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六倉 和生 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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六倉 和生 論文内容の要旨

主 論 文

Familial Creutzfeldt-Jakob disease with a V180I mutation: comparative analysis with pathological findings and diffusion-weighted images.

コドン V180I 変異を伴う家族型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD180)

:病理所見と拡散強調画像との比較検討

六倉和生、佐藤克也、調 漸、冨田逸郎、福留隆泰、

森川実、井関充及、佐々木健介、志賀裕正、北本哲之、江口勝美

(Dementia and Geriatrics Cognitive Disorders 28 巻 6 号 550―557 2009 年)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 (主任指導教員:川上純教授)

緒 言

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は、異常プリオン蛋白(PrPSc)が脳内へ蓄積し 急速に認知症をきたす神経変性疾患である。孤発性が最も多いが、遺伝性も 15%を占 めるとされている。プリオン蛋白遺伝子(PRNP)コドン 180 番の Valine(V)から Isoleucine(I)への変異による家族性 CJD(CJD180)は、我が国の遺伝性プリオン病の うち最も頻度が高いが、欧米では 2 例の報告のみである。その臨床的特徴は、高齢発 症で進行が遅く、皮質症状が目立ち、視覚異常や小脳症状に乏しく、髄液中の NSE、

14-3-3 蛋白の陽性率が低く、脳波で PSD を欠くこととされている。一方、MRI の拡散 強調画像(DWI)は CJD の早期診断に有用といわれており、近年では家族性 CJD の診 断にも利用されている。しかし DWI 高信号がどのような病態を反映しているかは明ら かにされておらず、家族性 CJD で検討した報告はない。我々は CJD180 の 3 症例を経 験し、1 症例で DWI 高信号に対応する部位に脳生検を行った。研究の目的は、得られ た病理結果と髄液検査、画像診断から CJD180 における DWI 高信号の意義を明らかに することである。

対象と方法

当院と関連施設で経験した CJD180 患者 3 症例を対象とした。3 例とも遺伝子解析で PRNP の V180I 変異を確認し CJD と診断した。髄液中の総タウ蛋白、リン酸化タウ蛋白、

S100 蛋白、NSE、PGE2を ELISA 法で測定し、14-3-3 蛋白を Western blot 法で検出し

(2)

た。また頭部 MRI、1H-MRS、e-ZIS 解析による脳血流 SPECT を行い、臨床的特徴を過去 の CJD180 の報告例、孤発性 CJD の自験例と比較検討した。1 例で右前頭葉の DWI 高信 号に対応する部位に検査の翌日に脳生検を行った。摘出標本は、HE 染色と PrPSc gliosis、microglia 活性をそれぞれ 3F4、S100 蛋白、CD68 抗体を用いて免疫染色を 行い、孤発性 CJD(n=4)と比較検討した。

結 果 1)臨床的特徴

3 例の発症年齢は 69±1.41 歳、ミオクローヌス発現までの期間は 5.33±0.93 ヶ月、

無動性無言までの期間は 12.3±4.5 ヶ月、生存期間は 30.3±4.78 ヶ月であった。

2)髄液の生化学マーカ解析

14-3-3 蛋白は 3 例とも陰性で、総タウ蛋白は上昇していたが(症例 1;3,811、 症 例 2;2,325、症例 3;3,675pg/ml)、孤発性 CJD の平均(5,689±169pg/ml,n=128)と比 べ低値であった。NSE は CJD の cut-off 以下であったが(症例 1;39.4、症例 2;40.8、

症例 36.1ng/ml)、神経変性疾患の平均(10.35±4.35ng/ml,n=100)と比べ高い傾向に あった。S100 蛋白、PGE2 は検出限界以下であった。

3)画像検査

MRI では、内側後頭葉を除く大脳皮質の広範と、被殻、尾状核に信号異常を認めた。

MRS では、NAA/Cr 比、Cho/Cr 比低下を認めたがミオイノシトールは正常を示した。

SPECT では、大脳皮質に広範に血流低下を認めたが、孤発性 CJD と比べ血流は保たれ ていた。

4)病理

HE 染色では海綿状態を大脳皮質全層に広範に認め孤発性 CJD と比べ病変は強いが、

神経細胞脱落は軽度であった。PrPScの沈着は認めず gliosis、microglia 活性は孤発 性 CJD に比し軽度であった。

5)PrPScのタイピング

Western blot 解析では、Parchi 分類で type1+2 であった。

考 察

孤発性 CJD における DWI の高信号は、神経細胞脱落、海綿状変化、gliosis、microglia 活性、PrPSc蓄積などを反映していると推察されているが、今回得られた CJD180 の脳 生検の病理結果は、海綿状変化が強い一方でその他の所見に乏しく孤発性 CJD とは異 なる特徴を示した。この結果から CJD180 における DWI 高信号は主に海綿状変化を反 映していると考えらえた。また過去の DWI の病理報告は剖検脳での検討であるが、我々 は生検脳を用いており、さらに生検と DWI 撮像時期が同一であることから病態をより 正確に反映していると考えられた。しかし今回は一症例のみでの検討であり、CJD180 全般に結果の解釈を拡大できるかが問題となる。このため髄液検査と画像検査を用い て仮説の補足を行った。CJD の髄液検査は、脳組織の破壊に伴って遊離する蛋白を測 定し補助診断として利用されており病勢の評価としても有用である。3 例とも同様の 髄液所見を示しており間接的に病理所見を裏付ける結果となった。MRS、SPECT 画像検 査も病理結果を支持するものと考えられた。

(備考)※日本語に限る。2000 字以内で記述。A4 版。

参照

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