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雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

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(1)

地域博物館と学校教育の連携・融合についての一考 察 : 総合的な学習への対応を中心として

著者 山? 準二, 内田 昌宏

雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

巻 8

ページ 135‑146

発行年 2002‑03‑30

出版者 静岡大学教育学部附属教育実践総合センター

URL http://doi.org/10.14945/00008430

(2)

静岡大学教育学部附属教育実践総合セ ンター紀要 Ntt p.135〜 146(2002)

〈 論文・ 実践報告〉

地域博物館 と学校 教 育 の連携・ 融合 につ いて の一考察

―総合的な学習への対応を中心 として一

A Study of Works in closer Cooperation wlth a Local Museunl and School Education

山 崎 準 二 *・ 内 田 昌 宏 **

JunJl YAMAZAKI and Masahiro UCHIDA

1.は じめに

地域博物館 は今 日、中央省庁の再編 に連動 した国立博物館独立法人化、生涯学習の一拠点 と しての役割分担、学校教育 との連携・融合の必要性などを背景にして、その新 しいあり方や体 制づ くりが間われようとしている。 ことに、最 も博物館利用率の高い学校教育 とのかかわ りは、

重要視 されるものである。小・ 中学校 においては、平成 14年 度か ら総合的な学習が本格的に導 入 される。 これによって、地域の歴史や学習素材について豊富な情報、物的な資料・施設、人 的な知識・技能、体験活動のノウハ ウなどをもっている博物館活用のニーズが、ますます高 ま

りをみせ ることが考えられる。

この本格的な導入が 日前に追った総合的な学習に、地域にある博物館が、よリフレキシブル に対応 してい くためには、い くつかの改善が求められ る。富士市立博物館における総合的な学 習移行期の取 り組みの事例 をもとに、その成果 と課題 について検討 し、 これか らのあるべ き姿 を考察 してい くことにする。

2.富 士市立博物館における総合的な学習への対応の概略

本館 においては、小・中学校の総合的な学習の移行期に入 り、次のような取 り組み・学校サ イ ドヘのはた らきかけを行ってい る。

① 「小・中学校のための博物館利用の手引き」の発行

②学校への出張授業・体験活動支援 (紙 漉・土器づ くり・火おこしなど

)

③子ども向け展示会 0講 座の工夫 (紙 ing博 物館 0手 すき和紙教室

)

④継続的な情報提供 (博 物館だより・博物館かわらばん

)

⑤教員向けの実技研修会の開催

これらのうち、①については、移行期以前の数年前より発行しており、富士市内はもとより、

近隣の富士宮市・芝川町、その他前年度利用の多かった市外の小・中学校に配布している。

この手引きの内容 としては、社会科の各学習単元 と博物館資料の活用、総合的な学習におけ る博物館の活用事例の紹介、小・ 中学校の社会科副読本 と博物館展示・施設の対応表、体験学 習の事例 と申し込み方法、博物館施設の内容紹介な どとなってお り、博物館利用の事前計画・

*教育学部教授   **富 士市立博物館指導主事

(3)

山崎準二 0内 田昌宏

指導の際に役立てられている。また、⑤については、主に市内・外の小 0中 学校社会科主任者 会、図工科・美術科主任者会とタイ・アップして、夏休みの時期を中心にして、紙漉、型染め、

火おこし器づ くり、機織 りといつた実技研修会を実施している。この他の②〜④の取 り組みに ついては、後ほど改めてくわしく述べることにする。

3.学 校への紙漉体験出張指導について

本館では、従来 より学校の授業 における人的・物的な支援 を行つてきた。主 な事例 としては、

紙漉、土器づ くり、火おこし、米・ ソバ・大豆の脱穀 などの体験活動支援である。全体の傾 向 としては、小学校低学年の生活科導入以降、 ソバの脱穀体験が増 えた。また、環境教育の位置 づけ以後 は、牛乳パ ックを原料に した紙漉体験が 目立つようになった。さらに、総合的な学習 の移行期に入 り、 グループ単位で原料を選択 (例 えば、三極 とパルプ )し た紙漉体験の事例 も み られ るようになっている。

さまざまな種類の体験活動の うち、「富士山 と紙」を主要 なテーマにしてい る本館で は、 と りわけ紙漉体験の支援の整備・充実に重点をおいてきた。博物館独 自の事業 として、十年以上 前か ら、夏休み向けに 「小学生の手すき和紙教室」を実施 してきている。だが、学校の授業に おける紙漉体験支援 については、従来は、単発的な対応の域 に とどまってお り、原料の準備や 指導者の確保に課題 を残 していたのが実態であつた。そこで、総合的な学習の移行期 にはいっ た平成 12年 度か ら、市内の 10校 を対象にして、紙漉体験出張指導事業を予算化 し、実施するこ

とになった。

この事業の運用 にあたっては、 自主的に紙漉 の活動に取 り組んでいる 「富士手漉 き和紙の 会」に協力を得 ることにし、原料づ くりや紙漉指導に博物館指導主事、学芸員 とともに参加 し ていただ くことになった。

この事業のスター トにあた り、 まず、富士市小学校社会科主任者会の場で、 目的 と内容の説 明を行い、周知をはかつた。

また、「博物館かわ らばん」「博物館だ よ り」な どを 通 しての広報活動 も行 つた。

その結果、社会科学習や総合的な学習の一環 として 紙漉体験支援 を希望す る小学校か ら、申 し込 みが よせ

られた。

この事業の実際について、 くわ しく述べ ることにす る。まず、事前に博物館 と学校側で打ち合わせ をもち、

紙漉体験の 日時や 目的な どを明確 にす る。 これ によっ て、原料の種類や支援 の重点な どを定める。例 えば、

学習単元 のなかでの紙漉体験 の位置づ けが、製紙工業 の工程や環境・ リサイクル問題 に関連す る場合 は、原 料は、パルプが中心 になる。一方、伝統産業 の学習の 一環 としての場合 は、富士山麓の紙漉の歴史 にかかわ りの深 い三極 とい うことになる。 これに加 えて最近で は、総合的な学習で、ケナフ栽培 とワンセ ット化 して、

ケナフを原料にする場合 もでてきている。

△紙漉方法の説明

△漉 き枠道具 を使用 しての紙漉体験

(4)

地域博物館 と学校教育の連携・融合についての一考察

また、 この事業では、紙の専門知識をもった学芸員や製紙工場勤務経験のある富士手漉 き和 紙の会会員 もいることか ら、指導主事がコーディネイ トする方式で、紙漉体験指導前後に子 ど もたちか らの原料や製紙工程な どについての質問を受け答えする場を設けている。例えば、原 料づ くりに必要なネ リの効用 について課題意識 をもった児童が多かった学校では、パルプが水 に平均的に溶 けやす くするためにネ リを使用することを重点的に説明するといった具合である。

クラス単位での紙漉体験 は、授業時間に制約があるので、原料づ くリー手漉 き―脱水 ―プレ スー板 は リー乾燥 といった工程が流れ作業的にな りがちな面があるが、紙漉指導の際には、こ の ような質問 コーナーの時間を とった り、紙漉体験中の子 どもたちへの声かけをした りするこ

とを心がけている。

この事業 は、平成 12年 度 に市 内の小学校 10校 、 人数では、 1,275人 の参加 を得 ることがで きた。

ちなみに、原料 については、パル プが 6校 、三 極 が 3校 、パルプ と二梗両方が 1校 であった。

なお、 この事業枠 10校 以外 にも紙漉体験支援の 要望が寄せ られ、市内小学校 2校 ケナフ、市内 中学校 1校 三樋、市外小学校 2校 パ ルプ、市外

中学校 l校 パルプ 01校 三狂 といった紙漉支援 を行 った。

この紙漉体験出張指導事業 は、総合的な学習 への移行期 2年 目をむかえた平成 13年 度 も引 き 続 き実施 しているが、次の ような成果 ̀課 題 が ある。

まず、成果 としては、

・ 紙漉体験の設備 0人員・来館費用などに制約のある学校サイ ドか らは、 このような出張形 式で博物館が支援することが歓迎 された。

・子 どもたちに とってみると、博物館の職員や富士手漉 き和紙の会会員 らと交流 しながら紙 漉 を体験することで、 自分たちな りに試行錯誤 しなが ら、紙漉の工程を実感的に理解 した り、  1枚 の紙のたいせつさに気づいた りするなど、表 (1)に 示すような学習の方向性の 展開・発展 に結びついた。

「 ―一―○機械化の生産性・技術の進歩

◎工程 の実感的理解 ―― ‑1… ……… ○紙漉職人の伝統的な技

r       L̲̲̲○

紙漉道具職人の技

*紙    │

体験 一―― ヰー‐ :      │‐ ‐◎紙の価値再発見   ―― ‑1

――○紙 と生活、環境問題への着目

L̲̲̲◎ 漉 く原料の選択  

△パ ル プ とネ リをまぜ る

表 (1)紙 漉体験後 の学 習の方 向性

(5)

山時準二 0内 田昌宏

・紙漉体験前に学校 と博物館指導主事が事前打ち合わせを行 うことにより、学習単元のね らいに即 した体験内容 (例 :牛 乳パ ックを使用 した原料づ くりや、ネ リの役割に重点を おいた体験 )を 設定 し、学習効果 をあげることができた。

・子 どもたちや教員の中には、学校での紙漉体験 をきつかけにして、博物館が実施 してい る手すき体験 日や手すき和紙教室、小学生の手すき和紙教室に参加するいわゆるリピー ターになる方 もみられた。また、 5学 年における紙漉体験を契機 に卒業証書漉 きに取 り 組む小学校 もでてきた。

・博物館 の職員 (主 に学芸員 )に とってみると、実際に学校現場の雰囲気や意見にふれ る ことにより、学校における地域学習・体験学習のニーズを実感す るとともに、博物館 の 教育普及活動のあ り方ついて考える情報を得た り、展示会の広報を行つた りするひ とつ の機会 になつた。

その一方、課題 としては、

・ より多 くの子 どもたちに、 より多 くの紙を漉かせたい とい う声があるので、博物館の他 の紙漉体験事業 (手 す き体験 日、手すき和紙教室、小学生の手すき和紙教室な ど )と 関連 を意識 した広報活動 に取 り組 む必要がある。

・紙漉体験の目的は、単に紙を漉 けばよい とい うことではな く、子 どもたちの学習課題の 追求 (例 えば、パルプや三極、ケナフなどの原料づ くりの工程か ら子 どもたちにかかわ らせてほしい とい う要望 )と 連動す るものである。時間的・人的な制約 を考慮 しつつ、

体験方法や博物館スタッフの支援 の方法を工夫 してい くように していきたい。

・ これか らの本格的な総合的な学習の導入により、紙漉体験指導の依頼が増えることが予 想 され るが、学校の教育課程の関係で一時期 に集 中することや、貸 し出 し用の紙漉セ ッ トの整備・充実が求め られることが考えられ る。博物館スタッフの学校訪間や社会科・

総合的な学習主任者会訪間な どの場で、早めの 日程調整 を呼びかけるとともに、財政 当 局へのはた らきかけを行 うように していきたい。

・博物館の教育普及活動全体 にいえることであるが、指導・支援依頼 に対 して、人数的・

時間的・物的な制約のある博物館が、いかに自らもバランスよ く、スムースに対応 して いった らよいか、利用者である学校側 を交え、相手の立場 になつて改善策を探 ることが 重要である。

以上述べてきた ような成果 と課題 をふ まえなが ら、紙漉体験出張指導の新 しいスタイルを 模索 しているところである。

4。 子ども向け『紙 ing博 物館 Jの 開催

本館では、最大の利用者である小・ 中学生に配慮 し、いわゆる来館者参加型展示会の一環 として、夏休みむけに 「紙 ing博 物館」をここ数年開催 してきている。 ことに、総合的な 学習の移行期に入つてか らは、小・ 中学校の教育内容 を意識 しなが ら、表 (2)に 示す よう なテーマを決めてきた。

まず、平 成 12年 度 の非 木 材 紙 をテーマ に した 「紙 ing

博物館」のね らい と内容、反 響 につ いて述 べ てい くこ とに

○平成 12年 度   非木材紙一ケナフ・ コットン・ 竹一

〇平成 13年 度   トイレッ トペーパーの リサイクル 表 (2)総 合 的 な学 習移行期 の紙 ing博 物館 のテーマ

138

(6)

地域博物館 と .学 校教育の連携・融合 についての一考察

する。 この展示会では、従来の木材紙に対 して、環境問題 とともにクローズアップされ、学 校での栽培活動にも取 り入れ られてきたケナフを中心にコットン、竹 といった非木材紙の種 類・性質・用途・製品などを子 ども向けに紹介することにした。

展示の導入部では、子 どもたちが一般的な紙の原料である木材チップを実際に触った り、

紙の繊維質を顕微鏡でみた りするコーナーを設 けた。 これは、従来の展示物 を来館者 に一方 通行的にみせ るや り方に終始するのではな く、最近学校教育の博物館利用 の増加 によって、

高 まりをみせている来館者参加型のハ ンズオ ン・バ リアフリー といった要素 を重視 したもの である。 また、統計資料の取 り扱いについては、数字の羅列に とどまるのではな く、子 ども

たちの生活経験 に関連 させ る形 を工夫 した り、カラーによるグラフ化を取 り入れた りするこ とを心が けるように した。そして、ケナフ 0コ ッ トン (リ ンター

)・

バガス (サ トウキビの しぼ り かす

)・

竹 な どの非木材紙の種類 を製品化 されているものをなるべ くた くさん具体的に展示 し た。この ことは、子 どもたちの反応 をみても単なる文字的な説明より、はるかに好評であつた。

また、夏体みの自由研究のために来館する子 どもたちが多いことに対応す るために、市内の 製紙会社や諸機関などの協力を得て、子 どもたちが持ち帰って自由研究作品を作成するのに役 立ててもらうように、様々な種類のメド木材紙のサ ンプルやケナフのタネな どを多数用意するこ とにした。 このような実物資料を提供することは、子 どもたちの非木材紙についての実感的な 理解に結びつ くとともに、家庭の家族や学校の友達などにも非木材紙の話題 を伝えることにも つなが り、博物館 にとってもその存在価値を認識 してもらううえでメリットになった。

△ ほ く ゛

したパ ル プを手にす る子 ども △紙の繊維を顕微鏡で見 る

△紙で遊ぶ体験 コーナーも設置 △持ち帰 り資料用のサ ンプル展示

(7)

山崎準二 0内 田昌宏

そ して、 この年か ら新たな試み として、「紙 ing博 物館」開催中に 「紙 の不思議実験 室」

を実施 することにした。博物館職員 より、紙の専門的な知識をもっている静岡県工業技術セン ターの方を講師に招 き、子 どもたちが興味をもちそうな紙の強度実験や、わ りばしか らの紙づ

くりな どを 2回 にわたって実施 した。

この紙の不思議実験室 には、 100人 をこえ る親子が参加 し、 自分たちがわ りばしか らつ くっ た紙 を自由研究用のサ ンプル として持ち帰つた り、講師の説明をメモに とった りした。

さらに、平成 13年 度 は、   トイレットベーパーを窓口にした古紙の リサイクルをテーマに 「紙

ing博 物館」を開催 した。 この展示会で も、子 どもたちへの親 しみやすさやわか りやす さを モッ トーに展示構成や展示方法を考 えることに した。 まず、展示の導入部分では、静岡県家庭 紙工業組合の協力を得て、市販 されているさまざまな種類の トイ レットペーパーをな らべ、色 や模様 をみた り、実際に肌ざわ りを確かめた り、香 りをかいだ りすることにより、 自分 の五感 で トイ レットベーパーにふれるコーナーを設置 した。 このことは、来館者の反応をみ ると、い きな リリサイクルの統計資料をならべるよりも展示に興味をもってもらう点で好評であつた。

また、子 どもたちが、 日頃学校給食の牛乳パ ックの回収に取 り組んでいることを生かすかた ちで、平成 12年 度 に回収 された給食用牛乳パ ック約 254万 枚が約 12万 7千 個 の トイ レッ トベー パーに再生産されてい ることを関連製紙工場の写真パネル とともに、紹介することに した。富 士市内の小中学校のほ とん どで牛乳パ ック回収 に取 り組んでいる現状を反映 してか、 この コー ナーヘの関心は高い ものがあつた。 この他に、地域や学校で行っている古紙回収にも着 目した

△ 薬品処理 したわ りば しか ら紙 をつ くる △紙 の強度実験

△パル プや紙製 品の具体的な展示 △ ロールペ ーパ ーの手 ざわ りを体験

140

(8)

地域博物館 と学校教育の連携・融合 についての一考察

展示 も行い、 自分たちが実生活のなかで、 どのようなことをこころがけていった らよいかなげ かけをした り、製紙会社の原料や水の リサイクルの努力を紹介 した りした。

5.」 学生の手漉き和紙教室の開催

本館では、紙の町に生活する子 どもたちに伝統的な手漉 きを体験 してもらうことを目的に、

ここ 10年 来夏休み期間中に小学生高学年を対象 とした 「小学生の手漉 き和紙教室」を開催 して いる。先述 したように、富士山麓の岳南地域では、江戸〜明治時代にかけて三極の栽培が盛ん に行われた。その歴史的な背景を生かすかたちで、三極 を原料にした手漉き体験の機会をもう け、手漉 きのすばらしさや、紙の価値を実感的に理解 して もらうことをめざしている。参加者 の声を聞 くと、兄弟・姉妹で連続 してこの教室に申し込んだ り、他の学校の子 と友達になるの を楽 しみにした りしている子などがみられる。       

この教室では、はがきや うちわづ くりなどをおこなうが、例年同時期に実施 され る博物館実 習の実習生 も研修 をかねてアシスタン ト役 として参加 し、博物館における教育普及活動の一端 にふれ るよい機会 となっている。

.博 物館の情報提供

博物館の最大の利用者である学校 に対 して、「博物館かわ らばん」 (教 師向け・子 ども向け

)

「博物館だより Jな どを通 して、教育普及活動や展示会 を中心に情報提供をおこなっている。

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△ 「博物館だより」 (教 師向け )の サンプル

△ はが き 3枚 漉 にチ ャレンジ △圧搾後の和紙を板に貼って干す

(9)

山暗準二・内田昌宏

まず、「博物館かわらばん」 (教 師向け )で は、博物館で実施 している手すき和紙教室やはじ めてのやきもの教室などの教育普及活動の紹介や、学習素材 としての観点からの各展示会の見 どころなどをもりこむようにしている。

次に、「博物館だより」 (子 ども向け )で は、地域の歴史・民俗の小話や教育普及活動に参加 した子 どもたちの様子などを写真やイラス トを交えてわか りやす く伝える配慮をしている。

「博物館かわらばん」は、それぞれ学期 1〜 2回 のペースで発行 している。

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△ 「博物館だより」 (子 ども向け )の サ ンプル

また、「博物館だ より」 (年 2回 発行 )は 、 もともとは一般向けの ものであるが、学校の教員 対象を意識 して 「地域素材の学習材化の周辺」のコーナーをもうけ、地域の歴史・地理の素材 や博物館の収蔵資料を活用 した総合的な学習のヒン トを毎回内容 を変 えて紹介するようにして いる。 これまでに、富士梨、シラス漁、小学校校歌、   トイレッ トベーパーを取 り上げてきた。

△第 1回 富士梨 △第 2回 シラス漁

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地域博物館 と学校教育の連携・融合についての一考察

△第 3回 市内小学校校歌           △第 4回 トイレットペーパー

この他に、市内の小・中学校か らアクセスす ることが可能な博物館の展示を活か した歴史 ク イズや教育普及活動などの紹介をホームページを通 して公開 している。平成 14年 度か らは、本 館収蔵品のインターネット上の公開を予定 しているところである。 また、総合的な学習におけ る課題 コース別 の常設展示見学の際 に、展示の説明だけでな く、学習展開のヒン トや参考文 献・ 関連施設な どを子 ども向けにわか りやす く解説 し、来館者 自らが発見 したことや思ったこ

とを書 きこむスペースをもうけた学習シー トの作成・発行を順次進めている。

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ロシアの果 船 デ ィアナ 号

△学習シー ト ml(表 面

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地域素材の学習学多?周 辺④ トィレットベ

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F申 習 の ヒ ン ト∫

【自分が幕府の役人だったら】

△学習シー ト ml(裏 面

)

(11)

山暗準二・ 内田昌宏

学 校 教 育 の は じ ま り

△学習シー ト m2(表 面

)

ξ学 習 の ヒ ン ト′

0コ扉されている岩猿と岩軍●.明治時代から、銹や鉛摯が安い値段で,■わる電 使ったのです。みをさんり'、今哉つているノートや機軍と比べて、使いごこち

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も争′の棧歌には、應域の 自然や肥望 、学校 に '3人

た らへの思 い、 日澪 などが う

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わ し く しらべ た い ひ との た め に

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△学習シー ト m2(裏 面

)

7.博 物館 と学校の連携・ 融合への課題

これまで述べてきた ように、博物館の最大の利用者である学校への支援のひ とつ として、総 合的な学習の導入 に関連 した本館独 自のさまざまな取 り組みを行つてきた。それらの取 り組み の中には、紙漉体験出張指導事業のように学校側か らも好評 を得ているものもあれば、 まだ、

試行錯誤の段階の もの もある。いずれにして も、博物館サイ ドと学校サイ ドそれぞれがお互 い にアプローチ してい く積み重ねの過程を経て、子 どもたちに とって も、教師にとって も、博物 館に とって も意義のあるしなやかな連携・融合のネ ットワー クが形成 されてい くのではないだ

ろうか。

まず、博物館サイ ドとしては、館内の職員の教育普及に対す る共通理解 をきず くことが前提 になるだろう。各地の博物館職員 と交流する中で経験的に感 じるのは、学芸員の教育普及 に対 しての姿勢 に格差が あ ることである。教育普及 に前向きな方 もいるが、 よ く耳にす る言葉 に

「学芸尋の本来の仕事は調査・研究であって、教育普及ではない Jと い うものがある。なるほ ど、地域の博物館の学芸員は、人数 も限 られてお り、学問的な研究を進める施設・時間 0予 は十分 とはいえない とい うのが現状であろう。調査・研究 と展示会をこなしてい くことの意味 の重 さは、博物館 に勤務する者な らば、誰で も理解できるであろう。だが、利用者あつての博 物館・市民 (お となや子 ども )に 親 しまれ る開かれた博物館 のあ り方が、生涯学習の推進や総 合的な学習の本格的な導入を背景 にして、まさに問われようとしていることも現実である。学 芸員に してみれば、多大 な収蔵品の整理にさえ時間がまわ らないのに、学校 に出かけてい くま でもない と考えるのは、わか らないで もない。調査・研究のための条件整備・環境改善は必要 なことであろう。 しか し、学校 とい う場での学芸員を含めた博物館職員 と子 どもたちや教師 と の教育普及活動 を通 したふれあいや交流は、その時限 りではない新たな博物館理解や利用の出

144

(12)

地域博物館 と学校教育の連携・融合 についての一考察

発点になるのである。例えば、先述 したように、本館で指導主事 と学芸員が協力 して行つてい る学校の紙漉体験支援事業 をきっかけにして、博物館の手すき事業に参加する子 も少な くない

(こ の点では、本館の学芸員や他の職員の協力に感謝 している

)。

従来 は学芸員の資格取得の 際、今 日ほど教育普及活動の重要性が大学カ リキュラムの中でいわれて こなかった ということ を指摘する方 もいるが、調査・研究の蓄積、所蔵資料、展示、体験活動のノウハウなどといっ た博物館の人的・物的な資質の活用が、現場では求めれれていることを意識 していきたいもの である。調査・研究 について も博物館 内部で留まって しまうのでな く、学校教育への活用や市 民への公開 (展 示・ 出版物・各事業な ど )を す ることによって、さらに、磨 きがかかるのでは ないだろうか。 また、その姿勢が、博物館への支援者を増やす ことにつながるのではないだろ うか。そのような博物館外部へのキャッチボールを博物館内部の職員が事務・学芸・学校担当 それぞれの仕事の一端で もお互いに理解 しようとする気 もちをたいせつにしなが ら、まず、一 歩踏み出すことか ら始めていきたいものである。 ともすれ │よ 博物館組織が縦割 り・分業 (い

わゆる内なる鎖国 )に な りがちなことの弊害 とその改善は、博物館エデュケータ研究者の取 り 組み (例 えば、国立民族学博物館 を中心 とした博学連携学習プログラムの試み )や 、 日本博物 館協会の 「博物館 における学習支援 に関する国際比較調査」の分析

(『

博物館研究』 NcL402平 成 13年 11月 )な どで、最近 よ く指摘 され ることである。いか に、学芸員が学問的な価値のある 調査 0研究を望んで も、細かな予算的な手続 きをするのは事務方であ り、最大の利用者である 子 どもたちへの さまざまなはた らきかけ (例 えば、調査 0研 究結果をワンクッシ ョンはさんで 子 どもたちにわか りやす く紹介する )の 中心 になるのは指導主事のような教育普及担当者であ る。博物館職員が、お互いの仕事の全てを把握することは困難であるとしても、それぞれの専 門性・経験にもとづいて、意見やアイデアを出 し合 うことによって、小 さなセクシ ョンのなわ ば り意識にとらわれず、博物館館員同士の足 もとのチームヮークづ くりに取 り組むこと (い わ ゆる内なる開国 )が 求められているのではないだろうか。その過程をふむことが、例えば、国 内や欧米の先進的な博物館 にみ られ るインス トラクタ、キュレータ・ オブ・エデュヶ―ション、

エデュケータな どの配置や博物館ボランティアの導入 といった、将来の博物館の組織づ くりに もつながってい くのではないだろうか。

以上述べてきた ことをふ まえなが ら、 ともあれ当面の課題である総合的な学習への博物館の 具体的な対応・ アプローチ として、

○学習の需要の多い紙漉道具や火おこし器 などの貸 し出 しセ ットの整備・充実

○紙漉・脱穀体験 をはじめ、空 き教室を活用 した ミニ博物館づ くりなどへの人的 0物 的支援

○来館者の立場・観点に立ち、ハ ンズオンやバ リアフリーに配慮 した展示構成の検討 と展示 替 え

○展示各 コーナーの学習シー トの充実や、  ITの 活用 を視野 に入れた効率的・柔軟な学習者 へのレファレンスのあ り方の検討

○博物館 と学校 との共同作業 にもとづ く博物館 を活用 した学習単元の開発 な どに重点をおいた取 り組みを行 つていきたい と考えている。

また、その一方、学校サイ ドの博物館利用 にたいする理解や配慮にも学校・教員による格差

があ り、その改善が必要であるように思われ る。中には、職員研修で博物館職員を学校 に招い

て、総合的な学習の素材研究の一環 として地域のフィール ドワークを行つた り、毎年紙漉体験

を教育課程にもりこんで博物館の紙漉体験出張指導を活用 した りする学校 もあるが、博物館へ

(13)

山時準二 0内 田昌宏

の距離的・費用的な問題 とは別に、利用の少ない ところもある。市内の教員へのアンケー トに よると、博物館 を利用 しない原因に、博物館の利用手続 きがわか らない、博物館 にどのような 貸 し出 し資料があるのか知 らない といつた意見があつた。先述 した ように本館では、利用の手 引きや博物館かわらばん、博物館だよりの発行、社会科主任者会での説明な どを通 して、情報 提供 を継続的に行つているが、 まだ十分 とはいえないようである。博物館側の情報提供改善 も 必要 ということになるだろうが、学校の教員 自身が、 まず博物館 を利用 してみて、初めてわか るとい うこともあるので、いろいろな事前準備・指導 (学 習面・安全面 など )は たいせつであ ろ うが、教員 も教室か ら一歩踏み出 して、博物館 を活用 した学習のお もしろさや意義を体験 的・実感的に味わつてほしい と思 うのである。

さらに、子 どもたちが博物館で学習す る際の事前連絡への配慮 とい う点について も課題が残 る。 ことに、先述 したように総合的な学習では、従来 に増 して個人・ グループの興味・関心が 重視 される。当然、博物館の展示見学 について もそれぞれポイン トが異なって くるであろう。

だが、現状ではそれに対応するだけの博物館職員の人数・時間に制約がある。学校側か ら、事 前に子 どもたちが何に関心をもっていて、 どのような質問を用意 しているのか とい う連絡があ れば、プリン ト資料を準備 した り、体験活動ができるように例 えば、昔の脱穀用具をセ ッティ ングした りといつた対応 を効率的に行 うことができるのである。本館 の場合は、小・ 中学校 に 配布する博物館利用の手引きに、社会科副読本の内容 と展示内容の対応表の項 目を設 け、学校 での事前学習に役立てて もらうように配慮 している (平 成 14年 度か らは富士市教育委員会学校 教育課の理解 を得て、小・ 中学生個人に配布する社会科副読本の中に対応表の項 目を取 り入れ ることになつた

)。

総合的な学習の導入で、従来の教育課程では、小学校 に比較 して博物館の 利用体験回数が少なかった中学校教員の事前指導に、 この対応表の活用 をはた らきかけている

ところである。

この他に、 もともと博物館 と学校 との開館 日時 と授業 日時が合いに くい (こ とに、祝 日の翌 日は閉館

)、

教員が資料の借用 に行 く時間が放課後夕方 に集中 し、博物館の事務的な手続 き処 理 に負担がかか る、学校団体を受け入れ る室内の休憩施設が不十分 な どといつた 日常的な課題 もある。 これ らの点は、行 政面が絡んで くるので、学校 0博 物館単位 の解決は難 しいか もしれ ないが、博物館 と学校 との連携・融合が深 まりをみせれば、それを補 うよい方法を見いだせ る か もしれない。

まず、 とにか く、博物館 と学校 との交流の輪 を日頃か らたいせつ に し、お互いの特性や現状、

ニーズなどを相手の立場 になって理解することを心がけていきたい ものである。

8.お わ りに

総合的な学習 という新たな学習スタイルが 自然なかたちで定着 してい くのには、学校だけで

な く、博物館 を含む様々な地域の教育施設や人材の継続的な協力・支援が重要 になって くるこ

とであろう。博物館に携わる者にとってみても、総合的な学習の導入 を博物館の機能 と役割を

,

見つめ直すよい機会 と前向きに受け止め、子 どもたちがやがてお となになった時にも存在価値

を認めてもらうことのできる博物館のあ り方を利用者の声に広 く耳 をかたむけ、博物館内部の

チームワークをいか しなが ら、探つてい くことが重要であると思われ る。

参照

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