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野澤勝廣 長崎大学教育学部工業技術教室

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Academic year: 2021

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(1)

氷円柱の融解

‑垂直円管内上昇空気中に置かれた場合‑

野澤勝廣

長崎大学教育学部工業技術教室 (昭和49年10月31日受理)

Fusion of Cylindrical Ice

‑: The Case of Setting in the Vertical Cylindrical Tube on the Upward Air Flow:‑

by Katsuhiro NOZAWA

Technology Laboratory, Faculty of Education, Nagasaki. University, Nagasaki

(Received October 31, 1974)

Abstract

This paper was written to experiment of fusion of cylindrical ice that was set in the vertical tube on the upward air flow.

The experimental results, relationship dimensionless radius r* and dimensionless elapsed time until r* > 0.3 was linear.

I.緒言

凍結,霜相の成長を伝熱工学的に取り扱った研究(7‑18,21)は相当にある。また多くの場合, 凍結と融解としながらも,融解に重点を置いた研究例は少ないようである。

空気中に置かれた氷円柱の融解現象を従来の凍結問題(10) (13)の応用として考えることは, 現象が逆向きである以外にも多くの因子が入るために,無理のようである。そしてこの種の研 究は数例しか見当らず,遅れているのが現状である。

この融解問題の解決の工学的な応用例として,冷凍食品の解凍,氷塊の融解,融雪・融氷機 の設計,船舶の着氷の融解,冷凍配管の着霜害の除去,および,均一な極薄水膜の生成などが あり,応用機械工学的に基本的に重要な事項が多く含まれている。

筆者は,前報に卜6・)おいて,自然対流と幅射伝熱の共存する幅射炉に,氷円柱を入れ,その 融解現象の実験によって,無次元半径r*と無次元経過時間の関係はr*>0'.2までは直線性が

(2)

116 野澤勝廣

あることを解明した。

 本報では,垂直円筒ガラス管内に氷円柱を吊るし,下から上向きに高温の熱風を送り,その 融解現象を実験観察した。写真測定の結果,氷円柱の融解における形状変化に特長ある様相を 呈することが明らかになった。また,この写真測定の結果を基に,氷円柱の融解速度,氷表面 の伝熱特性など若干の検討を行なったので報告する。

       2.実験装置

 実験装置本体の主要部はFig・1に示した。空気は,二段うず巻送風機から,1% のガス管 に接続されたオリフイス流量計を通り,ニクロム線加熱炉によって温度調整を行ない,これを

1% ガス管にて本体下部に送られる。電気炉のコントロールはSCR制御である。

 氷円柱は,Fig.1のガラス管の上方から荷重変換器に吊り下げた。荷重変換器はストレンゲ ージ式であるので,氷円柱の上下の移動はほとんど無かった。

 各部分の温度変化,荷重変化は,同時に12打点式記録計(250η侃巾)に記録した。写真撮影 の時間は別紙に記録した。滴下水量は全融解水量を装置下方のビーカに受け取り,上皿天秤で 秤量した。これによって,氷円柱融解量と初期の氷円柱の重量の差を確かめた。

1 2      1、Ice        2.G⊥ass

ユ. c∂π,er

 3

    0

←A】r

    LXPER旧E 7   一

FIG,1,

G⊥ass Tube

APP《RATUS

3.測定方法

 熱風温度  熱風の温度は,60,110,160,200℃の4種とし,輻射伝熱の影響のあまり大 きく受けない範囲とした。周囲温度の測定には,装置本体のガラス管に沿うて,100㎜間隔に 取り付けた,クロメル・アルメル熱電対外径0.3φ朋で軸方向の3点の平均値を用いた。

 風速 熱風の風速は,ガラス管内の重量速度を取り,各温度について,0.32,0.56,

0.72晦/minと各々一定とした。これは空管内風速で1肌/sec前後である。

 氷円柱の重量変化  氷円柱中心に,玉むすび綿糸を通し,氷が滑り落ることを防ぎ,上か ら吊り下げ,その重量変化をストレンゲージ式荷重変換器を通し,増巾器にかけて,温度記録 計に同時記録した。氷円柱の直径は40,50mmの二種である。

(3)

 写真撮影  各実験において,氷円柱が時間の経過とともに,種々の形状に変化する。この 融解の形状変化を写真撮影によって記録した。記録の時間間隔は,形状変化の早い場合,また は形状変化が著しい場合は3分間隔,標準を5分とし,低温度,低速では,10分とし,フイル ム番号,時間を記録した。

 なお,写真撮影には,円管の曲率の効果,および管内の状態による外乱を考えに入れて,各 々の実験の状態で,ガラス管内にスケール板を入れて撮影し,それらの誤差が,測定に影響の 無い程度であることを確かめた。同時に,必要に応じて,そのフイルムのスケールを使用して,

スライドの氷円柱の寸法分析を行なった。

 氷円柱水膜温度  氷円柱の水膜は非常に薄く,炉内で相変化があるため, その表面温度の 測定は困難である。今回は,氷と水膜の間の温度を,0℃(氷点)とし,測定は行なわなかっ

た◎

       4.結果と考察  4.1 氷円柱の 融解状態の観察

氷円柱の融解形状の変化と,経過時間の関係を写真測定して示した1例がFig・2である。こ

← レ1

oo

!§

ooN

on

_oo

8

110。C 160。C 2000C o

F:G,2,

(4)

118 野澤勝廣

       のれらから明らかなごとく,特に顕著なことは,経過時間と共に,氷円柱下端部に「くびれ」現 象が観察されたことである。そして,ある経過時間後先端の 「くびれ」が取れ, その後方に

     

「ツノ」形の氷円柱が現われ,その形状がほぼ相以のまま終了まで融解が進行する。こ4)こと は,氷円柱の下端部において気流の流れが,氷円柱の太さの影響を受けて,管内の流路に急激 な断面変化を生じ,それが上昇気流の流速,流線方向局部の圧力分布に変化をおよぼすと考え られる。これらが同時に氷円柱軸方向の表面伝熱係数に影響を与えると考えられる。

 Fig.2から,氷円柱下端部の初期の融解状態で絞り効果による気流の影響が最も大きい所は,

下端部から140彿似下の位置に観察された。融解が進行し,最も「くびれ」の大きい所が現われ るのは,下端部から7伽π以下であり,ほとんどのデータは,50㎜の位置に集中した。

0

0510152025

03127mm

△2407

□168

▽144

077

臼577

8

Φ

30

35   40   45   50   55   60

       Timemin

Fig・ 3

1ト\1 臨一父lll㎜

      噌蓄\一

  5       δ\・\

O 5 10 15 20 25 30   35    40    45

     Timemin

Fig・4

(5)

氷円柱の融解

       50φmm

5 0

 ○

0300mm

△250

□175

▽140

①80 囚60

1瓦凍\

\臼\襲  ▽

L豊

0 5 10 15 20 25 30 35  40

Timemin

Fig・5

4.2 永円柱軸方向の局所半径変化と経過時間の関係

 Fig・2をもとにして,氷円柱の軸方向局所における半径7と,経過時間ずの関係を実験によ って求めて示したのがFigs・5〜5である。この図から,無次元半径7*(=7/7。,7。は初期半径)

と,無次元経過時間が(認α・4θ・1/Lγ7。)の関係の直線性について観察すると,低温度,低流 速域では,7*>0.2までは直線性が良く,高い温度,高流速になると,7>0.3まで直線性があ ることが概略明らかになった。 また,軸方向での表面伝熱係数が異るにもかかわらず, Figs・

5〜4において7/7。の直線性の範囲が,熱風温度の影響を大きく受け,軸方向における伝熱 係数の影響がより小さいことが観察された。

 次に,氷円柱の局所融解速度と半径と,経過時間の関係を理論的に考察する。氷円柱の軸方 向工の局所伝熱係数偽,氷の融解潜熱L,氷の比重量γとすると,

      47  αノθ

      万証一Lγ…●…●…9……(1)

         47 L・γ.....

      偽=一認●4θ … …0 (2)

α∬=const.とすれば,!雷0のとき7=7。,∫=!のとき7=プとして,Eq・(1)を積分すると

         α/θ

      7=7。一       ・オ・… 一・・… 一9… 。一・(3)

      Lγ

従って,Eq・(2)から,47/漉が求まると,偽が求まる。47/4!はFigs・5〜5の直線部分の 勾配から求められるので,偽の値は実験値として求まる。

(6)

1 20  ? E  

40  30 

 20 

10  5 

25 

LO t . 

DLO 

.¥  

Z̲ 

C¥ILO. 

,‑. 

10 2 3 5 104 2 3 5 

Rede Pr delx 

Fig. 6 

2  3 

4x/d 5 

Fig. 7 

(7)

氷円柱の融解

4.5 表面伝熱係数

 氷円柱が入れられた二重円管内の強制対流伝熱についての研究例は無く,相変化の無い場合 の二重円管内の伝熱として取り扱った例として,甲藤(19)がまとめた式がある。本報では,!ぬ と,(Rの、・P7・4θ/x)の関係を,上で求めたα。を基にして,4−50φ㎜,熱風温度,110,

160,200℃について整理して示したものがFig。6である。実験値は概略Eq・(4)で示される。

       

      亙%一〇.48(1〜64θ・P7・40/劣)百一・一・一……(4)

次に,!%。。をエ=30伽ηの値として,Nπ./翫。。とκ/46の関係について整理して示したの がFig。7である。

 また図中の実線は,甲藤(20)の整理による吸込円管の局所熱伝達の,ノ〜θ4,÷3500について示 したものである。これは,本実験と同じ傾向があるようである。さらに,Fig・7から,亙晦/

地。。=1.0の値となるのは,x/吻>1.75の範囲であることが概略求まった。

5.結  言

 垂直二重管内に氷円柱を吊るして,上向きに熱風を送り, その融解現象を実験観察した結 果,次のことが明らかにされた。

       

 1.初めに,氷円柱下端部に「くびれ」現象が現われ,半径が半分以下になると, 「ツノ」

   形に変形し,その後,ほぼ相以のまま融解することが観察された。

 2.熱風温度が低く,流速が小さい時は,7*>O.2の範囲で,7*と!*の関係に直線性があ    った。熱風温度と,風速が高くなると,その範囲は7*>0.3まで変化した。

 3.局所表面伝熱係数の!▽筋と1%。。の関係は7/48>1.75の範囲で等しくなることが観察    された。

Nonmenclature

L

P7

1〜θ48

κ α∫

γ

△θ

equivalent(1iameter latent heat

Nusseltンs Number Prandlt s Number Reyno1(i s Number ra(lius of icc

elapsed time axis(1istance

local heat transfer coefficient spcific weight

temperature

mKcal/Kg

mhr

mKca1/m2hr℃

Kg/m3

Subscripts

0

○○

10cal initial

dimensionless infinete(1istance

(8)

1)

2)

3)

4)

5)

6)

7)

8)

9)

10)

11)

12)

13)

14)

15)

16)

17)

18)

19)

20)

21)

122 野 澤 勝 廣

 参 考 文 献

K.Nozawa:Kagaku Kogaku,38,397〜399(1974)

野澤=第10回日本伝熱シンポジューム(仙台)(1973)

野澤:第11回日本伝熱シ}!ポジューム(名古屋)(1974)

野澤,水野:日本機械学会第10回北海道大会(1969)

野澤=日本機械学会(大分)講演論文集(1971)

K.:Nozawa:Heat Transfer Japanese Research投稿中(1975)

野澤:冷凍48P915〜P922(1973)

水野,野澤,榎:室蘭工大研報 5−2(1966)

谷口,野澤,水野,榎:鶴岡高専研報5(1971)

A.L.London,R.A.Seban:Trans.ASME65(1943)

甲藤,西村:日本機械学会論文集26(1960)

田中,畑:冷凍46(1971)

W.D.Murray,F.Landis:Trans。ASME(1959)

S.Lin:VDI−Z28(1964)

Roberts,A.L.:Fluid Mech.4(1958)

T.Komori l E.Hirai:」.Chem.Eng.Japan51,39(1970)

T.Komori;E.Hirai:J.Chem.Eng.Japan4(1971)

ibid二       5(1972)

甲藤1伝熱概論,養賢堂P.79 ibid P.142

山川,大谷:化学工学,56(1972)

 (日本機械学会佐世保地方講演会にて発表S49.5)

参照

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