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醗酵乾燥食肉製品の品質に及ぼす諸因子に関する研 究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

醗酵乾燥食肉製品の品質に及ぼす諸因子に関する研 究

沼田, 正寛

https://doi.org/10.11501/3086583

出版情報:Kyushu University, 1991, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

多ミき酉孝車乞:色需主委主伊ヨ墨�ð舌OJ占古室主t �こさ乏6ヨざす一 吾者Eヨヲ三6こ隠司サーる石子干ヲ宅

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1 9 9 1

(4)

第1章 食品工業における糸状菌の利用

要約 一一一一ー一一一一ーーーー一一一一一一一一ーーーー一一一ーー-- 8

第2章 カピ発酵サラミソーセージからの有用糸状菌の分離 ーーーーーーーーーーー- 10

第1節 乾燥期間中の糸状菌叢変化と優勢菌種の同定 -一一一一一一一- 10 実験方法 一一一一一一一一一一一一一一一ーー一一一一一一一-- 10

実験結果および考察 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

13

要約 ーーー一一一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-

19

第2節 分離株の一般的性状 一一一ーーーーーーーーーー一一一一ー一一ー一一-

20

実験方法 一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー- 20

実験結果および考察 一一一一一ー一 一一一一一一一一一一一一ーー 24

要約 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー- 30

第3章 カピ発酵サラミソーセージの品質に及ぼす分離株の影響 ーーーーーーー- 35 第1節 分離株を用いたカピ発酵サラミソーセージの微生物学的解析 -- 35 実験方法 ーーーー-ーー一一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー一一ーーーーーーーーーー- 35

実験結果および考察 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 40

要約 一ーーーーーーーーーーーーーーーーーー一一ーーーーーーー-一ーーーーーー一-ーーーーー-- 54

第2節 理化学的品質の変化に及ぼす分離株の影響 一ー一一一一一ーー一- 55

実験方法 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 55

実験結果および考察 一一一一ー一一一一一一一一ーー一一一ーー 一一- 57

要約 一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー一一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー一-- 90

第3節 モデルソーセージの官能的品質の変化 一一一一一一一ーーー一一 97

実験方法 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一-- 97

実験結果および考察 一一一一一一一一一ー一一一一ーー一一ー一 一一 98

要約 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ーーー一-108

第4章 気相生育固定化菌体によるカピ発酵サラミソーセージ独特の

香気生産と香気成分の同定 一一ーーー一一一一一ー一一一一一一一一112 実験方法 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー- 112

(5)

実験結果および考 察 一一一一一一一一一一一一一一一一ー一一ー"ー113

要約 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-- --ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

117

第5章 総括 一ーーーーー-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー一一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-- 119

謝辞 ーーーーー一一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーー 124

参考文献 一ーーーーーーーーーー一ーーーーーーーー-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 125

英文要旨 一一一一一一一一一一一ーー一一一一一ーー一一一一一一一一一ーーー- 134

(6)

カピ発酵サラミソーセージはイタリア, ハンガリー, ルーマニアを中心とした南 ヨーロ ッパの代表的なドライソーセージである。 現在では, 世界的に広く親しまれ ている食肉製品の一つであるが, 我国での生産はない。

製法的には, 加熱や;換煙することなく乾燥するアンスモークドドライ(unsmoked dry)タイプに分類される。 熟成を伴う乾燥工程中, その表面は意図的に発育させた 糸状菌に覆われ, 最終製品に至る。 糸状菌の菌糸による白い外観で特徴付けられた 製品は同時に, 強烈で独特の風味を有することでもよく知られており, それはチー ズにおけるカマンベールチーズやロ ックフォールチーズの場合 と似ている。

カピ発酵サラミソーセージを含む非加熱のドライソーセージに共通の特色は, 自 然汚染した微生物が熟成を伴う乾燥期間中に製品の品質を左右する重要な影響を及 ぼすことである。 その影響は例えば, 熟成風味の生成や防腐・ 保存効果の増大, 肉 色の固定, 組織の均質化などに現れ, 微生物叢の種類や, 製造環境の変化に起因す る微生物コントロールの失敗は異臭の発生, 病原性微生物の増殖, 色調の不均一性,

表面の発汗や外層硬化といったドライソーセージとして致命的 とも言える現象を招 く原因となる。

このような理由から, ドライソーセージに関する微生物学的視野からの研究はこ れまでに数多く行われてきたが, その中心は原料肉および製造環境に由来した細菌 を対象としたものであった。 なぜなら, これらの細菌は製造段階の混合工程におい てソーセージ原料全体に分散し, 後の熟成を伴う乾燥工程の初期に急激な増殖を示 すと共に, 全乾燥期間を通して常に主要菌叢を占めることから, 品質に与える影響

が大であったからである。

その結果, 乳酸菌1- 3) やグicrOCOCCl/S属... 6)に分類される一部の菌種が品質管理 上の有用菌として分離・ 同定され, これらの有用菌を選択的に増殖させるための製 造技術や工程管理方法の確立3寸), 熟成風味生成に及ぼす代謝産物の影響1・7-9)な どに関した有益な研究が多数発表された。

これに対して, 糸状菌に関する報告は少なく, そのほとんどは最終製品から分離 した菌種について, マイコトキシン生産性を検討した街生微生物学的観点、からの研 究10ー14) に限定された。 しかしながら, カピ発酵サラミソーセージではこれら細菌

(7)

が及ぼす影響に加えて, 糸状菌もまた脂質酸化や外層硬化の防止効果を有し, さら には独特の熟成風味生成に関与すると言われている。 特に, この風味は他のドライ ソーセージには認められず, 本製品を特徴付ける最も重要な要素であることを考慮 すれば, 糸状菌の影響力は細菌のそれに匹敵すると考えられた。

本研究は以上の背景に基づき, カピ発酵サラミソーセージの熟成機構に関与する 糸状菌の機能を総合的に究明し, 我国での生産が皆無である発酵食肉製品の微生物 学分野に基礎的資料を提供することを目的として実施したもので, その大要は次の とおりである。

まず, 第1章では糸状菌を有効利用する食品全般について言及し, 特に, それぞ れの食品において糸状菌が及ぼす影響を明確にすることによって, 本研究を実施す る上での参考とした。 第2章では実際に製造中のカピ発酵サラミソーセージから,

品質に最も関与する糸状菌を分離・ 同定し, 第1章での検討結果に基づいて, 分離 株の一般的性状を調べた。 第3章では分離株を用いたモデルソーセージを製造し,

製造過程の品質変化を精査することで, ソーセージ上での同菌の作用を明らかにし た。 その作用の一つに, カピ発酵サラミソーセージ特有の香気生成が認められたの で, 第4章で生産される香気成分を同定した。

(8)

第1章 食品工業における糸状菌の利用

糸状菌の生活に伴う生理作用をきわめて巧みに利用した食品として, 我国古来の 醸造物をあげることができるo 酒類, 味噌, 醤油に代表されるこれらの食品は我国 の食構成において常に重要な役割を演じている。 このため, 使用する糸状菌, 具体 的には穀物麹については古くから関心が持たれ, 研究対象とされてきた。 その成果 は食品工業に多大なる恩恵をもたらし, 今日, 麹学として集大成されている。

そもそも, 穀物麹は東アジアの照葉樹林地帯で成立した文化遺産である。 味噌,

醤油の原形は中国の鼓15}, 醤J 6)にまでさかのぼり, 清酒 も同様に江南地方のばら 麹あるいは餅麹J 7)にその源流をみることができる。 したがって, 穀物麹を利用する

類似食品は現在でも東アジアの多くの地域で愛好されており, 例えば, 中国の紅乳 腐J 8)やインドネシアの消化性愛好品であるオンジョムおよびテンペ J 8)などがそう である。 ただし, 我国以外の穀物麹はAspergillus属の単一麹とは異なり, Rh izo­

Pl/S属, !!lIcor属およびPenici//ium属が爽雑する場合が多く, 近年, これらの菌 についても特に, 栄養学的観点からその機能が解明されようとしているJ 9 -2 1)。

動物性タンパク質を主原料とするものでは, 中国にかい, けい, ない, ていなど の肉醤22) があり, いずれも麹米によって肉を醸成したものである。 また, 畜肉乾 燥品である徽千張22 )は我国の鰹節の製法に似ており, 自然着生した!!l/Cor属および RhilOPUS属の糸状菌は筋肉 タンパク質の分解と水分の吸収に関与するとされている。

一方, ヨーロ ッパでは パン, ワイン, ビール, ヨーグルトなどに例示されるよう に, 細菌および酵母利用型の食品が主体である。 本研究で対象としたカピ発酵サラ ミソーセージあるいはハム類の逸品であるイタリアの パルマハム, ス ペインのハモ ンセラーノなどはその中の 特殊なケースと言える。 これと同ケースは チーズにおけ るカマンベールチーズ, ロ ックフォールチーズ, プリーチーズなどにみられ, この 場合, 糸状菌は独特の風味生成23-25)や組織の均質化26)に関与することが明らかに されている。

以上の食品で認められる糸状菌の 役割を機能別に分類すれば, 次に示すように3 つに大別されると考えられた。

(9)

1. 脂質酸化の防止

一般的に, 微生物の関与する食品は脂質の酸化の面では安定なもの が多く, 使用 した微生物の発酵生産物の中から優れた抗円安化↑生物質が見出されている。 糸状的で は発酵大豆食品であるテンペに用いられる点 。/1μsporII Sの場合がそうであり, 同 菌の生産するβ-グルコシダーゼの作用により種々のイソフラボンの配結体から遊離 してくる6. 7. 4 -ートリハイドロキシーイソフラボン(Factor 2)に強い抗酸化活性が 認められている19・27)。 池畑ら28) はリノール酸ナトリウムの酸化をワールブルグ

検圧計を用いる酸素吸収法で測定し, F ac tor 2の抗酸化fjEが合成酸化防止剤t-ブ チルー4-ヒドロキシアニソール(ßIIA)に匹敵することを示した。 さらに, 原料自体の 酸化防止効果2 9・ 3 0)も加わって, テンペが370Cで6ヶ月以上脂質酸化に安定であっ たと報告している。

ZaikaとSmith31)は黒麹カピであるA. 刀ilerの活安物から未同定の抗酸化性物質 を抽出し, また, Berndt32)はA. ory 1,1eのグルコースオキシダーゼおよびアミラー ゼに抗酸化fjEがあることを認めている。味噌や醤ilbでは原料の分解産物であるアミ ノ酸, ペプチドおよび、褐変物質にもその作用があると言われている3 3 - 3 11)。 山口と

赤塚36】 は無塩豆味噌を巾心とした抗酸化別を開発する過程で, 分子量2, 500""""

3,000のペプチド画分に強い活性を認めている。

一方, 天然の抗酸化剤を検索する手段として, 土壌などの自然界に広く分布する 糸状菌を対象とした研究も多く, この中で, 石川ら37 )はA. (El/rotll/mJ rheva/lerl からフラボグラウシンを, Aoyamaら3目)およびNakakitaら3 9・� 0 )はP. .iaρfh Ifle / / lIm から抗酸化性物質の結晶化に成功している.前者は鰹節製造に用いられるA. l/(1lIC­

llSグループに属し, 後者はカピ発酵サラミソーセージから分離された菌障と一致し ており10), いずれも食品との関連性を示唆する点、で・興味深い。

2. 抗菌作用またはマイコトキシンの生産性とその防御

食品に利用される糸状菌が生産する抗菌性物質としてはA. orYI.1eの培養物から

1907年に斉藤.. 1 )が発見し, 1916年に薮田..2)によって椛治決定された麹酸が著名で あり, それはフレミングのペニシリン発見以前のことである。 以後, グラム陽性お よび陰性菌に抗菌作用を有する各磁のアスペルギリン酸.. 3・44), 酵母に対してのみ 抗菌性を示すアスピロクロリン.. 11・46}, 火落菌に対するβーニトロプロピオン酸47),

植物中にも広く分布することが知られている移酸�8)などの発見が続き, A. f ,1 m.1 r I i,

(10)

A. SO.iílf. Rh izopus属あるし1は P仰ici//ium属と多岐にわたる菌穏でそれらの生 産が確認されている。

ところが, 1962年A. f/ílVUSが生産するアフラトキシンの発見.. 9・50)を一大転機 として, 糸状菌の生産物の多くは薬効より毒性に注意が払われるようになった。 前 記の物質は現在, マイコトキシンとして取り扱われ, 食品中での生産性は衛生学的 研究の対象となっている。 併せて, A. f/ílVI/Sと類縁種であるA. OrYZílfのアフラ トキシン生産性が培養物および味噌や醤油などの食品で追求された5 1-53)o その結 果, 穀物麹として利用されている菌種のすべてにアフラトキシンの生産性は認めら れず, また, 他のマイコトキシンについても生産量からみて安全であることが確認 されている。 同様の観点から, Cieglerら1 0)はカピ発酵サラミソーセージに利用す る糸状菌のマイコトキシン生産性を検討し, 分離株の10%に当たる34株のPfl7ici/ー / i um属に液体培地でペニシリン酸の生産を認めている。 しかし, ペニシリン酸陽性 株を接種したソーセージ上では同物質は検出されなかった。 高鳥ら11)は輸入のカピ 発酵サラミソーセージから分離したP. Cyc/opiumおよびP. /11 i CZ,V刀skiソを中心とす る計23株にペニシリン酸生産能がないことを立証し, この種のソーセージが食品衛 生上安全であるとした上で, 用いる糸状菌はマイコトキシン生産菌の汚染を防御す る機能が必要であることを指摘している。

一般的に, 糸状菌を利用する食品は製造あるいは流通期間の長いものが多く, 汚 染菌によるマイコトキシン生産の危険性も高い。 さらに, 他の食品, 特に乾燥食品 での汚染状態10ー14・54・1515)を考慮すれば, 糸状菌が有する抗菌作用の発現とは高鳥 らが指摘するとおり, マイコトキシン生産の防御において緊要性が認められるもの ではないかと考えられた。

3. 酵素生産と風味生成作用

糸状菌の最も重要な役割は原料中の高分子物質を低分子物質に分解する酵素や低 分子物質をさらに風味物質に変換する酵素を生産することであり, これらの作用は 食品の物性面, 栄養面および風味面に甚大な影響を及ぼす。 その中で, ここでは特 に糸状菌の風味生成作用について検討を加え, カピ発酵サラミソーセージにおける 独特の熟成風味生成機構を解明するための参考にしたいと考えた。

前述したように, 本研究に類似したケースとして糸状菌を利用するチーズの製造 例がある。 その一つであるカマンベールチーズはフランス,オルヌ地方のCamembert

(11)

という小さな村を発祥地とする代表的なソフトチーズであり, チーズカード表面に P. cíllJell1bert iまたはP. cílseico/ul1lの接種を特徴とする。 接種菌の脂肪, タンパ ク質分解作用はカマンベールチーズの風味生成に関与し2 3・24), 特に, その特香成 分についての報告は多い。GrouxとMoinas!i6)は香気成分の同定を行い, メチルケト ンと二級アルコールが他のチーズに比べ多量に存在することを明らかにした。 さら に, 香気の基本的骨格にP. roquefortiを用いて羊乳あるいは牛乳から作 るロ ック フォールチーズやブリーチーズとの類似性を認めている。 SchwartzとParks57)はカ マンベールチーズとロ ックフォールチーズのメチルケトンを比較し, 前者が2ーノナ ノン, 後者が2-へプタノンが主要なケトンであることを示した。 二級アルコールに ついてはいずれも2-ブタノール および2-ノナノールが重要な成分であるが, カマン ベールチーズに特異的なものとして1ーオクテンー3ーオールが同定されている1)8・ EB}O

これらの香気成分は糸状菌が生産する種々の酵素により, 乳脂肪から脂肪酸, βーケ ト酸を経て生成されるが80), 松岡と津郷61 )によれば、 その生成量は熟成3週目に おいて急激に増加すると報告されている。 また, 糸状菌が関与すると考えられてい るアルキルベンゼン類I! 2)およびアルキルアミン誘導体6 3 )も両チーズの香気に寄与 する。

このような研究成果を実際のチーズ製造に応用する研究も多く, 中 でも, 揮発性 遊離脂肪酸が香気またはその前駆物質となることから, リバーゼ標品を乳やチーズ カードに添加することが検討され, 熟成の促進あるいは風味の増強に好結果が得ら れている6<4-67)0 JollyとKosikowski 68), ChandanとWishnetsky69), Nelson70)およ び蟹沢ら71 )はこれをさらに発展させ, 乳脂肪を基質としてP. roqU♂fort iおよび P. cílseico/ul1lを液体培養し, あるいはリバーゼを併用してブルーチーズ様フレー パー濃縮体の生産に成功している。

一方, プロテアーゼやペプチダーゼの応用も試みられているが, この場合は水溶 性窒素化合物の著しい増加がみられるものの, チーズに苦昧などの欠陥フレーパー が生じ7z,73), 実用化には至っていない。

麹菌 については醤油, 清酒, 味噌など, それぞれの食品特性に応じた麹が開発さ れ, 風味生成に関与する種々の酵素の存在が明かとなっている。 原料中のタンパク 質の分解・ 可溶化・ アミノ酸化が呈味の向上として最も重要視される醤油麹は少な くとも7種類のプロテアーゼと12種類のぺプチダーゼを生産し74-77〉, これによっ

(12)

て遊離したグルタミンを旨味の主体であるク。ルタミン酸に分解するグルタミナーゼ も2種類存在する74・7 r;)。 リボヌクレアーゼ, ホスファターゼおよびリボヌクレオ シダーゼの核酸分解酵素は原料や麹菌体あるいは他の微生物菌体中のリボ核酸を分

解し, これらの代謝生産物もまた醤油の呈昧に寄与すると言われているが78}, 特別 な呈味成分は見出されていない79 )。

清酒麹や味噌麹でもこれとほぼ同現象が認められる80-83)。 ただし, 味噌用米麹 は醤油麹などに比べプロテアーゼ活性が弱く, このため, 製麹に際し, 炭酸カルシ ウム, リン酸ナトリウム, コハク酸ナトリウムあるいはグルタミン酸ナトリウムな どを製麹助剤として添加するプロテアーゼ活性増強法が開発されている84・8 5)。

また, 清酒の呈昧成分の一部といわれているイソマルトース, パノース, コージピ オース, ニゲロースおよびαーエチルグルコシドはトラン スグルコシダーゼによって マルトオリゴ糖から生成されたものである86)。

これらの呈味とともに, 食品の品質を左右する香気成分は最終的には共存する酵 母により生産される場合が多し、。 麹菌はその前駆物質の生産に関与するが, 清酒に おけるロイシン酸あるいは醤油のフェルラ 酸とPークマリン酸などがこの例であり87

B E}, それぞれの物質は酵母によって, 芳香増強作用を有するロイシン酸エチルある いは特香成分である4ーエチルグアヤコールへと変換される。 一方, 味噌麹のリバー ゼは大豆中の脂質を分解し, 全脂肪酸の8--16%にあたる遊離脂肪酸を生成する。 こ の一部はアルコール発酵の結果生成したエタノールと反応し, 味噌香として非常に 重要であるのみならず, 保香効果を有する脂肪酸エス テルを形成することが報告さ れている耳 目}。 さらに, 麹自体の香気成分であるフェニルアセトアルデヒド, 2-メト

キシ-5-ピニルフェノール, フェニル酢酸およびカマンベールチーズの香気成分とし ても同定された158.59) 1-オクテン-3ーオールもそれぞれの食品の呑気に大きく影響す るとされている90 9 1 )。

これらの穀物麹の場合とは異なるが, 我国の糸状菌を利用する伝統的食品で, 動 物性タンパク質を主原料とするものに節類がある。 中でも, 鰹節はその代表であり,

A. g/aucus, A. g/al/Cl/S var. l1inillUSやA. ねiuobl/siが優良菌種として同定され ている。 しかし, 風味生成に関する糸状菌の影響については不明の点が多く, 一般 的には, 脂質の分解やアミンの吸収による生臭い臭気の除去あるいは自己消化酵素 とともに呈昧性の増強に関与すると言われている9 2・9 3)。 金ら94)は乾燥工程中の香

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気成分の変化を調べた結果, 糸状菌は香気の種類に変化を与えないが, 量的には1.

2-ジメト牛シ-4-メチルベンゼンおよび1. 2-ジメトキシー4-エチルベンゼンの急激な 増加に関与し, これらの成分 が鰹節香の一つであると推定している。

以上, 糸状菌を利用した食品の風味生成に及ぼす糸状菌酵素の影響を列挙した。

それぞれの食品に特徴的な風味は多種類の酵素の共同作用によって生成されるもの であるから, 各種酵素の量的なバランスは風味を決定する上での重要な因子となる。

加えて, 酵母や乳酸菌に代表される共存微生物あるいは原料自体が有する自己消化 能など, 多くの因子がこれに関与し, 特に, 本研究のカピ発酵サラミソーセージの ように非加熱で製造される食品ではその影響は大と思われる。 良質な風味はこれら の機能がうまく調和した結果造り出されるものであり, したがって, ー食品の風味 生成機構を解明するには以上の機能を含めた総合的観点からの探究が必要であると 考えられた。

要 約

食品加工における糸状菌の機能を本研究と関連付けて整理すると次の3つに大別 された。 すなわち, 1. 脂質酸化の防止, 2. 抗菌作用 またはマイコトキシンの生産 性とその防御, 3. 酵素生産と風味生成作用である。 糸状菌が抗酸化性物質を生産す る例としてはテンペに用いるR. 0/ igosporusの6. 7. 4 -ートリハイドロキシーイソフ ラボンが著名である。 しかし, 近年, 天然、の抗酸化剤を検索する目的で土壌中から 分離された抗酸化性物質生産株の中には食品加工に用いる菌種の類縁種も 多く, こ のことは糸状菌による脂質酸化の防止がさらに種々の食品で見出される可能性を示

唆すると思われた。

一方, アフラトキシン問題は糸状菌を利用する食品工業界に とって危機ともいえ る一大事件であったが, 幸いに もこれらの菌株のすべてがアフラトキシンを含むマ イコトキシンの生産に関し, 安全であること が確認された。 しかし, 汚染菌による 食品中でのマイコトキシン生産の危険性は依然、として指摘されており, その防御は 食品に利用する糸状菌 が他の微生物に及ぼす作用のなかで最も重要かっ必要なもの と考えられた。

糸状菌はまた, それぞれの食品に特徴的な風味の生成に関与し 生産するタンパ

(14)

ク質, 多糖類, 核酸および脂質の各分解酵素群あるいはグルタミナーゼなどがこの 役目を担う。酵素反応様式は食品によって異なり多種多様であるが, 良質な風味を 生成するにはこれら酵素の量的バランスが重要な要素となることは言うまでもなし、。

食品中で示される糸状菌の機能を大別すれば以上のとお りであったが, 次章以降 では, カピ発酵サラミソーセージの熟成機構に係わる糸状菌の機能をこれらの知見 を参考にして解明することにした。

(15)

第2章 カピ発酵サラミソーセージからの有用糸状菌の分離

第1節 乾燥期間中の糸状菌ft�変化と優勢菌極の同定

カピ発酵サラミソーセージは腸に充填したソーセージ原料を日陰に吊り下げて自 然乾燥中, 環境由来の糸状菌が偶発的にその表面に生育したことにはじまり, それ が今日の工業的規模での生産につながるという歴史的背景をもっ。 この間, 製造機 械は大型化し, 腸は合成のケーシングへと変化してきたが, 約1ヶ月から3ヶ月に 及ぶ乾燥工程は未だに自然乾燥に頼る製造者が多いようである。 現在, カビ発酵サ ラミソーセージの生産地が南ヨーロ ッパと北米西海岸のいわゆる地中海性気伎を示 す地域に集中していることも, この乾燥方法に関連していると思われる。 したがっ て, ソーセージ表面の糸状菌叢は製造する地域の気候風土に影響を受ける。 これに 加えて, 乾燥期間中, ソーセージ成分は急激に変化する。 すなわち, 水分活性は約 O. 95からO. 85以下に, PHは自然汚染あるいは意図的に接ー障した細菌の発酵作用によ って約6.5から5.0以下に低下する。 ところが, このような環境変化に起因する糸状 菌の動態はほとんど知られていない。

このことから, カピ発醇サラミソーセージの品質に最も関与する糸状菌を分離す るには, まず, 乾燥期間中の糸状菌叢の変化を明らかにすることが必要と考えられ た。

実 験 方 法

1. 実験材料

供試したカピ発酵サラミソーセージは198 �年9月にJTO CARJANJ SAUSAGE COMPANY

INC. (2424-0AKDALE Ave. SAN FRANCI SCO U. S. A. )で製造されたものである。 製造方 法および原料配合割合をFig.2-1およびTable2-1にそれぞれ示した。 乾燥施設はソー セージ原料の乾燥度合に応じて順次1から4区画に分かれており, このうち混湿度 がコントロールできるのは第1区画だけであった。 ここは高泊多湿の状態であり,

3日間の保管でソーセージ原料の表面には白い糸状菌股が形成された。 しかし, 特 定の菌障を筏極するような操作はなく, 菅生した糸状ïÆíは�U造環境に由来すると考

(16)

えられた。 ソーセージ原料はその後, 約2週間の間隔で各 区画を移動中に乾燥が進 み, 計約6週間の乾燥期間を経て最終製品と なった。

実験材料は乾燥1日目(第1区画での保管1日目), 4日目〈第1区画での工程 終了時), 7日目(第2区画での乾燥3日目), 14日目(第2区画での工程終了時) 25日目(第3区画での工程終了時)および39日目(第4区画での工程終了時)のも のから, それぞれ5本づ‘つを無作為に選び, 直ちに試験に供した。

2. 試料の調製

各乾燥日の 実験材料は表面のケーシングを取り除き, 2等分した。 その半分は材 料全体を細切後, 5本分まと めて均質試料と し, 成分分析に供した。 残りは表面か ら厚さ約5mmにわたって切り採った後, 同様に5本分を均質試料と して, 糸状菌の 分離・同定に供した。

3. 分析方法

3. 1 糸状菌の分離および同定

試料10gを滅菌生理食塩水90r戒と と もにホモジナイズ後,同食塩水を用いて適宜

10段階希釈した。 この希釈液O.1mQ,をツアベックドックス寒天培地(D1 FCO)に塗 抹 300Cで2週間培養を行い, 糸状菌数を測定した。 本操作は1実験材料につき5回行 った。 菌数測定後の各平板から4--5菌株を無作為に釣菌し, 純粋培養後, Raperと Fennel l M), 長谷川98) および字国川と 鶴田9 7 ) の方法に基づき同定した。

3. 2 水分; í日本農林規格・食品編J JAS水分測定法9 8) に準じ, 常圧乾燥法 (13 50C. 2時間)で求めた。

3. 3 組タンパク質;ケルダール法により測定した全窒素に6. 25を乗じて求めた。

3.4 粗脂肪;公定法量的 に基づき, ソックスレー抽出法で求めた。

3. 5 亜硝酸塩;公定法1 00)に基づき, 昇末法で求め, 亜硝酸根と して表した。

3. 6 食塩; í食品衛生検査指針n J , 晴好飲料検査法1 0 1 )に記載のホルハルト 法によった。

3. 7 水分活性;コンウェイのユニットを用いる公定法1 02)に基づいて測定した。

3.8 PH;ガラス電極付iメーター(掘場製, F-8)で測定した。

(17)

Table 2-1 lngredients of mold-fermented salami sausage Ingredients

Meat block Beef Pork

Pork backfat Dry ingredients

Corn syrup solid Dextrose

Salt

Non-fat dry milk

(Kg) 7. 5 68. 5 15.0

0.8 2.0 2. 8 3. 4

Meat, -1・c

Beef, 3. 3mm

Pork, 1. OCIII

Ingredients

Curing ingredients

Spices

Sod i um n i t r i t e Potassium nitrate Sodium erythorbate

Gar 1 ic, powder Pepper, b 1 ack, who 1 e Pepper, whi te

Nutmeg

Pork backfa t, 2.0cm3, freeze

Addition of dry and curing ingredients and spices

Using cellulose casings (5cm in diameter)

ls.t drying room, 18-24・C, 98-100%RH, 3days 2nd drying room, 22-28・C, 65-90%RH, 10-14days 3rd drying room, 22-28・C, 65-80完RH, 10-14days 4th drying room, 22-28・C, 65-80完RH, lO-14days

Fig.2-1 Processing procedure of mold-fermented salami sausage

(g)

12 36 50

30 30 320 60

(18)

実験結果および考察

1. 乾燥期間中の成分変化

カピ発酵サラミソーセージの乾燥期間中の成分変化をTable2-2に示した。 水分は 漸減傾 向を示し, 相 対的に粗ク質, 粗脂肪および食 塩 濃 度は上 昇した。 最 終 的には水分22.86%, 水分活性o. 797となったが, これは我国のドライソーセージの 製品規格である水分35%以下(日本農林規格) 98)および水分活性O. 86以下(食品衛 生法) 1 02)をはるかに下回る値であった。 亜硝酸根および州は乾燥4日目までに急 激に低下し, その後は漸減した。 いずれの成分変化も正常な状態で乾燥されたドラ イソーセージのそれと類似した結果1 03・ 1 0 4)であった。

2. 乾燥期間中の糸状菌数および糸状菌叢の変化

糸状菌数および分離株の同定結果をTable2-3に示した。 糸状菌数は乾燥4日目ま でに2オーダー程度増加し, その後漸増したが, 乾燥14日目以降では大きな変動は 認められなかった。 菌数測定後の平板から分離した菌株はほとんどがんfJi c i I I i ll/l1

属であった。 本属は乾燥期間をとおして常に菌叢の主要菌であり, 特に, 乾燥1日 目から7日目までは分離株のすべてを占めた。 しかし, 菌数増加が静止j切に達した 乾燥14日目以降ではAspergillus属, Rhizopus属, C I adospor i (I/I1属および:!1ucor 属が少数検出されるようになった。

以上のように, 糸状菌叢は乾燥期間中に属レベルで大きく変化することはなかっ た。 そこで本研究では, 常に菌叢の優位を占めたP仰ic i I I i 11/11属について, さらに 詳細検討することにした。 一方, 乾燥後期に検出したPefJici// il//I1属以外の糸状菌 はドライソーセージに関するこれまでの報告10 - 1 ..・ 5 4. 1 0 5 )でも指 摘されているとお り, 乾燥環境に由来した汚染菌と考える。 これらの検出頻度は低く, 直接品質に与 える影響は少ないが, マイコトキシ ン 生産の可能性がある点で, その防御を検討す ることは今後の重要な課題の一つである。

3. 主要菌穫の同定

分離したPefJici//illIJ属の全株を種の同定に供した。 同定はツアベックドックス 寒天培地(DIFCO)および麦芽抽出寒天培地(BBL)を用いた肉眼的観察と顕微鏡観察に より行った。 その結果, 供試株はすべて同じ形態学的性質を示し, 同一菌程と考え られた。 観察所見は次のとおりである。

(19)

Table 2-2 Changes in chemical composition of mold-fermented salami sausage during drying process

Moist. ;') Prot. b) Fat

Days (完) (児) (完)

48. 51 18. 0 26. 6 4 43. 59 19. 7 29. 2 38. 19 21. 6 32. 0 14 32. 92 23. 5 34. 7

25 30.79 24. 2 35.8

39 22. 86 27. 0 39. 9

Salt (%)

2. 9 3. 3 3.4 3. 4 3. 5 4. 9

No2- (ppm)

87. 7 38. 3 24. 6 16. 3 3. 2 2. 0

a); Moisture. b); Protein. C); Water activi ty

pH AwC)

5. 75 O. 939 5. 03 O. 925 5. 02 O. 910 4. 84 O. 873 4. 79 0.868 4. 73 O. 797

Table 2-3 Fungi detected on mold-fermented salami sausage during drying process

Fungal Total Genus of fungi

counts counts of

Days (/g) detected

fungi 2. 1X103 20

4 6. 2X105 25

7 1. 4X106 20

14 5. 3X106 30

25 4. 8X106 35

39 5. 1 X 106 25

Total 155

キPercentage for distribution

Pen. a) 20

Asp. b)

(100. 0)キ( 0

25

(100. 0)

20

(100. 0) 26

( 86. 7) ( 6. 7) 32

( 91. 4) ( 2. 9) 22

( 88. 0) (12.0)

145 6

( 93. 5) ( 6. 9)

i!J i. C)

( 3. 3)

( 2. 9)

( 1. 3)

a) Pen. ; Pen ic i 11 iU!I. b) Asp. ; Asperg i Ilus. c) /(11 i. ; /(11 izoPUs.

d) Cla.; Cladosporiu/I. e) Ifuc. ;lfucor

Cla. d)

( 3. 3)

( O. 6)

Jザ'uc. e)

( 2. 9)

( O. 6)

(20)

a. ツアベックドックス寒天培地による肉眼的観察

集落は抑制的で, 25 oC, 14日間の培養で直径3.0--3. 5cmの集落を形成する。 集落 表面は不規則に隆起し, 中心から辺縁部に向かつて放射状のしわが生じる。 菌体は 白色, フェルト状で, 辺縁部において羊毛状となる。 分生子形成部分で灰緑色, 集 落裏面は淡黄色またはイエロ一一オレンジ, 透明の分泌液を多量生じる (Fig.2-2)。

b. 麦芽抽出寒天培地による肉眼的観察

250C, 14日間の培養で直径3.5--4. Ocmの集落を形成する。 菌体は薄くてもろい,

分生子形成部で浅緑色, 集落裏面は鈍黄色またはイエロ一一オレンジ, 分泌液の産生 はない(Fig.2-3)。

C. 顕微鏡観察

有性生殖器官の形成は観察されない。 無性生殖器官は多数形成され, 分生子形成 機式はフィアロ型。 分生子柄は直生, 分枝し, 先端はフィアライドになり, 分生子 連鎖を生じる。 分生子柄は長さ300--400μ, 幅2.0--2.5μ, 滑壁で無色。 基底分枝,

メトレ, フィアライドからなるべニシラスを形成。 ぺニシラスは複輪生体一非対称型 で, 基底分枝とメトレは広角度に散開分校する。 メトレは長さ8--15μ,幅2.0--2.2 μ, 3--5本が頂部で輪生する。 フィアライドは長さ7 --9μ,幅1.5--2.0μ, とっくり 型で, 滑壁, 無色。 分生子は亜球形から楕円, 滑面で, 2.5--3.0X2.0--2.5μの大 きさ, 分生子連鎖はもつれ合って散開し, 長さは50--75μである(Fig.2-4).

上記の形態学的性質をRaperとfennel 19E), 長谷川96)および宇田川と鶴田97)の記 載に基づき検索すると, これらの供試菌はP, micz.v刀skiiに属するものと考えられ る。 これまでに, 同菌に関するマイコトキシンの生産や有害性を示唆する報告は得 られていない。

P, miczy刀skiiのカピ発酵サラミソーセージからの分離はCieglerら1 0)および高 鳥ら11)によって報告されている。 それぞれハンガリーおよびオーストリアで製造さ れた最終製品からの分離例であったが, 本研究によると, 同菌は急激な環境変化に もかかわらず, 乾燥初期から糸状菌叢の優位を維持することが明らかとなった。

(21)

Fig. 2-2 A colony of isolate on Czapek Dox agar at two weeks

(22)

Fig. 2-3 A colony of isolate on malt agar at two weeks

(23)

Fig. 2-4 Conidial head of isolate (x 800)

(24)

カピ発酵サラミソーセージの品質に最も関与する糸状菌を分離する目的で, 乾燥 期間中の成分, 糸状菌数および菌叢変化を調べ, 次の結果を得た。

1. 水分および水分活性は漸減し, 相対的に粗タンパク質, 組脂肪および食塩は 上昇した。 亜硝酸根およびPHは乾燥4日目までに急激に低下したが, その後は漸減 した。

2. 糸状菌数は乾燥4日目ま でに2オーダー程度増加し, その後漸増したが, 乾 燥14日目以降は10"台で推移した。

3. 糸状菌叢は圧倒的にP, l1iCIJlnskiiで占められ, これは乾燥に伴う環境変化に よって大きく変化することはなかった。 しかし, P, lIliclynskiiの増殖が見掛け上

停止した乾燥中後期では環境由来と考えられる汚染菌を検出する頻度も高くなり,

食品衛生学的観点から, その防御が必要と思われた。

(25)

第2節 分離株の一般的性状

従来より, カピ発酵サラミソーセージに利用される糸状菌は風味関連物質の生産 に関与し, 脂質酸化の抑制作用を有する と言われている。 しかし, これらの機能を 含めた糸状菌の一般的性状を検討した報告は極めて乏しく, わずかに, 有用菌を分

離する目的で, 乾燥初期における温・ 湿度と発芽および発育性の関係を示したMin­

tzlaffとLeistnerの研究10 6)あるいは食品一般に利用される糸状菌を対象として,

そのタンパク質および脂質分解性を測定したFathyらの研究107)をみるに過ぎない。

そこで本研究では, 前節で分離したP, m i CIYflSk i iの一般的性状について, 応用 菌学的観点から詳細に解析することとした。 まず, ツアベックドックス寒天培地上 での発育特性を検討し, 実際の製造過程で認められた現象と比較した。 次に, プロ テアーゼおよびリバーゼの生産性と酵素活性の環境依存性をそれぞれカゼインナト リウムおよびオリープオイルを基質として精査した。

P, lIiCIJlflSkiiは分類学上, P, ja fl f h i fl e / / u mグループに属する。 第1章で示し たように, P, ja fl t h i fl e / / U IJには優れた抗酸化性物質の生産能があり, 類縁種であ るP, l/iCIJlflSkiiもその可能性は高いと思われる。 ところが, 一般的にはカピ発酵 サラミソーセージにおける脂質酸化の抑制作用は表面に形成された糸状菌股による 空気の遮断効果とされているだけで, 抗酸化性物質の生産性については明らかにさ れていなし1。 本研究では, この点に関しでも同菌の特性を明確にしたいと考えた。

さらに, 乾燥期間中の病原性微生物ならびに細菌叢変化に及ぼす影響を4種の被 検薗を用いた抗菌性試験により推察した。

1. P, IJ i CIY刀skiiの発育特性 1. 1 供試菌株

実 験 方 法

前節で分離した P, l/iCIY刀skiiを供試した。

1.2 発育範囲

サッカロース3%, リン酸二カリウム0.1%, 硝酸ナトリウム0.2%, 硫酸マグネシ ウム0.05%, 塩化カリウム0.005%, 硫酸第一鉄O.001 %から成るツアベックドック

(26)

スブロスを基礎培地とした。 発育可能な州の範囲はrH2.0--13.0に調整した基礎培地 を用いて培養温度300Cで, 温度範囲は基礎沼地の州を7. 3に調整し, 2 --6 0 oCでそれ

ぞれ30日間静置培養後, 肉眼的に発育を認める範囲とした。

1.3 発育特性

ツアベックドックス寒天培地を基礎培地とし, 次に示す条件で培養した。

発育至適凶;基礎培地の凶をO. 5州単位の間隔で4.0--7. 0の範囲に調整し, 300Cで 2週間培養した。

発育至適食塩濃度;基礎培地の食塩濃度を1 %間隔で0--10%の範囲に調整し, 30 OCで2週間培養した。

発育至適温度; 50C間隔で5--35 oCの範囲に設定した各温度帯で2週間培養した。

各条件下における発育性は巨大培養法で得られた集落の直径を計測することによ って求めた。

2. プロテアーゼおよびリパーゼの生産性と酵素活性の環境依存性 2. 1 粗酵素液の調製

小麦廷にその6倍量の散水を行い, 1200Cで30分間高圧滅菌した。 放冷後, 小麦魅 20gに1白金耳の割合で30oC, 7日間培養のp, lJiCIY!Jsk/・/分生子を接種し, 300Cで 所定時間培養を行った。 各培養物に10倍量の水を加えてホモジナイズし, 2 oCで24 時間抽出後, 漉過(東洋鴻紙No.2)した。 漉液のカゼインナトリウムおよびオリー ブオイルを基質とした場合のプロテアーゼおよびリバーゼ活性は非常に低く, この ため, 分画分子量5, 000 の平膜を用いた限外鴻過によりさらに6倍に濃縮し, これ を組酵素液とした。

2. 2 酵素活性の測定

フロテアーゼはAnson-荻原改変法10 8. 1 0 9)に基づいて測定した。 300C, 州7.0で1 分間にチロシン1μg相当量のFol i n試薬呈色のTCA可溶性物質を生成する酵素量をl 単位とした。 リバーゼはオリーブオイル乳液を用いたFioreとNord110)および:'Nord 111)の方法に準じ, 3 70C, 凶7. 0で1分間に1μMの脂肪酸を遊離する酵素量をl単 位とした。

2. 3 酵素活性の環境依存性

いずれも前述の反応液を基礎溶液とし, pH依存性は基礎溶液の凶を2.0--7.0に,

食塩濃度依存性は0--10%に調整して酵素活性を測定した。 反応混度依存性は基礎溶

-EA 内,u

(27)

j夜を用いた5---500Cでの測定結果で表した。

3. 抗酸化性物質の生産性

3.1 P. lliClynskii培養画分の調製

P. l1iClynskiiの培養物から, Fig.2-5に示したように4画分を得た。 このうち,

画分1---皿はラードエマルジョ ンを用いた抗酸化力試験に, 画分Wはリノール酸を 基質としたオープンテストに供した。

3. 2 抗酸化力試験

ラードエマルジョ ンによる抗酸化力試験;精製ラード83%, カゼインナトリウム

0.35% , 豚血球部 0.15%および1---皿の各画分16.5%から成る乳化物を直径85mmの シャーレに20gの割合で、分注後, 25 oCの恒温器内に一定期間留置し, この間の乳化物 の過酸化物価を経時的に測定した。 豚血球部は東日本畜産血液センター(越谷市) にて, 套管方式で常法11 2)どおり, クエン 酸ナトリウムを添加しながら採血した豚 血液を遠心分離して得たものであり, 血球部中のへム鉄による酸化反応の金属触媒 として添加した。

アスコルビン酸ナトリウムおよび亜硝酸ナトリウムはそれぞれ終濃度1%w/wおよ び200�とし, 各画分との抗酸化力の比較または相乗効果の判定に用いた。

オープンテスト1 1 S)による抗酸化力試験;リノール酸3 gを容量50mQ.のビーカーに 精秤し, 画分IV O. 6rr泌を添加後, 通風装置付の恒温器内(63oC)に留置した。 一定時間 毎にそのO. 5gを採取し, 過酸化物価を測定した。 画分Wとの抗酸化力の比較対象と したα-トコフエロール, 2, 6-ジーt-ブチル-p-クレゾール(BHT)およびt-ブチル-4-ヒ ドロキシアニソール(BHA, いずれも和光純薬工業(株)製)はエタノール溶液とし,

終濃度は200JfIDおよび:'4 OOT1lllに調整した。

3. 3 過酸化物価の測定

衛生試験法・ 注解114)に従い, 試料油脂1kgによってヨウ化カリウムから遊離さ れるヨウ素のミリ当量数で表した。

4. 抗菌性試験 4. 1 培養画分の調製

本節の実験方法1.2で述べた液体培地(rH 6.0) 50mQ,にツアベックドックス寒天培地 で30oC, 7日間培養したP. 1/ i clynsk i i分生子1白金耳を接種し, 300Cで14日間振 盗培養した。 培養菌体をガーゼで除去後凍結乾燥し, 乾燥物約600mgを得た。

nJu n,h

(28)

Culture of

P. øic2ynskii

Mycelium of

f. aiczynskii

Incubate with the medium of

1%

pork fat- added Czapek Dox broth at

30・c

for

1

week

filtrate

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Organic phase

(1.

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Fig.2-5 Fractionating procedure for antioxidants from the culture of

Pξnicill iUIl aiczynsk ii

(29)

4. 2 被検菌株

(財)醗酵研究所より入手したfscl7ericl7ia co/ i IFO 3301, Sa/llo/7e/ /a typl7/ー 1Jl/ r i U 11 1 F 0 1 4 1 9 3 , 8 a c i / / U s s {/ b t i / j s 1 F 0 3 3 3 6 S t a p 17 JI / 0 C 0 C C 1/ S a 1I r e (/ s 1 F 0 3 0 60を用いた。

4.3 供試培地

被検菌の培養および抗菌力の測定用培地は1 %肉エキスブイヨン培地[エールリ ッヒ肉エキス(極東製薬工業(株)製)10 g, ポリペプトン(日本製薬(株)製) 10g, 精製水l,OOOn&, pH7.0Jを用いた。 培養は300Cで振塗培養した。

4. 4 抗菌力の測定

培養治j夜の凍結乾燥物は精製水に50mg/n&の割合で溶解後, メンプランフィルタ ー(東洋科学産業, TM-2, 0.45μ)を用いて除菌し, これを試験液とした。 抗菌力 の測定は培地8.5n&に 試験液1rr叫および660nmの吸光度(OD660)がO.3になるように調製 した被検菌液O.5n&を加え, 300Cで24時間培養し, この間のODlIlIo値(日立製作所,

ダブルビーム分光光度計, モデル200-20)の変化を調べることで行った。

実験結果および考察

1. P. lIicZJI/7skiiの発育特性

分離したP. lJiczJI刀skiiの発育範囲は凶3.0.-....,10.0, 温度は本実験に用いた下限海 度である20Cから350Cまでであったo Fig. 2-6には発育に及ぼす凶, 食塩濃度および 培養温度の影響を示したが, 図から明らかなように, 発育速度は主に培養温度に依 存していた。 このことは州や水分活性が急激に変化した乾燥過程で, 本菌が常に糸 状菌叢の優位を占めた前節の実験結果を支持すると同時に, 糸状菌の発育をコント ロールするには乾燥環境の温度が重要な要因であることを示唆した。

2. プロテアーゼおよびリバーゼの生産性と酵素活性の環境依存性

F i g. 2一?に培養日によるプロテアーゼ、およびリパーゼ活性の変化を示したが, いず れの場合も最大活性は培養20日目に認めら れた。 この時点の粗酵素液を用いて環境 依存性を調べると(Fig.2-8およびFig.2-9), 本実験範囲内ではプロテアーゼはrH 2. 0付近および7. 0以上に至適をもっと思われる少なくとも2種類以上の酵素が混在 すると推定された。 リバーゼの至適PHは7.0以上であり, 同i4. 0以下での活性はほと

(30)

80

60

40

20 (次)32

目{J}伽OIHO

6 8 PH -.- 4 5

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6 8 4 5

2

しーー

し一ーー_J

9 10 (X) -0-

content

S a 1 t

2 5 1 5

5

し一一

3 5 telllperature

Incubation

ternperature

-6-

Effects of salt content, PH and incubation the groith of fenicilliuu Hiczynskii

(.C)

2-6 F i g.

relative ratio as a

rate was expressed maxíum growth.

on

The growth for the

(31)

んど認められなかった。 両酵素とも食塩濃度には影響を受けず, また, 反応温度の 上昇に従い400Cまで活性は直線的に増加したが, 本菌の至適発育温度である200Cま たはそれ以下では極端に低い値であった。

培養20日目のプロテ アーゼ活性を娃19当たりの酵素量に換算し, 同条件で測定し た醤油麹19のそれと比較すると, 本菌の生産量は醤油麹としての 必要量の1/10程度 に当たると考えられる。 しかしながら, 培養方法や他出方法などの相違から, これ らを直接比較することはできない。 蟹沢ら7I )はオリープオイルを基質として測定 し た1. 9"""270 uni t/gの各市販リバーゼを乳脂肪に作用させた時, 加水分解率は酵素力 価に関係なく, いずれも13---15%の範囲であったと報告している。 しかも, 生産さ れるフレーパーは酵素の種類によって大きく異なることが示された。

一般に用いられる酵素力価が食品成分を基質とした場合に必ずしも連動しないこ とは容易に想像される。 本実験結果と実際の製造過程で認められる酵素反応様式と の関連性についても同様であり, この点に関しては, 製造過程の成分変化を精査し た次章で明らかにする。

3. 抗酸化性物質の生産性

Table 2-4はカピ発酵サラ ミソーセージの成分組成を考慮したラードエマルジョ ン における各培養画分の抗酸化能を示したものである。 ラードの酸化は培養源液画分 を添加した時にだけ著しく抑制され, P. 11 i C Z,Vρski iが菌体外に強い抗酸化性物質 を生産することが示唆された。

食肉および食肉製品の脂質はへムタンパク質より遊離した鉄I 1 1) - 1 I 7)あるいはへ ム鉄I I 8・I I 9 )で触媒され, 急速に酸化すると推測される。 また, ミオグロビンの酸 化で生じる活性化メトミオグロビンが脂質酸化のinitiatorとなることも認められて いるI 2 0・I 2 1)。 ニトロソへモクロモーゲンの形成能ならびに遊離鉄に対するキレー

ト作用を有する亜硝酸塩I 2 2)と還元作用を有するアスコルビン酸塩の併用はこれら の酸化反応を抑制するが122), 本実験でもその傾向が示された。 P. miczJlfJskiiの 培養漉液画分に認められた抗酸化能は両塩を併用した時のそれに匹敵し, 三者の共 存はこの効果をさらに増大させた。

Aoyamaら3 8 )および:'Nakakitaら39・ .(0)はP. .ia fJ t h i fJ e / / 1I /!Iの培養溶液から酢酸エチ ルで抽出される脂溶画分に既存の抗酸化剤を上回る活性があることをリノール酸を 基質としたオープンテストによって明らかにしている。 そこで本実験もこれに従い,

(32)

101 ... 、、'_' ‘」

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24 。 20

(d a y) 1 6 period 1 2

In cubation 4 8

Changes in protease and lipase activit ies of Penicilliun l1ic:Jynskii during the incubation wi th wheat bran

F i g. 2-7

(33)

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6

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(34)

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60

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40

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20

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Salt content (完)

20 30

Reactlon temperature

7 8

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9 1 0

50

-6-

Fig. 2-9 Ef fect of salt content, PH and reaction temperature on lipase activity from fenicilliuu uiczynskii

(35)

P. lIiCIY刀skiiを用いて調製した脂溶画分の抗酸化能を調べ, その結果をTable 2- 5に示した。 本法における培養液液からの濃縮度はAoyamaらおよび、Nakakitaらの4/

13--1/13程度に当たる。 それにもかかわら ず, 濃縮j夜中には濃度依存的に抗酸化活 性が認められ, ここでも, 同菌が優れた抗酸化能を有することが示された。

4. 抗菌性試験

Fig.2-10に, P. l1iCIYf7skJゾの培養液から調製した試験液が被検菌の増殖に及ぼ す影響を示したが, 試験液の抗菌的もしくは静菌的作用はいずれの菌種に対しでも 認められなかった。

カピ発酵サラミソーセージを含むドライソーセージの衛生微生物学において, マ イコトキシン汚染と同様に重要視されるものにふ aurel/S汚染がある。 我国のドラ イソーセージの製品規格である「水分活性0.86以下」が工 aurel/Sのエンテロトキ シン生産性を対象とした基準であることからもその重要性がわかる。 したがって,

乾燥過程での本菌の増殖阻止に関してはこれまでにも広く検討されているが, 中で も, Laclobaci・//l/S属の一部の菌極が生産する抗菌性物質に阻止能を認めた報告は

多い124-121)。 このような観点から, ここでは, 4種類の被検菌を対象にP. micl­

Yf7sÆ〆μ-の抗菌性を検討したが, 本実験結果から判断する限り, 代謝生産物中にその 作用を認めることはできなかった。

要 約

前節で分離したP. lIiCIYf7skiiについて, 1. 発育特性, 2. プロテアーゼおよび リパーゼの生産性と酵素活性の環境依存性, 3. 抗酸化性物質の生産性, 4. 抗菌性 物質の生 産性の4の観点らその性 状を調べた。

1. 本菌はpH3.0--10.0, 培養温度2--3 50Cの範囲で発育可能であった。 発育至適 凶, 食塩濃度および培養温度はそれぞれ5.0, 6%および200Cであり, このうち, 発 育速度は培養温度に最も影響を受けた。

2. プロテアーゼおよびリバーゼ活性はいずれも小麦悲培養20日目に調製した組

酵素液で最大値を示した。 この時点の粗酵素液を用いて酵素活性の環境依存性を調 べると, プロテアーゼはPH 2.0および7.0付近に, リバーゼは凶7.0付近にそれぞれ至 適をもっと思われる酵素の存在が明らかとなった。 両酵素とも0--10%の範囲で食境

-30-

Table  2-1  lngredients  of  mold-fermented  salami  sausage  Ingredients  Meat  block  Beef  Pork  Pork  backfat  Dry  ingredients
Table  2-2  Changes  in  chemical  composition  of  mold-fermented  salami  sausage  during  drying  process
Fig.  2-2  A  colony  of  isolate  on  Czapek  Dox  agar  at  two  weeks
Fig.  2-3  A  colony  of  isolate  on  malt  agar  at  two  weeks
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参照

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