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日本臨床麻酔学会 vol.34

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Academic year: 2021

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著者連絡先 岩崎達雄 〒 700-₈₅₅₈ 岡山県岡山市北区鹿田町 2-5-1 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学分野 *岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学分野 はじめに  小児心臓手術の周術期管理が成人心臓手術と最も 異なり,その理解を難しくしているものは,心内外 でのシャント血流や血液の混合の存在である.その 最たるものが,並列循環(parallel circulation)を示 す単心室症であると考えられるため,本稿では並列 循環を示す単心室症の管理について述べる.

Ⅰ Single ventricular physiology  単心室とは循環を維持するために機能する心室が 一つしかなく,肺循環と体循環を一つの心室が担う 並列循環になっている心奇形で,機能している心室 は解剖学的右室,解剖学的左室あるいは同定できな い場合がある.十分な大きさを持った二つの心室が ある場合でもなんらかの理由で流入路,流出路の一 方あるいは両方が分離できないものも含まれる.並 列循環を呈する疾患には三尖弁閉鎖症,左心低形成 症 候 群, 両 房 室 弁 左 室・ 右 室 挿 入,pulmonary atresia with intact ventricular septum(純型肺動脈 閉鎖),エブスタイン奇形,両大血管右室起始,心 房内臓錯位症候群などさまざまな疾患がある.通常 の二心室を持った解剖の場合は,体に駆出された血 液と同じ量の血液が体静脈血として肺循環に入ると いうことになり肺循環と体循環は直列になってい る.  一方,単心室症では肺静脈血と体静脈血が一つの 心室内で混合され,同じ酸素飽和度の血液が,肺循 環と体循環に種々の要因でさまざまな比率に分配さ れそれぞれに駆出されるという並列循環になってお り, こ の 特 徴 的 な 循 環 生 理 を single ventricular physiology(単心室生理機能)と呼ぶ(図 1).この並 日本臨床麻酔学会第 32 回大会招請講演 日臨麻会誌 Vol.34 No.2, 169 〜 176, 2014

複雑心奇形の周術期管理─並列循環症例の管理─

岩崎達雄

 戸田雄一郎

 清水一好

金澤伴幸

 森松博史

 森田 潔

[要旨]先天性心疾患で最もその生理が成人と異なり管理が困難な症例は,並列循環を伴う単心室 症である.これらの患児は,まず第一期姑息術を受けるが,術後にも並列循環が残存するため周術 期管理ではこの並列循環の管理が大切になる.理想的な並列循環を達成するために動脈血酸素飽和 度のみならず体静脈血酸素飽和度をモニタリングして循環動態を正確に把握する.また体静脈血酸 素飽和度は患児の予後予測,目標指向型治療の指標としても有用である.体・肺血流のバランスを とるために心拍出量,体・肺血管抵抗を調節するが,第一期姑息術後では体血管抵抗を調節する方 がより効果的で,積極的な後負荷軽減療法は並列循環を安定させ,術後合併症を低減する. キーワード:単心室症,並列循環,Singleventricularphysiology,体静脈血酸素飽和度モニタ リング,後負荷軽減療法

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列循環では以下のようないくつかの特徴がある.ま ず肺血管抵抗は一般的に体血管抵抗より低いため一 つの心室から駆出される血液は抵抗の低い循環,す なわち肺循環に流れやすくなっている.また並列循 環の場合も直列循環と同様に,Qp/Qs(肺体血流比) は 1 あるいは 1 弱であることが望ましく,そのため 循環を安定させるにはなんらかの肺血流の制限が必 要となる.一方,体循環の制限があれば,必要な肺 動脈制限を作成した場合,単心室からの血液の出口 がなくなり心不全に陥るため体循環の血流制限(狭 窄)は不要であるばかりか障害である.  並列循環を示す疾患は体循環に不要な血流制限 (狭窄)があるかないかで分け,さらに体循環に狭窄 がない場合は,肺と体循環のバランスによりさらに 3 つに分けることによって表 1 のように分類でき る.これらの疾患群では,通常 2,3 度の姑息手術 を行い最終的にフォンタン手術を目標とする.第一 期姑息術の目標は,閉塞のない体・肺静脈還流を確 立した上で,もし体循環流出路に制限がある場合は これを解除して閉塞のない体循環流出路を確立し, 適度な血流制限があり肺動脈圧が抑制された肺循環 を確立することにある.そのために必要な第一期姑 息術は前述の分類によって異なる.まず体循環血流 の経路に狭窄がなく,程よい肺動脈狭窄があり肺循 環血流と体循環血流のバランスが良い(Qp/Qs

1)場 合は経過観察となる.次に,体循環血流の経路に狭 窄がなくて,重度の肺動脈狭窄・閉鎖などにより肺 血流が不十分(Qp/Qs < 1)な場合は,適度な太さの, つまり適度な肺血流の制限となる太さの導管を用い た体動脈肺動脈シャント(Blalock-Taussig shunt: BT shunt)術が行われる.また,体循環血流の経路 に狭窄がなく,肺動脈狭窄がないか軽度であるため 肺血流が制限されず過剰に流れている場合(Qp/Qs > 1)は肺動脈をテープで縛って狭窄を作り,肺血 流 を 制 限 す る 肺 動 脈 絞 扼 術(pulmonary artery banding:PA banding)が行われる.体循環血流の 経路に狭窄がある場合は,体循環の狭窄をなくすた め Damus-Kaye-Stansel(DKS)手術,Norwood 手術 図 1 直列循環と並列循環 〔Pediatric Cardiac Anesthesia, 4th ed. Lake CL, Booker PD, eds. Lippincott-Williams & Wilkins, Philadelphia, 2005, 544 より引用・改変〕 PAO2

lung SpvO2 SaO2

Qs SvO2 Qp tissue SpaO2 PAO2 肺循環 体循環

直列循環

lung ScO2 SaO2 Qs SvO2 Qp tissue SpaO2 Qs Qp mixing splitting SpvO2

並列循環

表 1 並列循環の分類  1.体循環血流の経路に狭窄がない場合   ─肺循環血流と体循環血流のバランスが良い(Qp/Qs~1) 経過観察   ─肺血流が不十分(Qp/Qs < 1) 体肺動脈シャント(Blalock︲Taussigシャント)   ─肺血流が過剰(Qp/Qs > 1) 肺動脈絞扼術  2.体循環血流の経路に狭窄がある場合    大動脈再建を伴う複雑な手術(DKS,Norwood)

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 ここで,表 2- 式(1)において並列循環の場合, SpaO2は SaO2に等しいため SpaO2を SaO2で置き換

え,理想的な並列循環の条件である SpvO2= 100%, SaO2­SvO2= 25%を当てはめると,100 から 25 に Qp/Qs の逆数をかけたものを引いたものが,動脈 血の酸素飽和度になる〔表2-式(2)〕.つまりQp/Qs が 1 であれば,SaO2は 75%となり,Qp/Qs が 1 以 下と肺血流が少ないときは SaO2が 75%以下,Qp/ Qs が 1 以上で肺血流が多い場合は SaO2が 75 以上と なることがわかる.しかしながら,この SaO2の解 釈は前述のように SpvO2,動静脈血酸素飽和度較差 をそれぞれ 100%,25%と仮定したものである.そ のため同じく SaO2が 75%でも SpvO2,動静脈血酸 素飽和度較差が変化すれば Qp/Qs は 1 以下の場合 も 1 以上の場合もあり得る.  直列循環の場合,肺静脈血がそのまま体循環に駆 出されるため SaO2は SpvO(肺の酸素化能)を直接2 反映する.しかしながら,並列循環の場合 SaO2は SpvO2だけでなく,一つの心室の中で肺静脈血と混 合される体静脈血の酸素飽和度とその血液量の比率 にも左右される(図 2).そのため,より正確に Qp/ Qs を推定し,末梢組織への酸素供給を把握するた めには SvO2をモニタリングすることが欠かせない. のように肺動脈を用いて大動脈再建を行った上で, 適度な大きさの体動脈から肺動脈へのシャントを作 成する複雑な手術が行われる(表 1).いずれの場合 でも第一期姑息術後においても並列循環が残存する ため,術前,術後を通していかにこの並列循環を良 好に保つかが周術期管理のポイントとなる. Ⅱ モニタリング  理想的な並列循環は,肺静脈血は十分酸素化され ている(肺静脈血酸素飽和度:SpvO2

100%)状態で, 心室に容量負荷をかけない必要十分な心拍出量で末 梢組織へ十分な酸素を供給できるように肺血流と体 血流がほぼ等しい,あるいはやや肺血流が少なく (Qp/Qs

or< 1)1),動静脈血酸素飽和度較差(SaO 2 ­SvO2)が 20 ∼ 25%程度の状態である.Qp/Qs を測 定するには体循環と肺循環に Fick の原理を当ては め,体循環あるいは肺循環の動静脈血の較差に体・ 肺血流量をかけたものが酸素消費量あるいは肺で獲 得した酸素量であることから計算する〔表 2- 式 (1)〕.しかしながら Qp/Qs を実測するには各所の 酸素飽和度を測定する必要があり容易ではない.そ のため循環のモニターとして Qp/Qs を推定するた めにまず動脈血酸素飽和度(SaO2)が用いられる. 表 2 肺体血流比の計測および動脈血酸素飽和度との関係

 Fick の原理より  体循環 VO2= Qs ×(SaO2- SvO2)

肺循環 VO2=Qp×(SpvO2- SpaO2)

(並列循環では SpaO2は SaO2と等しい) Qp SaO2- SvO2 = ……… 式(1) Qs SpvO2 - SaO2 Qp × SpvO2+ Qs × SvO2 SaO2 = Qp + Qs Qp × SpvO2+ Qs × SvO2 SaO2 = Qp + Qs Qs SaO2 = 100 ー 25 × ……… 式(2) Qp VO2:酸素消費量,Qp:肺血流量,Qs:体血流量,SaO2:体動脈血酸素飽 和度,SvO2:体静脈血酸素飽和度,SpvO2:肺静脈血酸素飽和度

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は肺血流の体循環へのシフトによる肺血流減少が起 きていると考えられる.この場合は肺血管抵抗を下 げ,体血管抵抗を上昇させて体血流を肺循環にシフ トさせる.  また,SaO2が低く,SvO2の低下がより大きいと きは,肺血流だけでなく体血流も減少していると考 えられるため,まず,容量負荷などの方法で心拍出 量を増加させつつ体血流を肺循環にシフトさせる.  体・肺血管抵抗を調節するためには表 3 にあげた 体・肺血管抵抗に影響を与える因子を操作すること によって行う.例えば,肺血管抵抗を上げ,肺血流 を体循環にシフトさせたい,肺へ血流を流したくな い場合は高い PEEP を付与するとともに投与酸素濃 度はできるだけ低くし,低換気にして PaCO2を増 SpvO2も循環動態の把握には重要であるが直接測定 することはできないため,胸部 X 線写真等から肺 のコンディションを確認することが大切である.こ のように SvO2は循環動態の評価に欠かせないが, それのみならず並列循環の術後経過の予測因子とし ても有用であることが知られている.Bradley ら2) は Norwood 術後症例を対象に 30 日生存群と非生存 群では SaO2には差がなかったが,術後の SvO2は 30 日生存群で有意に高かったと報告している.また, Tweddell ら3)は,Norwood 術後の ICU 入室時 SvO

2 が 50%以上であることを目標に管理した結果,早 期死亡症例では SvO2の改善がみられなかったこと, 術後 48 時間の SvO2が低いほど合併症の発生率が高 かったことを報告している.以上のことから並列循 環のモニタリングには SvO2が必要であり,その値 は 50%以上になることを目標に管理することが有 用であると思われる. Ⅲ 体・肺血流の管理  理想的な並列循環,すなわち良好な肺酸素化能の もとに,必要十分な心拍出量が体・肺循環にバラン スよく配分されている状態を達成するためには,体・ 肺血管抵抗や心拍出量などを操作する必要がある. 例えば SaO2が低く,かつ SvO2の低下が軽度の場合 図 2 並列循環において SaO2に影響を与える因子

Qp

Qs

tissue

lung

肺静脈血酸素飽和度(SpvO2) 肺のコンディション 体静脈血酸素飽和度(SvO2) 酸素運搬量,酸素消費量 肺体血流比(Qp/Qs) 静的因子(シャントサイズ,吻合) 動的因子(体・肺血管抵抗) 表 3 肺血管抵抗に影響を与える因子 肺血管抵抗増加 肺血管抵抗減少 酸素濃度 低濃度 高濃度 PaCO2 高 低 pH アシドーシス アルカローシス 気道内圧 高(PEEP) 低 体血管抵抗 下げる 上げる 薬剤 NO,PGI2, sildenafil,bosentan 血液粘度(Ht) 高粘度(高 Ht) 低粘度(低 Ht)

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ても肺血管抵抗の上昇による肺血流の体循環へのシ フトが起きず,肺静脈血の酸素飽和度のみが低下し た場合も見かけ上は動脈血の酸素飽和度が下がり, 一見 Qp/Qs が改善されたように見えることに注意 が必要である.この鑑別にも SvO2のモニタリング が有効で,体循環の改善がみられない場合は SvO2 が低下する.一酸化窒素の吸入とは逆に換気の良い 肺胞周囲の血管が収縮し V/Q 比が悪化することか ら想像以上の低酸素血症をきたすことがあるため重 度換気障害がある患児では注意を要する.二酸化炭 素吸入に比べると頭蓋内出血の可能性が低いものの 中枢神経系の合併症を起こす可能性もある.そのた め,窒素ガスの吸入はあくまで緊急避難的なもので 窒素を要するような高肺血流による心不全が問題で ある場合は早急な外科的介入を行った方がよい.  肺血管抵抗の管理の上で忘れてはならないのが血 液粘度である.ヘモグロビンは直接肺血管抵抗を変 化させるわけではないが,輸血によりヘモグロビン 値が上昇すると血液粘度が増加し肺血管抵抗を増加 させるのと同様の効果を及ぼす4).すなわち輸血に より肺血流が著明に減少し,Qp/Qs を低下させる ことが期待できる.循環が安定しない並列循環の患 児に関しては積極的に輸血すべきである.  体血管抵抗に影響を与える因子として,同様に酸 素濃度,PaCO2などがある.しかしながらこれらの 加させる.吸入気に窒素を混ぜ,大気より低い酸素 濃度として呼吸管理することも有用である.われわ れの施設での人工呼吸下での窒素投与法を図 3 に, ヘッドボックスを用いて酸素供給ラインに窒素を投 与しているところを図 4 に示す.投与方法はヘッド ボックスの酸素投与回路あるいは人口呼吸器の吸気 側に窒素ガスを投与し,気管チューブの直前にサン プリングポートを付け,吸入気の酸素濃度をチェッ クする.投与量は 50 ∼ 100ml/min で開始し,血圧, 尿量,末梢温度などをみながら SaO2 80%程度を目 標として投与量を増加させ,循環動態の安定が得ら れるまで調節する.このとき低濃度酸素吸入を行っ 人工呼吸器 加湿器 窒素ガス ガス分析機 (酸素濃度計) ガス流量計 患 児 動脈血酸素飽和度 80% 50% 静脈血酸素飽和度 図 3 人工呼吸器による低濃度酸素療法 図 4 ヘッドボックスによる低濃度酸素吸入療法

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ECMO 導入,再開胸などのイベントも少ないとさ れている7).従来,MBT Norwood 手術の成績は非 常に悪かったが,modified BT shunt に代えて RV-PA shunt を用いることによって術後の循環動態が 安定し,われわれの施設をはじめ多くの施設で成績 が飛躍的に改善した.一方,RV-PA Norwood 手術 の問題点としては右室切開による心機能,不整脈へ の危惧や,導管近位側の狭窄が起こりやすく,狭窄 を回避するため大きな導管を用いると,より大きな 心室切開が必要となることが問題と考えられた.後 者に関してはリング付きの導管を用いることで改善 された8)ものの,これらの問題点からMBT Norwood 手術,RV-PA Norwood手術の優劣が議論されてき た.そのため米国National Institute of Health(NIH) の Pediatric Heart Network が多施設無作為化比較 試験を行い,その結果 RV-PA Norwood 手術の方 が術後合併症発生率,ステントやバルーンなどのイ ンターベンションの施行率は高かったものの,第一 次評価項目の術後 12 ヵ月の生存率は高かったこと が報告された9).また,引き続き発表されたサブグ ループ解析でも,房室弁逆流が軽度なら Stage 間死 亡は MBT Norwood 手術群が高い,生後 14 ヵ月の 精神運動発達,危惧されていた心機能,心臓のサイ ズは両群で差がないとする RV-PA Norwood 手術 の優位性を示す報告がなされた10)∼ 12).しかしなが ら,心機能,不整脈などの問題はこれからさらに長 期の観察を経ないと最終的な結論は出ないと思わ れる.これまでの並列循環の管理の研究は MBT Norwood 手術を対象としたものがほとんどであっ たが,RV-PA Norwood 手術においても後負荷軽減 が有用であることが報告され7), 13),これまで述べた 術後管理が RV-PA Norwood 手術後においても有 用であると考えられる.ただ,RV-PA shunt には 弁がないため,術後早期には駆出血流の 30 ∼ 40% にあたる肺動脈血流の逆流がみられることから MBT Norwood 手術術後のように肺血管抵抗を上昇 させない方がよいと考えられる. 影響は肺血管に与える影響ほど顕著ではないため, 血管収縮にはノルエピネフリン,バソプレシン,血 管拡張にはニトロプルシド,クロルプロマジン, PDE Ⅲ阻害薬などの薬剤を用いる.体血管抵抗を 下げるということは血圧低下につながる恐れがあ り,積極的に行われない傾向にある.しかしなが ら体血管抵抗を下げることは相対的に肺血管抵抗 を上げることになり,管理の困難な high flow 症例 では体血管抵抗を下げることが非常に重要である. Hoffman ら5)は非選択的なαブロッカーであるフェ ノキシベンザミン(POB)を用いることによって体 血管抵抗を十分下げることで心拍出量を増加させて SaO2,SvO2を上昇させても Qp/Qs はあまり変化せ ず,循環の予備力を増加させることができたと報告 している.また,De Oliveira ら6)は POB によって Norwood 術後の術後 72 時間以内の循環虚脱回避率 が 69%から 95%へ改善したことを報告している. 本邦では POB は使用できないが,体血管抵抗を下 げることが並列循環を安定させるポイントであるこ とはよく認識しておく必要がある.また PA band-ing,BT shunt 等の姑息術後ではシャントのサイズ, バンディングのサイズが肺血流の大きな規定因子に なるため SVR の調節が PVR の調節に比して,より 効果的であると考えられる. Ⅳ RV-PA シャントを用いた Norwood 手術  従来の Norwood 手術は大動脈弓を本来の肺動脈 を用いて再建した後,肺動脈への血液供給路として 右鎖骨下動脈から肺動脈に modified BT shunt を作 成するというものである(MBT Norwood 手術).一 方,右室に切開を加えて導管を立て右室から肺動脈 へのシャントを肺動脈への血液供給路として作成す る も の が RV-PA Norwood 手 術 で あ る.RV-PA Norwood 手術は従来の Norwood 手術後に比して, modified BT shunt を介する盗血現象がみられない ため拡張期圧,冠動脈灌流圧が高く,Qp/Qs は低い. 術後における人工呼吸器の調整頻度が少なく,

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5) Hoffman GM, Tweddell JS, Ghanayem NS, et al.:Al-teration of the critical arteriovenous oxygen saturation relationship by sustained afterload reduction after the Norwood procedure. J Thorac Cardiovasc Surg 127: 738-745, 2004 6) De Oliveira NC, Ashburn DA, Khalid F, et al.:Pre-vention of early sudden circulatory collapse after the Norwood operation. Circulation 110(Suppl 1):II133-138, 2004

7) Ghanayem NS, Jaquiss RD, Cava JR, et al.:Right ventricle-to-pulmonary artery conduit versus Blalock-Taussig shunt:a hemodynamic comparison. Ann Thorac Surg 82:1603-1609, 2006 8) Schreiber C, Kasnar-Samprec J, Hörer J, et al.:Ring-enforced right ventricle-to-pulmonary artery conduit in Norwood stage I reduces proximal conduit stenosis. Ann Thorac Surg 88:1541-1545, 2009 9) Ohye RG, Sleeper LA, Mahony L, et al.:Comparison of shunt types in the Norwood procedure for single-ventricle lesions. N Engl J Med 362:1980-1992, 2010 10) Ghanayem NS, Allen KR, Tabbutt S, et al.:Interstage

mortality after the Norwood procedure:results of the multicenter single ventricle reconstruction trial. J Thorac Cardiovasc Surg 144:896-906, 2012 11) Newburger JW, Sleeper LA, Bellinger DC, et al.:Ear-ly developmental outcome in children with hypoplastic left heart syndrome and related anomalies:the single ventricle reconstruction trial. Circulation 125:2081-2091, 2012 12) Frommelt PC, Guey LT, Minich LL, et al.:Does initial shunt type for the Norwood procedure affect echocardiographic measures of cardiac size and function during infancy?:the single ventricle reconstruction trial. Circulation 125:2630-2638, 2012 13) Naito Y, Aoki M, Watanabe M, et al.:Factors affecting systemic oxygen delivery after Norwood procedure with Sano modification. Ann Thorac Surg 89:168-173, 2010 Ⅴ 現在の課題  このような周術期管理を行い,われわれの RV-PA Norwood 手術の術後生存率は現在 95%程度と なっている.しかしながら低体重症例(2.5kg 以下), 未熟児症例,三尖弁逆流が 2 度以上の症例,intact atrial septum 症例の生存率は未だ満足すべきもの ではない.そのため低体重症例,intact atrial sep-tum 症例,ショックの既往のあるもの等は bilateral PA banding により状態の改善を待って Norwood 手 術を行うなど治療戦略に工夫を加えているが,それ でも bidirectional Glenn 手術まで生存する症例は半 数程度に留まっている.今後,さらなる成績向上の ためにはこのようなハイリスク群に対してどのよう な治療戦略をとるのか検討していく必要がある. 参考文献 1) Barnea O, Santamore WP, Rossi A, et al.:Estimation of oxygen delivery in newborns with a univentricular circulation. Circulation 98:1407-1413, 1998 2) Bradley SM, Atz AM:Postoperative management:the role of mixed venous oxygen saturation monitoring. Semin Thorac Cardiovasc Surg Pediatr Card Surg Annu:22-27, 2005

3) Tweddell JS, Ghanayem NS, Mussatto KA, et al.: Mixed venous oxygen saturation monitoring after stage 1 palliation for hypoplastic left heart syndrome. Ann Thorac Surg 84:1301-1310, 2007 4) Lister G, Hellenbrand WE, Kleinman CS, et al.:Physi-ologic effects of increasing hemoglobin concentration in left-to-right shunting in infants with ventricular septal defects. N Engl J Med 306:502-506, 1982

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Perioperative Management of Children with Complex Congenital Heart Disease: Management of Children with Single Ventricular Physiology

Tatsuo IWASAKI, Yuichiro TODA, Kazuyoshi SHIMIZU, Tomoyuki KANAZAWA, Hiroshi MORIMATSU, Kiyoshi MORITA Department of Anesthesiology and Resuscitology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences  The most difficult congenital heart disease(CHD)with the shunt lesion to manage is the single ventricle with parallel circulation(PC). Children undergo some kind of initial palliative surgery to establish unobstructed pulmonary and systemic venous return and unobstructed systemic outflow and limited pulmonary blood flow(PBF)and pulmonary artery pressure. Even after the initial palliative surgery, children still have PC that is difficult to manage, and control of PC is the key issue in the perioperative management of children with complex CHD. To attain the ideal physiology, better evaluation of circulatory status with monitoring not only SaO2 but also SvO2 is crucial. SvO2 is

also an excellent indicator of outcome, and Goal-directed therapy with SvO2 as an indicator of

systemic oxygen delivery is associated with excellent, early survival and a low incidence of organ failure in infants after Norwood.

 Cardiac output, systemic vascular resistance, and pulmonary vascular resistance must be manipulated in order to control Qp/Qs. Manipulation of Qp/Qs by manipulation of SVR may be more effective, especially after initial palliative surgery, and aggressive after load reduction therapy contributes to stable hemodynamic status and improves early outcome.

Key Words : Single ventricle, Parallel circulation, Single ventricular physiology, SvO2 monitoring, After

load reduction therapy

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