2項道路と公法上の法律関係確認の訴に関する訴訟 法上の覚書―即時確定の利益・判決の効力の検討―
著者 田村 泰俊
雑誌名 明治学院大学法学研究 = Meiji Gakuin law journal
巻 93
ページ 151‑168
発行年 2012‑08‑31
その他のタイトル In Rem Action and Administrative Law
URL http://hdl.handle.net/10723/1719
2項道路と公法上の法律関係確認の 訴に関する訴訟法上の覚書
――即時確定の利益・判決の効力の検討――
田 村 泰 俊
目 次
一 問題の所在 二 2項道路と確認訴訟 三 即時確定の利益 (1)民事訴訟法の理解 (2)行政訴訟における理解 (3)2項道路と即時確定の利益 四 絶対的効力の問題
五 むすびに代えて
一 問題の所在
個別法の領域から,行政法理論を検討する必要性を,筆者は,従来から感じ ている(1)。その試みとして,わずかばかりではあるが,例えば,職権取消と撤 回について,建築行政から着想を得つつ,その理論の再構成への着眼点を示し たり(2)もしている。
さて,この個別法領域の検討として,筆者は,建築基準法,その中でも特に 2項道路を中心に,いくつかの論稿を発表してきた。
まず,行政訴訟における処分性について,最高裁判所平成 14 年判決(3)を批 判的に検討する試みを行った(4)(5)。これに加えて,建築行政での建築審査会実 務の重要性(6)を考慮し,2項道路の問題から,行政不服審査法でのいはば「確
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認裁決」とでも言うべき裁決類型の導入必要性の提言を行った(7)。
次いで,行政実体法と審理方法との関係で,時間的経過から現在では立証が 困難な2項道路の法律要件・告示要件について,法理論として「法律の変遷」
あるいは「政策の変遷」等の理論モデルを提言した(8)。
最後に,これらの研究の一貫した視点として,立法論に加え,行政事件訴訟 法の当事者訴訟(公法上の法律関係確認の訴)の利用という提言や理解があった(10)。 ところで,この当事者訴訟すなわち,行政事件としての確認訴訟の利用にあ たって,結論的にではあるが,以下の見解も示して来た。その第1が,2項道 路を確認訴訟で争う場合,「即時確定の利益は存在する」(11)という見解である。
そして,第2が,確認訴訟での判決の効力として,民事訴訟法では相対的効力 と考えるのに対し,筆者は,2項道路の問題を基礎に,行政訴訟としての確認 訴訟で,「絶対的効力」「対世効」を認めるべきとの見解である(12)。
ただ,これらの見解は,結論のみを示していることは否定しえない。そこで,
本稿において,この2つの筆者の見解について,ある程度に止るものではある が,わずかばかり,敷衍して述べてみることとする。
二 2項道路と確認訴訟
まず,本稿でその対象とされる訴訟法上の問題を検討する前提として,「包 括(一括)指定たる2項道路」と当事者訴訟としての公法上の法律関係確認の 訴との関係を,必要な限りで,確認しておくこととしよう。
さて,最高裁判所は,平成 14 年,この包括(一括)指定そのものについて,
行政事件訴訟上の処分性を肯定した(13)。そこで,この包括(一括)指定たる2 項道路については,処分そのものの違法性を争う抗告訴訟によるべきこととな る。
一方,包括(一括)指定は,基本的には昭和 25 年当時を基準として抽象的
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にその要件のみを示したものにすぎず,具体的な道が実際に2項道路にあたる のかどうかは,建築確認等のその後の行政庁の何らかの有権的な行為により,
はじめて明らかとなる。そこで,具体的な道が2項道路にあたるのかどうかと いう紛争は,「昭和 25 年当時」に生じるのではなく,その後の行政庁が行う建 築確認や道路台帳の整備等の行為をまってはじめて発生する「現在」の問題と いうこととなる。
すなわち,一番イメージし易い例としては,行政事件訴訟法 14 条(出訴期間)
との関係で,処分の取消訴訟は利用できないこととなる。さらに疑問点として は,包括(一括)指定たる告示,例えば告示内容として,中心線の明確性や 1.8 メートル以上の幅員の存在がその処分内容であろうから,包括(一括)指定そ のものに処分性を認めた場合,その告示内容を争うわけではなかろうから,無 効等確認の訴で争うにしろ,その告示内容要件や法律要件(例えば,立並び要件)
を具体的な道へのあてはめ,適用を争うことが当事者の意思であり目的である から,これを理論的にどのように説明するのかも理解できない状態となりうる。
ともかくも,一般的な内容のみを示した告示等による包括(一括)指定その ものを行政事件訴訟法上の処分と最高裁は判断したので,結果として,その後 の「現在」において日々行われている建築確認に伴う具体的な道が2項道路か どうかの判定や,道路台帳への記載(15)は,訴訟法上の処分ではないこととなる。
ところで,改正行政事件訴訟法の基本的な発想は,確認訴訟に関しては,次 のようなものとなろう。この点を適切に説明している黒川哲志教授は,次のよ うに述べておられる。すなわち,黒川教授は「『実質的当事者訴訟』の一類型 として『公法上の法律関係に関する確認の訴え』が例示された。これにより,
行政立法,通達あるいは行政指導などで処分性が認められないために取消訴訟 の対象にならない行政の行為を契機として生じた紛争であっても,確認の利益 がある場合には,その行政の行為の違法性等の確認や,それらの行為に起因す る権利義務などの法律関係の確認を求める訴え等を提起することを通じて,実
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効的な権利救済を求め得ることが明確にされた。ただし,自らの権利の救済の ための確認訴訟であるから,自己の権利救済に関係なく一般的に行政立法等の 違法確認等をすることを認めたものではない」(16)と述べておられる。
この黒川教授の説明から,我々は,次の2つの点を確認することができる。
その第1が,行政処分以外の行政の行為型式について,行政事件訴訟法という フィールドで争わせることを目的としているということである。そして,第2 が,そのツールとしての確認訴訟は,個人の権利救済を基礎としているという 点である。
この2つの視点や理解から,2項道路を見た場合,次のように捉えることが できる。
まず,平成 14 年最高裁判決は,包括(一括)指定それ自体を処分としてい るので,建築確認に伴う判定や道路台帳等への記載は処分ではないこととなる から,これらを争う場合,当事者訴訟によるべきこととなる。
次に,建築確認時の2項道路か否かの判定は,当該敷地が建物の建築が可能 かどうかが定まることを意味するし,道路台帳等への記載にあたり,中心線の 位置などが指定された場合,後退義務を負う範囲が定まることとなるから,個 人の権利義務に重大な影響を与えることも,これまた明らかである。
そこで,すでに本稿でも示したように,従来から,筆者は,2項道路を当事 者訴訟で争うことは可能であると解している(18)。
三 即時確定の利益
(1)民事訴訟法の理解
民事訴訟においては,その基本的な目的が個人の権利・義務にかかわる紛争 を解決することにあるから,そこでの確認訴訟でも,当然,何らかの利益が存
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在することが求められる。いわゆる訴訟における確認の利益である。つまり,
個人の権利・義務に関する紛争解決という目的に対し,確認訴訟においては,
確認の利益の捉え方いかんによっては,訴訟提起が可能な範囲に限界を見い出 し得ないことともなることから,これに限定を加える必要性という基本的な発 想がその基礎にあると考えてよい(19)。
ところで,この確認の利益の1つの側面として,即時確定の利益が論じられ ていることは,周知のことであろう。この民事訴訟における即時確定の利益に ついて,本稿との関係で特に参考になる論稿の1つが,坂田 宏教授の論文で あろう(21)。そこでは,この問題に関する民事訴訟法学の理解から,確認訴訟に おける確認の利益の要件として,第1に,確認対象の適否,第2に,即時確定 の利益(現実的必要性),第3に,確認の訴えによることの適否(22)が指摘されて いる。
そして,即時確定の利益について,次のように説明されている。すなわち,
「確認の利益の有無は個別の訴訟において具体的に判断されなければならない が,一般的に言うならば,原告の権利・法的地位に危険や不安が存在している こと,かつ,当該危険や不安が被告の態度に由来して,それらを除去するため に被告との間で確認判決を得ることが現実に必要かつ適切であることを言う
……(略)……即時確定の利益は法律上の利益であって,単に事実上の利益や 経済上の利益では足りない」(23)と説明されている。
さらに関連した点として,行政事件訴訟法での当事者訴訟は,公法上の法律 関係の確認であるから,そこでの法律関係を意識しなければならないが,その 場合,参考となる民事訴訟学の見解は,松尾卓憲教授の論稿(24)に見ることがで きるように思われる。松尾教授は,確認対象の適否について,それは「現在の 法律関係に限定せんとするもの」(25)としつつ「過去の法律関係にも確認の利益 を肯定すべきであるとの……(略)……立場は,昭和 40 年代後半以降の相次 ぐ最高裁判例……(略)……を通じて確立するに至って……(略)……確認対
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象は現在の法律関係でなければならないとの命題は……(略)……即時確定の 利益の前に後退を余儀なくされ」(26)と述べておられる。そこで,ある意味では,
即時確定の利益に問題は集中することとなると考えてよさそうに思われる。
(2)行政訴訟における理解
以上のような民事訴訟法における理解を前提に行政訴訟における確認の利益 の説明を見てみることとしたい。
結論から言えば,行政訴訟における理解は,ほぼ民事訴訟法学におけるそれ と同様と考えてよいようである(27)。
野口貴公美教授の論稿を例にとれば,中川丈久教授の論文を基礎に確認対象 の適否が「確認の対象(訴訟物)の選び方」,確認の訴えによることの適否が「確 認訴訟の補充性」,即時確定の利益が「紛争の成熟性」とされている(28)。 そしてこのように民事訴訟法学とほぼ同様の理解(29)は,最近の代表的な論 文でも引きつがれている。例えば,村上裕章教授の論文は,民事訴訟法学で示 されている3つの要件に従って項目を立てられ,その用件ごとに行政法関係の 判例を詳細に分析している(30)。
また,大貫裕之教授も,民事訴訟法学の基準・要件を「①解決手段として確 認訴訟を選択することの適否(他の手段との分担)②確認対象(訴訟物)として どんなものを選択するのかの適否③解決すべき紛争の成熟性の観点(即時確定 の現実的必要)」(31)を前提とされている。その上で,大貫教授は,「①も②も一応 の判断基準に止まり,③の基準が決定的な意味をもっているとされるようであ る」とされて,確認の利益の問題は,ほぼ即時確定の利益に集約されるとの見 解を示されている。
さて,それでは,判例も認めていると考えられる(33)当事者訴訟(公法上の法 律関係確認の訴)での確認の利益は全く民事的法学のそれと同一と考えて良い のであろうか。この点,代表的な見解として,「公法の世界においては,裁判
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所の介入を控える理由として指摘される当事者自治の原則への配慮が妥当せ ず,『確認の利益』をより広く認めるべき」(34)との見解が示されている。筆者も,
行政の公共性の視点から,この見解は正しいものであると考えている。
また,民事訴訟の最近の学説から,行政訴訟のエリアで,「将来の法的地位 については確認の利益は否定されるのが原則……(略)……しかし,現在にお いては……略)……確認訴訟の予防的機能を重視する方向が一般的であり」(35) との指摘も本稿との関連では注目される。この点は,同様に,そのような意味 では,この紛争予防の目的から,2004 年改正行政事件訴訟法上の公法上の法 律関係確認の訴えの明示・例示後(36)は「不適法とした行政法改正前の判決と同 様なタイプの確認の訴えであっても,行訴法改正後であれば適法とされるもの も少なくないであろう」(37)との見解があり,やはり,本稿との関連で注目される。
(3)2項道路と即時確定の利益
以上の民事訴訟法学,そしてそれをほぼ踏襲している行政法学での確認の利 益を前提に建築基準法上の一括(包括)指定にかかる2項道路につき検討を加 えてみることとしたい。
さて,すでに見たように,この確認訴訟における確認の利益は,ほぼ即時確 定の利益に集約されるようであり,その場合,これを広く捉える傾向が学説に あることを我々は知ることができる。
ただ,念のため,確認の利益のうち,即時確定の利益以外の要件についても,
2項道路との関係では,一応,ここで確認的に検討し,次いで即時確定の利益 についてみてみることとしたい。
まず,確認の利益の要件の第1として,確認の対象については,次のように 考えられる。すでに別稿で何度もふれてきたように,包括(一括)指定たる2 項道路は,昭和 25 年当時の現状(例えば,法律要件たる立並び要件や告示要件たる 中心線の明確性)に基づいている。一方で,2項道路たる認定を行政庁から受
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けなければ建築が不可能となる敷地や,2項道路と認定された場合,セット・
バックを義務付けられる敷地もある。建築確認それ自体を付近住民が争う場合,
それにともなう2項道路たる認定は,建築確認申請がなければ争い得ない状況 が続くことを1例として想定してみれば良いであろう。すでにみたように,民 事訴訟法学や行政法学は,「現在の法律関係」を広くとらえ,「過去の法律関係」
も確認訴訟の対象とするので(37),当然,2項道路の過去に行われた包括(一括)
指定を,公法上の法律関係確認の訴えで争いうるものと考えられる(38)。 第2の,確認訴訟によらなければならないのかどうか,つまり確認訴訟の適 否についてはどうであろうか。
別稿も含め,すでに何度も指摘してきたように,最高裁判所は,平成 14 年 1月 17 日包括(一括)指定に,訴訟法上の処分性を許容した。
そこで,取消訴訟は出訴期間との関係で当然に利用できないし,無効等確認 の訴えに理論上は含まれると解される有効確認訴訟も,実は「ほとんどない現 状」(39)となっている。
ところで,本稿注(38)で引用した金子正史教授の論文では,確認訴訟の要 件のうち,「(1)確認対象の適否,(2)即時確定の利益についての検討が必要 と思われるので,以下では,それらを検討しよう」(40)と述べられ,確認訴訟の 適否の要件については,それ程,詳細には論じられてはいないように思われる。
しかし,金子教授はその論稿で,「2項道路指定処分不存在確認訴訟」との項 目を立て(41)その中で,処分性の不存在をその理由に(41)この種の訴えを「不適 法として却下されざるをえない」(43)とされているから,少なくとも,確認訴訟 の適否との要件についても否定的に理解しているとは思われない。
ところで,この金子論文執筆時(44)と異なり,平成 14 年判決で処分性は肯定 されてはいるが,抗告訴訟と当事者訴訟との関係(45)でみてみると,第3者によ る建築確認申請が出されれば別であるが,そうでなければ争い得ない状況にあ り,しかも,平成 14 年判決は包括(一括)指定を訴訟法上の処分としている
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ので,それ以後の,例えば,道路台帳の整備等何らかの有権的行為は非処分と なろうから,これら後の行政庁の何らかの有権的行為を争う場合,問題なく確 認訴訟の適否の要件は充足されるものと考えられる。
最後に,即時確定の利益についてはどうであろうか。
いわゆる一般処分について,公法上の法律関係確認の訴えとの関係で,成熟 性を指摘する文献はある(46)。
しかし,2項道路の問題は,告示等による包括(一括)指定という最高裁平 成 14 年判決が訴訟法上の処分性を許容した一般処分の内容(すなわち告示内容)
の違法性そのものが争われるわけではなく(47)その後の建築確認や道路台帳へ の記載等が争われるわけである。
ところで,金子正史教授は,東京高等裁判所平成 12 年 10 月 19 日の判決(48) を基礎にこの問題に詳細な分析を加えられ,結論として,次のように述べられ ている。すなわち,「特定行政庁が,2項道路であること,あるいは2項道路 でないことを前提として,原告に対して除却命令等の違反是正措置命令(建基 法9条)を発し,行政代執行が行われる蓋然性がきわめて高いというような状 況であれば,即時確定の利益が認められても良いと解されよう」(49)と述べてお られる。この見解は,確認訴訟の利用の可能性をかなり限定すると考えてよい ように思われる。
さて,金子論文がその基礎とする平成 12 年東京高裁判決は,公法上の法律 関係確認の訴えを明示・例示した行政事件訴訟法改正前の判断である。ところ で改正行政事件訴訟は,そのフィロソフィーとして権利救済の拡大やその実効 性の向上にあり,公法上の建築関係確認の訴もそのフィロソフィー実現の1つ の手段であった(50)。そうであれば,すでに本稿で指摘した松尾論文のように(51) 確認の利益を可能な限り広く捉えて差しつかえないのではないかと思われる。
例えば,包括(一括)指定たる2項道路については,同一の道についてその ときどきの建築主事や特定行政庁が2項道路として扱ったり扱わなかったりし
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た例などが多いことはよく知られた事実となっている(52)。その種の問題を解決 する1つの試みが道路台帳等の発想の基礎ともなっている(53)。筆者は,このよ うな不安定な利益を解消する利益であっても,即時確定の利益として認められ るべきであると考えている。従って,後の行政庁の何らかの有権的行為を対象 に当事者訴訟の提起は可能と考えている。
都市計画に関してではあるが,久保茂樹教授は,「確認訴訟が活用できるよ うになれば,後続処分があるまで待つ必要がないので,救済機能の大幅な改善 が期待できる」(54)と述べておられる。2項道路での,後の建築確認処分とそれ 以外の行政庁による何らかの有権的行為との間にも,同様の理解が成り立ちえ るであろう。
四 絶対的効力の問題
民事訴訟法学においては,当事者どうしの間の具体的なしかも個別案件たる 紛争解決がその主要な目的となろうから,そこでの確認訴訟の判決の効力につ いても相対的効力説がとられ,それにはほぼ異論はないようである(55)。そこに は,人的要素(当事者)と個別具体的な当事者どうしの争いという2つの側面 を見てとることができよう。
そこで,行政法学においても,この民事訴訟の理解を前提に,すなわち紛争 の個別性という点から,久保茂樹教授は,確認訴訟に関し,「都市計画訴訟に 求められる公益に対する配慮が及ぼしにくい……(略)……判決が出ても,そ の効力は当事者についてしか及ばないので(相対効)……(略)……拘束力(行 訴 41 条1項,33 条1項)の働きに期待するほかない」(56)と述べておられる。この 点は,2項道路を確認訴訟で争った場合も同様の理解となろう。
しかし,根本的な点に立ちかえってみれば,判決の効力を,行政事件訴訟法 での確認の訴えと民事訴訟としての確認訴訟を全く同様に考える必要があるの だろうか。
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筆者は,公法上の法律関係確認の訴えでは,絶対的効力あるいは対世効といっ た発想を持ってみても良いのではないかと考える。もちろん,このような発想 は,現在,受け入れられそうもないが,発想の方向性だけでもここで,アット・
ランダムではあろうが,示してみることとしたい。
まず第1に,民事訴訟法での相対的効力説は,それが個人的なしかも個別具 体的紛争によるところから,当然の帰結として導き出されていると言ってよか ろう。
しかし,久保教授が指摘する「公益に対する配慮」(57),筆者が従来からテキ スト等で利用してきた表現では「公共性」(58)が行政の法律関係の本質と考えら れる。
ところで,この公共性という視点は,民間をも含んだ1つのカテゴリーとし て,英米法的な「公序」といった発想も持ちうる(59)。
第2に,そうであるとすれば,そもそも民事訴訟にこの公序に近接したエリ ア等で,そもそも絶対的効力や対世効といった発想が全く無いのかどうかとい うことを考えてみても良いのではなかろうか。
この点,最近の畑 宏樹教授の論稿を参考としてみることとしたい(60)。畑教 授は,「判決の対世効は,主として身分関係訴訟や団体関係訴訟といった事件 類型において多く認められ……(略)……政策的配慮による」(61)と述べておら れる。そして,畑教授の論稿では,団体訴訟の例としては,会社関係の訴訟類 型が多く指摘されている(62)ことが注目される。そして,この個別の法律による 判決の効力の拡大が政策的理由によることは,一般的な民事訴訟法学上の理解 と言ってよいようである(63)。
ところで,会社(企業)は,社会的インフラとして公序の要請を受けている(64)。 このような意味では,社会的インフラという点では,建築基準法上の2項道 路も同様であろう。
第3に,民事訴訟法では,基本的に個人と個人の間の訴訟という点から相対
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的効力説が基本となる。ところで,従来から,筆者は,アメリカでの「対物訴訟(in rem)」につき,
いくつか論稿を発表してきている(65)。そこには,「物自体イコール違法」とい う法理論があった。
また,わが国の行政法学上,いわゆる対物処分に分析を加えられてきたのは 阿部泰隆名誉教授であろう(66)。そして,阿部名誉教授も最近の論稿で2項道路 は対物処分であるとされている(67)。 このように,法律学では,「物」それ自体 に着目した発想はありうるわけである。
最後に,以上のような点を踏まえれば,「対物」それ自体には「人」と異なり,
個別性はないとも言えまた道は公共性を有するので,現行訴訟法上の解釈論と して無理であるというのであれば,まさに政策上,個別法(建築基準法)で,
絶対的効力等を考えてみる可能性を立法論として示しておくこととしたい(68)。
五 むすびに代えて
本稿では,即時確定の利益と判決の絶対的効力説とでも呼ぶべき問題を,公 法上の法律関係確認の訴を2項道路につき訴訟ルートとして利用する場面を想 定して検討の対象とした。
そもそも建築基準法上の2項道路,特に包括(一括)指定にかかるそれの問 題は,包括(一括)指定によっては具体的な道が2項道路にあたるのかどうか は明らかではないので,それを行政庁の何らかの行為や争訟で明確に確定する 必要があるという点にある。すなわち,2項道路たる認定による個人の財産権 への影響という主観訴訟たる側面の他に,公共性を有する拡幅されるべき道路 としての確定という客観訴訟としての側面を有することを忘れてはいけないの ではないであろうか。この点で,確認の利益との関連で塩野 宏名誉教授の,
確認訴訟の予防訴訟的機能に関し,「確認訴訟が……(略)……取消訴訟,差 止訴訟の機能と類似するところがあり」(69)と述べられていることが参考となろ
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う。客観訴訟的側面を重視した場合,即時確定の利益はゆるやかに解される行政 庁の何らかの2項道路の存否の意思が示されれば,認められてよいであろうし,
「対物」処分としての性格から判決の絶対的効力を解釈論や立法論で認めるこ とも理論上は可能となるのではないだろうか。
注
(1) 田村「建築基準法上の二項道路と公法上の法律関係確認の訴での違法性――違 法性継承論を手がかりに」『慶應義塾 150 年記念法学部論文集 慶應の法律学 公法Ⅲ』185‑186 頁(慶應義塾大学法学部,2008 年)。
(2) 田村「取消し・撤回理論の再構成の視点」『阿部泰隆先生古希記念論文集 行 政法学の未来に向けて』45 ページ以下(有斐閣,2012 年)。
(3) 最判平成 14 年1月 17 日(1小)判民集 56 巻1号1頁,判時 1777 号 40 頁,判 タ 1085 号 173 頁。
(4) 田村「行政事件訴訟法における訴訟ルート選択の混乱と処分性の問題――建築 基準法上の『包括指定』たる2項道路を契機として――」明治学院大学法学研究 第 76 号 125 頁以下(2003 年)。
(5) 田村「建築基準法上の2項道路と行政事件訴訟法上の処分性再論――当事者訴 訟の利用と立法論への要望――」明治学院大学法科大学院ローレビュー第7号1 頁以下(2007 年)。
(6) このエリアでの最近の動きとして,特別区建築審査会委員等連絡協議会平成 24 年度研修会「『建築審査会審理上における諸問題』について」(コーディネーター内 山忠明,パネリスト久保茂樹=関 葉子=野本孝三=高野雅司,2012 年2月 15 日中野区野 方区民ホール)。最近の関連する文献として,加藤仁美=岩井悠希「建築審査会に おける審査請求案件の審理・裁決の実体――全国的傾向と東京都及び世田谷区の 事例から――」日本建築学会計画系論文集第 662 号 799 頁以下(2011 年)。
(7) 田村「建築基準法上の2項道路と救済――改正行政事件訴訟法と行政不服審査 法をめぐって――」慶應義塾大学法学研究第 78 巻第5号 285‑286 頁(2005 年)。 なお,2008 年の行政不服審査法全部改正法案は,対審化,不服申立期間の延長
など,審理「手続」について対応した点は評価しうる。しかし,一方で,具体的 な紛争の最終解決に必要な,「確認裁決」等については,何ら対応はなされなかっ た。このような現実について,わが国の行政救済法の研究が,「行政訴訟『一般』」
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「行政不服審査法『一般』」にあり,個別行政領域での具体的な法律問題に関す る蓄積からの分析とそれを改正法案に取り込む努力双方が不十分であったと言っ ては言いすぎであろうか。
行政不服審査法改正については,本稿の直接のテーマではないので,とりあえ ず,田村編著『最新ハイブリッド行政法〔改訂第2版〕』367 頁以下(山本未来執筆)
(八千代出版,2011 年)のみを掲記する。
(8) 田村「建築基準法上の『2項道路』と旧物法上の『建築線』(1項5号道路)に 関する政策法学的分析――行政争訟での政策目標の判断の視点から――」明治学 院大学法学研究第 89 号4頁及び 24‑25 頁。これを肯定的にとらえていただいた と思われる,碓井光明「時間軸から見た国家の役割――行政法,財政法の視点に おいて――」2011 年 10 月8日,日本公法学会代 76 回総会(名城大学)。
(9) 例えば,筆者は,狭隘道路拡幅という政策を基礎に,42 条2項は全面的に改正 すべきであるとの提言を行ってきている,田村・前掲論文注(5)8頁。
(10) 田村・前掲論文注(1)194‑195 頁,田村・前掲論文注(4)143‑146 頁,田村・
前掲論文注(5)8頁,田村・前掲論文注(7)276‑278 頁。
(11) 田村・前掲論文注(4)145 頁,田村「建築基準法 43 条2項に基づく条例上の『認 定』と行政争訟における処分性」明治学院大学法学研究第 81 号 53 頁(2007 年)。
(12) 田村「東京都建築安全条例上の『認定』と行政訴訟での違法性の承継――最高 裁判所平成 21 年 12 月 17 日判決の分析――」明治学院大学法学研究第 90 号 125 頁(2011 年)。
(13) 最判平成 14 年1月 17 日(1小)判民集 56 巻1号1頁,判時 1777 号 40 頁,判 タ 1085 号 173 頁。
(14) 例えば,晴山一穂「2項道路一括指定を争う訴訟形式」専修ロージャーナル第 2号1頁以下(2007 年)。
(15) この点,田村「建築基準法上の2項道路と施行規則の改正に伴う行政訴訟での 要件判断――信義則に関する2つの判例を手がかりに――」明治学院大学法学研 究第 85 号1頁以下(2008 年)。
(16) 小早川光郎=高橋 滋編『詳解 改正行政事件訴訟法』93 頁(黒川哲志執筆)(第 一法規,2004 年)。
(17) 行政の行為型式論については,塩野 宏『行政法Ⅰ〔第5版〕行政法総論』92 頁以下(有斐閣,2009 年)。
(18) 最近,2項道路につき同様に当事者訴訟の可能性を認めた文献として,小早川 光郎『行政法講義(下Ⅲ)』334 頁(弘文堂,2007 年)。
(19) 本稿は,2項道路を争う行政訴訟をそのテーマとしており,民事訴訟プロパー の論稿ではない。そこで,民事訴訟の即時確定の利益に関する文献の中から,本
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稿の目的から,必要最小限の文献の引用に止っていることを特におことわりして おきたい。
(20) 例えば,新堂幸司『新民事訴訟法(第4版)』258 頁(弘文堂,2008 年),これを 行政法学の立場から引用する,野口貴公美「『確認の利益』に関する一分析」法 学新報第 116 巻9= 10 号 2‑3,22 頁(2010 年)。
(21) 坂田 宏「確認の利益」伊藤 眞=山本和彦編『民事訴訟法の争点』100 頁以 下(有斐閣,2009 年)。
(22) 坂田・前掲論文注(21)101 頁。
(23) 坂田・前掲論文注(21)102 頁。
(24) 松尾卓憲「確認の利益」青山善光=伊藤 眞編『民事訴訟法の争点〔第3版〕』
126 頁以下(有斐閣,1998 年)。
(25) 松尾・前掲論文注(24)126 頁。
(26) 松尾・前掲論文注(24)126 頁。またこの点につき,行政訴訟のエリアでは,小 早川光郎編『改正行政事件訴訟法研究』154 頁(有斐閣,2005 年)。
(27) 例えば,代表的文献として,中川丈久「行政訴訟としての『確認訴訟』の可能性」
民商法雑誌第 130 巻第6号 963 頁(2004 年)。この中川論文を引用し,民事訴訟法 とほぼ同様の理解に立つことを指摘する渡邊 亙「抗告訴訟と当事者訴訟の機能 分配に関する一試論――行政訴訟における『処分性の拡大』と『確認訴訟の活用』
の関係について――」白鷗法学第 15 巻第2号 219 頁(2008 年),また,やはり中 川論文を引用する,野口・前掲論文注(20)2‑3 頁。なお,本稿は,当事者訴訟や 行政訴訟での確認訴訟一般について対象とするものではないので,代表的と思わ れる文献の掲記に止っていることをおことわりしておく。
(28) 野口・前掲論文注 20)3頁。そして,中川・前掲論文注(27)963 頁。関連する 文献として,野口貴公美「当事者訴訟の利用の可能性――確認の訴えをめぐって
――」法学教室第 360 号 31 頁以下(2010 年)。
(29) 渡邊・前掲論文注(27)219 頁。
(30) 村上裕章「公法上の確認訴訟の適法要件――裁判例を手がかりとして」『阿部 泰隆先生古希記念 行政法学の未来に向けて』733 頁以下(有斐閣,2012 年)。
(31) 大貫裕之「実質的当事者訴訟と抗告訴訟に関する論点 覚書」『阿部泰隆先生 古希記念 行政法学の未来に向けて』645 頁(有斐閣,2012 年)。この大貫論文は,
民事訴訟法の文献として,高橋宏志『重点講義民事訴訟法(上)〈第2版〉』358 頁以下(有斐閣 2011 年),新堂幸司『新民事訴訟法〈第5版〉』270 頁以下(弘文堂 2011 年),中野貞一郎=松浦 馨=鈴木正裕編『新民事訴訟〈第2版補訂2版〉』
139 頁(有斐閣 2008 年)を引用している(大貫・前掲論文注(31)645 頁)。
(32) 大貫・前掲論文注(31)646 頁。
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(33) 野口・前掲論文注(20)15‑16 頁。
(34) 松尾 直「行政事件訴訟における確認訴訟」高岡法学第 19 巻1=2号7頁(2008 年)。なお,筆者は即時確定の利益をゆるやかに解して差しつかえないという点を,
すでに 2003 年の論文で述べている,田村・前掲論文注(4)145 頁。
(35) 斎藤 浩『行政訴訟の実務と理論』331 頁(三省堂,2007 年)。また,この文献 では,判例の「事後的に義務の存否を争ったのでは回復し難い重大な損害を被る おそれ」という行政訴訟の基準は,狭いとの指摘もなされている(斎藤・前掲論文 注(35)332 頁)。
(36) これが,明示あるいは例示である点については,代表的文献として,橋本博之
『解説 改正行政事件訴訟法』84 頁以下(弘文堂,2004 年),宇賀克也『行政法概 説Ⅱ行政救済法〔第3版〕』360 頁(有斐閣,2011 年)。
(37) 小早川光郎=高橋 滋編『詳解 改正行政事件訴訟法』(黒川哲志執筆)110 頁(第 一法規,2004 年)。
(37) 松尾・前掲論文注(24)126 頁,小早川編・前掲書注(26)154 頁。
(38) 金子正史『まちづくり行政訴訟』88‑89 頁(第一法規,2008 年)も,この確認の 対象については,民事訴訟法学の傾向や判例から肯定している。
(39) 金子・前掲書注(38)86 頁。
(40) 金子・前掲書注(38)88 頁。
(41) 金子・前掲書注(38)86 頁。
(42) 金子・前掲書注(38)の論文は,最高裁平成 14 年判決前に執筆されている。
(43) 金子・前掲書注(38)87 頁。
(44) 金子・前掲書注(38)の原論文は,自治研究第 78 巻第2号6頁以下(2002 年)。
(45) この抗告訴訟と当事者訴訟との関係については,最近の学会の到達点を示す文 献として,大貫・前掲論文注(31)645 頁以下,村上・前掲論文注(30)746 頁以下。
(46) 行政事件訴訟実務研究会編『行政訴訟の実務』117 頁(ぎょうせい,2007 年)。
(47) 例えば, 晴山・前掲論文注(14)24 頁。これらの点については,田村・前掲 論文注(1)186 頁以下。
(48) 判時 1732 号 73 頁。
(49) 金子・前掲書注(38)95 頁。
(50) この点,例えば小早川=高橋編・前掲書注(37)5‑10 頁。
(51) 松尾・前掲論文注(34)7頁。なお,田村・前掲論文注(4)145 頁。
(52) 例えば,松本 忠「建築基準法の道路に関する図面・調書の整備及び閲覧につ いて――建築基準法施行規制改正(指定道路関係)の概要――」都市計画第 269 号 130 頁(2007 年)。
(53) 松本・前掲論文注(52)130 頁以下,田村・前掲論文注(15)。
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(54) 久保茂樹「都市計画と行政訴訟」芝池義一=見上崇洋=曽和俊文編著『まちづ くり・環境行政の法的課題』90 頁(日本評論社,2007 年)。
(55) そこで,民事訴訟法の相対的効力説に関する文献は,特に掲記しないこととし たことをおことわりしておく。
(56) 久保・前掲論文注(54)90 頁。
(57) 久保・前掲論文注(54)90 頁。
(58) 田村編・前掲書注(7)10 頁
(59) 田村編・前掲書注(7)10 頁。
(60) 畑 宏樹「判決の対世効」伊藤 眞=山本和彦編『民事訴訟の争点』240 頁以 下(有斐閣,2009 年)。
(61) 畑・前掲論文注(60)240 頁。
(62) 畑・前掲論文注(60)241 頁。
(63) その他の文献として,例えば,伊藤 眞「形成判決の対世効」青山善充=伊藤 眞編『民事訴訟の争点〔第3版〕』255 頁(有斐閣,1998 年)。なお,本稿は民事 訴訟の論文ではないので,これ以外の民事訴訟法上の文献は,本稿の目的から略 させていただくことをおことわりしておくこととする。
(64) このような視点からの筆者の論稿として,田村『組織・企業と公的規制訴訟―
―RICO法研究――』(中央大学出版部,2000 年)。
(65) 田村「非刑事没収・追徴の動向と限界――Civil Forfeitureの法理と
RICO
法の 関連」及び「非刑事没収・追徴と合衆国憲法第5修正『二重の危険』――最近の 合衆国最高裁判所判例理論とその分析」渥美東洋編『組織・企業犯罪を考える』(中 央大学出版部,1998 年)所収,田村「非刑事没収・追徴とその手続の分析――行政 手法と刑事手法の流動化論と法制度設計の視点――」法学新報代 109 巻第3・4 号 79 頁以下(2002 年),田村「非刑事没収・追徴とデュー・プロセス――合衆国 憲法第4修正・第5修正の交叉適用の効果と限定――」明治学院大学法学研究第 88 号 75 頁以下(2010 年)など。(66) 阿部泰隆「対物処分の問題点」神戸法学雑誌第 21 巻3・4号 164 頁以下(1972 年),また阿部泰隆『事例解説行政法』22 頁以下(日本評論社,1987 年),阿部・後 掲注 67)254 頁以下。
(67) 阿部泰隆『行政法の進路』262‑265 頁(中央大学出版部,2010 年)。
(68) また,解釈論としても,同じ道に対する別の建築確認それぞれに対する判決が 結論を異にするというのも「物」自体に着目すればきわめて違和感をおぼえる状 況をまねくのではなかろうか。その場合,アメリカ的な「対物訴訟(in rem)」の 発想をかりれば,訴訟対象の本質論から,わが国の公法上の法律関係確認の訴の 解釈上,絶対的効力を許容する解釈も可能とも考えられる。
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(69) 塩野 宏『行政法Ⅱ〔第5版〕行政救済法』263 頁(有斐閣,2010 年)。
(70) この点に関する,その他の代表的な関連文献として,平成 14 年最高裁判決の 評釈としての,洞澤秀雄・行政判例百選Ⅱ〔第5版〕337 頁以下(2006 年)。吉野 夏己『紛争類型別行政救済法〔第2版〕』110 頁以下(成文堂,2010 年)。