なりた
めんたるへるす
第19号(平成 22年 9月)
編集・発行
成田市精神保健福祉推進協議会 〒286-8585 成田市花崎町 760 成田市役所障がい者福祉課内 TEL0476-20-1539 FAX0476-24-2367
記事一覧
◇ 成田精神保健福祉セミナー(平成 22 年3 月開催)
◇ 成田精神保健福祉フォーラム(平成22年 7 月開催)
◇ 「あじさい工房に通って」~あじさい工房利用者からの寄稿
◇ 精神障害者家族会「なりた会」
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~成田精神保健福祉セミナー
報告~
テーマ
「精神障がい者の在宅支援」
~ホームヘルパーの援助事例より~
成田市精神保健福祉推進協議会では、平成 22 年3月9日(火)午後1時30分か
ら、成田市保健福祉館において、「成田精神保健福祉セミナー」を開催いたしました。
今回は、成田市内で日々精神障がい者の方々の日常生活を支援していただいている居
宅介護事業所から、援助の事例をご発表いただきました。
訪問介護事業所新町玲光苑 サービス提供責任者 鈴木氏報告
平成16 年10月に訪問介護事業所が開所しました。ヘルパーは全部で29名。4名 は新人です。利用者のうち精神疾患を有する方は8名で、継続して入っているのは6 名です。(身体の障がいを主たる理由としてサービスを利用している方は20名)
『精神障がい者の居宅支援はコンスタントに入れるようになれば、8割は成功と思
ってよい。』と聞いたことがあります。精神疾患のある方はそれくらい他人が入る事
に抵抗があります。人に見られたくないところに入る、恥ずかしさや負い目を感じて
いる、そこを理解して係わる事が大事だと感じています。
・事例①:統合失調症(女性)、家族と同居。
初めて係わるときは、怖いと思いました。週1回の家事援助で、1週間後に行くと 援助前と同じように散らかっていました。人懐こい方で、「私みたいなのはいらない
よね」と言います。時に包丁を持ち出して、「死のうと思うの」と言われたこともあ
りました。本当に死にたいわけではない、慰めてもらいたい、説得するのではなく、
「そうなんだ・・辛いんだ・・」とただ気持ちを受け止めてもらいたい、その人・人
間を受け止めてもらいたいのだと思えるようになりました。怖かった最初の気持ちは
親近感に変わって行きました。
外に出ることが苦手な方で、病院は歩いて行ける距離なのにタクシーを使っていま
した。ヘルパーが入る事には同意していただき、パソコンや料理・時事問題等いろい
ろ教えてくれました。ある日様子がいつもと違い、いつも寝ていない時間に寝ていま
した。よく聞くと服薬していないことが分かり、受診に同行しました。
・事例③:統合失調症(女性)
人が来ることが苦手で、ヘルパーが入るときは前日から“世間話は何を話そうか”
など準備しています。ヘルパーが入ることに気を使わせない声かけも重要です。
自分の好きなものは買いにいけるけれどご飯のおかずは買いに行けない。わがまま
と周囲から見られる。本人もわかる。これが苦しいのです。「そうなんだ・・辛いん
だよね・・」と受け止めます。一緒に悲しくなってはダメ。その気持ちに添えればよ
い。気持ちを汲んであげようと係わっていることを理解していただき、一緒に生活し
て行こうというスタンスで係わっています。
生活クラブなりた介護ステーション 島尻氏報告
ヘルパーは27 名、サービス提供責任者が 3名、常勤ヘルパー2 名、他非常勤スタ ッフがいます。障がい者の利用は100名位あり、精神疾患を有する方は8名です。平 成16年から『精神障害者ホームヘルプ研修』を受けて身近な病気とわかりました。 ・事例①:神経症(高齢の女性)。独居。
入浴介助と家事援助で週1回の契約です。強いこだわりがあり食器の洗い方や浴室 の洗い方も細かく確認します。本人もヘルパーもとても疲れてしまいます。
・事例②
子どもへの虐待があるかも・・・と見守りと子育て支援での訪問となりました。味
噌汁を作ってあげたい、という思いがあっても作ると焦がしたり最後までできなかっ
たり。ヘルパーは料理を一緒に作ろうと係わり、あなたには愛情があるんだね・・・
と伝えます。あとは、ただひたすら聴いて聴いての係わりです。
・事例③:うつ病
買い物に行ってからだに良いもの、安全なものを選ぶ方でした。ある時、作り置き
のおかずを食べなくなり、コーラばかりを飲むようになりました。本人は何でもない
と言いましたが、ヘルパーの勧めで内科を受診したら重大な病気が発見されました。
コーデイネーター:成田地域生活支援センター 橋本氏
家事援助はその方に付き添って行います。生活に付き添う、病状に付き添うことを
しながら生活を支えていくのです。体を動かしながら口と耳もフルに使います。関係
性ができてくると支援の中で相談が多くなってきます。分業していく必要性がありま
す。相談は地域生活支援センター等も請け負います。また、必要に応じてサービス利
用計画を指定相談事業所に依頼し、ケアのマネジメントの中心を担ってもらいます。
ホームヘルプは自立していける力をつける支援です。例えば「ご飯を作れない」と
ばいいという事ではなく、外から人が入って動いていく力も大切です。
障がい者福祉課 高橋課長
障がい者のホームヘルプサービスの申し込みは、本人・通院先のケースワーカー・
家族・民生委員さんからの相談や・退院時に家に帰る準備としての導入等があります。
民生委員さん達が「暮らしぶりが大変そう」「家の中が混乱している」「地域で気に
なる方がいる」等気になる方がいたら市の障がい者福祉課にご連絡をください。
市も、いろいろな人と役割分担をしながら、地域での取組みをやっと始めたところ
です。
最後に司会から、居宅介護は本人支援だが、同時に家族がうまく回る支援でもあり
ます。また、その人の生活の中での存在感を見いだす、本人がそこにいるという価値
観への支援でもあります。支援者が持つ問題を分担することで、楽な活動になる。と
総括していただきました。
~成田精神保健福祉フォーラム
報告~
テーマ「旭こころとくらしのケアセンターの取り組み
~現状と課題~
」
成田市精神保健福祉協議会では、平成22 年7 月 20日(火)午後 6時から保健福 祉館において「なりた精神保健福祉フォーラム」を開催いたしました。
今回のフォ ーラム は精 神障がい者 の方を 積極 的に地域医 療へつ なげ る取り組みを
行っている旭 こころと くらしのケア センター 師長の齊藤ク ニヨ氏と 総合病院国保旭
中央病院神経精神科・地域精神医療推進部医師の渡邉博幸氏にご講演いただきました。
国保旭中央病院 渡邉博幸氏のご講演
【方針の転換へ】
平成 17 年 銚子市の総合病院閉鎖が問題になり、全国的にも精神科病院及び病床 数は減少。旭中央病院も医師の退職に伴い、救急基幹病院にもかかわらず常勤医師が 3名になりました。業務量の削減を行う中で良質のサービスを提供する方向へ変換が 必要でした。病床数と外来患者数の削減を課題に、ここ 10 年地域医療を積極的に推 進してきました。
【目標】
2008年180床を1年で100床削減を目標としました。外来登録患者は月4,500名。 長期入院患者を地域に戻すことは非常に困難であるため、近隣の地域病院に 67 名 の転院を依頼した。外来では新しく旭中央病院の近くに精神科診療所を建設してもら
い、計画的な転院を推進し、最終的には800名の転院を予定しています。 【病院の取り組み】
り組ました。2009年度は90床に減少。外来は4,200名になりました。
旭中央病院 内に地 域精 神医療推進 部はい くつ かのプロジ ェクト グル ープに分かれ
ており、居住支援、退院促進、コミュニティケア実務グループ、訪問看護ステーショ
ンと連携するグループなど、スタッフが安心して地域移行の仕事ができるように工夫
しています。
サービスエリアは人口186,365人、外来エリアの移動距離は59.6Km。田舎地域で あり、訪問では長い距離を移動します。
病院の現状と経緯についてご講演いただきました。
旭こころとくらしのケアセンター(以下AKK)施設長 齊藤クニヨ氏のご講演 【アクトと訪問看護】
AKKは平成21年10月設立。旭中央病院とは6km離れています。
当初、看護師2名で設立。現在5名の看護師で3名がアクト、2名が訪問看護を実 施しています。
○旭中央病院とアクトとAKKとの連携
旭中央病院 の作業療 法士や精神保 健福祉士 の全面的な協 力体制と 医師や臨床心理
士の助言を受けています。ケアの共有度が非常に高く、迅速な支援が可能です。AKK と病院との電子カルテを共有することで、主治医の指示がスムーズに伝わります。
アクトと訪問看護の違い
アクト 訪問看護
加入基準 明確にあり 期限はなし なし
病名 統 合 失 調 症 、 躁 う つ 病 、 う つ 病
に限定 重症型の支援サポート
アクトの対象外となった者
自立支援医療利用者
年齢 18歳から65歳まで。 (65歳以上は介護保険へ)
なし
地域 旭、匝瑳市、銚子市 海匝地域に限定。他地域は要相談
病状 ①年 2 回入院あるいは 1 年以上 の入院、
②医療中断が3か月以上
③通院中だが長期引きこもり、
④グループホーム入居中だが、強力サ
ービスで独立した生活が可能
訪 問 基 準 は な く 旭 中 央 病 院 以 外 の
主治医も可能
担当人数 最大10名 最大35名 実施日 24時間のサポート
17時30分~翌日の8時30分と 土日祝祭日はオンコール体制
月~金の 9 時から 17 時 土日祝祭 日と年末年始は休み。土日祝祭日と
夜間はオンコール体制。緊急時は電
話にて対応。
サ ー ビ ス 内
容
服 薬 支 援 、 リ ハ ビ リ 、 社 会 支 援
などの多様なサービス
服薬支援、症状の管理と生活支援
スタッフ 看 護 師 3 名 、 精 神保健 福 祉 士 2 名、作業療法士1名と連携
○現状について
開設当初、登録者は男性23名 女性30名でした。平成22年6月末で77名の登 録で男女比は同じです。利用者年齢50代が一番多く32.5%。訪問件数は平成22年6 月末までの月平均が265件でした。
○メリットについて
(利用者)入院サービス利用が減少
利用者のQOLの向上
利用者と家族の満足度が高まる
(病 院)長期入院の減少
新入院患者の受け入れがスムーズ
(地 域)グループホームなどの居住プログラムの支援が可能
(行 政)利用者の医療費が一人当たり20%削減できる見込み ○課題について
・ チームの医師が欲しい
・ コストを気にせずに支援を行いたい。9か月実施しているが現状は赤字。 ・ 支援技術を向上させたいなど…。
カナダのバ ンクー バは 病院閉鎖に なると 国で 病院の予算 を地域 で使 えるシステム
が構築されています。日本も同様になって欲しい。私たちはカナダのような精神医療
を目指し、アクトの充実をしていきたい。地域に暮らすには就労施設、通院支援等、
様々なサービスが充実し、各事業所が連携できればと大変熱心に講演いただきました。
~あじさい工房に通って~
あじさい工房利用者から原稿を寄せていただきました。
あじさい工房に通うようになって、もう一年以上になります。今でこそ、作業所で
充実した日々を過ごしている私ですが、ここに至るまでには様々な紆余曲折がありま
した。この機会にその経過を皆さんにお伝えしたいと思います。
私はあじさい工房に通う数年前、引きこもりに近い状態を経験しました。とにかく
家から一歩外に出るのが、怖くてたまらず、病院に行くときのほかはひたすら自室に
こもって暮らしていました。当時の私は、外の世界を悪意に満ちた場所だと誤解して
いたのです。
道を歩けば、必ず誰かが私の悪口を言っているように感じました。たまに店で買い
物をすると、店員さんが陰で自分のことをあざ笑っているようにも感じました。
実際には、そんなことはありえないと頭では理解しているのです。しかし、一度そ
う思い込んでしまうと、足がすくみ、手が振るえ、のどが渇き、汗が出て、自分では
聞かず、何も感じないようにして、ただひたすら時間の経過を待つことだけでした。
こうして私はかたつむりのように自分の殻の中に閉じこもったのです。
私の場合、引きこもりの状態を経験したことは、一時的にせよ必要なことだったと
思います。そうやって外の情報を遮断することにより、自分を見つめなおすことがで
きましたし、何より心の平安を取り戻すことができました。もちろん、人はいつまで
もひきこもってばかりいることはできません。自分を守ってくれる両親は少しずつ年
をとっていきます。ただ、あの時、あせってがむしゃらに外の世界に出ても、いいこ
とはなかったろうな、と今の自分は思うのです。ひきこもりの時間は準備の時間。そ
ういう捉え方があってもいいと私は思います。
さて、私がどうやってひきこもりの時間から抜け出したかというと、それはいたっ
て単純なことでした。当時、私の母はパートに出ていて、帰ってくるといつもぐった
りしていました。その様子をひしひしと感じていた私は、たまには親孝行に家の手伝
いでもしてみようかな、と思いました。私の料理のレパートリーは非常に乏しかった
ので(何せ料理といえばカレーかシチューぐらいしか作ったことがない)何を作るか
迷いましたが、とりあえずカレーを作ることにしました。適当に野菜を刻んで、肉を
炒め、鍋でコトコト煮込み、ルーを入れる。それは大して美味しくもない普通のカレ
ーでしたが、母はそれでも大変喜んで食べてくれました。それ以来、私は少しずつ家
の手伝いをするようになりました。皿洗いをしたり、洗濯物を取り込んだりと、身体
を動かしているうちに、私は自分を少しずつ取り戻したのです。
もちろん、人によって引きこもりからの抜け出し方は違うでしょう。誰にでも普遍
的に適用できる方法などあるはずもありません。だから、これは私だけのひきこもり
からの抜け出し方です。もし仮に、あなたが引きこもってばかりいるのに嫌気が差し
ているのなら、この文章を参考にして自分だけの引きこもりからの抜け出し方を発見
してください。
最後に、この文章を読んでくださった方に心より感謝を込めて、筆をおきたいと思
います。皆さん、ありがとうございました。
~精神障害者家族会「なりた会」~
なりた会は、障がい者の家族として同じ悩みを持つもの同
士が、気兼ねなく実情や苦労を話すことで情報交換を行い、
障がいによって生じる様々な症状や生活態度への対応を体験
を通じ学び合うと共に、精神障がいについての理解をより一層深めて、家族自らが自
分を取り戻し元気に生活できるようにしようとするものです。
皆さんの参加をお待ちしています。
精神障害者家族会「なりた会」会長 佐久間富男