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2014年度・後期・数理解析・計算機数学3・第13回 1

● 講義資料

▼ 講義予定

消去法による連立一次方程式の解法:LU分解

反復法による連立一次方程式の解法:Jacobiの反復法とGauss-Seidel

▼ 消去法

LU 分解

現実に連立一次方程式を解く際に,同一のA, 異なるb に対して,Ax=b を何度も解く場合 がある. 特に,あるb1に対してAx=b1 を解き,そのxから得られるb2 に対して解を求め る場合もある. このような場合, Gaussの消去法を何度も適用することは, O(n3)の計算を何 度も行うことになり,非常に効率が悪い.

もし,Aに対して,ある下三角行列L, 上三角行列U を用いて,事前にA=LU と分解され ていれば,Ax=b を解く手順は,LU x=b より,

Ly=b, 前進代入で解く, U x=y, 後退代入で解く

として,ともにO(n2)のアルゴリズムで解を得ることができる. ここで,前進代入とは,後退 代入と同じ手順を下三角行列に適用したものである.

• Aを正則行列としたとき,次の定理が成り立つ.

任意の正則行列Aに対して,Aの行を適当に入れ替えれば,入れ替えたあとの行列を再びA と書いたとき,ある上三角行列U,下三角行列Lが存在して,A=LU と書ける. これをLU 分解と呼ぶ.

この証明はGauss の消去法のアルゴリズムから導かれる. ここでは, Gauss の消去法で枢軸 選択が必要ない(対角成分が 0にはならない)場合のみを考える. この時, ある基本変形行 列の列{Mi}Ni=1と上三角行列 U が存在して,

MN· · ·M1A=U

と書ける. いま,Mi には行交換の行列が含まれないので,すべてのMi は下三角行列である.

よって,

A= (M1−1· · ·MN−1)U

となる. ここで, 下三角行列の逆行列は再び下三角となり,下三角行列の積は下三角なので, M1−1· · ·MN−1は下三角行列となる.

Jan. 14, 2015, Version: 1.0 [email protected]

(2)

2014年度・後期・数理解析・計算機数学3・第13回 2

実際のLU分解は,L= (ℓij),U = (uij)と書いたとき, aij=

j

X

k=1

ikukj, i > j,

aii=

i

X

k=1

ikuki=

i

X

k=1

ijukj, i=j,

aij=

i

X

k=1

ikukj, i < j,

(1)

となるが,n2+n個の未知数{ℓij, uij}に対して, n本の方程式があり,このままではL,U を定めることができない. そこで,

– Lの対角成分を1 にとる(Doolittle Type) – U の対角成分を 1にとる(Crout Type) のいずれか一方の条件をおくことが多い.

いま, Crout Type (uii= 0)を仮定すると, aij=

j−1

X

k=1

ikukj+ℓij, i≥j,

aij=

i−1

X

k=1

ikukj+ℓiiuij, i < j, となるので,これを書き直すと,

ij =aij

j−1

X

k=1

ikukj, i≥j,

uij = 1 ℓii

aij

i−1

X

k=1

ikukj

!

, i < j,

(2)

となる.

もっとも標準的なアルゴリズムは,Crout Algorithmと呼ばれる次の方法である. (Crout typeを仮定している.)

i= 1, . . . , nに対して,以下を行う.

1. j= 1, . . . , iに対して,

ij=aij

j−1

X

k=1

ikukj

を計算する.

2. j=i+ 1, . . . , nに対して,

uij = 1 ℓii

aij

i−1

X

k=1

ikukj

!

を計算する.

この方法では(多くのLU分解のアルゴリズムでは), L,U のデータはAの上に上書きで きる. 逆に,Aの上にL,U を上書きした方が,プログラムが書きやすい.

Jan. 14, 2015, Version: 1.0 [email protected]

(3)

2014年度・後期・数理解析・計算機数学3・第13回 3

▼ 反復法

Jacobiの反復法

• Aは,n×n正方行列で,その対角成分は0 を含まないと仮定する. この時,連立一次方程式 Ax=b を解くために,以下の反復解法を考えることができる.

x(0) を適当に与え,

x(k+1)1 = 1 a11

b1−a12x(k)2 − · · · −a1nx(k)n , ...

x(k+1)n = 1 ann

bn−an2x(k)2 − · · · −ann−1x(k)n−1 ,

これをJacobiの反復法と呼ぶ.

• Aを対角部分D,(対角部分を含まない)上三角部分U,(対角部分を含まない)下三角部 Lを使ってA=D+L+U と書いたとき, Jacobiの反復法は

x(k+1)=AJx(k)+D−1b, AJ =−D−1(L+U) とかきあらわすことができる.

Gauss-Seidel

• Jacobiの反復法で,x1 から順に計算しているとき,すでに計算済みのx(k+1) の成分を利用

して反復計算を行った方が,収束が速いと予想できる. そのように改良した以下の反復法を Gauss-Seidel 法と呼ぶ.

x(k+1)1 = 1 a11

b1−a12x(k)2 − · · · −a1nx(k)n , ...

x(k+1) = 1 aℓℓ

b−aℓ1x(k+1) − · · · −aℓℓ−1x(k+1)ℓ−1 −aℓℓ+1x(k)ℓ+1− · · · −ann−1x(k)n−1 , ...

x(k+1)n = 1 ann

bn−an2x(k+1)2 − · · · −ann−1x(k+1)n−1 ,

• Gauss-Seidel法は,

(D+L)x(k+1)=−U x(k)+b と書けているので,

x(k+1)=AGSx(k)+ (D+L)−1b, AGS=−(D+L)−1U

と書きあらわすことができる.

Jan. 14, 2015, Version: 1.0 [email protected]

(4)

2014年度・後期・数理解析・計算機数学3・第13回 4

★ 反復法の収束

一般に反復計算は,任意の初期値x(0) に対して収束するわけではないが,B n×n行列と し,その絶対値最大の固有値ρ(B)ρ(B)<1をみたすならば,反復計算

x(k+1)=Bx(k)+c は,任意の初期値に対して収束し,収束値x

x=Bx+c をみたす.

具体的なAに関して,AJ,AGS ρ(AJ)<1,ρ(AGS)<1をみたすことを確かめるのは, 般には容易ではないが,以下の定理が知られている.

– Aが対角優位,すなわち, すべての行に対して

|aii|>X

i6=j

|aij|

が成り立つならばρ(AJ)<1

– Aが正定値実対称行列ならば,ρ(AGS)<1が成り立つ.

前者の証明には,以下の定理を用いる

Gerschgorinの定理:A∈Mn(R)に対して,

Di={x∈C:|aii−x| ≤X

j6=i

|aij|}

とおく. このとき,A の固有値λは,

λ∈ ∪Di

に存在する. もし,Di∩Dj =∅が成り立つならば,Diには一つづつの固有値が存在する.

Jan. 14, 2015, Version: 1.0 [email protected]

参照

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