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教育メディア研究における国際協力の現状と課題

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Academic year: 2021

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教育メディア研究における国際協力の現状と課題

Present Issues and Assignments of International Cooperation in the Field of Educational Media Research

大作 勝 Masaru Ohsaku

長崎大学アドミッションセンター Admission Center, Nagasaki University 1-14 Bunkyou-machi, 852-8521 Nagasaki, Japan

<あらまし>

概ね最近5年間の「教育メディア研究」第7巻第1号(2000)〜第11巻第1号(2004)と「日 本教育工学会論文誌」第24巻第1号(2000)〜第29巻第1号(2005)ほかに公表された教 育メディア研究のうち、特に国際協力に関係すると思われるものについてレビューした。

1.はじめに

教育メディアの外国との関わりに関する最 近の研究についてレビューする。これらの研 究をいくつかのグループに分類する。教育メ ディアとしてここでは、印刷物・文書を主に 利用するものは除き、①放送(衛星放送)技 術を利用するもの、②インターネット技術を 利用するもの、③これらの技術を併用するも のについて述べる。この分野では多くの研究 がなされている。とりわけインターネット技 術を用いた教育メディア研究の課題について も、いくつかの議論がなされている(例えば 久保田,2001)。ここには主に国内事情が述 べられているが、外国におけるオンライン教 育についても言及されている。

教育メディアを用いた国際協力の最終目標 並びに狙いは、地球全体として資源循環型、

省エネルギー社会を創造することである。

2.教育メディア研究の国際協力

教育メディア研究の国際協力について知る ためには、諸外国における状況、特に教育に 関した正しい現状認識と理解が必要である。

・教育困難

途上国では多くの場合、国民の識字率が十 分でない、学校が十分な数設置されていない、

教員数が十分確保されていない等の問題があ る。しかしこれらの教育困難を解決するため

の財源が十分確保されないことも多い。この ことを解決するために衛星放送などの新しい 教育メディアを利用しようとしているが(大 作,2004b)、このような国では無配電地域も 多い。そこで自然エネルギーで電気をつくる 工夫もなされている(Ohsaku et al, 2002)。

・情報格差

一般に情報通信技術を扱う環境(ハードウ ェア・ソフトウェア)は先進工業国で進んで いて、開発途上国では遅れている。しかし情 報メディアそのものを使う環境(ソフトウェ ア)は工業国のみが進んでいるわけではない。

いずれにしても地球上のそれぞれの国・地域 間で情報格差がある。また地理的に大きな国 及び広い国では、国内における格差も大きい であろう。これらの格差を解消するための一 助として国際協力がある。

2.1 協力事業

・教育事業の技術協力

 わが国の国際協力機構(JICA)などが 実施する国際協力事業のうち教育に関する案 件に参加する機会がある。高等教育機関の教 員が寄与する例としては、①専門家派遣、② 国内研修、③第3国研修がある。①と②に関 して言えば、「教育システムを用意する」分野 での協力であろう。③について多くの研究は ないが(大作,未発表)、この報告はわが国で

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実施できないもの、実施すれば高額になる研 修があるとしている。この分野の国際協力は 今後技術者の養成など人材育成に重点が置か れるであろう。

2.2 協力研究

・教育協力

日本学術振興会の特定国派遣及びNPO組 織からの専門家派遣としての協力研究に際し た、タイ(大作,2003)、パプアニューギニ ア(大作,2004b)、タイ、パプアニューギニ ア(大作,2004a)の報告がある。外国で日 本語を教えている教員が、現地で日本語教材 を作成するための材料をわが国からインター ネット経由で提供している(島田ほか,2004)、

留学生教育を目指してはいるが、外国に開放 されれば教育協力となりうるもの(上村ほか,

2003)などがある。

・教育事情

それぞれの国の教育事情、メディア事情に ついて多くの研究がなされている、ラオス(大 西,2000)、ペルー(赤堀ほか,2002)、韓国

(金,2004)、韓国(大杉,2004)、タイ(吉 田,2002a)、イラク(吉田,2002b)など。

・遠隔教育

遠隔授業(とりわけ高等教育の)分野では、

国際間の授業が衛星放送やインターネット回 線を経由して行われている。これにはいくつ かの利用形態が考えられる。①教員に代わっ て主たる教授メディアとして用いる、②補助 メディア又は補習学習の手段として利用する、

③行事的な扱いとして一時的に利用する。① は長期にわたるもので少なくとも1学期間、

ないしは1セメスター間続くもの、②は長期 間でかつ折に触れて利用されるもの、③はほ とんどの場合1、2回限りの実験的性格を持 つものである。ここには多くの研究があり共 同利用型遠隔教育・遠隔医療や共同研究も含 まれる。ドイツ−日本間の ISDN(384kbps) 回線を用いた遠隔医療教育(涌井ほか,2003)、

アフガニスタン−大阪間の遠隔講義の国際配 信(松河ほか,2003)、日米間遠隔一斉講義

(村上ほか, 2001)、日豪国際遠隔授業(石

川ほか,2005)、日本−マレーシア間遠隔授 業(Nosu et al, 2004)、インターネット技術 を用いた協同学習(魚崎ほか,2002)、また 衛星放送・国内el-Netを用いた研究であるが 外国との遠隔教育にも適用できるもの(中山 ら, 2002)などである。

−遠隔教育でしかできない−地球上の1地点 ではあまり意味がない、又は1地点では面白 くない実験的研究−

 例えば月の満ち欠けに際した「月の形」を 地球上の赤道を挟んだ多くの地点から観測し、

これの原理について考えるなどである。この 分野の研究として日食を多地点から観測した ケースがある(懸ほか, 2002)。遠隔教育が 最も力を発揮できる分野である。

・国際交流・異文化コミュニケーション・異 文化(多文化)理解

わが国の初等中等学校では、とりわけ「総 合的な学習の時間」の中でこのことに関連す る話題が取り上げられることが多い。異文化 理解そのものは国際協力と直接関係しないが、

将来これと深く関係する可能性を持っている。

この分野では非常に多くの研究がなされてい る、韓国(森田ほか,2004)、ウェブ教材を 用いた国際交流学習(朝川,2003)、インタ ーネットを用いた国際交流(中野ほか,2000)、

世 界 の カ レ ー ( 岡 部 ,2000)、 日 本 の 家 庭

(Bachnik et al, 2004)、外国からみた日本・

映像視聴能力(小山ほか,2002)、ブルキナ ファソ(アフリカ)の小学校との交流(中橋 ほか,2004)、電子掲示板を用いた情報発信 とこれへの反響(長谷川,2002)など。国際 理解とはしかしながらわが国の児童生徒が一 方向的に外国のことがらを理解しようとする ことなのだろうか。わが国から外国語で情報 発信するなど相互理解の工夫がなお一層必要 なのではないだろうか。

3.国際協力を充実し、持続的に発展展開す るために

教育メディア研究の分野で国際協力を充実 させ、持続的に発展展開するために必要なこ とがらほかについて述べる。

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・協力体制・環境整備

 法人化後国立大学の体制は変わりつつある。

しかし国際貢献に関し、これに寄与するに十 分とは思えない。国際協力の要請に答えるべ く、早急に整備される必要があろう。

・人材養成

 いかなる分野に関しても人類が今後とも地 球上で存在しようという欲求がある限り人材 の養成と後継者の養成が必要である。国際協 力の分野もしかりである。もちろんわが国と 外国・協力相手国ともに言えることである。

これはわが国の高等教育機関の国際協力への 関わりとして、最も重要なものの1つである

(例えば大作,2005)。

−外国とのかかわりでは外国語教育が重要で あるが、最近のわが国の高等教育機関におけ る語学教育は大丈夫なのだろうか。大綱化以 降わが国では大学での第2外国語教育が軽視 され、特にヨーロッパ系言語の比重が低下し ているように思われる。ドイツ語、フランス 語は特に顕著である。英語が世界中どこでも 通用するわけではない。もちろんわが国近隣 諸国の言語の教育の必要性は言うまでもない。

・文明と文化

文明と文化は明らかに異なっている。経済 のグローバル化に伴って、人々の考え方が変 化してきている。文明はグローバル化で大き く影響を受ける。しかし文化は大きく浸食さ れてはならない。外国との協力に際し考慮す べきことがらはこの点にある。それぞれの 国・地域には独特の文化がある。外国人はこ れを尊重し、自国の文化を基準にして考えた り協力計画を進めたりしてはならない。

4.まとめ

 調べた範囲は極めて限られたものであるが、

わが国における教育メディア研究の国際協力 に関する最近の動向をある程度知ることがで きる。

参考文献

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