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「北の道ナビ」における経路情報提供の効果 *

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Academic year: 2022

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図-1 「北の道ナビ」トップページ (http://n-rd.jp/)

「北の道ナビ」における経路情報提供の効果 *

Effects of the Provision of Route Information Found in "Northern Road Navi"*

松島哲郎**・松田泰明**・加治屋安彦***・緒方聡****

By Tetsurou MATSUSHIMA**・Yasuaki MATSUDA**・Yasuhiko KAJIYA***・Satoshi OGATA****

1.はじめに

近年、全国的に自家用車やレンタカーによる自動車 観光の比率が増加しつつある。特に北海道ではその傾向 が顕著1)であり、そのため地域性を反映した道路情報の ニーズが高い。しかし、北海道は本州に比較して都市間 距離が約 2 倍もあり、その経路の多くに峠が存在すると いう地理的条件に加え、積雪寒冷地という気象的悪条件 も重なる。

また、北海道では、道外ドライバーが感覚的に移動 時間を短く見積もり、無理な行程で運転する事例があり、

経路に沿った道路情報や移動見込時間情報などを適切に 提供することは、安全性の向上に寄与できると考えられ る。本稿では、「北の道ナビ」で行っている、経路検索結 果にあわせた道路情報提供の効果について報告する。

 

2.「北の道ナビ」について

(1)Web サイトの概要

「北の道ナビ(図-1)」は、北海道内の主要な道路管理 者である北海道開発局、北海道、札幌市、NEXCO 東日本 北海道支社などの監修のもと、当研究所が運営している 北海道の道路関連情報のポータルサイトであり、平成 11 年 7 月に開設したものである。

各道路管理者が提供する道路情報へのリンクはもと より、道路地図や峠情報、距離と時間検索、カントリー サインなどの情報提供を行い、道内外のドライバーを中 心に幅広く利用されている。

(2)Web サイトのアクセス数

Web サイトのアクセス数は年々増加し、平成 19 年度 の年間アクセス数は約 140 万件(日平均 3,831 件)となり、

中でも距離と時間検索は年間約 309 万回(日平均 8,474 回)使用されるまでになっている。観光シーズンや冬期 の厳しい気象条件時などを中心に数多くのアクセスがあ り、ゴールデンウイークや台風上陸時などは 1 日に 1 万 件近くのアクセス件数がある。

さらに、平成 19 年 10 月 24 日には開設以来の累計ア クセス数が 600 万件に達するまでとなった。

*キーワーズ:インターネット、道路情報、北の道ナビ

**正員、(独)土木研究所 寒地土木研究所

***正員、工学博士、(独)土木研究所 寒地土木研究所

****非会員、(独)土木研究所 寒地土木研究所 (北海道札幌市豊平区平岸1条3丁目1番34号、

TEL:011-841-1746、FAX:011-841-9747)

帯広市西4条南8丁目、

   TEL:0155-24-4121、FAX0155-22-4294)

2.日勝峠の概要   

                           

(3)「距離と時間検索」機能の概要

「北の道ナビ」は、出発地と目的地を指定すると距離 や所要時間、経路などを表示する「距離と時間検索」機能 も提供している。この機能では、距離や時間以外にも、

経路上の「峠の情報」、「道の駅の情報」、「市町村の情報」、

「沿道景観情報」と、目的地周辺の観光情報まで提供でき るようにしており、ピンポイントの情報提供で利用者が 適切に旅行計画を考えられるように構成している。

平成 14 年に機能を公開した当初は、検索の起終点が 道内の主要市町村 30 都市のみであったが、平成 16 年 4 月より道内全 212 市町村(平成 16 年当時、現在 180 市町 村)から検索を可能とする機能を追加した。

さらに、ユーザーアンケートの結果などを反映させ、

平成 18 年 9 月に経由地の指定も可能とする機能を追加 した。このようにユーザーの声を取り入れ機能改善を行 ったこともあり検索回数は年々増加している。7 月~9 月のドライブ観光時期には、1 日に最大約 17,000 回も 利用されており、平成 19 年度の検索回数は、1 日平均 8,474 回までになった。

(2)

3.距離と時間検索についてのアンケート調査

(1)調査の目的

調査は、「北の道ナビ」で提供している「距離と時間検 索」機能について、以下の 2 点を明らかにすることを目 的として行った。

1)「距離と時間検索」機能がドライブ計画に与える影 響や効果の把握。

2)今後の改善のためのユーザーニーズの把握。

(2)調査の概要

調査は、「北の道ナビ」の Web サイトを活用し、平成 19 年 9 月 14 日から 10 月 21 日までの 38 日間、Web アン ケートを行い、有効回答 552 票を得た。アンケート概要 及び回答者の属性は、表-1に示すとおりである。

(3)調査の結果

a)「距離と時間検索」機能の利用状況

現在の「距離と時間検索」機能が、どのように利用さ れているか、使用頻度や目的などを調査した。その結果 を以下に示す。

                                                           

1)使用頻度は、「月に数回程度」が最も多く 44%、運転 目的は「観光・旅行・レジャー」が最も多く 82%であっ た(図-2)。 

2)検索を行う目的が「所要時間を知るため」という回 答が最も多く 41%であり、次に「距離を知るため」が 31%であった(図-3)。

3)ドライブ計画時に検討することは、「最短距離・最 小時間の比較検討」が最も多く 33%であった(図-3)。 

従って、この結果から、ドライブ観光などを計画す る際に多く利用されているといえる。

b)「距離と時間検索」機能の効果

次に、「距離と時間検索」機能の効果について調査し た結果を以下に示す。

9 ドライブの計画時は「目的地までの距離や時間を 調べる時間が短縮できた」が最も多く 64%、ドラ イブ時には「時間に余裕をもってドライブができ た」が最も多く 55%であった(図-4)。

9 「経由地や立ち寄りポイントが増加した」も、45%

と多く回答が寄せられた(図-4)。 

これは、移動計画の効率性や走行の安全性・安心感の 向上とともに、立ち寄り箇所の増加による地域振興支援 などの効果も期待できることを示唆している。

さらに、ドライブ計画を立てる際に、「距離と時間検 索」機能を利用する以前と利用後で、それぞれどのよう に「距離」や「所要時間」を把握していたかを調査した結果 を以下に示す。

1)「距離と時間検索」機能を知る以前は、「今までに行 った経験がなく地図などを見て直感で」と「市販の 道路地図を用いて」という回答が一番多く共に 27%

であった(図-5)。 

                                   

月に 数回程度

44%

年に 数回程度

31%

週に 数回程度

13%

今回が 初めて 10%

毎日 1%

≪使用頻度≫ N=552

観光・旅行 レジャー

82%

仕事など 14%

遠方への 買い物など

2%

その他 2%

≪運転目的≫

N=552

所要時間を 知るため

41%

その他 2%

ルートを 知るため 26%

距離を 知るため

31%

≪使用目的≫ N=552

最短距離・

最小時間 の比較

検討 33%

経由地の 検討 26%

正確な ドライブ スケジュール

の検討 20%

高速道路の 利用・非利用 の検討

18%

その他 3%

≪計画時に 検討すること≫

N=552

表-1 アンケートの概要と回答者属性

アンケート実施方法 「北の道ナビ」Web上で実施 アンケート開始日 平成19年09月14日 アンケート終了日 平成19年10月21日

実施日数 38日間

アンケート設問数 22問

有効回答数 552票(うち道内在住者387票)

性別 男性71% 女性17% 無回答12%

年齢 最頻値30代34% 40代22%

運転経験最頻値 11~20年 31%

運転頻度最頻値 ほぼ毎日 56%

図-3 「距離と時間検索」機能の使用目的とドライブ計画時の検討項目 図-2 「距離と時間検索」機能の使用頻度と運転目的

図-4 「距離と時間検索」機能の効果

12%

14%

27%

29%

30%

31%

45%

55%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

走行経費(ガソリン代など)が節約できた 高速道路を利用しなくて済み、交通費が節約できた 時間に遅れずに目的地に到着することができた 適切な休憩をとることができた 旅行時間が短縮できた 行動範囲が広がった 経由地や立ち寄りポイントが増加した 時間に余裕をもってドライブができた

N=552(複数回答)

ドライブ時

27%

46%

47%

47%

53%

64%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

新たなルートを発見できた 到着見込時間の検討に活用できた 旅行時間の確認に活用できた(旅行時間の見直し含む)

出発時間の検討に活用できた ルート比較による、最適ルートの検討に活用できた 目的地までの距離や時間を調べる時間が短縮できた

N=552(複数回答)

計画時

(3)

                 

2)機能を知る以前は、「今までに行った経験があり自 身の経験から」が 20%であったが、「距離と時間検 索」機能を知った後では「北の道ナビ「距離と時間検 索」を用いて」が 34%であった(図-5)。

3)検索結果で表示された「所要時間」を、実際に走行 した際の「所要時間」と比較した場合の差違を調査 した結果、「実際の所要時間のほうが短い」が最も 多く 36%であった(図-6)。

4)その差違の内訳は、実際の「所要時間」の方が、約 1 割~2 割程度短いという回答が 32%と最も多く、次 いで「実際の所要時間とほぼ同じ」という回答が 30%

であった。

3)及び 4)について、検索結果の精度も含めて、この 機能の利便性が高いことを示している。また、鈴木ら2) の研究で、提供する所要時間情報に対する許容誤差範囲 を示しているが、それによると、提供された所要時間情 報より、実際の「所要時間」が遅れた場合に対する評価の ほうが厳しいことが示されているので、「距離と時間検 索」機能の「所要時間」については、概ね道路利用者に受 け入れられているものと思われる。

以上のことから、今まで「所要時間」などの把握は直感 や過去の経験など、多くは個人の主観に頼っていたもの が、「距離と時間検索」を用いることにより、定量的かつ 客観的な把握できようになった。これは、図-7 に示す ように、ドライブ計画時の「距離」や「所要時間」などの把 握の「精度が向上した」という回答が 75%と最も多いこと からも明らかである。

c)「距離と時間検索」機能の価値

所要時間をより正確に把握することによる移動計画 の最適化により、便益が発生すると考えられる。そこで

「距離と時間検索」を使用する場合の利用価値について、

"利用料金"に置き換えて調査した結果が、図-8 である。

この結果から、1 度のドライブ計画を作成するにあたっ ての支払い意志額の平均値が約 206 円であった。

これは、1 回のドライブ計画を作成するにあたり、検 索を 5 回行うと想定した場合、平成 19 年の「距離と時間 検索」の年間検索実行回数約 309 万回から、年間の総利 用価値を推計すると約 1 億 2 千万円と試算することがで きる。

                                           

4.北の道ナビ「距離と時間検索」の高度化

前述したアンケート調査結果などを踏まえ、「距離と 時間検索」では、道路用 Web 記述言語 RWML(Road Web Markup Language)3)を活用して検索機能の高度化を行っ た。検索結果をよりわかりやすくすると同時に、情報提 供の内容について、更なる充実を図った。

1)検索の入力枠を縦型にし、わかりやすいマップを すぐ右側配置して、出発地・目的地・経由地の指定 を容易にする。また、経由地・検索条件等を変えた 再検索も簡単に行えるようにする。

2)異常気象時などの経路検討を容易にするため、検 索した経路の国道上で実施している「通行止め」情 報を表示する。

3)走りやすさや気象状況を考慮した経路検討を容易 にするため、検索した経路の「走りやすさ」情報や、

経路上の「峠画像」情報一覧を表示する。

4)ドライブ観光の検討を容易にするため、通過する 各道の駅からの「道の駅からのお知らせ」情報や「景 観ポイント」、「市町村」情報を表示する。

これらを基本方針とし、出発地・目的地の入力画面の 改善を行うと同時に検索結果の表示方法も検討しつつ改 善を行った。検索結果の一例を、図-9に示す。 

 

5.まとめ

本稿では「距離と時間検索」の効果などについて考察 した。以下に考察結果をまとめる。

図-5 「距離」や「所要時間」の把握方法の変化

4%

10%

3%

6%

5%

13%

16%

9%

34%

0%

0%

8%

8%

10%

20%

27%

27%

0%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40%

その他 北の道ナビ「ドライブマップ」を用いて

市販の観光情報誌を用いて 他サイトで調べる 周りの人に聞いて 自身の経験から(今までに行った経験がある)

市販の道路地図を用いて 地図などを見て直感で(今までに行った経験がない)

北の道ナビ「距離と時間検索」を用いて

距離と時間検索の利用以前 距離と時間検索の利用後

N=552(複数回答)

実際の所要 時間のほう が短い

36%

実際の所要時 間とほぼ同じ 実際の 30%

ほうが長い 10%

わからない 無回答

24%

N=552

図-6 検索の結果と実際に 走行した場合の

「所要時間」の差違

図-7 距離と時間検索 による「所要時間」の 把握精度向上

精度が 高くなった

75%

変わらない 16%

わからない 7%

無回答 2%

N=552

11% 10% 14%

31%

15% 14%

3% 2%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40% N=552

平均支払意志額206

図-8 「距離と時間検索」機能の利用価値

(4)

       

1)「距離と時間検索」の利用頻度は「月に数回程度」が 最も多く 44%、運転目的は「観光・旅行・レジャー」が 最も多く 82%であり、ドライブ観光などを計画する 際に利用されていることが明らかとなった。

2)「距離と時間検索」の検索結果と実際の比較におい ては、実際の「所要時間」の方が約 1 割~2 割程度短 いという回答が 32%と最も多かった。それらも含め、

検索結果の精度は概ね妥当であり、利便性も高い ことから多くの道路利用者に利用されていること が明らかになった。

3)具体的な効果は、ドライブの計画時は「目的地まで の距離や時間を調べる時間が短縮できた」が最も多 く 64%、ドライブ時は「時間に余裕をもってドライ ブできた」が最も多く 55%であった。

4)「所要時間」などの把握は、それまで直感や過去の 経験など、個人の主観に頼っていたものから、定 量的かつ客観的に把握できるようになった。

5)これらの調査結果を踏まえ、北の道ナビ「距離と時 間検索」機能の高度化を行った。

 

6.おわりに

 寒地土木研究所では、北海道開発局をはじめとする、

地域の道路管理者や関係機関と密接に連携し、インター ネットを活用した道路情報提供の取り組みを行っている。

本報で報告した新しい「距離と時間検索」機能は、平 成 20 年 1 月 28 日より暫定版を公開し、4 月 1 日に正式 版へと全面切り替えを行い、検索回数も増加している。

最後に、今回のアンケート調査にご協力いただいた 道路利用者の方々に感謝の意を表するものである。

 

参考文献

1)松田泰明・松山雄馬・加治屋安彦:外国人ドライブ観光を支援 する ITS,第 6 回 ITS シンポジウム 2007,PP.425-430,2007 年 12 月.

2)鈴木忠英・松本幸正:高速道路における提供所要時間に対す る意識と付加的情報の効果,土木学会第 62 回年次学術講演 会講演概要集 CD-ROM,PP.49-50,2007 年 9 月.

3)加治屋安彦・山際祐司・手塚行夫・大島利廣:道路用 Web 記述 言語 RWML の開発,北海道開発土木研究所月報 No.569,

PP.2-8,2000 年 10 月.

       

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図-9 高度化された距離と時間検索結果の一例

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