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〈 研 究 ノ ー ト〉
ドイ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・レ ポ ー ト分 析
ドイツ会計基準 と米国会計基準 の比較
戸 田 龍 介
目 次
1.は じ め に
2.ド イ ツ テ レ コ ム の 経 営 概 況 とそ の 分 析 3.2002年 度 の 会 計 方 針 に つ い て
4.GAAPに よ る 差 異 お よ び そ の 分 析 5.お わ り に
1.は じ め に
2003年1月1日,ド イ ツ 取 引 所(DeutscheB6rse)は 大 胆 な 資 本 市 場 改 革 に 踏 み 切 っ た 。 資 本 市 場 を プ ラ イ ム ・ス タ ン ダ ー ド と ゼ ネ ラ ル ・ス タ ン ダ ー ド に 二 分 化 す る と い う 改 革 を 行 っ た の で あ る 。 当 初 こ の 改 革 は,使 用 会 計 基 準 を 中 心 と し た 開 示 水 準 に よ っ て 優 れ た 企 業 群 と そ う で な い 企 業 を 選 別 す る 目 的 を 有 し て い る の で は な い か と 言 わ れ て い た1)。 し か し な が ら,両 ス タ ン ダ ー ド の 状 況 を 調 査 し た 結 果,資 本 市 場 二 分 化 に つ い て は 「選 別 」 と い う よ り 「救 済 」 と い う 指 向 が 強 い こ と を 指 摘 し た(戸 田[2004]34頁)。 つ ま り,ノ イ ア ・マ ル ク ト(NeuerMarkt)の 閉 鎖 計 画 を 受 け た 当 該 上 場 企 業 の 振 替 え 先 を 確 保 す る こ と と,当 該 企 業 の 売 買 高 復 活 が 改 革 の 背 景 に あ る こ と を 推 察 し た の で あ る 。 そ の 際,各 ス タ ン ダ ー ド内 で の 使 用 会 計 基 準 は 主 に ド イ ツ 取 引 所 の ホ ー ム ペ ー ジ 上 で 確 認 し た 。 結 果 と し て は,例 え ば プ ラ イ ム ・ス タ ン ダ0ド 内 で 国 際 財 務 報 告 基 準 (lnternationalFinancialReportingStandards,以 下IFRSと 記 す)使 用 が205社,米 国 に お い て 一 般 に 認 め ら れ た 会 計 原 則(GenerallyAcceptedAccountingPrinciplesintheUnitedStates,以 下USGAAPと 記 す)使 用 が137社,ド イ ツ 商 法(Handelsgesetztbuch,以 下HGBと 記 す)使 用 が41社 そ れ ぞ れ 確 認 さ れ た 。
さ ら に ゼ ネ ラ ル ・ス タ ン ダ0ド に お い て も,HGBだ け で な くIFRSやUS‑GAAP使 用 の 会 社 が か な り あ っ た こ と も 確 認 さ れ て い る 。
た だ し,こ れ ら は 主 に イ ン タ ー ネ ッ トで 調 査 し た 結 果 で あ る 。 こ こ で,イ ン タ ー ネ ッ ト上 公 開 さ れ て い る,あ る い は 雑 誌 な ど に 記 載 さ れ て き た 使 用 会 計 基 準 は 本 当 か と い う 疑 問 が 生 じ て く る2)。 こ れ ら は 本 来 ア ニ ユ ア ル ・ レ ポ ー ト等 に よ り確 認 し な け れ ば な ら な い の で あ る 。 さ ら に 使 用 会 計 基 準 を 確 認 で き た と し て,次 に そ れ が ど の 程 度 ま で 適 用 さ れ て い る の か と い う 疑 問 も 生 じ る 。 こ れ に つ い て は,各 個 別 項 目 を 精 査 し て 初 め て 確 認 で き る の で あ る 。 当 研 究 ノ ー トで は こ れ
ら の 作 業 の 対 象 と し て,ド イ ツ テ レ コ ム を そ の 姐 上 に の せ た 。 ドイ ツ テ レ コ ム を 調 査 対 象 に 選 択 し た 理 由 は,ド イ ツ を 代 表 す るDAX対 象 企 業 で あ る ば か り で な く,同 社 が ニ ュ ー ヨ ー ク 証 券 取 引 所(NewYorkStockExchange,NYSE)に 上 場 し て い る た めUS‑GAAPと の 調 整 表 を 出 し て い る こ と に あ る 。 従 っ て 当 研 究 ノ ー ト で は,ド イ ツ テ レ コ ム の ア ニ ユ ア ル ・レ ポ ー ト3)を 分 析 す る こ と を 通 し て,ド イ ツ 会 計 基 準 と 米 国 会 計 基 準 の 比 較 を 行 う こ と も 課 題 と し て い き た い 。
2.ド イ ツ テ レコム の経 営 概 況 と その 分 析
ド イ ツ テ レ コ ム は1989年 に 誕 生 し た わ け だ が,1995年 に は 私 法 上 の 株 式 会 社 に 組 織 変 更 さ れ,親 会 社 で あ る ド イ ツ テ レ コ ムAGは1995年1月2日 に ボ ン 地 方 裁 判 所(Amtsgericht)4)の 商 業 登 記 所 に 登 記 さ れ た(DT[2002]P.130.以 下 の 規 制 当 局 につ い て も全 て 同 ペ ー ジ に よ る)。2002年 末 決 算 時 点 に お い て,42.77%が ド イ ッ 連 邦 共 和 国 の 総 持 分 で あ る 。 こ の 内,ド イ ツ 連 邦 共 和 国 の
直 接 的 持 分 は30.75%で あ り,残 り の12.02%は 国 営 企 業 で あ る 復 興 金 融 公 庫(Kreditanstaltfur Wiederaufbau,照W)が 間 接 的 に 保 有 し て い る 。 た だ し,ド イ ツ 連 邦 財 務 省(8undesministeriumfUr Finanzen,BMF)は 税 収 不 足 の た め ドイ ッ テ レ コ ム 株 を 復 興 金 融 公 庫 に 売 却 す る こ と を 発 表 し,結 果 と し て 復 興 金 融 公 庫 の 持 分 は16.7%に な る 予 定 だ と い う(日 本 経 済 新 聞,2003.11.11.)。 規 制 当 局 に 関 し て は,ド イ ツ テ レ コ ム の 事 業 活 動 を 規 制 し て い る 機 関 と し て 通 信 郵 便 規 制 局 (Regulierungsbeh6rdefurTelek・mmunikati・nundP・st)が あ る が,活 動 の 開 始 は1998年1月1日 で あ っ た 。 同 規 制 当 局 は ド イ ツ 連 邦 経 済 労 働 省(BundesministeriumfurWirtschaftandArbeit,BMWA)
の 規 制 下 に あ る 。 ま た,ド イ ッ 連 邦 共 和 国 は,保 有 株 式 の 管 理 と株 主 と し て の 権 利 行 使 を ド イ ツ 連 邦 郵 便 通 信 公 庫(BundesanstaltfiirPostandTelekommunikation)を 通 じ て 行 っ て い る 。 同 機 関 は,
ド イ ッ 連 邦 財 務 省 の 監 督 下 に 置 か れ て い る 。
ド イ ツ テ レ コ ム は,ロ ン ・ゾ ン マ ー 元 社 長 が 就 任 し て か ら は 英 米 型 経 営 で 拡 大 路 線 を 突 き 進 ん で い っ た 。 株 価 上 昇 を 前 提 と し た 株 式 交 換 方 式 も 用 い て,次 々 に 企 業 買 収 を 仕 掛 け た の で あ る5)。 し か しITバ ブ ル の 崩 壊 後 は 株 価 低 迷 で こ の 米 国 型 の 買 収 手 法 が い き づ ま り,ま た 既 買 収 先 企 業 の 評 価 損 も 響 き2001年 度 ・2002年 度 と も 最 終 赤 字 を 計 上 し て し ま っ た(日 本 経 済 新 聞,2001.7.13.)。 特 に2002年 度 は,約246億 ユ ー ロ と い う ド イ ッ 企 業 最 大 の 赤 字 を 出 す に 至 っ た 。 国 民 株 と し て も て は や さ れ た ドイ ッ テ レ コ ム の 株 価 も,一 時 は ピ ー ク 時 よ り 約9割 も 下 落 し て し ま っ た 。 こ れ に よ り,ド イ ッ 政 府 は 筆 頭 株 主 と し て ゾ ン マ ー 元 社 長 の 解 任 に 動 い た 。2002 年7月16日 に ゾ ン マ ー 氏 が 辞 任 発 表 し た 後 は,ヘ ル ム ー ト ・ シ ー ラ ー 氏 が 暫 定 社 長 を 勤 め た が,現 在 は カ イ ウ ベ ・リ ッ ケ 氏 が 社 長 で あ る 。 カ イ ウ ベ ・ リ ッ ケ 氏 は,2002年11月15日 付 で 最 高 経 営 責 任 者(CEO)に 任 命 さ れ て い る 。2001年 初 頭 か ら2003年 末 に 至 る ド イ ツ テ レ コ ム 株
の 株 価 推 移 に つ い て,表 一1で 示 す 。
ドイ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・ レ ポ ー ト分 析193 表 一1ド イ ツ テ レ コ ム の 株 価 推 移
蕪UF毒 勲臨 灘
藷蕃
艶o
電蕊
唯噂
羅 鱒 馨
(出 所:http:〃deutsche‑boerse.com/)
灘
ド イ ツ テ レ コ ム グ ル ー プ の 事 業 は,T一 コ ム,T一 シ ス テ ム ズ,T一 モ バ イ ル,T一 オ ン ラ イ ン の4つ の 部 門 か ら構 成 さ れ て い る 。 人 員 構 成 上 は,各 部 門 のCEOが ドイ ツ テ レ コ ム グ ル ー プ の 取 締 役 会 メ ン バ ー に な っ て い る 。 以 下 の 表 一2に お い て,簡 単 な 事 業 組 織 図 お よ び2002年 度 決 算 に お け る 各 部 門 の 売 上 構 成 比 率(DT[2002]p.142.)を 括 弧 内 で 示 し6),次 い で 各 部 門 の2002年 度 の 状 況(DT[2002]p.130.)を 簡 略 に 提 示 す る 。
表 一2ド イ ツ テ レ コ ム の 組 織 図 と売 上 構 成 比
1
1ド イ ツ テ レ コ ム グ ル ー プ 【
i
i 1 i
lT一 コ ム (47) lT一 シ ス テ ム ズ(15) lT一 モ バ イ ル(34) 1T一 オ ン ラ イ ン(3)1
T一 コ ム
固 定 回 線 電 話 を 主 力 事 業 と す る 。 マ タ フ(ハ ン ガ リー,国 有 電 気 通 信 会 社),ハ ー バ チ ェ ク ・テ レ コ ミ ュ ニ カ シ(ク ロ ァ チ ァ),ス ロ ベ ン ス ク ・テ レ コ ミ ュ ニ カ シ(ス ロ バ キ ァ)等 の 株 式 を 保 有 。 特 に ク ロ ア チ ア に は 投 資 を 拡 大 し て い る 。 な お,人 員 削 減 の 主 要 な 対 象 部 門 で あ る 。
T一 シ ス テ ム ズ
大 ロ 顧 客 対 象 の デ ー タ 通 信 お よ び シ ス テ ム ・ソ リ ュ ー シ ョ ン な ど の 情 報 技 術(IT)を 主 力 事 業 と す る 。 日 本 で は,2002年1月 に ドイ ツ テ レ コ ム ・ジ ャ パ ン 株 式 会 社 の 別 法 人 と し てT一 シ ス テ ム ズ ・ジ ャ パ ン株 式 会 社 が 設 立 さ れ て い る 。
T一 モ バ イ ル
携 帯 電 話 を 主 力 事 業 と す る 。 ド イ ツ,オ ー ス ト リ ア,英 国,米 国,オ ラ ン ダ,チ ェ コ,ロ シ
ア,ポ ー ラ ン ドの8力 国 で 子 会 社 お よ び 関 係 会 社 を 展 開 し た 。T一 モ バ イ ル ・イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ルAGが 持 株 会 社 と な り,以 下 の5社 は 完 全 子 会 社 で あ る 。T一 モ バ イ ル ・ ド イ ッ チ ュ ラ ン ト Gml)H(ド イ ツ),T一 モ バ イ ル ・オ ー ス ト リ アGmbH(オ ー ス ト リ ア),T一 モ バ イ ルUKLtd.(英
国,旧 ワ ン ・ツ ー ・ワ ン,1999年 買 収),T一 モ バ イ ルUSAinc(米 国,旧 ボ イ ス ス ト リ ー ム,2001年 買 収)Yベ ン ・ネ ー デ ル ラ ン ド(オ ラ ン ダ)。 ラ ジ オ モ ビ ルa.s.(チ ェ コ)は 過 半 数 株 式 所 有 。MTS(ロ
シ ァ〉 お よ びPTC(ポ ー ラ ン ド)の 株 式 も 所 有 し て い る 。 な お,2003年7月7日,イ タ リ ア 通 信 最 大 手 テ レ コ ム ・イ タ リ ア,ス ペ イ ン 通 信 最 大 手 テ レ フ ォ ニ カ と包 括 的 な 提 携 関 係 を 結 ぶ こ と で 合 意 し た 。 世 界 最 大 手 英 国 ボ ー ダ フ ォ ン を 上 回 り世 界 最 大 の 携 帯 電 話 サ ー ビ ス 市 場 を 形 成 す る こ
と に な っ た(JETRO一 ドイ ツ,2003.7.11)。
T一 オ ン ラ イ ン
イ ン タ ー ネ ッ ト ・サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ ー を 主 力 事 業 と す る 。T一 オ ン ラ イ ン ・イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ルAGを 親 会 社 と し て,在 外 子 会 社 は,T一 オ ン ラ イ ンat(オ ー ス ト リ ァ),ヤ ーcom(ス ペ イ ン),ク ラ ブ ・イ ン タ ー ネ ッ ト(フ ラ ン ス),お よ びT一 オ ン ラ イ ンch(ス イ ス)等 が あ る 。2000年 に 新 規 株 式 公 開 し て い る 。 な お,T一 オ ン ラ イ ン ・イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ルAGの ド イ ツ 取 引 所 ホ ー ム ペ ー ジ 上 で 確 認 さ れ た 使 用 会 計 基 準 はIFRSで あ っ た(戸 田[2004コ30頁)。
次 に,2002年 度 を 中 心 に 過 去 数 年 遡 っ た ドイ ッ テ レ コ ム の 経 営 状 況 を,貸 借 対 照 表 ・損 益 計 算 書 ・キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー 計 算 書 の 基 本 財 務 三 表 に よ り示 す 。 表 一3か ら表 一5の 財 務 諸 表 は,2002年 度 版 ア ニ ュ ァ ル ・レ ポ ー トと2001年 度 版 ア ニ ュ ア ル ・レポ ー トか ら該 当 項 目 と数 値 を原 文 通 り取 り出 して 作 成 した も の で あ る 。 損 益 計 算 書 と キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー 計 算 書 は1999年 度 か ら2002年 度 ま で4年 間 分 が 表 示 さ れ て い る が,貸 借 対 照 表 は2000年 度 か ら3年 間 分 だ け で あ る 。 これ は,ド イ ツ テ レ コム の ア ニ ュ ア ル ・レ ポ ー トに お け る 開 示 形 式 が 損 益 計 算 書 と キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー 計 算 書 は3年 間 分 で あ る の に対 し貸 借 対 照 表 は2年 間 分 で あ る た め,2001年 度 版 ア ニ ュ ア ル ・レポ ー トか ら遡 れ る 数 値 が そ れ ぞ れ1999年 度 と2000年 度 だ っ た た め で あ る。 な お,ア ニ ュ ア ル ・レ ポ ー トに よれ ば,基 本 財 務 諸 表 に は 株 主 持 分 計 算 書 お よび セ グ メ ン ト報 告 書
も含 まれ る が,こ こで は 基 本 財 務 三 表 を分 析 対 象 とす る こ と に した 。
2002年 度 決 算 の 最 大 の 注 目点 は,損 益 計 算 書 で 示 さ れ た 約246億 ユ ー ロ の 当 期 純 損 失 で あ る 。2001年 度 に す で に 約35億 ユ ー ロの 当 期 純 損 失 を計 上 して は い た が,2002年 度 に 計 上 され た 当 期 純 損 失 額 は ドイ ツ企 業 に お け る 過 去 最 大 の 赤 字 額 で あ っ た 。 損 益 計 算 書 に よれ ば,そ の 最 大 の 原 因 は 約369億 ユ ー ロ に の ぼ る 「有 形 お よ び 無 形 固 定 資 産 の 減 価 償 却 費(Depreciationandamor‑
tization)」で あ っ た 。 こ の 数 字 は 前 年 度 同 一 項 目 の 数 字 に 比 べ 約217億 ユ ー ロ も の 増 加 で あ っ た 。 「有 形 お よ び 無 形 固 定 資 産 の 減 価 償 却 費 」 の 中 で も,特 に 無 形 固 定 資 産 の 償 却 費 が 大 きか っ た こ とが 貸 借 対 照 表 か ら判 明 す る。 なぜ な ら,2001年 度 に 比 べ 有 形 固 定 資 産 は 約47億 ユ ー ロ の
ドイ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・ レ ポ ー ト分 析195 表 一3ド イ ツ テ レ コ ム 連 結 損 益 計 算 書
(会 計 期 間:1月1日 〜12月30日,単 位:百 万 ユ ー ロ) 2002年 度 2001年 度 2000年 度 1999年 度
純営業収益 53,689 48,309 4d,939 35,470
棚 卸 資 産 お よ び そ の他 の 資 産化 コス トの 変 動 534 879 864 947
営 業 収 益 合 計(Totaloperatingperfomlance) 54,223 49,188 41,803 36,417
その他 の営 業収益 3,901 6,619 11,002 1,871
商 品 仕 入 れ お よ び サ ー ビス 購 入 一14 ,418 一13
,477 一11
,950 一7
,667
人件費 一13 ,480 一12
,114 一9
,718 一9
,210
有形お よび無形 固定 資産の減価 償却費 一36 ,880 一15
,221 一12
,991 一8
,466
その他 の営 業費用 一14 ,110 一12
,151 一10
,424 一6
,872
財 務 収 益(費 用),純 額 一6 ,022 一5
,348 一1
,230 ..,
経 常 利 益(Resultsfromordinarybusinessactivities) 一26 ,'786 一2 ,504 6,492 3,184
特 別 利 益/損 失(Extraordinaryincome/10sses) 一 一 一159 一240
税 金 2,483 一808 一318 一1 ,420
税 引後利益/損 失 一一24 ,303 一3
,312 6,015 1,524
少 数株主持分 損益 ., 一142 一89 一271
当期純利益/損 失 一24 ,587 一3
,454 5,926 1,253
一株 当 た り利益/損 失(単 位:ユ ー ロ)
:・ 一 〇
.93 1.96 0.43
(DT[2002]p.124.お よ びDT[2001]p.122.よ り 作 成)
減 少 な の に 対 し て,無 形 固 定 資 産 は 実 に 約267億 ユ ー ロ も の 減 少 で あ っ た か らで あ る 。 巨 額 の 当 期 純 損 失 の 影 響 は,貸 借 対 照 表 の 資 産 側 だ け で な く資 本 側 に も及 ん で い る 。2002年 度 の 株 主 持 分 は 約354億 ユ ー ロ で あ っ た が,前 年 度 に 比 べ 約309億 ユ ー ロ も減 少 し た 。 利 益 準 備 金 も約50 億 ユ ー ロ取 り崩 され て い た 。
以 上 の 様 に,損 益 計 算 書 お よ び 貸 借 対 照 表 か ら は2002年 度 の 苦 し い 状 況 が 伝 わ る が,キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ..̲.計算 書 か ら は別 の 見 方 も可 能 と な る。 例 え ば 「営 業 活 動 に よ る 純 キ ャ ッ シ ュ(Net cashprovidedbyoperatrngactivities)」 は1999年 度 か ら2002年 度 に 至 る まで 順 調 に そ の 額 を伸 ば し て お り,2002年 度 に お い て も本 業 は依 然 好 調 で あ っ た こ と を 伺 わ せ る。 損 益 計 算 書 ・貸 借 対 照 表 に お い て 示 さ れ た 巨 額 の 当 期 純 損 失 に も か か わ らず,「 営 業 活 動 に よ る 純 キ ャ ッ シ ュ 」 が 順 調 に 推 移 した 理 由 と し て,「 有 形 お よ び 無 形 固 定 資 産 の 減 価 償 却 費 」 約369億 ユ ー ロ が 非 貨 幣 的 支
表 一4ド イ ツ テ レ コ ム 連 結 貸 借 対 照 表
(決 算 日12月31日, 単 位 百万 ユ ー ロ)
2002年 度 2001年 度 2000年 度
資産 の部
固定 資産
無形 固定 資産 53,404 ga,051 35,754
有 形 固定 資産 53,955 58,708 54,137
金融資産 4,169 7,957 16,715
111,528 146,71fi los,sas
流動 資産
棚 卸 資 産,原 材 料 お よ び消 耗 品 1,556 1,671 1,587
受取債権 6,258 6>826 7,159
その他 の資産 3,392 4,966 3,671
市場 性 ある有価証券 413 702 2,370
現 金預金 1,905 .. 1,893
13,524 17,033 16,680
前払費用,繰 延 費用お よび繰延税 金 771 813 956
資産合 計 125,823 164,562 124,242
負債 お よび資本 の部
株主持 分
資本金 10,746 1Q,746 7,756
資本剰余 金(株 式払 込剰余金) 50,077 49,994 24,290
利 益 剰 余 金(Retainedeamings) 248 5,179 398
前 期 繰 越 未 処 分(unappropriated)利 益 23 101 44
当期純利益(損 失) 一24 ,587 一3
,454 5,926
為 替換算 調整勘定 累計額 一5 ,079 一1
,572
少数株主 持分 3,988 5,307 4,3e2
35,416 ss30i 42,716
引 当 金(Accrual,見 越 項 目)
年金お よび類似債務 3,942 3,661 3,330
そ の 他 の 引 当 金 12,155 14,766 8,055
16,d97 18,427 11,385
負 債(Liabilities)
借 入 債 務(Debt) 63,044 67,031 60,357
そ の 他 の負 債 10>541 12,020 9,130
73,585 79,051 69,487
繰延収益 723 783 654
負債 お よび資本 合計 125,821 1fi4,562 124,242
(DT[2002]p.125.お よ びDT[2001]p.123.よ り作 成 。 な お,2001年 度 ま で は 「利 益 剰 余 金 」 と 「為 替 換 算 調 整 勘 定 累 計 額 」 は 合 算 後,「 利 益 剰 余 金 」 項 目 で 表 示 さ れ て い た 。)
ド イ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・ レ ポ ー ト分 析197 表 一5ド イ ツ テ レ コム 連 結 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー 計 算 書
(単位:百 万 ユ ー ロ)
2002年 度 2001年 度 2000年 度 1999年 度
当期 純利 益(損 失) 一24 ,587 一3,454 5,926 1,253
少 数株主持 分損益 284 142 89 271
税引後利益(損 失) 一24 ,303 一3
,312 6,015 1,524
有形 お よび無形固定資産の減価償却費 36,880 15,221 12,991 8,466
法 人税 一2 ,847 751 194 1,380
支 払 利 息 、 純 額 4,048 4,138 3,Q97 2,546
固定 資産 処 分 損 、 純 額 一428 一1,1as 一4 ,796 540
関連会社 からの損益 430 547 一1 ,890 265
その他の非貨 幣的取 引 1,144 一1,146 一2 ,661 28
資産化 された運転資本 の増 減 184 428 一1 ,791 一1 ,399
引当金の増減 1,410 一7.36 1,078 478
負債化 されたその他 の運転 資本の増減 101 761 1,391 243
法人税の還付収支 一15 10 一871 一2,040
受取配当 63 115 189 172
営 業 か ら生 じ た キ ャ ッシ ュ 16,667 16,271 12,946 12,203
支払利息 一6,112 一4,779 一3 ,873 一3,100
受取利息 1,908 442 927 485
営 業 活 動 に よ る純 キ ャ ッ シ ュ 12,463 11,934 10,000 9,588
キ ャ ッ シ ュ ・ア ウ ト フ ロ ー
無形固定資産への投資 一841 一1,021 一15 ,980 ..
有形固定資産への投資 一6,784 一9,847 一7 ,556 一5,093
金融資産への投資 一568 一498 一8 ,487 一3,480
連結会社への投資 一6,405 一5
,695 一4
,343 一12
,633 キ ャ ッ シ ュ ・イ ン フ ロ ー
無 形固定資産の処分 14 208 10 14
有形 固定資産の処分 !,304 1,146 655 171
金融資産の処分 1,130 3,514 4,474 888
連結 会社等の持株の処分 697 1,004 3,114 2
短期投 資お よび市場性あ る有価証券 の純 変動 226 4,440 401 2,328
そ の他 ユ,187 L,384 6
投 資 活 動 に よ る 純 キ ャ ッシ ュ 一10 ,040 一5
,365 一27
,706 一18
,684
短 期 債 務 の借 入 ・返 済 一10 ,012 ‐lo ,ass :1 一1,077
中長期債 務の借 入 11,677 13,949 19,708 1,833
中長期債 務の返済 一3,472 一6 ,589 一2,408 一1,687
配 当 に よ る支 出 一1,582 一1 ,905 一1,914 一1
,718
株式売却 に よる収 入 1 0 3,255 10,613
少数株 主持分 の変動 一47 0 2 1
財 務 活 動 に よ る純 キ ャ ッシ ュ 一3,435 一4 ,811 17,863 7,965
外 貨 換 算 レー トの 変 更 に よる 影 響 一14 一26 一29 一55
現金お よび現金 同等物 の純増 加(減 少) 一1 ,026 1,732 128 一1,186
現 金 お よ び現 金 同 等物 、 期 首 2,738 1,0as 878 2,064
現 金 お よ び現 金 同等 物 、 期 末 1,712 2,738 1,006 878
(DT[2002]p.128.お よ びDT[2001]A・126.よ り作 成)
出 と し て 当 期 純 損 失 に 足 し 返 さ れ た こ と が 大 き い 。 ま た,2002年 度 の 「投 資 活 動 に よ る 純 キ ャ ッ シ ュ」 は 約100億 ユ ー ロ の マ イ ナ ス で,こ れ も順 調 な 設 備 投 資 が 行 わ れ た こ と を伺 わ せ
る 。 こ の 項 目 で 注 目 し た い の は,2000年 度 に お け る 約277億 ユ ー ロ の マ イ ナ ス で あ る 。 特 に
「無 形 固 定 資 産 へ の 投 資(Cashoutflowsfrominvestmentsin‑intangibleassets)」 は 約160億 ユ ー ロ に の ぼ っ て お り,こ の 年 度 に 投 資 さ れ た 無 形 固 定 資 産 が2002年 度 に 大 幅 に 償 却 さ れ た 可 能 性 が 高 い こ と が 分 か る 。 な お,2002年 度 に お け る フ リ ー ・キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー(営 業 活 動 キ ャ ッ シ ュ ・フ m+投 資 活 動 キ ャ ッ シ ュ ・フm)を 独 自 に 算 出 す る と 約25億 ユ ー ロ と な り,例 え ば1999年 度 や 2000年 度 に お け る 様 な マ イ ナ ス(そ れ ぞ れ 一91億 ユ ー ロ,‑177億 ユ ー ロ)と は な っ て い な か っ た 。 従 っ て,ド イ ツ テ レ コ ム は2002年 度 に お い て ドイ ッ 企 業 に お け る 最 大 規 模 の 当 期 純 損 失 を 出 し
た と い っ て も,営 業 収 益(売 上)や 営 業 活 動 に よ る キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー な ど の 本 業 に か か わ る 数 字 は 順 調 に 推 移 し て い た わ け で あ る し,借 金 返 済 原 資 も あ る 程 度 確 保 さ れ て い た こ と に な る 。 こ れ ら の 状 況 を 一 表 に し た の が,以 下 の 表 一6で あ る 。 同 様 の 事 情 は,会 社 側 か ら 開 示 さ れ た 損 益 計 算 調 整 表(Rec・nciliationofthestatementofincome)か ら も 明 ら か で あ る 。 ドイ ツ テ レ コ ム が 同 表
で 伝 え た か っ た の は,大 赤 字 と い っ て も そ の 原 因 は 「戦 略 的 再 検 討(strategicreview)」(DT [2002]p.116.)と い う 経 営 判 断 の 結 果 に す ぎ な い と い う こ と で あ る 。2002年 度 の 損 益 計 算 調 整 表 に つ い て も 次 の 表 一7で 示 す 。
表 一6純 営 業 収 益 、 当 期 純 利 益(損 失)、 営 業 活 動 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー お よ び フ リ ー ・キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー
の 推移
純 営業収益 当 期純利益
501000
40,000
30,000
20,0ao
10,000
D
一10,000
一20,00D
一30,000
一40 ,000
(単位=百 万 ユ ー 口)1999年 度 2000年 度 2001年 度
営 業C/F フ リ ーC/F
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
a
一s,000
一10,000
一15,000
一20,000 2002年 度(単 位:百 万 ユ ー ロ) 一★ 一 純 営 業 収 益 一■ 一 当 期 純 利 益 □ 営 業 キャンシュ・フ ロー 囲 フリー ・キャンシュ・フロー
ド イ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・ レ ポ ー ト分 析199 表 一7損 益 計 算 調 整 表
(単 位:10億 ユ ー ロ)
2002年 度 特別 な影響
… 灘 難醗
両影響 除外後純営業 収益 53.7 53.7
棚 卸 資 産 お よ び そ の 他 の 資 産 化 コ ス トの 変 動 0.5 0.5
営業収益合 計 54.2 54.2
その他 の営 業収益 3.9 0.5 3.4
商 品 仕 入 れ お よ び サ ー ビ ス購 入 一14 .4 一14 .4
人件費 一13 .5 一 〇
.3 一 〇
.3 一12
.9
有 形お よび無 形 固定 資産の減価 償却 一36 .9
孟 竃 釜 需 茸 茎 轟 遷 茎識鉾 瞥 鮎赫 曲
一15 .5
その他 の営業 費用 一14 .1 ‐o .1 一14 .0
財 務 収 益(費 用),純 額 一6 .0 一1 .3 一 〇.3 一4
.4
経常 利益 一26 .8 一1 .1 一22
.0 一3
.6
税金 2.5 0.3 3.0 1
少数株 主持分損益 一 〇.3 一 〇
.3
「特 別 な影 響 」 に よ る効 果 を受 け た 純 利 益(損 失) 一24 .6 一 〇
.8 一19
.0 一4
.8
(出 所:DT[2002]p.117.「 戦 略 的 再 検 討(strategicreview)」 お よ び,戦 略 的 再 検 討 に よ る 「有 形 お よ び 無 形 固 定 資 産 の 減 価 償 却 」 部 分 に 網 掛 け し て あ る)
3.2002年 度 の会 計 方 針 に つ い て
当 章 で は,ド イ ツ テ レ コ ム が2002年 度 に 採 用 した 具 体 的 な 会 計 方 針 に つ い て 確 認 し,同 社 の 基 本 的 な 会 計 戦 略 を 明 らか に す る 。 方 法 と し て は,2002年 度 版 ドイ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・
レ ポ ー トに お い て 具 体 的 な会 計 方 針 に つ い て 記 述 の あ る箇 所 を抄 訳 し て提 示 す る。 最 初 に ドイ ッ テ レ コ ム の 使 用 会 計 基 準 を確 認 す る と,監 査 報 告 書 か ら はHGBで あ る こ と が 確 認 で き る。2社 の 監 査 法 人 が 提 出 し た 報 告 書 に は,「 ドイ ッ 商 法 に 従 っ た 連 結 財 務 諸 表 」(DT[2002]p .184.)あ る い は 「連 結 財 務 諸 表 は ドイ ツ の 適 正 な 会 計 原 則 に 従 っ て 」(同)い る と い っ た 記 述 が あ る 。 さ
ら に 具 体 的 に は,連 結 貸 借 対 照 表 お よ び 連 結 損 益 計 算 書 は,ド イ ツ 商 法 第298条 並 び に 第266条 お よ び275条 に従 っ た 勘 定 分 類 の 規 定 に よ り作 成 さ れ て い る の で あ る。 こ れ か ら見 て い く通 り US‑GAAPの 部 分 的 使 用 は あ る も の の,ド イ ツ テ レ コ ム の 使 用 会 計 基 準 は 基 本 的 に は ドイ ツ 商 法
(HGB)な の で あ る。
と こ ろ で,ド イ ツ テ レ コ ム で は ド イ ツGAAPと い う 言 葉 も 使 用 し て い る が,ア ニ ュ ア ル ・レ ポ ー ト に よ れ ば こ の 言 葉 はHGBを 指 し て い る(DT[2002]p.130.)。 た だ しHGB以 外 に 準 拠 す る
ド イ ツ 国 内 基 準 と し て 株 式 会 社 法(Aktiengesetz,以 下AktGと 記 す)お よ び ド イ ツ 会 計 基 準(Deut‑
scheRechnungslegungsstandards,以 下DRSと 記 す)7)が 挙 げ ら れ て い る の で,ド イ ツGAAPを,HGB
+AktG+DRSと 広 義 に 解 釈 す る こ と も 可 能 で あ ろ う 。 た だ し 当 研 究 ノ ー ト で は ア ニ ュ ア ル ・ レ ポ ー一 トに 従 い,ド イ ツGAAPと はHGBを 直 接 指 す も の と 解 し て い る 。
使 用 会 計 基 準 に 次 い でs連 結 方 針 を 簡 単 に 確 認 し て お く 。 資 本 連 結 も ド イ ツGAAPに 準 拠 し 簿 価 法 に よ り 実 施 さ れ る(DT[2002]p.136.)。 ドイ ツ テ レ コ ム の 連 結 財 務 諸 表 に は,ド イ ツ テ レ コ ムAGを 親 会 社 と し て,2002年12月31日 時 点 で 国 内101社,国 外206社 の 合 計307社 が 完 全 に 含 ま れ て い る 。 な お,ド イ ツ テ レ コ ム グ ル ー プ の 株 主 資 本,財 政 状 態 お よ び 経 営 成 績 か ら み て 重 要 性 が な い と い う 理 由 か ら,77社 の 非 連 結 子 会 社 が 含 ま れ て い な い 。 こ れ ら の 会 社 が ド イ ツ テ レ コ ム グ ル ー プ の 収 益(売 上),当 期 純 利 益 お よ び 資 産 合 計 に 占 め る 割 合 は1%未 満 で あ る 。
次 に ア ニ ュ ア ル ・ レ ポ ー トに 掲 載 さ れ て い た 会 計 方 針 を,研 究 開 発 費 の 処 理 方 法 か ら デ リ バ テ ィ ブ=金 融 商 品 に 関 連 し た 未 実 現 損 失 の 処 理 方 法 ま で 順 次 以 下 に 抄 訳 し て 示 す(DT[2002]pp.
138‐141.)o
研究開発費は発生時に全額費用化 される。
確 定 給 付 型 制 度 の 年 金 コ ス トは,SFAS87号 と一 致 す る予 測 単 位 積 増 方 式 を用 い て 数 理 計 算 的 に 計 算 さ れ て お り,SFAS132号 に 従 っ て 表 示 さ れ て い る 。 こ の 方 法 は,報 告 期 間 に お い て 累 積 さ れ る 給 付 債 務 の 現 在 価 値 総 額 を前 提 と して お り,賃 金 ・給 料 お よび 退 職 給 付 の期 待 さ れ る 増 加 分 を 考 慮 に 入 れ て い る 。 対 照 的 に,ド イ ッ 所 得 税 法(EStG)第6a条 に 従 っ た 最 小 発 生 方 式 は,従 業 員 の 労 働 期 間 全 体 に わ た る 費 用 の 認 識 を 意 図 し,賃 金 ・給 料 お よ び 退 職 給 付 の 期 待 さ れ る増 加 分 は 考 慮 に 入 れ て い な い 。
当 該 年 度 の 年 金 コ ス ト総 額 は,会 計 期 間 に 獲 得 さ れ た 退 職 給 付 の 基 本 的 コ ス ト(サ ー ビス コス ト),利 息 費 用 お よ び 数 理 計 算 上 差 異 の 償 却 費 を 含 み,年 金 債 務 を保 証 す る 資 産 に つ い て の 運 用 収 益 は省 か れ る 。US‑GAAPに 従 え ば,SFAS87号 に基 づ き年 金 債 務 を測 定 し た 結 果 と し て 追 加 最 小 負 債 を 開 示 す る 必 要 が 生 じ た な ら,こ の 特 別 項 目 は 「そ の 他 の 包 括 的 利 益(othercomprehen‑
siveincome)」 に 直 接 算 入 さ れ る。 ドイ ッGAAPに 従 っ た 連 結 財 務 諸 表 は 同 様 の 株 主 持 分 項 目 を 有 して は い な い 。 た だ し,追 加 最 小 負 債 の 変 動 は 費 用 計 上 さ れ る。
マ ー ケ テ ィ ン グ 費 は 発 生 時 に 費 用 化 され る。
法 人 税 は,繰 延 税 金 と同 様 に 当 期 未 払 税 金 も含 ん で い る 。 繰 延 税 金 は,税 務 報 告 お よ び 財 務 報 告
ドイツテ レコムの アニ ュアル ・レポー ト分析201 そ れ ぞ れ の 目的 で作 成 さ れ る 貸 借 対 照 表 に お け る 一 時 的 差 異 に起 因 し た,期 待 さ れ る将 来 の 税 効 果 の た め に 計 上 され る。 こ れ は,予 測 可 能 な将 来 あ る い は 期 待 され る純 営 業 損 失 の 繰 越 期 間 内 に お い て,還 付 が 期 待 さ れ な い 様 な 差 異 の 効 果 を 除 い て い る 。 認 め られ る 一 時 的 差 異 は,連 結 同 様 個 別 の 課 税 可 能 な会 計 実 体 に お い て も生 じ る可 能 性 が あ る 。 ドイ ッ テ レ コ ムAGに つ い て の 一 時 的 差 異 に 基 づ く繰 延 税 金 は,1996年1月1日 以 前 の 連 結 財 務 諸 表 に は 含 ま れ て こ な か っ た 。 な ぜ な ら,1995年1月1日 以 前 に は 同社 は 課 税 対 象 で は な く,か つ1995年 に は基 本 的 に 完 全 な 課
コ
税 免 除 の 恩 恵 を 受 け た た め で あ る 。
各 々 の 会 計 期 間 の 一 株 当 り利 益 は,当 期 純 利 益/損 失 を 当 該 期 間 に 流 通 して い る無 記 名 普 通 株 式 の 加 重 平 均 数 で 除 し て 算 出 さ れ る 。2001年 度 の 無 記 名 普 通 株 式 の 加 重 平 均 数 は,ボ イ ス ス ト リー ム/パ ワ テ ル の 買 収 の 一 部 と して の 株 式 発 行 お よ び2001年6月 .4日 に お け る フ ラ ン ク フ ル
ト ・ア ム ・マ イ ンで の 取 引 開 始 等 の 実 施 後,確 認 さ れ た 。
UMTSお よ びU.S.モ バ イ ル ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの ラ イ セ ンス を含 む 購 入 無 形 固 定 資 産 は 取 得 原 価 で 計 上 さ れ,見 積 耐 用 年 数 に わ た り定 額 法 で 償 却 さ れ る 。 資 本 連 結 の 結 果 生 じた 営 業 権 を含 む 取 得 し た全 営 業 権 は,見 積 耐 用 年 数 に わ た り定 額 法 で 償 却 され る 。
ド イ ツ テ レ コ ム は,営 業 権 が 相 当 な レ ベ ル(considerablelevel)計 上 さ れ て い る 子 会 社 に 対 し て 減 損 テ ス ト を 実 施 し て い る 。 こ れ ら の テ ス ト は 各 々 の 会 社 に お け る 営 業 権 の 算 定 に 基 づ い て お り, 割 引 現 在 価 値 法 を 用 い て 実 施 さ れ る 。
郵 政 改 革 第2号 法 に よ っ て 認 め ら れ て い た 様 に,1995年1月1日 に ドイ ツ テ レ コ ムAGに 移 管 さ れ た 有 形 固定 資 産 は,同 日同 社 の 開 始 貸 借 対 照 表 に お い て公 正 市 場 価 値(fairmarketvalue)で 計 上 さ れ た 。 しか し な が ら,1993年1月1日 以 降 に 購…入 さ れ た 有 形 固 定 資 産 に つ い て は 測 定 日 か らの 経 過 期 間 が 短 期 で あ る こ と か ら,そ れ らの1994年12月31日 付 帳 簿 価 額 は歴 史 的 原 価 主 義 に よ り認 識 され た 。 こ れ らの 資 産 に 適 用 され る残 存 耐 用 年 数 お よ び 償 却 方 法 は 変 更 され な い 。 開 始 貸 借 対 照 表 に お い て 示 さ れ た 公 正 市 場 価 値 は,取 得 原 価 と して 繰 り越 さ れ て き て い る。
そ の 他 の 有 形 固 定 資 産 は,取 得 原 価 あ る い は 自家 生 産 原 価 か ら定 期 的 な 減 価 償 却 費 を 控 除 した 額 が 計 上 さ れ て い る 。 建 設 仮 勘 定 は,配 分 原 価,材 料 費 ・製 造 間接 費 の 適 切 な 配 分 額 お よ び 建 設 期
間 に発 生 し た 利 息 を 直 接 含 ん で い る 。 一 般 管 理 費 は資 産 化 され な い 。
不 定 期 の 一 時 償 却(Nonscheduledwrite.down)は 資 産 価 値 に お い て 減 損 が 生 じ た 時 に 行 わ れ る 。 個 別 財 務 諸 表 に お い て 税 務 目 的 で 行 わ れ る 加 速 償 却(accelerateddepreciation)は,財 務 諸 表 の 情 報 価
値 を 増 加 さ せ る た め 連 結 財 務 諸 表 に お い て は 認 め ら れ て い な い 。
固 定 資 産 の 減 価 償 却 は,一 般 的 に 以 下 の 耐 用 年 数 に わ た り定 額 法 で 実 施 さ れ る 。
「無 形 固 定 資 産;3年 か ら22年 」 「営 業 権;3年 か ら20年 」 「建 物;25年 か ら30年 」 「店 舗 改 良 費 お よび ウ ィ ン ドウ デ ィス プ レイ;8年 」 「電 話 お よ び端 末 設 備;3年 か ら10年 」 「デ ー タ通 信 お よ び テ レ フ ォ ン ・ネ ッ トワ ー ク 関 連 設 備 等;4年 か ら10年 」 「ブ ロ ー ドバ ン ド関 連 設 備;15年 か ら35年 」 「テ レ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン施 設;3年 か ら10年 」 「工 場 お よ び 事 務 機 器 を含 む そ の 他 の 設 備;3年 か ら20年 」
期 中 に 建 物 を取 得 し た場 合 に は,そ の 建 物 が 役 務 に 供 せ られ る 月 の 初 め か ら減 価 償 却 され る 。 会 計 年 度 の 前 半 に 取 得 さ れ た 建 物 以 外 の 資 産 に つ い て は,獲 得 さ れ た 年 度 全 体 に わ た り減 価 償 却 さ れ る 。 こ れ に対 して,会 計 年 度 の 後 半 に 獲 得 さ れ た 資 産 に つ い て は,半 年 間 の減 価 償 却 が な さ れ
る。
取得原価 が低額 な項 目については購入年度 に費用化 され る。
修繕維持費は発生時 に費用化 される。
売 却 ま た は 処 分 さ れ た 固 定 資 産 は,目 的 適 合 的 な 帳 簿 価 額(取 得 原 価 あ る い は 自 己建 設 費 か ら減 価 償 却 累 積 額 を控 除)で 消 去(writeoff)さ れ る 。 利 得 あ る い は 損 失 は,売 却 収 入 と当 該 資 産 の 帳 簿 価 額 との 差 額 と し て損 益 計 算 上 認 識 さ れ る 。
金 融 資 産 は低 価 法 で 評 価 され る。 受 取 債 権 に 利 息 が 殆 ど あ る い は 全 く付 か な い な ら ば,そ れ ら は 現 在 価 値 純 額 で 計 上 さ れ る。 不 定 期 の 一 時 償 却 は,金 融 資 産 の 減 損 が 永 続 的 で あ る と想 定 さ れ る 時 の み に 実 施 され る。
購 入 し販 売 ま で 保 有 し て い る 原 材 料,消 耗 品 お よ び棚 卸 商 品 は,取 得 原 価 で 評 価 さ れ て い る 。 こ れ に対 して,仕 掛 品 お よ び完 成 品 は 製 造 原 価 で 表 示 され る 。 通 常 の 生 産 能 力 の 利 用 を前 提 とす る な ら ば,自 己 建 設 費 は,デ ー タ毎 に 適 切 に 配 分 され た 材 料 費 お よ び 製 造 間 接 費 さ らに は 定 額 法 に よ る減 価 償 却 費 ま で 加 味 した 特 別 な 製 造 原 価 と同 様 に,直 接 的 に材 料 費 お よ び 労 務 費 の 様 な 配 分 可 能 原 価 を含 ん で い る 。 一 般 管 理 費,販 売 費,年 金 を含 む 従 業 員 個 人 に対 す る任 意 の 給 付 お よ び 福 利 厚 生 費 は,自 己 建 設 費 に は 含 ま れ な い 。 棚 卸 資 産 の 帳 簿 価 額 は,決 算 日 に お い て 低 価 法 に よ り減 じ られ る 。 棚 卸 資 産 の 減 損 の 程 度 に よ り,陳 腐 化 引 当 金(obsolescenceprovisi・n)が 設 定 され る 。
ドイツテ レコムのアニ ュアル ・レポー ト分析203 受 取 債 権 お よ び そ の 他 の 資 産 は 名 目上 の 価 値 で 表 示 さ れ る 。 個 別 の リス ク は 受 取 債 権 の 適 切 な 個 別 評 価 の 修 正 を 通 し て,ま た 一 般 的 な 信 用 リス ク は 一般 的 評 価 の修 正 を通 して 説 明 さ れ る。 満 期
ま で1年 以 上 あ り,利 息 が 殆 ど あ る い は全 く付 か な い 項 目 に つ い て は 割 り引 か れ る。
市場性 ある有価証券 は決算 日において低価法で表示 される。
条 件 付 き資 本 増 加 に お い て 権 利 付 与 が な さ れ る ス トッ ク ・オ プ シ ョ ンは,権 利 付 与 日 で は な く, そ の オ プ シ ョ ンが 行 使 され る 日 に 貸 借 対 照 表 に計 上 され る 。 オ プ シ ョ ンが 行 使 され る 時,会 社 側 が 受 領 す る額 は,資 本 金 に お け る名 目増 加 額 お よ び株 式 払 込 剰 余 金 に お け る剰 余 額 と して 測 定 さ れ る。 こ れ らの 処 理 は,HGB第272条 第2項 第1文 に従 っ て い る。
年 金 引 当 金(accrualsf・rpension)お よ び 同 様 の 債 務(similarobligation)は,非 公 務 員(non‑civilser‑
vant)に 対 す る 債 務 を 基 礎 と し て い る 。 そ れ ら は,国 際 的 に 認 め ら れ た 予 測 単 位 積 増 方 式 に 従 っ た 数 理 計 算 上 の 方 法 を 用 い て 計 算 さ れ る 。 こ の 方 式 は,US‑GAAP(SFAS第87号)に 合 致 し て お
り,SFAS第132号 に 従 っ て 表 示 さ れ る 。
ドイ ツ テ レ コ ム は,数 理 計 算 上 の 評 価 とい う よ り も む し ろ 郵 政 改 革 第2号 法 に よ り確 定 さ れ た 年 間 相 当 額 を,現 在 お よ び 以 前 の 公 務 員 の た め の 年 金 基 金 に 拠 出 す る 義 務 を有 し て い る 。 同 法 は 1995年 に 有 効 と な っ た 。 各 期 間 に お け る義 務 額 は そ の 期 間 に お け る 費 用 と して 認 識 され る 。
納 税 引 当 金(pr・visi・nsf・r憾),さ ら に 偶 発 損 失 お よ び 環 境 問 題 に 伴 う 損 害 賠 償(envir・nmentalli‑
ability)の た め の 引 当 金 を 含 む そ の 他 の 引 当 金(otheraccruals)は,慎 重 な 商 業 実 務(prudentcom‑
mercialpractice)に 則 り 計 上 さ れ る 。 こ れ ら の 引 当 金 を 算 定 す る 際 に は,認 知 さ れ る 全 て の リ ス ク が 十 分 に 考 慮 に 入 れ ら れ る 。
繰 延 税 金 は,財 務 報 告 目的 お よ び税 務 報 告 目的 の た め に作 成 され る 貸 借 対 照 表 間 で 生 じ る一・時 的 差 異 の 期 待 され る 税 効 果 の た め に算 出 さ れ る 。 これ は,連 結 処 理 に よ り生 じた 一・時 的 差 異 に対 し て も 同 様 で あ る 。 繰 延 税 金 は 税 引 計 算 が な さ れ,税 引 後 繰 延 税 金 資 産 あ る い は 税 引 後 繰 延 税 金 負 債 が 税 金 の 発 生 に 応 じて そ れ ぞ れ 別 個 に 計 上 さ れ る。 繰 延 税 金 の 計 算 目的 の た め に,ド イ ツ テ レ
コ ム は 国 内 企 業 向 け の 結 合 税 レー トを 使 用 し て い る。 こ れ は ,ド イ ツに お け る法 人税,消 費 税 (ドイ ッの国内平均 レー トで)お よ び連 帯 税(S・lidaritatszuschlag)を含 ん だ もの で あ る 。 存 外 子 会 社 に 対 し て は,各 々 の 地 域 の税 率 が 使 用 さ れ る 。
費 用 性 引 当 金(costaccrual)は,HGB第249条 第1項 に よ り貸 借 対 照 表 に そ の 様 な 負 債 を示 す 責 務 が あ る場 合 に の み,ド イ ツ テ レ コ ム に よ っ て 設 定 さ れ る 。 同 法 は,主 に 会 計 年 度 に 関 連 す る 維
持 費 に つ い て の 引 当 金(accurualf。rcostofmaintenance)に 言 及 し て い る 。 し か し な が ら,次 年 度 の 最 初 の 三 ヶ 月 以 内 に 発 生 す る も の に 限 っ て い る 。
主 要 な 引 当 金 は 割 引 計 算 の 対 象 で は な い 。 た だ し,年 金 引 当 金 お よ び 同様 の 債 務,さ ら に 公 務 員 健 康 保 険 基 金 の 将 来 の 不 足 額 に対 す る 引 当 金 等 は 除 外 さ れ る 。
負 債 は,そ れ ら の 返 済 額 で 計 上 され る。 負 債 の 返 済 額 が 元 本 額 よ り大 き くな る 場 合 に は,そ の 差 額 は 資 産 と して 計 上 さ れ,負 債 期 間 に わ た り支 払 利 息 の 調 整 と し て 認 識 さ れ る 。
不 同 原 則(imparityprinciple)に よ り,未 実 現 利 益 は 実 現 す る ま で 繰 り延 べ ら れ る の に 対 し て, ヘ ッ ジ 会 計 に 限 定 さ れ な い デ リバ テ ィ ブ 金 融 商 品 に 関 連 した 未 実 現 損 失 は発 生 時 に認 識 さ れ る。
ドイ ツGAAPに 従 っ た 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 は,報 告 さ れ る 資 産 お よ び 負 債 の 帳 簿 価 額 に 対 し て,ま た決 算 日に お け る 偶 発 的 な 資 産 お よ び負 債 の 開 示 に対 して,さ ら に 報 告 期 間 に お い て 認 識 さ れ た 収 益 お よ び 費 用 の 金 額 に 対 し て,影 響 を与 え る様 な見 積 りお よ び 仮 定 をす る こ と を企 業 に 要 求 し て い る 。 実 際 の 結 果 は,そ う い っ た 見 積 り と は 異 な る こ と も あ り え る(会 計方 針 の 抄 訳 止)。
以 上 の 抄 訳 よ り,例 え ば 陳 腐 化 引 当 金 や 偶 発 損 失 お よ び 環 境 問 題 に 伴 う損 害 賠 償 の た め の 引 当 金,さ ら に は 費 用 性 引 当 金 な ど多 様 な 引 当 金 の 設 定 が,ド イ ッGAAPの 特 徴 で あ る と 指 摘 で き る 。 さ ら に,繰 延 が 考 え られ る項 目 に つ い て は 全 額 即 時 費 用 化 す る 方 針 で あ る こ と や,デ リバ テ ィ ブ 金 融 商 品 の 未 実 現 損 失 の み の 認 識 な ど,ド イ ツGAAPは 費 用 認 識 に積 極 的 で あ る こ とが 分 か る 。 さ らに,ド イ ツ テ レ コ ム が 選 択 した 会 計 方 針 を 見 て い く と,ド イ ツGAAP(HGB)だ け で な く,年 金 コス トの 計 算 等 にUSGAAPを 部 分 的 に使 用 して い た こ と も確 認 で き る。 さ ら に, 年 金 コ ス ト計 算 だ け で な く,2002年 度 に お い て は 営 業 権 お よ び 無 形 固 定 資 産 の 減 損 に つ い て も
ドイ ツGAAPで は な くUS‑GAAPで 計 上 し た こ とが 明 ら か に な る(DT[2002]p.185.)。 そ こ で 最 後 に,「 重 要 な 会 計 方 針 の 要 約 」 か ら,ド イ ッGAAPで は な くUS‑GAAPを 適 用 し た 部 分 に 絞 っ て 抄 訳 す る(DT[2002]p.131.)。
連 結 財 務 諸 表 に 採 用 さ れ て い る 会 計 方 針 は,親 会 社(ド ィ ッテ レコムAG)の 個 別 財 務 諸 表 で 採 用 さ れ て い る会 計 方 針 と異 な っ て い る 。 そ の 様 な 相 違 は,殆 どUS‑GAAPに 適 合 させ る た め 生 じ た
もの で あ り,以 下 の も の が 含 まれ る 。
一 税 務 上 の リ ー ス 規 定 で は な くUS‑GAAPに 従 っ て 所 有 に 伴 う リス ク と報 酬 が 移 転 す る リー ス 契
ドイツ テ レコムの アニュ アル ・レポ ー ト分析205 約(セ ー ル ・ア ン ド ・リースバ ック取 引 を除 く)に 基 づ く有 形 固 定 資 産 は 資 産 化 さ れ る 。 資 産 の 経 済
的 耐 用 年 数 あ る い は リー ス期 間 に わ た っ て 定 期 的 減 価 償 却 が 実 施 され る。 将 来 の リ ー ス 料 の 支 払 か ら生 じ る支 払 債 務 の 現 在 価 値 は,負 債 に 含 ま れ る 。
一 有 形 固 定 資 産 が 建 設 中 に発 生 す る利 息 は,当 該 資 産 の コ ス トの 一 部 と して 資 産 化 され る 。
一 年 次 財 務 諸 表 の 作 成 の た め の 内部 費 用 の 引 当 金 は計 上 さ れ な い。
一 投 資 助 成 金 は,資 産 の 取 得 原 価 の 控 除 と して 計 上 され る(「重要 な会計方針 の要約」抄 訳止)。
以 上 の 抄 訳 の 中 で 重 要 な こ と は,ド イ ツ テ レ コ ム の 基 本 的 な使 用 会 計 基 準 はHGBで あ っ て も,US‑GAAPり の 修 正 が 一 部 行 わ れ て い た こ と で あ る。 こ れ は つ ま り,次 章 の 調 整 表 に つ い て も,ド イ ツGAAPとUS‑GAAPの 純 粋 な 差 で は な く,一 部US‑GAAP寄 りに 修 正 さ れ た ドイ ツ GAAPとUS‑GAAPの 完 全 適 用 との 差 とい う こ と に な る。 た だ し,リ ー ス 資 産 の 計 上 等 は結 局 の と こ ろ行 わ れ な か っ た 。 上 記 のUS‑GAAP寄 りの 修 正 項 目 は,営 業 権 や 無 形 固 定 資 産 の 減 損 処 理 法 等 と は異 な り,実 際 の 計 算 数 値 に は 殆 ど影 響 を与 え て い な い もの ば か りな の で あ る 。 従 っ て, 上 記 の修 正 項 目 の 開 示 は,連 結 財 務 諸 表 を作 成 す る に あ た り個 別 財 務 諸 表 作 成 時 と は 異 な りUS‑
GAAPに 対 して 配 慮 した と い う 「宣 言 」 と見 な す こ とが で き よ う。 そ こ で 次 に,実 際 の 計 算 数 値 に影 響 を与 え る 会 計 方 針 の 相 違 に注 目 し,比 較 分 析 を行 っ て い く。
4.GAAPに よ る差 異 お よび そ の分 析
当 章 で は,ド イ ツGAAPとUS‑GAAPに よ る利 益 額 お よび 株 主 持 分 額 の 相 違 に 注 目 し,そ の 原 因 と な っ た 各 々 の 会 計 方 針 に つ い て 考 察 す る。 「ドイ ツ テ レ コ ム の 連 結 財 務 諸 表 に お け る 会 計 原 則 お よ び 評 価 原 則 とUS‑GAAPと の 相 違 は,殆 ど の 場 合US‑GAAPと は 異 な る ドイ ツGAAPの 使 用 を 義 務 づ け る 規 則 に よ り生 じた も の で あ る」(DT[2002]p.131.)か ら で あ る。 ま ず,ド イ ツ お よ びUS‑GAAPに よ る 利 益 額 の 違 い を 表 一8に お い て,次 い で ドイ ツ お よ びUS‑GAAPに よ る 利 益 額 の 調 整 表(2001年 度)を 表 一9で 示 す 。 こ こ で 注 意 し た い の は,ド イ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・レポ ー トの 表 示 形 式 が 変 化 した こ とで あ る。2001年 度 ま で は,個 別 項 目 に よ る 金 額 差 異 に つ い て も ア ニ ュ ア ル ・レ ポ ー トで 提 示 さ れ て い た 。 しか し な が ら,2002年 度 の ア ニ ュ ア ル ・1/
ポ ー トで は,個 別 項 目 に よ る差 異 を金 額 で は な く文 章 で 解 説 す る よ う に な っ た 。 従 っ て,当 研 究 ノ ー トで も個 別 項 目 の 金 額 の 差 異 ま で 計 上 され た 調 整 表 は2001年 度 ま で と し,2002年 度 ア ニ ュ ア ル ・レポ ー トに お け る解 説 を別 に表 一12に ま とめ た 。
次 に利 益 額 と同 様 に株 主 持 分 額 につ い て,ド イ ツ お よ びUSGAAPに よ る 株 主 持 分 額 の 違 い を 表 一10に,ド イ ツ お よ びUSGAAPに よ る株 主 持 分 額 の 調 整 表(2001年 度)を 表 一11に お い て そ
第39巻 第4号(2004.3)
表 一8ド イ ツGAAPお よ びUS‑GAAPに よ る 利 益 額 の 違 い
(単 位10億 ユ ー ロ)
会 計 年 度(12月31日 決 算) 2002年 度 2001年 度 2000年 度 1999年 度
当 期 純 利 益 一 ドイ ツGAAP 一24 .6 一3
.5 5.9 1.3
当 期 純 利 益US‑GAAP 一22 .0 0.5 9.3 1.5
(DT[2002]p.185.お よ びDT[2001]p.179.よ り作 成)
表 一9ド イ ツGAAPか らUS‑GAAPへ の 当 期 純 利 益(損 失)の 調 整
(単 位 百 万 ユ ー ロ)
2001年 度 2000年 度 1999年 度
ドイ ツGAAPに よ る 当 期 純 利 益(損 失) 一3 ,454 5,926 1,253
US‑GAAPへ の 調 整
固定 資産の評価 修正 443 2,792 一
モ バ イ ル 通 信 の ラ イ セ ンス 2,098 865 一
内 部 開発 ソ フ トウ ェ ア 166 95 163
希 薄化 利益 の影 響 一396 1,741 一
営業権 お よびその他 の資産の差異 一285 一97 5
商 号 の 一 時 償 却 1,040 一 一
付加価 値税 一27 一169 288
デ リバ テ ィブ お よ び 関 連 す る外 貨 換 算 差 異 一31 一X46 68
SFAS133号 の 適 用 370 『 一
人 事 再 編(リ ス トラ)の 発 生 la 一125 一97
固 定 資 産 の フ ァ イ ナ ンス 一42 一 一
事 業売却益 の繰延 27 ,・ 一
繰延 収益 .: 48 一1Z9
SAB101号 の 適 用,1999年12月31日 へ の 累 積 修 正 一 一869 一
資 本 調 達 コス ト 一 1ZO 238
ア セ ッ ト ・バ ッ ク 証 券 化 一71 一 一
持 分 を有す る被投 資会社へ の投 資 一182 62 一
負 債 の 完 全 連 結 に よる 影 響,税 引 後 純 額 一294 一116 一
そ の 他 の 相 違 253 一28 一32
法 人税等 1,066 .・ 一244
US‑GAAPに よ る 当期 純 利 益(損 失) 523 9,269 1,513
(出 所:DT[2001]p.179.原 文 で は 「負 債 の 完 全 連 結 に よ る 影 響 」 箇 所 にdebisと あ る が,こ こ で はdebts と解 し て い る)
表10ド イ ツGAAPお よ びUS‑GAAPに よ る 株 主 持 分 額 の 違 い
(単 位;10億 ユ ー ロ) 会 計 年 度(12月31日 決 算) 2002年 度 2001年 度 2000年 度
株 主 持 分 一 ドイ ツGAAP 35.4 66.3 42.7
株 主持 分 一US‑GAAP 45.4 73.7 46.1
(DT[2002]P'185.お よ びDT[2001]p、179.よ り 作 成)
ドイ ツ テ レ コ ム の ア ニ ュ ア ル ・ レポ ー ト分 析207 表 一11ド イ ツGAAPか らUS‑GAAPへ の 株 主 持 分 の 調 整
(単 位:百 万 ユ ー ロ)
2001年 度 2000年 度
ドイ ツGAAPに よ る株 主 持 分 66,301 42,716
USGAAPへ の調 整
固定資産 の評価 修正 3,235 2,792
モバ イ ル通 信 の ラ イ セ ンス 2,963 865
内 部 開 発 ソ フ トウ ェ ア 438 272
希 薄化 利益 の影 響 1,345 1,741
営業権 お よびその他 の資産 の差異 2,672 1,001
商 号 の 一 時 償 却 1,062 一
市場 性ある有価 証券 の未実現利益 580 2,503
付加価 値税 一 27
デ リバ テ ィ ブ お よ び 関 連 す る外 貨 換 算 差 異 29 一154
SFAS133号 の 適 用 338 一
人事 再 編(リ ス トラ)の 発 生 22 12
固 定 資 産 の フ ァ イ ナ ンス 一一42 0
事 業売却益 の繰 延 一321 .・
繰 延収益 一1 ,1.44 ..
SAB101号 の 適 用,1999年12月31日 へ の 累 積 修 正 一 一869
ア セ ッ ト ・バ ッ ク 証 券 化 一71 一
持 分 を有す る被 投 資会社 へ の投 資 一117 56
負 債 の 完 全 連 結 に よ る 影 響,税 引 後 純 額 一410 一116
そ の 他 の相 違 82 40
法 人税 等 2,049 一40
少 数株 主持 分 一5 ,307 一4
,302
US‑GAAPに よ る株 主 持 分 73,704 46,108
(出所:DT[2001]p.180.当 期純利 益 の調整 表 と比べ,「市場 性 あ る有 価証 券 の未実 現利益 」お よび 「少 数 株主持 分」項 目が加 わ り,「資本調達 コス ト」が 除かれ てい る)
れ そ れ 示 す 。 株 主 持 分 額 の 調 整 表 が2001年 度 ま で しか な い の は,表 一9と 同様 の 理 由 に よ る 。 2001年 度 に つ い て は,ド イ ツGAAPで 計 算 さ れ た 結 果 は 赤 字 な の に,US‑GAAPで 計 算 さ れ た 結 果 は 黒 字 で あ る。 そ の 原 因 と して,「 モ バ イ ル 通 信 の ラ イ セ ン ス 」 「商 号 の 一 時 償 却 」 「法 人 税 等 」 な どが 挙 げ ら れ る 。 特 に 「モ バ イ ル 通 信 の ラ イ セ ン ス 」(の 償 却一戸 田)は 金 額 の 差 異 を生 ん だ 最 大 の 項 目で あ っ た 。2000年 度 に つ い て は,当 期 純 利 益 お よ び 株 主 持 分 と も金 額 の 差 異 を 生 ん だ 最 大 の 項 目 は 「固 定 資 産 の 評 価 修 正 」 で あ っ た 。 こ こ で,調 整 を 必 要 とす る ドイ ツGA鯉 とUS‑GAAPと の 会 計 方 針 全 体 の 違 い を,ド イ ツ テ レ コ ム の2002年 度 ア ニ ュ ア ル ・レ ポ ー トに 基 づ き次 の 表 一12で 示 す 。 な お,表 記 以 外 の 経 常 的 な 差 異 項 目 と し て,「 事 業 売 却 益 の 繰 延 」
「ア セ ッ ト ・バ ッ ク証 券 化 」 「デ リバ テ ィ ブ お よ び被 投 資 会 社 へ の 投 資 に 関 す る 会 計 処 理 」 が 指 摘 され て い る。
表 一12に お け る 調 査 に よ り指 摘 で き る こ と は,ド イ ッGAAPはUS‑GAAPよ り,費 用 計 上 を 早 く行 い か つ 資 産 価 額 切 り下 げ 幅 を大 き くで き る 可 能 性 を有 して い る こ とで あ る 。 つ ま り,費 用
表 一12当 期 純 利 益 お よび 株 主 持 分 に 影 響 を 与 え る ドイ ツGAAPとUS‑GAAPの 相 違(2002年 度)
項 目 ドイ ツGAAP US‑GAAP
保 有不動 産の評価 減 評 価 減 を行 う(土 地 ・建 物 の 強 制 評 価 減) 利 用 目的 の保 有 と分 類 され れ ば 要 求 さ れ な い
不 動 産 の セ ー ル ・ア ン ド ・ リ ー ス バ ッ ク
不 動 産 売 却 損 益 お よび 賃 借 料(オ フ ・バ ラ ンス 処 理)
支払 利息 お よび減価償却 費の継続(資 金調 達処理)
企 業 結合 時 の 買収 総 額 (営業 権の評価)
繰 延 税 金 を含 ん だ 対 象 資 産 お よ び 負 債 の 評 価,発 行 済 株 式 お よ び ス ト ッ ク ・オ プ シ ョン(企 業 結 合 時 に発 行 さ れ る子 会 社 株 式 を含 む)の 評 価 等 に よ り相 違 が 生 じる 営 業 権 お よび その 他 資
産の減損
営 業 権 お よび 耐 用 年 数 が 無 期 限 で あ る 無 形 固 定 資 産 を評 価 減 した が,本 来 相 違 が 生 じて い る(し か し ドイ ツ テ レ コム は,2002年 度US‑GAAPの 変 更 に 基 づ き,ド イ ツ GAAPで は な くUSGAAPで 計 上)
商標名 の評価(償 却) 無 形 固 定 資 産 を一 括 償 却(買 収 子 会 社 の 商 標 名 をTモ バ イ ルへ 商 標 変 更 した た め)
計 上 さ れ ず(USGAAPの 減 損 基 準 を 満 た さ なか っ た た め)
モ バ イ ル 通 信 ラ イ セ ン ス の 償 却
取 得 時 に償 却 を 開始 し,予 想 利 用 年 数 に わ た っ て 継 続 的 に 償 却
ネ ッ トワ ー ク が サ ー一ビ ス用 に設 置 され た 時 点 で 償 却 開 始
モ バ イ ル ・ネ ッ トワ ー ク建 設 に 関 連 す る 借 入 債 務 に対 す る 利 息
費用 計上 建 設 期 間 に お い て 資 産 計 上 さ れ,そ の
後 予 想 利 用 年 数 に わ た り償 却 モ バ イ ル 通 信 ラ イ セ ン
ス の 減 損
本 来 相 違 が 生 じて い る(し か しな が ら,ド イ ツ テ レ コ ム は ライ セ ンス の 減 損 に つ い て は 営 業 権 と同 様 に2002年 度 はUS‑GAAPで 計 上)
希 薄化利益 の認識 子会社 または関連会社 に よる現 金に対す る 株式 発行時 には認識す るが,事 業買収対価 な どのた めの株 式発行 時 には認 識 しない
現金 に よる取 引お よび非 貨幣取 引の双 方 におい て希 薄化 利益 を認識す る
繰 延収益 商 品 の 引 渡 し また はサ ー ビス の提 供 が 発 生 した期 間 に収 益 を認 識
一 部 の初 期 費 用 お よ び 臨 時 収 益 並 び に 関 連 す る 直 接 費(繰 延 収 益 の 範 囲 ま で)は 繰 り延 べ られ,顧 客 と の予 想 契 約 期 間 に わ た り償 却 さ れ る 。 ま た,そ の 他 の 契 約 の一 部 に係 る収 益 は繰 り延 べ られ,契 約 期 間 に わ た り償 却 さ れ る 繰 延税 金 非 課 税 期 間 に 生 じた 一 時 差 異 お よび 予 見 で
きる 将 来 にお い て 解 消 が 予 想 さ れ な い 一 時 差 異 に 関 す る繰 延税 金 は 認 識 さ れ な い
全 て の一 時 差 異 に 関 して繰 延 税 金 は 認 識 さ れ る 。 さ らに,純 営 業 損 失 に起 因 す る繰 延 税 金 を 認 識 しな け れ ば な らな い
内 部 開 発 ソ フ トウ ェ ア の 資 産 化
流 動 資 産 と して の 資 産 化 は,原 価 が 識 別 可 能 な顧 客 関 連 プ ロ ジ ェ ク トに結 び つ く場 合 にの み 認 め られ る
技 術 的 実 現 可 能 性 が 明 らか に な っ た 後 は,資 産 化 し な け れ ば な らな い
市 場性 あ る有 価 証 券 の 未 実現 利益
投 資 有 価 証 券 は,時 価 と原価 の い ず れ か 低 い 額 で計 上 さ れ る 。 損 益 を準 備 金 で 認 識 す る こ とは 認 め られ て い な い
投 資 目的 で 保 有 して い る市 場 性 あ る持 分 証 券 と全 て の負 債 証 券 は,経 営 者 の 意 図 に基 づ い て,ト レー デ ィ ン グ 目的 の 証 券,売 却 目的 の 証 券,満 期 ま で保 有 す る証 券 の いず れ か に分 類 し な け れ ば な らな い 。 満 期 まで 保 有 す る証 券 以 外 の 未 実 現 利 益 は 認 識 さ れ る
(DT[2002]pp.185‑186。 よ り 作 成 。 ア ー サ ー ア ン ダ ー セ ン 編[2000]104,105,128,131頁 参 照)