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農中総研 調査と情報

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(1)

農中総研 調査と情報 

■ レポート ■

■ 現地ルポルタージュ ■

■ 最近の調査研究から ■

■ 寄 稿 ■

■ あぜみち ■

2008.1 (第 4 号)

● 農林水産業 ●

農地政策の改革の方向と課題                       2

わが国の農産物輸出を考える  ―タイ・バンコクの高級フルーツ店の事例から―       4 大消費圏へのアクセスの遠隔地と近郊地にみる稲作の現状と将来展望         6  ( 財 ) 農村金融研究会 主任研究員 坂内久

● 農漁協・森組 ●

農協の新規就農支援の取組みと課題 ―平成19年度第1回農協信用事業動向調査より―     8 最近の相続・遺言関連業務の動向         10

● 経済・金融 ●

2008 年の金融政策を考える視点                    12 介護者の負担について                  14

JA の営農経済渉外  ―支援対象の担い手と活動範囲を明確に―       16 ( 株)日本農業新聞 論説委員 日野原信雄

地域づくりの核となる直売所  ―「福ふくの里」の事例―        18 協働で守る農地・道路  ―長野県栄村―       20 食品リサイクル事業に取り組むあいち海部農協エコ部会      22 小中一貫教育で食育科を導入した愛知県西尾市立寺津小中学校       24

当社の定期刊行物に掲載された論文を紹介するコーナー       26

農家民宿「いちょうの樹」の思い      28 高知県梼原町 上田知子

ISSN 1882-2460 

ゆすはら

(2)

1 はじめに

農地を荒廃から防ぎ、いかに担い手に集積 していくかが日本農業の喫緊の課題であり、

農林水産省では 2007 年1月より「農地政策に 関する有識者会議」を設け、農地政策の改革 について検討を続けてきた。同省では8月に は農地政策の改革への考え方を「農地政策の 見直しについて」として示し、さらに11月に は、改革案として「農地政策の展開方向につ いて」を公表した。本稿は、この「農地政策の 展開方向について」の概要を紹介するととも に、その課題についても考えてみたい。

2 農地政策の改革に挙げられた5つの項目

「農地政策の展開方向について」に挙げられ た項目は、①農地情報のデータベース化、② 耕作放棄地の解消に向けたきめ細やかな取組 みの実施、③優良農地の確保対策の充実・強 化、④農地の面的集積を促進する仕組みの全 国展開、⑤所有から利用への転換による農地 の有効利用の促進、の5つである。

まず、①農地情報のデータベース化では、

「農地情報を関係機関が共有化するため、情 報の基礎となる地図情報の上に各機関が保有 している必要な情報を乗せて一元化・データ ベース化」するとしている。農地情報はこれ まで農業委員会や土地改良区等関連機関に分 散し所有され、連携した利用はほとんど行わ れてこなかった。そのため、農地情報を一元 的に集約化し、各機関等の利用を可能にする ことで、農地の利用集積のための有効活用を 図ろうということである。

次に、②耕作放棄地の解消に向けたきめ細 やかな取組みの実施では、「5年後に耕作放 棄地を解消することを目途」と具体的な期限 を設定した上で、農用地区域外でも「農地と して確保すべきものは農用地区域」に編入す る一方、「農地に戻せるもの、非農業的利用 を検討せざるを得ないもの等」を明確に振り 分け、具体的な解消方策を策定するとしてい る。

また、③優良農地の確保対策の充実・強化 では、「転用許可制度により農地転用を農業 上の利用に支障が少ない農地に誘導し、優良 農地を確保」するとし、例えば「農用地区域か らの除外を厳格化」や「病院や学校等の公共転 用について、許可対象とする」こと等の措置 を講じるとしている。

このように、②耕作放棄地の解消、③優良 農地の確保対策では、これまでの規制では放 置されたままだった耕作放棄地や防げなかっ た農地転用について、既存の制度の見直しや より厳格な制度運用を図っていくことで対処 しようとしている。

さらに、④農地の面的集積を促進する仕組 みの全国展開では、「農地を面としてまとま った形で再配分する仕組みを全市町村で展開 し、面的集積を促進」するとしている。これ は、現在の合理化事業が地権者からの申し出 があって初めて対応する仕組みで、規模拡大 が実現しても分散錯圃が解消されず、効率的 利用が困難なケースが多いことへの反省に立 っている。そのため、「面的集積機能」の仕組 みでは、「現場に働きかけ、委任・代理によ

〈レポート〉農林水産業

農地政策の改革の方向と課題

主任研究員  内田多喜生

(3)

る結び付け等により面的にまとまった形での 利用を図る機能を、すべての市町村に位置付 け」農地の利用集積を促進するとしている。

そして、最後の、⑤所有から利用への転換 による農地の有効利用の促進では、「『所有』

から『利用』に転換を図り、農地の効率的利 用を促進」するとし、「所有権については厳し い規制を維持」し、「貸借による権利について は規制を見直し」、また「長期間の賃貸借が可 能になるよう措置するとともに標準小作料制 度等を廃止の方向で見直し」するとしている。

農地の所有権の安易な拡大は認めない一 方、貸借規制を緩和することで、面的集積の ための流動化を目指すということである。

3 農地政策の改革の方向

今回の改革の方向は、「農地の面的集積」が 大きなポイントであろう。「農地の面的集積」

のため、基礎データとして、①農地情報のデ ータベース化に取り組み、前提となる農地を、

②耕作放棄地の解消と、③優良農地の確保に より維持する。そして、それらの農地を、④ 面的集積を促進する組織を通じて、⑤所有か ら利用への転換による貸借規制の見直しによ って、担い手に集積していくということであ る。いくら規模拡大をしても分散錯圃が障害 となって (特に都府県の土地利用型農業で) 農 業の生産性の向上が難しい現状では、こうし た農地政策の改革は早急に取り組むべきであ ろう。

ただし、これらの項目を具体化していく上 での課題も多いと考えられる。例えば、①農 地情報のデータベース化については、現在各 関連機関が持つデータの様式や保存方法等を 統一する必要があり、さらに、今後予想され る不在村農地所有者の急増に対しデータの更

3

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

新・メンテナンス作業をどのように行うのか も課題になろう。また、④面的集積を促進す る上で、現在それらの機能を持つ組織は、市 町村、農地保有合理化法人、農業委員会、土 地改良区等に多岐にわたり、従来の組織との 役割の分担、機能の整理等が必要になろう。

さらに今回の改革案ではふれられていない重 要な課題として税制の問題がある。とくに、

農地の出し手に配慮した税制の見直しについ ては、早急に進めていく必要があろう。

なお、貸借規制の見直しについては、8月 の「農地政策の見直しについて」にあった「原 則許可」は「規制の見直し」となり、「企業等の 参入」も文言としてはなくなっている。やは り、企業の参入を含む貸借規制の原則自由化 については、企業と担い手との農地利用の競 合や集落全体で担っている農道や農業用水の 共同管理の実態等を考慮すると様々な問題が 生じる可能性があり、慎重な対応が必要であ ろう。

4 さいごに

農地政策の改革は早急に取り組むべきであ るが、たとえ改革が実現し農地の面的集積が 実現しても、そのままでは農業経営の安定化 につながらないことに注意が必要である。む しろ、少数の担い手に農地が集約された上で 経営が不安定化すれば、それはそのまま日本 の農業生産基盤の危機となる可能性もある。

米価下落の現状はそうした集積後の農業経 営を危惧させる事態になっており、農地政策 の改革と並行して担い手の経営安定化のため の方策を強化していくことが、日本農業を維 持していくために必要であろう。

(うちだ たきお)

(4)

1 1兆円を目指すわが国の農林水産物輸出 世界的な日本食のブームとアジア諸国の所 得上昇等を背景に、日本の農林水産物 (以下

「農産物」 ) の輸出を 2005 年〜 2010 年の5年間に 倍増させるとともに (06年の輸出額は3,739億 円) 、2013年には1兆円を目指す取組みが農林 水産省によって推進されている。

特に政府が輸出促進の本格的な取組みを開 始した 04 年以降の伸び率は、円安の進行によ る日本食品の「割安さ」も手伝って、前年比 12 〜 13 %の高い伸びを記録している。

では海外の現地市場で、どのように日本の 農産物輸出が展開されているのか、タイ・バ ンコクの事例をレポートしてみたい。

2 富裕層向けの高級フルーツ店の取組み タイは経済関係を中心に、観光、文化面等 でも日本との交流が密接な国である。総じて 親日的な国民感情とともに、タイでは中間層 の所得と厚みが年々拡大しており、首都バン コクを中心に日本の「食」に対する関心は息 の長いブームの様相を呈している。

こうしたなかで、06年12月にバンコク中心 部のショッピングモールに、従来タイになか った高級フルーツ店を開いたA社の事例を以 下で紹介しよう。

A社は金沢の果物店だが、社長が東京でタ イ富裕層へのフルーツ販売の経験から、現地 でのビジネス機会があると判断し進出を決め た。富裕層をターゲットにしているだけに、

当社の価格は日本人からみても相当高いレベ ルである。

例えばりんご (ふじ) 300B (1B・バーツ=

3.3

円) 、柿400B、なし840B、詰め合わせギ フトは 1,250B 〜 9,000B といった水準である。

日本の高級品をそのまま輸入、販売すると、

やはり日本の小売価格の3倍以上の価格にな るという。

ただし、 2007 年の「日タイ経済連携協定」

JTEPA

) の発効により、りんごに対し現行

10 %課せられている関税は即時撤廃、いちご、

桃等の 40 %の税率も順次引き下げられる予定 であり、これによって現地の小売価格は今後 低下する見込みである。

A社への物の流れは、A社のオーダーを受 け、日本の輸出業者が卸市場で調達、輸送

(りんご、晩生なし、ほし柿を除いてすべて空輸)

し、タイ側の荷受会社 (A社に出資している)

を経由してA社に到着する。フレッシュの果 実の大半は農協系統のものである。

A社は出店からの1年を振り返り、予想以 上に現地富裕層の購買力は大きく、「良いも のなら価格を気にせず購入する階層」が確実 に存在するというのが実感であったという。

当初はタイの日系企業の贈答需要が相当の割 合を占めるとみていたが、結果的には9割近 くがタイ人の顧客であった。

3 ももといちごの反応がよい

品目では、りんごが通年供給可能という点、

〈レポート〉農林水産業

わが国の農産物輸出を考える

―タイ・バンコクの高級フルーツ店の事例から―

主任研究員  室屋有宏

(5)

また日本の果物として浸透していることか ら、年間でみると一番販売額が多い。しかし、

シーズンでみると、ももといちごの反応が良 く、それぞれ時期的には売上げの7〜8割を 占める。タイでは、ももは中国産、いちごは タイ産が流通しているが、それらと比較し日 本産は全く味が違う点が評価されたと考えて いる。ピーク時の「あまおう」は1パック

1,500B もするが、それでもよく売れるという。

A社は、ゼリーやジャムなどの加工品も扱 っており、またパーラーも併設している。タ イでは「食べごろ」といった感覚がないこと もあって、いつ食べても美味しい加工品は引 き合いがある。反対に、フレッシュ販売では

「食べごろ」や「食べ方」の提案を顧客に行 っている。

パーラーは比較的低価格で日本のフルーツ を知ってもらう「試食」の意味とともに、店 頭品の需給調節の役目を担っている。また同 様の観点から、現地の高級レストラン等にメ ニュー提案し販売する努力も行っている。A 社のようにフレッシュで販売する場合、需要 をどれだけ的確に読み、タイミングよく仕入

れをするかが経営のかなめとなるだけに、需 給調節の意義は大きいといえる。

4 見えてくる幾つかの課題

タイに限らず、日本の農産物は海外では

「おいしい」とともに「健康的」 「安全・安心」

であるということでプレミアムを受け取って いる。A社のように、富裕層にターゲットを 絞る場合は問題がないだろうが、市場が拡大 するなかで、価格競争を指向する業者が増加 し、それに伴う品質低下と日本産全体のプレ ミアム低下といった事態が起きないようにす ることが一番大切ではないかと思われる。量 的な拡大よりは、官民あげて高品質な農産物 輸出マーケットを育成していく姿勢が必要で あろう。

第二に、A社の事例にみるように現地の実 態に即したマーケティングや情報収集等が、

輸出促進には不可欠な要因だといえる。日本 からの農産物を輸出する場合、A社のように 現地に実店舗を持つケースはむしろ例外で、

通常は輸出業者に販売委託することもあり、

きめの細かい現地市場への対応が難しく、販 売成果が伸びないケースも多いとされる。

第三に、A社も日本の果物がタイで受け入 れられるのは、何よりも「日本の生産者のレ ベルの高さと品種改良の技術」にあるとして おり、わが国の産地、農家のレベルは世界に 誇れる資産であるといえる。

輸出を通じ、日本の国民が貴重な知的資産 としての日本農業を再認識するとともに、弱 体化が進む国内農業を立て直す重要性を広く 共有する契機となることを期待したい。

(むろや ありひろ)

5

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

A社の店内ディスプレイ

(6)

1 はじめに

稲作の生産主体の方向性を探るため、 2007 年に大消費圏へのアクセスの良否をもって各 地の代表性を反映しうる秋田県 (A地区) と 茨城県 (B地区) の集落で、アンケートとヒ アリング調査を

(注)

実施した。

本稿は、その調査結果の概要である。

2 農地利用と生産物販売

A地区の農家の水田は、2ha以上が57.6%

(うち

5ha

以上が

14.7

%) である。また戸数の少 ない非農家が所有する水田は約8割が 1.5ha 未 満、うち約半数が 50 a未満である。

これに対しB地区の農家の水田は、2ha以 上が 16.5 % (うち

5ha

以上が

9.0

%) 、 1ha 未満が 70.2 %である。また畑は 50 a以上が 61.0 %、う ち 1ha 以上が 20.3 %である。集落内で多数派の 非農家の所有水田は、98%が1.5ha未満 (うち 約6割が

50

a未満) であり、畑も約8割が 50 a 未満である。さらにその非農家の保有農地は、

貸出 36.8 %、放置 29.9 %となっている。

米、野菜、その他作物の合計を 100 %とし た販売割合は、A地区では米90%以上の農家 が 60.9 % (野菜

4.1

%、その他

4.5

%) であるのに 対し、B地区では米 90 %以上の農家が 43.1 %

(野菜17.2%、その他0%) である。全般にA地 区では米への集中が高いものの、他作物への 分散も認められるのに対し、B地区は畑作地 帯でもあり、野菜と米を両立させる姿が認め

られる。

つぎに、農家総所得に占める農業所得の割 合をみると、5割以上を農業に依存するのは A地区 58.1 %、B地区 45.3 %であり、両地域を 合わせて 54.5 %の農家である。反対に農業所 得が3割未満はA地区 19.6 %、B地区 39.6 %と なっており、農業依存の程度に差がある。

3 稲作の現況

米の出荷・販売先別をみると、「農協へ7 割以上出荷」がA地区は62.6%と高い。B地 区ではこれが 17.5 %と低いが、反対に「7割 以上をその他へ販売」が 21.6 %と高くなって いる。なお、農協出荷の高いA地区でも「5割 以上をその他へ販売」が7.2%存在している。

農協からの生産資材の購入を肥料と農薬で 見 て み る と 、 A 地 区 で は そ れ ぞ れ 7 3 . 8 % 、 7 7 . 8 % と 総 じ て 高 く 、 B 地 区 で は 4 9 . 1 % 、 46.4%と低い。生産資材も米出荷と同様の傾

向が認められる。

ところで、直近2〜3年の稲作の採算性は、

両地区合計では「助成金を含めても赤字」と

「助成金を含めると赤字でない」がほぼ拮抗 し、「勤労者なみ」ないし「ある程度の所得 を確保」は僅かである。ほぼ半数の農家で、

助成金を含めても既に採算ベースを割ってお り (不明を除く) 、ほとんどの農家で助成金の 有無が採算性を左右している。地域別でみる と、A地区は全体傾向に近似しており、B地

〈レポート〉農林水産業

大消費圏へのアクセスの遠隔地と 近郊地にみる稲作の現状と将来展望

(財)農村金融研究会 主任研究員  坂内久

(7)

区は「助成金を含めても赤字」が4割強と最 大だが、一方で「勤労者なみ」と「ある程度の 所得を確保」をあわせた割合も相対的に高い。

4 稲作の担い手と将来展望

現時点で、農家の後継ぎと農業 (稲作) と の関わり方は、両地区合計で「農繁期に手伝 う程度」が 62.3 %と最も多い。ただ、ヒアリ ングによれば、機械化体系が確立した現代の 稲作では、小中学生が農作業を手伝っていた 時代とは異なり、手を出せる場面が極めて少 ないという。このため農外勤務者は農繁期に 周辺の手作業程度の関わりしか持てないのか も知れない。なお、調査サイト別で関わり方 に大きな違いは認められない。

7

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

これと関連付けてその 10 年後の姿を見てみると、現 在「農繁期に手伝う程度」

の後継ぎがいる農家は半減 し、反対に先が見通せない 農家と全く後継ぎが農業に 関わらない農家が増えてく る。ただ、後継ぎが「農業 を中心的に担っている」農 家 も 、 現 在 の 5 . 9 % か ら 16.4%に増えると見込まれ

る。これも調査サイト別で は差がない。

そうした後継者の動向を踏まえ、 10 年後の 展望を聞くと、両地区合計で、積極的規模拡 大 と 現 状 維 持 を 合 わ せ た 「 維 持 ・ 拡 大 」

44.9

%) よりも、全部委託、一部委託、稲作 中止の3つを合わせた「後退」 (50.0%) の見 方が上回る。

地区別にみると、A地区では「現状維持」

40.5 %が最も多く、B地区では「全部委託」

34.7 %が最も多い。また「規模拡大」の展望 を持つのはそれぞれ7.1%、8.3%とともに少数 派である。

さ ら に 後 退 か 前 進 か の 観 点 か ら み る と 、

「全部委託」「一部委託」「稲作中止」の合計 がA地区 44.2 %、B地区 57.0 %となり、「現状 維持」 「規模拡大」の合計がA地区 47.6 %、B 地区 31.9 %である。A地区は前進と後退が拮 抗して見通し難いが、B地区は後退的な見方 が2割も上回り今後 10 年間に担い手への集中 が一層進展すると見込まれる。

(ばんない ひさし)

第1−1図 稲作の10年後  第1−2図 稲作の10年後 

(A地区, n=170/MA)  (B地区, n=72/MA) 

全部委託 

(20.0) 

一部委託 

(17.1) 

一部委託 

(18.1) 

全部委託 

(34.7) 

現状程度を  継続 

(23.6) 

現状程度を  継続 

(40.5) 

不明 

(2.4)  不明 

(8.3) 

その他 

(5.9)  その他 

(2.8) 

稲作中止 

(7.1)  稲作中止 

(4.2) 

経営規模  拡大 

(7.1%) 

経営規模  拡大 

(8.3%) 

(注)A地区10集落=農家170戸(82.1%)・非農家37

戸(17.9%)、B地区19集落=農家72戸(28.8%)・非 農家178戸(71.2%)、回収数457戸(84.0%)。両調査 サイトは、農家と非農家の割合が逆転した対称的 な居住者構成である(農家・非農家は、販売目的 の生産の有無で区分し、回答者の自主申告に基づ く)。

(8)

1 はじめに

今年度から始まった品目横断的経営 安定対策等の担い手政策の強化を踏ま え、農協は担い手金融の推進や経営管 理支援の取組みを行っている。こうし た取組みによって担い手を持続的に育 成していくには、その予備軍である新 規就農者の確保が不可欠であり、組合 員基盤が変容するなかで、農協におい ても次世代対策の一環として新規就農 対策への取組みが重要となっている。

(注1)

そこで、本稿では 2007 年6月に実施

した「19年度第1回農協信用事業動向調査」

(集計対象は

356

組合) を用いて、農協の新規就 農支援の取組状況と課題について考察する。

2 新規就農支援の取組み 新規就農者に対する支援が

(注2)

ある農協の割合 は全体で 67.7 %であり、地域別では北海道

87.5

%) 、北関東 (

81.3

%) 、山陰 (

100.0

%) 、 北九州 (

74.3

%) 、南九州・沖縄 (

75.0

%) の割 合が高くなっている。

支援措置の内容では、「営農資金の融資や 助成」があると回答した農協が 73.4 %と最も 高く、次いで「就農相談の実施」が53.1%、

「経営指導 (農業簿記等の指導を含む) 」が 45.2 % となっている (第1図) 。これらの割合と各支 援措置の実行状況 (

04

年度以降) をみると、

両者に大きなポイントの開きはないことか ら、多くの農協はその強みを生かし、資金対 応や経営指導等の新規就農支援に取り組んで いるといえよう。

農林水産省調査によると、新規就農者が農 業経営を開始するにあたり、最も苦労したこ とは、営農技術の習得となっている。

(注3)

この点 について、同第1図の農協の支援措置におい て「農業研修の実施」または「研修先の紹介」

の支援をしていると回答した農協 (

98

組合)

を対象に、農業研修の実施方法をみると (複 数回答) 、先進農家や農業法人を紹介する「研 修先紹介型」が 62.2 %と高い。一方で、農協 自らが就農希望者を臨時雇用等で受け入れて 研修を行う「雇用研修型」 (

14.3

%) や農業公 社等で研修を行う「公社等研修型」 (11.2%)

〈レポート〉農漁協・森組

農協の新規就農支援の取組みと課題

―平成19年度第1回農協信用事業動向調査より―

主任研究員  江川 章

資料 農中総研「19年度第1回農協信用事業動向調査」より作成 

(注) 若青年の新規就農者に対する支援がある241組合を対象。 

100

73.4

62.6 49.2

43.1 30.33 31.3 30.8 24.6 24.1 15.9

17.9 7.2 4.1 3.1

(%) 

80 60 40 20 10 助

 

営 農 資 金 の 融 資 や

 

04年度以降に当該支援の実行があった  農協の割合

(数値は下段)

n=195

53.1

就 農 相 談 の 実 施

 

45.2

等の 指 導 を含 む︶ 

経 営 指 導

農 業 簿記 

36.5

農 地 紹 介

 

農 地 情 報 の 提 供 や

 

34.4

リ ー ス や 貸 与

 

農 業 機 械 ・ 施 設 の

 

32.4

農 業 研 修 の 実 施

 

30.3

組 織 化

 

勉 強 会 や 交 流 促 進

 

新 規 就 農 者 同 士 の

 

27.4

研 修 先 の 紹 介

 

21.6

助 成

 

生 活 資 金 の 融 資 や

 

20.7

促 進

 

地 元 農 家 と の 交 流

 

9.5

住 宅 紹 介

 

2.5

兼 業 先 の 紹 介

 

6.2

そ の 他

 

第1図 新規就農者に対する支援措置の内容と  第2図 その実行状況 (複数回答) 

各支援措置を有する農協の割合

(数値は上段)

n=241

(9)

農協が出資した法人で行う「出資法人研修型」

8.2

%) の割合は低くなっている。営農技術の 研修では、就農希望者を受け入れる研修先の 確保が重要であることがわかる。

3 新規就農支援の課題と今後の取組意向 新規就農支援を行う際の課題をみると (第

2図) 、 「融資の際の債権保全」を あげる農協の割合が46.0%と最も 高く、以下「支援実施のための人 員や財源の確保」が 43.5 %、「就 農後のフォローアップ」が 38.1 %、

「農地情報や受入農地の確保」が 36.0 %となっている。

このように様々な問題があるも のの、新規就農者支援についての 今後の取組意向は、現状維持が 56.2 %、拡大意向が 43.8 %となっ ており、新規就農支援に対する農 協の取組意識は高いといえよう。

しかし、新規就農支援の拡大意向を有して いる農協のなかには、支援拡大が可能とする 農協と、困難とする農協が存在する。特に、

「 支 援 実 施 の た め の 人 員 や 財 源 の 確 保 」 や

「就農後のフォローアップ」「農業研修を行う 指導者の確保」において、拡大困難とする農 協が拡大可能とする農協を大きく上回ってい る (同第2図) 。

以上のことから、農協は新規就農支援に対 して積極的な取組意向をもっているものの、

その実行に当たっては、指導者も含めた人員 や財源の確保、就農後のフォローについて課 題を抱えていることがわかる。今後の新規就 農支援では、自治体や農業改良普及センター 等の関係機関と連携・協力し、人員や財源に ついて役割分担を進めていくことが重要だと いえよう。

(えがわ あきら)

9

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

(注1)JA全中が実施した「19年度【全JA調査】

調査結果報告」(2007年10月、回答母数771組合)

をみると、「新規就農者が地域農業戦略等におい て、担い手として明確に位置づけられている」農 協は4割存在する。

(注2)ここでいう新規就農者とは新規学卒就農者

と39歳以下の離職就農者を指し、農家だけでなく、

非農家子弟の新規参入者も含む。また、その支援 には農協独自の支援だけでなく、国や都道府県、

市町村、農業改良普及センター等と協力体制をと っている支援も入れている。

(注3)農林水産省統計部「平成19年新規就農者就

業状態調査」によると、農業経営の開始時に営農 技術の習得に苦労したと回答した新規就農者は8 割にのぼる。

資料 第1図に同じ 

(注) 図中の点線での丸囲みは, 支援拡大を実行困難とする農協が, 実行可能という農協 の割合を10ポイント以上, 上回っている課題 

60

(%) 

50 40 30 20 10

0

担 保・ 保 証人 確 保︶ 

融 資 の 際 の 債 権 保 全

  46.0

や 財 源 の 確 保

 

支 援 実 施 の た め の 人 員

  43.5

就 農 後 の フ ォ ロ ー ア ッ プ

  38.1

確 保

 

農 地 情 報 や 受 入 農 地 の

  36.0

の 確 保

 

農 業 研 修 を 行 う 指 導 者

  26.4

農 業法 人︶

の 確 保

 

研 修 先

︵ 先進 農家 や  21.3

含め て︶

を 生 活 面 で 支 援

 

新 規 就 農 者

その 家族 も 

19.2

協 力 体 制

 

関 係 機 関 と の 連 携 や

  18.8

住 宅 の 確 保

  15.9

就 農 支 援 の 広 報 や P R

  15.5

販 売 先 の 確 保

  15.1

営 農 モ デ ル の 策 定

  13.8

地 元 農 家 と の 交 流

  10.0

新 規 就 農 者 同 士 の 交 流

  7.5

そ の 他

  2.5

第2図 新規就農者に対する支援の課題 (複数回答) 

全体 

支援を拡大したいが, 実行は困難とする農協

(n=47) 

支援を拡大し, 実行も可能とする農協

(n=58) 

(10)

1 はじめに

首都圏の金融機関利用者世帯に対するアン ケート調査によると、農協とのかかわりが深 い世帯では、相続・遺言に対する関心、遺言 信託の利用意向が他の世帯に比べて高いとい う傾向がみられる (日本経済新聞社実施の金融 行動調査による。東京駅から

40km

圏内に住む

25

〜74歳の男女8,400人を対象に06年10月19日〜12 月1日に実施。有効回答者数は

2,558

人) 。

平成 19 年度第1回農協信用事業動向調査に よれば、対象農協のうち8割以上が組合員か ら相続に関する相談があると回答している。

また、農協系統における遺言信託の取扱件数 も増加しているが、他方で、信託銀行等にお いても遺言関連業務への積極的な取組みがみ られる。

以下では、遺言・相続関連業務をめぐる最

近の動向について、簡単にまとめてみたい。

2 相続・遺言をめぐる状況

旧民法における家督相続の意識が残ってい る 70 歳以上の被相続人と新民法の意識が強い 相続人との間で、相続に対する意識が異なる こと、均分相続のもとで相続人が各々の財産 に対する権利を主張する傾向が強まっている ことなどを背景として、相続をめぐるトラブ ルに発展するケースが増加している。司法統 計年報により、全国の家庭裁判所における相 続に関する相談件数の推移をみると、 90 年代 後半から増加傾向が続いており、 03 年に 10 万 件を超えた (第1図) 。05年では、相談件数は 11 万 6,858 件、全相談件数に占める割合は 25 %、

年間の死亡者数に対する比率も 10.8 %にのぼ る。また、当事者間の話し合いでは遺産分割

〈レポート〉農漁協・森組

最近の相続・遺言関連業務の動向

研究員  小針美和

資料 最高裁判所『司法統計年報』, 国税庁ホームページより作成 

第1図 家庭裁判所に持ち込まれる相続に関する  第2図 相談の件数 

12 30

(万件)  (%) 

10 25

8 20

6 15

4 10

2 5

0 0

91  年 

92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 相続に関する 

相談件数 

全相談件数に占める  割合 (右目盛) 

死亡者数に対する比率 (右目盛) 

資料 日本公証人連合会調べ,  社団法人信託協会ホームページより 作成 

(注) 作成件数は年ベース, 保管件数は年度ベースの値。 

第2図 遺言作成件数・信託銀行の遺言保管件数 

8

(万件) 

7 6 5 4 3 2 1 0 94 

(年・年度)  95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 

(半期) 

作成件数  保管件数 (保管のみ) 

保管件数 (執行つき) 

(11)

協議がまとまらず、調停・審判に持ち込まれ るケースも増加しており、 04 年以降、新規受 付件数は1万件を超えている。

こうしたなかで、円滑な遺産相続が期待で きるとの認識が高まっていることもあり、遺 言書を作成する人が増加している。日本公証 人連合会の調べによると、公正証書遺言の作 成件数は年ごとに増加し、 06 年中の件数は

72,235 件と7万件を突破している。また、家

庭裁判所による自筆遺言証書の検認件数も増 加傾向にある (

(注1)

第2図) 。

3 他業態における相続・遺言関連業務の動き

金融機関においては、次世代をも見据えた 金融取引の拡大が期待できる有力な手段であ るとして、遺言関連業務への取組みを強化さ せている。信託銀行の遺言書の保管件数をみ ると、02年度以降、特に相続発生後に信託銀 行が遺言の執行を行う「執行つき」の保管件 数が大きく増加して 07 年9月末には 51,869 件 となり、全体の保管件数では6万件に迫ろう としている。

遺言関連業務の代理業務についてみると、

04 年末に当該業務が解禁された当初は、メガ バンクや有力地銀等、大手銀行による参入が 中心となっていたが、最近では、信用金庫等

の地域金融機関や、金融機関以外の事業法人 による参入が増加している。

(注2)

また、相続に関 する相談、専門家の紹介等のサポートを行う ことを目的のひとつとする NPO 法人の数も 年々増加しており、内閣府もしくは都道府県 の認証を受けた NPO 法人は 07 年 12 月現在で 43 法人となっている。

07 年6月には、都市農家を専門に相続の支 援を行う NPO 法人「都市農家相続遺言支援セ ンター」が認証された。信用金庫がこの NPO 法人と連携して相続セミナーを開催するな ど、業態を超えた新しいビジネス展開も模索 されている。

4 おわりに

07 年秋の金融審議会では、遺産相続の手続 きや退職金管理といった信託業務を NPO 法人 や弁護士事務所が運営する、いわゆる「福祉 型信託」の解禁について検討がなされた。ま た、保険業界からは信託代理業務の認可の要 望が出されている等、相続・遺言関連業務の 規制緩和に向けた動きが進んでいる。今後、

都市部を中心に農協組合員に対する他業態か らのアプローチがさらに強まるとともに、多 様化も進展していくとみられる。

日本の農業、農協組織を支えている昭和一 ケタ世代のリタイアが進むなかで、次世代対 策、組織基盤の維持という観点からも、相続 に不安をもつ組合員やその世帯に対し、農協 がきめ細やかな対応を行い、円滑な相続に資 することがより一層重要になろう。

(こばり みわ)

11

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

(注1)遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、

秘密証書遺言の3種類がある。自筆証書遺言、秘 密証書遺言の場合は、相続時に家庭裁判所での検 認手続を経る必要がある。

(注2)一部の地域金融機関では、相続への対応を

地域密着金融の取組みのひとつに位置づけ目標を 設定する等、取組みを強化している。

(12)

日本銀行は 2006 年3月に約5年に及んだ量 的緩和政策を解除してから、「金融政策の正 常化」の下、利上げのタイミングを探り続け てきた。このため、金融市場の参加者は、緩 やかながらも経済・物価情勢の改善が続くの であれば、日銀は半年に1回程度のペースで 利上げを行うのでは、と想定していた。しか し、 07 年夏に米サブプライム問題が表面化し、

世界的に金融資本市場が大きく混乱したこと で、インフレ警戒姿勢を続けてきた欧米中央 銀行が金融不安の解消に、大量の流動性供給 を続ける事態となっている。

こうした情勢の下、同問題が国内金融機関 や国内経済へ与える直接的な影響度は小さい とはいえ、日銀が独自の判断で利上げできる 状況ではなくなっている。加えて、バーナン キ議長など米連邦準備制度 (

FRB

) 関係者は、

08 年前半まで米国経済の減速が続くとの見方 を示すなど、経済成長の大部分を輸出に依存 する日本経済にとっては、慎重に見極めねば ならない点が多い。

当総研では、次回の利上げ時期を「早くと も 08 年7〜9月期」と想定しているが、以下 では、当面の金融政策を考える材料について 考えてみたい。

1 次期総裁人事の行方

08年初頭の金融政策を巡る最大の注目点

は、次期総裁人事の行方であろう。日銀の総 裁・副総裁の任命には、衆参両院の同意が必

要であるが、 07 年夏に行われた参院選の結果、

「国会のねじれ現象」が生じており、予断を 許さない。金融市場では、次期総裁含みで日 銀に送り込まれたとされる元財務次官の武藤 敏郎・副総裁が昇格するとの意見が依然有力 であるが、民主党はかつて元官僚ということ で就任に難色を示した経緯もある。

ちなみに、諸外国の中央銀行をみると、バ ーナンキ米 FRB 議長、キング・イングランド 銀行総裁、フィッシャー・イスラエル銀行総 裁など、経済学者が就任する例も多い。こう した観点から、元審議委員の植田和男・東大 大学院教授や経済財政諮問会議民間議員の伊 藤隆敏・東大大学院教授らを候補者として挙 げる意見もある。

いずれにせよ、新任の日銀総裁には、日本 経済を「物価安定の下で持続可能な成長経路」

に導く手法について、国民や金融市場にきち んと説明できる資質が必要であろう。

2 物価安定と金融政策

国際商品市況における穀物・原油などの高 騰から食料品やエネルギーの値上がりが本格 化し始めている。07年初頭から前年比下落傾 向が続いてきた消費者物価 (全国、生鮮食品を 除く総合) も 07 年 10 月分ではようやく前年比 プラスに転じている。

日銀は政策運営に当たって「中長期的な物 価安定の理解」を示しており、全国消費者物 価でみて前年比0〜2% (中心値1%) であれ

〈レポート〉経済・金融

2008年の金融政策を考える視点

主任研究員  南武志

(13)

ば、安定的な物価動向であると政策委員が判 断する、としている。しかし、日銀はこれま で「物価安定の理解」とほぼ無関係に、政策 判断の実施や政策変更の意向提示をしてき た。ちなみに、より需給環境を反映する物価 指標として欧米では一般的な「食料・エネル ギーを除く総合」は引き続き前年比割れ状態 であり、日銀として「物価安定の理解」をど のように位置づけているのか、説明不足であ るとの意見も多い。

3 バブルと金融政策

米サブプライム問題は、住宅バブルに起因 しているが、それを引き起こしたのは低金利 政策が長引いたからであるとされている。金 融政策はバブルに対してどう対処すべきかを 考えてみたい。

中央銀行は資産価格に対してどのような対 応をとるべきかについては、議論が分かれる ところである。一般的に、インフレファイタ ーであった独ブンデスバンクなど欧州の中央 銀行では、バブルの発生を未然に防止すべく 行動しているように思われる。日本では、 80 年代後半のバブル発生については、プラザ合

(85年9月) 後の円高不況対策の一環とし て採られた低金利政策の長期化が一因となっ たとされる。なお、その反省もあって 90 年代 初頭には積極的なバブル潰しを行ったが、そ の後の金融緩和のスピードが遅かったことが

「失われた 10 年」と呼ばれる経済停滞を招い たと批判されることも多い。

また、バブルと金融政策のあり方を巡って は、日銀関係者から「物価安定下でもバブル は発生しうる」との発言が繰り返されている が、展望レポートでも低金利が長期化するこ とによってバブルが発生するリスクを明記す るなど、 20 年前の反省をこめて、バブル発生 を未然に防ぐ方針が示されている。

一方、株価急落などの非常事態時に際して とられた利下げ措置をオプションに 擬

なぞら

えて命 名された「グリーンスパン・プット」という言 葉があるように、グリーンスパン前・米 FRB 議 長は「バブル現象は金融市場においては不可 避であり、かつ資産価格上昇がバブルである かは事前に分からない」との認識から、バブル が崩壊した際に被害が最小限に食い止めるよう な政策対応をすべき、との考えが有力である。

以上の2、3からは、日本銀行は、目前の

「デフレ」よりも、見えない「バブル発生」

の阻止を優先した政策運営を行っているかの ように見える。しかし、過去10年間、3%台の 名目成長率を一度も達成できていないという 異常事態を再認識すべきであろう。「企業か ら家計への波及」の遅れなど、デフレの弊害 を十分理解し、そこから脱却させることこそ、

金融政策の最優先課題であると考える。

(みなみ たけし)

13

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

資料 総務省, 日本不動産研究所, 東京証券取引所の各統計より作成

第1図 一般物価と商品・資産価格の動向  180

(2002.IQ=100) 

160 140 120 100 80

60 02年  03 04 05 06 07 東証株価指数 

(東証一部) 

全国消費者物価 

(生鮮食品を除く総合) 

六大都市市街地指数 

(商業地) 

(14)

主事研究員  田口さつき

介護の担い手となっているとみられる。

介護者の年齢は、 65 歳以上の要介護者の4 割が、 65 歳以上の介護者に介護されており、

「老老介護」の状況がみてとれる

(

第1表

)

2 介護の費用について

介護の負担については、要介護者等の約6 割が「費用 (支出) あり」と答えている。事 業者に支払った費用 は、1人当たり1か 月分で、「 5000 円未 満」との回答が約2 割と最も多く、次に

「1万円〜2万円未 満」 、 「5000円〜1万 円 未 満 」 ( そ れ ぞ れ 約1割) と続き、平 均で1万 6,188 円だ った。しかし、介護 1 介護者の属性

介護保険法が2000年に施行され、介護サー ビス業は目覚ましく拡大した。しかし、依然 として「老老介護」問題など介護の負担につ いての関心は高い。そこで、介護者の属性や 介護負担についてみたい。

厚生労働省「国民生活基礎調査」 ( 2004 ) (以 下「国民調査」

(注)

) でみる要介護者・要支援者 (以 下「要介護者等」 ) のいる世帯では、3世代世帯 が3割程度にすぎない。そして、夫婦のみの 世帯、一人暮らし世帯がそれぞれ2割程度と、

約4割もの要介護者等が、同居の介護者がい ないか配偶者しか頼みにできない状況にある。

介護者の属性では、「要介護者等と同居し ている家族等介護者」が66.1 %と最も多く

「事業者」は 13.6 %であった (第1図) 。

「同居している主な介護者」の続柄では、

「配偶者」が最も多く、次に多いのが「子の 配偶者」「子」である。介護者の性別で、女 性が4分の3を占めることと照らし合わせる と、「妻」または「子の妻」や「娘」が主な

〈レポート〉経済・金融

介護者の負担について

(単位  %) 

40歳未満  40〜49歳  50〜59  60〜69  70〜79  80歳以上  主 な

介 護 者

 

同 居 し て い る

 

出典 厚生労働省「国民生活基礎調査」 (2004) 

要介護者等 

3.6  12.2  28.5  27.4  19.7  8.5  40.0

第1表 年齢階級別にみた同居している主な介護者と要介護者の構成割合  

総数  [100.0] 

100.0

12.6  3.9  31.5  38.4  10.6  3.1  22.5

[6.0] 

100.0

4.8  12.1  6.4  54.6  18.2  2.6  56.6

[6.0] 

100.0

5.1  18.4  16.2  16.0  38.1  6.3  58.0

[28.7] 

100.0

2.5  13.1  38.1  21.4  12.0  12.9  28.7

[42.3] 

100.0

0.3  2.8  31.9  47.7  11.8  5.4  37.7

[17.0] 

100.0

3.0  12.8  28.3  26.7  20.3  8.9  41.1

[94.0] 

100.0 総数  40〜64歳  65〜69 70〜79 80〜89 90歳以上  (再掲)  65歳以上 

(再掲)65歳以上 

第1図 介護者の続柄 

その他 

(6.0) 

父母 

(0.6) 

その他の親族 

(1.7) 

別居の  家族等 

(8.7) 

不詳 

(5.6) 

配偶者 

(24.7%) 

子の配偶者 

(20.3) 

子 

(18.8) 

事業者 

(13.6) 

資料 厚生労働省「国民生活基礎調査」 (2004), より作成 

(注) 太枠内は同居の家族(66.1%) 

(15)

度が重くなるに従って費用も増え、平均的に は、「要介護3」で2万円、「要介護4」以上 で3万円を超える状況である。

費用の負担方法としては、最も多いのが

「介護費用は要介護者 (あるいは配偶者) の収 入のみでまかなえた」で、74.8%だった。た だ、国民調査では老人保健施設入所者を除き、

施設型介護サービスを受けている要介護者等 を調査対象としていないことから、一般的な 介護に必要な費用に比べ、軽微である可能性 がある。

3 介護の時間

総務省「社会生活基本調査」( 2006 )によ ると、介護の平均時間は1日当たり 49 分であ る。ただし、この調査は介護者を「ふだん家 族の介護をしているかどうか」と定義し、介 護保険制度で要介護認定を受けていない人に 対する介護も含んでいるため、比較的短時間 である可能性がある。

国民調査では、介護時間は示されていない が、 「必要な時に手をかす程度」が 44.7 %と最 も多い (第2図) 。その反面、 「ほとんど終日」

が次に多く、介護時間にばらつきがある。ま た、介護度が重くなるに従い、「ほとんど終 日」の割合が大きくなる。最も重い「要介護 5」の場合、半数の介護者が「ほとんど終日」

と答えている。

また第1表からは、就業可能な現役世代と みなせる 65 歳未満の介護者は全体の6割であ ることが読み取れる。介護のために現役世代 が就業時間を抑制あるいは就業自体を断念す ることへの懸念が高まっている。

4 おわりに

介護保険法に基づく介護サービスの利用は 進んでいる。それでも、データなどから老老 介護、特定者への介護の集中などがうかがえ る。また、在宅介護は費用面での負担が少な いが、介護者が現役世代の場合、家計にとっ ての収入の減少、社会にとっては労働供給の 減少という意味で無視できない介護の機会費 用が発生する可能性がある。世帯の高齢・小 規模化が進んでいるなかで、介護者について の問題は一層深刻化する可能性がある。在宅 介護においては、介護者に対する施策もより 必要になってくるだろう。

介護者の負担軽減のためには、介護サービ スの給付だけでなく、介護者が介護の悩みを 相談したり、介護方法等の情報を得る機会づ くりなどが重要となってくる。また、老老介 護については介護者の健康面についての配慮 や、現役世代による介護については介護休業 制度の普及や就業時間の柔軟化などにより、

就業継続が可能となるような社会的な支援が 望まれる。 (たぐち さつき)

15

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

(注)厚生労働省「国民生活基礎調査」では、一定

の方法で抽出した介護保険法の要介護者及び要支 援者とその介護者について調査している。

出典 第1表に同じ 

(注)  「総数」には要介護度不詳を含む。 

0 20 40 60 80 100 

(%) 

第2図 要介護者等の要介護度別にみた同居している  第3図 主な介護者の介護時間別構成割合 

総数  要支援者  要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

24.6 6.9 45.5 4.5 6.7 32.5 29.7 6.0 7.3

44.5 9.9 4.4 8.8 50.4

21.6 44.7

半日  程度  7.9

7.9 4.9 9.8 6.1

9.9 8.0 7.9

3.8 2.7 4.6

2〜3時間  程度  ほとんど 

終日 

必要な時に手  をかす程度 

不詳  その他 

14.4 8.0 66.4

60.1 11.2

11.8 11.6

14.6

16.2 12.8 17.7 12.9

8.1 6.0 6.4

(16)

1 はじめに

担い手づくり・支援を軸にした地域農業振 興――。 2006 年の第 24 回JA全国大会でJAグ ループが取り組むべき第一の課題として挙げ た項目である。そのためJAグループでは、

担い手の個別ニーズを把握し、それに即した きめ細かな個別事業対応や経営指導を行うこ とを確認した。この方針に沿って「出向く営 農経済活動」として、各JAや全農では担い 手専任部署の設置や渉外担当者の配置による 支援体制づくりを進めている。

だが、この取り組みは簡単ではないし、ま た全国一律にできるものでもない。担い手に 対する生産資材優遇措置、青色申告支援程度 にとどまり、渉外担当者を設けて担い手の個 別ニーズに対応しているのは全国JAの3割 強にとどまっている。この原因としては、都 市や山間地のJAのように管内に担い手とな る農家が少ない、担い手はいてもJAの取り 組み姿勢が消極的であることなどがあるが、

もっとも大きな問題は、担い手の位置付けと 営農経済活動のあり方がJA事業の中で十分 整理されていないことが挙げられる。

まず、支援すべき担い手は、それが大規模 農家なのかあるいは集落営農か、さらに兼業 農家か副業的農家なのかが絞り切れていない ところが多い。もともとJAで「出向く営農 経済活動」が取り上げられた背景には、大口 取引のメリットがないということで大型農家 のJA離れが進んだことにある。この結果、

生産資材を中心とする購買事業の利用率が低

下し、JAの経営を圧迫するようになった。

2 地域で異なる担い手像

渉外専任担当者を全国に先駆けて設けて注 目されたJAそお鹿児島は、外資系飼料メー カーに大規模畜産農家が取り込まれるのを防 ぐという目的があった。同じく早い時期に渉 外専任体制を導入した栃木県のJAはが野は 当初、大型米麦農家、集落営農を対象として いたが、これを園芸特産部会会員まで拡大し た。管内は全国有数のイチゴ産地であり、部 会員は約1,800人に及ぶ。

一方、意外にも北陸や中国地方では、渉外 担当者を導入しているJAは少ない。農家の 高齢化、後継者不足のため早くから担い手と して集落営農の育成に取り組んでおり、それ に対して環境保全を含めた地域農業維持のた め、県、市町村の積極的な支援があるという ことが背景として考えられる。

このように栽培作目、農家の経営規模、さ らには地理的・社会的環境によって担い手と なる対象は地域によって異なる。これに沿っ て、JAの営農経済活動は、地域の状況に合 った担い手を明確にする必要がある。そこで 初めて営農経済活動として「出向く」先が明 らかになる。

次に営農経済活動の役目だが、JAの組合 員がJAに望むことのトップは営農指導と生 産資材の購買事業である。これを担い手農家 に限ると農薬・肥料の資材情報提供と価格の 引き下げとなる。特に価格の引き下げは、全

寄 稿

JAの営農経済渉外

―支援対象の担い手と活動範囲を明確に―

(株)日本農業新聞 論説委員  日野原信雄

(17)

農の支援も含め、多くのJAが担い手対策と して取り組んでいる。だが情報と価格の分野 に限ると、ホームセンターなどが行っている ことと変わらず、価格面で融通のきく業者に 対して不利な競争を余儀なくされているのが 実情だ。

3 協同組合組織のJAの強み

これに対抗するにはJAの強みを生かすこ とである。そのためには、まずJAの営農経 済の事業目的を明確にしなければならない。

つ ま り 「 生 産 資 材 の 購 買 高 を 増 や す の か 」

「JAの利用率を高めるのか」「担い手の手取 りを増やすのか」 、JAの事業の中での位置付 けである。それぞれが密接に関連するが、な にを核にするかによって営農経済の事業範囲 が決まってくる。

いうまでもなく、JAは総合事業を営む協 同組合組織である。担い手は経済事業と同時 に信用・共済、生活事業の利用者でもある。

各事業の利用率を高めることはJAへの結集 力を強め、経営の安定につながる。こうした シナジー (相乗) 効果が総合事業の強みであ る。同時にJAは、農産物を1円でも高く売 ることによって手取りを増やし、担い手の信 用に応えなければならない。

このような担い手とJAの関係を構築する ことが、営農経済活動・渉外担当者の役目で ある。この関係づくりで鍵になるのは組合員 を一般企業のように「顧客」扱いしないこと である。JAにとって利用者は同時に出資者 でもあり、その多くが古くからの組合員でも ある。この担い手に対してJAへの理解・協 力を強めることも渉外担当者の役目でもあ る。こうした関係が協同組合の強みとなる。

さらに営農経済活動を定着・強化するため には、その評価方法の確立が欠かせない。担 い手の理解を経て、購買を含めたJAの利用 率が向上したとしても、信用・共済などのよ うに数字で成果が出ないため具体的に評価し にくい。これが渉外担当者のインセンティブ

(やる気) に影響してくる。

4 使命に即した評価方法を

一部のJAで「役割成果主義」などとして 導入されているが、青色申告や営農技術講習 会などに担い手が何人参加したか、つまり営 農経済活動の役割をどれだけ果たしたかをき ちんと評価することである。さらに発展させ て農家組合や生産部会への参加者数など、協 同組合活動への貢献度を評価基準として取り 入れることも考えられる。これは協同組合と しての使命を持つJAならではの基準である。

昨年 (

07

年) 4月の全中の調査で、担い手 支 援 活 動 で 障 害 と な っ て い る こ と と し て 、

「JAの体制不足」「管内に担い手がいない」

「担い手農家以外からの反発」「JA運動と担 い手個別事業対応の矛盾」などが多かった。

これらは、部門別の採算確立の難しい営農経 済活動が、JAの総合事業の中できちんと位置 付けされておらず、また、それぞれ異なる環 境下における地域農業のビジョンを描き切れ ていないことをはからずも露呈している。

協同組合の使命に即して、営農経済活動の 対象と事業の範囲、評価方法を確立し、第一 線で苦労している渉外担当者のやる気に応え る体制づくりを急ぐ必要がある。

(ひのはら のぶお)

17

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

(18)

1 はじめに

農水産物の直売所が人気を集めている。信 頼できる食品へのニーズの高まりが背景だ。

信頼できる食品の提供に加えて,直売所を地 域づくりの核とする取組みもある。本稿では その一つとして福岡県にある直売所「福ふく の里」を紹介する。

2 地域の漁業と農業の連携

玄界灘の美しい海と水田が広がる糸島郡二 丈町。山海の幸に恵まれた同町に直売所「福 ふくの里」がある。福吉地域づくり推進協議 会 (以下「協議会」 ) が地域産業活性化のために 直売所の開設を決め, 2002 年に開設した。協 議会には漁家,農家,および一般の地域住民 が参加している。

なお,協議会は 07 年に第 46 回農林水産祭の 全国表彰において日本農林漁業振興会会長賞

(むらづくり部門) を受賞した。

(注)

3 人気を集める特色のある品揃え

「福ふくの里」には開店時刻前に並ぶ人が いる。その中にはホテルや料亭の板前たちも いる。彼らをひきつけるのは直売所の品揃え だ。市場には出回らない地魚が並ぶ。漁港か ら直接搬入されるため,鮮度がよく値ごろ感 がある。福岡市内から連日のように買付けに 訪れる人もいる。

直売所を利用するのはプロの料理人だけで はない。直売所を利用する主婦は多い。出荷 者が明らかなことが人気の理由だ。また,魚 と野菜が一箇所でそろうことへの支持も大き

い。これは漁家と農家が協力して運営してい る「福ふくの里」ならではのメリットである。

日常の利用者に加え,旅行会社のバスツア ーで来店する人もいる。直売所を気に入り,

リピーターになる人が多い。メディアを通じ た宣伝に加え,これら利用者の口コミによっ て「福ふくの里」の評判は広い範囲に伝わっ ている。売上げは順調に伸びており,最近の 年間売上高は6億円を超えている。

4 出荷者を鍛える利用者の評価

規格外品でも販売でき,自ら価格を決めら れる。これが出荷者にとってのメリットだ。

そのため出荷者数は開店当初の約 100 人から 07 年の約 270 人 (うち水産物出荷者は約

45

人)

へと増加した。

とはいえ利用者の選択眼はシビアだ。品質 の劣るものや,価格に値ごろ感のないものは 売れ残る。売れ残ったものは出荷者が引き取 らねばならない。売れ行きを通じて,出荷者 は利用者の評価を知る。利用者の評価を受け,

現地ルポルタージュ

地域づくりの核となる直売所

―「福ふくの里」の事例―

研究員  一瀬裕一郎

手作りの商品案内

(19)

出荷者は良質なものを買ってもらえる価格で 出荷しようと努力する。おすすめのレシピを 盛り込んだ手作りの商品案内を設置するなど の工夫をする出荷者もいる。

役員と出荷者の代表者が月例会議を開き,

利用者の声を踏まえた売り場づくりなどにつ いて議論する。また,出荷者は地区ごとに会 合を持ち,利用者のニーズなどについて意見 交換する。利用者に選ばれる直売所づくりに 役職員と出荷者が一丸となって取り組んでい る。

5 住民に生きがいと雇用を提供

「福ふくの里」は既存の流通経路と異なり,

量をそろえる必要がない。大量出荷が難しい 高齢者でも出荷できる。彼らにとって直売所 で小遣いを稼ぐことは生きがいである。また,

日々の作業で体を使うため,直売所は健康維 持に役立っている。

女性が店舗運営に力を発揮している。漁家 の女性は魚の調理に腕を振るう。無料で下処 理するサービスが好評だ。レジ係は近隣の主 婦パートだ。家庭を優先できる職場なので,

子供を持つ主婦でも就労できる。

漁協女性部にはアカモク部会がある。アカ モクは地域で採れる海草だが,近年まで販売 していなかった。その整腸作用に目をつけ売 り出した。最近では新聞に取り上げられ,知 名度を上げている。ほかにも県水産海洋技術 センターに協力を仰ぎ, 「乾燥かき」を開発す るなど,地域特産品の開発に力を入れている。

軽視されがちな高齢者や女性の労働力を活

用し,生きがいと雇用の場を提供している直 売所は,地域住民の生活の質を高めている。

6 今後の展開方向

「遠くから来たのに,今日は魚が無いの」,

利用者が嘆息する。こんな状況を無くすため に 08 年からメールによる入荷状況の案内を始 める予定だ。ほかにも IT を使えばメルマガ,

クーポン券,利用者アンケートなど様々な集 客活動が可能になるだろう。

残品を活用できないか。この観点からレス トランを併設する案が浮上している。資金な ど課題が多く,まだアイディアの段階だ。課 題がクリアされれば,生産から加工そして小 売までのフードシステム全体にわたる事業展 開が可能となる。それは「福ふくの里」の魅 力を高め,多くの利用者を引き寄せ,出荷者 の手取りを増やし,地域産業を一層活性化さ せることにつながるだろう。

「福ふくの里」は,地域に住む人にとって も,地域外から訪れる人にとっても,楽しく 魅力的な直売所である。自然や人など地域に ある資源を巧みに活用し,成果をあげてきた 福吉地域の地域づくりから学べることは少な くない。

(

いちのせ ゆういちろう

)

19

農中総研 調査と情報 2008.1(第4号)

(注)農林水産祭の表彰行事の一つである「豊かな

むらづくり全国表彰事業」の九州農政局表彰式に おいて,福吉地域づくり推進協議会は農林水産大 臣賞を受賞し,天皇杯等選賞審査対象地区として 中央審査委員会へ推薦された。

笑顔で働く調理場の女性

参照

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