研究論文
「 多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る
雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と課 題 」
桐 村 晋 次 野 澤 淳 平
は じめ に
本 稿 の 目的 は 、 現 在 雇 用 環 境 が 悪 化 し て い る現 状 を捉 え 、 現 在 整 備 さ れ て い る雇 用 の セ ー フ テ ィ ・ネ ッ ト機 関 の 各 機 能 を 整 理 しな が ら、 現 状 把 握 と課 題 発 見 を お こ
な う こ と を 目的 とす る 。
雇 用 の セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トが 必 要 な 現 状 に つ い て は 、 日本 の 経 済 状 況 の 悪 化 、 雇 用 に対 す る 意 識 が 各 世 代 ご と に変 化 して い っ て い る と い っ た こ とだ け で は な く、 国 際 的 に も拡 大 しつ つ あ る就 業 形 態 の 多 様 化 に如 何 に対 応 す る か とい う視 点 か ら研 究 課 題 と な っ て き て い る 。 そ こ で 、 本 稿 で は 、 現 在 整 備 さ れ て い る 雇 用 の セ ー フ テ
ィ ・ネ ッ ト機 関 を調 査 す る こ と に よ っ て 、 現 状 を把 握 し よ う と試 み た 。
1.雇 用 の セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トと は
本 稿 の 論 題 の 中 心 と な る 「雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト」 に つ い て 、 ま ず 最 初 に 、
「雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト」 自体 を定 義 す る必 要 が あ る と思 え る 。 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トと は 、 小 塩(2000)に よ っ て 次 の よ う に 定 義 さ れ て い る 。(小 塩 隆 士 二
「労 働 者 と セ ー フ テ ィ ネ ッ ト」(『勤 労 よ こ は ま』12年ll月 号)
わ れ わ れ は 、 日常 生 活 を 送 る 上 で 様 々 な リ ス ク に 直 面 す る 。 病 気 に な る リス ク 、 失 業 す る リス ク 、 死 亡 す る リス ク 、 あ る い は 加 齢 の た め に 所 得 を十 分 得 ら れ な くな る リス ク な どが そ の 代 表 例 で あ る。 も ち ろ ん 、 そ う した リス ク に対 し て は 、個 人 が 日頃 か ら貯 金 を す る な ど して 備 え る こ と もで き る だ ろ う。 しか し、
世 の 中 に は リス ク を集 団 で カ バ ー す る仕 組 み が い ろ い ろ 整 備 さ れ て い る 。 こ れ が セ ー フ テ ィ ネ ッ トで あ る 。 こ の セ ー フ テ ィ ネ ッ トが あ る か ら こ そ 、 わ れ わ れ
は 安 心 して 日常 生 活 を 送 る こ とが で き る 。
セ ー フ テ ィ ネ ッ トが 、 ど の よ う な 仕 組 み に な っ て い る か は 、 「リ ス ク 回 避 的 」 な 性 格 を持 つ こ とだ と説 明 で きる 。 個 人 で は な か な か カバ ー し きれ な い 失 業 リ ス ク を 社 会 全 体 で カ バ ー す る こ と に よ り、 リ ス ク に備 え る 個 入 の 負 担 を軽 減 す る仕 組 み で
あ り、 世 の 中 に存 在 す る セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トの 仕 組 み は こ の 構造 を持 っ て い る 。 ま た 、 セ ー フ テ ィ ネ ッ トに 関 して の 経 済 的 意 味 は 橘 木(2000)に よ っ て サ ー カ ス を例 に3点 の 説 明 が さ れ て い る 。 以 下 は セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トの 説 明 を サ ー カ ス の 空 中 ブ ラ ン コ に 関 連 させ て 説 明 した 、 橘 木 俊 詔(『 セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トの 経 済 学 』、 日 本 経 済 新 聞 社 、2000、p19̲p.20.)を 参 照 した 。
① 万 一 の事 故 ない し災 いで 発 生 す る被 害 を防 ぐか 、 た とえ被 害 を受 け て もそ の 損 害 を最 小 にす る こ と
② セ0フ テ ィ ・ネ ッ トの存 在 に よって 、 人 を して失 敗 を恐 れず に勇気 を持 った 行動 が とれ る よ うにす る こ と
③ も し落 下 して怪 我 を した と きに、 治 療 費 等 の支 払 い制 度 を準 備 して お け ば 、 そ こ に被 害 の補 償 とい う役 が 加 わ る
「雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト」 は 厳 しい経 済 状 況 の 中 、 失 業 率 の 高 ま り と と も に注 目 さ れ て き た 。 本 稿 で は 、 「雇 用 の セ ー フ テ ィ ・ネ ッ ト」 を 、 「勤 労 者 が 失 業 した 場 合 な ど に 、 生 活 の 道 が 途 絶 え る こ とが な い よ う に 、 一 定 額 の 収 入 の 保 証 や 再 就 職 支 援 な ど の 公 的 な 仕 組 み 」 と定 義 した 。 つ ま り、 雇 用 保 険 と して の 失 業 手 当 の 概 念 か ら、 広 く公 共 職 業 訓 練 や 、 能 力 開 発 を 含 め て 「雇 用 の セ ー フ テ ィ ・ネ ッ ト」 と呼 ぶ こ と にす る 。
そ して 、 「雇 用 の セ ー フ テ ィ ・ネ ッ ト」 の 現 状 をみ な が ら、 何 が 整 備 さ れ て お り、
何 が 整 備 さ れ て い な い か を検 証 す る こ と に す る 。 働 く人 す べ て に 関 わ る安 全 網 と し て ど の よ う な 整 備 が 期 待 され る か を検 証 し、 現 状 の 課 題 を考 え た い 。
2.雇 用 に 関 す る 施 策
失 業 を 克 服 し、 求 職 活 動 を 円 滑 にす る た め の もの と して 国 や 公 共 の 人 材 サ ー ビ ス が あ り、 多 様 な 広 が り を み せ て い る 。 そ の 中 で も、 代 表 的 と い え る対 策 を あ げ て お
く。
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と課 題 」
(1)総 合雇 用 対 策
厚 生 労 働 省 の 「総 合 雇 用 対 策 」 は 、2001(平 成13)年9月 に取 りま とめ られ た。
特 に補 正 予 算 で は雇 用 に過半 以上 の額 を盛 り込 む な どの重 点 的 な対 策 で あ る。 その 中で 以 下 の3つ の 施 策が 取 りま とめ られ てい る。
① 雇 用 の受 け皿 の整 備
② 雇 用 の ミスマ ッチ の解 消
③ セー フテ ィネ ッ トの整 備
内容 を各 項 目別 に見 て み る と、① 「雇 用 の受 け皿 の 整備 で は 、医 療福 祉 、環 境 等 の分 野 で競 争 的効 率 的 な シス テ ム の構 築 に よる市 場 の拡 大 、技 術 革 新 に よる新 事 業 の創 出 、地 域 経 済 を支 え、世 界 に共 通 す る新 事 業 を次 々 と展 開す る産 業 集 積 の形 成
(産 業 ク ラス ター計 画)等 、規 制 、 制度 改 革 を通 じた新 市 場 ・新 産業 の育 成」
次 に、② 雇 用 の ミス マ ッチ の 解 消 をみ て み る と、 「官 民 連 携 した 求 人情 報 の提 供 や 職業 紹 介 の連携 に よる早 期 再就 職 の促 進等 ミスマ ッチ解 消 の ため 、の連 携 の 強化 、 ハ ロー ワー クに キ ャ リア コ ンサ ル タ ン トを配 置 す る等 個 人 の主体 的 な能 力 開発 を推 進 す る シス テ ムの 整備 、民 間活 力 を活 か した多様 な能 力 開発 機 会 の確 保 、創 出」
③ セ ー フテ ィ ネ ッ トの 整 備 で は 、 「緊急 地 域 雇 用 創 出特 別 交付 金 に よる地 域 の ニ ー ズ に応 じた臨 時 的 な雇 用 創 出、 失業 な き労働 移動 の強 化 」等 で あ る。
「総 合雇 用対 策」 の 中 身 を ま とめ て み る と、雇 用 の 需 要 を創 出す る緊 急性 、従 来 の雇 用 慣行 が急 激 に変 化 してい るの で 、受 け皿 的 機 関 に よ るセ ー フテ ィネ ッ トが 必 要 で あ る とい うこ と、 そ して、 政 府 だけ で な く、民 間の 活 力 を活 か した能 力 開発 の シス テ ム構 築 が 求 め られて い る 、 とい うこ とで あ る。
(2)雇 用 対 策 臨 時特 別 法
次 に これ も厚 生 労働 白書 平 成14年 度 版 か ら 「経 済社 会 の 急 速 な変化 に対 応 して行 う中高 年 齢 者 の 円滑 な再就 職 の促 進 、雇 用 の機 会 の創 出等 を図 るた め の雇 用保 険等 の 臨 時 の特 例 措 置 に 関す る法律 」(雇 用 対 策 臨時 特 例 法)を 見 てみ る と、 「総 合雇 用 対 策」 の うち 、法 的 整 備 を必 要 とす る施 策 につ い て は 、2004(平 成16)年 度 末 まで の 間 、 臨時 の特 例 措 置 を講 ず る ため 、雇 用 対 策 臨 時特 例 法 案 が 第153回 臨 時 国 会 に 提 出 され 、2001(平 成12年)に 成立 した(2002年1月 施 行)。 この 法律 で は、 主 に 中高 年 に対 す るサ ポ ー トに重 点 をお い て い る。 経 済構造 改 革 の進 展等 に伴 い 、多 数 の 中高 年 齢 者 が離 職 を余 儀 な くされ 、 かつ 、再 就 職 が 困難 な状 況 とな る こ とが 見 込 まれ る こ と等 の事 情 に か んが み 、 中高年 齢 者 の雇 用 機 会 の創 出 お よび再就 職 の促 進
を図 る た め、雇 用 保 険法 ほ か 関係 法律 につ い て 、① 公 共 職 業 訓練 を受 講 して い る45 歳 以 上 の 中高 年齢 者 につ い て、 訓 練 の 受講 終 了 後 、 必 要 に応 じ、 訓練 延 長 給 付 を受 けつ つ再 度 の受 講 が で きる こ と とす る等 の 措 置 を講 ず る(雇 用 保 険 法 の 特例)、 ② 中小 企 業 者 が経 営 革 新 を行 い 、 中高年 齢 者 を雇 い入 れ た場 合 等 に、助 成 を受 け る こ
とが で きる もの とす る(中 小 企 業 労 働 力 確 保 の特 例)、 ③ 再就 職 が 厳 しい状 況 にあ る 中高 年齢 者 につ い て、 派遣 期 間 の制 限 を現 行 の1年 間 か ら3年 間 に延 長 す る(労 働 者 派遣 の特 例)と い っ た臨 時 の特 例 措 置 を講 じて い る。
また 、2002年12月4日 朝 日新 聞 に よる と、 解雇 ル ー ル法 制 化 に 関 して厚 生 労 働 省 は3日 、企 業 が 従 業 員 を解 雇 す る際 の手 続 きや 要 件 を明確 にす る 「解 雇 ル ール」 を、
法 制 化 す る こ とを柱 と した報 告 案 を労 働 政 策 審 議 会 に示 した。 「正 当 な理 由 な く行 った解 雇 は無 効」 と労 働 基 準 法 に明 記 し、不 当 な解 雇 を未 然 に防 ぐ と して い る。 ま た、 有 期雇 用 の契 約期 間 を1年 か ら3年 に延 長す る こ と も明 記 して お り、失 業 者 を これ 以 上増 や さな い方針 を打 ち 出 してい る。
中高 年齢 者 に対 す る雇 用 のセ ー フテ ィ ネ ッ トの 緊急 度 は非常 に高 い こ とは前 に述 べ た。 こ こで は 、 中高 年 齢 者 に関 して は失 業 を食 い止 め る必 要 の 緊急 度 が うか が え
る。 中高年 齢 者 は 、家 計 の担 い手 で あ る場 合 も多 く、 国 の景 気 に直 接 関 わ る層 で も あ り、雇 用 対 策 の要 とな る とい え る。 また 、 中高 年齢 者 層 の 中 には産 業 動 向 の変 化 の大 きさにつ い て い け ない 人 が少 な くな い とい うこ とで あ る 。個 人 の努 力 に よ る解 決 が非 常 に 困難 で あ る とい う事 態 が増 え た た め、社 会 的 な イ ン フ ラ整 備 が急 が れ て い る とい う見 方 が で きる。
厚 生 労 働 省 は、1.公 共職 業 安 定 機 関 にお け る需給 調 整 機 能 の強 化 、2.官 民 連 携 した雇 用 情 報 シス テ ム の構 築 に よる労働 力 需給 調 整 機瀧 の強 化 、3、 民 間労 働 力 需 給 シス テム の整 備 とい っ た3つ の柱 を も とに セ ー フ テ ィ ネ ッ ト構 築 に努 め て い る。
3.セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トの 諸 機 関 の 機 能 と現 状
以 下 に雇 用 に 関 す る セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トの 整 備 状 況 を み て い く こ と にす る が 、 雇 用 の セ ー フ テ ィ ・ネ ッ トの 諸 機 関 を機 能 別 ・目 的 別 に分 類 して論 述 す る。
(1)公 共 職 業 安定 所 の機 能
職 業紹 介事 業 につ い て職 業安 定法 は 、公 共 職 業 安 定所 に対 して 、す べ ての 求 人 ・ 求 職 申 し込 み を受 け付 け る よ う義 務 づ け て い る。 ち なみ に1999年 に行 われ た労 働 省
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と 課 題 」
「雇 用動 向調 査 」 に よる と、 入 職経 路 別 シ ェ ア は職業 紹 介 機i関等71.4%、 縁 故26.1%
とな っ てい るが 、職 業 紹 介機 関等 の なか の公 共 職 業安 定 所 の数 字 は19.9%で あ る。
公 共 職 業 安 定所 にお い て は 、職 業 紹 介機 能 の強 化 や 公 共職 業 訓 練 等 に よる職業 能 力 開発 の促 進 等 各種 雇 用 対 策 を総 合 的 に実施 して い る。企 業 訪 問 をは じめ とす る積 極 的 な活動 の 結 果 、 約210万 人 の 求 人 を 開拓 した(「 厚 生 労働 白書 」2002)。 また 求 職 者 の求 職 活 動 の 円滑 化 に対 応 す る ため 、 自己検 索 端 末装 置 の設 置 や イ ンター ネ ッ
トに よる公 共 職 業 安 定所 の 求 人情 報 の提 供(ハ ロー ワー クイ ンター ネ ッ トサ ー ビス) の対 象 地域 の全 国化 等 、情 報 提 供 機 能 の強 化 を図 って い る。
仲 高 年齢 者 へ の対応 ♪
中高 年齢 者 に対 す る対 応 と して は、2001年 の改 正 雇 用対 策 法 に よ り募 集 ・採 用 に あ た っ ての 年齢 制 限 の緩 和 の 努 力義 務 が事 業 主 に対 して 課せ られ た。 事 業 主 は 、年 齢 にか か わ りの な い募 集 ・採 用 につ い て の認 識 を深 め 、 法律 の趣 旨 に沿 った選 考 を 行 う よ う、 官民 の職 業 紹 介 機 関 の 窓 口 、地 域 の経 済 団体 、 マ ス コ ミ等 を活用 し、周 知 ・広 報 の徹 底 を図 る と と もに、公 共職 業 安 定 所 にお い て 、事 業 主 に対 して年 齢 制 限 緩 和 の 要請 をお こ な った。
(離職 者 へ の対応 つ
また リス トラ等 に よる離 職 者 へ の対 応 が 重 要 に な り、離 職 予 定 者 の在 職 者 専 門 の 相 談 コ ーナ ー を管 内 の雇 用 調 整動 向 に応 じて機 動 的 に設 置 す る と と もに、大 規 模 な 雇 用 調整 が行 わ れ る個 別 企 業 に職員 等 が 積 極 的 に出 向 き、事 業 所 内 で の サ ー ビス提 供 を行 う対 策 を進 め て い る。 リス トラに よる失 業 者 の 、 ス ム ーズ な職 場 移 動 をサ ポ ー トす る もの とい え る。
佐 職 求職 者 へ の ニ ーズフ
在 職 求職 者 の ニ ー ズ に応 え るた め に は 、全 国 の 政令 指 定 都 市 の ハ ロー ワー ク情 報 プ ラザ等 、平 日夜 間及 び土 曜 日の 開庁 を実 施 し、首 都 圏(東 京 ・埼 玉)お よび関 西 圏(大 阪)に は、圏 内 の労働 市 場 全 域 の 求 人 につ い て も情 報 提 供 や職 業 相 談 ・紹 介 、 カ ウ ンセ リ ン グ等 の サ ー ビス を平 日夜 間や 土 曜 日等 も含 め て実 施 す る 「大 都 市 圏就 職 サ ポ ー トセ ンター」 を設 置 した。
ζ多様 化 す る;,者 ニ ーズ へ の対 応 ♪
さ らに、求 職 者 の ニ ーズ が多 様 化 を辿 って い る こ とを受 け、 パ ー トバ ン クや パ ー トサ テ ラ イ ト、両 立 支 援 等 に対 してハ ロ ー ワー ク等 専 門 の職 業相 談 窓 口 にお い て 、 各 々 の ニ ー ズ に合 わ せ た セ ミナ ーや 面接 会等 を実施 し、職 業 紹 介 や職 業 相 談 の 内容
も多様 化 して い る。 次 の施 策 と して 、多様 化 す る ラ イ フス タイ ル とワー クス タイ ル
を活 か す 方 法 を模 索 す る必 要 が あ る とい え る 。
̀自 治 体 に よ る 一一事 例 ♪
横 浜 市 で は2002年12月16日 か ら、 イ ン ター ネ ッ トを利 用 した 無 料 の 求 人 求 職 情 報 提 供 を は じめ た(朝 日新 聞2002年12月15日 よ り)。 こ の 「ヨ コ ハ マ 仕 事 ね っ と」
とい わ れ る サ ー ビス は 、 「ネ ッ ト上 で24時 間365日 リ ア ル タ イ ム で 情 報 を提 供 す る こ とで 、 求 人 と雇 用 が 結 び つ か な い ミ ス マ ッチ を少 しで も解 消 で きれ ば 」 と い う期 待 が あ る 。 携 帯 電 話 か ら も利 用 が 可 能 に な る ほ か 、2003年 か ら は 、 市 内 に あ る 外 資 系 企 業 向160社 向 け に 、 英 語 版 で の サ イ ト も開 設 す る 予 定 で あ る 。 企 業 と個 人 の お 互 い の 情 報 を 的 確 に捉 え る こ と に よ り ミス マ ッチ の 解 消 を ね ら う こ の サ ー ビ ス は 、 雇 用 に 関 して お 互 い ス キ ル や 働 き方 の ミス マ ッチ が 深 刻 化 し て い る事 態 を受 け た 制 度
とい え る 。
(2)人 材 銀 行
全 国26箇 所 にあ る 「人材 銀 行 」 は労 働 省 が行 って い る公 的機 関で個 人 と企 業 との 橋 渡 しを 目的 と してい る。 人材 銀 行 の ホ ー ムペ ー ジ を紹 介 す る と、 「人材 銀 行」 は、
ハ ロー ワー ク(公 共 職 業安 定 所)と 同 じ厚 生労 働 省 が行 う国 の機 関 で あ り、利 用 希 望 者 は 、来 行 した うえで登 録 す る こ とで利 用 可 能 となる。 また利 用料 金 はハ ロー ワ
ー ク と同 じ く無料 とな っ てい る。
ハ ロ ー ワー ク との違 い をあ げ る と、 職 種 を限定 して(管 理 職 ・技 術 職 ・専 門職) 業務 をお こな っ て い る こ とや 、3年 以 上 の経験 者 が対 象 とな っ てお り、 管理 職 につ い て は 、課 長 職 以 上 の 管 理 的業 務 に従 事 す る人 、例 えば経 営 管 理 ・経 理管 理 ・人事 労 務 管理 ・工 場 長 ・事務 長 な どが対 象 で あ り、 一般 事 務 員 や営 業 員 、 販売 員 は含 ま れ ない 。技 術 職 は、 生 産 にお け る企 画 ・管 理 ・監督 ・研 究 な どの科 学 的 ・技 術 的業 務 に従 事 す る 人が 対 象 で あ り、技 能職(職 長 ・技 能 工 な ど)は 対 象 外 で あ る。専 門 職 に関 して は 、薬 剤 師 、 通訳 、編 集 、 デザ イ ナ ー な どの高 度 の専 門知 識 、 資格 を必 要 とす る業務 に従 事 す る人 が対 象 で あ り、看 護 、 介 護 関連 の職 種 に 関 して は対 象外 とな っ て い る。 「人材 銀 行 」 は 、 経験 と専 門性 を持 った比 較 的 年 齢 が 上 の 人 が対 象 で あ る。
(3)ア ビ リテ ィ ガ ー デ ン(生 涯 職 業 能 力 開 発 促 進 セ ン タ ー 〉
ア ビ リテ ィ ガ ー デ ン(厚 生 労 働 省 所 管 の 雇 用 ・能 力 開 発 機 構 生 涯 職 業 能 力 開 発 促 進 セ ン タ ー)は 、 平 成9年7月 に 「働 く人 々 の 職 業 能 力 を レベ ル ア ッ プ す る た め
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と 課 題 」 の 機 関 」 と して 設 置 され た もの で あ り、 主 に ホ ワ イ トカ ラ ー の 職 業 能 力 の レベ ル ア
ッ プ を 目 的 と して い る 。 東 京 都 墨 田 区 に 所 在 して お り、 経 済 の グ ロ ー バ ル 化 や 情 報 通 信 技 術 の 急 速 な発 展 に よ る産 業 構 造 の 大 き な 変 化 が ホ ワ イ トカ ラ ー に 及 ぼ す 職 務 の 高 度 化 、 複 雑 化 に 答 え 、 変 化 に 対 応 で き る職 業 能 力 を 身 に つ け て い く こ と を サ ポ ー ト して い る
。
具 体 的 に は 、3つ の サ ー ビ ス に 分 け る こ と が で き る 。 ①THINKTANK、 ② NETWORKCENTER、 ③KEYSTATIONと3つ の サ ー ビス か ら、 ホ ワ イ トカ ラ ー
に必 要 な 創 造 力 ・企 画 力 ・問 題 解 決 能 力 と変 化 に 対 応 で きる よ りた か い レベ ル の 専 門 能 力 の トー タ ル な ソ リ ュ ー シ ョ ン を提 供 す る 活 動 を お こ な っ て い る 。
ま た 、 遠 隔 通 信 事 業(ア ビ リテ ィ ガ ー デ ン ネ ッ ト)で は 、 全 国 に教 育 訓 練 コ ー ス 等 の 番 組 を提 供 して い る 。 講 師 と受 講 生 が 直 接 質 問 の や り と りが で き る双 方 向 通 信 に よ っ て 、 よ り全 国 で 気 軽 な利 用 を可 能 な もの に して い る 。 番 組 内 で は 、 能 力 開発 セ ミナ ー ・雇 用 創 出 セ ミナ ー ・相 談 援 助 ・講座 ・講 演 会 を用 意 して い る 。
直 接 事 業 主 、 勤 労 者 個 人 の 職 業 能 力 開発 に 関 す る相 談 で は ア ビ リテ ィ ガ ー デ ンが 蓄 積 した 豊 富 な ノ ウ ハ ウ を活 用 し、専 門家 に よ る ア ドバ イ ス を 提 供 して い る 。 ま た 、 人 材 交 流 ・啓 発 普 及 事 業 と して 産 業 団 体 、 企 業 等 の 職 業 能 力 開 発 に 関 す る 講 演 会 ・ シ ン ポ ジ ウ ム 、 産 業 間 交 流 会 等 の イベ ン トを定 期 的 に 開 催 し、 意 見 の 交 換 を 推 進 し て い る 。 講 演 会 や フ ォー ラ ム は 、 ア ビ リ テ ィ ガ ー デ ン ネ ッ トを通 して リ ア ル タ イ ム で 全 国 に 放 送 さ れ る 。
就 職 支 援 事 業 で は 、 公 共 職 業 訓 練 の た め 原 則 は 無 料 と な っ て お り、 就 職 支 援 ル ー ム に よ る相 談 支 援 、 キ ャ リ ア カ ウ ン セ リ ン グ 、 求 職 者 情 報 の 作 成 ・公 開 、 そ の 他 、 就 職 説 明 会 の 開 催 や 、 受 講 生 同士 の 就 職 活 動 研 究 会 実 施 に対 す る 支 援 もお こ な っ て
い る 。
(4)若 年者 トラ イ アル 雇用 事 業
厚 生 労 働 省 で は、30歳 未 満 の若 年 層 を対 象 とす る トラ イア ル雇 用事 業 を平 成13年 12月 か ら開始 して い る。 トラ イ アル雇 用 に は次 の よ うな特 徴 が あ る。
① 企 業 はハ ロー ワー クか ら紹 介 され た若 年者 を3ヶ 月 までの 短期 間 、試 行 的 に 雇 い 、そ の 間、 実 務 能 力 の 向上 を図 る
② この トラ イ アル雇 用 に対 して一 定 の 奨励 金 を支 給 す る こ とで企 業 にお け る初 期 の 費用 負 担 の 軽 減 を図 る
③ 企 業 は、 トラ イア ル雇 用 中 に若年 者 の実 務 遂 行 能 力 を見 極 め た上 で 、本 採 用
す る か ど う か を 決 め る こ とが で き る
④ 若 年 者 に と っ て も 、 企 業 の 求 め る 能 力 ・技 術 を実 感 し、 努 力 す る こ とで 、 そ の 後 の 本 採 用 に 結 び つ け る こ とが 可 能 に な る 。
ま た 、 トラ イ ア ル雇 用 を実 施 す る 事 業 主 に は 、 トラ イ ア ル 雇 用 を 実 施 す る若 年 者 1人 に つ き、1ヶ 月 当 た り50000円 が 支 給 さ れ る 。 トラ イ ア ル 雇 用 期 間 中 に教 育 訓 練 等 を行 っ た 場 合 は 、 外 部 の 教 育 機 関 ・講師 に 支 払 っ た 費 用 、 教 材 購 入 に 要 した 費 用 が 支 給 さ れ る 。(上 限60000円)
こ の 制 度 は 、 若 年 層 に 特 徴 的 な仕 事 へ の イ メ ー ジ が 沸 か な い とい っ た 雇 用 の ミス マ ッチ の 問 題 に 対 す る 解 決 策 と して 機 能 す る こ とが 予 想 され る。 は じめ か ら企 業 に 正 社 員 と して 働 く典 型 的 な 雇 用 に く らべ 、 若 年 層 が 多 様 な ワ ー ク ス タ イ ル を 選 択 す る う え で 、 仕 事 を体 験 しな が ら、 自分 の 適 性 に つ い て 考 え る機 会 が あ る と い う点 で は 、 イ ン ター ン シ ッ プ を支 え る 制 度 と して 注 目 した い 。 社 会 へ 出 る前 の 段 階 で 、 仕 事 に対 す る意 識 を強 め る こ と に 寄 与 す る期 待 は お お きい と い え る 。
セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 機 能 と して は 、 自分 の や りた い 事 や 適 性 を 知 る う え で ミ ス マ ッチ を 回 避 す る と い う性 格 が あ る とい え る 。
(5)学 生 職 業 総 合 セ ン タ ー
学 生 職 業 セ ン タ ー は 、 大 学(院)・ 短 大 ・高 専 ・専 修 学 校 等 の 学 生 お よ び 既 卒 者 の 就 職 を 支 援 す る 国(厚 生 労 働 省)の 機 関 で あ る。 利 用 料 は無 料 と な っ て い る 。
例 と して 、 「六 本 木 ジ ョブ パ ー ク」 の 情 報 を挙 げ る と 、5階 建 て の 建 物 に 、 地 下 1階 は 『相 談 の フ ロ ア』 と して 、 「職 業 相 談 コ ー ナ0」 、 「適 職 探 索 コ ー ナ ー 」、 「障 害 者 コ ー ナ ー 」、 「ラ ウ ン ジ 」 が あ る 。1階 は 『情 報 の フ ロ ア 』 で 、 「自 己 検 索 コ ー ナ ー(全 国 の 新 卒 者 向 け 求 人 情 報 、 東 京 近 県 の 既 卒 者 向 け 求 人 情 報 の 検 索)」 、 「ビ デ オ ラ イ ブ ラ リー 」 が あ る 。2階 は 、 『出 会 い の フ ロ ア 』 と な っ て お り、 イ ベ ン ト が 開 催 さ れ 、 多 くの 企 業 と の 出 会 い が 出 来 る 場 に な っ て い る 。3階 は 、 「東 京 外 国 人 雇 用 サ ー ビ ス セ ン タ ー 』 が あ り、 留 学 生 や 専 門 ・技 術 職 を希 望 す る外 国 人 の 職 業 相 談 と各 種 情 報 の提 供 を お こ な っ て い る 。4階 は 「地 方 就 職 支 援 セ ン ター 」 が あ り、
地 方 就 職 を希 望 す る 人 及 び 農 業 ・林 業 ・漁 業 へ の 就 職 を 希 望 す る 人 の 職 業 相 談 と各 種 情 報 の 提 供 が お こ な わ れ て い る 。
「六 本 木 ジ ョブ パ ー ク」 各 階 の サ ー ビス 内 容
・地 下 一 階 … 「相 談 の フ ロ ア 」
・1階 … 「情 報 の フ ロ ア 」
研 究論 文● 「多様 化す る ワー クス タイル を支 える雇 用 のセ ー フテ ィネ ッ トの現 状 と課題 」
・2階 … 「出 会 い の フ ロ ア 」
・3階 … 「東 京 外 国 人 雇 用 サ ー ビ ス セ ン ター 」
・4階 … 「地 方 就 職 支 援 セ ン タ̲̲̲..
1階 の 『情 報 の フ ロ ア 』 で 会 員 に登 録(パ ソ コ ン を使 用)す る こ と に よ り、 自宅 で 求 人 検 索 が で きる ほ か 、 イ ベ ン ト情 報 を メ ー ル で 受 信 す る こ とが で き る 。 訪 問 調 査 で は 、 『情 報 の フ ロ ア 』 は パ ソ コ ンの 数 に 余 裕 が あ り求 人 情 報 を 時 間 を か け て 検 索 す る こ とが で き た ほ か 、 受 付 も待 つ こ とが な か っ た 。
(6)私 の しご と館
京 都 府 ・大 阪 府 ・奈 良 県 に またが る関 西 文化 技 術 研 究 都 市 に開 設 され た 「私 の し ご と館 」 の 目的 は、 産業 の仕 組 み の変 化 、 職業 の世 界 の変 化 に よ り、 人 々 の働 く姿 が見 え に く くな っ てい る こ と を受 け、 主 と して若 い世 代 の 人 た ち を対 象 に、 職 業 に 対 す る理 解 を深 め る機 会 をつ くる と と もに、多 様 な個 性 と能力 を十分 に発揮 で きる 職 業 選 択へ の支 援 や職 業 能力 開発 の きっか け とな る情報 提 供 を行 な う。厚 生 労 働 省 、 雇 用 ・能 力 開発 機構 が職 業 に関 す る体 験 の機 会 や職 業 情報 を提 供 す る 「職業 総 合 情 報 拠 点」 と して 、設 置 した機 関で あ る。
(7)し ぶ や ・し ご と館
「しぶ や ・し ご と館 」 は 、2001年11月 、 東 京 ・渋 谷 に 開 館 した 。 職 業 に 関 す る 様 々 な情 報 を提 供 す る と と も に 、 進 路 に つ い て の 悩 み につ い て も、 専 門 の カ ウ ンセ ラ ー が 相 談 に の る 。 職 業 人 に よ る トー ク シ ョー や セ ミナ ー ・グ ル ー プ ワ ー ク等 、 各 種 の ワ ー ク シ ョ ッ プ も実 施 して い る(模 擬 面 接 、 ビ ジ ネ ス マ ナ ー 講 習 な ど)。 ま た 、
「私 の し ご と館 」 の ア ン テ ナ シ ョ ッ プ と して 、 情 報 提 供 もお こ な う 。 職 業 紹 介 を お こ な う 「ヤ ン グハ ロ0ワ ー ク」 も 同 じ フ ロ アー で 利 用 す る こ とが で きる 。
(8)女 性 と仕 事 の 未 来 館
「女 性 と仕 事 の 未 来 館 」 は 、 東 京 都 港 区 に 平 成12年1月20日 に 開 館 し た 施 設 で あ る 。 「働 く女 性 、 働 き た い 女 性 に 対 して 、 一 人 一 人 が 働 く こ との 中 に 自分 自 身 の 可 能 性 を発 見 し、 そ の 可 能 性 を広 げ て い け る よ う に 支 援 す る た め の 様 々 な事 業 を総 合 的 に展 開 す る こ と に よ り、 女 性 た ちが 生 き生 き と した 自分 ら しい働 き 方 を実 現 す る
よ う に サ ポ ー ト」 す る施 設 と して 誕 生 した 。
「女 性 と仕 事 の 未 来 館 」 の 主 な事 業 は 、 次 の6つ か ら な っ て い る 。
① 能 力発 揮 事 業 キ ャ リアア ップ セ ミナ ー、起 業 支援 セ ミナ ー等 の 実施
② 相 談 事 業 一般 相 談 及 び特 別 相 談(キ ャ リア カ ウ ンセ リ ン グ、健 康 、心 の悩 み等)の 実施
③ ライ ブ ラ リー事 業 女性 労働 者 を中心 とす る図書 資料 の収 集 、提 供
④ 展 示 事 業 常 設展 示(あ ゆ み展 示 、現 在 ・未 来展 示 、行 政 展 示)及 び企 画展 示 の実 施
⑤ 情 報 事 業 労 働 に関 す る助 成 につ い て の最 新 の 情 報 を ホー ムペ ー ジ を通 じて 提 供
⑥ 交流 事 業 国際交 流 を含 め た労働 助 成 に関す る関係 者 の交 流 の 実施
(9)社 団法 人 全 国 民営 職 業 紹介 事業 協 会
社 団法 人 全 国民 営 職 業 紹 介 協 会 は、 民 間 の"ハ ロー ワー ク"と して50年 以上 の歴 史 を もつ 。 以 前 は、民 営 職 業 紹 介 所 で 取 り扱 え る職業 は看 護 婦 や 家 政婦 、 マ ネ キ ン な ど29の 職 業 に限 られ て い たが 、 これ か らは新 規 学卒 者 な ど一 部 の職 業 以外 はす べ て可 能 に な っ た。 専 門 的 ・技 術 的職 業 や 管 理 ・事 務 ・販 売 の職 業 等 い わゆ るホ ワ イ
トカ ラー につ い て は、 すべ て扱 うこ とが 可 能 とな って い る。
この労 働 大 臣が 許 可 して い る有 料 職 業 紹 介 所 は、全 国 各 地 に、約3500ヶ 所 以上 設 置 され て い る。 特 徴 と して は、 ア フ ター ケ アが 整 っ てい る こ と、 つ ま り求 人 先 で 面 接 を受 け 、双 方(求 人 側 ・求 職 側)が 気 に入 れ ば就 職 、気 に入 らな け れ ば紹 介所 が さ らに新 しい求 人先 を紹 介 して くれ る こ とに な っ て い る。 紹 介先 の雇 用 期 間が 終 了
して も、本 人が 希 望 しさ えす れ ば、何 度 で も求 人先 を紹介 して くれ る。
費 用 は、1回 の 求 人 申 し込 み につ き、670円 以 内(免 税 業 者650円 以 内)の 手 数 料 が 必 要 とな る。 また職 種 に よっ て は、 知識 ・能 力 向上 の た めの教 育訓 練 を行 っ て い
る紹 介 所 もあ り、求 職 者本 位 の職 業 紹 介 とい え る。
(10)財 団 法 人 産 業 雇 用 セ ン タ ー
「財 団 法 人 産 業 雇 用 安 定 セ ン タ ー 」 は 、 昭 和62年3月 、 政 府 の"30万 人 雇 用 開 発 プ ロ グ ラ ム"の 一 環 と し て 、 労 働 省(当 時)と 経 済 界 、 産 業 界 の 協 力 に よ り出 向 ・移 籍 の 専 門 機 関 と し て発 足 した 。 当 セ ン タ ー は厚 生 労 働 省 、 経 済 ・産 業 団 体 等 との 密 接 な 連 携 の 下 に 「失 業 な き労 働 移 動 」 に 取 り組 み 、 全 国 的 な 出 向 ・移 籍 の 組 織 的 あ っせ ん に 取 り組 ん で い る 。
平 成3年 度 か ら厚 生 労 働 省 の 委 託 に よ り、 日系 人 雇 用 サ ー ビ ス セ ン タ ー(東 京 、
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と 課 題 」
名古 屋 、 ブ ラ ジル ・サ ンパ ウ ロ)を 中心 と して、 主 に南 米 日系 人労働 者 の就 労 経 路 の適 正 化 と雇 用 管 理 の 改 善 に努 め て い る。 さ らに、 さ ま ざ まな職 業 に関 す る体 験 の 機 会 や職 業 情 報 な どを提 供す る職 業 総 合 情 報拠 点 と して 「私 の しご と館 」 の 開館 運 営 を厚 生 労働 省 と雇 用 ・能 力 開発 機 構 の 委 託 に よ り進 め て い る。
出 向 ・移 籍 支援 事 業 につ い て は 、全 国47都 道 府 県 に地 方 事 務 所 を設置 し、全 国 ネ ッ トを通 じて 出向 ・移 籍(転 籍)に つ い ての相 談 、 人材 情 報 の 収 集 及 び提 供 を行 っ て い る。情 報 の収 集 に あ た って は 、経 営 者協 会 、商 工 会議 所 、中小 企 業 団 体 中央 会 、 ハ ロー ワー ク及 び 人材 銀 行 な ど との密接 な連 携 の も とに業務 をす す め て い る。
(11)し ご と情 報 ネ ッ ト
「仕 事 情 報 ネ ッ ト」 は 民 間 職 業 紹 介 機 関 、 ハ ロ ー ワ ー ク、 求 人 企 業 の 求 人 情 報 を 総 合 的 に 提 供 す る もの で あ る 。 同 サ イ トは2001年8月8日 か らサ ー ビ ス を提 供 して お り、2002年3月7日 か ら は 、 携 帯 電 話 を利 用 した サ ー ビス を展 開 して い る 。 「し
ご と情 報 ネ ッ ト」 の 特 徴 は 、 イ ン タ ー ネ ッ トを 活 用 して 、 民 間 の 職 業 紹 介 会 社 、 求 人 情 報 提 供 会 社 、 ハ ロ ー ワ ー ク等 の 参 加 機 関 が 保 有 す る 求 人 情 報 を検 索 し、 そ れ ぞ れ の 機 関 に ア ク セ ス しや す くす る こ と に よ っ て 、仕 事 探 しを 支 援 す る 仕 組 み で あ り、
官 民 の シ ス テ ム を統 合 して い る も の で あ る 。 こ の シ ス テ ム の 特 徴 を示 す と次 の よ う で あ る 。
(1)シ ス テ ム を利 用 し て 仕 事 を探 す 場 合 、 イ ン ター ネ ッ ト上 で シ ス テ ム に ア ク セ ス して 、 職 種 、 賃 金 等 の 求 人 情 報 の 項 目 に つ い て 、 希 望 す る 条 件 等 を 入 力 し、
検 索 す る こ とが で き る 。
(2)検 索 結 果 は 、 一 覧 表 の よ う な 形 で 、 条 件 に合 う複 数 の 求 人 情 報 の 概 要(イ ンデ ッ ク ス 情 報)が 表 示 され 、 そ れ らの 情 報 に つ い て 、 詳 しい 情 報 を 知 りた い 場 合 に は 、 こ の 一 覧 表 上 の 所 定 の 欄 を ク リ ッ ク して シ ス テ ム と リ ン ク して い る そ れ ぞ れ の 参 加 機 関 の ホ ー ム ペ ー ジ に ア ク セ ス した り、掲 載 さ れ て い る 連 絡 先 に電 話 で 連 絡 を した りす る こ と に よ り、 詳 しい 情 報 を 入 手 す る こ とが で き る 。
「民 業 圧 迫 」 の 批 判 を 避 け る た め 電 話 番 号 な ど を記 載 せ ず 、 希 望 す る企 業 名 を ク リ ッ クす る と企 業 の 情 報 を提 供 す る 業 者 の ホ ー ム ペ ー ジ に つ な が り、 各 サ イ ト か ら詳 細 な 求 人 情 報 を入 手 す る仕 組 み に な っ て い る 。
設 置 当 初 は 「し ご と情 報 ネ ッ ト」 は 、 求 人 を 出 す 企 業 の 電 話 番 号 な ど を の せ 、 サ イ トを見 た 人 が 直 接 企 業 に応 募 で き る 形 と な っ て い た た め 、 民 間 か ら 「情 報 だ け を と られ 、 民 間 側 の ホ ー ム ペ ー ジ ア ク セ ス が 減 り、 企 業 の 求 人 も来 な くな る」
「政 府 の 役 割 を小 さ くす る 時 代 の 流 れ に 逆 行 す る」 との 批 判 が 出 て い た 。 こ の た め 、 開 始 後1年 以 上 た っ た 昨 年11月 末 現 在 で も 同 ネ ッ トの 求 人 情 報47万 件 の9割 以 上 は各 地 の ハ ロ ー ワ ー ク に 寄 せ ら れ た も の で 、 民 間 の 情 報 提 供 は7%の3万6 千 件 に と ど ま っ て お り、 ホ ー ム ペ ー ジ の 仕 組 み の 手 直 しの 必 要 が あ っ た 。
こ の シ ス テ ム の 仕 組 み の 手 直 しに よ り、 各 業 者 は 自 分 た ち の ホ ー ム ペ ー ジ を
「中 抜 き」 され ず に 済 む ほ か 、 検 索 方 法 や 求 人 の 種 類 な ど に 独 自 の ノ ウ ハ ウ を 発 揮 す る こ と で 競 争 環 境 を 維 持 で き る 。 こ の た め 、 これ ま で 慎 重 だ っ た リ ク ル ー ト
な ど大 手 企 業 も同 ネ ッ トに 参 加 す る 方 針 を決 め た 。
(12)「JINZAIオ ー プ ン ・ネ ッ トワ ー ク 」(日 本 人 材 流 通 機 構 、JON)
「JINZAIオ ー プ ン ・ネ ッ トワ ー ク(日 本 人 材 流 通 機 構i、JON)」 は 、 雇 用 の ミス マ ッチ 解 消 の た め 、 イ ン タ ー ネ ッ トで 求 人 情 報 を交 換 しあ うサ ー ビ ス を提 供 して い る 。2002年12月 に ホ ー ム ペ ー ジ が 立 ち 上 が り、 こ れ ま で に約30社 が 利 用 して い る 。 将 来 は100社 を 越 す 「連 合 体 」 を 目 指 す 。 こ の 運 営 機 関 、 日 本 人 材 流 通 機 構
(JINZAIOpenNetwork)は 、 日本 の 雇 用 の 流 動 化 と 、 ヒ ュ ー マ ン リ ソ ー ス 関 連 産 業 の 活 性 化 を 目 的 に 、 株 式 会 社 市 場 価 値 測 定 研 究 所 か ら派 生 し た 新 しい 事 業 ブ ラ
ン ドで あ る 。
加 盟 す る 紹 介 会 社 に登 録 した 求 職 者 は 、 他 の 加 盟 会 社 か ら も情 報 を得 られ 、 就 職 の 機 会 が 増 す 。 別 々 の 紹 介 会 社 を橋 渡 しす る 際 、 求 職 者 の 能 力 を 知 る必 要 が あ る た め 、 登 録 者 は ま ず 共 通 テ ス トを 受 け る 。JONの 管 理 と テ ス トの 提 供 は 、 会 社 員 の ビ
ジ ネ ス 能 力 を判 定 す る企 業 で あ る 株 式 会 社 市 場 価 値 測 定 研 究 所 が 担 当 す る 。
企 業 の 人 員 削 減 や 働 く意 識 の 変 化 で 雇 用 の 流 動 化 が 進 ん で お り、 人 材 派 遣 紹 介 業 は97年 度 に 約500だ っ た 事 業 所 が 、2001年 度 は 約3千 ま で 急 増 して い る 。JONの 特 色 は 求 職 者 の 利 便 性 を 高 め る こ と で 、 リ ク ル ー ト ・エ イ ブ リ ッ クや イ ン テ リ ジ ェ ン ス な ど の 大 手 の 人 材 紹 介 業 に対 抗 して い く姿 勢 を と っ て い る 。
(13)カ ナ ガ ワ仕 事 さ が しネ ッ ト
神 奈 川 県 に お け る 整 備 と して は 「横 浜 しご と ネ ッ ト」 と こ の 「カ ナ ガ ワ 仕 事 さ が し ネ ッ ト」 が あ る 。 この 機 関 は 、 利 用 は 無 料 と な っ て い る 。 こ の シ ス テ ム を利 用 し て 、 企 業 の 方 は 効 率 よ く人 材 を募 集 す る こ とが で き、 ま た 、 仕 事 を探 し て い る 人 は 求 人 情 報 を簡 単 に 検 索 す る こ とが で き 、 希 望 に よ り、 求 人 情 報 メ ー ル を受 信 す る こ
と が で き る 。
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と課 題 」
特 色 と して は、仕 事 を探 して い る人 に対 して は① 簡 単 な求 人情 報 の検 索② 「か な が わ仕 事 さが しメー ル」 が 自宅 の パ ソ コ ンで受 信 で きる③ ハ ロー ワー ク ・民 間職 業 紹 介 事 業 者 な どの リン ク集 が 充 実 して い る④ 就 職 に役 立 つ様 々 な情 報 を調べ る こ と が で きる、等 で あ る。
また、 人材 を探 して い る企 業 に対 して の特 徴 は 、① 簡単 に求 人募 集 の 登 録 をす る こ とが で きる② 他 の 求 人 シス テ ムへ の情 報 提 供 が で きる③ 補 助 金 ・助 成 金 な どの 中 小 企 業 に対 す る支 援 策 を調 べ る こ とが で きる 、等 が挙 げ られ る。
この 「カナ ガ ワ仕 事 さが しネ ッ ト」 は、(社)神 奈 川 県経 営 者協 会 地 域 求 職 活 動 援 助 事 業推 進室 が厚 生 労働 省 神 奈 川労 働 局 と、神 奈 川 県 の協 力 を得 て、 運営 管理 を 行 っ てい る。
現 行 の シ ステ ム と して 、 この よ うな24時 間対 応 の イ ン ター ネ ッ ト利 用 は、 多様 な ワー クス タイル と多様 な ライ フス タイル を支 え る もの と して 、情 報 技術 を活 か した 例 と して注 目 され る。
(14)人 材 バ ン ク ネ ッ ト
「人 材 バ ン ク ネ ッ ト」 は 、eビ ジ ネ ス 社 会 に お け る新 た な価 値 の 創 造 と 、 真 に有 効 な ビ ジ ネ ス モ デ ル の 提 案 を行 う た め 、 人 材 総 合 サ ー ビ ス 業 、 株 式 会 社 ク イ ッ ク
(JASDAQ上 場:証 券 コ ー ド4318)の 戦 略 子 会 社(連 結 決 算)と して 分 社 化 、2000 年4月 に設 立 され た ベ ン チ ャ ー企 業 で あ る 。 イ ン タ ー ネ ッ ト黎 明 期 か ら培 っ た サ イ
ト運 営 ノ ウ ハ ウ と 、 人 材 採 用 の ノ ウハ ウ を融 合 し、 顧 客 が 抱 え るlnternetやHRに 関 す る 課 題 を解 決 す る こ と で 、 社 会 に 貢 献 して い る 。
事 業 内 容 は 、①ITSolution②HRSolutionONetMarketingの3つ か ら な っ て い る 。
①ITSolutionで は 、ITコ ンサ ル テ ィ ン グ 、WEBコ ン テ ン ッ 企 画 ・製 作 、WEBア プ リ ケ ー シ ョ ン開 発 、 サ ー バ 運 用 ・管 理 、 シ ス テ ム セ キ ュ リテ ィ ・ネ ッ トワ ー ク構 築
②HRSolutionは 、 求 職 者 登 録 促 進 、 会 員 マ ッチ ン グ 支 援 、 人 事 部&人 材 採 用 支 援 ・促 進 シ ス テ ム の 構 築 、HRシ ス テ ム ソ リ ュ ー シ ョ ン の 開 発 ・構 築 ③Net Marketingで は 、 イ ン タ ー ネ ッ ト広 告 に よ る プ ロ モ ー シ ョ ン 、 イ ン タ ー ネ ッ ト広 告
に よ る 開 発 促 進 、 イ ン タ ー ネ ッ トマ ー ケ テ ィ ン グ を お こ な っ て い る 。1997年7月 に 人 材 紹 介 会 社 集 合 サ イ ト人 材 バ ン ク ネ ッ トを 日本 で 始 め て オ ー プ ン し た 。 当 初 は17 社 よ りサ ー ビ ス を 開 始 し、現 在130社 、170事 業 所 を超 え る 推 移 を示 して い る 。 ま た 、
参 画 各 社 が 提 供 して い る 求 人 情 報 は22000件 を超 え転 職 サ イ トの 中 で も 日本 最 大 級 を誇 っ て い る 。
4.個 人 の キ ャ リ ア 形 成 に 関 す る 支 援
企 業 の 倒 産 、 レ イ オ フ や 自 主 的 な 離 ・転 職 に よ り雇 用 の 流 動 性 が 高 ま っ て い る 。 若 年 層 に フ リー タ ー が 急 増 し、 中高 年 齢 層 だ け で な く、 す べ て の 年 齢 層 を 対 象 と し
た 「自 主 的 な キ ャ リ ア 形 成 」 の 支 援 が 必 要 と な っ て い る 。 厚 生 労 働 省 は5万 人 の キ ャ リ ア ・コ ンサ ル タ ン トの 養 成 を施 策 と して 発 表 した 。
(1)キ ャ リア ・コ ンサ ル テ ィ ン グ
キ ャ リ ア ・コ ンサ ル テ ィ ン グ とは 、 平 成14年 版 厚 生 労 働 白書 に よ る と、 次 の 様 に 定 義 さ れ て い る 。
キ ャ リ ア ・コ ンサ ル テ ィ ン グ の 役 割 は 、 労 働 者 が 、 そ の 適1生 や 職 業 経 験 等 に応 じ て 自 ら職 業 生 活 設 計 を 行 い 、 こ れ に即 した 職 業 選 択 や 職 業 訓 練 の 受 講 等 の 職 業 能 力 開 発 を効 果 的 に 行 う こ とが で き る よ う 、 労 働 者 の 希 望 に応 じて 実 施 さ れ る 相 談 を い
う(職 業 能 力 開 発 基 本 計 画(第7次))
キ ャ リア ・コ ンサ ル テ ィ ン グ は 、 個 人 が 進 路 や 適 職 を探 して い くの に 際 し、 自己 理 解 や 職 業 理 解 を 深 め 、 目標 を 決 め 能 力 開 発 を進 め 、 キ ャ リ ア を 開 発 して い くの を 支 援 す る も の で あ る 。 雇 用 の 現 状 を幅 広 く知 っ て い る専 門 家 に 、 自分 が 進 み た い と 思 う道 につ い て 支 援 と指 導 を受 け る こ とが で き る 。 こ の こ とは 、 ワ ー クス タ イ ル の 多 様 化 に大 き く影 響 を 与 え る こ とが 予 想 で き る 。 そ れ は 、 働 き手 の 考 え 方 を 可 能 に す る様 々 な 方 法 を サ ポ ー ト して も ら え る 点 と、 自分 自身 に 適 した 働 き方 を模 索 す る 機 会 を創 出 し、 自分 の 考 え に 「気 づ き」 を与 え る場 に な る 影 響 力 を もつ と い え る 。
平 成14年12月12日 に 発 表 さ れ た 「産 業 再 生 ・雇 用 対 策 戦 略 本 部 決 定 」 に よ る 「当 面 の 雇 用 ・中 小 企 業 対 策 」 に よ る と 、 ハ ロ ー ワ ー ク等 に 配 置 して い る キ ャ リ ア ・コ ンサ ル タ ン トを増 員 し、 求 職 者 に対 す る キ ャ リ ア ・コ ンサ ル テ ィ ン グ の 充 実 強 化 を 図 る と と も に 、 プ ラ イ バ シ ー が 保 た れ か つ 落 ち 着 い た 環 境 で コ ンサ ル テ ィ ン グ を行 う専 門 コ ー ナ ー を設 置 す る 、 と な っ て お り、 今 後 の キ ャ リ ア ・コ ンサ ル タ ン トの 育 成 が 期 待 さ れ る 。
(2)キ ャ リア ・カ ウ ン セ リ ン グ
キ ャ リ ア ・コ ンサ ル タ ン トに 近 い 概 念 を もつ も の に 、 キ ャ リ ア ・カ ウ ンセ ラ ー が あ る 。 キ ャ リ ア ・カ ウ ンセ リ ン グ と は 産 業 カ ウ ンセ リ ン グ の ひ とつ で あ る 。 キ ャ リ ァ と は 、 「一 人 ひ と りの 仕 事(職 業)人 生 」 で あ る 。 まず は 、 キ ャ リ ア ・カ ウ ン セ
リ ン グの 諸 定 義 を述 べ る 。 労 働 省 の 定 義 は次 の 通 り。
「労 働 者 個 人 が 自 己 の 既 得 の 能 力 、 適 性 、 等 を把 握 した 上 で 、 職 業 生 涯 に わ
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と課 題 」 た る キ ャ リ ア を形 成 を設 計 し、 そ の た め に必 要 な 将 来 の 自 己 啓 発 を 含 め た 能 力 開発 プ ラ ン を立 て る こ と を、 専 門 的 見 地 か ら助 言 等 を す る こ と に よ り援 助 す る
こ と」 と して 個 人 の 主 導 権 を強 調 して い る 。
つ ぎ に 、 木 村(1997)に よ る 産 業 カ ウ ンセ リ ン グ の 定 義 を挙 げ る と、 以 下 の 様 に な っ て い る 。(木 村 周:『 キ ャ リ ア ・カ ウ ン セ リ ン グ 理 論 と実 際 、 そ の 今 日的 意 義 』 雇 用 問 題 研 究 会)
「個 人 が 進 路 や 職 業 の 選 択 、 キ ャ リ ア 形 成 に 関 して 自 己 理 解 、 情 報 の 提 供 、 職 業 紹 介 、 キ ャ リ ア 形 成 な ど に つ い て 援 助 を受 け る こ と に よ っ て 、 よ り適 切 な 選 択 の 可 能 性 を 自 ら 開 発 す る よ う に す る た め の 、 個 別 、 ま た は 集 団 に よ る カ ウ
ン セ リ ン グ で あ る」
つ ぎ に 渡 辺(1990)に よ る キ ャ リ ア カ ウ ンセ リ ン グ の 定 義 を見 て み る と次 の よ う に な っ て い る 。(渡 辺 三 枝 子:国 分 康 孝 編 「カ ウ ンセ リ ン グ 辞 典 』 誠 信 書 房)
「キ ャ リ ア ・カ ウ ン セ リ ン グ は 職 業 選 択 だ け で な く進 学 も 含 め 、 さ ら に 人 が 職 業 生 活 を 送 っ て い く上 で 関 連 す る あ ら ゆ る 問 題 を 対 象 とす る カ ウ ン セ リ ン グ で あ る」
「一 般 に は 、 キ ャ リア カ ウ ンセ リ ン グ は 最 も む ず か しい カ ウ ン セ リ ン グ とい わ れ る 。 そ れ は カ ウ ンセ ラ ー は 、面 接 技 術 だ け で は 不 十 分 で あ り、様 々 な情 報 、 現 実 社 会 の 様 子 を知 る 必 要 が あ り、 さ ら に 多 くの 場 合 、 問 題 解 決 まで の 期 間 が 決 め られ て い る か らで あ る」
以 上 の 諸 定 義 か ら、 キ ャ リ ア カ ウ ンセ リ ン グ は 、 働 く人 に 関 す る 問 題 を実 に 多 面 的 に捉 え な が ら、 問 題 解 決 に 当 た る とい う役 割 を持 っ て い る 。 多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル が 主 流 と な る社 会 に お い て は 、 個 人 を 見 つ め る 視 点 が 雇 用 問 題 に 関 して は 重 要 な タ ー ム と な っ て くる こ とが 予 想 され る こ とか ら 、 今 後 、 キ ャ リ ア カ ウ ンセ ラ ー
を養 成 し、 社 会 に普 及 して 有 効 な 活 動 を推 進 す る こ とが 望 ま れ る 。
5.給 付 金 、助 成 金 お よび 障 害 者 雇 用 の 促 進
そ の他 に 「雇 用 の セ ー フテ ィネ ッ ト」 と して取 り上 げ られ る もの には給付 金 の 制 度 が あ る。 特 に 中高年 齢 者 の失 業 な き労働 移動 の た め の主 な支援 策 と して 、① 求 職 活 動 支 援 給 付 金 、② 再 就 職 支 援 会 社 活 用給 付 金 、③ 再 就 職 支援 体 制整 備 奨 励 金 、④ 在 職 求 職 高 年齢 者等 受 入給 付 金 、⑤ 移 動 高年 齢 者 等 雇 用 安 定助 成 金 、⑥ 継 続 雇 用 制 度 奨 励 金 、⑦ 多 数 継続 雇 用 助 成 金 、⑧ 定 年延 長 等 職 業 適 応助 成 金 、⑨ 新 規 ・成 長 分
野雇 用 奨 励 金 、⑩ 新 規 ・成 長 分野 能力 開発 奨 励 金 、⑪ 緊急 雇 用 創 出特 別 奨 励 金 、⑫ 高 年齢 者 共 同就 業 機 会創 出助 成金 な どの給 付 金 、 また、 再就 職 支 援 セ ミナ ー な どが 挙 げ られ る。 セ ミナ ーで は、 女性 の起 業 を促 す もの もあ り(レ デ ィー ス創 業 セ ミナ
ー等) 、雇 用 創 出 の一 環 とい える。
また 、 障害 者 な ど就 業 に障 壁 を もつ層 に関 して は、 労働 局 と公 共職 業 安 定 所 が 障 害 者求 職 情 報 を提 供 す る な ど、就 業 支 援 の対 策 を とっ てい る。 障害 者 雇 用 に関 して は障 害 者 雇 用 促 進 法 が 改 定 され(「 障 害 者 の雇 用 の促 進 等 に 関す る法 律 の 一 部 を改 訂 す る法律(平 成14年 法律 第35号)」)、 ① 特 例 子 会社 制 度 の認 定 用 件 の緩 和 、 企 業 グル ー プで の雇 用 率 制 度 の 適 用 、② 法 定 雇 用 義 務 数 の 算 定 方法 が 一部 変 更(雇 用 義 務 の軽 減 措 置 で あ る除外 率 制 度 が 廃 止 に向 け て縮 小)、 ③ 障 害 者 を雇 用 しや す くす る た め の 支 援 策 ③ 一1障 害 者 就 業 ・生 活 支 援 セ ン タ ー ③ 一2職 場 適 応 援 助 者 (ジ ョブ コ ーチ)事 業 ④ 精 神 的 障 害 者 の雇 用 の促 進 の た め に法 律 上 の定 義 規 定 を 設 け 、雇 用 支援 策 の対 象 で あ る こ とを明確 に した。
6.今 後 の 課 題
各 機 関 が 打 ち 出 して い る雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 か らわ か る こ と は 、 そ れ ぞ れ の サ ポ ー トが 必 要 な だ け ワ ー ク ス タ イ ル が 多 様 化 して い る とい う現 実 で あ る 。 現 状 の 雇 用 サ ポ ー トで 見 られ る特 徴 と して は 、 イ ン タ ー ネ ッ トな ど の 情 報 技 術 を 活 か した 求 人 情 報 提 供 が 主 流 に な っ て きて い る 。 産 業 ・職 業 構 造 の 変 化 、 労 働 力 人 口 の 高 齢 化 に伴 い 、 求 人 、 求 職 の ミス マ ッチ に よ る 構 造 的 、摩 擦 的 失 業 は 中 長 期 的 に 増 加 す る お そ れ が あ り、 労 働 市 場 に お け る労 働 力 需 給 調 整 力 を 今 以 上 に 高 め る こ
と は 緊 急 の 課 題 で あ り、 イ ン タ ー ネ ッ トの 特 質 と して 、 時 間 や 場 所 に よ る 不 都 合 か ら解 放 さ れ る技 術 が 適 して い る事 実 は 注 目 さ れ て い る 。 民 間 職 業 紹 介 事 業 者 、 民 間 求 人 情 報 提 供 者 、 経 済 団 体 、 公 共 職 業 安 定 所 等 が 保 有 して い る 求 人 ・求 職 情 報 を誰 もが ど こ か らで も一一覧 ・検 索 で き る シ ス テ ム と して 「しご と情 報 ネ ッ ト」 を構 築 し た の も、 こ の 動 き を捉 え て い る 。
しか し、 問 題 な の は 、 中 高 年 齢 者 の 情 報 端 末 を使 い こ な す 能 力 、 つ ま り 「情 報 リテ ラ シ ー」 で あ り、 「情 報 リ テ ラ シ ー 」 を高 め る教 育 シ ス テ ム も構 築 す る 必 要 が あ る 。 求 職 活 動 を お こ な う う え で の 障 壁 と な っ て い る こ と も多 い と考 え ら れ る か ら で あ る 。 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トが 、 誰 に で も分 か る 様 な シス テ ム で あ る か ど う か 、 ま た は 如 何 に 社 会 に 浸 透 させ る か が 社 会 的 イ ン フ ラ整 備 と連 動 し た 課 題 と考 え ら れ る 。 失 業 者 ・求 職 者 に は 、 様 々 な層 が あ り、 誰 に で も必 要 な 情 報 が 届 くか ど う か を
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と 課 題 」
考 慮 し、 失 業 者 、 求 職 者 の た め の 支 援 機 関 が どの よ う に整 備 さ れ て い る か を広 く公 開 す る た め の 場 を整 備 す る 必 要 性 も高 い と考 え られ る 。 つ ま り、 求 職 者 や 働 く者 な ど働 く意 思 を も っ た も の に 対 して の 適 切 な サ ポ ー トは 、 多 様 な セ ー フ テ ィ ネ ッ トを 整 備 す る と と も に 、 利 用 の し易 さ や 周 知 徹 底 の た め の 広 報 活 動 を 十 分 に お こ な い 、
自分 の 状 況 と現 在 の 労 働 市 場 の か た ち を 誰 に で も見 え る よ う に す る こ とが 必 要 で あ る。今 後 の 課 題 と して は 、雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 利 用 者 を サ ポ ー トす る よ う に 、 ま た 自立 して 求 職 活 動 が 出 来 る ま で の 期 間 の 教 育 制 度 を整 備 す る 必 要 が あ る と い え る 。 そ れ が 、 安 心 した 職 業 生 活 を 支 え る ポ イ ン トで あ る 。
ま た 、 ワ ー ク ス タ イ ル の 多 様 化 、 社 会 構 造 の 変 化 に 合 わ せ て 、 各 自の 働 き方 を活 か す 為 の ア ドバ イ ザ ー の 存 在 と して の キ ャ リア ・カ ウ ンセ ラ ー ま た キ ャ リ ア ・コ ン サ ル タ ン トの 存 在 が 注 目 さ れ る 。 多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル へ の よ き ア ドバ イ ザ ー と して の キ ャ リ ア カ ウ ンセ ラ ー が 実 施 す る キ ャ リ ア カ ウ ンセ リ ン グ は 職 業 人 生 を 考 え る う え で の お お き な 支 え に な る。
現 在 「雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト」 は 創 られ 続 け て い る 。 問 題 は 、 そ の 情 報 が リ ア ル タ イ ム に 必 要 とす る 人 に伝 わ る か ど うか と い っ た 点 に あ り、 個 人 の 情 報 収 集 能 力 に か か っ て き て い る と い え る 。 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 存 在 に 気 づ くか ど う か が 失 業 減 に 貢 献 す る だ け で な く、 各 個 人 の 就 業 意 識 に も大 き く貢 献 す る もの と思 わ れ る 。
失 業 対 策 は 、 職 業 に携 わ る す べ て の 人 の 問 題 で あ る か ら、 必 要 な 人 に 必 要 な情 報 を で き る だ け リ ア ル タ イ ム で 伝 え る ほ ど効 果 が 高 い 。 そ う考 え る と、 相 談 窓 口 と し て の キ ャ リ ア カ ウ ンセ ラ ー が 、 カ ウ ン セ リ ン グ を通 して 、 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト 機 関 を紹 介 した り、 情 報 収 集 の 手 引 き をす る な ど、 社 会 的 に 開 か れ た 情 報 提 供 、 ま
た は 相 談 活 動 を創 造 して い く必 要 が あ る と思 わ れ る。
雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 有 効 活 用 を 進 め る に は 、 次 の よ う な 観 点 が 大 切 で あ る 。
① 官 民 の 視 点 を 合 わ せ 、 生 活 者 の 視 点 に立 っ た サ ポ ー トを 展 開 す る 。
② よ り幅 広 く職 業 を紹 介 す る 場 を 設 け 、 労 働 意 欲 の あ る 層 に届 け る 。
③ 数 多 くあ る就 業 サ ポ ー トを 上 手 く利 用 して も ら う た め 、 ター ゲ ッ ト選 定(雇 用 環 境 が 厳 しい 層)を お こ な い 、 サ ー ビ ス を浸 透 させ る こ と に よ り、 失 業 を 減 少 させ る
④ 国(政 府)・ 民 間 ・個 人 の 連 携 を 強 め 、 即 効 性 の あ る サ ポ ー トサ ー ビ ス を可 能 に す る
雇 用 問 題 に 関 して は 、 現 段 階 で は 厳 しい 状 況 に あ る が 、 こ の厳 しい 状 況 に よ り蓄 積 さ れ る で あ ろ う知 識 な り経 験 が 、 よ り よ い 雇 用 整 備 に つ な が る 可 能 性 も大 きい 。 そ れ は 国(政 府)・ 民 間 ・個 人 の 連 携 が ど れ だ け 機 能 す る か に か か っ て い る と思 わ れ る 。
雇 用 に 関 す る セ ー フ テ ィ ネ ッ トは そ う い っ た 観 点 で は個 人 に失 敗 を恐 れ ず 挑 戦 させ る こ と を促 す 役 割 が あ る 。 ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 か ら導 か れ る生 活 者 の価 値 観 の 変 化 を次 の 世 代 に 結 び つ け る 活 力 と な る 機 能 を一 層 強 化 させ る の は 、 時 代 を 共 有 して い る 我 々 が そ れ ぞ れ 強 く 「働 く こ と の 意 義 」 を 理 解 し、 自分 自 身 に つ い て 考 え る こ と に 他 な ら な い と感 じ る 。 そ の 為 に 整 備 され て い る雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トを把 握
し、 理 解 し、 発 展 させ る試 み が 今 後 の 雇 用 問 題 の 研 究 の 足 が か りに な る と考 え て い る 。
今 後 の 課 題 と して は 、研 究 内 容 を よ り充 実 させ る た め に さ ら な る フ ィー ル ドワ ー ク を行 い 、 現 場 を見 る こ と に よ っ て 把 握 で き る 時 系 列 的 な 変 化 を見 る こ とが 大 切 で あ る 。
以上
研 究 論 文 ● 「多 様 化 す る ワ ー ク ス タ イ ル を 支 え る 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ トの 現 状 と 課 題 」
團
表1「 雇 用 の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト」 の 概 観 を掴 む た め の 分 類
雇 用雇 用 対策(厚
ワー クシ エア リング政 策的なもの 生労働省)等 等
給 付 金(助 成 金) ハ ロ ー ワ ー ク 等
雇 用調 整助成金
ハ ロ ー ワ ー ク(公
学生職 業総 合セン 共 職 業 紹 介 所)
ター(六 本 木 ジ ョブ国の公的職業紹介 所 等
パ ー ク)等ア ビリテ ィガ ー デ ン (生 涯 職 業 能 力 開
職 業訓練機 関
発 センター)等「女 性 と仕 事 の 未 来館 」
仕事の理解 と就労意識の 向上
「私 の しご と館 」 「しぶ や ・しご と館 」 若 年 者 トライア ル雇 用 事 業 インタ
就業体験を推進する制度
一 ンシ ップ 等しご と情 報 ネ ット ハ ロ ー ワ ー ク ・イ ン
財 団法人 産 業雇
ター ネ ットサ ー ビス官民統合型システム
用 安 定 センター等
「横 浜 しご とネ ット」
「カナ ガ ワ 仕 事 さ が しネ ッ ト」(神 奈
地方 自治体主導 の雇 用対策
川 県)キ ャ リア ・コン サ ル テ ィン グ キ ャ リ 個 人 の キ ャ リア形 成 支 援 ア ・カ ウン セ リング
日本 人 材 流 通機 構 社 団 法 人全 国 民 営 (JINZAIOpen
民間の職 業紹介所 職業紹介協会
Network)等表2 若年 者 トラ イア ル 雇用 事 業 の 流 れ
礫
④若年者 の雇 い入れ みライ アノレ翻 の蹴
⑧ 専修 学 校 ・外 部 言薄師 竺 に よ る訓 練
⑨ トライ ア ル 雇 用 の 終 了
厚求碑 本架矧
⑥ トラ イ アル 雇 用活 用 計 画書 の提 出
⑩ 奨 励金 の支 給 申請
⑦ 訓練 ・能 力 開発 につ い て の 専 門的 な助 言 ・指 導
若年求聯皆
ハ ロー クーク 傲 鮒 禦 労働 剛
雇朔 ・譜力醗 麓葎 都蹄r票 センター
出 典)厚 生 労働 省/雇 用 能 力 開 発 機 構 資料 「若 年者 トライ アル 雇 用 事 業 の ご案 内」 よ り
(注):若 年 者 トラ イ ア ル 雇 用 では 、若 年 層 が 本 採 用 され る前 に仕 事 を 体 感 出 来 る利 点 が あ る。
事 業 主 は 、雇 用 の ミス ・マ ッチ を防 ぐ とい う利 点 が あ り、就 業 に 関 して あ らか じめ若 年 者 と企 業 が 相 手 を 知 る こ とが 出 来 る こ とか ら、 高 ま る 若 年 層 の 早 期 離 職 率 防 止 に有 効 とい え る。