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結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

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Academic year: 2021

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(1)

浮遊電極型フラッシュメモリにおけるトンネル酸化 膜への窒素導入効果に関する研究

著者 荒井 雅利

著者別名 Arai, Masatoshi

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

巻 平成14年9月

ページ 51‑59

発行年 2002‑09‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/16414

(2)

氏名 生年月日 本籍 学位の種類 学位記番号 学位授与の曰付 学位授与の要件 学位授与の題目

荒井雅利

奈良県 博士(工学)

博甲第435号 平成13年9月28曰

課程博士(学位規則第4条第1項)

浮遊電極型フラッシュメモリにおけるトンネル酸化膜への窒素導入効 果に関する研究

長谷川誠一(自然科学研究科・教授)

清水立生(工学部・教授)畑朋延(工学部・教授)

森本章治(工学部・教授)猪熊孝夫(工学部・助教授)

論文審査委員(主査)

論文審査委員(副査)

学位論文要

Abstracts

Inthispaperlacomprehcnsivestudyofnitridationofflashtunneloxidchasbeen investigated・

Thennallyoxynitridedtunneloxidesuccessfilllysupprcssesgatedisturbancewith positivebias,whileitcnhancesgatedisturbanccwithnegativebias・Furthcr,thegate disturbancewithnegativebiaswasdegradedwiththeincreaseofoxynitridationtemperature、

TheauthorproposesfOllowing‘Dual-quality-1aycrmodcl,,whichcanexplainthedegradation Apoor-qualitylayercomparedwithbaseoxideisconcurrentlyfonnedattheregionwhere nitrogenatomsdonotexistduringnitridationBecauseofthelocalizedbandmodulationatthe

surfaceofoxynitridedtunneloxideduetotheholetrappingintopoor-qualitylayeLthegate disturbancewithncgativcbiasisenhancedbythennaloxynitridation

ForESRanalysis,thennaloxynitridationfOmsE'precursor(03=Si-Si雲03),whichis capableoftrappingholes,duetoanout-diffUsionofoxygenatomscausedbythehigher

processtemperature・Wefirmlybelieveitistheoriginofpoor-qualitylayer・

RemoteplaslnanitridationwasdemonstratedfOrflashtunncloxidcinordertoimprove thcgatedisturbancewithnegativebias・RPNsuccessfullyimproveditduetothesuppression

ofholetrappingatthesurfaccoftunneloxide・TheauthorrecommendsRPNfOrflashtunnel oxide,particularlythecombinationofthemalnitridationandRPN.

-51-

(3)

L序論

フラッシュメモリは1984年に舛岡らによって提案された不揮発性半導体メモリで、その使いやすさ、集 積度、経済性の追求の結果生まれてきたものである。フラッシュメモリは、電圧を制御するコントロールゲー トと、電荷を蓄積する電気的に絶縁されたフローティングゲートと、ソースバレイン拡散層を有し、トンネル 酸化膜を介したフローテイングゲートへの電荷(主として電子)の出し入れによって情報の記'臆を行ってい る。本研究の目的は、トンネル酸化膜の窒化によりその膜質改善を行うことである。トンネル膜として最も適

した窒化方法について電気特性と構造解析を基に議論する。

2m熱酸窒化トンネル膜特性と発見された課題

[の一の←。]昏一の巨巴巨一E◎三』gEooのの■①三×。

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FE具⑩EC]⑩]臣。一一⑩』←臣①oEooE①句。』]一二 熱酸窒化はCMOSFETで一般的に用 いられている一般的な技術である。ここで は、窒化ガスに、比較的低温で酸窒化が 可能である-酸化窒素(NO)と、比較的 高温での処理が必要となる-酸化二窒素 (N20)を用い、その特性を比較した。熱酸 窒化の場合、窒素は図1に示すように基 板とトンネル膜の界面に偏析する。

図2は正孔捕獲量のゲート電圧極性依 存である。正孔捕獲量はゲート極`性に大 きく依存している。ゲート電圧が負の場合、

N20酸窒化、NO酸窒化ともに酸窒化量の 増加に伴い正孔捕獲量は大きく減少して いる。一方、ゲート電圧が正の場合、正孔 捕獲量は酸窒化量の増加に伴い明らか

に増加している。

ゲートデイスターブにおいても図3に示 すようにゲート電圧極性依存が見られて いる。-Vgのゲートディスターブの場合、

窒化量の増加に伴いディスターブ特性が 劣化している。+vgのゲートデイスターブ の場合、窒化量の増加に伴いディスター ブ特性が大きく改善している。

Oxygen-レ グゲクや▲■ムグ、 ̄ご戸や ̄、 ̄~-し、~、

SiO25nm+N203nm

Nitr:222 Nitr:222

;縦JiMWi

;縦JiMWi 20

51015

Depth【nm】

図1熱酸窒化をしたトンネル膜中の窒素SIMS プロファイル

200

戸E]ロEgg』トの一.エ

150

100

50

SiO28nmSIO27nmSIO25nm

+N201nm+N203nm NitridationConditions

図2正孔捕獲量の酸窒化条件依存性

-52-

(4)

0.6

0.5

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0.3

0.2

~● ̄SiO28nm

+SiO27nm+N201nm

ヨトSiO25nm+N203nm 0.1

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StressTime[s】

103 102

101 100 101

StressTimeに]

102

(a)・Vg (b)+Vg

図3熱酸窒化トンネル膜を適用したフラッシュメモリのゲートディスターブ特`性

著者は、図4に示すDual-qualitylayerモデルを新たに提案する。窒素は基板界面付近に分布するた め、基板界面付近のトンネル膜質は向上する。しかしながら、窒素が分布していない領域においては、む しろ通常の酸化膜より膜質が劣化していると考えることにより、全ての結果が説明できる。

ゲートから電子を注入する場合、衝突電離によって基板に生成された正孔は、ゲート電圧に弓|かれトン ネル膜中に基板側から注入される。正孔の大部分は、その重い有効質量により基板との界面付近に捕獲 されるため、窒化されている場合は正孔の捕獲が抑制されることになる。逆に、基板から電子を注入する 場合、正孔がトンネル膜中にゲート側から注入される。従って、酸窒化されている場合は膜質劣化層に正 孔が注入されるため、通常の酸化膜より正孔捕獲が増加する。

正孔がトンネル膜に捕獲されると、正孔によりバンド、が窪む。ゲート電極側に正孔捕獲が存在する場合、

ゲートにマイナスを印加すると、ホールによるバンドの落ち込みを介して電子が漏れやすくなり、-Vgのゲ ートディスターブが劣化する。

以上のように、窒化されたトンネル酸化膜はこれまで報告されていたような良好な特性ばかりではなく、

+vgの正孔捕獲や-vgのゲートデイスターブにおいては通常の酸化膜より特性が劣化することが新たに発 見された。フラッシュメモリとしては極めて深刻な課題であり、何らかの改善策を施さないことには熱酸窒化 のトンネル膜への適用は困難である。

-53-

(5)

皿 図

High-QuaIityLayer Poor-QuaIityLayer

SOC

【】、P strate

High-QualityLayer Poor-QualityLayer 図4Dual-qualitylayerモデルの概念図

3.リモートプラズマ窒化のトンネル膜への応用

T…1,,竈'lhlii1l:iii(j{篝'》

RPMRemotePlasmaNitridation)をフ ラッシュメモリのトンネル膜へ適用し、そ の有効性を評価した。①低温処理が可 能であるため、膜質劣化層が形成され にくいと推測される②膜表面側が窒化 されるので、-Vgのディスターブ特性の 改善が期待できる③基板界面への影 響が少ないため、高濃度の窒素が拡散 可能である④熱酸窒化との組み合わせ により、さらなる膜質改善が期待できる ためである。

RPNにより、窒素は図5のようにトンネ ル膜表面側に分布する。RPNは600℃

の低温で処理されるが、トンネル膜表面 側が確実に窒化されることがXPSにより 確認された。

Substrate

[◎の辺巴。]言一の臣の←E-Eolご呂巨。。①の

【9口E◎一口]E◎』制』←EQoEooE①国。』一一Z

10

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10

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10

51015

Depth【nm】

20

図5RPNをしたトンネル膜中の窒素SIMS プロファイル

-54-

(6)

正孔捕獲量は、図6に示すように熱酸窒化 と逆のゲート極性依存性が見られた。 ̄vgの 場合、衝突電離により生成した正孔はゲート 電界に引かれ基板界面側に捕獲されるため、

ゲート側に窒素の大半が分布するRPN(#PN)

では、正孔捕獲抑制に効果がない。一方、

+Vgの場合、RPNにより正孔捕獲量は明らか に減少した。熱酸窒化にRPNの処理を加え た場合(#NO&PN)、熱酸窒化のみ(#NO)と比 較して正孔捕獲量が減少した。従来のSiO2

300

戸E]pE&■』』oloエ

毛×し~」」一コし1用q冥呂ニノW1ノBXI2シレノ-.1人[:オミvlolLノ2

#SIO2#PN#NO#NO&PN (#SiO2)と比較しても正孔捕獲が抑制された。 TunnelFiIm

RPNはNO酸窒化で生じたI莫質劣化層の膜 図6正孔捕獲量の酸窒化条件依存性 質改善に有効である。

ゲートディスターブ特性も正孔捕獲と同様、

図7に示すように熱酸窒化と逆のゲート極性依存性が見られた。+Vgの場合、NO酸窒化、RPN両者共に デイスターブ特,性が大きく改善した。特に#NO&PNと#NOは、#SiO2と比較して極めて大きくデイスターブ特 性が改善した。-Vgの場合、#SiO2と比較して#NOは僅かにデイスターブ特性が劣化しているが、RPNを行 った#pNと#NO&pNにおいては、明らかにデイスターブ特性が#SiO2と比較して改善されている。NO酸窒 化により形成された膜質劣化層は、RPNにより膜質が改善されている様子が示唆される。結果として

#NO&PNは両ゲート極性のデイスターブ特性が改善し、理想的なデバイス特性を示した。

0 250

000050

2戸E『+E]シ可

=-1

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50

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10

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-10

DisturbanceTimeIS】

(a)・Vg

12

1010

DisturbanceTime【s】

(b)+Vg

10 10

図7熱酸窒化トンネル膜を適用したフラッシュメモリのゲートディスターブ特性

-55-

(7)

Dual-qualitylayerモデルを基にした考察によると、図8に示されるように、NO酸窒化のみで形成される

#NOにおいては、基板界面側に膜質改善層、コントロールゲート側に膜質劣化層が形成される。#PNに おいては、コントロールゲート側に膜質改善層が形成され、窒素が拡散されていない領域については、窒 化温度が低いためピュアSiO2と同等の膜質がそのまま維持されている。#NO&PNにおいては、基板界面 側とコントロールゲート側両方に膜質改善層が形成されるが、窒素が分布していない膜中央近傍におい てはNO酸窒化時に形成された膜質劣化層がそのまま残存していると考えられる。膜質改善層への正孔 捕獲はピュアSiO2より減少し、膜質劣化層への正孔捕獲はピュアSiO2より増加すると考えると、得られた特

`性の説明が可能である。

-V9

#NO

#PN

#NO&PN

鱗雲霞灘 灘High-QualityLayer

F;iii!:iぷT:j『

'1h劃〃rPoor-QualityLayer

図8正孔捕獲とデイスターブ特`性改善の様子を示すエネルギーバンド模式図

4.構造解析

ESRとFTIRによりトンネル膜の構造解析を行った。図9はESRスペクトルを示す。#SiO2では、Boセンタ ー(g=2.0059)のみが見られる。#NOにおいてはB,センターが急激に減少し、左右非対称のスペクトルに

-56-

(8)

汁Oバラび・印。片、、1s蓮暘一汁撫高瓠団一、貢難畉き計鵬洲戟升訴小冊-,訴妙r計計3片蘇菫胱昔び・ 肘計器塗詳S詞囲戸宣gソS片、町I強印。片YW1強戸、両三一、雪計一、鵲肝rベラび汁びぷぴび・n S難計片片r町is詞囲一艸呂①ひし敏一艸井ラご苗『爲房二『○mのご片r、-ひ以胤二件印・片、町1-,前ラバぐ 〕u、Sl雪効鵬洲一八醐懲映昔計井識酎仙抑バラび・苓z-n誌ラバー渋、Ⅱ四・Cs②ヰ閂一、型計汁時、、I洩 紐昔バラび。、昔効。酎引ヰョンー艸紐計S什佃小一件O岬SFバラ労う強/、一囎一、諭恥rバラ付ラu]1片井識 S鵬洲甥輔・〆厄、Sヨ詩一屏蔑ぴび・ 芸○宅Z-n誌ラバ一件/一艸○仰ご作、Ⅱ国.s云呼輔o〆久、て三四紐琶ベラが。蝋雌一艸川S〆入、てで叶回 片疋、Iaぴび什鮒抑バラび・he別几、てこ艸“芸○宅z-n誌ラバ鵲肝rバラびS-n津r/毛z-n誌ラバ ー艸出昔バラ付ラS臥〆Zo隠鵬{氏-,片○八調丹肪昔瀞嵌S什州抑パ片ラ。r弓r鰍己読/芸○臥一艸蔚3パテ 胱乞厄I、rご皿渕バラ片ラ・端雌一艸川S訶囲叶厘「S片J-n蘇菫rバラび・回向、、’一片「乳一、引肚きび 片J-n碍馴脇剖巨n斗I)三W封繍胱き計井鑑-,#0ぺぎびべ団の三、莎杏胱琶が。

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(9)

03=Si ̄Si=03+け→03=Si↑+~Si=03

#NOにおいては、高温の熱処理によって酸素が外方拡散し、ホールが捕獲される前の状態(E,

precursor)ができる。この状態では正孔が捕獲されていないので、E,センターはスペクトルとして現れない。

この状態にRPNを行うと、RPNはプラズマによるラジカル窒化であるため、正孔が容易にE,precursorに 捕獲されESRに検知されるE'センターになる。

以上のことから、熱酸窒化により形成される膜質劣化層の起源は、高温処理で酸素が外方拡散すること によるE,precursor形成と推測される。EjPrecursorは正孔の捕獲サイトとして働くため、膜質劣化層にお いては正孔捕獲が増加する。

SIMSからは窒化による水素の離脱が確認されていたが、FTIRによるとSi-HやSi-OH結合の窒化条件 依存性は見られなかった。また、機械的なストレスによるSi-O-Si結合角の変化は、透過法、ATR法両者 で明確な窒化条件依存性は見られなかった。

5.総括

熱酸窒化においてトンネル膜表面側への正孔捕獲が従来の酸化膜より増加し、-Vgのゲートデイス ターブ特性が劣化するという課題が新たに発見された。

高温の酸窒化により、窒素が存在しない領域においては従来の酸化膜より膜質が劣化した領域が 形成されるというDual-qualitylayerモデルを新たに提案し、その原因を明確に説明した。

RPNはトンネル膜表面側を低温で窒化可能であるため、熱酸窒化のように膜質劣化層を形成しな いことが明らかになった。

RPNは低温処理でも十分窒化されており、-Vgのゲートディスターブが改善された。

結果としてNO酸窒化とRPNの組み合わせは両ゲート極,性のデイスターブ特性が改善し、最も理想 的なデバイス特性を示した。

総合的に、RPNはフラッシュトンネル膜の信頼性改善に対して極めて有効な手段であることが明ら かになった。特にNO酸窒化とRPNの組み合わせが推奨される。

ESR分析から、熱酸窒化によりEjPrecursorが形成されることが明確に示された。

RPN処理をしたサンプルにおいては、特有のスピンが観測された。

SIMSからは窒化による水素の離脱が確認されていたが、FTIRによるとSi-HやSi-OH結合の窒化 条件依存性は見られなかった。

●●

●●

-58-

(10)

学位論文審査結果の要旨

各審査委員によって,提出学位論文に関して個別に審査を行うと共に,平成13年8月6日に第1回論文審 査委員会を開催し,また,平成13年8月6日に開催した口頭発表の結果を踏まえて,同日に第2回論文審査 委員会を開催して協議を行った。その結果,以下のように判定した。

不揮発性半導体メモリとしてのフラッシュメモリは,その使いやすさ,集積度,経済性の観点から極めて 有用である。フラッシュメモリは,電圧を制御するコントロールゲート,電気的に絶縁された記録媒体とな るフローテイングゲート,トンネル絶縁体膜,およびソース/ドレイン拡散層を有し,トンネル絶縁体膜を 介した,フローテイングゲートへの電荷の蓄積・放出によりメモリ作用を得ている。本研究では,トンネル 絶縁体膜(Si酸化膜)におけるリーク電流の減少を目的として,Si酸化膜の窒化により,その膜質が改善さ

れることを示し,また窒化の方法について検討を行っている。

Si酸化膜の窒化方法として,熱窒化法およびプラズマ窒化法で得られた酸窒化膜の特徴を示し,またその 特性の違いをもたらす原因について調べている。これらの結果を基に,熱窒化およびプラズマ窒化の両用が トンネル絶縁体膜の改質に極めて有用であることを示した。以上の研究成果は,フラッシュメモリのみでな く,Si酸化窒化膜の製法およびその応用に関する重要な指針を与える。よって,本論文は博士(工学)の学

位に値するものと判断する。

-59-

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