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『ありがとう』

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Academic year: 2021

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(1)

キャンプを体験した子どもの感謝の気持ちに関する研究

~人とのつながりと自然とのつながりに着目して~

水津 真委(生涯スポーツ学科 野外スポーツコース)

指導教員 林 綾子

キーワード:キャンプ体験 人とのつながり 自然とのつながり 感謝の気持ち 1.緒言

今日の子どもたちの生活体験、社会体験、自然 体験は大変貧弱なものとなっており、ゆとりのな い生活の中では体験から学ぶ機会は、ますます減 少しているのが現状であると生涯学習審議会

1)

は 報告している。このことは、豊かな心の育成に影 響を与えており、現代の子どもは、相手を思いや り、感謝・謝罪する気持ちがなくなってきている と言われている。これは、 “人とのつながり” や “ 自 然とのつながり”といった関係が希薄化している ことが原因と考えられている。子どもたちの望ま しい人格形成を図るためには、感謝する・感謝さ れる喜びを体験することが重要であると高橋

2)

は いう。キャンプ体験は、人や自然と密接に関わる ものであり、そのようなつながりを体験できるこ とから、感謝の気持ちを育むことのできる場では ないかと期待できる。そこで本研究では、子ども たちがキャンプを体験することで、どのような感 謝の気持ちを感じた体験をし、それらの体験は子 どもたちにとってどのような意味があるのかを明 らかにすること、また、人とのつながりや自然と のつながりが子どもの感謝の気持ちとどのように 関係しているかを明らかにすることを目的とする。

2.研究方法

本研究においては、心理的エスノグラフィー

3)

の技法により、多角的にデータを収集し分析した。

被験者は、平成 22 年 8 月 7 日から 8 月 9 日の 2 泊 3 日に本大学の研究室主催で行われた、 「2010 サマーキャンプ 集まれ!!友達いっぱい~一人 ひとりが主人公~キャンプ」に参加した、大阪在 住のOスポーツアカデミーの小・中学生(小学生:

男 1、女:5、中学生:女 1、計 7)である。このキ ャンプではより人と自然とのつながりを重視する ため、スタッフを含めた全 15 人での 1 つのコミュ ニティー形成を目指し、多くの自然体験活動を取 り入れて実施した。調査は参加者・保護者へのア ンケート、スタッフによる観察、記述、聞き取り 調査を行い、質的研究方法の一つであるグラウン デッド・セオリー・アプローチを参考に分析を行 った。

3.結果と考察

本研究のキャンプにおける、人や自然とのつな

がり体験と子どもの感謝の気持ちに関する結果を 概念図としてまとめた(図 1) 。キャンプでの人や自 然とのつながり体験を通して、子どもたちは多く の気付きや学びがあり、成長が見られた。これら の直接体験から、子どもたちのキャンプでの学び として、自己の学びや他者の存在、自然の存在、

感謝の気持ちといった、人や自然とのつながりを 理解することができた。このことは自分のために してもらったということや、自分が受けている恩 恵やプロセスを理解したことから、子どもの素直 な「ありがとう」を生んだということがわかった。

また、観察調査によって、子どもが感謝の気持 ちを持ったり、伝えたりした時の状況を、類似す る事例ごとに分類し、子どもたちの感謝の気持ち を5段階の「感謝度合」とし、示した。この「感 謝度合」が高くなるにつれて、感謝の気持ちを素 直に感じ、伝えることができるといった体験の理 解がうかがえた。さらに、子どもたちが素直な感 謝の気持ちを伝えることで、より人とのつながり も強くなり、特に保護者にも、子どもたちの成長 を理解してもらえたことから、子どもの感謝の気 持ちを伝えることの大切さが明らかになった。

4.まとめ

キャンプにおいては、多くの子どもが普段の生 活で教えられている人に感謝する必要性について、

その意味を理解できる体験を与えられることがわ かった。また、そのような体験は日常生活での家 族や、日頃あまり意識しない自然に対する感謝の 気持ちへとつながっていることもうかがえ、人や 自然との強いつながり体験が子どもの豊かな心を 育む上で、重要であることが示唆された。今後、

さらにキャンプを通した子どもたちの豊かな心の 育成に取り組むには、感謝の気持ち以外にも感動 体験や謝罪する気持ちを持った体験など幅広く検 討する必要があると考える。

5.引用文献

1) 生涯学習審議会(1999)「生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ答申.

2)高橋宏明(2004).児童心理「ありがとう」「ごめんなさい」が言える子.金子書房 3)柴山真琴(2006).子どもエスノグラフィー入門-技法の基礎から活用まで-.新曜社

図1 人と自然とのつながり体験と感謝の気持ちの関係についての概念図

自然がないと体験できな かった 気付けなかった

自然に対して

感謝する

滝・川・森林、自然の存在 家族・友人・スタッフの存在

<<人とのつながり体験>> <<自然とのつながり体験>>

ごはんを作ってくれる 仕事を頑張ってくれる

家族・友人 スタッフに対して

感謝する

キャンプでの学び

~人や自然とのつながりの理解~

体感 湧いてくる感じる 言葉にする伝える 感じる

湧いてくる 伝える

言葉にする

感謝の気持ち

他者の存在 自然の存在

自己の学び

素直な

『ありがとう』

伝えることの 大切さ!

感 謝 度 合

直接 体験 体験

【自分でやり遂 げた体験】

【人の優しさに 触れた体験】

【コミュニティー 体験】

気付き

【自分達で体 験した事により

気付く・学ぶ】

【協力する事の 楽しさ・大切さ】

【触れ合う事の 楽しさ】

【他者を理解】

成長

【キャンプ後の 日常生活での

行動】

【感謝の気持ち の認識】

【キャンプ後の 語り】

成長

【意欲】

【認識】

気付き

【感じる】

【発見】

体験

【自然の中 での体験】

(遊び体験)

(生活体験)

(高)

(低)

参照

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