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ショウジョウバエ卵巣形成の発生学的解析

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Academic year: 2021

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研究科分 麻布大学雑誌 第17・18巻・2008年

ショウジョウバエ卵巣形成の発生学的解析

D6vψρ1η6η α1αηα1y3 3(〜々加ovα1:y 1ηoワ〃086η65 5 ηDπ♪50ρ痂1α1η61αη08α3∫8r

秋山孝洋

麻布大学

Takahiro Akiyama

Azabu University

Abstract:Dro50助〃αovary serves as a genetically tractable model for the study of stem cell biology, pattem formation, cell migration and cell proliferation. Regulation of cell division is a crucial aspect in the development of multicellular organisms. The embryonic gonad in Dro∫(励11αcarries about l 2 primordial ge㎜

cells(PGCs). PGCs proliferate in the fbmale gonad during the subsequent three larval stages until, at the late一 Ihird larval stage, the gonad carries over 100 ge㎜cells. Here we show that profilin gene is required for proper mitotic division of PGCs during larval growth. Profilin mutant contains a reduced number of PGCs that are occasionally binucleated. Inverse PCR revealed that the insertion site of our P−element insertion allele is within the intron 1。 Three ligands for profilin have been well−characterized〃1 v ∫ro:actin monomers, membrane polyphosphoinositides and poIy−L−proline. Profilin may be involved in the fo㎝ation of cleavage furrows,

resulting in proper cytokinesis of PGCs in Dro30plz 1αlarval ovary

1.目 的

 ショウジョウバエの卵巣は,3令幼虫後期から蠕 期にかけて単純な幼虫型から複雑な構造を持った成 虫型へと急激に変化する。この過程では,幹細胞な ど幼虫にはなかった新しい細胞の分化が起こり,細 胞運動による各細胞の配置換えが生じる。本研究で は,卵巣を構成する細胞の分化や組織形成が,遺伝 子や細胞レベルでどのような仕組みで制御されてい るかの一端を明らかにすることを目的としている。

この研究は,多細胞生物の組織構築のモデルとなる もので,組織の再生の仕組みなどを探る基礎的知見 を得ることができる。我々の研究室では卵巣形態に 異常の生じる突然変異体を10系統以上単離し,その うち7系統については変異の原因遺伝子を突き止め ている。各系統について平行して解析を行っている

が,今回は1系統(262104変異体)について,表現 型の解析を行い,正常型遺伝子の機能について考察

する。

2.方 法

 3令幼虫を解剖して卵巣を取り出した。間接蛍光 抗体法で,生殖系列の細胞をvasa抗体で緑に,ろ胞 細胞等をspectrin抗体で赤に光らせ,共焦点レーザー 顕微鏡で観察し,画像を取得した。得られた画像を

もとに,始原生殖細胞の個数や,核の数を計数した。

また,この変異体は,P因子(トランスポゾン)の ゲノム挿入が原因で生じている。P因子に隣接する 塩基配列を調べれば,変異部位が特定できるので,

P因子の端にプライマーを設計し,Inverse PCR法で

塩基配列を確認した。

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麻布大学雑誌 第17・18巻 2008年

3.結果と考察

 3令幼虫卵巣では,変異体では始原生殖細胞の数 が減少したり,1細胞に核が2個あるものが観察され た。過去の我々の遺伝解析で,変異の原因遺伝子は

pro行linタンパク質をコードしている。痂。たα48ε遺伝子

であることが推定されていた[文献1]。本研究でP

因子は。痂。たα4θ8遺伝子の第1イントロン中に挿入さ

れていることが明らかとなった。プロフィリンは,

アクチンの重合に対して正負両方の効果を発揮し

[文献2],かつ情報伝達経路に関与する多機能性タ ンパク質である[文献3]。G一アクチンはATPを結合 しているとF一アクチンのbarbed endに重合しやすく

なる。プロフィリンはG一アクチンのnucleotide exchnage factorとして働き, ATPとADPを交換して いる。分裂酵母やテトラヒメナでプロフィリンは細 胞質分裂時の収縮環に局在し,F一アクチンの形成に 関与することが報告されている。262104変異体の幼 虫卵巣では,2核化した始原生殖細胞が観察されの で,プロフィリンは始原生殖細胞の収縮環による細 胞質分裂の制御を通じて,生殖系列の細胞の増殖や 分化に関与すると考えられる。

4.要 約

 ショウジョウバエ卵巣は,多細胞生物の器官構築 過程を研究する良いモデルとなっている。我々が単 離した卵巣形態異常の突然変異体のうち,主に

。痂。たα48θ変異体について間接蛍光抗体法と共焦点レ

ーザー顕微鏡で解析した。変異体3令幼虫卵巣では,

始原生殖細胞数の減少,2核化が観察された。変異 部位は第1イントロン内であった。o配。たα46θは,収 縮環による細胞質分裂の制御を通じて,幼虫期の生 殖系列細胞の増殖や分化に関与していると考えられ

る。

文 献

1)Akiyama T.,Okada M.:Amutation in the Dro50助11α  profilin homolog gene af∬ects gametogenesis and bristle  development in both sexes. Dev。 Growth Differ.1993;

 35:637−645.

2)Theriot JA, Mitchison TJ。:The three faces of profilin.

 Cell.1993;75(5):835−8.

3)Sohn RH, Goldschmidt−Clermont PJ.:Profilin=at the

 crossroads of signal transduction and the actin

 cytoskeleton.Bioessays.1994;16(7):465−72.

参照

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