• 検索結果がありません。

ボウリングのボールにおけるき裂発生メカニズムの解明

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ボウリングのボールにおけるき裂発生メカニズムの解明"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ボウリングのボールにおけるき裂発生メカニズムの解明

システム科学技術学部 機械工学科 1年 上村 壮汰 1年 松嶋 真生 指導教員 システム科学技術学部 機械工学科 教授 水野 衛 助教 施 建 学生支援スタッフ システム科学技術研究科 機械知能システム学専攻 1年 小林 温希 1年 望月 貴生

1.はじめに

一般にボウリングのボールには,いわゆるハウスボールとマイボールの二つがある.この二つ は,ボールを構成しているカバーストックやウェイトブロック,そしてボールの中心部分に位置 するコアの種類が異なる.今回の研究に用いたのはマイボールである.本研究における“き裂が 入ったボール”とは,投球時に表面のカバーストックに生じる欠けではなく,しばらく放置して いた時に発生する表面の割れのことを指す.

2.研究目的

小学生の頃からボウリングを続けており,ボールにき裂が入るという経験を何度もしてきた.

しかしながら,周りの大人を含めても、き裂が入る原因をきちんと説明できる人がおらず,ずっ と疑問に感じていた.そこで,今回の学生自主研究では,ボールにき裂が入る原因を実験により 明らかにすることを目的とする.他にも,学生自主研究を通して,研究データのまとめ方,及び,

実験器具の使い方を学び,自分達の知識を深め,技術を身に付けることも目的とする.この研究 によって,き裂の原因が明らかになれば,ボールの寿命を長くできることはもちろんのこと,ボ ール廃棄のリスクを減らすことができるのではないかと考える.

3.研究内容 3.1 破面観察

実際に割れたボウリングのボールを複数個集め,き裂の入り方の観察を行った.観察の結果,

図 1,2 のように,共通してボールの指穴を中心にき裂が入っていることが分かった.

そこで,さらに詳しく検討するために顕微鏡を用いた破面観察を行った.観察する破面は,割 れの中心になっている指穴付近を選んだ.そして,その破面を光学顕微鏡で観察するために,図 3,4 のように破面の観察部を小さくするための切断作業を行った.

顕微鏡で観察した破面を図 5~7 に示す.今回は,穴から遠いところ,指先の周辺,穴から近い ところの 3 か所を観察した.観察の結果,ボールが割れている方向に脆性破壊が起こっているこ とが分かった.ただ,3 か所の違いや,き裂の原因となるような痕跡は見つからなかった.

(2)

図 1 割れたボール(その1) 図 2 割れたボール(その2)

図 3 ハンドソーを用いて切断 図 4 大きさ調整のための切断

図 5 穴から遠いところ 図 6 指先の周辺 図 7 穴から近いところ

3.2 き裂生成実験

3.2.1 乾燥炉による温度変化

実験でボールにき裂を生成するため,同じ種類のボール 2 つと,それと種類の異なるボール 2 つの計 4 つの新品のボールを購入した.また,き裂はボールの穴の部分を通っていたことから,

ボウリング場で実際に指穴を加工してもらった.ボウリングのボールは大きく 3 つの層でできて おり,その層の境界線までき裂が入っていることが多く見受けられた.そこで本研究では,異な る材質でできた層の熱膨張率の違いによってき裂が発生するのではないかと仮説を立てた.

まず初めに,ボールにき裂を生成するため乾燥炉を用いて大きな温度変化を与える加速実験を 行った.熱電対を使ってボールの穴の内部と表面,炉の温度を計測した.図 8 は,炉の温度を,

①5 分で 30℃(室温)→60℃,②60℃で 30 分保持,③60 分で 60℃→30℃(室温),の①~③のサ イクルを 5 回繰り返した時の結果である.実験の結果,ボールが割れることはなかった.ボール の表面に比べて内部の温度が上がるのが遅く,表面と内部で温度差があることが分かった.

(3)

図 8 60℃サイクルの場合の温度変化

次に,炉の最高温度を 80℃と 100℃まで上げた場合の実験を行った.図 9 の 80℃サイクルの場 合,①30 分で 30℃→80℃,②80℃保持を 90 分,③90 分で 80℃→30℃,図 10 の 100℃サイクル の場合,①50 分で 30℃→100℃,②100℃保持を 120 分,③120 分で 100℃→30℃を条件に設定し た.これを先ほどと同様に 5 回繰り返した.その結果を図 9,10 に示す.2 つの実験ともにボー ルは割れることなく終わった.

図 9 80℃サイクルの場合 図 10 100℃サイクルの場合

3.2.2 乾燥炉で加熱後に水で急冷

乾燥炉で 30℃→100℃の 70℃の温度変化ではまだ十分ではないという結論に至った.そこで,

乾燥炉では室温の 30℃以下に温度を下げることができないため,乾燥炉で加熱した直後に水に浸 して急冷することにした.乾燥炉で 30℃→80℃の温度変化を与えて 30 分保持した後,水に浸し て急冷した時の温度変化を図 12 に示す.水に浸した後,ボールの内部と表面ともに,急激に温度

図 11 炉で加熱後に水で急冷 図 12 水で急冷した後の温度変化

(4)

が変化していることが分かるが,ボールは割れなかった.

3.3 ひずみ測定

温度変化によってき裂を生成することができなかったので,温度変化によりどのくらいボール が変形をしているのかをひずみゲージを用いて調べることにした.ひずみゲージ 1~3 を使って 3 か所のひずみを同時に測定した.指穴から一番近いところをひずみゲージ 1,指穴の近くから順 にひずみゲージ 2,3 としてボールの表面にひずみゲージを貼り付けた.実験は 30℃→60℃のサ イクルを一回行い,その時の結果を図 14,15 に示す.図に示す通り,温度を上げていくとボール の表面は収縮していき,温度が下がると逆に表面が膨張していくことが分かる.

図 13 ひずみ ゲージ

図 14 温度変化 図 15 ひずみの変化

4.まとめ

本研究では,破面の観察や乾燥炉を使いボールに温度変化を与える実験を行った.結果として,

ボールを割ることはできずに終わり,き裂の原因を明らかにするはできなかった.ただ,ひずみ ゲージによる測定により,少なからず温度変化がボールを収縮させたり,膨張させることが分か った.3.2.1 項の結果から分かるように,ボールの表面と内部で温度差が生じていたので,異な る材質の熱膨張率の違いによってき裂が入るという仮説は,正しい可能性があると感じた.また,

院生の支援の下,熱電対やひずみゲージの使い方を学び,知識や技術を身に付けることができた.

5.課題

本研究でボウリングのボールにき裂を入れることはできなかった.その理由として,①温度変 化がき裂の原因でない,②温度変化以外の要因も必要,③加速実験が時間の問題で足りなかった

,の大きく3つが考えられる.ただ,①に関しては,ひずみゲージの実験から分かるように,温度 変化が多少なりともボールの表面に影響を与えていることが分かった.したがって,ボールを割 るための方向性が完全に間違っていたわけではないと考えられる.もっと考えるべきであったの は,②の様々な要因である.あらかじめ,投げ込んでボールにたくさんの衝撃を与えたり,湿度 調節を行い材質を腐食させたりするなど,まだやれることがあったと感じている.また,今回の 学生自主研究で簡単にボールを割ることはできないことが分かったので,次回同じようなことを するときには,もっと粘り強く実験に取り組む必要があると感じた.

図 8  60℃サイクルの場合の温度変化    次に,炉の最高温度を 80℃と 100℃まで上げた場合の実験を行った.図 9 の 80℃サイクルの場 合,①30 分で 30℃→80℃,②80℃保持を 90 分,③90 分で 80℃→30℃,図 10 の 100℃サイクル の場合,①50 分で 30℃→100℃,②100℃保持を 120 分,③120 分で 100℃→30℃を条件に設定し た.これを先ほどと同様に 5 回繰り返した.その結果を図 9,10 に示す.2 つの実験ともにボー ルは割れることなく終わ

参照

関連したドキュメント

清水 悦郎 国立大学法人東京海洋大学 学術研究院海洋電子機械工学部門 教授 鶴指 眞志 長崎県立大学 地域創造学部実践経済学科 講師 クロサカタツヤ 株式会社企 代表取締役.

学識経験者 小玉 祐一郎 神戸芸術工科大学 教授 学識経験者 小玉 祐 郎   神戸芸術工科大学  教授. 東京都

  中川翔太 (経済学科 4 年生) ・昼間雅貴 (経済学科 4 年生) ・鈴木友香 (経済 学科 4 年生) ・野口佳純 (経済学科 4 年生)

講師:首都大学東京 システムデザイン学部 知能機械システムコース 准教授 三好 洋美先生 芝浦工業大学 システム理工学部 生命科学科 助教 中村

海洋技術環境学専攻 教 授 委 員 林  昌奎 生産技術研究所 機械・生体系部門 教 授 委 員 歌田 久司 地震研究所 海半球観測研究センター

  総合支援センター   スポーツ科学・健康科学教育プログラム室   ライティングセンター

東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 教授 赤司泰義 委員 早稲田大学 政治経済学術院 教授 有村俊秀 委員.. 公益財団法人

  総合支援センター   スポーツ科学・健康科学教育プログラム室   ライティングセンター