神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』第8号 2004年3月 1
巻頭言
モデル と現実 と: 大学院の役割
神奈川大学大学院経営学研究科委員長
松 浦 春 樹
神奈川大学大学院経営学研究科発行の 『研究年報.‖ま本号 をもって、第8号 を迎 えた。
経営学研究科設置早 々の時期 に柳田仁教授の積極的な骨折 りで誕生 し、後藤伸教授 に よって紙面 が さらに格調高い ものに刷新 され、今 日に至 っている。 この事業 は、本年 度の経営学研究科予算の1/4強 を占めてお り、この事実がこの事業の重要 さを示 して いる。経営学研究科 に在籍 している皆 さんの積極 的な活用 を大 いに期待 している。
それではどのような内容 を投稿すれば良いのだろうか。言 い換 えれば、大学院では 何 を学べば良いのであろうか。筆者は大学院で主 として生産の計画 と管理 を学んだ も のであるが、その習いか らの表現 を許 していただ くな らば、既存のモデル を学び、 さ
らには現実か ら新 たなモデル を作成す るのが大学院であると考 えている1)0
本研究科
OB
である稲垣氏 は、モデルの役割 とモデルの条件 を、「
「理論 と実践」 は、良 く 「地図 と地形」 に例 えられて理解 され ます。地図が正 しくて地形 が間違 っている とい う議論 はありません。一方、見知 らぬ地 で 目的地 を目指すには、地図は欠かせ ま せ ん
。
」 2)と述べている。 ここでの地図がモデル、また、地形 が現実 に相当 している。難 しいことではあるが、実務 (地形)に役立つ地図 (モデル) を作 り出すのが大学院 であり、そのための習作の発表機会が、『研究年報』で もある。
三十代 の筆者 に とって衝撃 だ ったのは、当時 トヨタ自動車 の生産管理部長木村修 氏の短 い文章 であった3)。木村氏は、モデル (地図)に合わせ て現実 (地形) を改造 してゆ くのが トヨタ生産方式 だ と強 く示唆 していた。地形 に合わせて地図 を作成 し終 わった ら、次の段階は、あるべ き「地図」を思い描 き、その とお りに「地形」を改革 して ゆ くことが大切であるとい うことである。その ような論文 を目指 して頑張 って下 さい。
2 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第8号 2004年3月
末筆ではあるが、本号の編集 ・発行に当たって貴重な時間を割かれた後藤伸教授、
平塚事務局大学院担当関野弘之氏、西原聖織氏、博士後期課程湯川恵子君 を始め、紙 幅の関係上お名前は挙げないが関係の各位に厚 く御礼申 し上げたい。
参考文献
1)松浦春樹 :「実務 とその体系化」、学問への誘い2004年度版、pp.104‑111、神奈川大学広報委員会、
2003年12月
2)稲垣三郎 :「次代 を作 る生涯学習」、図書館 だより、p.6、No.105、神奈川大学図書館、2002年7 月
3)木村修 :「古典 的ORか らの脱皮」、オペ レーシ ョンズ ・リサ ーチ、pp.234‑235、γol.30、No.4、 1985年4月