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98 3 集団分析結果の活用事例 グループワーク例 ( シナリオ ) で集団分析結果の活用や職場環境改善の具体的な進め方を把握! Ⅱ 職場環境改善のためのワーク ( シナリオ ) ワーク内容の事例をいくつか紹介します スライド 第 Ⅱ 章には 職場環境改善のための具体的な取り組み例 ( ワーク )

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Academic year: 2021

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 本書は主に以下のような使い方を想定しております。 まずチャート「ストレスチェック 集団分析から職場環境改善へ」で全体把握を Q&Aを読む 1 2 読み進める前に、まず冒頭のチャート図で全体の 流れを把握してください。その際、チャート上の各パー トに、該当する本書のQ番号を付してありますので、 第Ⅰ章目次(Q一覧)とも見比べながら大きな流れを 追ってください。 上述のチャート図は、あくまでも全体の流れを示 したものです。第Ⅰ章の Q&A 編では、集団分析・職 場環境改善の流れに即して、実務上ポイントとなる 事項を厳選し、問いと答えの形で解説しています。① 冒頭から通読するだけでなく、②各 Q のAnswerの 冒頭に“ Point! ”として回答の要点をまとめてありま すので、まずは Q とPoint!にひと通り目を通す(速 習対応)、さらに③実務の過程で生じた疑問等に応じ て上記チャートや目次(Q一覧)から検索し必要箇所 に目を通す、といった読み方ができます。 各 Q の囲み枠の右上には、当該 Q&A の内容に即 して、“主に”お読みいただきたい職種等の属性をア イコンで示してありますので、読む際の参考にして ください。各アイコンが示す属性は下記になります。

本書の構成と上手な使い方

ストレスチェック 集団分析から職場環境改善へ 総 論 ●集団分析・職場環境改善のための合意形成、実施計画等 Q1∼Q8 集団分析の実施 1 ●集団分析結果の見方の留意点 ●仕事のストレス判定図・判定図以外による分析と評価 ●ストレスチェック以外で収集された情報の加味 ●集団分析結果の集約 Q9 Q10 Q11 Q12 Q13 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   ‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ Q15∼Q17 分析結果のフィードバック 2 ●集団分析結果のフィードバック先と方法 ●集団分析結果の説明 Q14 ‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥     Q18∼Q21 Q22∼Q24 分析結果に関する専門職による助言 3 ●集団分析結果への助言 ●集団分析に係る個別留意事項 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥ Q25∼Q30 Q31∼Q35 Q36∼Q46 Q47∼Q54 Q55 職場環境の改善の実施 4 ●集団分析結果と職場環境改善 ●職場環境改善に取り組むにあたって ●職場環境改善実施のポイント、コツ ●ストレスチェック以外の情報等の活用 ●職場環境改善の効果の評価   ‥‥‥‥‥‥     ‥‥‥‥     ‥‥‥‥     ‥‥‥      ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11 産 業 医 総 論 集団分析・職場環境改善のための合意形成、実施計画等 : Q5 ストレスチェック制度では、労働安全衛生規則(以下、安衛則)第52条の14にあるように、集 団ごとの集計や分析、労働者の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講じることは、事 業者の努力義務になっています。この集団分析と職場環境改善は、集計、分析、職場環境改善の 3ステップに分けられます。事業者は、ストレスチェックの検査を行った医師等、すなわち実施 者に、集計させ、その結果について分析させると安衛則で示されており、また「実施アニュアル」 には、「職業性ストレス簡易調査票」(巻末CDに収録)を使ってストレスチェックを実施した場 合には、「仕事のストレス判定図」(巻末CDに収録)を用いて集団ごとの集計・分析を行うことが 適当とされています。このため、ストレスチェックの実施にあたって、実施者に一定規模の職場 集団ごとに「仕事のストレス判定図」を作成することまでを依頼し、これを受け取ることで集計・ 分析を実施したと考えているケースが少なくありません。確かに、「仕事のストレス判定図」は、 健康リスクの数値まで計算しており、一定の分析まで行ったとも言えます。しかし、職場環境改 善に活用するための分析としては十分とは言えません。事業場の業種、事業内容の特徴を踏まえ、 各集団の仕事の状況を踏まえ、さらに集団内のストレス状況のバラツキや、高ストレス者、メン タルヘルス不調者の数や割合なども勘案して、「仕事のストレス判定図」にコメント(結果の意 味することに加え、その要因や対応についての専門家の意見)をつけることで質の高い分析と 嘱託産業医は、集団分析や職場環境改善にどのように関わる ことができるのでしょうか。 嘱託産業医は、事業場での活動時間に制約があることが多く、ストレスチェック については面接指導を行っていても、集団分析や職場環境改善に関与することがで きない場合が少なくありません。しかし、職場環境改善を直接実施するまでできな くても、事業場の健康管理にかかわる専門家として集団分析結果や職場環境改善の 計画・評価について助言指導を行うことが望まれます。 5 図 集団分析と職場環境改善の3つのステップと嘱託産業医の関与 嘱託産業医、専属産業医 産業看護職、心理職等、衛生管理者等 経営者、経営層 総務・人事労務関係者、管理監督者、ストレスチェック事務担当者等 事 業 者 産 業 医 事務スタッフ 産業保健スタッフ なお、アイコンはあくまでも目安ですので、多職種連携の観点からも、一通り目を通し ていただくことを推奨します。

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198 もっと知ろう!ツールを使った職場環境改善の手法 Ⅳ 表1 MIRRORとWINの比較 MIRROR WIN 項 目 45項目 27項目 時 間 10~15分 5~10分 回 答 4件法 5件法 評 価 定性的 定量的 結 果 具体的 総括的 利 点 建設的な目標設定・対策立案を支援 ● 具体的な目標設定が容易 ● 結果処理ツール等が公開 ● 個別職場の自律的改善支援 ● 経時変化の評価が容易 ● 管理職研修等での活用 ● 自律的改善支援と組織支援 WINを用いた職場環境改善では、各職場単位では、MIRRORと同様の4つの活用ステップを 想定しています。一方で、組織的に活用する場合には、以下の7つのステップを想定しています (図2)。一連のステップが完了するまでには、1年を想定しています。組織的に活用する際にも、 PDCAサイクルによるスパイラルアップを目指して、持続的に推進することが重要です。 職場環境改善の実際 3 (1) 合意形成・体制整備 事業場として、職場環境改善を推進する意思を確認し、安全衛生委員会や経営会議等での合 図2 WINを組織的に活用するステップ 集団分析結果の活用事例、グループワーク例(シナリオ)で集団分析結果の活用や 職場環境改善の具体的な進め方を把握! 3 第Ⅲ章には、集団分析結果の活用事例を2題収録して います。シチュエーションごとに、実際の進め方の流れ に即した形で、ポイントとなる事項を平易に解説してい ます。上記1の全体把握を行った後、Q&Aを読む前に本 パートを読むことで、集団分析結果活用の流れや具体像 を把握することも可能です。 第Ⅱ章には、職場環境改善のための具体的な取り組み 例(ワーク)をシナリオ形式で4題収録しています。ワー クをリードするファシリテータ別の進め方、集団分析結 果に関する関係者による意見交換の進め方などを、ワー クの場を再現する形でシンプルにまとめてあります。ワー クについては、企業規模・職種・部署・参加者の属性、参加 人数ほか、対象集団の性質等によって進め方も変わって きます。ここに掲げた4題はあくまでも参考例ですので、 ご担当職場等の性質・状況等に即してワークの組み立て を行ってください。 第Ⅳ章では、職場環境改善に活用できるツールを紹介 しています。それぞれのツールの特徴や使い方をマスター することで、職場環境改善に生かすことができます。 173 事例1 比較的大きな事業場の場合 ● 職場や職場の管理者の評価という誤解! ● 職場管理者の上位管理者が部下の評価として見てしまう! ● 分析結果はa)仕事の量的負担感、b)仕事のコントロール感、c)上司からの支援感、 d)同僚からの支援感の「4要素」の総和 =“部下の感じ方の調査”であること  → 上司への一方的な批判につながらないように!  → 個別あるいは部単位ごとに職場管理者を集め産業医が説明、外部の専門家 を招いて研修会を開くなども。 手法1) グッドプラクティスを提示し、利活用可能なもの・要素はないかを考えてもらう 手法2) 健康リスクが一定以上の職場管理者に「職場ストレス低減シート(職場コミュニ ケーション向上シート)」(図2)を作成してもらい、職場改善計画の策定と実行を 行ってもらう ● 事業所内の他職場の結果を匿名にした資料を作成(図1) *4要素、量‐コントロールから見た健康リスク、職場の支援から見た健康リスク、 健康総合リスクなどの指標を他職場と比較可能 *事業所平均(実名)、所属する部の平均(実名)、部内の他部署の結果(匿名)、自 部署の過去2年の結果を掲出 → 上記により自部署の結果を相対的に認識してもらうことで、職場管理者に、 なぜ点数が低いのか、なぜ部下はそう感じてしまっているのかという思考 を喚起し、改善点への気づきを促す。 *結果が良くない職場管理者への説明が難しい *改善方法が分かりづらいという職場管理者の声 *「職場の支援の大きな変化により総合健康リスクが大きく変化する」という現 象が往々に出現 手順と留意事項 ❶ 分析結果の配布-結果の誤った理解に気をつけよう ❷ 集団分析結果の説明-分析結果の意義を理解してもらおう ❹ 改善計画の策定へ-職場ストレス低減シートの活用 ❸ 相対的評価の明示-事業所内の他職場との比較から理解を促す 2 職場環境改善のためのワーク(シナリオ) Ⅱ 156 「ワーク内容の事例をいくつか紹介します。」 スライド (7) まとめ 「最後に、このストレスチェックは、分析結果から課題を把握するだけでな く、職場環境改善、課題への取り組みを進め、その結果を評価するPDCA を回していくことがとても重要な意味を持ちます。 皆さんの働く場がよりいきいきとしたものとなるよう、今後の活動をこの ように予定しております。随時またご案内いたします。」 10分 スライド アンケートを通して産業看護職が可 能な支援内容を知 ってもらいます。 「またアンケートへのご協力をお願いします。 アンケートのなかに、健康相談室による支援内容について関心のあるもの を選択してもらうようにしました。また、アンケートをもとに管理職の皆様 と個別面談をしたいと考えています。面談ではご自身の職場の環境改善 について、不明点や疑問点など、何でもお気軽に相談いたければ、と思っ ています。アンケート回収後、メールでご連絡させていただきますので、必 ず記名をお願いします。」 「また個別面談の際に、本日作成いただいたワークシートを活用しますの で、こちらでコピーをとり、お返しします。この間にアンケートへのご記入 をお願いします。」 アンケート配付 (サンプル参照) ワークシートを一 旦回収し、コピー の上、返却します。 その間にアンケー トを記入してもら います。 ツールを使った職場環境改善をマスター! 4

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巻末 CDに、主な行政公表資料等を PDF 形式で収録し、必要な確認作業や検索ができ るようになっています。また、本書で紹介・解説されているものを中心に、集団分析・職場 環境改善関係ツールのデータも収録しています。 巻末CDには、集団分析~職 場環境改善活動の過程で、ま た日常の産業保健活動の一環 としても使用可能な教育・研修 教材(スライドデータ)を5題 収録しました。コピーライト・ カスタマイズフリーですので、 自職場の状況に即して改変、 あるいはスライドを追加する など、教育・研修に活用するこ とができます。 巻末CDにカスタマイズフリーの面接指導関連書式を収録! 5 コピーライトフリー、カスタマイズフリーの教育・研修教材を収録! 6 *なお、本文中において、国から公表された以下の資料等については略記をしております。 ○ 心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に 基づき事業者が講ずべき措置に関する指針⇒「指針」 ○ 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル⇒「実施マニュアル」 ○ ストレスチェック制度関係Q&A⇒「行政Q&A」

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11 産 業 医 総 論 集団分析・職場環境改善のための合意形成、実施計画等 : Q5 ストレスチェック制度では、労働安全衛生規則(以下、安衛則)第52条の14にあるように、集 団ごとの集計や分析、労働者の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講じることは、事 業者の努力義務になっています。この集団分析と職場環境改善は、集計、分析、職場環境改善の 3ステップに分けられます。事業者は、ストレスチェックの検査を行った医師等、すなわち実施 者に、集計させ、その結果について分析させると安衛則で示されており、また「実施アニュアル」 には、「職業性ストレス簡易調査票」(巻末CDに収録)を使ってストレスチェックを実施した場 合には、「仕事のストレス判定図」(巻末CDに収録)を用いて集団ごとの集計・分析を行うことが 適当とされています。このため、ストレスチェックの実施にあたって、実施者に一定規模の職場 集団ごとに「仕事のストレス判定図」を作成することまでを依頼し、これを受け取ることで集計・ 分析を実施したと考えているケースが少なくありません。確かに、「仕事のストレス判定図」は、 健康リスクの数値まで計算しており、一定の分析まで行ったとも言えます。しかし、職場環境改 善に活用するための分析としては十分とは言えません。事業場の業種、事業内容の特徴を踏まえ、 各集団の仕事の状況を踏まえ、さらに集団内のストレス状況のバラツキや、高ストレス者、メン タルヘルス不調者の数や割合なども勘案して、「仕事のストレス判定図」にコメント(結果の意 味することに加え、その要因や対応についての専門家の意見)をつけることで質の高い分析と

嘱託産業医は、集団分析や職場環境改善にどのように関わる

ことができるのでしょうか。

嘱託産業医は、事業場での活動時間に制約があることが多く、ストレスチェック については面接指導を行っていても、集団分析や職場環境改善に関与することがで きない場合が少なくありません。しかし、職場環境改善を直接実施するまでできな くても、事業場の健康管理にかかわる専門家として集団分析結果や職場環境改善の 計画・評価について助言指導を行うことが望まれます。

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図 集団分析と職場環境改善の3つのステップと嘱託産業医の関与

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参加型アプローチを用いた職場環境改善では、働きやすい職場づくりに向けて、その職場で 働く労働者が主体的に参画しながら職場環境改善を進めていきます(図)。その職場を誰よりも よく知っている労働者自身の取り組みですので、適切なアセスメントに基づいた、職場のニー ズに即した改善の実行が期待されます。また、この職場環境改善の取り組みを通じて、職場内の 同僚と働きやすい職場づくりについて意見交換をする中で、通常の仕事の中では知ることので きない同僚たちの仕事や職場環境に関する考え方や視点について互いの理解を深めることがで きます。「この人は普段、こんなことを考えながら仕事をしているのか」、「この人は職場環境に ついてこんなことを重視しているのか」など、参加型職場環境改善では、労働者同士の対話の機 会を通じて、皆にとって働きやすい職場づくりを進めていきます。

職場での討議や参加型職場環境改善の方法、ワークを行う際

のポイントを教えてください。

参加型職場環境改善は、職場で働く皆で取り組む実効性の高い手法です。効果的 な参加型職場環境改善を進めるためには、①良い事例から始める、②グループワー クを活用する、③段階的に進める、④成果を交流する、⑤改善を容易化する一連の アクションツールを使う、⑥ファシリテータを育成することが重要です。また、取 り組みを進めるうえでの3つの手順として、①領域良好実践の見える化、②良い点・ 改善点の小集団討議、③職場内改善プランの合意形成、が欠かせません。 産 業 医 産業保健スタッフ

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図 労働者参加型職場環境改善の進め方 ❹ 職場環境の改善の実施 職場環境改善実施のポイント、コツ : Q44

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職場環境改善のためのワーク(シナリオ) Ⅱ 140 メンタルヘルス対策にかかわらず、職場環境改善には労働者やトップサイドの意識改革が必 要であり、そのための社内研修会などの手段が数多く開発されています。産業保健職がこうし たツールを運用できることは望ましいことではありますが、嘱託産業医は執務時間が限られて いる等の理由から、こうした研修会を直接実施することは容易ではありません。したがって、本 稿では「ストレスチェックの結果に基づく職場環境改善における嘱託産業医の役割」として、結 果の適切な解釈を基に職場の動機付けを促し、導入可能な内部・外部資源を用いて改善の間口を 拡げることに重点を置きます。 (1) 準 備 返却された組織分析結果と対策案を職場担当者と共有・検討します。 〈 STEP1.組織分析結果を用意する 〉 組織分析結果は多くの場合、ストレスチェッ クの設問の一部を用いて作成される「職場の ストレス判定図」として返却されます(図1)。 また、従業員数が比較的多い場合は部門別に 集計されていることもあります(図2)。 〈 STEP2.結果を解釈する 〉 「職場のストレス判定図」では、「仕事の量/ コントロール」、「職場(上司/同僚)の支援」の 4尺度に基づくリスク評価値が示されている 【 目 的 】 ● ストレスチェックの仕組みをわかりやすく解説する。 ● ストレスチェックの全体結果とその解釈を説明する。 ● 会社全体として取り組むべき方向性について助言する。

嘱託産業医が中心で進める場合

はじめに ワーク例1 : 安全衛生委員会での結果説明と助言

1

シナリオ

1

2

図1 

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集団分析結果の活用事例 Ⅲ

比較的大きな事業場の場合

多くの人にとって、「仕事のストレス判定図」(図1、巻末CDに収録)など集団分析結果はなじ みが薄いかもしれません。集団分析結果を説明する際に大事なことは、①まずは、調査結果を正 しく対象者に理解してもらうこと、②次に、ストレスチェック制度の本来の趣旨である一次予 防につなげることを念頭におくことです。すなわち、集団分析結果の職場ごとの結果を見比べ ると、仕事の負担感が高い職場や上司や同僚の支援の低い職場、総合健康リスクなどのリスク が高い職場が目につくでしょう。もちろんそうした職場に一定の手法で改善を求めることは重 要ですが、そこにばかり目がいくと、点数の低い職場のみがターゲットになってしまいます。逆に、 集団分析結果から職場の支援感が非常にいい職場や仕事のコントロール感が高い職場もあるで しょう。これらの職場からは、職場内コミュニケーションを良好にしている、あるいは仕事をう まくコントロールしているグッドプラクティスを、上司の行動や職場全員の行動などの視点か ら抽出・類型化し、これを職場管理者を含めたメンタルヘルス研修や安全衛生委員会などにフィー ドバックして、水平展開を図ることで、職場の活性化にも役立つ可能性があります。 次に集団分析結果の活用の仕方について、順を追って留意点等とともに見ていきましょう。 集団分析結果の活用

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事 例

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● 職場の種類毎比較 職場名 量的負担 (点) コントロール(点) 上司の支援(点) 同僚の支援(点) 量—コントロール 職場の支援健康リスク 総 合 社全体平均 9.0 8.0 8.1 8.0 102 95 97 各部全体平均 9.0 7.9 7.8 7.9 102 98 99 事業部全体平均 9.3 8.0 8.3 8.3 103 91 93 事業部全体 9.4 8.3 7.8 8.2 102 96 97 職場A 8.7 7.9 7.3 8.0 100 103 103 職場B 8.4 9.9 9.1 8.5 81 82 66 職場C 10.2 8.6 8.0 8.0 105 96 100 職場D 8.2 7.8 7.8 8.6 97 92 89 職場E 9.9 7.9 8.1 8.7 109 88 95 職場F 11.1 7.4 6.3 7.4 125 120 150 図1 仕事のストレス判定図(当社事例)

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182 もっと知ろう!ツールを使った職場環境改善の手法 Ⅳ これまで「仕事のストレス判定図」(巻末CDに収録)などを利用して職場環境等のストレス状 態を評価することができるようになっていましたが、職場でどのように改善方法を立案し、実 行するかについては具体的な方法が不足していました。「職場環境等の改善のためのメンタル ヘルスアクションチェックリスト」(職場環境改善のためのヒント集、以下、「職場環境改善ヒン ト集」、巻末CDに収録)は、職場において、労働者の参加のもとにストレスを減らし、心の健康 を増進するための職場環境等の改善方法を提案するために新しく作成されたツールです1)、2) このチェックリストは、日本全国から職場のメンタルヘルスやストレス対策のために実施され た職場環境等の改善事例を収集し、心理学、人間工学、メンタルヘルス対策の実務家、研究者に よる討議を経て、現場で利用しやすい6つの領域30項目に集約・整理して作成されたものです。 この「職場環境改善ヒント集」の主要項目を表1に、「職場環境改善ヒント集」の一覧表を表2に 示しました。「職場環境改善ヒント集」とその使用マニュアルは、ウェブから無料でダウンロー ドできます(厚労省「こころの耳」https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/)。

「職場環境改善のためのヒント集 メンタル

ヘルスアクションチェックリスト」の活用

職場環境改善のためのヒント集とは

1

1

表1 職場環境改善のためのヒント集(アクションチェックリスト)の項目(文献1,2) 6つの改善技術領域 具体的な改善視点(抜粋) A 作業計画への参加と情報の共有 少人数単位の裁量範囲,過大な作業量の調整,情報の共有 B 勤務時間と作業編成 ノー残業日などの目標,ピーク作業時の作業変更,交代制, 休日 C 円滑な作業手順 物品の取り扱い,情報入手,反復作業の改善,作業ミス防止 D 作業場環境 温熱・音環境,有害物質対応,受動喫煙の防止,休養設備, 緊急時対応 E 職場内の相互支援 上司・同僚の支援、チームワークつくり,仕事の評価, 職場間の相互支援 F 安心できる職場のしくみ 訴えへの対処,自己管理の研修,仕事の見通し, 昇格機会の公平化

参照

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