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婦人用衣服のアームホール曲線について

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(1)

婦人用衣服のアームホール曲線について

著者 山田 民子, 赤見 仁

雑誌名 東京家政大学研究紀要 2 自然科学

39

ページ 111‑120

発行年 1999

出版者 東京家政大学

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010662/

(2)

〔東京家政大学研究紀要 第39集 (2),p.111〜120,1999〕

婦人用衣服のアームホール曲線について

山田 民子*,赤見  仁**

  (平成10年9月30日受理)

Study on the Arm hole Lines of Dress Patterns

Tamiko YAMADA and Hitoshi AKAMi

    (Received on September 30,1998)

1.緒  言

 前報では,文化式と東京家政大学式の2方式の衣服原 型に関して,被服構成学の指導者が描いたアームホール 曲線の平均値から描いたその曲線を同一座標上の曲線と

して検討を行った.

 結果は次の通りであった.

(1)2方式の衣服原型のアームホール曲線はかなり類似  していると考えられた.サイズごとの衣服原型のアン  ダーアームホール曲線は,ほとんどの曲線がほぼ一致  した曲線になることがわかった.

② アームホール曲線は一致する部分と,一致しない部  分に分かれた.

 本報においては,デザインの異なるブラウス,ジャケッ トのパターンのアームホール曲線について,同じ方法を 用いて検討を行った.

 目的は次の通りである.

(1)ブラウスとジャケットのパターンのアームホール曲  線においても,共通な曲線のイメージが存在するか,

 否か.

2.実験方法

(1)試料

 1)ブラウスのパターン

  ①ブラウスは原型からパターンを起こしてあり,

    デザインがシンプルで,ゆとり量に相違のある     ものを雑誌から選定して原寸大のパターンにし     たもの 31種

      1993年 装苑 7種

 *服飾美術科  被服構成学実験研究室

**服飾美術学科 被服構成システム研究室

     1988年 装苑      1983年 装苑

     1993年 スタイルブック      1988年 スタイルブック      1983年 スタイルブック

②工業用パターン6種 2)ジャケットのパターン 7種

①②

ドレス原型

ジャケット原型 3種   幅出ししていないもの   幅出ししたもの   シャネル原型

種種種種種5 だQ ︻σ 5 3

  ③イタリア式の製図より作図したもの       テーラード・ジャケット 1種   ④ラブオフ法による既成のジャケット3種       シャネル。ジャケット  1種       テーラード・ジャケット 2種

② 測定方法

 1)パターンのアンダーアームポイントをb点とし,

   b点からバストラインに直角な線をY軸とした.

 2)前,後見頃それぞれのショルダーポイントをc点    とし,c点からY軸に直角な線を引きそれぞれの    交点をa点とした.

 3)a点とb点の間を16等分し,アームホール曲線を    バストラインに平行な直線の交点を作った.

 4)ab間の各分割点とA,Hの交点の距離を測定し

   た.

 5)Y軸の16等分座標値(1単位距離1cm)にし、 X    軸は4)の座標値を用いてアームホール曲線を表    した.

 6)曲線の一番下の点をd点としd点より垂直にあげ    た直線をY軸とした.Y軸と曲線の繰りの一番深

(3)

       山田 民子・赤見  仁   い点の距離を8等分し.Y軸に平行な直線の交点

       3.結果・考察

を作った.

7)X軸からアームホールの交点までの距離を測定し    アームホール曲線の検討部分はデザインやサイズの影 た.       響が少ないと考えられるアンダーアームホール部分とし 8)Y軸の16等分座標(1単位距離1.Ocm), X軸の8   た.

等分座標(1単位距離0.5cm)を用いてアームホー    1)ブラウスのアームホール曲線について

ル曲線を表した.      図2は,装苑のブラウスにっいて,年代別にBackの 9)この写像した曲線にっいて,比較検討をした.    アームホール曲線を同一座標上に重ねたものである.

      1

      −一一一一一8

      Y軸上のab間を16等分

15

10

一h︺

2の曲線をX軸の方向に8等分

2  Y軸を共通座標にした曲線

      4 図1 測定方法   (112)

150

   0    0   10  20  30  40

X軸,Y軸を共通座標にした曲線

(4)

婦人用衣服のアームホール曲線にっいて

160

ii緊喚

蜘拗蜘mmm㎜9・8・犯・鉛④3・20皿

60 T0 S0 R0

汲Q01000000000000

1111111987654321

40  30  20  10  0    40  30  20  10  0     40  30  20  10  0

9り6

1図

9 3 年 1 9 8 8 年 1 9 8 3 年

年代別にBACKのA. H曲線を重ねたもの      (装苑 ブラウス)

ω鉛4・3・⑳皿︒︒9︒8︒箔6︒釦⑳鉛⑳皿

1111111

O lO 20 30 40

6・

T・

S3・⑳皿︒︒9︒8︒⑳ω皿⑳11畠11111

30 Q0 P0

蜘抽.即柵伽m㎜9︒8︒冊・幻岨3・2・皿・

0 10 20 30 40  0 10 20 3cr op

1993年  1988年  1983年

図4 年代別にFRONTのA. H曲線を重ねたもの          (装苑 ブラウス)

励拗蜘m㎜m蜘・︒8・η6・5・

40 30

.20 10

\塁

0 10 20 30 40

9り0

1図

9 3 年 蜘酌蜘m伽m㎜9︒8︒η6・5・萌3・2・m・0︐ 4溜

,ざ

10 20 30 40

1 9 8 S 年

駕駕伽mm・︒8︒冗・︒器・︒・︒m︒

60 T0 S0 R0

S1000DOOO己000011凸−凸1111凸nン007710︽げ4﹁321

0000000 65432100000000dO 11−11111987654321

0 10 20 30 40  40 30 20 10 0 40 30 20 10−0  40 30 20 10 0

1 9 8 3 年

年代別にBACKのA. H曲線を重ねたもの   (スタイルブック ブラウス)

 図3は,スタイルブックのブラウスにっいて,年代別 にBackのアームホール曲線を重ねたものである.

 アームホール曲線の形は,どちらの方式も年代による 特徴は見られなかった.

 方式における変化をみると,ドレメ式によるブラウス のアームホール曲線の方が変化が少ない.

1993年  図5 年代別にFRONTのA. H曲線を重ねたもの1988年  1983年

      (スタイルブック ブラウス)

蜘蜘蜘m伽m欄9・8・笛ω

 図4は,装苑のブラウスにっいて,年代別にFront のアームホール曲線を重ねたものである.

 図5は,スタイルブックのブラウスにっいて,年代別 にFrontのアームホール曲線を重ねたものである.

 Frontのアームホール曲線は,2方式とも1983年のも のにはバラッキが少なかった.

(5)

山田 民子・赤見  仁

方式による変化は,文化式によるブラウスのアームホー ル曲線の方が変化が少ない.

Back

    150

−←一① 一◆一 A

一t−... @

一●一④

・一覗…D

一一ゥ⑥100

50

Front

図6工業用ブラウスパターンのA.H曲線を重ねたもの

 図6は,工業用のブラウスパターンを重ねたものであ

る.

 Front, Backとも,それぞれ3通りに分類できるこ とがわかった.

 装苑,スタイルブックのブラウスにおいても,Front Backともバラツキが見られるが,類似している曲線の あることがわかる.この類似している曲線を年代,方式 に関係なく重ねて検討した.その結果,Frontの曲線 においては4通り,Backの曲線においては5通りに分 類することができた.

 表1は,雑誌の製図より作成したブラウスのアームホー ル曲線について検討したものである.

 表2は,工業用ブラウスパターンのアームホール曲線 にっいて検討したものである.

 アームホールは,年代,方式,身幅のゆとり,大きさ に関係なく形によって類別できることが分かった.

 図7は,雑誌からのブラウスパターンによるFront のアームホール曲線の形と出現率である.

 ○ 原型のアームホール曲線とほとんど一致した形    45.16%

 X Oのアームホール曲線より丸みが浅い形41.93%

 ●袖下と見頃を続けて縫製するものに多く見られる    袖下で尖っている形 9.68%

 = アームホール曲線の丸みが極端に大きい形    3.23%

 図8は,Backにおけるアームホール曲線の形と出現

率である.

 △のグループに分類されるものがあった.原型のアー ムホール曲線より丸みが深い形となっていた.

0  41.94%

●  29.03%

×  12.90%

△  12.90%

・=  3.23%

 FrontとBackのアームホール曲線は,形が異なるが 原型のアームホール曲線を基準として考えると,同じよ

うに分類することができる.

 図9は,Frontにおける工業用パターンのアームホー ル曲線の形である.

 図10は,Backにおける工業用パターンのアームホー ル曲線の形である.

 工業用パターンのアームホール曲線には●印のものが 多く見られた.工業用パターンは縫製において作業効率 が考えられて形が作成されていることがわかった.

 以上の結果から,同一座標上で見たブラウスのアンダー アームホール曲線は,Front, Backとも同じようなグ ループに分かれ,共通なイメージを持っていることが分 かった.雑誌の種類,年代に関係なくアンダーアームホー ル曲線は形によって,類型化できた.

 2)ジャケットのアームホール曲線にっいて  図11は,試料として用いたドレス原型とジャケット原 型である. 原型は文化式の9号ドレス原型であり,こ れをもとにして展開したジャケット原型2種幅出しし ていないものと,幅出ししたもの,シャネル原型の3種

である.

 図12は,原型とジャケット原型3種の曲線を同一座標 上に重ねたもの(Back)である.

 良く一致した曲線となっている.

 図13は,シャネル原型とシャネルジャケットの曲線を 重ねたもの(Back)である.

 同一座標上では一致していないが平行移動して曲線を 重ねて見ると良く一致している.(Back)

(114)

(6)

       婦人用衣服のアームホール曲線について

表1 雑誌の製図より作成したブラウスのA.H曲線についての検討

パスト   背肩幅     A.H  B. A. H F. A. H

装薦九九轟畢 装苑 .装苑九八八年   一九八三年

九ド 九レ 三メ 年.

九ド

八、レ

八メ

九ド 八レ 三メ

①  98.2

⑭  、99.4

⑪ 102.8

◎.105.2

⑤ 117.0

⑤ 124。0

⑦ 129..6

①  95.2

②  98.8

③ 101『.4

④・105い6

⑤109...8・

①  96.2

②  97. 4

③ 102.4

④ 106.4

⑤・1 09.2

⑥ 115. 6

①  98.8

② 104.8

③ 108.8

④ 112.8

⑤ 116.8

① 102.6

② 104.8

③ 106.6

④ 112.8

⑤ 119.0

① 102−.8

② 104.8

③108.8

41.6  47.7 42.4  48.8 46. 2  48.5

39. 4   50. 2

45。0  54.

1 50.0  .54. 2

52.4 53.8

42. 0   49. 0.

44. 0   51. 5 49.・0・ 48 ・.0

40.6  51.0

54 . ・4   49. g 34. 8   49. 7

37.6 

43.8

49.4 

50.0 50.6  49.8

43. 0   47. 4

48。0  54. 0

37.4 

45.8

38.

8  49.5

41. 0   5:・5. 5

38. 8  55. 0 52響 4   ・52. 5

40.0  53.0 42.0  49。5

39. 6   52. 8 40..6  51。 3

43.6  54.5

45.4 41.9

39. 0  46. 7 38. 0  49. 5

26.2 0

2 5. 7 0 25. 0 ●

25.7 0

28. 3 0

28. 7. x

28.5 0

25. 2 △・

26. 0 △ 25. 2 △

25。0 0

25. 2 ● 25. 2 ● 22. 3 ・0 24. 0 ・△

26. 0 ●

23.7 ●

28. 0 ■ 20. 8 x

24.O O

28. o x 27. 0・m・

27.5 ●

27. 5・0 24. 5 x 27. 0 0 26. 0 ●

27.7 0 21.4.0 23.7.0 24.0 0

000X×XX OOOX●

5155853 85808

1、

繩繧S臥臥翫&臥臥ε翫 2222222 22222

OQO■00

550870 屯L鉱翫翫鉱 222222

Ox×xO

O5500

5.逑絈繪

22222 Ox×●冨

臥0838●  ・  ●  ●  ●

55556

22︐222 XX°X

505

・  ●  ■

035 222

表2 ブラウスの工業用パターンのA.H曲線についての検討

バスト 背肩幅

A.H

B.A. H F.A. H

422020

サ   ロ  ロ       コ   の

・265242 20000︐1 111111

①②③④⑤⑥

880240

° ・ ° . ・ 6

348722544445

55・.2

57. R

50.0 53.6 50.2

52、.0

28.6 29.0 26.0 28.0 25.4

27.1』

●●300●

26.6−●−

28.3−●−

24.o宰

25.6●

24.80・

24.9●

(7)

山田 民子・赤見  仁

分類・出現率

45.16%

︐X

41.93%

A.Hの形

6−」5

11

曇,1り 駈6・・

員 飾

・塾

2口. 6

L

葛3

αn俸 5 配

1三∂  ● ︐⁝・● E

1

訂1 唖5

1・

匿7層,..7

分類・出現率

9.68%

3.23%

A.Hの形

   .・幡  ..3ロ..

羅郡

蝶、

    乳5亀 1:多難・・.

     as .・

.05。

ー20L﹂

 .  ls

   ・轡 而1・

      硲iS夏 十一雛野。

1.° 1{峯コ :

・幡

図7 FRONTにおけるA. H曲線の形と出現率(雑誌によるパターン)

分類・出現率

0

41.94%

A.Hの形

9.

fπ二゜÷.乎隠二゜ρ鴫ゴ㌦ ギ頚

・箆゜.・ξ−1ー遥鋲 ﹂り・−笥藁▼°.︑・︐・

り転 −隅

分類・出現率

29.03%

A・Hρ形

ぞ島

.〆勢樋虻:輪・

°1三ギ『講

ls,tニマ r

・ 一

ノ事

 1・  噛

 1  ・     ・  」一一一一一r−

  ∵∴・・M

三ら∵覚・.一,: ・

65.噸・・,、.

弓レ   弓}

Lv M・

×

12.90%

12.9 0%

.癖瞬擁蜜蕪豊︷離︸ 摯5脳?・窪;°1ぐ

添:・2  , .

睡e盛

讃摩㌶欝.︽.捗

峯・j嚢・ 乙、じ・、

X ︐

二lllll零

靴ジ1 F〉:涛

e∵血邸、

   .,.・曹計■■6㌦o・ ●●o●・昌 5

3..23% 45

図8 BACKにおけるA. H曲線の形と出現率(雑誌によるパターン)

       (116)

(8)

婦人用衣服のアームホール曲線にっいて

分類 A.Hの形

図9 FRONTにおける工業用パターンのA. H曲線の形

(9)

山田 民子・赤見  仁

分類

A.Hの形

図10BACKにおける工業同パターンA. H曲線の形       (118)

(10)

婦人用衣服のアームホール曲線にっいて

ドレス原型

ジャケット原型(幅出ししたもの)

8 P

ジやケット原型(幅出ししていないもの)    シャネル原型       図11 ドレス原型とジャケット原型

Back

1SO

       40 30 勾 10

図12 ドレス原型とジャケット原型3種の曲線を    重ねたもの

 Back

塞50・ 1SO

シャネルジャケット

    to 90 m1060    CO 3020100

    同一座標上で重ねたもの      平行移動して重ねたもの      図13 シャネル原型とシャネルジャケットの曲線を         重ねたもの

(11)

山田 民子・赤見  仁

4.まとめ

ー賑︑

ーーム﹁ー﹁ −−−

Back

150

11ーー111

ー﹂罪ガ拶−ー

 言ーゴ﹂讐・619亀

  40 30 20 10 0

 ra 一一座標上で重ねたもの      平行移励して重ねたもの

図14 イタリアのジャケットと既成のジャケット2種の    曲線を重ねたもの

 結果は次の通りであった.

(1) ブラウスとジャケットのパターンのアンダーアーム ホールにも,共通な曲線のイメージがあると考えられた.

 本研究は,日本繊維製品消費者科学会1997年年次大会 において口答発表したものである.

文  献

1)山田民子,赤見仁:東京家政大学研究紀要第38集,

 161 (1998)

 図14は,イタリアのジャケットパターンと既成のジャ ケット2種(テーラーカラーのジャケット)の曲線を重 ねたもの(Back)である.

 平行行移動して重ねると一致した曲線となっているこ とがわかった.

 FrontにおいてもBackと同様な結果が得られた.

 以上の結果より,ドレス原型とジャケット原型3種と シャネル・ジャケットのアームホール曲線は極一致した 曲線となっていた.

 テーラード・ジャケット3種のアームホール曲線は平 行移動すると重なった曲線となり,ドレス原型にも重な

ることがわかった.

 今回試料とした7種のジャケットのアームホール曲線 は,類似した曲線となり原型のアームホール曲線とほぼ 同じ形をしていることが分かった.

 しかし,試料が少ないため今後も検討を続けて行く.

 また,外国のブラウスやジギケットにっいてもこの方 法で行うとどうなるか興味があり,今後検討したいと考 えている.

(120)

参照

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