林,2007)、自尊感情が低い(Schouwenburg,1992;Solomon&Rothblum,

1984)とされている。中高生でも大学生と同様に先延ばし特性と教科への自信のなさとの 関連が示されている(Owens&Newbegin,1997;Owens&Newbegin,2000)。

 また、先延ばしによってストレスや否定的感情が生じている(小浜・松井,2007)、先延ば し傾向が高くなるにつれて全般的に否定的な感情と結びつきやすくなる(Tice&

Baumeister,1997)などの先行研究もあげられる。これは、中高生でも同様の結果が示され ている(Owens&Newbegin,1997)。林(2009)は、先延ばしが否定的自動思考1を高め、結 果として不安および抑うつを高めることを明らかにした。つまり、先延ばしが過度に行わ れるようになるにつれて先延ばし後の自動思考が生じ、それにより抑うつ感情や不安感情 が経験されるということである。

 また、学業的延引行動は、否定的な他者評価を回避する(龍・小川内・橋元,2006)ことが 明らかにされている。

 しかし、一方で、先延ばし傾向と不安感情との関連は指示されない(Lay&Silverman,

1996;宮元,1998)などの多数の先行研究とは違う結果を明らかにしたものもある。先延 ばしにはポジティブな影響とネガティブな影響の両方が存在し、短期的にはポジティブな 影響が強く表れ、長期的にはネガティブな影響が強く表れる(Tice&Baumeister,1997)

という、先延ばしの二面性を示す先行研究もある。これらのことから、先延ばしの心理的 な影響として、先行研究の知見に一致がみられないことがわかる。

 実務的な影響として、先延ばし者は非先延ばし者に比べ作業速度や作業の正確性が低い

(Ferrari,2001)、先延ばしの常習者は先延ばししない者よりも、認知的な負荷の高い課題

1自動思考とは、自分の意図に関係なく、意識上にポップアップしてくる思考で抑うつ感 情や不安感情などの否定的な感情を生じさせるもの(林,2009)である。

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において遂行速度が遅く、誤答も多い(Ferrari,2001)とされている。このことは、藤田

(2005)の先延ばしをよくする人ほど、失敗をする傾向(アクションスリップ、認知の狭小化、

衝動的失敗)が高いということと一致している。課題を先延ばしにする人は、ギリギリにな ってあわてて課題に取り組むために、ケアレスミスによるアクションスリップを起こした り、余裕がなく、処理できる情報の範囲が狭まり失敗してしまったり、行動のプランが不 十分なために目先のことを優先して衝動的になり、失敗を起こしてしまう(藤田,2005)こと が明らかになった。また、冨塚(2008)は、女性は男性に比べて、約束事に対する計画を念 入りに立てることに時間を費やし、そのために「行動の遅れ」という結果が生じるとして いる。一方で、実際に特定の課題を与えた際の先延ばしの程度との間に有意な関連性が認 められない(Pychyl, Morin,&Salmon,2000)などの他の先行研究の知見と一致しないもの もある。

 また、学業成績との関連については、両者に負の関連があるとされている(Ferrari,

Johnson,&McCown,1995;Solomon&Rothblum,1984)。また、先延ばしが学習者の達 成行動の妨害や、学業成績の劣化などを誘発している(亀田・古屋,1996)ことが明らかにさ れている。eラーニングにおいては、不合格群は合格群よりも高い先延ばし傾向得点を示 す(向後・中井・野嶋,2004)ことが示されている。しかし、Chu and Choi(2005)は、二二 延ばし特性者の中でも、先延ばしを意図的に行うことや、(先延ばしをしても)課題の成果 に満足しているなどの要件を満たす能動的先延ばし特性者と低先延ばし特性者との成績に 差がないとしている。

 先延ばしを継続的に行うことの影響として、学習者が習慣的に延引を繰り返すことは、

学習の機会を失い、学習の成績を損ない、深刻な不適応状態に陥る(Solomon&Rothblum,

1984)ことがあげられる。藤田(2010)は、先延ばし行動を頻繁に行う学生には、様々な認知 的方略に関する豊富な知識やスキル、メタ認知的な熟達、さらに高い自己効力感や目標達 成志向を含む適応的な動機づけ信念や態度を示すなどの特性が欠けているとしている。こ れらのことから、学業成績に関しては、不適応的側面が多いと考えられる。

 第3項適応的な先延ばし

 先行研究において、その先延ばし行動が意図的か非意図的かで、先延ばし後に生じる感 情や学業成績などへの影響が異なることが示されている。

 Chu and Choi(2005)は、意図的な先延ばしを行う者は非先延ばし者との間に抑うつや学        4

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業成績の差が見られず、受動的な先延ばしを行う者に比べ学業成績が高く、ストレスや抑 うつの程度が低いことを明らかにした。また、小浜・松井(2007)は、意図的な先延ばしに よって肯定的感情が生じるとしている。つまり、意図的に先延ばしを行おうと意識するこ とで適応的な先延ばしが可能であるということである。また、小浜(2010a)は、計画性をも った能動的な先延ばしプロセスと、課題のつらさなどを理由とする非能動的な先延ばしプ ロセスでは、前者の方が適応的な感情や成果につながることを明らかにした。

 また、及川(2003)は しなければならない行動 を別の何かに行動することを、気晴ら しと考えている。気晴らしは問題解決の先送りの原因になるという意味では非適応的であ るが、効果的に行えば課題に取り組む際の効果的な情動調整方略になることを指摘してい る。村山・及川(2005)は、回避的な方略には行動レベルでの回避と目標レベルでの回避の 二側面が存在し、目標レベルでの回避が行わなければ回避的な方略は適応的に働くことに なるとしている。Chu and Choi(2005)や小浜(2010a)において指摘された意図的で能動的 な先延ばし(active procras七ination)は、及川(2003)、村山・及川(2005)において示された

目標レベルでの回避が行われていない気晴らしに対応すると考えられる。

 このように、先延ばしは、不適応的、適応的な側面を兼ね備えていることが示された。

全体的にみると、やはり不適応的な側面が多くみられるが、例外として、先延ばしを意図 的に用いることで適応的に働く場合があることが分かる。

 小浜・松井(2007)は、課題場面における先延ばしを、先延ばし前・中・後から構成され るプロセス(先延ばし過程)として捉え、先延ばし過程における意識の変化について検討し、

先延ばし過程を4つに分類している。

 第一が、「息抜きのための先延ばし」である。課題遂行に伴う辛さや憂うつなどの否定 感情と息抜きや気分転換を理由に先延ばしを行い、先延ばし中には辛さや焦りなどの否定 的感情をもつ。先延ばし後は、否定的感情はなく、課題へのやる気が向上するため、課題 に対する支障は、低いか中程度である。

 第二が、「感情葛藤を伴う先延ばし」である。やる気のなさや課題に対する単純な逃避 から先延ばしを行い、徐々に課題をやらなければならないことを意識することで、先延ば し中に葛藤や自己矛盾、気の重さを感じる。先延ばし後は、課題に対する否定的な意識を もちながらも現実を受け入れようとする意識が生まれ、課題遂行を行う。

 第三が、「外的理由による先延ばし」である。他の用事や忙しさから先延ばしを行い、

先延ばし中は罪悪感と課題への気がかり、結果への否定的な予期が生じる。そのため、課

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題そのものや課題の成果に対して意識が向けられ、課題遂行に支障が生じる。また、自己 嫌悪などから先延ばしが楽しめず、精神的にも悪影響がでる。

 第四が「意図的弓延ばし」である。状況の楽観視や自分を追い込むために先延ばしを行 い、先延ばし中は課題を忘れて解放感を感じることができる。しかし、先延ばし後には後 悔や自己嫌悪が生じる。

 これら4つのパターンのうち、第二と第三のパターンは、非意図的な先延ばしが不適応 的な側面をもつことを示している。また、第四のパターンは、意図的な先延ばしであって も、不適応的に働く場合もあることを示している。一方、第一のパターンは意図的な先延 ばしが適応的に働いていることを示している。つまり、先延ばしを意図的に用いると、適 応的に働く場面があることが示唆される。

 第4項 先延ばしプロセスと個人特性

 先延ばしにはいくつかのパターンがあることが示されているが、そのパターンを個人特 性との関連において進行するプロセスとしてとらえる研究がある。小浜(2010a,2010b)は、

その観点から先延ばしのプロセスを3種類に分けている。

 第一が「否定的感情プロセス」である。常に、否定的感情を生じているため、課題遂行 にも悪影響を与える。また、先延ばし中の肯定的感情が生じにくいことから、気晴らし方 略として機能せず時間だけを消費する不経済なプロセスであるが、一般的である(小浜,

2010a)。個人特性においては、情緒不安定性が高く、かつ誠実性の低いタイプによって行 われる(小浜,2010b)。直接、否定的感情と関連はないが、自尊感情などを扱った研究があ る。高遅延傾向者は自尊感情が低く、公的自己意識が高いこと(Solomon& Rothblum,

1984;亀田・古屋,1996)や、自己効力感の低い人ほど先延ばし行動傾向が強い(冨塚,2008)

ことがわかっている。また、遅延傾向は自己評価の機会を回避することによって、自尊感 情の低下や他者に与える印象の悪化から自己を防衛する手段となっている(亀田・古屋,

1996)。また、自己効力感や自尊感情は、失敗への恐れと関連すると想定される一方で、

それとは独立して先延ばしに影響を与える(Burka&Yuen,2008)ことが明らかにされてい る。しかし、二二(2008)は、自己効力感の低い人も高い人も、課題の重要度に関わらず、

先延ばししていることを明らかにした。このように、先行研究において先延ばしと自尊感 情や自己効力感との関連についての知見の一致がなされていないことが示された。

 第二が「楽観的プロセス」である。状況の楽観視から先延ばしを行い、先延ばし中には        6

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肯定的感情が生じるが、先延ばし後には後悔や自己嫌悪が生じる。背景に計画錯誤2が存在 しており、大学生に生じやすい(小浜,2010a)ことが示されている。誠実性のみが低いタイ プによって行われる(小浜,2010b)。楽観性について扱った先行研究もある。 Buehler and Griffin(2003)は、計画段階で人々は課題遂行を楽観的に捉え、それに費やす時間的コスト を少なめに見積もった計画を立ててしまうので、実際の行動は計画通りに進まず、結果的 に遅延が生じるとしている。また、増田(2010)は、レポート作成時に、楽観傾向の高い人 は、レポート作成を早く完遂する計画たてるが、結果としてレポートの完成が計画よりも 先延ばされることを明らかにした。これは、小浜(2010a)における、楽観的プロセスにおい て、計画錯誤が生じていることと一致する。一方で、増田(2010)はレポート作成時に、悲 観傾向の高い人において、楽観傾向の高い人と先延ばしのメカニズムは異なるものの、結 果的に先延ばしが生じることを明らかにしている。つまり、悲観的、楽観的な傾向はどち らも先延ばしを引き起こすことが示された。また、黄・見玉(2009)は楽観性、自己肯定感、

特性不安と先延ばしの関係について検討している。その結果、属性的楽観性3は、先延ばし を促進する場合と、自己効力感が促進し、その行動をうまく成し遂げる見通しがたったた め、先延ばしを抑制する場合があることを明らかにした。また、楽観的な原因帰属様式4は、

先延ばしを抑制し、行動を促進することが明らかにされた。これらのことから、楽観性は 先延ばしを促進する場合と抑制する場合があることが示唆された。

 第三が「計画的プロセス」である。息抜きのために能動的に先延ばしを行い、先延ばし が有効な気分転換となり課題への支障を軽減する(小浜,2010a)。不適切な先延ばし特性が 低く、熟考的なタイプによって行われる(小浜,2010b)。

 これより先延ばしのプロセスが、個人特性によって変わることが示唆された。そのため、

先延ばしを検討する際には、個人特性を考慮する必要がある。

2計画錯誤とは、行動に要する時間的コストの見積もりが実際に比べてズレてしまう現象

である(増田,2010)。

3属性的楽観性とは、結果に対するポジティブな期待を持つ傾向を示す(黄・見玉,2009)。

4原因帰属様式とは、ある出来事の原因についての解釈における個人差のことである(黄・

見玉,2009)。

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第2節 先延ばしと使用方略

 先行研究から、先延ばしに関連する要因として、個人のリテラシ・一一一・の要因(龍・小川内・

橋元,2006)、認知される課題状況の要因(藤田・岸田,2006)、個人特性の要因(小浜・松井,

2007;宮元,1997)、の3点があげられる。本節では、個人のリテラシーの要因(龍・小川 内・橋元,2006)について検討していく。

 先延ばしの要因として、時間的なマネジメントスキルの貧弱さや学業に対する具体的な 取り組みの知識の欠乏などの個人のリテラシーの要因があげられる。Vallerand(1995)は、

先延ばしは時間管理スキルのなさが原因のひとつであるとしている。これは、修了試験の ための学習に対する大学生の時間管理と先延ばしとの間に負の相関がみられている(Lay,

1992)という先行研究に一致する。また、龍・小川内・橋元(2006)は学業に対する具体的な 取り組み方の知識に乏しいため、適切な時期に課題の着手を行わず、不適応的な先延ばし 行動をしてしまうことを明らかにした、

 このように、具体的な対処方法に対する知識のなさが問題にあげられる。そこで、本研 究では、具体的な対処方法を方略として考え、課題を遂行するための方略について検討し

ていく。

 第1項 行動を実行するための方略について

 学業課題に限らず、日常におこる先延ばし行動に対する対処方略についての先行研究と して、宮元(1997,1998)があげられる。

 宮元(1997)は、遅延傾向と行動遂行に対する態度・特性および方略との関係について検 討している。その中で、特に方略について示していきたい。遂行困難な行動を実行するた めの方略として、Kuhl(1995)とCorno(1993)の実行に困難な活動を開始させるための意志 的方略(volitional strategies)の、注意のコントロール5、感情動機のコントロール6、行動 のコントロール7、を参考に項目を作成している。結果として、方略についての項目は、「行 動の促進・情動(覚醒)および動機づけの調整」「努力志向(注意のコントロール)」「気分転換」

5注意のコントロールとは別の活動へ向かう欲求をブロックし、また妨害刺激への注意を 遮断することである(宮元,1997)。

6感情・動機のコントロールとは行動を阻害する気分をコントロールし、また当面実行し ようとする活動にたいする動機づけを高めるような認知的な面での調整をすることである

(宮元,1997)。

7行動のコントロールとは意図の実行を促進するため、プランを明確にしたり、スケジュ ールを立てるなどすることである(宮元,1997)。

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「消極的、受動的姿勢」の4因子に分けられた。遅延頻度の少なさと関係するものは「努 力志向」であり、しかも、自己規律の強い人ほど、このような方略を使う傾向にあった。

また、受動的・消極的姿勢は遅延と正の相関があり、このような方略に頼ることが遅延の 原因になっている可能性もあることが示唆された。

 また、翌年には遅延、方略尺度の再構成、および諸特性との関連について検討している。

方略尺度の作成において、宮元(1997)の36項目の方略レパートリー尺度を参考にしてい る。下位因子として、以下の5因子が抽出された(Table 1)。認知・思考主体のコントロ ールを示す「知性化(合理化)」(以下知性化方略)、意志や忍耐による努力を示す「意志的努 力」(以下意志方略)、行動を促進するために計画を立てることを示す「計画見通し」(以下 計画方略)、興味や実行の容易を重視、またリラックスや気分転換などを取り入れ気分を調 整することを示す「動機や気分の調整」(以下調整方略)、やる気になるまで待つ、やりた くない時にあえてやらないといった受動的・消極的態度を示す「消極的・受動的態度」(以 下受動方略)である。また、これまでの先行研究から、調整方略や受動方略は、意図的な先 延ばしを意味しており、意志方略、計画方略、知性化方略においては、意図的な先延ばし をせずに行動にうつすための工夫としてとらえることができる。これらのうち、遅延傾向 と関連のあったものとして、意志方略や計画方略等のよりアクティブな方略と遅延の間に 負の相関、受動方略との間に正の相関がみられたが、調整方略や知性化方略等とは相関が みられなかった。また、方略の使用頻度は、調整方略、受動方略、意志方略、計画方略、

知性化方略という順であった。一方で、方略の有効性に関しては、調整方略、計画方略、

知性化方略、意志方略、受動方略という順であった。特に受動方略については使用頻度と のズレが大きいことがわかり、受動方略はよく使われるが、実際には有効でないことが共 通に認識されている。一方で、意図的な先延ばしである調整方略が一番有効とされており、

適応的な側面が認められた。また、方略の使用頻度と有効性の評定にはある程度高い相関 があるが、有効性の評価に関しては遅延傾向の高低との関係はみられないことが明らかに なった(宮元,1998)。このように有効性の観点から、意図的な先延ばしが、不適応的である 場合と適応的である場合があることが示された。

 このようにさまざまな方略があることが示されたが、さらに宮元(1998)は、その他とし て「友人と励まし合う」「誰かに相談したり、愚痴をきいてもらったりする」など、どの因 子にも入らなかった項目があったことを示している。そこで、自分だけではなく他者と一 緒に行動することで、よい効果があるのではないかと推測する。

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Table 1 方略レパートリーの尺度と項目(宮元,1998 p.37より引用)

●知性化(合理化)  項目数7 α=.75 平均15.21(5.48) 平均/項目数2.17

ST 3 仕事や勉強をする気が起きない時は、それをやり遂げることが自分にとってどれほどよいことかを改めて考える ST 7 過去に自分が物事を一所懸命にやり遂げることができた時のことを思い出す

ST15 始める前に、自分がその仕事や勉強を一所懸命にやっている姿を頭に思い描く ST20 なぜ自分は今やる気が起きないのかという原因を改めて考えてみる

ST23 やる気が起きない時は、とにかく自分をはげましてがんばろうとする

ST24 それをすることが、今の、あるいは将来の自分にとっていかに必要なことであるかを考える

ST29 難しくて自分にはできそうにないように感じた時には、「自分はできる」とか、「だいじょうぶ」と自分に言い聞かせる

●意思的努力    項目数6 α=.71 平均17.24(4.83) 平均/項目数2.87 ST 9 今我慢してやれば、後で存分に好きなことができるのだ、と考えて我慢する ST25 何か別のことがしたくなったら、とにかく今はダメだと自分に言い聞かせる ST26 やりたくない仕事や勉強でも、とにかく机に向かって、少しずつやる ST33 今それをしなければ、後で自分がどれほど困るかを想像してがんばる ST34 やる気が起きなくても、とにかく始めてみる

ST35 何か別のことが頭に浮かんだら、とにかくすぐに頭から追い出そうとする

●計画・見通し    項目数4 α=.62 平均10.88(3.72) 平均/項目数2.72 STl それをやり終えた時のための楽しみ(ほうび)を自分のために用意しておく

ST 2 計画(仕事や勉強の手順)を明確に立ててみる ST17 当面すべきことを紙に書き出す

ST28 最終的な目標までの道のりを、まず小さな部分(段階)に分け、その一・つ一つの部分を達成してゆくことに専念する

●動機や気分の調整  項目数7 α=.64 平均24.22(5.17) 平均/項目数3.46 ST 8 あれこれ気になって物事に集中できない時には、しばらく休んで頭の中を整理する STIl その課題が難しそうでとっつきにくい時は、少しでもやりやすそうな所を探してそこから始める STI3 何時間かやったら、必ず休憩をとり、その間は好きなことをするように決めておく

STI6 やる気が起きない時には、お茶やコーヒーを入れたり、タバコを一服するなりして気分転換をする STI9 仮眠して頭と体をすっきりさせる

ST30 「〜時ちょうどから始めることにしよう」のように、きりのよい開始時間を決ある ST32 自分が興味を持てるところを探してそこから始ある

●消極的・受容的態度 項目数5 α=.73 平均16.54(4.44) 平均/項目数3.31 ST 4 今、他にやりたいことがあって気が乗らないのなら、やりたいことの方を先にする ST 6 ぎりぎりの時点になるまでわざと自分を追いつめてから一・気にやる

ST12 やる気が起きない時には、やる気になるまで待つ ST27 やる気が起きない時には、無理にやらない

ST36 やる気が起きない時は、しばらく自分の好きなことをする

*その他(どの尺度にも入らなかった項目)

ST 5

STIO ST14 ST18 ST21 ST22 ST31

深呼吸をしたり、軽い運動をするなどして、リラックスする 頭の中でカウントダウン(秒読み)をして、スタートをきる

仕事や勉強を始める前には、じゃまにならないように身の回りのよけいなものを片づける 好きな音楽やラジオを聴きながらやる

誰かに相談したり、グチを聴いてもらったりする

テレビや本(漫画)やゲームなどの誘惑物があって気が散るような時には、勉強する部屋を変える 友人と励ましあう

10

(15)

 他者が傍らにいるだけで、行動や振る舞いは、一人のときとは異なったものになり、他 者の存在が作業の遂行や成績を高めることを社会的促進(social facilitation)という(大森・

千秋,2011)。大森・千秋(2011)は、他者の存在が、映像に対する主観的面白さと、笑いの 表情の表出に与える影響について検討している。その結果、1人の時に比べて、2人で見 た時の方が、映像はより面白く、より笑えたと評定され、さらに笑い表情の表出回数も多 いことが明らかになった。また、湯川・吉田(1998)は、暴力映像を視聴した場合、他者の 存在は不安を低減してポジティブな認知や感情の喚起を促し、ネガティブな感情の喚起を 抑えることを明らかにした。このように、他者の存在が有効に働くことがあることが示さ れている。

 他者と協同して学習する場合においても同様のことが言える。例えば、藤田(1996)は、

支援学習群(2人1組で、各被験者間での活発な情報交換がなされる協同学習群)の方が、

孤立学習群(2人1組になっているが、各被験者間では情報交換や学習支援がなされず、個 別に学習が行われる)より、得点の上昇率や正答率が高いことを示している。これは、支援 学習群では、実験的に付加された活発なコミュニケーションによる学習支援という条件が 自己効力を高め、その結果として被験者がポジティブに課題遂行に取り組んだためである としている。また、齊藤(2008)は、他者との関連がある課題遂行場面は、他者の存在によ り、自らの努力を促進する効果があることや協同で課題遂行する他者の存在が、課題遂行 に対する肯定的な気持ちを増加させていることを明らかにした。

 奈田・丸野(2007,2009,2011)は、一連の研究で小学3年生を対象に最短ルートで指定さ れた品物を購入してくる買い物課題を用いて、他者との協同場面についての実験を行って いる。その結果、他者との協同場面において、自他の考えの比較・吟味といった自己省察 を行うことで、速やかに問題解決に必要な諸要素に気づくことができ、有効な解決方略の 内面化が促されることを示している(奈田・丸野,2009)。このように、問題解決に有効な解 決方略を内面化していくために、他者とやりとりすることで自分とは異なった考えに触れ

ることが重要であることが示唆されている(奈田・丸野,2009)。

 そこで、課題遂行のための使用方略の項目として、他者を介在する方略を取り入れるこ

ととする。

 学業場面における先延ばしと学習方略の使用との関連について同様の知見が見られる。

森(2005)は、英語学習における、学習観と課題先延ばしと学習方略使用との関連を検討し ている。学習方略として、自分が学習内容を理解しているかどうかモニターしながら学習

(16)

する方法である理解方略、自己の習得状況や見通しを立てた上で計画を練る学習方略であ るプランニング方略、他者の援助を求める方略である人的リソース方略を使用している。

その結果、課題を先延ばしする傾向が高いと理解方略やプランニング方略を使用しない傾 向があることを明らかにした(森,2005)。プランニング方略においては、課題先延ばしの原 因のひとつとして、時間管理スキルのなさがあげられている(Vallerand,1995)ことや先延 ばし行動者は時間管理方略をあまり使用しない(Lay&Schouwenburg,1993)という先行 研究と一致する。

 これらの学習方略は、宮元(1998)の方略レパートリー尺度において類似するものと考え られる。理解方略は、知性化方略や意志方略、時には調整方略となり、プランニング方略 は計画方略、人的リソース方略はその他として捉えることができる。このように、学習方 略と行動を実行するための方略において、共通する部分が見受けられた。また、他者の援 助を求める方略や他者と協同する方略を使う視点が広がりつつあることが明らかになった。

 第2項セルフコントロールによる方略について

 学業課題に対する先延ばしへの対処方略として、セルフコントロールによる方略があげ られる。セルフコントロールとは「直接的な外的強制力がない場面で、自発的に自己の行 動を統制すること」(Thoresen&Mahoney,1974;上里監訳,1978)である。藤田(2006)は、

自己統制感(Locus of Control以下LOC8)とセルフコントロール(杉若,1995)の2点に焦点 をあて、先延ばし行動との関連について検討している。その結果、LOCのように信念レベ ルで行動をコントm・一ルする仕方よりも、セルフコントロールのように実際に行動のコン トロL一一一・ルをする仕方が、課題先延ばし行動に影響していることを明らかにした。この流れ において他者を介在させた方略の検討もなされている。

 重松(2007)は、セルフコントロールの個人差を「自己完結型セルフコントロール(以下自 己完結型SC)」と「他者介在型セルフコントロール(以下他者介在型SC)」に分けて評価す る尺度を作成した。「自己完結型SC」とは、自己教示や自己強化といった自ら自己の行動 をコントロールするセルフコントn一ルであり、「他者介在型SC」とは、他者の活用によ って自己の行動をより効果的にコントロールするセルフコントロールである。また、各回

8LOCとは自分の行動に対する結果が、自分の力でコントロールされているのか、それと も、運や偶然などの外的な力によってコントロールされているのかという認知様式である

(藤田・野口,2009)。

      12

(17)

ルフコントローールの実行度に影響する要因として、高難易度条件(苦手な科目、試験範囲膨 大、試験内容の難易度が高い)、低難易度条件(得意科目、試験範囲少ない、試験内容の難 易度が易しい)をあげている。その結果、どちらのセルフコントロールも高難易度条件にお いてそれぞれの実行度が高まることが明らかにされている。しかし、細かな難易度条件と の検討はされていないことが問題点としてあげられる。

 藤田・野口(2009)は、「他者介在型SC」及び「自己完結型SC」と課題先延ばしの関係 について検討している。その結果、課題先延ばし行動を抑制するためには、他者介在型SC よりも、自己完結型SCの獲得が必要であることが明らかにした。このことから、本研究 においても、先延ばししない人は自己完結型SCを使うと推測する。また、藤田・野口(2009)

においては、自己完結型SCと先延ばしとの関連を中心に分析が行われていたため、他者 介在型SCについての検討が不十分であったと考える。

 そこで、本研究では、課題遂行のための使用方略をセルフコントロールによる方略とし、

自己完結型SCと他者介在型SCの視点から検討することとする。

 また、自己完結型SCと他者介在型SC以外の方略として、気晴らしを用いた方略につ いても検討する。気晴らしとは、「ストレス経験時に、自分の不快な気分やその原因から注 意をそらすために、他のことをしたり考えたりすること」(Stolle&Neale,1984)である。

前節でも述べたように、及川(2003)は、気晴らしは問題解決の先送りの原因になるという 意味では非適応的であるが、効果的に行えば課題に取り組む際の効果的な情動調整方略に なることを指摘している。また、小浜・松井(2007)において息抜きのための先延ばしがあ ることが示されている。このように、気晴らしは意図的な先延ばしとしても考えることが できる。小浜・松井(2007)や宮元(1998)では、意図的な先延ばしは不適応的な場合と適応 的な場合があることが示されている。本研究では、気晴らしによる方略は、セルフコント ロールによる方略と比べると、不適応的に働くのではないかと考える。そこで、引延ばし する人は気晴らし方略を使うと推測する。

第3節 先延ばしに関連する要因

 本節では、先延ばしに関連する要因としてあげられている、認知される課題状況の要因

(藤田・岸田,2006)、個人特性の要因(小浜・松井,2007;宮元,1997)、の2点について検 討していく。

(18)

 第1項 認知される課題状況の要因

 藤田・岸田(2006)は、先延ばしと先延ばし行動の原因との関連について検討している。

先延ばし行動の原因として「興味の低さによる他事優先」「先延ばし肯定・容認」「課題困 難性の認知」があげられており、課題先延ばし行動に影響しているのは、「興味の低さによ る他事優先」(特に大きい)と「課題困難1生の認知」であった。これは、Ackerman and Gross

(2005)の課題のつまらなさや困難度、コミットメントといった認知される課題状況の要因 が先延ばしに影響を与えるという見解と同様である。また、Steel(2007)は課題に対する嫌 悪によって先延ばしが強まるとしている。加えて、課題に対して楽観的な期待をもつほど、

先延ばしをしてしまうこと(黄・見玉,2009)や楽観的見通しのもとに遅延傾向が生じる事例 もある(亀田・古屋,1996)ことが明らかにされている。これは、楽観的見通しが焦りや不安 といった不快な感情を低減させ,結果として遅延傾向を強化しているためである(亀田・古 屋,1996)。これらの研究から、認知される課題状況によって先延ばしが生じると考えら

れる。

 本研究では、先延ばしが起こりやすい大学生の学業課題の中のレポート課題をとりあげ ることとする。これまでの先行研究において、状況の認知が楽観的であるため、先延ばし がおきるとされている。そこで、本研究においては、認知される状況を統制し、認知要因 に照らして、状況の側面を設定し、先延ばしに影響を与える楽観的な錯誤を統制すること

とする。

 1.難易度について

 外的要因の一つ目として、課題の難易度の高低についての要因を取り入れる。増田(2010)

は、客観的・主観的遅延とレポート課題作成時の先延ばしとの関連について検討している。

レポート課題作成前に、課題の難易度について7件法で尋ね、課題の難易度をどのように 捉えているかを検討している。その結果、課題を困難なものと認知するほど、その課題に 実際に着手することが先延ばしにされることを明らかにしている。しかし、これまでの先 行研究において、状況の認知が楽観的であるため、先延ばしがおきるとされている。そこ で、課題を低難易度と認知する方が、状況を楽観的にとらえ、先延ばしが生じるのではな いかと考える。つまり、低難易度の時、先延ばしが行われることが推測される。

 また、重松(2007)は、セルフコントロールの実行度に影響する要因として、科目に対す る認識(苦手、得意)、試験範囲の量(試験範囲膨大、それほど広くない)、試験内容の難易度

(高難易度、低難易度)の3要因をあげ、3要因を1セットとして高難易度条件(苦手な科目、

       14

(19)

試験範囲膨大、内容の難易度が高い)、低難易度条件(得意な科目、試験範囲はそれほど広 くなく、内容の難易度が低い)としている。結果としてどちらの条件においても、自己完結 型SC、他者介在型SCの実行度がそれぞれ高まることが明らかにされた。杉若(2000)は、

調整型SCをポジティブな結果のイメージや成功経験に関連した自己教示などの課題志向 的なものとその場の気分を和らげることのみを目的とする非課題志向的なものに分類した。

課題志向的な調整型SCは自己完結型SCと、非課題志向的な調整型SCが気晴らしと類 似すると考えることができる。八木・杉若(2000)は、課題志向的な調整型SCは目標達成 が容易な場合に実行度が高まり、非課題志向的な調整型SCは目標達成が困難な状況で実 行度が高まることを明らかにした。

 2.他人への迷惑について

 外的要因の二つ目として、課題提出の有無が他人に迷惑をかけるかどうかについての要 因を取り入れる。小池(2004)は、電話場面(「何時だろうが気にせず電話する1)、訪問場 面(「事前に連絡しないで人の家を訪問する」)、 借金場面(「お金を貸してと頼む」)、キ ャンセル場面(「あらかじめしていた約束を直前にキャンセルする」)、愚痴場面(「愚痴を こぼす」)ごとにそれぞれ迷惑低・中・高認知時の行為の実行度について検討している。そ の結果、訪問に関しては、迷惑と認知されない場面より認知される場面での行為の実行の 評定が高く、キャンセルと愚痴に関しては、迷惑と認知される場面より迷惑と認知されな い場面での行為の実行の評定が高かった。このように、状況や場面によって迷惑の有無が 行為実行に関わることが明らかにされている。また、谷(2007)は、乗車場面において、他 者の迷惑感を高く認知するほど迷惑行為は抑制されること、女性は友人がいることで迷惑 行動が抑制されることを明らかにした。翌年、谷(2008)は、電車場面における社会的迷惑 行為を取り上げ、共感性、他者の迷惑への気づき(他者の迷惑感)、身近な他者の在・不在(状 況)との関連について検討している。その結果、状況や共感性の高低とは関わりなく、他者 が迷惑していると気づくことで、迷惑行為は抑制されることを示している。

 本研究では、レポート課題の提出の有無が他人に迷惑をかける、迷惑をかけないという 条件を用いる。他人に迷惑をかける場合、自分の行いが他人に直接迷惑を与えるため、責 任感やプレッシャーが生じる状況であり、小池(2004)における迷惑高認知時、谷(2007)に おける他者の迷惑感を高く認知する時である(以下迷惑高認知時)と考えられる。レポート 課題の場合において、迷惑高認知時は先延ばしが行われないと考える。また、先延ばしを 迷惑行為と捉える場合においても同様のことが考えられる。そこで、他人に迷惑をかけな

(20)

い状況すなわち迷惑低認知時において、先延ばしが行われると推測する。

 また、他人への影響を考慮するため、課題遂行のための使用方略として他者介在方略と 関連があるのではないかと予測する。

 3.忙しさについて

 外的要因の三つ目として、自分自身の状況が、忙しいのかどうかについての要因を取り 入れる。大学生活においては、授業や試験などの学業の他に、アルバイトや部活動・サー クル活動、ボランティア活動や課外活動など、学業と競合するものが多数存在する。その 中で、レポート課題に取り組むために、自分自身の状況が、忙しい、忙しくないという要 因が大きく影響すると推測できる。小浜・松井(2007)は、先延ばしのプロセスの中に外的 理由による先延ばしがあり、他の用事や忙しさによって先延ばしがおこることを明らかに している。しかし、課題の認知において、課題に対して楽観的な期待をもつほど、先延ば しをしてしまうこと(黄・上玉,2009)が明らかにされている。大学生の場合には、後者の場 合があてはまると考える。時間の融通のきく大学生活において、時間的な余裕がある場合

に楽観的な期待がおこるのではないかと予測される。これらのことから、忙しくない時に 先延ばしがおこると推測される。

 また、難易度と時間配分について述べているものもある。野上・丸野(2005)は、主観的 に容易であると判断した学習項目には短い時間を配分し、困難なものであると判断した学 習項目には、長い時間を配分することを明らかにしている。また、野上(2011)は大学生が 学習目標の達成困難度の違いに応じて学習を優先する項目群が異なる時間配分方略をもつ こと、時間経過に伴って、学習を優先する項目群からその他の項目群へと学習時間が次第 に推移していくことを示唆している。

 第2項 依存性の要因

 個人特性の要因として、怠惰(藤田,2005)、やる気のなさや勤勉性のなさによって先延ば しが生じる(小浜・松井,2007)ことが明らかにされている。宮元(1997)は、規律性や勤勉性 のなさに由来する先延ばしと神経症的傾向に由来する先延ばしの2つのタイプの先延ばし が存在するとしている。また、大学生が述べるさまざまな先延ばしの理由の大部分が、「失 敗への恐れ(fear of failure)」に関係している(Solomon&Rothblum,1984;Burka&

YUen,2008;Ferrari, Johnson&McCown,1995;Steel,2007)ことが指摘されている。具 体的に、藤田(2005)は「学習・遂行達成への不安」、「完全主義傾向」、「自信の欠如」など        16

(21)

が関係していることを示している。先延ばしと個人特性との関連については、第1節第4 項の先延ばしプロセスと個人特性(小浜,2010b)の中でも明らかにされている。これらのこ

とから、先延ばしには個人特性の要因が大きく関わっていると考えられる。

 藤田・野口(2009)では、依存性と先延ばしの関連について検討しているが、有意な相関 関係は認められていない。一方、依存性は、他者介在型SCおよび自己完結型SCの実行 度に影響を与えることが示唆された。依存性のうち、統合された依存性9は、自己完結型 SCを促進させ、これを介して課題先延ばしを抑制しているが、依存欲求10は、他者介在型 SCを促進させるにとどまっていることが明らかにされた。つまり、依存欲求が高い者は、

その未熟さから他者に依存的となり、他者の力を利用する傾向が高いことが示唆された。

 本研究では、先延ばしにしてしまいそうなことにとりかかるための使用方略において他 者介在方略を扱う。そのため、他者介在方略を含む使用方略がどのような人に使用されて いるのかを検討するため、個人特性の要因として依存性を扱うこととする。

 山回・小玉(2006)は、国内外の先行研究を概観し、依存性は適応と不適応の両側面を持 つことを指摘している。不適応的な側面として、依存的な人は、自分自身が弱く無力であ るという見方をもっており、このような認知が様々な不適応をもたらす(Bonsten,1998)

こと、うっ、心理的苦痛や生活ストレソサー(福岡,2003)などの不適応的な特徴と関連する

(竹澤・小玉,2006)などがあげられる。つまり、依存的な人は、自分自身が弱く無力である という見方から自己強化や自己教示を使った自己完結方略を使うことができず、また、う つ傾向である場合は気晴らし方略の使用が困難であると考えられる。

 また、依存の不適応的で問題となる状態として、依存に対して回避的な孤立状態と過度 な依存状態の二つのパターンがある(竹島・小玉,2008)とされている。このことから、依存 に対して回避的な孤立状態である場合、他者介在方略を全く使用せず、逆に過度な依存状 態の場合、他者介在方略を使用するが、他者に頼りきってしまうことが推測される。この

ように、依存性の不適応的な側面から、自己完結方略と気晴らし方略の使用が困難であり、

他者介在方略においては両極端な使用が推測される。

 だが、二三・小玉(2004b)は、他者への依存経験に関して、大学生が他者に依存すること

9統合された依存性とは、相互依存的な関係から得た安定感を基礎として、自立的になる ために必要な依存性であり、自立性と相補的に存在する成熟した依存性である(藤田・野口,

200g).

lo依存欲求とは従来の依存性の概念と同様な、肯定的な反応を他者に求める未熟な依存性 である(藤田・野口,2009)。

(22)

によるよい影響として自分が成長することができる、逆に悪い影響としては自身の成長が 阻害されると感じていることを示唆している。つまり、良い影響として依存を捉えた際に は、他者介在方略を使用し、そこから自己完結方略の使用への可能性が推測できる。

 また、竹澤・小玉(2004c)は、自分へのポジティブな影響を考慮することが依存行動の表 出を高めることを示している。このことから、他者介在方略を依存行動の表出と捉えると、

人に頼ることで、自分の不安を和らげ、課題に立ち向かおうとしていると推測できる。

 竹澤・小玉(2006)は、依存性が適応的に機能するための重要な要因を「相互依存性」ll、

「依存状況においても自己決定や自立性を失わないこと」、「自分が依存することを受容す ること」、「対象,場面,課題によって柔軟な依存ができること」の4つにまとめている。

このように、依存性の適応的な働きから、他者介在方略が使用されることが推測される、

そのため、依存傾向の高い人は、他者介在方略を使うと推測する。

第4節 本研究の目的

 本研究では、課題遂行時の状況を考慮して、先延ばしと課題遂行のための使用方略の関 連について検討する。先延ばしに関連する要因とされている、認知される課題状況の要因 として状況を、個人特性の要因として依存性を、リテラシーの要因として使用方略をとり あげ、先延ばしとの関連について検討する。

 課題遂行時の状況については、課題の難易度(難易度H、難易度L)、課題提出の有無が 他人に迷惑をかけるかどうか(迷惑H、迷惑L)、課題遂行時の自分自身の忙しさ(多忙H、

多忙1.)についての3点を操作し、8種類の状況設定を行う。

 本研究で検討する項目は以下の通りである。

1 依存性は先延ばしにどのように関連するのだろうか  依存性と先延ばしの関連について探索的に検討する。

2 課題遂行時の状況の各要因は先延ばしや課題遂行のための使用方略にどのように関連   するのだろうか

(1)先延ばしとの関連

11相互依存性とは他者の依存を受け入れ、依存される側の役割も果たすこと(竹澤・小玉,

2006).

       18

(23)

 仮説1:低難易度の時、先延ばしが行われる。

 仮説2:迷惑をかけない時、先延ばしが行われる。

 仮説3:忙しくない時、先延ばしが行われる。

(2)使用方略との関連

 状況による課題遂行のための使用方略の違いを探索的に検討する。

3 課題遂行時の状況による課題遂行のための使用方略は、個人特性によってどのように   異なるのだろうか

(1)日常の場合

 仮説4:先延ばしする人は、気晴らし方略を使う。

 仮説5:先延ばししない人は、自己完結方略を使う。

 仮説6:依存傾向の高い人は、他者介在方略を使う。

(2)状況の異なる場合

 各状況において、遅延傾向と依存傾向から個人特性を捉え、探索的に検討する。

 これらの観点から、課題遂行時の状況を考慮して、課題遂行時の使用方略と先延ばしと の関連について検討していく。

(24)

第2章 方法 第1節 予備調査  第1項問題と目的

 前章では、先回ばしについての概要や使用方略、先延ばしに関連する要因について述べ たが、そもそも、どのような場面で先延ばしがおきるのだろうか。先延ばしされる場面と して、学生における学業課題についての先延ばしと、より全般的な日常生活における雑事 などについての先延ばしがある(Ferrari, Johnson,&McCown,1995)ことが明らかにされ ている。

 学業に対する先延ばしとして、学生の学業場面があげられる。先行研究において、95%

以上の大学生が遅延傾向にかかわっている(Ellis&Knaus,1979)、学業場面における先延 ばしの実態として、大学生の50%が勉強する時の2回に1回は先延ばしする(Hill, Hill,

Chabot&Barrall,1978)ことや大学生の46%がレポートを書く時、28%が試験勉強の時、

23%が授業中の課題(attendance tasks)の時に遅延傾向を示した(Solomon&Rothblum,

1984)、などが報告されている。このような学業場面における遅延はacademic

procrastination(Solomon&Rothblum,1984)と呼ばれている。また、先行研究の中では、

先延ばされる行動として学生にとって主観的に重要だと思われる学業課題を想定してきた ものが多い(Chu&Choi,2005;藤田,2010;亀田・古屋,1996;Solomon&Rothblum,1984)

ことが明らかにされている。

 日常全般に対する先延ばしとして、日常生活における家事などの雑務があげられる(亀 田・古屋,1996;Lay,1986;宮元,1997)。 Lay(1986)は、日常生活場面全般における先延 ばしを測定する尺度(General Procrastination Scale、以下GPS)を作成している。この尺 度を日本語訳した林(2008)は、原尺度どおり、1因子構造とした。しかし、宮元(1997)は GPSの下位因子を課題遅延(学業場面における遅延)と雑事遅延(日常生活上の雑務におけ

る遅延)の2因子構造ととらえている。

 このように、先延ばしされる場面として、学業場面と日常場面がとりあげられることが 多いようである。

 そこで、本調査での質問紙作成にむけて、予備調査を実施することとした。予備調査で は、日常生活の中で人が何を先延ばししてしまうのか、また先延ばしにしてしまいそうな ことへとりかかるためにどうしているのかについて検討し、本調査で用いる質問項目を作 成することを目的とする。

       20

(25)

 第2項 方法  1.調査対象者

 22歳〜64歳の大学院生(現職教員を含む)82名(男性32名、女性50名;平均年齢30.4 歳、SD=9.41)に対して調査を実施した。各年代、性別の割合は20代50名(61.0%、男性 21名、女性29名)、30代17名(20.7%、男性5名、女性12名)、40代12名(14.6%、男 性4名、女性8名)、50代2名(2.4%、男性1名、女性1名)、60代1名(1.2%、男性1名)

であった。

 2.調査内容

 (1)フェイスシート

 性別を選択式で、年齢、出身地を自由記述にて回答を求めた。

 (2)質問項目

「ついつい後回しにしてしまう、やりたくないことで、でもどうしてもやらなければいけ ないことは、あなたの場合どんなことですか?具体的に書いてください。いくつでもかま いません。」と「そのやりたくないことをやるために、あなたは普段どうしていますか?思 いつくまま書いてください。いくつでもかまいません。」と尋ね、自由記述にそ回答を求め

た。

 (3)手続き

 調査対象者に個別にアンケL一・.一・トを配布し、その場で回答してもらった。その場で回収で きなかった場合は、後日、回収箱に入れてもらった。

 (4)調査時期

 2012年6月

 第3項 結果

 1.「ついつい後回しにしてしまう、やりたくないことで、でもどうしてもやらなけ    ればいけないこと」について

 84名から得られた事例数はのべ269件であった。一人当たり平均記入事例数は、3.2件 となる。K:J法の結果、10個のカテゴリーが得られた。カテゴリー内容は、以下の通りで

ある。

 家事について(掃除、食事づくりなど)が84件(31.3%)、レポートや課題について(苦手な 分野のレポv一一・ト、課題など)が55件(20.5%)、修論やゼミのことについて(研究、文献を読

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