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定量的検出 第3章 亀裂および剥離欠陥の

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(1)第3章. 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 亀裂および剥離欠陥の 定量的検出. - 34 -.

(2) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 3.1. 緒言. 本章では、第 2 章で開発した SQUID 非破壊検査システムを用いて導電性材料の亀裂や剥離などの孤 立欠陥を検出するための手法を開発した。この手法をそれらの人工孤立欠陥をもつ導電性複合材料に適 用し、検査結果から欠陥の位置と大きさを定量的に検出できる可能を調べるとともに、検出可能な欠陥 の大きさおよび深さに関するシステムの限界を明らかにした。これらの成果についてまとめる。 近年、金属材料に加えて、軽量で比強度、比剛性、靭性にすぐれた先進複合材料が建築物や航空機な どの構造物に利用されている[1]。特に航空宇宙分野では炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や炭素繊 維強化複合材料(C/C)などの炭素繊維系複合材料が、航空機の翼やロケットノズル、ブレーキディス クなどの構造物の部品材料として使用されるようになってきた[2]。これらの導電性複合材料の信頼性を 高めるためには非破壊検査技術が必須である。このため金属材料および導電性複合材料の欠陥を検出可 能な非破壊検査技術の開発が行われてきた[1], [4]。しかしながら炭素繊維系複合材料は金属材料と比較 して、X 線に対する抵抗が大きい、超音波を通しにくい、電気抵抗が高いなどの特性をもっており[1], [4]、 金属材料に適用してきた X 線検査、超音波検査、渦電流探傷法などの従来手法の適用が困難な場合が多 い。例えば繊維を編み込んだ積層構造の複合材料における微小欠陥や表面から 10mm を超える深部の欠 陥などを検出可能な簡便性の高い非破壊検査技術はまだ確立されていない。このため導電性複合材料に 適用可能な、高感度で簡便性の高い新たな非破壊検査技術の開発が強く望まれている。 そこで本章では、第 2 章で開発した SQUID 非破壊検査システムを用いた、金属材料と導電性複合材 料に適用可能な孤立欠陥検出手法の開発を行った。電流注入法を用いた孤立欠陥検出手法を開発し、本 手法を用いて CFRP に作製した微小亀裂、深部亀裂、層間剥離を模擬した人工孤立欠陥の検出を行い、 孤立欠陥検出に関する定量的検出の可能性、およびシステムの検出能限界を調べた。この結果サブ mm 程度の大きさの亀裂、厚板材の表面から約 15mm の深さの亀裂、および 12μm の厚さをもつ層間剥離 の位置と大きさの定量的検出が行えることを実験的に示した。本研究では、サンプルとして複合材料 CFRP を用いたが、開発した手法は金属材料にも同様に適用可能である。しかし金属と複合材料では導 電率が異なるので、金属材料に本手法を適用する場合は、表皮効果による電流減衰が金属材料の方が大 きいこと、電気抵抗は金属材料の方が小さいため電流を誘起しやすいことなどを考慮して、測定に用い る電流の周波数および振幅の最適化を行えばよい。. 3.2. 孤立欠陥の定量的検出手法. 本章で用いた電流注入法と SQUID グラジオメータ用いた非破壊検査手法について説明する。導電性 サンプルに含まれる欠陥を磁気的に検出するために、サンプルに電極を貼り付け直接電流を印加してサ ンプル内に電流の流れを誘起する。欠陥がサンプルに含まれる場合、欠陥による電流の乱れの影響が発 生磁界に現れる。この磁界の磁束密度勾配(dBz/dx もしくは dBz/dy)を SQUID グラジオメータで測 定し、磁束勾配分布から欠陥の影響を欠陥信号として抽出する。SQUID グラジオメータを用いると、 以下に示すように欠陥信号の抽出が容易となる。 板状で数 10〜数 100Hz 程度の電流を流したときに表皮効果を無視できるほど薄く、かつ十分に広い xy 平面をもっているサンプルに y 方向に一様電流を流した場合、サンプルの中心付近に孤立欠陥、例え ば微小な穴が存在した場合、その穴の付近で一様電流に乱れが生じる。このときの電流分布(図3−1. - 35 -.

(3) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. (a))は、欠陥が無い場合の一様な電流分布(図3−1(b))と、穴の場所に一様電流と逆方向の微 小電流が存在する電流分布(図3−1(c))の二つを重ね合わせたものとおよそ等しい。したがって この欠陥を持つサンプルを流れる電流により発生する磁界の、サンプル表面から z 方向に数 mm 離れた xy 平面での磁束密度の z 方向成分 Bz の分布は、図3−1(b)に示す電流により発生する Bz の分布と、 図3−1(c)から発生する Bz の分布を重ね合わせたものとなる。図3−1(b)にしめす点線上で の磁界の Bz の分布をビオサバールの法則を用いて計算により求めると、図3−2(a)に示す青線の ようになる。一方、図3−1(c)の微小電流を電流ダイポールとみなして、ダイポールにより発生す る磁界の Bz の分布を同じ図に示す点線上について計算すると図3−2(b)の青線のようになる。図 3−1(a)での発生磁界の Bz の分布は図3−2(a)と(b)の青線を重ね合わせた分布となる。 一方、図3−2(a)と(b)でそれぞれの Bz の電流注入方向に垂直な x 方向の空間微分 dBz/dx を 計算すると、それぞれの図において赤線で示される分布となる。図3−2(a)に示すように一様電流 により発生する磁界の dBz/dx の分布は、中心付近でおよそ0に近い値のおよそ一様な分布となる。一 方、図3−2(b)の電流ダイポールがつくる磁界の dBz/dx は、穴の真上にピークを持つような分布 となる。したがって図3−1(a)のサンプル上部において、dBz/dx を測定するよう設定した SQUID グラジオメータで平面走査すれば、測定信号に対し欠陥信号抽出のための複雑な処理をする必要なく、 一様磁界勾配中の電流ダイポールによる dBz/dx の変化分から欠陥の検出が可能となる。また欠陥信号 の中心位置から欠陥の中心位置を、欠陥信号の広がりから欠陥の範囲がそれぞれ推定できる。またサン プルの厚さが一定の場合、欠陥が大きいほど図3−1(c)で示す逆向きの電流量が増加するため、欠 陥信号のピーク振幅は欠陥の大きさに比例するものと考えられる。したがって、dB z/dx のピーク強度か ら欠陥の大きさの推定が可能になると考えられる。 なお、図3−2(b)に示すように、サンプルの端付近では一様電流から発生する磁界の Bz および dBz/dx の両者で大きな信号が現れる。この端付近の分布に現れる変化を一般に端効果と呼ぶ[5], [6]。端 の無い半無限の広さの板に一様電流を流せば発生する磁界 Bz もその dBz/dx もあらゆる場所で零になる ため、図3−2(a)でサンプル中央部分の dBz/dx がゼロでないことも、拡張した端効果と考えられ る。特にサンプルの幅が狭いと、端効果により欠陥信号がマスクされる。このような端効果を除去する ため、本研究ではキャンセルプレート(帰還電流パッド)を用いた。サンプルと同じ平面的広さをもち、 欠陥を持たない 0.5mm 厚さの銅板をキャンセルプレートとして用意し、図3−3に示すようにキャン セルプレートの上に絶縁体の薄いシートをはさんで、プレートとサンプルの一端を、導電性の粘着テー プで電気的に導通させる。電流はサンプル表面のもう一端に貼り付けた銅板電極からサンプルに印加さ れ、粘着テープを通過し、プレートを流れてプレートの一端に設けた出力用リード線に流れ込む。サン プルが薄い場合、サンプルを流れる一様電流から発生する磁界をキャンセルプレートの逆向き電流で打 ち消すことができる。これによりサンプル全体に渡り端効果を抑制することができる。プレートをサン プルに貼り付けるのに導電性のカーボン製、もしくは銀製の粘着テープを用いた。電流リード線は望ま しくない磁界の発生と環境磁界がリード線と鎖交することによる SN の低下を防ぐために、行きと帰り のリード線をツイストペアにした。 本研究ではサンプル板厚が薄い場合このキャンセルプレートを用いている。サンプルが数 mm 以上の 厚さの場合、キャンセルプレートによる一様磁界の打消しの効果がほとんど期待できなくなるため、厚 板ではキャンセルプレートを用いず、銅板電極をサンプルの両端に貼り付けてサンプルを一方向電流が 流れるようにした。いずれの場合も一様な電流をサンプルに流すため、図3−3に示すように電極はサ. - 36 -.

(4) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. ンプルの端から端までを全てカバーするように貼り付けた。 本研究では、NISSHIN EM 社のシルバー両面粘着シート、もしくはカーボン両面粘着シートを電極 やキャンセルプレートをサンプルに貼り付けるために用いた。. 一様電流注入. 一様電流. 逆向きの電流ダイポール. =. y. +. 欠陥. x. (b). (a). 図3−1. (c). 板状サンプルに一方向一様電流を印加したときの電流分布 (a)は(b)と(c)を重ね合わせたものとおよそ等しい。. Bz or dBz/dx (arb.). Bz dBz/dx. Specimen. x (arb.). (a)図3−1(b)に対応. Bz or dBz/dx [arb.]. Bz dBz/dx. Defect. x [arb.]. (b)図3−1(c)に対応 図3−2. 図3−1に示す点線上の発生磁界分布の Bz、およびその空間勾配 dBz/dx の分布. - 37 -.

(5) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 3.3. 微小亀裂への適用. ここでは SQUID 非破壊検査システムと電流注入法を用いて、厚さ 2mm の板状 CFRP に開けた直径 0.8mm〜3mm の貫通穴の検出を行った結果について報告する。サンプルが薄いためここではキャンセ ルプレートを用いた。穴状欠陥を持つサンプルに電流を流して平面走査し、注入電流方向に垂直な方向 の磁界の空間勾配をグラジオメータで測定した。測定した磁界勾配平面分布中の欠陥信号から、本手法 により直径 0.8mmφの穴状欠陥の位置の検出ができた。また、穴の大きさに比例して信号のピークの 強度が増加することが分かった。この穴の体積と欠陥信号強度の関係から、欠陥の位置だけでなく大き さの定量的検出ができることを示す。 3.3.1. サンプル. 厚さ 2mm の板状 CFRP サンプルを用意して、微小亀裂欠陥として直径 0.8mm から 3mm までの貫 通穴を作製した。サンプル形状の概略図を図3−4に示す。サンプルの CFRP は、一本が 70μm ほど の太さの炭素繊維を 90°の交差角度で織り合わせて一層の厚さ 200μm 程度の炭素繊維の編み込みを 作製し、それを約 10 層積層して炭素繊維の隙間をプラスチック樹脂で埋めた構成になっている。これ をクロス編み CFRP と呼ぶ。このサンプルにおける炭素繊維の含有率(パッキングファクター)はおよ そ 0.6 である。 3.3.2. 測定. 欠陥検査手法として、電流注入法とキャンセルプレートテクニックを適用した。ここでは導電性のカ ーボン製粘着テープを用いて、図3−4に示す y 方向に一様電流が流れるように表面の一端に電極を、 サンプル裏側の反対側の一端にキャンセルプレートを貼り付けた。振幅 30mA で周波数 120Hz の正弦 波電流をサンプルに印加して、HTS-SQUID グラジオメータを用いてリフトオフ 5mm、測定間隔は x、 y 方向ともに 2mm で平面走査を行った。グラジオメータは dBz/dx を測定するように設定した。 3.3.3. 測定結果. 測定結果の一例として、直径 2mm と 3mm の穴の付近の広さ 300mm×30mm を平面走査した結果 を図3−5に示す。同図にそれぞれの穴の位置を一緒に示している。それぞれ二つの穴の直上に磁気欠 陥信号ピークが現れた。図の両端に表れている大きなピークは端効果であり、キャンセルプレートによ りこの効果は端から数 cm の範囲のみに抑えることができた 。SQUID グラジオメータ に含まれる SQUID リングにより、それぞれ欠陥信号ピークの両側に Bz 成分に比例した小さなピークが現れている が、この成分は差分型ピックアップコイルによる dBz/dx に比例した成分よりずっと小さい。またピッ クアップコイルによる信号は欠陥の真上に現れるが、SQUID リングによる信号は欠陥の両脇に現れる ため dBz/dx 成分にあまり影響を及ぼさないことが分かった。欠陥信号のピーク位置から穴の中心位置 の推定ができることが分かった。 本手法により直径 0.8mm〜3mm の穴による欠陥信号を全て検出することができた。欠陥信号ピーク - 38 -.

(6) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. の強度は穴の直径により異なっていた。穴の直径と穴による欠陥信号強度の関係を図3−6に示す。図 のオレンジ色の線で示すように、直径 3mm〜1.5mm までの穴による欠陥信号のピークの強度は、直径 の二乗、すなわち穴の平面的広さにおよそ比例していた。板材の厚さを考慮すると欠陥信号の大きさは、 穴の体積に比例するものと考えられる。一方直径 0.8mm の穴による欠陥信号のピーク強度は直径の二 乗のラインよりも 2 倍程度大きな値となっていた。 3.3.4. 考察. ここでは、図3−6に示すように直径 0.8mm の穴による欠陥信号のピーク強度が、直径の二乗に比 例したラインからずれている理由について考察する。図3−1に示す電流の重ね合わせの原理から考え ると、欠陥による信号ピーク強度は欠陥の広さに比例するものと考えられる。そこで板状アルミニウム に直径 1mm から 5mm の穴状欠陥を設けて同様の測定実験を行ったところ、直径 1mm〜5mm の穴に よる信号強度は、穴の直径の 2 乗におよそ比例していた[7]。したがって、CFRP の直径 0.8mm の穴が 直径の二乗に比例したラインからずれている原因は、CFRP とアルミニウムの材料構造の違いにあると 推測される。 CFRP の場合電流が流れるのは炭素繊維だけであるので、図3−7に模式的に示すように欠陥の周囲 そのものより大きな迂回通路を電流が通過すると推測される。このため欠陥信号は直径の二乗に比例し たラインよりも大きな値を持っていると考えられる。この迂回路面積と実際の穴の面積の比は、穴が小 さくなるほど増加し、穴が大きくなるほど減少すると考えられる。したがって穴が大きくなるに従い直 径 2 乗に比例したラインに漸近し、穴が小さくなるにしたがって図3−6の赤い曲線のようにオレンジ のラインから外れていくと考えられる。この繊維断線にともなう電流迂回路の増加により、0.8mmφの 穴では信号強度は面積 2 乗に比例する直線の値の約 2 倍の値が測定されたものと考えられる。なお欠陥 が繊維をどのように断線するかにより迂回路面積は異なるため、赤い曲線は誤差範囲もつと考えられる。 図3−6のシステムノイズから考慮すると、本システムによる微小欠陥検出限界は、厚さ 2mm の CFRP に関しては直径約 0.5〜0.6mm 程度の穴に相当する大きさの欠陥になると推測される。 つぎに本手法による測定データをもとに穴状欠陥の大きさを推定するための方法について考察を行 う。サンプルが薄い板材で表皮効果がほぼ無視できる場合、直径数 mm 以下の微小欠陥による磁気欠陥 信号ピークの振幅を決定する因子には、サンプルを流れる電流の電流密度、サンプルの厚さ、欠陥の面 積、リフトオフの 4 つがある。本実験における信号強度を関数 f、電流密度を J、厚さを t、面積を穴の 直径 D、欠陥とセンサ間距離をリフトオフ l で表すと、f は J と t と D2 に比例し、図3−1に示すよう に微小欠陥による欠陥信号は電流ダイポールによる磁気信号により近似できるため、電流ダイポールに より発生する磁界を表す式. B=. µ0 P ×r 4π r 3. (3−1). より(1/l3)に比例すると考えられる。ここで P と r は電流ダイポールモーメントと磁界発生地点における 位置ベクトルである。したがって f を J、t、D、l で表すと、. - 39 -.

(7) 第3章. (. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. ). 2  1  f ∝ JtD  3  l . (3−2). となる。 電流注入法を用いた本非破壊検査システムを本実験と異なる厚さのサンプルに適用した場合、本手法 を適用して得られる信号ピーク強度を fexp とすると、fexp は以下の式により図3−6の関係に当てはめ ることができる。すなわち本実験と異なる測定条件として電流密度を Jexp、厚さを texp、リフトオフを lexp とすると、次の式.  J t f = f exp ×   J exp t exp.  1    l  l exp .    . (3−3). 3. に値を代入して測定信号を補正すれば、図3−6の関係に当てはめて穴の直径を推定することができる。 アルミニウムのような金属材料の場合には式(3−3)で補正し、図3−6のオレンジのラインと比較 すればよい。CFRP のような炭素繊維系複合材料の場合、図3−6の赤色のラインと比較すればよい。 このように式(3−3)と図3−6を用いることにより、サンプルの厚さが既知で、表皮効果が無視で きる厚さ数 mm のサンプルの場合、本システムを用いて欠陥の面積を定量的に推定することが可能と考 えられる。. 図3−3. 電流注入法とキャンセルプレート(帰還電流パッド). - 40 -.

(8) 第3章. 図3−4. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 穴状欠陥をもつ CFRP 板状サンプルの概略図. 2mmΦの穴 3mmΦの穴. サンプルの左エッジ 図3−5. サンプルの右エッジ. 薄板 CFRP サンプルにあけた直径 2mm と 3mm の穴の平面走査結果. - 41 -.

(9) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. Signal peak amplitude (T/m). 1.00E-07. 1.00E-08. dia.2 1.00E-09 0.1. 1 Hole diameter (mm). 図3−6. 穴の直径と欠陥信号ピーク強度の関係. 穴. 電流迂回路 炭素繊維 図3−7. CFRP の微小穴周囲の電流迂回路. - 42 -. 10.

(10) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 3.4. 深部亀裂への適用. ここでは SQUID 非破壊検査システムと電流注入法を用いて、厚さ 20mm の板状 CFRP の裏側につ くった幅 40mm、長さ 1mm の非貫通溝(スロット)の検出を行い、システムの深部亀裂検出能力を調 べた結果について報告する。本システムにより、サンプルの表面から深さ 15mm のスロットの位置と大 きさの検出が可能であった。 ここでは実験結果の妥当性を調べるため、Podney による金属材料に本研究と同様の SQUID 非破壊 検査を行った結果[8]と比較を試みたが、欠陥形状が異なるため正確な比較が行えなかった。そこで有限 要素法を用いた、深部亀裂をもつ CFRP サンプルに電流を流したときの発生磁界の磁界勾配を求める電 磁界解析シミュレーションプログラムを開発した。CFRP は炭素繊維の編み込みが積層された構造にな っているため、導電率σをどのように評価すればよいかまだ明らかにされていない。本システムにより 深部欠陥を検出する場合、センサと欠陥との間の距離が数 cm となるため空間分解能は数 cm となる。 このような空間分解能の場合、CFRP の繊維構造を考慮せずとも導電率が一般の金属材料と同様に方向 依存が無く均一であるとみなしても良いと判断した。このため均一で異方性が無い導電率を仮定し、サ ンプル形状や使用電流周波数などのパラメータを実験と同じ設定で数値シミュレーションを行った。シ ミュレーション結果と実験結果と比較したところ、両者の欠陥信号強度の深さ依存性は一致した。これ により実験結果の妥当性を確かめた。 3.4.1. サンプル. サンプルとして厚さ 20mm の板状 CFRP に裏側から深さの異なるスロットを作ったものを深部亀裂 欠陥モデルとして用意した。作製したサンプルの概略図を図3−8に示す。図に示すように一つのサン プルに深さが異なる二つのスロットが設けてある。サンプル表面からの深さ D が 5mm から 17.5mm ま で 2.5mm 刻みで変化させたスロットを持ったサンプルを三個用意した。スロットの深さとサンプルの 番号の関係を表3−1に示す。なお、ここで用いた CFRP は、本章3.3で用いた CFRP と同じ炭素 繊維の 90°クロス編み込み構造で、パッキングファクターも同じ 0.6 である。 3.4.2. 測定. ここでは電流注入法を用いた。サンプルが厚くキャンセルプレートの効果が期待できないためプレー トは用いなかった。本測定で用いた板状 CFRP の表面は、繊維が表面に出ている場所とプラスチックに 覆われている場所が存在した。このため表面に電極を張った場合、電流分布が一様にならなかった。そ こで繊維がほぼ同じ密度で表面に現れているサンプル両側面に 5mm×250mm の大きさをもつ厚さ 0.5mm の銅の電極を銀製粘着シートを用いて貼り付けた。このサンプルに 300mA・300Hz の正弦波電 流を図3−8の y 方向に流れるよう注入し、本測定ではリフトオフ約 5mm に設定したグラジオメータ 型 LTS-SQUID を用いて、発生磁束密度勾配 dB z/dx の測定を行った。走査はスロットと平行方向にス ロットの真上をライン走査した。測定は x 方向に 2mm の間隔で行った。. - 43 -.

(11) 第3章. 3.4.3. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 測定結果. 測定結果の一例として、深さ 10mm と 12.5mm のスロットを持つサンプル No.3 のライン走査の結果 を図3−9に示す。測定波形の両端で大きな磁束勾配の変化が生じているが、これは端効果によるもの で、本章3.3に示した薄い板にキャンセルプレートを用いた場合の結果と異なり、端効果がサンプル 中央の方にまで影響を及ぼしている。またサンプル中心に対して波形は非対称性を示しており、これは dBz/dx に比例したグラジオメータ出力電圧に二つの SQUID ワッシャーコイルの面積差分による B z 成 分に比例した電圧が混入しているためである。深さ 10mm と 12.5mm のスロットの真上で下向きの小 さな欠陥信号が現れた。しかしながら端効果と Bz 成分が混入するという問題により測定波形より直接 欠陥信号による dBz/dx 成分の抽出が困難であった。 そこでまず Bz 成分の混入を除去するために、dBz/dx 成分の分布と Bz 成分の分布のそれぞれの対称性 を利用してノイズ除去を行った。サンプルが複雑形状でなく長方形の板状なため、このサンプルに一様 に電流を流したときに発生する磁界 Bz とその勾配 dBz/dx の分布は、サンプル中心に対して対称となる がそれぞれ奇関数と隅関数になる。そこでまずグラジオメータは dBz/dx を測定するよう設定して測定 し、次に x 軸に対して 180°センサの向きを回転して-dBz/dx を測定を行う。Bz 成分を出力する面積差 分はグラジオメータの方向に依存しない。したがって向きを 180°変更しても出力は Bz のままである。 したがって最初の SQUID 出力として Vout =(α(dB z/dx)+β(Bz))が、二番目の出力として Vout = (α(-dBz/dx)+β(Bz))が得られる。ここで、αとβはそれぞれ dBz/dx と Bz に対する比例係数で ある。この二つの出力の差をとれば dBz/dx が抽出できる。この抽出方法を用いて、欠陥信号の dBz/dx 成分の抽出を行った。 つぎに端効果を除去するため、CFRP 板の形状は全く同じで、欠陥の無いサンプルを用意し、同様に 二回グラジオメータの向きを換えて測定し、勾配抽出方法を用いて dBz/dx を抽出した。欠陥信号を含 む欠陥サンプル測定出力から、この傷なしサンプル測定出力を差し引くことで端効果の除去を行った。 勾配抽出と端効果除去を行い得られた結果を図3−10に示す。端効果と Bz 成分が除去され、薄板の 欠陥検出と同様に、欠陥の真上で下向きの欠陥信号を測定結果から抽出することができた。欠陥信号の 現れている長さはおよそスロットの幅と一致している。したがって深部欠陥の位置と幅の検出が本シス テムにより可能であることが分かった。同様の信号抽出手法を用いて、本システムにより 15mm の深さ のスロットまで検出することができた。したがって本研究で用意したグラジオメータ型 LTS-SQUID を 用いた場合、本システムの深部欠陥検出能力は 15mm 程度であることが分かった。 図3−10に示すように、スロットにより発生する欠陥信号の強度は、スロットの深さに依存して異 なっている。スロットによる欠陥信号強度の深さ依存性を図3−11に示す。同図に示すように、信号 強度は深さの増加に対して指数関数的に減少した。 3.4.4. 考察. ここでは実験結果の妥当性を調べるため、参考文献[8]に示す金属材料に本研究と同様の SQUID 非破 壊検査を行った結果と比較を試みた。参考文献[8]によると、図3−12(a)のようなアルミニウム板 の積層サンプルの一層に穴状欠陥に対して、誘導コイルを用いて渦電流を発生させて SQUID で欠陥信 号を測定した場合、欠陥信号強度はサンプル表面からの欠陥の深さ z に対して指数関数的に減衰した。 - 44 -.

(12) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. その減衰の傾きは実験で使用したアルミニウムの 268Hz における電流の侵入深さδ=6.1mm を用いる と、およそ e-2z/ δ に比例していることを示している(図3−12(b))。本研究における CFRP での信 号強度の深さ依存性の傾きは、本研究で用いた CFRP の導電率 1.25×104S/m、透磁率としてμ0 を用い て計算したδ(=0.32m)を用いると、およそ e-2.9z/ δ に比例している。参考文献[8]と本実験結果との違 いは、彼らの場合の欠陥は形状が同じで深さのみが変化するサンプルを用いていたが、本論文の場合、 欠陥の深さと形状の両者が変化しているサンプルを用いたためと考えられる。 そこで有限要素法を用いて深部欠陥をもつ CFRP サンプルに電流を印加したときに発生する磁界の 磁束勾配を求める電磁界解析シミュレーションプログラムを開発し、この計算結果と実験結果を比較し て、実験結果の妥当性を調べた。 CFRP は炭素繊維の編み込みが積層された構造になっているため、導電率σの異方性をどのように評 価すればよいかまだ明らかにされていない。本システムにより深部欠陥を検出する場合、センサと欠陥 との間の距離が数 cm となるため空間分解能は数 cm となる。このような空間分解能の場合、CFRP の 繊維構造を考慮せずとも導電率が一般の金属材料と同様に方向依存が無く均一であるとみなしても良 いと判断した。このシミュレーションで取り扱う場は一般的な渦電流場である。ここで開発した電磁界 解析シミュレーションプログラムは参考文献[9]に従い作成した。このプログラムの詳細は付録 B に示 す。導電率、透磁率の値はそれぞれ 1.25×104S/m と 4π×10-7H/m を用いた。サンプル表面から z 方 向に 5mm 離れた xy 平面での発生磁界の Bz の、x 方向勾配 dBz/dx をシミュレーションにより求めた。 300mA、300Hz の電流を深さ 5mm と 17.5mm のスロットを持つサンプルに流したとき、スロット の真上のライン上をグラジオメータ型 LTS-SQUID で測定したときの出力をシミュレーションした結 果を実験結果と合わせて図3−13に示す。シミュレーションでは端効果と Bz 成分の除去を行う以前 の結果について求めた。図に示すように、本解析結果は実験結果とおよそ一致した。他二つのサンプル のシミュレーション結果も実験結果と一致した。これにより解析プログラムコードにより妥当な解析結 果を得ることできていることが分かった。 そこで次に傷の無い同じ形状のサンプルについてもシミュレーションを行い、実験と同様に Bz 成分 と端効果の除去を行った結果に関して、欠陥信号ピーク強度と欠陥の深さの関係を調べた。この関係を 図3−14に示す。実験値と比較して、信号強度がいずれの深さにおいても約 3 倍程度の大きさになっ ているが、深さ依存性においてはシミュレーション結果は実験結果とほぼ一致した。これにより実験結 果の妥当性を確認した。また本研究で開発した SQUID 非破壊検査システムを CFRP の深部欠陥検出に 適用する場合、CFRP の導電率を内部均一とみなした解析ができることが分かった。. - 45 -.

(13) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 200mm. 1mm. 75mm. 40mm 100mm. z. 100mm. 100mm. y. スロット. x. 75mm. CFRP. D. 図3−8. 表3−1 サンプル No.1 スロット深さ 5mm、17.5mm. 20mm. CFRP 深部欠陥モデルサンプル. サンプル番号とスロットの表面からの深さ サンプル No.2 スロット深さ 7.5mm、15mm. サンプル No.3 スロット深さ 10mm、12.5mm. SQUID output [arb. Unit]. 8000 6000 4000 2000 0 -2000 -4000 -6000 0. 50. 100. 150. 200. 250. サンプル断面 1 0mm深さのスロット. 図3−9. 12.5mm深さのスロット. CFRP 深部欠陥モデルサンプルの測定結果. - 46 -.

(14) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. dBz/dx (nT/m). 400 200 0 -200 -400 -600 0. 50. 100. 150. 200. 250. x-axis (mm) サンプル 断面 10mm深さのスロット. 図3−10. 12.5mm深さのスロット. 図3−9に示す結果から dBz/dx 成分を抽出し、端効果を除外した結果. Signal peak amplitude (nT/m). 1000. 100. 10. System noise level. 1. 0.1 0. 図3−11. 5. 10 Slot depth z (mm). 15. 20. 実験と数値計算での欠陥信号ピーク強度と欠陥の深さの関係. - 47 -.

(15) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. (a)アルミニウム積層板内の穴状欠陥. (b)穴状欠陥による信号強度と欠陥の深さの関係。縦軸、横軸は欠陥の深さと信号強度を示す Podney による SQUID 非破壊検査の金属材料への適用[8]. 図3−12. 500. ×Experimental data. SQUID output [mV]. +Simulation data. 0. -400. 0. 250 x [mm]. 図3−13. 深さ 5mm と 17.5mm のスロットをもつ CFRP サンプルの実験結果と計算結果の比較. - 48 -.

(16) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. Signal peak amplitude (nT/m). 1000. 100. 10. System noise level. 1. Experiment. 0.1 0. 図3−14. Simulation. 5. 10 Slot depth z (mm). 15. 20. 実験結果と計算結果における欠陥信号ピーク強度と欠陥の深さの関係. - 49 -.

(17) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 3.5. 層間剥離の定量的検出. ここでは SQUID 非破壊検査システムと電流注入法を用いて、厚さ 2mm の CFRP 板材の内部に層間 剥離を模擬した、厚さ 12μm で楕円形状の絶縁体 PET(Polyethylene terephthalate)シートの検出 を行い、層間剥離の位置と大きさを定量的に検出した結果について報告する。 CFRP の機械的強度に関する欠点の一つとして衝撃に弱いということが挙げられる。例えば大変低い エネルギーの衝撃によっても内部で層間剥離が発生し、これが材料強度の劣化に大きな影響をおよぼす ことが知られている[1]。そこで本システムを用いて、CFRP の層間剥離検出の可能性を実験的に調べた。 この結果、12μm 厚さの層間剥離モデルの位置と大きさを検出することに成功した。また、欠陥信号の 位相差成分に周波数依存性があることを実験的に示し、位相差による検出では 200Hz 以上の周波数を 用いることが有効であることを示す。 3.5.1. サンプル. 層間剥離モデルとして、厚さ 2mm の板状 CFRP に層間剥離を模擬した欠陥をもつサンプルを作製し た。サンプルは 10 層の炭素繊維のクロス編み込みからなる。サンプルの上 5 層、下 5 層の中間に厚さ 12μm、長軸と短軸がそれぞれ 20mm と 10mm の楕円形状のシートを挿入した。シートの材質は PET である。サンプル形状を図3−15に示す。炭素繊維の含有率は 0.6 である。 3.5.2. 測定. ここでは電流注入法とキャンセルプレートを組み合わせて測定を行った。90mA で 700Hz の電流を 印加し、図3−15に示す y 方向に電流が一様に流れるよう、電極とキャンセルプレートを、銀製粘着 シートを用いてサンプルに貼り付けた。測定ではグラジオメータ型 LTS-SQUID を 5mm のリフトオフ に設定し、発生磁界の勾配 dBz/dx を測定した。走査範囲を図3−15に示す。測定は x 方向に 2mm、 y 方向に 6mm の間隔で行った。 3.5.3. 測定結果. サンプル内の模擬剥離の中心を、x 方向にライン走査したときに得られた、磁界勾配 dBz/dx の振幅と 位相差の測定結果を図3−16に示す。図に示すように、振幅の波形では剥離の真上で下向きの欠陥信 号が現れた。位相差の波形では同様に剥離の真上で上向きの欠陥信号が現れた。 振幅、位相差波形それぞれに端効果が含まれているが、端効果が広く分布している振幅と比較して、 位相差の場合サンプルの端部分にその効果が限定されている。したがって剥離検出には振幅、位相差情 報のいずれを用いても 12μm 厚さの層間剥離の検出が可能であるが、位相情報のほうがより端効果の 影響が少なく剥離検出に有利であることが分かった。 図3−17(a)と(b)に、サンプルの中央付近を平面走査した測定結果の振幅と位相差の分布図 をそれぞれ示す。二つの図に示すように剥離の存在する位置に、剥離の形状とほぼ同じ形状で分布する 欠陥信号を検出することができた。したがって本システムを用いて CFRP 板内の剥離の位置と大きさを - 50 -.

(18) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 定量的に検出することができることが分かった。 3.5.4. 考察. 薄い板状 CFRP の層間剥離を本 SQUID 非破壊検査システムで検出するには、発生磁界の磁束密度勾 配 dBz/dx の位相差を測定するのが有効であることが分かった。この位相差は剥離によりサンプルの剥 離部でインピーダンスが変化したためと考えられる。したがって欠陥信号の位相差の変化は電流の周波 数に依存して変化分が異なると推測される。そこで剥離による欠陥信号の周波数依存性を、電流の周波 数を 20Hz から 1000Hz まで変化して測定することにより実験的に調べた。 測定結果から、剥離信号の中心の位置での振幅ピークの大きさと位相差ピークの大きさを調べ、それ ぞれ周波数との関係を表した結果を図3−18(a)、(b)にそれぞれに示す。信号の振幅に関しては、 周波数依存性は見られなかった。一方、位相差には強い周波数依存性が存在した。図3−18(b)に 示すように位相差ピークの大きさは周波数の増加に伴い 100Hz より高い周波数で増加していき、その 増加率は周波数の増加にしたがい減少する傾向にある。周波数増加にともなう位相変化の増加傾向を調 べると、図3−18(b)の青線で示すように、およそ周波数の 1/2 乗に比例していることが分かった。 この理由を考察した。導電性材料に交流電流を印加したとき、表皮効果により表面から侵入した電流 が減衰するだけでなく、表面からの深さにより位相差も変化する[10]。電流の減衰は深さを z、侵入深 さをδとすると、表面から z の深さで e- z/δ で減衰するが、電流の位相は z/δだけ変化する。すなわち位 相差の変化は侵入深さδに反比例する。δは周波数 f の 1/2 乗に比例するため、測定結果は妥当な結果 であると結論付けることができる。 したがって層間剥離検出には 200Hz 以上の周波数が有効で、より高い周波数ほど SN に関して有利 であることが分かった。. 100mm. 平面走査 範囲 200mm. 10mm. ライン走査 20mm. PET Sheet. y. CFRP. x. 図3−15. 厚さ 2mm の CFRP の層間剥離サンプル. - 51 -.

(19) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 600. 150. 400. 100. 200. 50. 0. Phase difference (deg.). Amplitude (nT/m). (II). 0 (I). -200. -50. -400. -100 (I) Amplitude (II) Phase difference. -600 -800 -80. -150 -200. -60. -40. -20. 0. 20. 40. 60. 80. X (mm). edge. edge. 図3−16. 剥離モデルサンプルのライン走査結果. 5mm. 5mm 5mm. 47.3. 174.5. 5mm. (unit: nT/m). 6.5. (a)振幅分布のカラー 図3−17. 9.4. (unit: deg.). (b)位相差分布のカラー等高線図 層関剥離サンプルの平面走査結果. 図の中央の点線は実際の剥離モデルの位置と大きさを示す。. - 52 -.

(20) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 70. Signal amplitude (nT/m). 60 50 40 30 20 10 0 10. 100 Frequency (Hz). 1000. (a)信号振幅. Phase displacement (degree). 25 20 15. f1/2. 10 5 0 10. 100 Frequency (Hz). 1000. (b)信号位相差。青線は周波数 f の 1/2 乗に比例した曲線を示す。 図3−19. 剥離による欠陥信号の周波数依存性. - 53 -.

(21) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 3.6. 結言. 本章では、2 章で作製した SQUID 非破壊検査システムを用い、電流注入法と SQUID グラジオメー タによる欠陥検出手法を適用し、複合材料 CFRP の微小欠陥、深部欠陥および層間剥離の検出を行った。 本手法により欠陥の位置および大きさの定量的検出が可能であるかを調べるとともに、本非破壊検査シ ステムの欠陥検出能力の限界を調べた。この研究により得られた成果を以下にまとめる。 (1). 本非破壊検査システムにより CFRP 薄板材のサブ mm の大きさの欠陥について、位置と大. きさの検出が可能であった。 (2). 炭素繊維を編みこみ構造をもつ複合材料の微小欠陥検出に本研究で用いた電流注入手法を. 適用する場合、電流が欠陥周囲の炭素繊維の部分を迂回することによるものと思われる、見かけ の面積よりも大きな欠陥信号が現れることが分かった。 (3). 本非破壊検査システムにより、厚さ 20mm の CFRP 厚板材の表面から 15mm の深さまでの. 亀裂について、位置と欠陥幅の検出が可能であった。深部欠陥の深さと欠陥信号強度の関係は、 欠陥の深さの増加に対して指数関数的に減衰した。 (4). 実験結果の妥当性を調べるために、CFRP の導電率を内部均一と仮定して、有限要素法を用. いた電磁界解析シミュレーションプログラムを開発し、実験のシミュレーションを行った。実験 結果とシミュレーション結果における欠陥信号強度の深さ依存性は良く一致した。これにより実 験結果の妥当性を確認した。また本測定で用いた電流注入法を CFRP の深部欠陥検出に適用する 場合、CFRP の導電率を内部均一として評価して解析することが可能であることが分かった。 (5). CFRP 薄板材の厚さ 12μm の絶縁シートに関して、位置と大きさを検出できることを示し. た。磁気欠陥信号の位相差情報にはサンプルの端効果が少ないため、振幅情報を用いるよりも欠 陥検出が容易であることが分かった。欠陥信号の位相差の大きさは、周波数増加とともに周波数 の平方根に比例して増加し、層間剥離を位相差で検出するには 200Hz 以上の周波数を用いるの が有効であることを示した。. - 54 -.

(22) 第3章. 亀裂および剥離欠陥の定量的検出.doc. 参考文献 [1]金原勲:「高分子系複合材料の非破壊試験・評価ハンドブック」日本規格協会(1995-3) [2]C. R. Thomas ed., “Essentials of Carbon-Carbon Composites”, (Roy. Soc. Chem., Cambridge, 1993) [3]葛西直子ら:「第 1 回超伝導スクール 伝導分科会. SQUID の基礎と応用のための周辺技術」応用物理学会. 超. 1998. [4]土門・越出:「やさしい非破壊検査技術」工業調査会(1996-2) [5]N. Kasai, D. Suzuki, H. Takashima, M. Koyanagi, and Y. Hatsukade, “HTS-dcSQUID Gradiometer for Nondestructive Evaluation”, (IEEE Trans. on Appl. Supercond., Vol.9, No.2, pp.4393-4396, 1999-6) [6]W. G. Jenks, S. S. H. Sadeghi, and J. P. Wikswo, Jr., “SQUIDs for nondestructive evaluation”, (J. Phys. D, Appl. Phys, Vol.30, pp.293-323, 1997) [7]N. Kasai, D. Suzuki, H. Takashima, M. Koyanagi, Y. Hatsukade and A. Ishiyama, “Basic Study for Non-Destructive Detection of Flaws in CFRP using HTS -SQUID Gradiometer”, (Applied Electromagnetics and Mechanical Systems, K. Nagaya and D. Ioan (eds.), 1999) [8]W. N. Podney, “Performance Measurements of a Superconducting Microprobe for Eddy Current Evaluation of Subsurface Flaws”, (IEEE Trans. on Appl. Supercond., Vol.3, pp.1914-1917, 1993-3) [9]坪井始、内藤督:「実践数値電磁界解析法」養賢堂(1995-3) [10] W.H.ヘイト:「工学系の応用電磁気学」マグロウヒル(1992-12). - 55 -.

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参照

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