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高感度クランプ型電流計の小学校理科授業への応用

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(1)

高感度クランプ型電流計の小学校理科授業への応用

著者 鎌田, 正裕, 高山, 大輔, 堀井, 孝彦

雑誌名 東京学芸大学紀要. 自然科学系

巻 57

ページ 35‑39

発行年 2005‑09

その他の言語のタイ トル

Application of clamp‑on ammeters LEM‑LH41 to science classes in elementary school

URL http://hdl.handle.net/2309/35440

(2)

高感度クランプ型電流計の小学校理科授業への応用

鎌田 正裕・ a 山 大輔・堀井 孝彦 理科教育学

(2005年

5

月27日受理)

KAMATA, M., TAKAYAMA, D. and HORII, T.: Application of clamp-on ammeters LEM-LH41 to science classes in elementary school. Bull. Tokyo Gakugei Univ. Natur. Sci., 57: 35–39 (2005) ISSN 1880–4330

Abstract

The possibility of using clamp-on ammeters LEM-LH41 has been investigated for educational purposes. It has been found that clamp-on ammeters are useful in science classes in elementary school as well as in junior high school. In particular, they are expected to be very effective in reducing the time students spend on experiments because it is not necessary to rebuild the circuit to

connect the ammeter before measuring. (in Japanese)

Key words: clamp-on, ammeter, circuit, elementary school

Department of Science Education, Tokyo Gakugei University, 4-1-1 Nukui-kita-machi, Koganei-shi, Tokyo 184-8501, Japan

* 東京学芸大学(184

_ 8501

小金井市貫井北町

4 – 1 – 1)

1 .はじめに

電気分野の学習において直流電流計は不可欠なもの である。しかし小中学校の理科の授業で用いられてい る簡易検流計や直流電流計は,回路内に直列に組み入 れて電流の大きさを計測する装置であるため,電流を 測定する時に,その都度当該回路を切断する必要があ る。このため,学習者にとって回路の把握が難しくな り,作業に要する時間も長くなってしまうなど問題点 が多い。

これに対し竹内らは,回路を切断することなく通電 したまま電流を測定することができるクランプ型電流 計を用いて,その理科授業での有効性を調査した1 その結果,クランプ型電流計は生徒にとって使いやす く,実験時間を短縮できるという結論が得られた。

しかし一方で,ゼロ調整の操作を簡略化することや,

表示部をデジタルにする等の課題が残った。

その後研究を進める中で高性能なクランプ型電流計

(LEM社製LH41)を見つけることができた。本研究で は,LH41クランプ型電流計を用いることで,先行研究 で確認された課題がクリアできるかどうかを調べると ともに,対象範囲を広げ小学校の理科授業でもクラン

写真 1  試作機

(3)

プ型電流計を使うことができるかを授業実践に基づき 検討した。

2 .LH41クランプ型電流計

イギリスLEM社のLH41クランプ型電流計(以降LH41 とする)の外観を写真

2

に示す。

この電流計は直流の測定精度が0.001Aのオーダーで あり小中学校の理科の実験に適している。先行研究で 用いたクランプ型電流計は「プローブ部」「直流増幅器」

「表示部」の

3

つの部品から構成されていたが,LH41 は一つの装置にまとまっている。また,課題であった ゼロ調整もボタン一つで行えるようになり,児童生徒 にとって操作が容易である。また,交流,直流両対応 であり,回路の学習だけでなく家電製品の消費電力調 べなどへの応用も可能である。

3 .授業実践

3 .1  小学校での実践 3 .1 .1  目的

LH41を小学校の理科実験で簡易検流計の代わりに用

いることで,電流測定における回路接続や目盛りの読 み方のつまずきの抑止,実験時間の短縮に効果を上げ られるのではないかと考えた。そこで簡易検流計と比 較してどちらが扱いやすいか,小学生にも正しく電流 の数値を測定することができるかを調査した。

3 .1 .2  調査の概要

調査は東京学芸大学教育学部附属世田谷小学校の

4

年生40人を対象に2003年

7

月16日と2003年

9

3

日の

2

回行った。授業は堀井と高山が行った。この授業で の学習内容は,以下の通りであった。

・LH41の使い方を学習する。

・様々な回路を組み立て,回路の各点の電流値を簡 易検流計,またはLH41で測定し,アンケート用紙 に記録する。

・アンケート用紙に記録した数値を元に回路と電流

の関係について考える。

児童の計測した回路を図

1

に示す。

授業では

2

つの教室を用い,一方の教室ではLH41を 使用し,他方では簡易検流計を使用した。図

2

に授業 のフローチャートを示す。

3 .1 .3  結果と考察

LH41は「クワガタみたい」等と好意的に受け入れら

れた。また,2回の調査の両方でLH41の方が簡易検流 計よりも使いやすいと感じた児童の方が有意に多かっ た。図

3

に第

2

回調査でのアンケート結果を示す。

また正確に電流値を測ることができた児童の数は,

直列回路を計測した第

1

回調査では両者の間に有意な 差は無かった。しかし,第

2

回調査での並列回路の計 測では,測定点が多くなったためか,LH41で計測した 方が簡易検流計を計測した場合よりも正確に測定でき た児童の数が有意に多いという結果が得られた。

さらに計測にかかる時間については,LH41で計測し たほうが時間がかからないと言う結果が得られた。特 に並列回路の測定においては計測点が多かったために,

東 京 学 芸 大 学 紀 要 自然科学系 第57集(2005)

写真 2  LH41クランプ型電流計

図 1  児童の計測した回路

図 2  授業のフローチャート

(4)

両者の間に

7

分以上の差がつくという結果になった。

これらの調査結果からLH41は測定点の多い時に効果 を発揮する測定器と言える。

3 .2  中学校での実践 3 .2 .1  目的

先行研究の試作機には,「ゼロ調整がやりにくい」

「目盛りが見にくい」

3

つのパーツに分かれているた めに扱いづらく,保管に場所をとる」などの問題点が 挙げられていた。本研究ではLH41を授業に使用し,試 作機の調査結果と比較し,上記の問題がどの程度解消 されたかを調査することを目的とした。

3 .2 .2  調査の概要

調査は筑波大学附属中学校

2

年生

1

3

組123人を 対象に2003年11月

5

日〜25日に行った。調査は第

1

野「電流と回路」の内容で,1 時間目の授業では直列 回路を,2 時間目の授業では並列回路を測定した。ア ンケートは

2

時間目の授業後に実施した。

授業内容は以下の通りである。

・LH41の使い方を学習する。

・直流電源装置と抵抗値の異なる

2

個の抵抗を用い た直列回路を組み立て,3点の電流と抵抗の両端 と電源の電圧(

3 V)を測定し関係を考える。

・直流電源装置と抵抗値の等しい

2

個の抵抗を用い た並列回路を組み上げ,6点の電流と抵抗の両端 と電源の電圧(

2 V)を測定し,それらの関係を

考える。

・測定値から個々の抵抗と全体の抵抗の関係を考察 する。

・測定値から各点の電圧の関係を考察する。

・各点の電圧の関係から抵抗間の関係を導く。

生徒の計測した回路を図

4

に示す。

3 .2 .3  結果と考察

生徒は以前に何度かメーター式電流計での測定をし ており,その操作には慣れているようであった。クラ ンプ型電流計はどの生徒も初めての使用であったが,

「楽に測れる」「面白い」などの意見のほか,「どうして これで測れるのだろう」といったような疑問や興味を 持つ生徒も多く,好意的に受け入れられた。

使いやすさについては,112人のうちLH41の方が 使いやすいと答えた生徒は104人(93%),メーター式 電流計の方が使いやすいと答えた生徒は

6

人(

5

%) その他の生徒は

2

人(

2

%)となり(図

5

,右),この結 果は試作機段階での調査結果(図

5

,左)と比べて,ク ランプ型を支持する生徒が有意に増加していた。また,

試作機段階での各問題点は解消されていた。

4 .クランプ型電流計の新しい活用法

クランプ型電流計は電流の周りの磁界を測定するた めに,回路内に直接入れることなく導線の被覆の上か らでも電流の値を測定することができる。その特性を 生かし,クランプ型電流計を用いた新しい活用例を提 案する。

4 .1  電気製品の消費電力調べ

LH41は,回路の中に入れる必要がなく被覆の上から

電流を測定することができるため,電気製品を使用し た状態のまま電流値を測ることができる。つまり発電 しているソーラーパネルの電流値や,家電製品に通電 した状態のまま消費電力を測ることができる。また,

通常の導線に流れる電流だけでなく,蛍光灯など気体 に流れる電流や液体に流れる電流などを直接測定する ことができるため,電気分野の学習以外にも応用の可 能性があると考えられる。写真

3

に蛍光灯に流れる電 流を測っている様子を示す。

図 5  両調査の結果比較 図 3  児童の評価

図 4  生徒の計測した回路

(5)

4 .2  直列回路における電流値の検証

2

つの抵抗を直列に繋いだ回路では,回路のどの点 であっても電流の値が等しいことは中学校段階で学習 するが,メーター式電流計では電池の中や電球の中を 流れる電流の値も等しいことを確認する実験を行うこ とはできない。しかし,クランプ型電流計を用いれば この確認実験を容易に行うことができる。

実験用回路図を図

6

に示す。まず,クランプ型電流 計を机上に固定する。そして電気の流れている回路を クランププローブに通し,回路をスムーズに一周させ て測定する。ただし,鉄は磁界に影響を与えるために,

この実験では乾電池の鉄の外装缶を剥ぐ必要がある。

測定の様子を写真

4

に示す。

4 .3  電流の周りの磁界での利用

本研究での調査で,クランプ型電流計を用いた児童 や生徒から「どうしてこれで電流を測ることができる の」という疑問の声が多数上がった。この疑問を持っ たまま,「電流の周りの磁界」の学習の段階で,電流の 周りの磁界を測って電流値を出すクランプメーターの

測定を振り返れば,生徒は興味をもって学習に取り組 めるのではないかと考えられる。

また,クランプ型電流計は電流の周りの磁界を測定 するため,回路の中に入れずに測れることが特長であ る。この特長を生かしてコイルの導線をまとめてクラ ンププローブに挟み測定すると,回路に流れる電流 値×挟み込んだ導線の本数分の電流値が表示される。

この測定方法はメーター式電流計には不可能である。

写真

5

に測定の様子を示す。このことから巻き数が多 くなると磁界が強くなるということを,巻き数が増え た分その本数分多くの電流が流れるために磁界が強く なるという概念に結びつけやすいのではないかと考え られる。

5 .結  論

本研究の結論は以下の通りである。

・小学校の理科授業においても先行研究と同様の結 果が得られ,クランプ型電流計は簡易検流計より 児童にとって扱いやすく,回路によらず測定を容 東 京 学 芸 大 学 紀 要 自然科学系 第57集(2005)

写真 3  実際に測定している様子 写真 4  測定の様子

図 6  実験用回路図 写真 5  測定の様子

(6)

易にし,実験時間を短縮することができることが わかった。

・LH41は,簡易検流計と同様の機能を果たすので,

小学校の理科の授業に使用することができる。

・LH41を用いた実験に児童は積極的に取り組み,ア ンケートの結果からも本電流計は児童たちに好意 的に受け入れられたことがわかった。

・本研究で用いたLH41は,先行研究からの課題であ った試作機の短所をほぼ解消でき,学習者にとって

さらに使いやすい電流計であることが確認された。

引用文献

(1)Masahiro Kamata, Noriko Takeuchi, Hisao Akahane and

Ryuichi Shoji: “Practical research using a new ammeter with a

clamp-on probe in science classes in junior high school”,

PHYSICS EDUCATION, vol.37, No.6, pp. 521 _ 525 (2002)

参照

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の調査はその後行われていないが、国立感染症研

*1 調査名: 「with/after コロナ時代の学校づくりと働き方に関する調査」

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