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急性期看護の実践能力に関する病棟管理者の認識

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(1)

急性期看護の実践能力に関する病棟管理者の認識

著者 岩田 浩子

雑誌名 福井大学医学部研究雑誌

巻 5

号 1‑2

ページ 15‑23

発行年 2004‑12‑17

URL http://hdl.handle.net/10098/946

(2)

急性 期看 護の実践 能力に関する病棟管理者の認識

岩 田浩 子 ・ 看護学科 臨床看護学講座

/

Nursing Administrator Recognition of Practical Ability in Acute Nursing

IWATA, Hiroko

Department of Clinical Nursing, School of Nursing, Faculty of Medical Sciences, University of Fukui

Abstract :

Purpose: To clarify nursing administrator recognition of proficiency in acute stage nursing.

Method: Semi-structured interviews were used for this study. The participants of the study were 7 nursing administrators in the surgical wards of 3 general hospitals.

Results: Identified were the following ten recognition categories: "consciousness of profession," "assessment ability," "fundamental practical ability at acute stage," "promptness and professional assessment ability," "nursing practice in response to pre and postoperative changing," "collaboration with doctor," "leadership ability," "independent attitude," "advanced and professional assessment ability" and

"advanced and professional nursing practice ."

Conclusion: The following three structures were specified: "cognition/deliberation," "behavior" and "internal characteristics."

Furthermore, qualitative skill development from basic to advanced levels was observed in terms of nursing practice at acute stage.

'

Key Words : practical ability, proficiency in acute nursing, recognition of nursing administrator (Received 23 August, 2004 ; accepted 9 November, 2004)

(3)

岩 田浩 子

は じめ に

臨 床 看 護 実 践 は,基 礎 教 育 で習 得 した理 論 的 ・基 礎 的 知 識 ・技 術 を コア と して,臨 床 判 断 か ら連 動 す る熟 達 した 援 助 と して展 開 され る と考 え られ る。

看 護 実 践 能 力 は看 護 の質 向上 と直 接 連 関す る こ とか ら,教 育 ・臨 床 の 両 者 で さ ま ざま に検 討 され て い る。

教 育 にお い て は,平 成16年3月 に学 士 課 程 にお け る到 達 目標 が 報 告 され1)卒 業 時 点 で の 実 践 能 力 に 関 して の 中軸 的 内 容 が 提 示 され た。

臨 床 で の 看 護 実 践 能 力 に関 して は,看 護 師 の 実 践 的 有 能 さ,卓 越 性 にっ い てBenner2)が 熟 達 化 理 論 を展 開 し,日 本 にお い て も キ ャ リア 発 達 や 看 護 師 の 能 力 資 質 な どに 関 す る報 告3‑5)が 多 く見 られ る。 ま た,臨 床 実 践 能 力 の 育 成 に 関 して,OJT(onthejobtraining)の 果 た す 役 割 は 大 き く,現 場 にお け る教 育 計 画 の 立 案 や 工 夫 が 課題 で あ る。 現 任 教 育 計 画 に 関 す る筆 者 の 調 査 で は6),卒 後3年 目ま で の プ ロ グ ラム は 比 較 的 詳 細 に 計 画 され て い るが,診 療 科 に 共 通 す る看 護 実 践 能 力 に 関 す る内 容 が 主 体 で あ る こ と,看 護 管 理 者 は 病 棟 固 有 の 実 践 能 力 育 成 に 多 くの 課題 を感 じ勉 強 会 や 事 例 検 討 会 な ど工 夫 して い る こ とが 明 らか とな っ た。 特 に 急 性 期領 域 に お い て は,業 務 の煩 雑 さや 指 示命 令 系 統 の 交 錯,時 間 的 猶 予 の な さ な どの 環 境 特 性 に もか か わ らず, 患者 に 「そ の 時 実 践 で き る」 能 力 が 求 め られ,有 能 な 看護 師 は病 棟 異 動 に よ りス タ ッフ に そ の 能 力 が継 承 し に くい な どの現 任 教 育 の課 題 は 大 き い が,病 棟 特 性 や 看護 領 域 の 固有 の 問題 を踏 ま え た報 告 は少 な い。

こ の よ うな現 状 の 中 で,病 棟 看 護 管 理 者 は病 院 全 体 の卒 後 教 育 シ ステ ム と連 動 させ な が ら病 棟 独 自の教 育 計 画 を企 画 実 施 し,看 護 職 と して の基 礎 技 術 の経 験 と 習 得 のみ な らず,病 棟 固有 の看 護 実 践 能 力 の育 成 を 目 指 して い る こ とが うかが え る7)。 ま た,こ れ ま で の調 査6)か ら も,管 理 者 の 「看 護 師 に求 め る能 力 に関 す る 考 え方 」が 病棟 独 自のOJT教 育 に影 響 して い る こ と が 考 え られ た 。

以 上 か ら,本 研 究 は 急 性 期 看護 領 域 にお け る看 護 師 の 臨床 実 践 能 力 に 関 す る病棟 管 理者 の認 識 を明 らか に し,OJTプ ロ グ ラム構 築 に 関 す る基 礎 資 料 を得 る こ と を 目的 とす る。 な お,本 研 究 に お い て 「急性 期 領 域 」 は手 術 療 法 を 主体 とす る外 科 系病 棟 と設 定 した。

研 究 方 法 1対 象

S県 の3総 合 病 院 の外 科 系病 棟 師長 の うち で,看 護 部 お よ び本 人 に研 究 の趣 旨を文 書お よび 口頭 で 説 明 し 了 解 が得 られ た7人 を対 象 と した。

2デ ー タ収集 方 法

1)看 護 管 理 者 が急 性 期 看 護 に求 め る能 力 に っ い て で き るだ け現 実 の経 験 を 明 らか に し,ど の よ うに 考 え て い るか を把 握 す るた め に 半構 成 的面 接 調 査 と し,調 査 は 対 象 病 棟 の 面 談 室 等 で45〜60分 のイ ン タ ビュ ー を 実 施 した 。 承 諾 が 得 られ た も の は録 音 し,そ れ 以外 は フ ィー ル ドノー トに記 録 し,適 時,対 象 者 に確 認 しな が

ら面 接 を実 施 した 。

2)調 査 内容 は,OJTの 基 礎 資 料 とす る 目的 か ら実 践 能 力 の 意 味 に関 す る認 識 内容,実 践 能 力 の発 展 や 熟 達 に 関 す る先 行 研 究2‑4)を 参 考 に① 病 棟 ス タ ッフ と して必 要 な(育 て た い)能 力 ② 急 性 期 看 護 と して必 要 な(育 て た い)能 力 ③ 有 能 と評 価 で き る看 護 師 に 関す る こ とに つ い て で き るだ け 自 由 に考 え を語 る こ とが で き る よ うに 配 慮 した 。

3デ ー タの 分 析 方 法

録 音 した 内 容 は 逐 語 記 録 と した 。 フ ィー ル ドノー ト に記 載 した 面 接 時 記 録 と と もに,質 問 に対 応 した 「看 護 師 の 能 力 」 を 表 現 して い る と判 断 で き る発 言 をセ ン テ ン ス程 度 の長 さ と して 文脈 を崩 さな い よ うに抽 出 し, 同様 な表 現 を ま とめ て ラベル を つ け た 。 次 に,ラ ベ ル の類 似 性 を意 味 内容 に よ りま とめ サ ブ カ テ ゴ リー と し, さ らに類 似 性,共 通 性 を検 討 しカ テ ゴ リー を整 理 した。

最 後 に,カ テ ゴ リー 間 の 関係 性 を 検討 し整 理 した 。 分 析 は急 性 期 看 護 の 臨床 経 験 を持 ち 大 学 に お い て 急 性 期 看 護 の教 育 を担 当 して い る2名 で 実施 し,ラ ベ ル, カ テ ゴ リー の妥 当性 の確 保 に努 め た。

4倫 理 的配 慮

研 究 に先 立 ち,研 究 の趣 旨お よ び方 法 につ い て文 書 で 病 院 長 ・看 護 部 長 に説 明依 頼 し,承 諾 が得 られ た後, 対 象 とす る外 科 系 病 棟 看 護 師 長 に文 書 お よび 口頭 に よ

り以 下 に つ い て 説 明 し承 諾 を得 た 。

1)あ くま で も 自由意 志 に よ る調 査 協 力 で あ る こ と。

(4)

2)面 接 は プ ライ バ シ ー の 確 保 が で き る場 所 を選 択 し, 業 務 へ の支 障 を最 小 限 にす る た め対 象 者 の 施 設 内 と し,面 接 中 に他 者 の入 室 が で き な い よ うに配 慮 す る。

3)イ ン タ ビ ュー デ ー タ は で き る だ け録 音 を す る こ と が望 ま しい が,対 象者 自身 の 選択 とす る。

4)録 音 デ ー タ,フ ィ ー ル ドノ ー トの 記 載 デ ー タ は 分 析 終 了 後 に は破 棄 す る もの とす る。

5)デ ー タ は す べ て個 人 が 特 定 で き な い よ うに 処 理 し, 研 究結 果 は本 研 究 の 目的 以外 に使 用 しな い。

研 究 結 果 1対 象 の特 性

表1.に 示 す よ うに,所 属 病 棟 の 特 性 は 一 般 外 科 お よび 整 形 外 科 単 科 病 棟 が2,複 数 科 の外 科 系病 棟 が2, そ れ 以 外 は 内 科 ・外 科 混 合 病 棟 で あ った 。

対 象者 の職 位 に 関 す る平 均 年 数 は2.6年,平 均 年 齢 は49.0歳 で あ っ た。

表1対 象 の 特 性

A

B

C

D

E

病棟特性 (診療科 目な ど) 消 化 器 科 ・整 形 外 科 一 般 外 科 ・救 急

泌 尿 器 科 ・内 分 泌 腎臓 内 科/腎 セ ン タ ー 一 般 外 科 ・ 麻 酔 科 耳 鼻 科 口 腔 外 科 整 形外科

一 般 外 科

部 署 師 長 年 数 平 均2.6年 2年

2年

3年

3年

3年

年 齢 平 均49.0歳 47歳

50歳

48歳

54歳

47歳

表2.病 棟 ス タ ッ フ と して 必 要 な能 力 ラ ベ ル

その知己 に判断で きる 考 える力

根拠あ る判断ができ る 正常 ・異常の判断ができ る 手術後の観 察ができ る 正 しい知識を持っ 観察力を持つ

根拠ある観 察に基づ く判断 鋭い観察

瞬時の判断

F

G

脳神経外科 ・口腔外科 神 経内科

消化器内科 ・外科 脳神経外科

3年

2年

49歳

48歳

急変時に対応 できる 術後の流れがわか る 確実な技術を持っ 判断に基づ く看護 ができる 生活行動の拡大に向けた援助 確実な考えで実践する 変化に応 じた看護 回復を促 す看護 疾患を理解 した実践 活動性 がある 失敗を次に生かす 患者 を理解す る プロと しての意識 看護 のセンスを持っ 豊かな人間性

サ ブ カ テ ゴ リー

確 実な知識

根拠あ る観 察

根 拠 あ る判 断

術 後 の変 化 へ の対応

確 実 な看 護 実 践

回 復 を促 進 す る援助

プ ロ意 識 豊 か な 人 間性 対 象 理 解

カ テ ゴ リー

ア セ ス メ ン ト能 力

(認知 ・思 考)

急性期 基礎 実 践 能力

(行動)

職 業 人 と し て の 意 識

(内面特性)

2病 棟 ス タ ッフ と して 必 要 な能 力

表2.に 結 果 を 示 した。 病棟 看護 管 理 者 が 語 った 内 容 か ら25の ラベ ル が 抽 出 され た。さ らに,意 味 内 容 で 整 理 した と ころ 「確 実 な知 識 」 「根 拠 あ る観 察 」お よび

「根 拠 あ る判 断 」 「急 変 時 の 対 応 」 「確 実 な 実 践 」 「回 復 へ の 援 助 」 「プ ロ意 識 」 「豊 か な 人 間 性 」 「対 象 の 理 解 」 の9の サ ブ カ テ ゴ リー が 抽 出 され た。

これ らを 概観 す る と看護 実 践 に 関 す る認 知 ・思 考 領 域 ・行 動領 域 と個 人 の 内 面 的 特 性 領 域 に 大 別 され た 。

「確 実 な 知識 」 「根 拠 あ る観 察 」お よび 「根 拠 あ る判 断 」 の3つ の サ ブ カ テ ゴ リー は,知 識 に 裏 打 ち され た 観 察

(5)

岩 田浩 子

と判 断 と考 え,カ テ ゴ リー を 『アセ ス メ ン ト能 力 』 と した 。 次 に 「急 変 時 の対 応 」 「確 実 な 実 践 」 「回 復 へ の 援 助 」 をサ ブ カ テ ゴ リー とす る も の は,急 性 期 と して の 特 性 の あ る具 体 的 援 助 行 動 で あ るが,比 較 的 実 践 レ ベ ル と して は基 礎 的 基 本 的 な 内容 で あ る と解 釈 され る た めカ テ ゴ リー を 『急 性 期 基 礎 実 践 能 力 』 と した。

さ らに,「 プ ロ意 識 」 「豊 か な人 間 性.「 対 象 理解 」を サ ブ カ テ ゴ リー とす る もの は,職 業 人 と して の 基 盤 的 特 性 で あ る こ と,「対 象 理解 」のサ ブ カ テ ゴ リー をつ け た イ ン タ ビ ュー 内 容 が,人 へ の 興 味 関 心,共 感 性 が そ の 中 に 表 現 され て い る こ とか ら『職 業 人 と して の意 識 』 と した 。

3急 性 期 看 護 と して必 要 な能 力

表3,に 結 果 を 示 した 。 病棟 の 特 殊 性 や 現 場 の 現 実 的課 題 を語 りな が ら表 現 され る傾 向 が 強 か っ た。 急 性 期 領 域 は 手 術療 法 を 主 体 とす る外 科 系 病棟 と した が, 対 象 の 特性 で も示 した よ うに外 科 単 科 病棟 は 少 な い た

め,手 術 の み な らず 健 康 障 害 の急 激 な 変化 に伴 い 生命 の危 険 が 考 え られ る状 況 に 基 づ く内容 に 関 して も含 む こ とに な っ た。抽 出 され た ラベ ル は20で あ っ た 。ラベ ル の抽 出段 階 で看 護 実 践 に お け る認 知 ・思考 領 域 と行 動 領 域 に2分 され た。

認 知 ・思 考 領 域 の ラベ ル は,診 療 科 固有 の知 識 と活 用,内 科 的 治 療 ・高 齢 者 の知 識 の活 用 は特 に病 棟 特 性 に よ る診 療 科 に強 く連 動 す る知 識 とそ の活 用 と考 え ら れ,サ ブ カ テ ゴ リー を 「診 療 科別 の 知識 の 拡 大 と活 用 」

と した 。 また,観 察 に関 して の ラベ ル は,状 況 特 性 か ら観 察 の 質 を意 味 す る と考 え られ 「鋭 い観 察 」 と ま と めた。 さ らに,判 断 と予 測 に関 して 抽 出 され た ラベ ル は,判 断 の 基盤 が そ の 知 識 に基 づ く根 拠 で あ る こ とか ら 「根 拠 あ る判 断 」 と し,さ らに,術 後 急 性 期 の 時 間 的猶 予 の な い 特徴 が 語 られ た 「瞬 時 の 判 断 」 は そ の ま ま サ ブ カ テ ゴ リー と して残 した。 予 測 に つ い て は,変 化 とそ の 具体 的 内容 が ラベ ル と して表 現 され て い た た め サ ブ カ テ ゴ リー を 「変化 の 予測 」 と した。

行 動 領 域 に 関 して は,知 識 ・根 拠 を基 盤 とす る判 断 か らの実 践,そ の実 践 の レベ ル は,確 実 性 と基 本 とい う質 的 特 徴 を含 む と考 え られ た こ とか らサ ブ カテ ゴ リ ー を 「根 拠 あ る基 本 的 実 践 」 と した。 ま た,対 象 の ケ ア 度,術 前 か ら術 後 とい う時 間 的 経 過 と周 手 術 期 と し

て の展 開 と判 断 され る実 践 の 特 性 に 関 す る ラベ ル は, サ ブ カ テ ゴ リー を 「周 手 術 期 と して の 実 践 」 と した 。

さ らに,変 化 に対 応 す る,急 変 へ の 対 応 とい う特 性 を

「変 化 に応 じた 実 践 」 と した。

次 に,サ ブ カ テ ゴ リー を ま とめ抽 象 度 を精 選 した と こ ろ,認 知 ・思 考 領 域 の5つ の サ ブ カ テ ゴ リー か ら, アセ ス メ ン トに お け る知 識 の拡 大 と診 療 科 別 の 特 性, さ らに は 、 それ を基 盤 と した 専 門性 の あ る速 や か な 判 断 と考 え カ テ ゴ リー を 『速 や か で 専 門 的 な ア セ ス メ ン ト能 力 』 と した。 行 動 領 域 に 関 して は 、 変化 と速 や か な実 践 とい う側 面 と周 手 術 期 とい う側 面 に集 約 され た が,周 手 術 期 は時 間的 猶 予 の な さ とそ の とき に 必 要 な 実 践 をそ の意 味 内容 と して含 む と考 え 『周 手術 期 の 変 化 に応 じた実 践 能 力 』 と した。

表3.急 性 期 看 護 と して 必 要 な 能 力 ラベ ル

その時に判断で きる 根拠あ る判断 瞬時の判断

対象に応 じて変化 させ る 変化や異常の判断 と予防 術後の観 察ができる 次の段階を予測す る 鋭 い観 察力

内科的治療や高齢者の知識の活用 合併症 ・危険を予測する 診療科 固有 の知識 とその活用 病態 の根拠 に基づ く実践 根拠 ある判 断による行動 急変 に対応

確実 な看護技術

対象 のケア度 に応 じた実践 変化 に応 じた実践

術前か ら術後 につな がる看護 看護 の基本がで きる 安全 と安楽の確保

サ ブ カ テ ゴ リー

診 療 科 別 の 知 識 拡大 と活用 鋭 い観 察 根拠 ある判断 瞬時の判 断 変化 の予測

根 拠 あ る 基 本 的 実 践

周 手 術 期 と し て の 実 践 変 化 に 応 じ た 実 践

カ テ ゴ リー

速 や か で 専 門 的 な ア セ ス メ ン ト能 力

(認 知 ・思考)

周 手 術 期 の 変 化 に 応 じ た 実 践 能 力

(行動)

(6)

4有 能 と評 価 す る看 護 師 とそ の能 力(急 性 期看 護 の有 能 さ)

急 性 期 看 護 の有 能 さにつ い て検 討 す る た め に,看 護 管 理 者 が"有 能"と 評 価 す る ス タ ッフ に つ い てイ ン タ

ビュー した。

表4.に 示 す よ うに,管 理 者 が有 能 と評 価 す る ス タ ッフ は病 棟 看 護 ス タ ッフ の25〜40%,経 験 は5年 以 上 が ほ とん どで,中 堅 以 上 の看 護 師 で あ っ た。

有 能 さの 評 価 は,ス タ ッフ指 導 ・看 護 実 践 ・包 帯 交 換 ・カ ン フ ァ レンス で の 発 言 ・医師 との情 報 交 換 な ど の 場 面 が 想 起 され,看 護 師 や 医 師 との 関 係 性 にお い て 具 体 的 に 語 られ た 。

"有 能 さ"に 関 して は 表5

.に 示 す よ うに15の ラベ ル が抽 出 され た 。 そ れ ぞ れ 特 徴 的 な 能 力 と考 え られ,

3段 階 の抽 象 化 レベ ル は 困 難 と考 え られ た た めカ テ ゴ リー化 を 次 の 段 階 ま で と した 。

表4、 有 能 と評 価 す る 看 護 師 に つ い て

A

B

C

D

E

F

G 病棟 看護 師数

23

12

25

18

23

23

21

有能 な 看護師数(%)

6(26.1) う ち 副 師 長1

9(40.9) う ち 副 師 長2

5(20.0)

人数不明

7(3α4) うち 副 師 長1

9(39.1) う ち 副 師 長2

6(28.6)

経験年数

10〜15年

4〜20年

10年 以 上

5年 以 上

6〜7年 と 10年 以上

5年 以 上

9〜15年

ロー7一 ン ヨ ン の 特 性

外科系の経験者 が 多い

病棟再編によ り 多様

多様

回答得 られず

やや外科系経験 が多い

多様

多様

結 果,こ れ ま で整 理 した よ うな認 知 ・思 考領 域,行 動 領 域,内 面 的 特性 と して 分類 す る こ とが で きた ラベ ル と医師 との 関係 性,ス タ ッフ との 関係 性 に 関 す る ラ ベ ル が新 た に抽 出 され た。

判 断 ・観 察 に関 す る 「根 拠 と経 験 に 基 づ く判 断 」 「術 式 固有 の観 察 」 「診 療 科 別 の 専 門 的観 察 」の3つ の ラベ ル は,『 高 度 で 専 門 的 な ア セ ス メ ン ト能 力 』とカ テ ゴ リ ー を命 名 した。 さ らに,看 護 実 践 につ い て の 「個 別 的 な ケ ア」 「高度 で確 実 な 実 践 」 「診 療 科 別 の 専 門 的 な実 践 技 術 」の3つ の ラベ ル を 『高 度 で 専 門 的 な 実 践 能 力 』 とヵ テ ゴ リー をつ けた 。 そ して,医 師 と の 関係 に 関す る 「医 師 との調 整 」 「医師 の ニ ー ズ把 握 」 「医 師 との対 等 な 意 見 交 換 」 の ラベ ル は,ま さ に専 門 職 と して の協 働 で あ る こ とか らカ テ ゴ リー を 『医 師 と の コ ラ ボ レー・

シ ョン能 力 』 と した 。 次 に,ス タ ッ フ と の 関係 性 と し て抽 出 され た 「適 切 な ス タ ッフ指 導 」 「ス タ ッ フの レデ ィネ ス 把握 」 「リー ダー シ ップ」は 教 育 的 機 能 が そ の 中 心 能力 と把 握 で きた た め,カ テ ゴ リー を 『ス タ ソフ指 導 能 力』 と した。 最 後 に 、 個 人 の 内 面 的 特 性 に関 す る ラベ ル 「主 体 性 」 「意 欲 」 「自 己成 長 」 は,管 理 者 の 語 りに それ ぞ れ の ラベ ル 特 性 を基盤 とす る状 況 にお い て, 有能 な ス タ ッ フの意 図 的,能 動 的 な行 動 と して 表 現 さ れ て い た こ とか ら 『主 体 的 態 度 』 とカ テ ゴ リー をつ け た。

表5.急 性 期 看 護 に お け る有 能 さ ラベ ル

根拠 と経験に基づ く判断 手術の術式固有の観 察ができる 診療科目別の専門的観察ができる 患者に対する個別的なケア 高 度で確 実な実践

診療科目別の専門的な実践技術 医師との調 整ができる

医師の診療 に対するニーズの把握 医師との対等な意 見交換ができる 主体的に行 動できる

看護への意 欲 自己成長 できる

カ テ ゴ リー 高 度 で 専 門 的 な ア セ ス メ ン ト能 力

(認知 ・思考) 高 度 で専 門 的 な

看 護 実 践 能 力 (行動) 医 師 と の

コ ラ ボ レー シ ョ ン 能 力

̀

(関係 性)

主体的 な態度

(内面 特 性)

(7)

岩 田浩 子

5カ テ ゴ リー相 互 の 関係 性

病 棟 ス タ ッ フ と して 必 要 な能 力,急 性 期 看 護 と して 必 要 な能 力,急 性 期 看 護 にお け る有 能 さ の3領 域 の能 力 につ い て,病 棟 看 護 管 理 者 が どの よ うに認 識 して い るか に 関 して イ ン タ ビ ュー に よ る質 的 デ ー タ を収 集 し た 。 調 査 した3領 域 の 能 力 は,手 術 療 法 を主 体 とす る 外 科 系 病 棟 にお い て 急 性 期 看 護 領 域 の 看 護 師 の 能 力 全 体 を把 握 す るた めに 収 集 され た もの で あ る。

分析 ・整 理 した 結 果,『 アセ ス メ ン ト能 力 』 『急 性 期 基礎 実 践 能 力 』 『職 業 人 と して の意 識 』 『速 や か で 専 門 的 な ア セ ス メ ン ト能 力 』 『周 手 術 期 の 変 化 に応 じた 実 践 能 力 』 『高 度 で専 門的 な アセ ス メ ン ト能 力 』 『高度 で 専 門 的 な 実 践 能力 』 『医師 との コ ラ ボ レー シ ョン能 力 』

『ス タ ッ フ指 導 能力 』 『主 体 的 態 度 』 の10カ テ ゴ リー が抽 出 され た。

高 度 で 専 門 的 な ア セ ス メ ン ト能 力

主体的態度

高度で専門的な 実践 能力

♪ 糠 轡づ

速やかで専門的な アセスメ ン ト能力

ア セ ス メ ン ト 能 力

恥 欝

ぐ謡 レ 急 性期 基礎 実践 能力

職業人 としての意識

カテ ゴ リー の 位 置 づ け と 関係

抽 出 され た10カ テ ゴ リー は,そ れ ぞ れ の 分析 段 階 で 看 護 実 践 にお け る認 知 ・思考 領 域,行 動領 域,さ らに 職 業 人 と して の 内面 的 特 性 に 関連 す る領 域 の3次 元 構 造 が 確 認 され た。 ま た,こ れ らは ス タ ッフ か ら急性 期 看 護 師 と して の一 人 前,さ らに は有 能 な急 性 期 看 護 師 と して 成 長 す る過 程 と して の能 力 段 階 と して位 置 づ け られ た 。

カ テ ゴ リー の 位 置 づ け とそ の 関係 を 図 に示 した。

認 知 ・思 考領 域 に 関 して は,『 ア セ ス メ ン ト能 力 』を 基盤 と して 急 性 期 看 護 の特 徴 で あ る時 間 的猶 予 が な い 状 況 下 で の 実 践,周 手 術 期 と して の一 連 の看 護 活 動 を 通 して 『速 や か で 専 門 的 な アセ ス メ ン ト能 力 』 に発 展 す る と考 え関係 を位 置 付 けた 。 さ らに,そ の能 力 が患 者 の 多 様 性,専 門 的 治 療 にお け る実 践,診 療 科 固有 の 専 門性 に 対応 す る こ と に よ り熟 達 す る こ とで 、『高 度 で 専 門 的 な 実 践 能力 』 『医 師 との コ ラ ボ レー シ ョ ン能 力 』

『ス タ ッ フ指 導 能力 』 の 基盤 とな る 『高 度 で専 門的 な ア セ ス メ ン ト能力 』 が位 置 つ く と考 え られ た 。

行 動 領 域 に つ い て は,看 護 ケ ア の実 践 基 盤 と して『急 性 期 基 礎 実践 能 力 』 を必 要 と し,急 性 期 の 特 性 を加 味 した 『周 手 術 期 の変 化 に応 じた 実 践 能 力 』 に 発 展 し,

『高 度 で専 門 的 な実 践 能 力 』 と して 有 能 さ を期 待 され る とい う関係 性 が位 置 づ け られ た。

さ らに,や や 特 性 が異 な る能 力 領 域 と して看 護 師 の 人 間 性 や 他 者 との 関係 性 に 関与 す る カ テ ゴ リー が抽 出 され た。 『職 業 人 と して の 意 識 』 『主 体 的 態 度 』 『医 師 との コ ラ ボ レー シ ョン能 力 』 『ス タ ッ フ指 導 能 力 』の4 カ テ ゴ リー の 関係 は,ラ ベ ル に 示 され た よ うに 社 会 人 ・職 業 人 と して 必 要 な 『職 業 人 と して の意 識 』 を基 盤 と して,看 護 実 践 や 急 性 期 固 有 の 経 験 に よ り 『主 体 的 態 度 』を持 っ て活 動 し,さ らに,『 医 師 との コ ラ ボ レ ー シ ョ ン能 力 』 『ス タ ッフ指 導 能 力 』とい う他 者 との 関 係 性 に お け る能 力 が位 置 つ く と認 識 され て い た 。

ま た これ らの カ テ ゴ リー は,図 の 矢 印 で 示 す よ うに 各 レベ ル に お い て独 立 して い る とい うよ り,有 能 さ に 向 け て段 階 的,螺 旋 的 に位 置 つ く特 徴 が 示 され た 。

(8)

考 察

急 性 期 病 棟 の 看 護 管 理 者 を対 象 と して,イ ン タ ビ ュ ー に よ り急 性 期 看 護 領 域 にお け る看 護 師 に求 め る能 力 を どの よ うに認 識 して い るか を明 らか に しよ う と した6

質 的 内 容 分 析 に よ り抽 出 され た ラベ ル ・サ ブ カ テ ゴ リー ・カ テ ゴ リー は,基 本 的 か つ 本 質 的 な能 力 が 確 実 に認 識 され て い る こ とを裏 付 け る もの で あ った 。 あ る 意 味,特 別 な能 力 内 容 が 含 まれ る もの は 見 出せ なか っ た とい うこ とで も あ る。 こ の こ とは,ス タ ッフ教 育 に お い て も,日 々 の看 護 実 践 にお け る実 践 内容 にお い て も,病 棟 に所 属 す る看 護 師 の能 力 レベ ル や そ の 内容 に つ い て 管 理 者 と して か な り共 通 した 認 識 が な され てい る こ とが 推 察 され た 。

しか し,必 要 とす る能 力 が看 護 師 全 て に具 備 され て い る とい うこ とで は な く,語 りの 中 で は,新 人 か ら中 堅 にい た る ま で の能 力 育 成 の 困難 さ,必 要 な能 力 と し て育 成 す る た め の教 育 計 画,実 施,評 価 に 関す る試 行 錯 誤 経 験,問 題 状 況 に あ る プ リセ プ ター シ ップ制 度 な

どが表 現 され て い た。

図 に示 した個 々 の カ テ ゴ リーや 相 互 の位 置 づ け と関 係 性 か ら,病 棟 管 理 者 の認 識 に お い て 「急 性 期 看 護 領 域 の実 践 的 有 能 さ」 に 向 け て の形 成 段 階 とそ の 要 素 の 中核 が 明確 に な っ た と考 え る。 ま た,認 知 ・思 考領 域 の能 力 と行 動 領 域 の能 力,さ らに職 業 人 と して ゐ意 識 や 他 者 との 関係 性 に 関す る能 力 と して 明確 な構 造 が認 識 され て い る こ とが 明 らか とな っ た。

病 棟 ス タ ッ フに 必 要 な 能 力 と して抽 出 され た もの は, 臨床 実 践活 動 に お け る急性 期 と して の 基 本 的 基礎 的 実 践 能力 とそ れ を導 く観 察 お よび 判 断 と して の ア セ ス メ ン ト能 力 で あ った 。こ こ で 特徴 的 で あ っ た の は,『 職 業 人 と して の 意 識 』 で あ った 。 新 人 か ら一 人 前 の 段 階 を 認 識 して 語 られ た と考 え られ るが,看 護 職 と して の 専 門 的 な 能 力 で は な く,職 業 人 一 般 と して の 内面 的 特 性 と考 え られ る もの で あ っ た。 こ の こ と に 関 して は,看 護 管 理 者 研 修 のテ キ ス ト8)にモ デ ル が提 示 され て い る

こ と も あ り,多 く の現 任 教 育 プ ロ グ ラ ム の 中 で 目標 と して設 定 され,卒 後1〜2年 目に実 施 が計 画 され て い る9)。 とは言 うも の の,内 面 的特 性 と して の こ の領 域 はつ ま り職 業 意 識 と呼 ばれ る も の に相 当す る と考 え ら れ,そ の形 成 は,た とえ ば 具 体 的 目標 と して 「職 場 の 規 律 を守 る」 「報 告 の 重 要 性 を知 る」な ど と表 現 され て

い るの み で あ る。 図 に示 した よ うに、 ス タ ッフ の看 護 実 践 能 力 の 基 盤 と して位 置 つ く と認 識 され て い る よ う な重 要 性 を持 ってOJT計 画 に は表 現 され て い な い こ と が 示 唆 され た。 看 護 師 と して一 人 前 に な る過 程 で 明確 化 しに く く,評 価 しに く い能 力 で は ない か とも考 え ら れ,急 性 期 病 棟 看 護 管 理 者 が課 題 と して認 識 して い る こ とが 期 待 や 希 望 と して 語 られ た こ とが伺 え る。

次 に,急 性 期 看 護 と して必 要 な能 力 につ い て は,病 棟 特 性 に 関連 す る能 力 が 『速 や か で専 門的 な アセ ス メ ン ト能 力 』 と して抽 出 され た。 特 に,含 まれ る ラベ ル か ら考 え る と,診 療 科 別 の知 識 拡 大,瞬 時 の判 断,変 化 の予 測 な どに見 られ る よ うに,ス タ ッフ に必 要 な ア セ ス メ ン ト能 力 を発 展 させ,診 療 科 別 の 実 践 を通 して 拡 充 す る能 力 と認 識 され て い る と考 え る。

行 動 領 域 で あ る 臨床 実 践 活 動 に つ い て も同様 の段 階 レベ ル に あ る こ とが示 唆 され た。 ま た行 動 領 域 カ テ ゴ リー で特 徴 的 で あ っ た の は"周 手術 期 の変 化"一と命 名 され た こ とで あ る。 術 前,術 後 を 一連 の看 護 実 践 とす る周 手術 期 とい う概 念 は基 礎 教 育 に お い て は 周 知 の も の で あ る が,臨 床 の場 に お い て は 交代 勤務 や看 護 体 制 な どの 関係 か らそ の とき の 受 け 持 ち 患者 の 経過 に応 じ た援 助 を 実 践 す る こ とが 多 い。 そ の こ との 課題 と して 認 識 し,術 前 オ リエ ン テ ー シ ョ ンや 合 併 症 予 防 へ の 援 助 を術 後 に確 実 に 連 動 させ,患 者 に 意識 付 け させ る こ とで 効果 を 上 げ る よ うな 実 践 を 期 待 して い る こ とが 示 唆 され た。

一 方,個 人 の 職 業 人 と して の 内 面 特 性 に関 す る能 力 カ テ ゴ リー は 見 出 され な か った 。 この こ とは,ス タ ッ フ と して 必 要 な 能 力 カ テ ゴ リー で あ る 『職 業 人 と して の 意 識 』 を内 面 的 特 性 の 基 盤 で あ り,柱 と して 貫 く も の で もあ る と認 識 し,急 性 期 看 護 と して は ま さに実 践 に焦 点 化 した 能 力 の み が 意 識 され て い る の で は ない か と考 え られ た 。

次 に,急 性 期 看 護 にお け る有 能 さの能 力 は,臨 床 経 験5年 以 上 の 中堅 以 降 の看 護 師 の実 践 活 動 か ら想 起 さ れ てい た 。 特 に,こ の段 階 にお い て は病 棟 固有 の領 域

に 限定 され た も の とイ コー ル で は な く,よ り高度 で 専 門的 な知 識 と実 践 が融 合 して い る能 力 と判 断 で き た。

さ らに,そ の能 力 を ス タ ッフ に対 して教 育 的 に 関 与す る こ とで還 元す る こ と,臨 床 場 面 で の 医療 全 体 の 質 を 左 右 す る 医 師 との コラ ボ レー シ ョ ン能 力 が 必 要 と認 識

(9)

岩 田浩 子

され て い た。 単 に個 人 と して の有 能 さだ け で は な く組 織 の 中 で の指 導 能 力,調 整 能 力 が 表 現 され た と考 え る。

これ ら の能 力 は職 業 人 と して の能 力 が 看 護 実 践 を通 し て 育 成 され,ま た 病 棟 組 織 の 中で の 役 割 期 待 とそ の 実 践 を 通 し て 育 成 さ れ 充 実 し て い く と 考 え られ る 。 MariahSnyderら10)は 上 級 専 門 職 と して 「他 職 種 と の 協 同 」 にお け る専 門 職 と して の 成 熟 の 必 要 性 を述 べ て い る。 特 に 医 師 との 役 割 分 担 と コ ミ ュニ ケ ー シ ョン,

さ らに は そ れ ら を実 践 す る際 の 基 盤 とな る看 護 職 の 意 思 決 定 の 重 要 性 を述 べ て い る。 『医 師 との コ ラ ボ レー シ ョ ン能 力 』 は,ま さに 高 度 で 専 門 的 な 看 護 実 践 能 力 を 持 つ 看 護 師 の 有 能 さ を示 す 能 カ カ テ:ゴリー で あ り, 看 護 職 と して の 意 思 決 定 に 基 づ く関係 性 を期 待 して い

る と考 え る。

ま た,有 能 さ の5カ テ ゴ リー はHamric11)の 提 唱 す るAPN(AdvancedPracticeNurse)が 専 門看 護 実 践 を 行 うた め に 必 要 な8つ の 能力,「 患 者/家 族 に 対 す る 臨床 実 践 能 力 」 「教 育 ・指 導 の能 力 」 「コ ン サル テ ー シ ョ ン の 能 力 」 「研 究 の能 力 」 「リー ダー シ ップ の 能 力 」 「コ ラ ボ レー シ ョ ン の能 力 」 「計 画 的 変 化 の 推 進 の 能 力 」

「倫 理 的 ジ レンマ へ の対 応 とそ の能 力 」の 中で ,「 患者 /家 族 に対 す る臨床 実 践 能 力 」 「教 育 ・指 導 の 能 力 」 「リ ー ダー シ ップ の能 力 」 「コ ラボ レー シ ョンの 能 力 」の4 つ の 能 力 とお お よ そ 一 致 す る と考 え られ た。 「研 究 」

「倫 理 的 ジ レンマ へ の 対 応 」 等 は看 護 管 理 者 に認 識 さ れ て い ない こ とが 推 察 され,ジ ェネ ラ リス トか らス ペ シ ャ リス トへ発 展 す るた めの 看護 職 教 育 全 体 の 課題 と な る こ とが 示 唆 され た 。

本 研 究 で抽 出 され た カ テ ゴ リー の 中 で 認 知 ・思 考領 域,行 動 領 域 に 関す る能 力 とコ ラ ボ レー シ ョン能 力 は, Bennerの 熟 達 化 論 に お い て 看 護 実 践 の 領 域 と して 述 べ られ て い る7項 目12)と ほ ぼ一 致 して い た が,内 面 的 特 性 の能 カ カ テ ゴ リー に つ い て はBennerの 記 述 に は な い こ とが 明 らか とな っ た。ま た,抽 出 され た ラベ ル ・ サ ブカ テ ゴ リー ・カ テ ゴ リー か ら,そ れ ぞれ の能 力 に 含 まれ る コ ア とな る知 識 ・技 術 を検 討 す る こ とが可 能 で あ る と考 え られ,教 育 計 画 の 内容 を検 討 す る際 の重 要 な デ ー タが 得 られ た 。

結 語

S県 の3総 合 病 院 に お い て 同意 の得 られ た外 科 系 病 棟 師 長7人 を対 象 と して,急 性 期 看 護 の 実 践 能力 に 関 す る認 識 につ い て半 構 成 的 面 接 調 査 を 実施 し,以 下 の 結 果 が 得 られ た 。

1.病 棟 ス タ ソフ と して必 要 な能 力,急 性 期 看 護 と し て 必 要 な能 力,急 性 期 看 護 にお け る有 能 さに 関 して病 棟 管 理 者 の 認 識 は10の カ テ ゴ リー に整 理 され た 。 2.抽 出 され た カ テ ゴ リー は認 知 ・思 考 領 域,行 動 領 域 さ ら に内 面 的 特 性 の 領 域 に分 か れ た。

3.認 知 ・思 考 領 域 と して アセ ス メ ン ト能 力 が抽 出 さ れ,そ の 能 力 は 基 礎 基 本 か ら速 や か で高 度 に,さ らに 高 度 で 専 門 的 に と質 的 に深 化 す る とい う位 置 づ け が認 識 され て い た 。

4.行 動領 域 で は,基 礎 基 本 か ら高 度 で 専 門的 な実 践 とい う拡 充過 程 が認 識 され,周 手 術 期 の 変 化 に応 じた 実 践 とい う特徴 的 な カ テ ゴ リー が 抽 出 され た 。 5.内 面 的 特性 に 関 して は職 業 人 と して の 能 力,他 者

との 関係 性 や 指 導 に 関 す るカ テ ゴ リー が 抽 出 され た 。 6.有 能 さの能 力 カ テ ゴ リー を 上 級看 護 師 に 必 要 と さ れ る能 力 と比較 した と ころ 「研 究 」 「倫 理 的 ジ レ ンマ へ の対 応 」 な どの能 力 は 管理 者 の認 識 に は 表 現 され ず, スペ シ ャ リス ト育 成 に 向 け て 管理 者 の 意 識 改 革 の 必 要 性 が 示 唆 され た。

本 研 究 の 限 界 と今 後 の課 題

本研 究 に よ り,急 性 期 病 棟 管 理 者 が病 棟 に お け る看 護 に期 待 す る能 力 の 内容 とそ の位 置 づ け を 明 らか にす る こ とが で きた と考 え るが,対 象 は 中規 模 以 上 の総 合 病 院 の 外 科 系 病棟 師 長7人 で あ り一 般 化 に は課 題 が残 る。

今 後,OJTの 教 育 内 容 の 実 際 を調 査 し看 護 管 理 者 の 認 識 内容 と照合 整 理 す る こ と に よ り,今 回 のカ テ ゴ リ ー の 中 に あ る実 践 能 力 を よ り効 果 的 に 育 成 す るた め の 課 題 の検 討 を進 め,OJTの 教 育 計 画 の 充 実 に寄 与 して

い き た い と考 え る。

謝 辞:本 研 究 に ご協 力 い た だ い た看 護 部 お よび 調 査 対 象 者 の方 々 に深 く感 謝 い た します 。

な お,本 研 究 は平 成13年 度 〜15年 度 科 学研 究費 補 助 金,基 盤 研 究C2で 実 施 した 「急 性 期 の看 護 に お け

(10)

る看 護 実 践 能 力 の 明 確 化 と継 続 教 育 プ ロ グ ラ ム の 開 発 」の一 部 で あ り,第28回 日本 看 護 研 究 学 会 に お い て 概 要 を発 表 した。

文 献

1)文 部 科 学 省:看 護 実 践 能 力 育 成 の 充 実 に 向 け た 大 学 卒 業 時 の 到 達 目標,看 護 学 教 育 の 在 り方 に 関 す る 検 討 会 報 告, 2004.

2)PatriciaBenner,井 部 俊 子,井 村 真 澄,上 泉 和 子 訳:ベ ー 看 護 論 達 人 ナ ー ス の 卓 越 性 と パ ワ ー

,医 学 書 院, 1992.

3)田 嶋 美 代 子 ほ か:臨 床 看 護 婦 の 職 業 能 力 の 熟 達 状 況 と 熟 達 に 影 響 す る 要 因 に つ い て,第23回 日 本 看 護 学 会 発 表 論 文 集(看 護 管 理),77‑80,1992.

4)梶 山 紀 子 ほ か:看 護 師 の 資 質 に 関 す る 調 査 一実 践 能 力 の 習 得 段 階 と 発 展 過 程 一看 護 管 理,3(7),480‑486,1993.

5)内 布 敦 子 ほ か:看 護 ケ ア の 質 の 要 素 の 抽 出 一デ ル フ ァ イ 法 を 用 い て,看 護 研 究,27(4),61‑69,1994.

6)岩 田 浩 子:現 任 教 育 プ ロ グ ラ ム と 研 究 活 動 の 現 状 と課 題, 日本 看 護 学 教 育 学 会 誌,9(2),174,1999.

7)宗 村 美 江 子 ほ か:新 卒 者 の 看 護 実 践 能 力;臨 床 側 か ら の 問 題 認 識 と 対 策 に つ い て の 考 え 方,看 護 展 望,26(5), 29‑34,2001.

8)稲 田 美 和 ほ か:看 護 管 理 シ リー ズ7継 続 看 護,45‑60, 日本 看 護 協 会 出 版 会,1998.

9)前 掲7)

10)MariahSnyder,MichaeleneP.Mirr編,小 西 恵 美 子,野 良 子 監 訳:進 歩 す る 看 護 実 践 一専 門 職 と し て の 指 針 一, 181‑187,へ る す 出 版,1998.

11)HamricA.B.,SprossJ.A.,HansonC.M.:AdvancedNursing PracticeANIntegrativeApproach,42‑56,W.B.Saunders Co.1996.

12)前 掲2)28‑33.

参照

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