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論文内容要旨

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Academic year: 2021

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論文内容要旨

High expression of FOXM1 critical for sustaining cell proliferation in mitochondrial DNA-less liver cancer cells

FOXM1

の高発現はミトコンドリア

DNA

減少肝癌細胞の

増殖維持に重要である

腫瘍細胞生物学 日暮大渡

近年,大規模解析により,多様な癌腫の半数以上の症例でミトコンドリ

DNA(mtDNA)がその正常組織と比較して有意に減少していることが明

らかとなった.注目すべきは,この減少がゲノム

DNA

上の既知のいずれの ドライバー変異よりも広範で高頻度に生じていることである.従って,

mtDNA

の減少は薬物療法のまたとない標的と考えられる.

一方,mtDNAの減少は,E2F1転写ネットワークを下方制御し,細胞周期 阻害因子

p21

Cip1,p27Kip1を誘導して細胞周期の進行を停止させる.そのた

mtDNA

の減少は,増殖能の亢進という癌の特徴とは本来,相容れないも

のである.そこで本研究では,『mtDNA減少(mt-Low)癌細胞は,

mtDNA

減 少に伴う増殖抑制を克服するために,特異なメカニズムを獲得して癌化し た』という仮説を立てた.この克服メカニズムを解明し,破綻を誘導させ ることが出来れば,広範な癌腫の半数以上を占める

mt-Low

症例に対する 有効な治療法の開発につながる可能性がある.本研究では,mtDNA減少が 報告されている癌腫のうち,肝細胞癌の細胞株を用いてこの仮説を検証し,

治療への応用の可能性を示すことを目的とした.

肝細胞癌株7種と正常肝細胞の

mtDNA

量を定量し比較したところ,4種

の細胞が

mt-Low

癌細胞であり,このうち3種の細胞では,mtDNA 量が正

常レベルの癌細胞と同等の増殖能を示し,細胞周期の進行を促進する転写 因子複合体

FOXM1/BMYB

がタンパク質レベルで高発現していた.RNAi干渉 により,FOXM1および

BMYB

を減少させたところ,細胞周期が

G

1

/S

期で停 止し,老化様形質が誘導された.これらの結果は,mt-Low 癌細胞の増殖

維持に

FOXM1/BMYB

が重要な役割を果たしていることを示している.

さらに

mt-Low

癌細胞での

FOXM1

タンパク質の高発現について,RNAiや 阻害剤を用いて検討したところ,脱ユビキチン化酵素

OTUB1

の関与が示唆 された.GST-TUBE プルダウンアッセイにより

FOXM1

のユビキチン化のレ ベルを調べたところ,FOXM1は

OTUB1

により脱ユビキチン化されることで

(2)

プロテアソームによる分解を回避していることが示された.

以上より,今回対象とした

mt-Low

癌細胞は,FOXM1/BMYBを高発現させ

ることで

mtDNA

減少に伴う増殖抑制を克服している可能性が示された.ま

た,このうち

FOXM1

の発現制御には,脱ユビキチン化酵素

OTUB1

が関与し ていた.以上の結果は,

OTUB1

の阻害による

FOXM1

の発現抑制などにより,

FOXM1/BMYB

複合体の機能を阻害すれば,多様な癌腫の半数以上を占める

mtDNA

減少症例に対して,老化様の増殖停止を誘導することが出来ること

を意味している.本知見は従来よりもインパクトのある癌個別化医療への 応用が期待される.

(1196文字)

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