著者 宮村 健一郎
著者別名 Miyamura Ken‑ichito
雑誌名 経営論集
巻 42
ページ 113‑130
発行年 1996‑02‑28
URL http://id.nii.ac.jp/1060/00005678/
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止
http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
労 働金庫 の合併に関 する 規模 の経 済性113
労 働金庫の合併に 関す る規模 の経済 性*
宮 村 健一郎
1 は じめに2
金融 機関 と労 働金 庫の 規模 の経 済 性3 モデル とデ ータ4
結 果5
実 績値 に基 づ く節約 額6 結論
1 は じ め に
金 融 自由 化 の中 で 金融 機 関 の収 益や 行動 に 最 も大 き く影 響 す る と考え ら れ る預 金金 利 の 自由化 は93 年6 月 に 定 期性 預 金に つ いて完 了 し、94年10月 に は 当 座預 金 を除 くす べ て の流 動性 預 金金 利 が 自 由 化 さ れた。 金 融機 関 は不 況下に おけ る貸 出金 の 伸び 悩 み と不 良 債権 の累 増に 直 面 し、 そ の収 益環 境 は 極 めて 厳 し く、 この よ うな中 、 生 き残 りを かけ た 金 融 機関 同土 め合併 も ここ 数 年 高水 準に あ る
(図1) 。
労 働 金 庫に つ い て 乱 こ め ような流 れ とは 無縁 で は な く、90 年 代に 入 っ て、全 国 的 な一 本化 が計 画さ れた も の の、 結 局中 断 してし ま った。
そ こで 本稿 は、 労 働金 庫 の合併 が、 どの よ うな費 用 節 減効 果を 持つ か理 論的 フ レ ー ム ワー クの中 で 考察 し 、 さ らに 規 模 の経 済性に 由 来す る コ スト 削減 効 果を 持つ かど うか につ い て、 統 計学 的に 検 証 す る。 規 模 の 経 済性 検出 の手順 と して は、 まず、 現 在 存 在す る47労 働金 庫 の財 務 デ ー 夕から 、 労 働 金 庫 の各 財 務 デ ータ項 目間に存 在 す る平均 的 な 関数 関 係を 算 出 す る。 そ の後 、 そ の関 数 関 係が 規 模 の 経 済性 を 示 し てい る か どうかに よって 合併 す べ きか 否 かを 判 定 す る。
金 融 機 関 の規 模 の経 済性 に ついて は、 わ が 国で も以 前 か ら多 くの 実証 研究 がな され てお り、 労 働 金庫 に つ いて の先 駆的 業 績 として は[1 ]、[2 ]、[3 ] があ る。 ま ず 寸1 ] は 労 働金 庫 の1973年 度
* 本 研 究 は、 首 都 圏 労金 経 営研 究所 の 「労働 金 庫に 於け る 『適 切な 合併 』 の 経済 効果 等 に 関す る研 究」 研 究 会 の成 果 の一 部で あ るノ 同 研究 所か ら は デ ータ の 提供 等、 多 大な 援 助を 受け た 。 記し て感 謝し たい 。 ま た研 究 会 座長 の 村本孜 成 城大 学 教授 、金 子 隆 慶応 大 学 教授、 そ し て小 平 裕成 城大 学 教 授か ら は多 く の有益 な コメv トを 頂 い た。
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図1 金 融機関 の 合併 状況
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年 度 出 所 ) 『 銀 行 局 金 融 年 報 』 平 成6 年 版 か ら 作 成 。
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か ら1986年 度 のデ ータを 用い 、 各年 度 ごと の クロ スセ クショ ンデ ータに 基づ き費 月 関数 を 計 測し て い る。 用 い た 関数 形は コブ ・ダ グ ラ ス型 と ト ラ ン ス・ ロ グ型 であ る。 コブ ・ダ グ ラス型 のモ デル で は 説 明変 数 と して 産 出物を 預 金 残高 、預 金残 高( 含 む譲 渡性 預 金)、貸 出残 高、経常 収 益、事業 収 益 を 個 別に 用 い て別 々に 計 測 され てお り、 ト ラ ン ス・ ロ グ型 の モ デル では 貸 出金 利 息 や 事業 収 益な ど 二 種 類 の産 出物 を 用い て 計測 さ れ、 大変 な 量 の計 測 が な され てい る という 点 で 評価 で きる。 結果 は、
規 模 の経 済 性 の存 在は 大 筋 で検 出 され てい る とい う点 で、 後 で述 べ る本 稿 の結果 と整 合的 で あ る。
し か し なが ら 、各年 度 ご と の クロ ス セ クシ ョ ンに 基 づ くた め、 当 然 のこ とな が ら各 年 度ご と に 異な る 規 模 の経 済 性 の程度 が計測 さ れ るこ とに な る。 具 体 的に は コ ブ ・ ダ グラ ス型 の 場 合 、 全 体 的 に0.96
−0.98の 値 とな っ てい るが 、85−86年 度り 計 測 結果 の中 に は0.84−0.86の値 が 散 見 され る。 こ の よ うな各 年 度ご と の クロ ス セ クシ ョン分 析 は、 当 然 の こ とな がら 各年 度ご と に労 働 金庫 の費 用 関 数 、 ま たは 生 産関 数 が 異な るこ とを 前 提 とし てい る が 、推 定 結 果 の年度 ご との 違い が 生産 関 数 の違 い に よる のか 、 また は各年 度ご とに 異なる 経 営環 境 、 具 体的 に は金 利 の変化 や 景気 な ど の影 響 から 生 じ てい るの かを 区別 する こ とが で きない 。 ま た、 暗 黙 の うち に、 同 じ金 融機 関 であ っ て も年 度ご とに 生産 関 数 は 異な る が、 同じ 年 度で あ れば す べて の労 働金 庫 の生 産 関数 は共 通 であ る とい う仮定 を 置 い てい る わけ で あ り、い くら か違 和 感を 感 じ る。 さ らに 、 各年 度 ご とに生 産 関数 が 異な る こ と を 前 提 とす る の であ れ ば、 そ の結 果を 用い て 合 併な どに よって 獲得 で きる かも し れ なし 長 期 的 な 規
労 働金庫 の合併に 関する規 模の経 済性115
模 の 経 済性 を 推 測 す るこ とは 、論理 的に 矛 盾す る よ うに 思え る。
ま た、合 併 の問 題 を中 心 に 分析 す るた めに は、規 模 の経 済性 の測定 に 際 して 、「合併 に よる規 模 の 経 済性 」 と 「成長 に よる 規模 の経 済性 」を 分離 す る必 要 があ る。 す な わち 、費 用 関数 の説 明変 数に 、 産 出量 ( 預 金残 高i 経 常利 益 など)に 加 え て、 レ ベル変 数 に よる調 整を 行 う必 要 があ りレ モ うでな い 場合 に は 、 単に 大 きい 金 融 機関と小 さい 金 融 機関 の 間 の規 模 の経 済 性を 測定し てい る こ とに なる。
通常 、 よ り大 きい 金 融 機関 は1 ]支店当 り、 また役 職員1 人 当 りの規 模 が よ り大 きい で あ ろ う。 こ の よ うな デ ータ に基 づ く 測定 に よって 規模 の経 済性 が 検 出さ れ た とし て も、 合併 に よる 規 模 の経 済性 が存 在 す る と は限 ら ない 。 なぜな らば 、 合併に おけ る 規模 拡 大に つい ては、 人 員 は増 加し 、1 支 店 当 りや1 人当 り の規 模 は不変 であ る とい った、 成 長 に よる 規 模 の経 済性 に 比較 す ると、 い わ ば 「 コ スト ア ップ」 要 因 が 存 在す るから であ る。 そ の結 果、 この ような 要 因を 考慮 し ない 方 法に よる規 模 の経 済 性 の測 定 は 、 合併 に よる規 模 の経 済性を 過 大 評価 す る可 能 性 があ る。
次 に[2 ] は 、 労 働金 庫 の位置 する 市場 につ い て、 集 中 度 の観 点 から 、地 域別 の分 析 が試 みら れ て い る とい う点 で 特 色が あ るが、費 用 関数 の推 定 は行 わ れ てい な い。
[3 ]は 規 模 の 経 済性 に関 して では ない が、 労 働金 庫 の 特色 と問題 点 につ い て、 丹念 な 分析 が 行 わ れ てい る 。
本稿 は、 長 期的 な合 併 が もたらす 効果 を調 べ る た めに 、 切片 、地 域ダ ミーの 他は す べて の年 度 で 共通 な生 産 関 数を 仮定 し、 そ の年 度 ご と の経営 環 境要 因 や時 間 的 な要 因を 切 片に 反映 さ せ 、地 域 ご と の違 い は 地 域 ダ ミ ーに反 映 させる とい う考 え 方 で、 費 用関 数を 測 定 し、 規 模 の経 済性 の存 否を 検 討す る。 もち ろ ん、 規模 の 経 済性 につ いて は 、「合 併 に よる 規 模 の経 済性 」と「成 長に よる 規模 の 経 済性 」を 分離 し、 前 者に 基 づい て労 働金 庫 の合 併に 関 す る コスト 削減 効果を 分析 す る。
本 稿 の 構成 は 以 下 の通 りであ る。 次節 では 金 融機 関 の 規模 の 経済 性 の 源泉 に関 す る一 般的 議 論、
労働 金 庫 の合 併 に 関 す る一 般的議 論を 示 す。 第3 節 で は モデ ル とデ ータにつ い て 説 明す る。 第4 節 は統 計的 結 果 とそ こ から 導 出さ れる含 意を 示 す。 第5 節は 第4 節 の結果 を 用い て 地 域合 併が 生 じた 場 合 の シ ミュ レ ーシ ョ ン結 果を示 す。 第6 節 は結 論 であ る。
2 金 融 機 関 と 労 働 金 庫 の 規 模 の 経 済 性
労 働金 庫 の 合 併に 関 す る 規模の 経済 性 の特質 に つい て概 観 する ま えに 、 金融 機 関の 規 模 の経済 性 の源 泉に つい て 、 ま た合 併 の費用節 約 効果 につ い て、 一 般 的に い わ れて い る ことに つ い て整理 し て みよ う。
まず ア カデ ミッ クな 規 模 の経済性 や範 囲の経 済 性に 関 す る議 論 とし て は、 ①一つ の 企業 に対 し 貸 出 な ど の与 信取 引 な どを 増 加させ る際に 、 過去 の審 査時 や長 期 的 顧客 関 係等 か ら得 た 情報 が低 い 限
界 費 用 で 再 利 用 で き る と い う 場 合 、 ② 審 査 方 法 の ノ ウ ハ ウ 自 体 を 低 い 限 界 費 用 で 再 利 用 で き る 場 合
と に 分 け ら れ る で あ ろ う 。 金 融 機 関 合 併 に 際 し て は 、 い ま ま で 二 つ の 金 融 機 関 で 行 わ れ た 類 似 し た
情 報 収 集 コ ス ト が 節 約 で き る こ と か ら 、 費 用 を 節 約 で き る と い う こ と に な る 。 こ れ ら の 議 論 は 、 金
融 業 が 情 報 生 産 に よ っ て 特 徴 付 け ら れ る 産 業 で あ る と い う 点 に 規 模 の 経 済 性 、 さ ら に は 範 囲 の 経 済
性 の 源 泉 を 帰 す 議 論 で あ る1 レ
よ り 実 際 的 、 実 務 的 レ ベ ル で の 合 併 の 費 用 節 約 効 果 と し て は 、 ③ コ ン ピ ュ ー タ シ ス テ ム な ど の 設
備 投 資 に 係 る 単 位 当 り 固 定 費 用 の 削 減 が 可 能 で あ る こ と 、 宣 伝 活 動 の 効 率 化 が 可 能 と な る こ と 、 ①
重 複 店 舗 や 重 複 人 員 の 削 減 が 可 能 で あ る こ と 、 ⑤ 金 融 機 関 の 規 模 が 大 き く な る と 許 可 さ れ る 業 務 範
囲 や 取 引 の 上 限 が 一 般 に 拡 大 し た り 、 ま た 何 等 か の 理 由 に よ っ て 生 産 物 の 構 成 が 変 化 し 、 そ れ が 収
益 を 改 善 す る こ と2) 、 ⑥ 金 融 機 関 の 規 模 が 大 き く な る こ と に よ り 市 場 支 配 力 が 強 ま り 、 そ れ が 収 益
に 貢 献 す る こ と3) 、 ⑦ 人 材 の 質 の 向 上 、 な ど が 考 え ら れ る 。
以 上 の 議 論 を 、 生 産 関 数 や 最 小 費 用 関 数 に 基 づ い て 分 析 し て み よ う 。n 次 元 生 産 物 ベ ク ト ル をy,m
次 元 生 産 要 素 ベ ク ト ル をX と す る 。 す べ て の 生 産 要 素 は 可 変 と す る 。 長 期 的 な 、 パ レ ー ト 最 適 な
生 産 の 組 み 合 わ せ を 次 の 生 産 関 数 で 表 現 す る 。 μx,v)=0(1)
こ こ で 、 器>0
, 器<o
,
み ま 衣 こ つ い て 準 凹 で あ る よ ま た 、 こ の 生 産 関 数 に は 時 点 や 地 域 環 境 の 差 な ど を 吸 収 す る た め の
シ フ ト パ ラ メ ー タ を 含 め る こ と も 可 能 で あ り 、 次 節 以 降 の 実 証 部 分 で は そ れ ら は 含 め ら れ て し ヽる 。 こ の と き 、 最 小 費 用 関 数 を 次 式 で 定 義 す る 。C(y,w)
=min{wx}
£l,‥ 、X琲(2)s.t./(
乙y) =0
こ こ で 、w は 四 次 元 生 産 要 素 価 格 ベ ク ト ル で あ る 。 こ の 最 小 費 用 関 数(2) は 規 模 の 経 済 性 に 関 し
て 生 産 関 数(1) と 同 一 の 情 報 を 持 つ こ と が 知 ら れ て い る た め4) 、 規 模 の 経 済 性 の 分 析 に あ た っ て は 、(1)
を 推 定 す る と い う 困 難 な 作 業 を 行 う 代 わ り に(2) を 推 定 す る と い う の が 一 般 的 で あ る 。
各 金 融 機 関 は 短 期 的 に 生 産 要 素 ベ タ ト ル ヱ の う ち の 固 定 的 な い く つ か を 所 与 と し て 利 潤 極 大 化 を
行 っ て い る 。 す な わ ち 、 生 産 物 価 格 ベ ク ト ル をp す れ ば 、 あ る 金 融 機 関 の 利 潤H は 次 式 で 表 す こ と
が で き る 。n
=max{py −w 到
S 八/(^ ,y)=0
− − −X,+i<Xi+l,
ヱ汗2≦X 汗z, ゛‥, ヱ。≦Xm
(3)
労 働金庫 の合併に関す る規 模 の経済性117
そ の結 果 生 じた 各金 融 機関 の選択 の結 果 で あ る産 出 物 ベ クトル もし く はそ の価 値を 産 み 出す ため の 短 期的 平 均 費用 は、 長 期 の平 均費 用 と は理 論 的に は もちろ ん 異な るが、 便宜 的 に 短 期平 均 費 用 曲 線 と長 期 平 均 費用 曲線 の接点 で生産 が行 わ れてい る と仮定 す る。 こ の仮定 に よ り、 費 用 関数 の統計 的 測定 の結 果 、長 期 の生 産関 数(1)の 規模 の 経 済性 を 導 きだ すこ と がで きる。
労 働 金庫 や 他の協 同組 織金 融機 関は 、 周知 の よ うに 、 法的 に 営業 地域 の制 限 と 取引 先 の 規 模や 種 類 に 関 す る制 限が存 在し 、こ のこ とは 、(3)に 付随 す る産 出物y に 関す る追 加的な 制 約 の存 在を 意味 す る。
n ‑‑ max
Xl, ‥, ヱ'{py −wx}
s.t.f(x,>) =0
− − −X
卜i≦ ヱ
汗i, ヱi+2≦ ヱト2, ¨' ,X 加ぶ ヱ。
− − −yi
+\ぶyi
+\,yj +2ぶyi
+2,…, μ ぶ μ
(3')
(3) と(3')は 一般 には 異なる解 を 持つ こ と は 明白 であ る。 す な わち 、(3')の短 期 的 な 最 適 産 出 ベ タト ル とそ の価値 は この追 加的 制 約が 存 在し な い場 合 の産 出ベ クト ル とそ の価値 か ら 乖 離 する 。 こ の こ とは 、 各 労 働金庫 の財 務デ ータか ら長 期 費 用 曲線 を推 定 す るこ とを 理論 的に は不 可 能に し 、 ま た 測 定 さ れた 費 用関数 は 真 の費 用 関数 の上 側 とな るは ず であ る。
し か し なが ら 、協 同組 織 金融機 関 も含 め す べて の金 融 機 関に は、 産 出ベ クト ル に影 響 す る 規制 、 例 え ば店 舗規 制 、大 口融資 規制、 自己 資 本 比率 規 制 が課 せら れてお り、 そ れぞ れあ る種 の 産 出物 に 対 す る 上 限を 決 定し てい る であろ う。 よっ て、 金 融 機 関に 対す る長 期費 用 関数 の 測定 、 さ ら に は一 般 企 業 の長 期 費 用関 数 の測定 な どは 厳密 に ぱ 不可 能 で ある。 さら に、 現実 的に 考 え る と、 労 働 金庫 が一 般 金 融 機 関に 比較し て 規制 の程 度 が 高い た めに より コ ストが 高い とは 必 ずし もい え ない5)。
よ って 、 本稿 におけ る労 働金 庫 の費用 関 数 の推 定 につ い て も、 他業 態に おけ る 推 定 と同 様 に 、各 労 働金 庫 は長 期 最 小費用 関数上に 位 置 す るこ とを 仮 定 す る。
以上 の理 論 的整 理 の上 で、 既述 の合 併に 関 す る 規模 の 経 済性や 費 用節 約に つい て の議 論を 、 理 論 的 な、 よ り大 きな カ テゴ リ ーに 分類 す る と次 のとお りと な るだろ う。a
ン単 位 あ た り固定 費 用 またはそ れに類 す る費 用 の低 下( ①、 ②、 ③)
こ れは 生産 関数 の形状 の問 題で あ り、 理 論 上 の 「規 模 の経 済性」 概 念 と一 致 す る。 こ れに つ い て は、 費 用関 数 の推定 に基 づい て 分 析 さ れる。b
. 最小 費 用 関数 の説 明変 数 の値 の変化 に よる 非 説 明変 数 であ る総費 用 の低 下( ④、 ⑤)
例 えば 、 ④につ い て は費用 関数 に おけ る レベ ル変 数 、 すな わ ち生産 関 数に おけ る シフ ト パ ラ メ ータ の変 化 であろ う。 なぜ な らば 、 重 複店 舗 の 削 減は1 店 舗 当 りの預 金残 高 や 貸 付残 高 とい う よ うな レベ ル変 数 の 値を上 昇 さ せ るか ら であ る。 ⑤に つい て は、平 均 費用 の低下 に 貢 献 す る
よう な新 たな生 産物 の獲 得 ま たは 生 産 物構 成り 変 化 であ ろう 。 犬c に生 産 物価 格 が一 定 で あ るとい う完 全 競争 市 場 の前 提 が失 わ れる場 合( ⑥ )
す なわち 、金 融機 関 の 目的 関数 であ る(3)に おけ る丿 が 内生変 数 とな る場 合。d.
生 産 関数 の上 方 シフ ト( ⑦) し
但 し 、賃 金 が不変 のま ま人 材 の質 が向 上す る 場合 で あ る。 賃 金 が上 昇す る場 合 に は こ のケ ー ス とb. の ケ ースと が相 殺的 に作 用 す る。 ただ 、 こ のd. のケ ース は、実 証的 に はa レ と区別 す る のは 困難 と考 えら れ る。
こ の よ うに 整理 す るこ とに よ り、 最 小費 用 関数 に よる 規模 の経 済性 の分析 は 、a. の み の分 析で あ り、 アカ デ ミッ クな規 模 の経 済性 の議 論は 、 現 実世 界か ら の需 要を 必 ずし も 満 たし て い ない とト う点に つ い ては認 識七 てお く必 要 があ る。
労 働金 庫 の合併 に 際し て は、 ①、 ④、 ⑤、 ⑥か ら生 じ る コ スト 削 減効 果に つ い て は 他業 態 に比較 し て 少な い と考 えら れ る。 まず ① と ⑤に つい て は 、 労働 金 庫につ い て は取引 先 が 個 人等 に 限 られ る た め 、取 引 先 の規 模に 関し て上 限 が存 在 す る こ とか ら、 合併 に よる規 模拡 大が1 取 引先 に 対 す る融 資 額 な ど の取引 額 の増 加に 直 結し ない で あ ろ うし 、 また 、 労 働金 庫の 取引先 の性 質 上、 国際 業務 な ど の他 の業 務範 囲 へ の進 出はそ れほ ど メ リ ット があ る とは 考 えに くい。 し かし なが ら、 規模 にょ っ
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図293 年 度 労 働 金 庫 の 預 金 規 模 と 資 産 構 成
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● 預 け金( 除無 利 息 分)◆ 金 融機 関貸 付 等 血 有 価証 券 日 貸 出金
゛臨. yy `‑‑‑ ここ.
四 大 ニ ハ
億円 預金・積金
注 ) 各 労 働 金 庫 別 に 対 運 用 資 産 比 率 を 計 算 し た 後 、 預 金 規 模 順 に5 移 動 平 均 を 計 算 し て 表 示
−
出所 ) 首 都 圏 労 金 研 究 所 提 供 デ ー タ か ら 作 成 。
信 用 組 合
労働金 庫の合併に関 する 規模 の経 済性119
て産 出物 の 構成 が変 化す る 可能性 はあ る。 図2 は運 用 資産 の 構成 を預 金 規模 に関 し て5 金 庫 ずつ 平 均 す るこ とに よう てプ ロ ット してい る6)。 この 図 から 、概 して 、預 貸 率 は預金 規 模 が大 き いほ ど高 く な る こと 、預 金 規 模1000億 円弱の 労働金 庫 は預 け 金 に、 ま た2000億 円弱 の労 働金 庫 は有 価 証 券に 資 産運 用 を 相 対的 に 大 きく 依存 してい る こ とが わ か る。 ここ で は示 さな い が、 こ の よ うな 資 産 構成 の 結果 、 各 資産 項 目に対 応 す る収益 の各項 目の 構成 も同 様 の傾 向を 持つ。
④に つ い て は、 異な る 労働 金庫 間に は重 複 店 舗が ほ と ん どない とい う点 につ い て、 重 複店 舗 の再 配置 な どに よる長 期的 な 費用 削減効 果 を得 るこ とは で きな い であ ろ うと 想像 さ れる。 ただ し、 首 都 圏 な ど、 東 京 都外 か ら東 京都 内に通 勤 す る勤 労者 が多 い 場 合に は、 居 住地 域 の労 働金 庫 と東 京 の労 働金 庫 で 競 合 が生 じ てい る ので、首 都 圏 内で の 合併 は、 他 業 態に おけ る重 複 店舗 の整 理 と類 似し た ケ ースと な る。 こ の点 か ら、 労働金 庫 の場 合に は、 全国 規 模 での 合併 を行 わ なく て も、 ブ ロ ック内 で の合 併 を 行 えば、 相 当 の合 併効果 を 手に 入 れ るこ と がで き る可能 性 が あるレ
⑥に つ い て は、万金融 市場 を 全国で1 市 場 と み なす 立場 か ら考 え て も7)、 全 国 金 融 機 関 に 占 め る 労 働 金庫 全 体 の シ ェアは 大変 低 く( 図3 )、 また い わゆ る「テ リト リ ー」で のシ ェアに つい て は 、異な る 都道 府県 の労 働 金 庫が 合併 して も シェ アア ッyプに は 全 くつ な がらな い と考 えら れる。
500
400
E架 300
200
100
0
図393 年 度労 働金 庫と主 要 金融 機関 の預 貸金の 比較
労 働 金 庫 全 国 銀 行
出 所 ) 日 本 銀 行 『 経 済 統 計 月 報 』 か ら 作 成 。
信 用 金 庫
反 対に 、首 都圏 の 労働 金庫 の合併 に 特 有 と考 えら れ る効 果 とし ては、 ⑧職住 二 元 取 引や 生 涯取 引 が 可能 と な るこ とで ある。 これ は、 首 都 圏 の労 働金 庫 また は 信用 金庫 な ど中小 金融 機 関 の 個人取 引 先 がし ば し ば職場 と居 住 地 域が 異 なる ケ ースが多 い た めで あ る。 こ の効果 は情 報収 集 コス トを節 約 で き るこ と から 生じ てい る めで 、理 論 的 な 規模 の 経済 性 の議 論に 含ま れ る。
以上 の点 から、 労 働金 庫 の合 併に よる コスト 削 減効 果 は、 普通 銀行 な ど他業 態金 融 機 関 の合 併に 比 較し て 小 さい と考 えら れ る。 し かし な がら 、 そ の絶 対的 な 存否 につ い ては実 証研 究 を 行 う ごとに よっ て のみ 議論 可能 であ る。 本 稿 では 、 アカデ ミッ クな 意味 で の規 模 の経 済性 を 享受 す る こ とが可 能 であ る か、 特 に労 働 金庫 が 合併 す るこ とに よっ て 規模 の経 済 性を 享受 す るこ と が可 能 で あ るかに つ い て焦 点を 絞 って 分 析す る。 こ の た めに は、寸合 併 に よる 規模 の経 済 性」 と、「成長 に よる 規模 の 経済 性」 と い う2 種類 の規 模 の経 済性 を 区 別 する 必 要が あ る。
まず、 合併 に よる 規模 の経 済性 は 、「 同 じ規 模( 収益、 支店 数、役職 員数 )のA 金 庫 とB 金 庫が あ る場 合、 合 併 する こ とに よ り、 支店 数、 役 職 員数 を 減ら さ ない ま ま( すな わち 支 店 数、 役 職 員数 は2
倍 に なる ) 規模 が2 倍に 拡 大 する 場 合に 総 費用 の上昇 が2 倍 より小 さい ] とい うこ と であ る。 こ の状 況 は、「1 支店 当 りの預 金額 ・貸 出額 を一 定 に 保 つた まま 、各 収益 を 同時 に1 % 増 加 さ せ る と きに 総費 用 の上昇 力牡 % より小 さト 」 と 言い 換 え るこ と がで き る。
次に 、成長 に よる 規 模 の経 済性 は、「支店 数 、役 職員 数を 増 や さない まま、預 金 、貸 出、そ の他が2 倍 とな った 場 合、 総費 用 の上 昇 が2 倍 よ り小 さい ] とい うこ とであ る。 こ の 状 況は 、「各 収益 と、1 支店 数当 り預金 額 ・貸 出 額を 同 時に1 % 増加 さ せ ると きに 、総 費用 の上昇 が1% よ り小 さい」 と
言い 換 え る こと がで き る。
犬
以後 の 実証 分 析で は、 こ の概 念 に基 づ き 、 合併 に 関す る規 模 の経 済性 につト て 検討 す る。
3 モ デ ル と デ ー タ
実際 の式 の計 測 は、 コブ ・ ダ グ ラ ス型 指 数 関数 を 用い るよ こ の関 数を 選 択し た 理 由 は、 経 験的 に 経 済 デ ータ 間に か な り よくあ て は まる こ と、 ま た、 規 模 の経 済性を 計 測す るた めに 単 に計 算 さ れた パ ラメ ータ の和 が1 よ り小 さい か否 かを 検討 す るだけ で よい とい う便利 な特性 を 持 っ てい る こ とか ら で あ るが 、 同様 の特 性を持 ち 、 よ り柔 軟 な ト ラ ンス ・ ロ グ型 を 使用 し なかっ た理 由 は、 多 重共 線 性 のた めに 推定 値を 不 安定 に な りや す く、 追 加 さ れた変 数 の 有 意性 もほ と んど 見ら れな か った ため
であ る。
具 体的 に は 、各 説 明変 数 の間 に平 均 的に 次 の式 で示 さ れ る 関 係 が 存 在 す る も の と し て 、 次 式 の βO〜β14を 推 定 す る。
総費 用=2.7183 高× (資 金運 用 収 益戸 × ( 役 務取 引等 収 益戸 ×( そ の 他業 務 収益 戸
労働金庫 の合併に関 する 規模 の経済 性121
× ( 資 金 調 達 金 利 )乃× (1 人 当 り賃 金 戸 × (1 支 店 当 り 物 件 費 戸
ダ ×(1 支 店 当 り 預 金 残 高戸 × (1 支 店 当 り 貸 出 残 高 戸 ■ ■ ■
■
× ( 東 北6 金 庫 ダ ミ ー)β9× ( 東 部7 金 庫 ダ ミ ¬ 戸ox
( 首 都 圏4 金 庫 ダ ミ ー戸1 × ( 近 畿7 金 庫 ダ ミ ー)枇 ニ
× ( 四 国4 金 庫 ダ ミ ー戸3 × ( 九 州8 金 庫 ダ ミ ー)紬 こ こ で 、2.7183
゛°= 定 数 項 (年 度 に よ っ て 異 な る 値 を 用 い て い る )
総 費 用 = 経 常 費 用
資 金 調 達 金 利 = 資 金 調 達 費 用 / ( 預 金 ・積 金 十CD )1 人 当 り 賃 金 = 人 件 費 / 役 職 員 数1
支 店 当 り 物 件 費 = 物 件 費 / 本 支 店 数1
]支店 当 り 預 金 残 高 こ 預 金 ・ 積 金 末 残 / 本 支 店 数1
]支店 当 り 貸 出 残 高7 貸 出 末 残 / 本 支 店 数
東 北6 金 庫 ダ ミ ー = 東 北6 金 庫 の み1 、 そ の 他 の 金 庫 は0
( 以 下 、 ダ ミ ーに つ い て は 東 北6 金 庫 ダ ミ ー と 同 じ ル ー ル で あ る )
β1〜β3は 生 産 物 数 量 、ふ〜β6は 生 産 要 素 価 格 、β7〜β8は レ ベ ル変 数 、そ し て β9〜 βuは ダ ミ ー変 数 で あ る 。
レ ベ ル 変 数 と は 、 生 産 物 数 量 と 生 産 要 素 価 格 以 外 の 要 因 か ら 生 じ る 差 を 吸 収 す る た め の 変 数 七 あ り 、 理 論 的 に は 生 産 関 数(1 )に 追 加 さ れ る シ フ ト パ ラ メ ー タ で あ る 。例 え ば 、収 益 の 大 き さ 、1 人 当 り 賃 金 な ど が 同 じ で あ る が 、1 件 当 り 貸 出 額 の み が 異 な る2 つ の 金 庫 が あ る 場 合 、 総 費 用 は1 件 当 た り 貸 出 額 が 大 き い 方 が 小 さ い と 考 え る の が 自 然 で あ ろ う か ら 、 こ の よ うな 要 因 を 考 慮 す る た め の 工 夫 が 必 要 と な り 、 そ れ は こ の レ ベ ル 変 数 を モ デ ル に 含 む こ と に よ っ て 実 現 さ れ る 。
さ ら に 、 東 北 エ リ ア 、 首 都 圏 エ リ ア な ど 、 同 じ エ リ ア 内 の 金 庫 は 他 の エ リ ア の 金 庫 と は 異 な る 共 通 の 傾 向 か あ る 場 合 も あ る と 考 え ら れ る の で 、 エ リ ア ご と の 共 通 な 特 性 を 示 す 変 数 を 用 い て こ の よ う な 要 因 か 考 慮 す る 必 要 も あ ろ う。 こ れ は 、 具 体 的 に は ダ ミ ー変 数 を 用 い て 実 現 さ れ る 。 本 稿 で の ダ ミ ー変 数 ぱ 、 該 当 す る と き に2.7183 ( す な わ ち 自 然 対 数 の 底 )、 該 当 し な い と き に1 を と る 。 ダ ミ ー変 数 も 理 論 的 に は 生 産 関 数 の シ フ ト パ ラ メ ー タ で あ る ( 各 エ リ アに 含 ま れ る 労 働 金 庫 に つ い て は 、 表4 の 注 を 参 照 の こ と )。
次 に 計 測 手 法 で あ る が 、 回 帰 分 析 ( 最 小 二 乗 法 ) の 一 種 で あ るSUR(seeminglyunrelatedestimation
) 法 を 用 い る。SUR は 、今 回 の よ う な 、各 年 毎 に 多 く の 金 融 機 関 の デ ー タ が 入 り 、そ れ が 複 数 の 年 に わ た っ て 存 在 す る と き に 、 通 常 の 回 帰 分 析 よ り も予 測 が 正 確 で あ る と い う 特 徴 を 持 つ よ
デ ー タ の 期 間 に つ い て は 、」978 年 度 か ら 役 務 取 引 等 収 益 が 含 ま れ る よ うに な っ た こ と か ら 、1978 年 度 〜1993 年 度 の年 次 デ ー タ と し た 。 デ ー タ は 、 首 都 圏 労 金 経 営 研 究 所 か ら 提 供 さ れ た 。SUR
に よ っ て モ デ ル を 計 測 し た 後 、規 模 の 経 済 性 が 存 在 す る か 否 か に つ い て 計 算 さ れ た パ ラ メ ー タ を 用 い て 検 討 す る 。も ち ろ ん 、検 討 す る 問 題 は 次 の2 つ で あ る。ま ず 第1 の 問 題 は 、合 併 に よ る 規 模 の 経 済 性 が 存 在 す る 否 か で あ る が 、コ ブ ・ダ グ ラ ス 型 関 数 の 性 質 か ら 、こ の 問 題 に つ い て は 、3 つ の パ ラ メ ー タ β1、β2、β3の 和 が 明 ら か に1 よ り 小 さ い と き 、す な わ ち β1十β2十β3<1 が 明 確 に い え る と き、
規 模 の 経 済 性 が 存 在 す る と い う こ と が で き る 。 例 え ば 、 も し 明 確 に β汗 烏 十β3=0.8 <1 で あ れ ば 、 次 の 表1 の よ うに 、1 ]支店 あ た り 預 金 残 高 、貸 出 残 高 が 同 じ で 、資 金 運 用 収 益 、役 務 取 引 等 収 益 、そ の 他 業 務 収 益 が1% ず つ 異 な る2 つ の 労 働 金 庫A とB の コ ス ト は 、 収 益 が1 % ず つ 大 き いB 金 庫 の 経 常 費 用 が0.8 % 大 き く な る こ と を 示 す 。 す な わ ち 、1 % の 規 模 の 上 昇 は0.2 % の 費 用 の 節 約 と な る。
表1IS, 十 恥 十│33=0.8の場 合の仮設 例 資 金 運 用
収 益
役 務取 引等 収 益
そ の 他業 務
収 益
1 支 店当 り 預金残 高
1]支店 当 り
貸 出残 高 経 常 費 用
A 労 働 金 庫 100 〔).01 10.0 200 150 100.0
B 労 働 金 庫 101 10.1 10.1 200 150 100.8
第2 の問 題 は、成 長 に よる規 模 の経 済 性 が存 在 す るか、 とい うこと で あ る。 こ の 問題 につ い ては β斗 函十β汗 β7十β8<1 が 明確 にい え ると き、 規 模 の経 済性 が存 在す る とい うこ と がで きる。表2 で
は/3.十β汗 ゐ十函十β8=0.8 の場 合 の仮 設 例を 示 七ていゐ 。‥
表2 β1十 β2十 β3十 βア 十 β8=0.8 の場 合 の 仮 設 例
資 金 運 用収 益
役 務取 引等
収 益
そ の 他業 務 収 益
1]SIと店当 り 預金 残高
1]支店当 り
貸 出残 高 経 常 費 用
A 労 働 金 庫 100 10.0 10.0 200 150 100.0
B 労 働 金 庫 101 10.1 10.1 202 151.5 100.8
労働 金庫 の合併に関 す る規模 の経済性123
4 結 果
結果 は表3 で示 さ れ てい る。「合 併に よる 規模 の経 済性 が存 在 しな い」 とい う 仮 説 は 表3 −3 に おけ る 「 仮説 ロ で あ り、 こ の仮 説は 有 意水 準1% で棄却 され てい る。 す な わち 、 合 併に よる規模 の経済 性 の存 在に つい ては 、存 在 する とい うこ とが で きる。
表3 −1 回 帰 分 析 の 結 果 ( 係 数 の 推 定 値 )
年 度 係数推 定値 標 準 誤 差 t 値 p 値 β0 定 数項78798081828384858687888990919293‑1.117872
‑1.115731
‑1.112486
‑1.091071
‑1.129825
‑1.137420
‑1.139804
‑1.128782
‑1.088040 一1.006281
‑1.001108
‑0.998606
‑1.024844
‑1.042357
‑1.029349
‑0.999634
0.178426 0.179971 0.183788 0.185348 0.185784 0.185945 0.186822 0.187557 0.187740 0.185874 0.185938 0.186943 0.190624 0.192448 0.191776 0.190626
‑6.2651
‑6.1995
‑6.0531
‑5.8866
‑6.0814
‑6.1169
‑6.1010
‑6.0183
‑5.7954
‑5.4137
‑5.3840
‑5.3417
‑5.3762
‑5.4163
‑5.3674
‑5.2439
0.000000 0.000000 0,000000 0.000000 0.000000 0.000000 0.000000 0.000000 0,000000 0.000000 0,000000 0,000000 0.000000 0.000000 0.000000 0.000000 βi 資金 運用 収 益
β2 役 務取引 等 収 益 β3 そ の他業 務 収 益
0.946369 0.022985 0.001567
0.006188 0.002573 0.000610
152.9259 8.9310 2.5680
0.000000 0.000000 0.010224 β4 資金 調達 金 利
β51 人 当 た り賃 金 β61 支店当 り物 件費
0.281650 0.145234 0.074376
0.029817 0.018812 0.008377
9.4460 7.7200 8.8790
0,000000 0.000000 0.000000 β,1] 支:店当 り預 金残 高
β81] 支店当 り貸 出残 高
‑0.021662
‑0.036245
0.012640 0.011384
‑1.7137
‑3.1837
0.086573 0.001454
β9 東 北6 金 庫 ダ ミ ー
β10 東 部7 金 庫 ダ ミ ー β11 首 都 圏4 金 庫 ダ ミ ー β12 近 畿7 金 庫 ダ ミ ー βu 四 国4 金 庫 ダ ミ ー β14 九 州8 金 庫 ダ ミ ー
べ).036122
‑0.004625 0.032730 0.002554 0.013878
‑0.016245
0.006837 0.009170 0.011973 0.006183 0.008497 0.006381
一5.2830
‑0.5043 2.7330 0.4130 1.6330
‑2.5457
0.000000 0.614019 0.006265 0.679554 0.102423 0.010904
表3 −2 回 帰 分 析 の 結 果 ( 決 定 係 数 )
年 度 決 定 係 数 同 自由 度修 正済
78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93
0.998125 0.998065 0.997948 0.998247 0.998558 0.998162
0.996957 0.998274 0.990812 0.986987 0.984721 0.990220 0.991972 0.987998 0.987177 0.995008
0.997305 0.997219 0.997051 0.997480 0.997927 0.997358 0.995626 0.997520 0.986793 0.981294 0.978037 0.985941 0.988459 0.982748 0.981567 0.992824
表3 −3 回 帰 分 析 の 結 果 ( 仮 説 検 定 )
仮 説 推 定値 カィ2 乗p 値
β1 + β2 十 β3 こ1 ( 仮 説1 ) β, 十 β2 十 β3 十 β7 十 β. =1 ( 仮 説2 )
0.97092128.2692030.000000 0.91301496.2721580.000000
β4 十 βs 十 β6 =1 ( 仮 説3 ) 0.501259181.6862580.000000
具 体的 に は、1: 支店 当 り預 金残 高 、1 支店 当 り貸 出 残 高を一 定 に保 つた ま ま、資 金 運 用 収益、 役 務取 引等 収 益、 そ の他業 務 収 益を 同 時に1% 上 昇 させ た と き、経 常費 用 は 平均 的 に0.97%上 昇 する。
よっ て、 合 併を す べ きか 否 か とい う問 題に つ い ては 、原 則 的に 合 併を 行い 、 そ れに よっ て長 期的 に 経費 の節 減を 享受 す べ きで あ る とい う のがそ の 回答 であ る。
他方 、成 長に 関 す る 規模 の経 済 性 の存 在に つい て も 認 めら れ た。つ ま り、「成 長 に 関 する 規模 の経 済 性が 存在 七ない 」 とい う仮 説 (表3 −3 に おげ る 「仮 説2 」) は 有 意水 準1% で棄 却 さ れた。
具体 的に は 、資 金 運 用 収益 、 役務 取 引等 収 益、 そ の他 業務 収 益、1 支店 当 り預 金 残 高、1 支 店当 り貸 出残高 を 同 時に1 %上 昇 さ せ た とき、 経常 費 用は 平 均的 に0.913% 上 昇 す る。
次に 、推 定 値を 個 別 に 見 て み よう。資 金 運 用収 益に 関 す る推 定値 は お よそ0.95 であ り、 こ れは 信 用 金庫 に対 し て 同 様 の手 法に 基 づい て 行 った 研 究[6 ] とほぼ 同 じ大 きさで あ るが、 標 準誤差 は か な り小 さ く、 も ち ろ ん通 常 の有 意 水 準( 以下 で は有 意水 準5 % で 有 意な 場合 、 単に 有 意 とす る) の
労 働金庫 の合併に 関す る規 模の経 済性125
もとで は 有 意に1 よ り小 さ い。 す なわ ち 、 労働 金 庫 のデ ータに よれば 、貸 出 金 の1% の増 加に よる 貸 出金 収 益 の1% の増 加が 経常 費 用を0.95% 増 加 させ るこ とを 示し て お り、 こ の 値 の直 観 的な 信頼 性 は標 準 誤差 か ら見 て 高い と考え て よい。 また役 務 取 引等 収 益とそ の他業 務 収益 の 係数 に つい て も 有 意に 正 と なっ てい る。 この二 つ の説 明変 数 に 関し て は[6 ]な どで 有 意な 結果 が 出て い ない よう に 、推 定 が比 較的 困 難 と考 え られ る が、 労 働金 庫 の場 合は 、資 金 運用 収益 の係 数 の 高い 信 頼性 に も 見 ら れる よ うに、 他 業 態に 比 較し て生 産 関数 の基 本的 構造 は かな り安 定的 で 、 ま た 各労 働 金庫 の生 産 関数 の 基本 的 な形 状 もか な り類 似し て い る よ うに 思え る。
こ の安 定性 は 他 の 係数 の推定 結果 に もあ ら われ てお り、 生 産要 素価 格に 関 す る 係数 の符 号 も理論 通 りに 有 意に 正 であ る。た だし 、[6 ]と同 様、生産 要 素価 格 の 係数 の合計 が1 に 等 し くな る はず で あ る とい う条 件 は満 た さ れてい ない (表3 −3 に おけ る 「仮 説3 」)。 こ の理 由に つ いて は 、お そら く 単 位当 り物 件費 の測 定 の困 難 のた めで あ る と思 わ れる。
し 次に 地 区別 、 時期 別 の結 果 につ い て概 観 し よ 呪 まず、 地 区別 で あ る が 、 首 都 圏4 金 庫 ダ ミ ー/3u
は0.033で 有 意に 正で あ丿 、 こ の こと 昧首 都 圏に おい て は、 同 じ収 益を 上げ る た めに 必 要 な 生 産 要 素 の投 入量 、 すな わち資 金 、労 働投 入 量 、そ し て物 件費 関 連 の どれか ま たは 全 部 が 他 の地 域に 比 較 し て高 め であ る こ とを 示 し てい る。 こ こで、 賃 金一 定 の もと で労 働投 人 量が 高 い とい うこ とは、
同 じ 性能 を も たら す 労働 者を 雇用 す る た めに は より 高い 賃金 が 必要 であ る こ とを 意味 し、 ま た単 位 当 り物件 費 ―定 の も とで物 資 の投 人 が多 い とい うこ とは、 同 じ性 能を もた らす 資 材 の価格 が より高 い こ とを 意味 する。 また、 投 入資 金 量 が よ り大 きい とい うこ と は、 同水 準 の平 均 的 労 働金 庫 と比較 して 資金 運 用利 回 り が よ り低い か資 金調 達 利 回 りが よ り高 く、 そ の結果 、資 金 調 達 利 回 り と資 金 運 用利 回 りの差 、 端的 に は預 貸金利 鞘 が よ り小 さい こ とを 意味 す る。
お そら く 、首 都 圏 の特 徴 とし て、 競争 が激 しい た めに 預貸 金利 鞘 は 相対 的に 低 く、 同 じ性 能を 持 つ 労働者 の 賃 金 も高 く、 設備 の費 用 も高い と推測 さ れ る。 近 畿 地区 は平 均 的 な費 用で あ り、 東北 地 区 と九州 地 区 の費 用 は相対 的 に 小 さい とい う ように 、地 域 ダ ミ ーは 地 域 の特性 を 明確 に示 し てい る。
時 期別 の 結果 は 、 本稿 の 目的 であ る 規 模 の経 済性 の存 在 の検 証 とい う 目的 から ぱや や離 れ る が、
本稿 で のモ デ ル の仮定 、す なわ ち生 産 関 数は 安定 的 で、 そ の時 点に おけ る環 境要 因 は切片 に反 映 さ れ る、 とい う仮定 の 妥当 性 の検 証 とな る。
図4 は、 各年 度 の 切片 と 自由 度 修正 済 決定 係数 の値 の変化 を 示し てい る。 まず 、各 年 度 の切片 の 変化 につ い て みて み よ う。 通常 、金 融 機 関 の経常 費 用 は金利 低 下 局面 に 減少 し、 上昇 局面 に 増 加す る。 し かし な がら 、 そ の よ うな 方面 か ら の影 響 は、 回 帰分 析 の結果 か ら は排 除さ れ てい るた め、 こ こ で みる切 片 の変 化 はあ く まで も構造 的 な 経常費 用 の変 化 、 すな わち 費 用関 数 の 上下 の変 化 で ある。
こ れに よれば 、85年 度以 降 、費 用 関数 が 上方 シフト し てい る こ とがわ か る。 こ れ は おそ ら く金 融 自
由化 の影響 で あろ うと考 え ら れ る。
‑0.95
1
迎 Q 縦尽
‑1.05
1.1
‑1.15
図4 計測 され た切片 と自 由度 修正済 決定 係数 の変化
二 ▽ .
∧∧☆
j
∧ り
丿 几 ノ
| |11JII 』111111
78 80 82 84 86
年
88 90 92
0.995
0.99
0.985
剱匯佃水燦円巡側Ξ皿
■ 切片
伴] 偏0.98
次に、 自 由度修 正 済決 定 係 数に よっ て、年 度 別 の モデル のあ て は ま りの 程度 の変 化を みて み よう。
こ れに よれば 、85年 度を 境 と し て、 そ れ以 後 は モデル のフ ィ ット が悪 くな うて い る。 こ のこ とは、
金 融 自由化 が 本格 化 す る前 で 、平 成 景気 が始 まる 前 の85年 度 以前 にお い て は、 各 労 働 金庫 の 収益性 のばらつ き は小 さか っ た が、 以 後、 各 労 働金 庫は 、新 しい 環 境に 対 す る対 応 とい う点 で、 収 益力に ば らつ き が でて きた の であ ろ うと考 え ら れる。
図4 に つい て要 約 す れ ば、84−85 年 度を 境 とし て費 用 は上 昇し 、 ま た金 庫 間 の 格差 も拡 大 した と い うこと に なる。
5 実 績 値 に 基 づ く 節 約 額
最 後に 、 各地 区ご との 労働 金 庫 が合 併 し た場 合に 、 削減 で きる経 常 費 用 の額 を 、 計測 さ れた式 に 基 づい て 試 算し た( 表4 入
こ の計 算 は、 各 労働 金 庫 の経 常 費用 予 測 値 の合計 から 、 合併 後 の労 働 金 庫の 各 係 数( 収益 、 経費 人 員、 店 舗 数な ど) を 各 労 働金 庫 の 係数 の 合計 とし て求 め た合 併 労働 金 庫 の経 常 費 用予 測値 を 減じ るこ とに よって 行 わ れた。