環境中の微量イオン性物質の前濃縮/分析に関する 研究
著者 小林 淳
雑誌名 分析化学
巻 43
号 9
ページ 727‑728
発行年 1994‑09‑05
URL http://hdl.handle.net/2297/3908
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Vol、43(1994) 727博士論文要録
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環境中の微量イオン性物質の前濃縮/分析に関する研究
小林淳
学位授与:金沢大学(1994年3月25日)
特異的な保持が可能となった.またSABからのアルミ ニウムの溶出は,0.1M硝酸により定量的であることが 分かった.この濃縮カラムからの硝酸溶出液をオフライ
ンで原子吸光法(GF-AAS)で分析することにより,環 境試料を直接測定する場合に問題となるマトリックスの
影響を受けずに,sub-ppbレベルのアルミニウムイオン
の分析が可能となった.本法を水道水や地下水等に適用 したところ,これらの中では水道水中のアルミニウムイ オン濃度が最も高く,しかもそれは原水ではなく,浄水 処理時に添加するアルミニウム化合物に由来することが 示唆された.また,この濃縮カラムを組み込んだフロー インジェクション分析(FIA)システムを試作し,オン ラインで比色試薬ピロカテコールバイオレットとポスト カラム反応させることにより,pptレベルのアルミニウ ムイオンの分析を可能とした.さらに,このFIA法と 硝酸分解前処理を組み合わせることで,環境水(水道 水,地下水,河川水,海水)中のアルミニウムの形態別 分析を試みた.その結果,アルミニウム量はイオンとしては水道水中に高濃度(数十PPb程度)に存在してい るにもかかわらず,総量としては海水(数百PPb)>河
)''水>水道水の順であり,地下水中にはイオンあるいは 総量のいずれも最も低かった.この差は,pHあるいは 導電率と相関がなく,おそらくアルミニウムが混入後の 時間的経過や滞留の程度によるのではないかと考えられ た.また,銅(Ⅲ)イオンの前濃縮/分析として,バソクプ ロインスルホン酸をガラスピーズに固定化し,その固定 化試薬(BCB)を充てんした濃縮カラムを用いて,銅 イオンの保持・溶出特性を調べた.その結果,BCBは 上記試薬を銅のキレートと全く関係ない部位でガラス ビーズに固定化することにより,水溶液中での遊離試薬 と同様に銅を選択的に結合することが可能となった.ま
た,BCBからの銅の溶出は0.1M硝酸により、定量的
であることが分かった.この濃縮カラムを組み込んだ FIAシステムを試作し,オンラインで比色試薬パソク プロインスルホン酸とポストカラム反応させることにより,ppt-ppbレベルの銅イオン分析を可能にした
第3章“環境中の微量陰イオンの前濃縮/分析,,で 本研究では,環境中に存在するイオン性物質(陽・陰
を含む)の高感度分析法の開発を目的とし,前濃縮/分 析法の開発を行った.環境中に存在する微量イオン性物 質の化学形と濃度は,生理活!'生あるいは毒性の発現と密 接に関係しており,その分析は重要である.しかしなが ら,分析方法の選択性が乏しいために共存する多量成分 の干渉を受けやすく,また感度が不十分な場合が多い.
本研究ではこのような分析法上の問題点を有する微量イ オン性物質の中から,陽イオン種では近年アルツハイ マー病の原因物質として懸念されているアルミニウム,
必須遷移金属種として摂取量の把握が必要な銅,また陰 イオン種として酸性降水等の大気汚染や原子力発電,半 導体工業における汚染物質として問題となっている無機 陰イオン及び有機酸を取り上げ:た.これらの対象物質の 特性に合わせて,アルミニウム及び銅については選択性 の高いキレート性収着剤を新規に調製し,また無機陰イ オンと有機酸については,これらの同時捕捉が可能な陰 イオン交換体を選択し,さらにこれらの前濃縮法と既存 の機器分析法とを組み合わせた高感度分析法の開発を行
った.
本論文は,これらの研究成果をまとめたものであり,
全4章から構成されている.
第1章“序論,,では,研究の背景,イオン性物質の測 定意義,これまでの測定法の問題点と前濃縮の必要性,
並びに目的について述べた.
第2章“環境中の微量金属イオンの前濃縮/分析”で は,アルミニウムイオンの前濃縮/分析として,サリチ リデンアミノー2-チオフェノール(SATP)をガラス ピーズに共有結合的に固定化し,その固定化試薬 (SAB)を充てんした濃縮カラムを用いて,アルミニウ ムイオンの保持・溶出特性を調べた.その結果,SATP はガラスビーズに固定化することで配位構造に変化を生
じ,PHを調整することでアルミニウムや鉄イオンなど
の三価の金属イオンと選択的に結合し,さらに還元剤を 添加することにより,アルミニウムイオンのみに対する 現連絡先の機関金沢大学薬学部:920石川県金沢市宝町13-1 学会受付1994年5月23日
6-’
VoL43(1994)
BUNSEKIKAGAKU 728
第4章“結語,,では,本研究を総括して1本研究の利 点と今後の展開及び課題を述べた.本前濃縮法はうrl)マ
トリックスの分離と同時に濃縮が行え,2)使用する装置が少なくはん用性があり,3)陽イオンの濃縮では,調製 した前濃縮担体の再利用が可能であることが特徴として
挙げられる.'よ,無機陰イオンと有機酸の前濃縮の濃縮器材として市 販の陰イオン交換体から無機陰イオン及び有機酸の同時 濃縮に適するアクリル系樹脂を選択した.この濃縮カラ
ムを導入した吸光度検出イオンクロマトグラフシステム の構築を目的として,これら陰イオン成分を分析するた めの溶離液,装置構成等について検討を行った.溶離剤 として,高感度な吸光度検出が可能であり,濃縮カラム からの目的イオンの保持・溶出が定量的かつ迅速なこと から,ノートルエンスルホン酸を選択した.また装置構 成として,安定なベースラインと高分解能を得,かつ汚 染を最小限にするために,2台のポンプ及びパルプを導 入したバックフラッシュ型カラムスイッチングシステム とした.その結果,検量線はppt-Ppbレベルで直線性 を示した.さらに本法により脱塩蒸留水中のpptレベ ルの硫酸,硝酸イオンの汚染が検出できるようになっ
た.
公表論文
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41,919(1993).
2)K、Hayakawa,JK6bayashi,M、Ohmori,M・
Ohya,A,Kato,M・Miyazakir訂HiiiHノゲ航,9,419
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(1993).
3)JKobayashi,MBaba,MMii露。“'`川,
10,2870994).
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(AwardedbyKanazawaUniversitydatedMarch25,1994)「い}
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Thismcthodwasabletodetermincppb-ppt]evelso「copperinenvironmcntalsamples、3)To
preconcentratetraceinorganicandcarboxylicanions,ananion-exchangecolumnwasconnected on-1inetoaphotometricionchromatographicsystemusingl-tolucnesullbnicacidasaneluent、
Simultaneousdeterminationo「requiredanionsatppt-ppblevelswasachievedbythesystem.
(RcceivedMay23,1994)
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Keywordstraceenrichment,aluminumion,copperion,inorganicandcarboxylateanions,Uow
injectionanalysis,ionchromatography.
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