JAIST Repository: DNAポリイオンコンプレックス形成におけるポリロタキサン構造因子の影響
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(2) B17a1 DNA ポリイオンコンプレックス形成におけるポリロタキサン構造因子の影響 渡辺 延由(由井研究室) 【緒言】 ポリリシンやポリイミンなどのカチオン性高分子は、DNA とポリイオンコンプレックス形成して細胞内へ DNA を取り組むことが可能である。これまでに、これら高分子の化学修飾によってポリイオンコンプレックスの荷 電状態や溶解性を変化させ、細胞内取り込み能を向上させる方法が盛んに行われてきた。細胞内に取り込まれ たコンプレックスはエンドソーム内にて解離できるが、遊離 DNA がエンドソーム内に存在したままなので、ポリイ オンコンプレックス形成以外にエンドソーム膜を崩壊するカチオン性高分子の設計が必要となる。そこで、生分 解性ポリロタキサンの超分子構造に着目した。このポリロタキサンは、多数のα-シクロデキストリン(α-CD)空洞部 を貫通したポリエチレングリコール(PEG)の両末端に生分解性基を導入してあり、酵素分解により多数のα-CD は 空洞部が露出される。この CD 空洞部は、細胞膜を構成しているリン脂質を包接するためエンドソームを崩壊し て遊離 DNA のエンドソーム内酵素分解を回避できるものと期待される。本研究では、ポリロタキサン中の多数の α-CD 水酸基にアミノ基を化学修飾したアミノ化ポリロタキサンの合成法を確立し、ポリロタキサン構造因子である PEG 分子量、アミノ基導入量及びα-CD 貫通数が DNA とのコンプレックス形成に及ぼす影響について検討し た。 OH. 【実験】 α-CD 飽和水溶液に両末端基をアミノ化し た PEG(PEG-BA)水溶液を滴下して包接錯体(擬ポ リロタキサン)を室温にて調製した。ここで、PEG-BA の分子量は 4,000 と 35,000 を用いた。その後、擬ポ リロタキサン中のα-CD の脱離を防ぐため、Z-L-チロ シンで両末端を縮合反応によりキャップした。さらに エチレンジアミンを用いて、多数のアミノ基(アミノエ チルカルバモイル基)を有するアミノエチルカルバモ イルポリロタキサン(AEC-PRX)を合成した(Scheme 1)。このとき、CDI の仕込み量を種々変化させて、1 分子中のアミノ基数が異なるポリロタキサンを複数 合成した。AEC-PRX と DNA とのポリイオンコンプレ ックス形成の確認は、プラスミド DNA(pGL3)のリン 酸基のチャージに対し、AEC-PRX のアミノ基のチャ ージ(N/P 比)を種々変化させて、アガロース電気泳 動で観察した。また、DNA との結合性を評価するた めに EtBr Fluorescence Assay を行った。. H H N ON O O. O O O O O O O OO O O O N N O H H Polyrotaxane O OH N N N N DMSO, 3h, r.t. N, N'-Carbonyldiimidazole (CDI) 3h, r.t.. H2N(CH2)2NH2. OH X X X X X X HX H X O O N O O O O O OO O O O X ON NO N O O X X H H X X X X X : OCONH(CH2)2NH2 OH AEC-PRX. Scheme 1 Synthesis of AEC-PRX.. 【結果と考察】 反応後の回収物の1H-NMRからα-CD、PEG及びアミノエチルカルバモイル基に由来するピーク を確認した。さらに、GPC測定、ニンヒドリン反応によるアミノ基の定量からAEC-PRXであることを確認した。電気 泳動の結果から、ポリロタキサン中のPEGの分子量4,000の時、N/P比が2以上で複合体を形成したが、35,000で は0.5以上であった。このことからPEGの分子量は、ポリイオンコンプレックス形成の強さに及ぼす一つの因子で あると考えられた。PEG分子量の影響は、EtBr Fluorescence Assayの結果からも裏づけられており、分子量が大 きいほうが密なポリイオンコンプレックスを形成したことを示していた。さらにポリロタキサン1分子中のアミノ基数 の増加に伴い、EtBrの蛍光強度の低下が著しくなる傾向にあったので、アミノ基密度の増加が安定なコンプレッ クス形成に必要であると示唆された。しかしながら、同程度のアミノ基導入数であるにもかかわらず、α-CD貫通 数を少なくすると、コンプレックス形成が強くなったことから(結果省略)、ポリロタキサン中のα-CDの運動性もコン プレックス形成に重要な因子であることが示唆された。以上の結果から、ポリロタキサン構造因子であるPEGの分 子量、アミノ基導入量を増加させ、さらにポリロタキサン中のα-CDの運動性を持たせた設計が安定なポリイオン コンプレックス形成に有効であると結論した。 Keywords ポリイオンコンプレックス、 ポリロタキサン、 アミノ基.
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