題 目
客 観 的 臨 床 能 力 試 験 を 用 い た 臨 床 工 学 教 育 の 評 価
~ 血 液 浄 化 療 法 に お け る タ ク ソ ノ ミ ー に 注 目 し て ~
An ev a l ua t i o n o f t h e cl i ni ca l e ng i ne e ri ng ed u ca t i o n usi ng Ob j e c t i v e S t r u c t u r e d C l i n i c a l E x a m i n a t i o n :
F oc u s o n t a x o no m y i n b l o o d p u ri f i ca t i on
東 北 文 化 学 園 大 学 健 康 社 会 シ ス テ ム 研 究 科
健 康 福 祉 専 攻
氏 名 佐 々 木 典 子 指 導 教 員 佐 藤 直 由
提 出 日 平 成
26
年3
月24
日Ⅰ . は じ め に
1 . 臨 床 工 学 技 士
CE
に つ い て1 )
C E
と は1
2 )
CE
の 役 割2
3 ) 養 成 課 程 と 臨 床 工 学 教 育 に お け る 教 育 目 標
4
4 ) 臨 床 工 学 技 士 国 家 試 験 に お け る 多 肢 選 択 問 題M CQ
5
5 )
CE
に 求 め ら れ る タ ク ソ ノ ミ ー8
2 . 血 液 浄 化 療 法 に つ い て
1 ) 我 が 国 に お け る 歴 史 と 現 況
11
2 ) 血 液 浄 化 療 法 と は ( 血 液 透 析
H D
を 中 心 に )1 4
3 ) 臨 床 工 学 技 士 養 成 課 程 に お け る 臨 床 実 習 ( 血 液 浄 化 療 法 を 中心 に )
2 0
Ⅱ . 研 究 の 課 題 と 目 的
1 . 臨 床 実 習 に 求 め ら れ る タ ク ソ ノ ミ ー
1 ) 問 題 点
2 4
2 )
C E
養 成 校 の 取 り 組 み2 5
3 ) 研 究 の 課 題
2 6
2 . 先 行 研 究 に つ い て
1 ) 医 学 教 育 の 必 要 性
2 8
( 1 ) 医 学 ・ 歯 学 教 育 で の 取 り 組 み
3 1
( 2 ) ポ ー ト フ ォ リ オ
3 2
( 3 ) 客 観 的 臨 床 能 力 試 験
O S C E 3 5
①
O S C E
の 目 的3 6
②
O S C E
の 立 案 と 実 施3 7
③
O S C E
の 研 究 方 法 と 課 題3 9
④ 形 成 的 評 価 に 関 す る 研 究
4 0
⑤ 総 括 的 評 価 に 関 す る 研 究
4 4
⑥ 海 外 で の
O S CE
を 用 い た 研 究4 5
3 . 研 究 の 目 的 と 方 法
4 6
Ⅲ . 結 果 と 分 析
1 .
O S CE
を 用 い た 精 神 運 動 領 域 と 情 意 領 域 の 評 価 に 関 す る 研 究1 ) 対 象
4 8
2 ) 分 析 の 方 法
( 1 ) ペ ー パ ー テ ス ト の 分 析
4 8
( 2 )
O S CE
の 分 析4 9
3 ) 倫 理 的 配 慮
5 1
4 ) 結 果
( 1 ) ペ ー パ ー テ ス ト に よ る 認 知 領 域 の 結 果
5 1
( 2 )
O S CE
に よ る 情 意 領 域 と 精 神 運 動 領 域 の 結 果5 1
2 . 他 者 評 価 に よ る 臨 床 工 学 実 習 教 育 の 評 価 に 関 す る 研 究
1 ) 対 象
6 6
2 ) 方 法
6 6
3 ) 倫 理 的 配 慮
6 9
4 ) 分 析
6 9
5 ) 結 果
7 0
( 1 )
O S CE 1
に つ い て7 7
( 2 )
O S CE 2
に つ い て7 7
6 ) 考 察
7 8
3 . ペ ー パ ー テ ス ト に よ る 認 知 領 域 の 評 価 に 関 す る 研 究
1 ) 対 象 と 期 間
8 0
2 ) 方 法
8 1
3 ) 倫 理 的 配 慮
8 1
4 ) 結 果
8 2
5 ) 考 察
8 7
Ⅳ . 結 論
9 1
Ⅴ . 課 題
1 .
O S C E
の 研 究 方 法 に つ い て9 4
1 ) 情 意 領 域 、 精 神 運 動 領 域 に 関 す る 評 価
9 5
( 1 ) 情 意 領 域 、 精 神 運 動 領 域 に 関 す る 研 究
9 5
( 3 )
S P
に よ る 評 価 の 重 要 性 に つ い て9 7
2 .
O S CE
の 課 題9 9
3 . 臨 床 工 学 教 育 の 課 題
1 00
謝 辞
1 02
注 釈
1 03
文 献
1 06
Ⅰ . は じ め に
1 . 臨 床 工 学 技 士
CE
に つ い て 1 )CE
と は医 療 機 器 に お け る 三 種 の 神 器 と い え ば
X
線 装 置 、血 圧 計 、心 電 計 が 挙 げ ら れ 、 現 代 医 学 に お い て も 必 要 不 可 欠 で あ る 。19
世 紀 か ら20
世 紀 に は 人 工 ペ ー ス メ ー カ の 開 発 、 人 工 腎 臓 の 臨 床 応 用 、 人 工 心 肺 に よ る 心 臓 手 術 の 成 功 な ど 医 学・医 療 技 術 の 高 度 化 は め ざ ま し い 1 )。医 学 ・ 医 療 技 術 の 高 度 化 は 専 門 分 化 が 求 め ら れ 、さ ら に は 医 師 の 補 助 を 行 う た め に 専 門 性 を 有 す る 医 療 従 事 者 が 必 要 と さ れ る よ う に な り 、看 護 師 、 診 療 放 射 線 技 師 、臨 床 検 査 技 師 な ど の メ デ ィ カ ル ス タ ッ フ 資 格 の 法 制 化 が 行 わ れ て き た 。医 療 機 器 に お い て も 医 療 技 術 革 新 に 伴 っ て 機 能 が 高 度 化 し 、生 体 機 能 代 行 装 置 が 開 発 さ れ て 医 療 現 場 に 導 入 さ れ る 状 況 に な っ て い た 。 従 っ て 、 装 置 の 安 全 性 を 担 保 し 、 か つ 適 正 に 操 作 し 管 理 運 用 す る た め に は 医 学 的 知 識 と 工 学 的 知 識 を 併 せ た 高 い 専 門 性 が 必 要 と さ れ た 。 し か し 、 医 療 資 格 を 持 た な い 技 術 者 が 医 療 現 場 で 業 務 す る 状 況 が 発 生 、 医 療 職 の 法 制 化 を 求 め る 社 会 的 要 求 が 高 ま っ た 。法 制 化 さ れ る 以 前 の
1 98 6
年 ~1 98 7
年( 昭 和6 1
~62
年 )の 時 点 で 、 血 液 浄 化 療 法 の 分 野 で 約6, 00 0
名 の 透 析 技 術 者 、人 工 心 肺 領 域 で は 約50 0
名 の 体 外 循 環 技 術 者 が 現 場 で 従 事 し 、 無 資 格 者 が 治 療 を 支 え て い る 状 況 で あ っ た 。 そ の た め 、 治 療 機 器 に 精 通 し た 工 学 的 知 識 を 持 っ た 医 療 職 の 法 制 化 を 求 め る 社 会 的 要 求 が 高 ま り 、資 格 法 制 化 に つ い て 検 討 が 行 わ れ 、1 98 8
年4
月1
日 よ り 臨 床 工 学 技 士 法 が 施 行 さ れ た 2 )。1・ 注 の 表 示 は 、注 1、注 2 な ど の 通 し 番 号 を 付 し 、 文 末 に 一 括 し て 注 番 号 順 に 記 載 す る 。
・ 引 用 文 献 は 、 本 文 中 の 該 当 箇 所 に 右 肩 に 1 )、2 ) , 3 ) ~ 5 )、6 ) ~ 8 )な ど 通 し 番 号 を 付 し 、 本 文 の 最 後 に 一 括 し て 引 用 番 号 順 に 記 載 す る 。 な お 、 注 の 欄 と 引 用 文 献 の 欄 は 別 に 設 け る 。
臨 床 工 学 技 士 (
c l i n i c a l e n g i n e e r i n g
以 下C E
) は 、「 厚 生 労 働 大 臣 の 免 許 を 受 け て 、 臨 床 工 学 技 士 の 名 称 を 用 い て 、 医 師 の 指 示 の 下 に 、 生 命 維 持 管 理 装 置 の 操 作( 生 命 維 持 管 理 装 置 の 先 端 部 の 身 体 へ の 接 続 又 は 身 体 か ら の 除 去 で あ っ て 政 令 で 定 め る も の を 含 む 注注 1。 以 下 同 じ 。)及 び 保 守 点 検 を 行 う こ と を 業 と す る 者 」3 )と 定 義 さ れ て い る 。「 生 命 維 持 管 理 装 置 」 と は 、「 人 の 呼 吸 、 循 環 、 又 は 代 謝 の 機 能 の 一 部 を 代 替 す る こ と が 目 的 と さ れ て い る 装 置 」4 )で あ る 。 つ ま り 、 人 工 心 肺 装 置 や 血 液 浄 化 装 置 の よ う に 、 物 理 ・ 化 学 的 現 象 、 電 気 生 理 的 な 現 象 を 原 理 と す る 人 工 臓 器 と し て 代 行 さ れ た 機 能 と そ れ ら を 監 視 す る こ と に よ り 、生 体 機 能 を 正 常 に 近 い 状 態 に 保 つ た め に 用 い ら れ る 装 置 で あ る 。 次 に 、「 人 の 呼 吸 、 循 環 、 又 は 代 謝 の 機 能 を 補 助 す る こ と が 目 的 と さ れ て い る 装 置 」 で あ る 。 こ れ は ペ ー ス メ ー カ や 大 動 脈 内 バ ル ー ン パ ン ピ ン グ 装 置 の よ う に 、電 気 エ ネ ル ギ ー や 圧 力 に よ る 機 械 力 な ど の 原 動 力 と そ の 監 視 部 分 か ら な り 、生 体 機 能 を 正 常 に 近 い 状 態 に 保 つ た め に 用 い ら れ る 装 置 で あ る 5 )。つ ま り 、
C E
は メ デ ィ カ ル ス タ ッ フ の 中 で 唯 一 、 医 療 で 応 用 さ れ る 工 学 的 な 知 識 ・ 技 術 を 併 せ 持 つ 医 療 職 種 と し て 、 生 命 維 持 管 理 装 置 の 操 作 を 業 と す る こ と と さ れ て お り 、C E
が 関 わ る 主 要 な 生 命 維 持 管 理 装 置 と し て 人 工 心 肺 装 置 、 血 液 浄 化 装 置 、 人 工 呼 吸 器 な ど が 挙 げ ら れ る 。2 )
CE
の 役 割CE
が 帯 し て い る 「 臨 床 工 学 」 と は 、 さ ま ざ ま な 工 学 的 な 知 識 ・ 技 術 を 臨 床 医 療 に 適 用 し て 、 臨 床 医 療 の 安 全 性 ・ 信 頼 性 ・ 効 率 な ど を 確 保 す る た め の 「 総 合 管 理 技 術 」 と 定 義 で き る 。 そ の 理 念 的 役 割 は 、 次に 示 す よ う に 臨 床 医 療 に さ ま ざ ま な サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と で あ る 5 )。
① 技 術 提 供 : 臨 床 の 場 に 新 規 に 導 入 さ れ る
M E
(m ed ic a l
en gi ne er in g
) 技 術 ・M E
機 器 を 工 学 的 に ( 信 頼 性 、 安 全 性 、 経 済 性 な ど ) 評 価 し 、 そ れ ら の 病 院 へ の 適 正 な 導 入 に 協 力 す る 5 )。② 技 術 評 価 : 臨 床 医 療 に 工 学 的 技 術 ( 操 作 運 用 も 含 む ) を 提 供 し 、 医 療 の 信 頼 性 、 安 全 性 、 経 済 性 、 能 率 な ど の 向 上 に 寄 与 す る 5 )。
③ 保 守 管 理 : 機 器 や シ ス テ ム お よ び 使 用 環 境 ・ 設 備 の 安 全 性 や 性 能 を 確 保 ・ 維 持 す る た め の 保 守 管 理 ( 日 常 管 理 や 定 期 保 守 点 検 な ど ) を 行 う 5 )。
④
M E
教 育 : 病 院 内 の 医 療 従 事 者 に 、M E
機 器 の 取 り 扱 い や 安 全 性 に 関 す る 知 識 や 技 術 を 教 育 ・ 訓 練 す る 5 )。⑤ 機 器 改 良 : 機 器 や 設 備 の 改 良 ・ 改 善 の た め の デ ー タ を メ ー カ に フ ィ ー ド バ ッ ク し 、 そ れ ら の 進 歩 ・ 発 展 に 寄 与 す る 5 )。
⑥ 基 準 規 格 :
M E
機 器 や 病 院 設 備 な ど に 関 す る 規 格 や 基 準 の 作 成 事 業 に 参 画 ・ 協 力 す る 5 )。⑦ 研 究 協 力 : 臨 床 の 場 に お け る 工 学 技 術 に 対 す る ニ ー ズ を 的 確 に つ か ん で 、 新 技 術 ・ 新 機 器 の 開 発 ・ 研 究 の 実 践 ・ 協 力 を 行 う 。 ま た 、 臨 床 医 学 研 究 に 、 工 学 的 知 識 ・ 技 術 ・ 手 法 を 適 用 し 、研 究 協 力・コ ン サ ル テ ー シ ョ ン を 行 う 5 )。 ま た 、
M E
機 器 を 医 療 に 適 用 す る と き は 、 ま ず 「 正 し く 、 安 全 に 使 用 す る 」 こ と を 心 が け な け れ ば な ら な い 。 同 時 に そ れ が 「 正 し く 、 安 全 に 作 動 す る よ う に 管 理 を す る 」 必 要 が あ る 5 )。CE
の 業 務 は 、 生 命 維 持 管 理 装 置 の 操 作 と と も に 保 守 点 検 に も そ の範 囲 が 広 げ ら れ て い る 。 さ ら に 業 務 指 針 に は 、「 保 守 点 検 関 連 業 務 」 と し て 、 業 務 に 関 連 し た 機 器 の 購 入 時 の 調 査 ・ 評 価 か ら 、 受 入 試 験 、 日 常 点 検 、 定 期 点 検 、 故 障 点 検 、 勉 強 会 を 通 し て の 「 安 全 性 ・ 性 能 」 を 確 保 す べ き こ と が 盛 ら れ て い る 。
つ ま り 、 患 者 と 操 作 者 の 安 全 を 守 る こ と は 、 臨 床 工 学 の 専 門 家 で あ る
C E
の 責 務 で あ る 5 )。3 ) 養 成 課 程 と 臨 床 工 学 教 育 に お け る 教 育 目 標
CE
の 資 格 を 得 る に は 、 他 の メ デ ィ カ ル ス タ ッ フ と 同 様 に 原 則 的 に は 高 校 卒 業 後 、文 部 科 学 大 臣 が 指 定 し た 学 校 ま た は 厚 生 労 働 大 臣 が 指 定 し た 臨 床 工 学 技 士 養 成 所 に 入 学 す る 。 そ こ で は 、 認 知 領 域 ( 知 識 ・ 理 論 ・ 応 用 な ど )、精 神 運 動 領 域( 手 技 な ど の ス キ ル 、コ ン ピ テ ン ス ) の み な ら ず 、 情 意 領 域 ( 患 者 に 対 す る 態 度 ・ 価 値 観 ・ 医 療 観 な ど ) を 含 め た3
つ の 領 域 に つ い て 教 育 が 行 わ れ る こ と に な る 6 )。 教 育 ・ 学 習 目 標 を3
つ の 領 域 に 分 類 し た の がt a x on om y
で あ り 、そ れ を 図 1 に 示 し た 。 教 育 を 実 施 ・ 検 討 す る 際 に は 、 学 習 者 の 目 標 が 明 確 と な る よ う に 設 定 を し な け れ ば な ら な い 。そ の 目 標 を 実 行 す る た め の 能 力 の 要 素 を 考 え る と き に 、 医 学 教 育 の 分 野 で 広 く 用 い ら れ て い る の が 、B. S. B lo om
が 示 し た 教 育 理 論 で あ る 7 )。養 成 校 に お け る 教 育 内 容 と 教 育 目 標 を 、 表
1
に 示 す 。 各 養 成 校 で は こ の93
単 位 を 満 た す よ う に カ リ キ ュ ラ ム を 編 成 し 、 実 施 す る こ と に な る 。 そ し て 、 三 年 以 上 、C E
と し て 必 要 な 知 識 及 び 技 能 を 修 得 し た 者 に 受 験 資 格 が 与 え ら れ 、臨 床 工 学 技 士 国 家 試 験 に 合 格 す る と 厚 生 労 働 大 臣 か ら 免 許 を 受 け る 8 )。図 1 臨 床 工 学 教 育 に お け る 目 標 の 3 領 域
(「 医 学 教 育 目 標 の 3 領 域 」 を 一 部 改 変注 2)
4 ) 臨 床 工 学 技 士 国 家 試 験 に お け る 多 肢 選 択 問 題
M CQ
臨 床 工 学 技 士 法 第
1 0
条 に 「 試 験 は 、 臨 床 工 学 技 士 と し て 必 要 な 知 識 及 び 技 能 に つ い て 行 う 。」 と 規 定 さ れ て い る 。 そ の 内 容 を 具 体 的 項 目 と し て 示 し た の が 、臨 床 工 学 技 士 国 家 試 験 出 題 基 準( 以 下 出 題 基 準 )9 )で あ る 。 出 題 基 準 で は 、 臨 床 工 学 技 士 に 求 め ら れ る 能 力 に つ い て 、 以 下 の
3
点 が 挙 げ ら れ て い る 。出 題 基 準 1 .生 命 維 持 管 理 装 置 の 操 作 及 び 保 守 点 検 を 行 う た め に 必 要 な 知 識 及 び 技 能 が 十 分 養 わ れ て い る 。
出 題 基 準 2 . 高 度 化 ・ 多 様 化 す る 医 療 技 術 に 対 応 で き る 基 礎 的 知 識 ・ 技 術 を 有 し 、 か つ チ ー ム 医 療 の 一 員 と し て 円 滑 で 効 果 的 な 医 療 を 推 進 す る 意 欲 が あ る 。
Ta x o n o m y( 教 育 目 標 分 類 学 )
↓
臨 床 工 学 技 士 が 修 得 す べ き 3 つ の 能 力
↓
知 的 能 力 ( 知 識 ) 操 作 的 能 力
( 手 = 技 術 )
人 間 性 ( 心 )
知 識 理 解 力 解 釈 力 判 断 力 問 題 解 決 力
生 命 維 持 管 理 装 置 の 操 作
( 操 作 方 法 ) 生 命 維 持 管 理 装 置
の 保 守 点 検 技 術
態 度 習 慣
認 知 領 域 C o n g n i t i v e D o m a i n
精 神 運 動 領 域 P s y c h o m o t o r D o m a i n
情 意 領 域 A f f e c t i v e D o m a i n
教育目標
教 育 目 標 法第14条
第1号注3
法第14条 第2号注4
法第14条 第3号注5 基
礎 分 野
科学的思考 の基盤
人間と生活 14
科学的・論理的思考力を育て、人間性を磨き、自由で主体的な判 断と行動を培う。
生命倫理及び人の尊厳を幅広く理解する。
国際化及び情報化社会に対応できる能力を養う。
専 門 基 礎 分 野
人体の構造
及び機能 6 6 6 人体の構造と機能を系統的に学び、生命現象を総合的に理解し、
関連科目を修得するための基礎的能力を養う。
臨床工学に 必要な医学 的基礎
8 8 8
臨床工学に必要な臨床医学の基礎及び各種疾患の病態を体系的に 学び、チーム医療の一員として、医療の内容を把握し理解する能 力を養う。
臨床工学に 必要な理工 学的基礎
16 16 16
臨床工学に必要な理工学的基礎知識を習得し、医療に応用される 理工学的技術・機器を理解するための能力を養う。
臨床工学に 必要な医療 情報技術と システム工 学の基礎
7 7 7
医療分野で利用される情報処理技術及びシステム工学を学び、そ の実践応用を理解する基礎的能力を養う。
小計 37 37 37
専 門 分 野
医用生体
工学 7 7 7 工学の基礎概念を用いて生体を理解し、工学的技術を医療機器に
応用するための知識・技術を習得する。
医用機器学
8 8 8
臨床で利用される計測機器・治療機器の原理・構造・構成を工学 的に理解し、その適正かつ安全な使用法や保守管理に関する実践 的知識・技術を習得する。
生体機能
代行技術学 12 12 12
人の呼吸・循環・代謝に関わる生命維持管理装置の原理・構造を 工学的に理解し、その適正かつ安全な使用法や保守管理に関する 実践的知識・技術を習得する。
医用安全
管理学 5 5 5
医用工学機器を中心とした医療の安全確保のために、機器及び関 連施設・設備のシステム安全工学を理解し、併せて関係法規・各 種規格等を学習し、医用安全管理技術を習得する。
関連臨床
医学 6 6 6 臨床工学業務を行う上で必要な関連疾患の病態及び治療法を理解
する。
臨床実習
4 4 4
臨床工学技士としての基礎的な実践能力を身につけ、医療におけ る臨床工学の重要性を理解し、かつ患者への対応について臨床現 場で学習し、チーム医療の一員としての責任と役割を自覚する。
小計 42 42 42
合計 93 79 79
出 題 基 準 3 .医 療 安 全 を 確 保 す る た め に 、安 全 に 対 す る 高 い 意 識 を も ち 、 安 全 に 業 務 を 遂 行 す る た め の 知 識 ・ 技 能 を 備 え て い る 。
こ れ ら の 能 力 を 有 し て い る か を 、 国 家 試 験 で 判 定 す る こ と と な る 。 判 定 は 、 他 の 医 療 従 事 者 に お い て も 多 く 採 用 さ れ て い る 多 肢 選 択 問 題
(
m ult ip le - c h oic e qu es t i o n
; 以 下M C Q
) に よ る 客 観 試 験 に よ っ て 行 わ れ る 。臨 床 工 学 技 士 国 家 試 験 ( 以 下 国 家 試 験 ) の 問 題 は 午 前
9 0
問 、 午 後90
問 、 合 計18 0
問 で 行 わ れ る 。 配 点 は1
問1
点 、 合 計1 80
点 満 点 と し1 08
点 以 上 で 合 格 と な る 。問 題 形 式 は 、 設 問 文 に 対 し 全 て
5
つ の 選 択 肢 で 構 成 さ れ 、 適 切 な も の を 解 答 コ ー ド よ り 1 つ 選 択 す る 。 解 答 コ ー ド はA
タ イ プ (5
つ の 選 択 肢 か ら1
つ を 選 択 す る )、K 2
タ イ プ (5
つ の 選 択 肢 の う ち 、2
肢 か ら な る5
組 の 組 合 せ か ら1
組 を 選 択 す る )、K 3
タ イ プ (5
つ の 選 択 肢 の う ち 、3
肢 か ら な る5
組 の 組 合 せ か ら1
組 を 選 択 す る ) の3
種 類 で あ る 。 こ の 組 み 合 わ せ は 、 第1
回 の 国 家 試 験 か ら 現 在 に 至 る ま で 変 更 さ れ て い な い 。 な お 客 観 試 験 と し て 代 表 的 なM CQ
は 、 医 師 を は じ め 多 く の メ デ ィ カ ル ス タ ッ フ の 国 家 試 験 に お い て 多 用 さ れ て い る 。知 識 の 評 価 方 法 と し て
M CQ
は 代 表 的 な 問 題 形 式 で あ り 、 技 能 自 体 を 評 価 す る こ と は で き な い も の の 、技 能 の 基 礎 と な る 知 識 に つ い て の 評 価 に 適 し て い る と さ れ る 。 知 識 レ ベ ル に 基 づ く 能 力 評 価 ( タ ク ソ ノ ミ ーTa x on om y
、 以 下 タ ク ソ ノ ミ ー ) は3
つ に 分 け ら れ る 。 第 一 に 、 知 識 と し て 知 っ て い て 、そ れ を 想 起 で き る か を 評 価 す るTax o nom y
Ⅰ( 想 起 型 、 以 下
Ta x .Ⅰ ) で あ る 。 こ れ は 、 事 実 や 理 論 に つ い て の 知 識
で 答 え ら れ る 問 題 を さ す 1 0 )。第 二 に 、与 え ら れ た 情 報 に つ い て 解 釈 し 、そ の 解 釈 を も と に 判 断 さ せ る
Ta xo no m y
Ⅱ ( 解 釈 型 、 以 下Ta x.Ⅱ )
で あ る 。 こ れ は 、 臨 床 症 状 や 検 査 デ ー タ の 組 み 合 わ せ な ど の 多 く の デ ー タ を 見 て 解 釈 し た り 判 定 し た り す る 問 題 を さ す 1 0 )。第 三 に 、与 え ら れ た 情 報 の 解 釈 を も と に 更 に 判 断 を 求 め るTa xo no m y
Ⅲ( 問 題 解 決 型 、 以 下Ta x.
Ⅲ )で あ る 。こ れ は 、単 に あ る デ ー タ を 解 釈 す る だ け で な く 、 そ れ ら を 統 合 し た り 、 分 析 し た り し て 、 問 題 解 決 の た め に は つ ぎ に 何 を す べ き か の 判 断 、 意 志 決 定 、 計 画 を 立 て る と い っ た 最 も 高 次 の 知 的 活 動 を さ す 1 0 )。5 )
CE
に 求 め ら れ る タ ク ソ ノ ミ ーBl oom
が 示 し た 教 育 ・ 学 習 目 標 の 分 類 は 、能 力 の 分 類 と し て も 用 い ら れ て い る 1 1 ) ~ 1 4 )。 認 知 領 域 と は 、 単 純 な 知 識 の 想 起 か ら 問 題 解 決 に い た る 知 的 な 能 力 を 意 味 し 、 知 識 ・ 理 解 ・ 応 用 ・ 分 析 ・ 総 合 ・ 評 価 の 6 段 階 分 け ら れ る 。 ま た 、 情 意 領 域 は 態 度 を 意 味 し 、 受 容 ・ 反 応 ・ 価 値 付 け ・ 組 織 化 ・ 個 性 化 の5
段 階 に 、 精 神 運 動 領 域 は ス キ ル ( コ ン ピ テ ン ス ) と 行 動 ( パ フ ォ ー マ ン ス ) に 分 け る こ と が で き 、 医 学 教 育 で は コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス キ ル 、 機 器 操 作 の ス キ ル な ど に 相 当 す る 1 5 )。医 学 教 育 で は 認 知 領 域 、 情 意 領 域 、 精 神 運 動 領 域 の い ず れ か に お い て 学 習 者 が 到 達 す べ き 目 標 に 達 成 し た か に つ い て 評 価 が 必 要 と な る 。 評 価 に お い て は 評 価 対 象 と す る 能 力 、つ ま り 測 定 し た い 能 力 に 応 じ て 方 法 を 選 択 す る こ と が 重 要 と な る 。
G E M ill er
1 6 )は 、 臨 床 能 力 の 評 価 を 行 う 場 合 、 対 象 と な る 能 力 を4
層 に 分 け て 図 示 し た ( 図2
)1 7 )。 こ れ は 能 力 と 評 価 方 法 の 関 係 を 考 え る 上 で 理 解 し や す く 有 用 な 視 点 で あ り 、M i ll er
の ピ ラ ミ ッ ド 1 8 )と し て 広 く 知 ら れ て い る 。D O E S
(A c t i o n) S H O W S H O W
(P e r f o r m a n c e) K N O W S H O W
(C o m p e t e n c e) K N O W S
(K n o w l e d g e)
第 4 層 m i n i-C E X、診 察 の ビ デ オ 評 価 、 ポ ー ト フ ォ リ オ 、P R I M E な ど 第 3 層 実 技 試 験 、O S C E、S P、
シ ミ ュ レ ー タ ー な ど
第 2 層 筆 記 試 験 やC B Tの 症 例 問 題 、 コ ン ピ ュ ー タ シ ミ ュ レ ー シ ョ 第 1 層 筆 記 試 験 C B T な ど
図 2 M i l l e r の ピ ラ ミ ッ ド 1 8 )注 6( 一 部 改 変 )
M il ler
の ピ ラ ミ ッ ド で は 、臨 床 能 力 を 各 層 に 分 け 、そ の レ ベ ル に 相 応 し た 評 価 法 を 示 し た 。K NO W S
(K now l ed ge
) の 第1
層 は 、 タ ク ソ ノ ミ ー に お い て 認 知 領 域 に 相 当 し 、筆 記 試 験 やC B T
(Com p ut er B as ed Tes t
)で 知 識 の 有 無 が 問 わ れ 、最 も 低 次 な レ ベ ル で あ る 。K NO WS H O W
の 第2
層 も 認 知 領 域 に 相 当 し 、 解 釈 を す る た め の 理 解 や 応 用 、 分 析 な ど を ペ ー パ ー テ ス ト や コ ン ピ ュ ー タ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 問 わ れ る 。SH O WS H O W ( P er f or m an c e)
の 第3
層 は 、 臨 床 に お け る 遂 行 能 力 を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 示 さ な け れ ば い け な い た め 、タ ク ソ ノ ミ ー で は 情 意 領 域 と 精 神 運 動 領 域 に 相 当 す る 。D O ES の 第4
層 で は 、 実 際 の 臨 床 現 場 で の 遂 行 能 力 を テ ス ト す る の で 、 真 の 評 価 が 必 要 と な る 。 こ の た め 、 臨 床 現 場 で の 観 察 や 診 察 の ビ デ オ 評 価 が 必 要 と さ れ る が 、 近 年 で は ポ ー ト フ ォ リ オ 評 価 の 導 入 に よ り 、臨 床 能 力 を 振 り 返 る こ と で 評 価 す る こ と も 可 能 で あ る 1 9)。 日 本 で は こ れ ま で 評 価 と い う と 、 第2
層 ま で の こ と が 多 か っ た の が 特 徴 で あ る 。そ こ で 、
CE
が 関 わ る 業 務 に お い て 生 命 維 持 管 理 装 置 の ひ と つ で あ る 血 液 浄 化 装 置 に 注 目 し 、 必 要 な タ ク ソ ノ ミ ー に つ い て 図3
に 示 し た 。図 3 C E と し て 求 め ら れ る M i l l e r の ピ ラ ミ ッ ド 1 8) 注 6( 一 部 改 変 )
第 一 に 、 臨 床 医 学 関 連 と し て 腎 臓 の 機 能 や 生 理 学 、 腎 不 全 に 伴 う 所 見 や 症 状 、そ し て 血 液 浄 化 療 法 に よ っ て ど の よ う な 治 療 効 果 が 得 ら れ る の か な ど に つ い て の 認 知 領 域 が 必 要 と な る 。 第 二 に 、 工 学 関 連 と し て 血 液 浄 化 療 法 を 施 行 す る 際 に 用 い ら れ る 血 液 浄 化 装 置 の 操 作 、保 守 点 検 に 関 す る 精 神 運 動 領 域 と 認 知 領 域 が 必 要 と な る 。 操 作 、 保 守 点 検 に 関 す る 知 識 と は 、血 液 浄 化 装 置 の 構 造 や 安 全 管 理 に 対 す る 認 知 領 域 も 必 要 と な っ て く る 。 第 三 に 、 血 液 浄 化 療 法 は 医 師 や 看 護 師 、
C E
な ど の 多 職 種 と 連 携 を と り な が ら 行 わ れ る チ ー ム 医 療 の 代 表 で あ る 。そ の た め 、 そ れ ぞ れ の 専 門 性 を 十 分 に 発 揮 す る た め に は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 に 関 す る 情 意 領 域 が 求 め ら れ る 。 第 四 に 、 医 療 機 関 と い う 環 境 で あ る こ と か ら 、 患 者 へ の 接 遇 に 関 す る 情 意 領 域 や 精 神 運 動 領 域 が 要 求 さ れ る 。 こ れ ら は 、 他 の 生 命 維 持 管 理 装 置 に お い て も 求 め ら れ る タ ク ソ ノ ミ ー で あ る 2 0 )。以 上 の こ と か ら 、 現 代 医 療 を 提 供 す る に は 、 患 者 を 中 心 に 専 門 職 が
第 4層 DOE S
(Acti on)
第 3層 SHOWS HOW
(Performan c e)
第 2層 KNO WS HOW
(C omp et enc e)
min i-CE X、 診 察 の ビ デ オ 評 価 、 ポ ー ト フ ォ リ オ 、PR IM E な ど
実 技 試 験 、OSCE、SP シ ミ ュ レ ー タ ー な ど
筆 記 試 験 、 CBTの 症 例 問 題 、コ ン ピ ュ ー タ シ ュ ミ レ ー シ ョ ン な ど
筆 記 試 験 、CB T な ど
血 液 浄 化 療 法 を 行 う た め の 準 備 た め に 透 析 装 置 の 操 作 が で き る よ う に な る 。
血 液 浄 化 療 法 を 行 う た め に ダ イ ア ラ イ ザ 、 抗 凝 固 剤 ・ 透 析 液 な ど を 選 択 で き る 。
腎 不 全 に よ る 症 状 を 是 正 す る た め に 、 血 液 浄 化 療 法 が 行 わ れ る 。
腎 不 全 で は 電 解 質 異 常 、 体 液 量 の 増 加 、 酸 塩 基 平 衡 の 異 常 な ど が 認 め ら れ る 。
Millerが 示 し た 臨 床 能 力 の レ ベ ル
「 腎 不 全 患 者 へ の 透 析 療 法 の 施 行 」 に 求 め ら れ る 臨 床 能 力 レ ベ ル
第1層 KNO WS
(Kn owled ge)
緊 密 な 連 携 を 図 り 、 包 括 的 な 医 療 を 行 わ ざ る を 得 な く な っ て い る 。 こ れ を チ ー ム 医 療 と い い 、広 く 定 着 し つ つ あ る 1 )。C E も チ ー ム 医 療 の 一 員 と し て 、 相 互 の 役 割 を 尊 重 し 、 他 職 種 と の 連 絡 ・ 協 調 を 保 ち 、 患 者 に 最 善 の 医 療 を 施 せ る よ う に 行 動 す る こ と が 求 め ら れ て い る 5 )。 チ ー ム 医 療 で は 、 各 専 門 職 が 患 者 の 病 態 に つ い て 共 通 の 認 識 を 持 ち 、 そ れ ぞ れ の 職 種 が 持 つ 高 度 で 専 門 的 な 知 識 ・ 技 術 を 活 か し な が ら 業 務 を 行 っ て い く 1 )。 こ れ に よ り 医 療 の 質 の 確 保 、 効 率 化 、 医 療 事 故 の 防 止 が 図 ら れ る 5 )。 そ の た め 、 こ れ ら を 実 行 し て い く た め に は 専 門 職 と し て 認 知 領 域 で あ る 知 識 、 精 神 運 動 領 域 で あ る 技 術 、 そ し て 情 意 領 域 で あ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 が 求 め ら れ る 。
つ ま り 、 安 全 で 良 質 な 医 療 を 提 供 す る た め に は 専 門 知 識 を 有 す る
CE
が 必 要 で あ り 、 医 療 に 関 連 す る 系 統 立 っ た 基 礎 工 学 の 教 育 を 受 け て い な い 医 師 や 看 護 師 が 生 命 維 持 管 理 装 置 を 操 作 す る こ と は 、リ ス ク を 背 負 う と 考 え ら れ る 。2 . 血 液 浄 化 療 法 に つ い て 1 ) 我 が 国 に お け る 歴 史 と 現 況
生 命 維 持 管 理 装 置 の ひ と つ で あ る 血 液 浄 化 装 置 で は 、患 者 血 液 を 体 外 循 環 し 、 血 中 の 不 要 物 質 を 除 去 し て 体 液 の 調 整 を 行 う 人 工 腎 臓 ( 以 下 ダ イ ア ラ イ ザ ) に 導 く こ と で 、 腎 機 能 の 一 部 代 行 に よ り 慢 性 腎 臓 病
CKD/ CRF( c hr onic kid ney dis eas e/ c hr onic r enal failur e) 患 者 や 、
救 急 救 命 施 設 に お い て も シ ョ ッ ク 状 態 を 脱 し た 患 者 に し ば し ば 合 併 す る 急 性 腎 不 全ARF
(ac ute r enal f ailure
) に お い て も 患 者 の 生 命 を 維 持 し て い る 2 1 )。CK D/CRF
と は 、 何 ら か の 腎 疾 患 に よ り 数 ヶ 月 ~ 数 十 年 間 に わ た り 、 持 続 的 に 腎 機 能 不 全 が 進 行 す る 疾 患 で あ る 。 慢 性 に 経過 す る 不 可 逆 的 な 腎 機 能 障 害 の 結 果 、 体 液 の 恒 常 性 が 維 持 で き な く な り 、 窒 素 代 謝 産 物 で あ る 尿 素 窒 素 、 ク レ ア チ ニ ン 、 尿 酸 な ど が 血 中 に 貯 留 し 、水・ 電 解 質 異 常 、ア シ ド ー シ ス な ど が 出 現 す る 5 )。ARF と は 、 数 時 間 ~ 数 週 間 単 位 で 急 激 な 腎 機 能 低 下 に よ り 、 体 液 の 恒 常 性 維 持 機 構 が 破 綻 し 、 高 窒 素 血 症 、 水 ・ 電 解 質 異 常 、 酸 塩 基 平 衡 異 常 な ど を き た す 病 態 で あ る 2 2 )。 こ の よ う な 所 見 に 対 応 し て 行 わ れ る 治 療 方 法 が 、 人 工 透 析 療 法 や 血 液 浄 化 療 法 と 呼 ば れ て い る 1 )。
血 液 浄 化 療 法 の 歴 史 は 、
1
世 紀 以 上 前 の1854
年 のThom as Gr aham
ら 2 3 )に よ る 透 析 の 原 理 の 発 見 に ま で さ か の ぼ る こ と が で き る 2 4 )。我 が
国 に お い て は 、
1954
年 頃 か ら 独 自 の 装 置 が 開 発 ・ 研 究 さ れ る よ う に な り 、1956
年 に 稲 生 ら は 急 性 腎 不 全 患 者 に 対 し て 透 析 療 法 を 実 施 し 、 救 命 に 成 功 し て い る 2 4 )。 そ の 後 、 慢 性 維 持 透 析 症 例 は1963
年 に 初 め て 報 告 さ れ 、1966
年 に 慢 性 維 持 透 析 の 普 及 が 始 ま り 、1967
年 に は 透 析 療 法 に 対 す る 医 療 保 険 適 応 が 開 始 さ れ て い る 2 5 )。 我 が 国 に お け る 透 析 患 者 全 体 を 対 象 と す る 統 計 調 査 は 、1968 年 に 現 在 の 日 本 透 析 医 学 会 の 前 身 組 織 で あ る 人 工 透 析 研 究 会 に よ っ て 開 始 さ れ 、 現 在 に 至 る 。ま ず 透 析 人 口 に つ い て 、小 高 の 報 告 2 6 )で は「
1968
年8
月 の 推 定 の 数 は215
名 」 と 記 さ れ て い る が 、2012
年 末 現 在 で は309, 946
名 2 7 )の 患 者 が 治 療 を 受 け て い る 。 人 口100
万 人 あ た り の 透 析 患 者 数 は2,430. 7
人 で あ り 、 前 年 度 よ り45. 3
人 増 加 し 、 国 民411. 4
人 に1
人 が 透 析 患 者 で あ る こ と に な る 2 7 )。 我 が 国 の 透 析 人 口 は 調 査 開 始 以 来 、 一 貫 し て 増 加 し 続 け て い る ( 図4
)2 4 )。 ま た 、 長 期 透 析 患 者 が 増 加 し つ つ あ り 、2012
年 末 に は 透 析 歴20
年 以 上 の 患 者 が 全 体 の 約7. 8
% を 占 め 、透 析 歴25
年 以 上 の 患 者 は12, 293
人 を 数 え る 2 7 )。 最 長 透 析 歴 患 者 の 透 析 歴 は44
年9
ヶ 月 で あ る 2 7 )。図 4 透 析 人 口 と 人 工 腎 臓 台 数 の 推 移 2 7 ) 0
50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000
66 69 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11
台数(台)
年
次 に 血 液 浄 化 装 置 に つ い て 、 当 初 は 人 工 腎 臓 と 呼 ば れ 「
1966
年12
月 :
48
台 」2 6 )と 報 告 さ れ て い る 。 そ の 後 、 患 者 数 の 増 加 と 共 に2012
年 月 末 現 在 で は
124,930
台 も 稼 働 し て お り 、 前 年 度 よ り3 ,067
台 増 加 し た ( 図4
)2 7 )。 血 液 浄 化 装 置 に つ い て も 開 発 ・ 研 究 が 進 み 、 増 加 傾 向 を 示 し て い る 。さ ら に 、 年 間 粗 死 亡 率注 7は
2011
年 に1 0. 2%
と1983
年 以 降 初 め て10%
を 超 え 、2012
年 で は10. 1%
で あ っ た ( 図5
)2 4 )。 こ れ は 、 生 命 予 後 の 不 良 な 糖 尿 病 性 腎 症 患 者 や 高 齢 者 が 増 加 し て い る こ と を 考 え る と 、 年 間 粗 死 亡 率 の 増 大 が こ の 程 度 に 収 ま っ て い る の は 、 透 析 技 術 の 改 善 に よ っ て 透 析 患 者 の 生 命 予 後 が 実 質 的 に 改 善 し て い る こ と を 示 し て い る と 思 わ れ る 2 4 )。ま た 、 患 者 の 生 命 予 後 の 改 善 に 大 き く 関 わ っ て い る の が 、 ダ イ ア ラ イ ザ で あ る 。 透 析 療 法 に 用 い ら れ る 膜 を 用 い た 最 初 の 実 験 は 、
Abel
ら2 8 )の 報 告 で あ る 。 ダ イ ア ラ イ ザ は 国 内 で 約
3,000
万 本/ year
、 世 界 で 約8, 000
万 本/ year
の 市 場 で あ り 、腎 不 全 患 者 は 透 析 膜 の1
世 紀 に 及 ぶ 研 究 開 発 と 評 価 に よ り 今 日 の 長 期 延 命 へ の 恩 恵 を 受 け て い る 2 9 )。 初 期 の 頃 は 、 安 全 に 行 う こ と が 主 眼 と さ れ 、 患 者 の 長 期 延 命 や 合 併 症 に は 着 眼 さ れ な か っ た 。 そ の 後 、 デ ィ ス ポ ー ザ ブ ル ダ イ ア ラ イ ザ が 市 販 さ れ て40
年 余 を 経 た 。 そ の 間 、 透 析 膜 の 生 体 適 合 性 の 向 上 が 図 ら れ 、 慢 性 腎 不 全 の 透 析 患 者 の 長 期 延 命 が 可 能 と な っ た 2 9 )。2 ) 血 液 浄 化 療 法 と は ( 血 液 透 析
H D
を 中 心 に )血 液 透 析 (
he m o d ia l ys is
;H D
) と は 、 透 析 の 原 理 に 基 づ き 、 半 透 膜 ( ダ イ ア ラ イ ザ ) を 介 し て 濃 度 勾 配 に よ る 溶 質 の 移 動 ( 拡 散 ) と 圧 格 差 に よ る 溶 媒 ( 水 ) と 溶 質 の 除 去 ( 限 外 濾 過 ) を 行 い 、 血 液 浄 化 療図5 粗死亡率27) 7
8 9 10
83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 年
法 の 基 本 を な す 治 療 法 で あ る 。こ の 治 療 方 法 に よ り 、腎 不 全 患 者 が 尿 中 に 排 泄 す る こ と が で き な い 尿 素 や ク レ ア チ ニ ン な ど の 小 分 子 量 尿 毒 症 物 質 の 除 去 に 優 れ 、慢 性 透 析 患 者 の 殆 ど が こ の 方 法 に よ り 管 理 さ れ て い る 2 4 )。 残 腎 機 能 の な い 成 人 で は 、 週
3
回 、1
回4
時 間 、 体 外 循 環 さ れ る 血 液 量200mL/min
、透 析 液 流 量500mL/min
と い う 治 療 条 件 が 標 準 と し て 行 わ れ て い る こ と が 多 い ( 図6
)3 0 )。HD
に お け る 、 標 準 的 な 回 路 構 成 を 図7
に 示 す 。 患 者 血 液 は 、 バ ス キ ュ ラ ー ア ク セ ス か ら 血 液 ポ ン プ に よ り200ml/min
の 流 量 で 体 外 循 環 さ れ る 。そ し て 、安 全 に 治 療 が 行 わ れ る た め に は 抗 凝 固 薬 を 抗 凝 固 薬 注 入 器 か ら 持 続 注 入 し 、ダ イ ア ラ イ ザ へ 送 ら れ る 。ダ イ ア ラ イ ザ に お い て 浄 化 さ れ た 血 液 は 気 泡 除 去 さ れ 、 患 者 へ 返 血 さ れ る 。現 在 、主 流 と な っ て い る ダ イ ア ラ イ ザ の 形 状 は 中 空 糸 型 で あ る( 図
8
)。ハ ウ ジ ン グ 内 に 充 填 さ れ て い る 中 空 糸 の 内 側 に 患 者 血 液 を 、 外 側 に 透 析 液 を 向 流 に 流 し 、 透 析 膜 を 介 し て 物 質 交 換 を 行 う こ と で 体 液 組 成 の 正 常 化 が 治 療 目 標 と な る 。 そ の た め 、 透 析 液 は 正 常 の 細 胞 外 液 組 成 に 近 い 組 成 と な る 。
透 析 回 数 と 透 析 時 間 に つ い て は 、保 険 診 療 の 制 約 か ら 規 定 さ れ た 要 素 が 大 き い ( 図
9
)。 連 日 実 施 す る 頻 回 透 析 や 、3
時 間 よ り4
時 間 、4
時 間 よ り5
時 間 の 方 が 生 命 予 後 は 良 い こ と が 明 ら か に な っ て い る 。し か し 、透 析 回 数 と 透 析 時 間 は 患 者 のQOL
を 低 下 さ せ る 要 因 と も な り 、 患 者 ご と に 十 分 な 検 討 が 必 要 で あ る 2 4 )。我 が 国 で は
90%
の 患 者 が 、自 己 血 管 に よ る 動 静 脈 瘻 す な わ ち 内 シ ャ ン ト を バ ス キ ュ ラ ー ア ク セ ス と し て い る ( 図10
)。 安 定 し たHD
を 行 うた め に は 、 良 好 な バ ス キ ュ ラ ー ア ク セ ス が 必 須 で あ り 、 バ ス キ ュ ラ ー ア ク セ ス 管 理 は 極 め て 重 要 で あ る 2 4 )。図 6 透 析 条 件 の 実 態 1 ( 週 透 析 回 数 ・ 一 回 透 析 時 間 )2 7 ) 1回
(862) 2回
(9,025)
3回 (212,808)
4回 (481) 5回
(7)
6回 (8)
7回 (1)
週透析回数
3.0時間未満
(588) 3.0時間~
(27,877)
3.5時間~
(19,501)
4.0時間~
(141,069) 4.5時間~
(11,112) 5.0時間~
(10,711)
5.5時間~
(1,349)
一回透析時間
図7 HDの回路図(文献24)より引用)
図8 中空糸型ダイアライザの構造(文献24)より引用)
図 9 透 析 条 件 の 実 態 2 ( 血 流 量 ・ 透 析 液 流 量 )2 7 ) 160未満
(11.6%) 160~ (4.4%)
180~
(17.5%)
200~ (45.8%) 220~
(10.1%)
240~
(7.9%)
260~ (2.6%)
血流量(mL/min)
300未満 (0.0%)
300~
(0.2%) 400~ (18.2%)
500~
(81.1%) 600~
(0.4%) 700~
(0.0%)
800~
(0.0%)
透析液流量(mL/min)
図 1 0 バ ス キ ュ ラ ー ア ク セ ス の 分 類 2 7 )
3 ) 臨 床 工 学 技 士 養 成 課 程 に お け る 臨 床 実 習 ( 血 液 浄 化 療 法 を 中 心 に )
「 臨 床 工 学 技 士 に 関 す る 実 態 調 査
20 1 2
」 の ア ン ケ ー ト 調 査 3 1 )に お い て 、「 今 あ な た が 担 当 し て い る 業 務 を 選 ん で 下 さ い( 複 数 回 答 可 )。」で は 、 約
8
割 のCE
が 血 液 浄 化 業 務 に 携 わ っ て い る こ と が わ か る ( 図11
)。 従 っ て 、 血 液 浄 化 療 法 を 中 心 に 取 り 上 げ て い く こ と に し た い 。ま ず 、CE 養 成 課 程 に お い て も 他 の 医 療 職 種 と 同 様 に 、臨 床 実 習 が 組 み 込 ま れ て い る 。臨 床 実 習 項 目 に は 血 液 浄 化 装 置 実 習 、集 中 治 療 室( 人 工 呼 器 実 習 含 む ) 実 習 、 手 術 室 ( 人 工 心 肺 装 置 実 習 含 む ) 実 習 、 医 療 機 器 管 理 業 務 実 習 、 高 気 圧 酸 素 治 療 業 務 実 習 、 心 臓 ペ ー シ ン グ お よ び 心 臓 カ テ ー テ ル 関 連 業 務 実 習 の
6
項 目 に 分 類 さ れ る 3 2 )。ち な み に 、血 液 浄 化 装 置 実 習 に 関 す る 臨 床 実 習 項 目 を 表2
に 示 す 。 な お 、 そ れ ぞ れ 臨 床 の 場 で 装 置 実 習 と し て い る が 、 無 資 格 の 学 生 は 臨 床 の 場 に お い て自己血管による動 静脈瘻 (89.7%) 人工血管による
動静脈瘻 (7.1%) 動脈表在化
(1.8%)
動脈直接穿刺 (0.1%)
長期植え込み型 静脈カテーテ
(0.5%)
一時的 静脈カテーテル
(0.5%) その他
(0.1%) 単針透析
(0.2%)
図11 CEが担当している業務
(「臨床工学技士に関する実態調査2012」アンケート調査より(N=3,738))31)
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
その他 保守点検関連業務 植込み型除細動器(両室ペーシング機能付き植
込み型除細動器:CTRーD(P)を含む)
ペースメーカ業務 除細動器保守管理業務 高気圧酸素治療業務 心・血管カテーテル業務 集中治療領域での業務 手術領域(周術期を含む)での業務 血液浄化業務 人工心肺業務
呼吸治療業務 人
表 2 血 液 浄 化 装 置 実 習 に お け る 臨 床 実 習 項 目 1. 血 液 浄 化 療 法 室 の 注 意 点
1) 血 液 浄 化 機 器 ( 周 辺 機 器 含 む ) を 許 可 無 く 触 れ さ せ な い こ と 。 2) 患 者 か ら の 治 療 に 係 わ る 依 頼 に は 応 じ さ せ て は な ら な い 。
3) 数 十 人 の 患 者 を 一 箇 所 の ス ペ ー ス で 治 療 す る 特 殊 環 境 下 で あ る こ と を 認 識 さ せ る 。
2. オ リ エ ン テ ー シ ョ ン
血 液 浄 化 療 法 は 、人 工 材 料 を 利 用 し た 体 外 循 環 治 療 で あ り 、対 象 と な る 血 液( 血 漿 系 、 細 胞 系 ) よ り 病 因 物 質 を 除 去 す る 事 で 生 命 を 維 持 す る 治 療 法 で あ る 。 実 習 で は 、 体 外 循 環 に 伴 う 各 種 血 液 浄 化 療 法 、 各 種 血 液 浄 化 器 、 各 種 監 視 装 置 の 構 成 を 習 得 す る と 共 に そ の 病 態 と 治 療 効 果 に つ い て も 学 習 さ せ る こ と が 望 ま れ る 。
3. 実 習 項 目 と 到 達 目 標 を 理 解 修 得 さ せ る
① 各 種 血 液 浄 化 法 の 構 成 、 血 液 浄 化 器 の 機 能 、 血 液 浄 化 監 視 装 置 の 構 成 と 機 能
( 関 連 機 器 含 む )
② 各 種 血 液 浄 化 療 法 の 適 応 疾 患 と 治 療 効 果
③ 各 種 血 液 浄 化 療 法 の 実 際 に つ い て 理 解 さ せ る 。 - 準 備 ( 始 業 点 検 含 む ) か ら 終 了 ま で -
④ 血 液 浄 化 装 置 ( 水 処 理 装 置 等 の 関 連 機 器 含 む ) の 保 守 管 理 に つ い て 理 解 さ せ る 。
( 文 献 3 2) よ り 抜 粋 )
患 者 の 生 命 に 直 接 関 わ る 装 置 の 操 作 は 不 可 能 で あ り 、 そ の 場 で は 基 本 的 に 見 学 が 中 心 に な る と 思 わ れ る 。 そ こ で 実 習 病 院 に お い て 実 際 的 な 装 置 に 触 れ る こ と で 、 理 解 が 深 ま る よ う に 実 習 す べ き と い う 内 容 と な る 2 )。
A
養 成 校 に お け る 教 育 課 程 で は 、3
年 生 後 期 に 臨 床 実 習 を 実 施 し て い る 。 臨 床 実 習 に お い て 学 生 は 、 実 際 の 臨 床 現 場 で 臨 床 実 習 指 導 者 で あ る 臨 床 工 学 技 士 が 行 っ て い る 業 務 内 容 を 見 学 す る 。 血 液 浄 化 装 置 実 習 で は 、 実 習 指 導 者 が 行 う 血 液 浄 化 装 置 の 操 作 、 保 守 点 検 に 関 す る 業 務を 学 生 が 見 学 し 、 透 析 療 法 の 内 容 に つ い て 理 解 を 深 め る こ と に な る 。 こ う し た 血 液 浄 化 装 置 実 習 に お け る
C E
養 成 課 程 の 臨 床 実 習 の 特 性 か ら 、学 生 に 求 め ら れ る タ ク ソ ノ ミ ー は 次 の よ う に 考 え る こ と が で き る 。臨 床 実 習 に お い て 学 生 は 、透 析 室 に 入 室 し て き た 患 者 へ 血 液 浄 化 療 法 施 行 前 と 施 行 中 ・ 終 了 時 に お け る 血 圧 ・ 脈 拍 測 定 、 血 液 浄 化 療 法 を 行 う た め の 必 要 物 品 の 準 備 や 確 認 、 清 潔 操 作 に よ る プ ラ イ ミ ン グ注 8 な ど 、 患 者 か ら の 同 意 を 得 て 、 ま た 実 習 指 導 者 の も と で 遭 遇 す る ( 図
7
)2 0 )。 そ し て 、 見 学 し た 業 務 内 容 や 指 示 さ れ た 課 題 、 そ し て 自 身 が 疑問 に 思 っ た こ と は 毎 日 レ ポ ー ト と し て ま と め 、 指 定 日 ま で に 提 出 を す る 。 提 出 し た レ ポ ー ト は 、 臨 床 実 習 指 導 者 が 内 容 を 確 認 し 、 添 削 し 指 導 を 行 う よ う な ス タ イ ル と な っ て い る 。 そ の た め 、 学 生 が 臨 床 実 習 内 容 に つ い て レ ポ ー ト 記 載 を す る た め に は 、図
3
に 示 し たM iller
の ピ ラ ミ ッ ド に お け る 第 1 層 お よ び 第 2 層 で あ る 認 知 領 域 の 確 立 が 重 要 と な る 。Ⅱ . 研 究 の 課 題 と 目 的
1 . 臨 床 実 習 に 求 め ら れ る タ ク ソ ノ ミ ー 1 ) 問 題 点
図
3
に 示 し た よ う に 、 血 液 浄 化 装 置 実 習 に お い て 「 腎 不 全 患 者 へ の 透 析 療 法 の 施 行 」 の 場 合 、 第 1 層 で は 、 腎 不 全 に よ っ て 起 こ る 電 解 質 異 常 や 体 液 量 の 増 加 、 酸 塩 基 平 衡 異 常 な ど の 認 知 領 域 で あ る 知 識 の 確 立 が 必 要 で あ る 。 第 2 層 で は 第 1 層 か ら さ ら に 上 位 の 知 識 と し て 、 腎 不 全 に 対 す る 対 症 療 法 で あ る 血 液 浄 化 療 法 に 関 す る 知 識 が 必 要 と な る 。 第 3 層 で は 、 確 立 し た 知 識 を も と に し て 血 液 浄 化 療 法 を 行 う 時 に 必 要 な ダ イ ア ラ イ ザ 、 血 液 凝 固 を 防 ぐ 抗 凝 固 剤 、 そ し て 透 析 液 の 選 択 な ど の 行 動 を 起 こ す こ と に な る 。 そ し て 第 4 層 で は 、 血 液 浄 化 療 法 を 行 う ス キ ル が 求 め ら れ る 。 つ ま り 、 第 1 層 と 第 2 層 は 認 知 領 域 が 、 第 3 層 と 第 4 層 で は 情 意 領 域 お よ び 精 神 運 動 領 域 が 該 当 す る 。 臨 床 の 現 場 で は 、 勿 論 、 第 4 層 ま で の 能 力 が 求 め ら れ る 1 )。廣 瀬 3 3 )は 、 臨 床 工 学 技 士 養 成 施 設 で は 、 限 ら れ た 養 成 期 間 の 中 で 教
育 の 充 実 を 図 っ て い る が 、 医 療 現 場 の ニ ー ズ に あ っ た 臨 床 工 学 技 士 が 必 ず し も 輩 出 出 来 て い る と は 言 い 難 く 、 学 力 低 下 、 稚 拙 な 表 現 力 、 総 合 的 と は 思 え な い 判 断 力 、 応 用 力 の 不 足 な ど の 問 題 が 露 見 さ れ る こ と も あ る と 述 べ て い る 。 こ の 数 年 、 臨 床 実 習 指 導 者 よ り 「 知 識 や 理 解 度 が 低 い 」 「 見 学 し た 臨 床 実 習 内 容 に つ い て レ ポ ー ト が 書 け な い 」 「 プ ラ イ ミ ン グ 操 作 が で き な い 」 と い う よ う な 認 知 領 域 や 精 神 運 動 領 域 に つ い て 指 摘 を 受 け る 。 例 え ば 、 腎 不 全 患 者 の 特 徴 的 な 所 見 が 挙 げ ら れ な い 、 透 析 液 の 組 成 が 答 え ら れ な い 、 清 潔 操 作 に よ る プ ラ イ ミ ン グ 操 作 が で き な い 、 透 析 療 法 施 行 時 の 透 析 条 件 が レ ポ ー ト に 記 載 さ れ て い な い 、 な ど 基 礎 的 知 識 お よ び 技 術 の 欠 如 に 関 す る 指 摘 で あ る 。 事 実 、
基 礎 的 知 識 が 不 足 し て い る た め 疑 問 も 湧 か ず 、 積 極 性 に 欠 け た 行 動 に 映 っ て し ま う ケ ー ス も 伺 え る 3 4 )。 ま た 、 「 挨 拶 が で き な い 」 「 学 生 同 士 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 取 れ て い な い 」 と い っ た 情 意 領 域 が 低 い こ と に つ い て も 、 指 摘 を 受 け る こ と が 多 く な っ て き た 1 )。
2 )
CE
養 成 校 の 取 り 組 み医 療 機 器 の 高 度 化 に 伴 う 医 療 技 術 の 領 域 の 拡 大 や 、 専 門 領 域 の 細 分 化 が 進 み 、患 者 の 高 齢 化 に よ る 疾 病 構 造 の 変 化 も 見 ら れ る よ う に な っ た 。 特 に 、 イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及 で は 、 患 者 自 身 が 能 動 的 ・ 主 体 的 に 独 自 で 情 報 を 収 集 す る こ と が 可 能 と な り 、メ デ ィ カ ル ス タ ッ フ へ の 要 求 度 や 質 に 対 す る 意 識 も 年 々 高 度 に な っ て き て い る 。 と こ ろ が 、 実 際 の 医 療 現 場 で は 考 え ら れ な い よ う な 医 療 事 故 の 発 生 、患 者 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 取 れ ず に 会 話 が で き な い と い う 医 師 を 含 め た メ デ ィ カ ル ス タ ッ フ の 増 加 な ど が 問 題 と な っ て お り 、何 ら か の 対 策 が 必 要 と さ れ て い る 。 こ の よ う な 問 題 を 背 景 と し て 、 医 師 を 含 め た 医 療 従 事 者 が 臨 床 に 従 事 す る 前 に そ れ ぞ れ の 養 成 機 関 に お い て お こ な う 医 学 教 育 プ ロ グ ラ ム の 改 善 に 取 り 組 ま れ る よ う に な っ て き た 3 5 )。
ま た 、認 知 領 域 だ け で は な く 、情 意 領 域 や 精 神 運 動 領 域 に つ い て も 目 標 を 設 定 す る に は 何 ら か の 評 価 が 必 要 で あ る 。 看 護 師 養 成 の 教 育 課 程 で は 、 卒 業 時 ま で の 到 達 度 3 6 )が