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ニューカマーの子どもの教育に関する研究-教室における多文化共生に向けて-

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Academic year: 2021

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(1)ニューカマーの子どもの教育に関する研究 一教室における多文化共生に向けて一. 専 攻.  学校教育学. コース 教育コミュニケーション 学籍書号.  M06013H. 氏  名.  中島 貴子. 1.問題意菱と研究の日的. 2研究の方法.  文部科学省の調査結果によれば、平成18.  先行研究とフィールド調査で得られた記録を. (2007)年度現在、公立の小・中・高等学校等. 手がかりに研究を進める。調査先は以下の通り. に在籍する外国人児童生徒数は約7万1千人で. である。. あり、そのうち、日本語指導が必要とされてい.  1.パウロ・フレイレ地域学校. る児童生徒数は約2万2千人である。また、日.  2.滋賀県湖南市初期目本語教室. 本国籍を有する日本語指導が必要な児童生徒数.  3.兵庫県A小学校母語教室. は2,860人(うち、海外から帰国した児童生徒. 数1,036人)である。このことは、従来、日本. 3議文の優暮. の教育現場にまかり通っていた、「日本人だから.  第一章では、ニューカマーの子どもに対する. 日本語を話すことができる」、r日本人のための. 行政の教育施策を国、地方自治体レベルで明ら. 学校」といった、「常識」が通用しなくなってい. かにした。外国人児童生徒に関する国の施策、. る現状を物語っている。. 地方自治体の施策はここ数年で大きな動きを見.  r常識」が通用しなくなった学校現場は今、. せている。2008年6月に報告された「外国人. 大きな転換期を迎えている。「日本人」のための. 児童生徒教育の充実方策について」では、外国. 教育から、r国籍」という枠組みを越えて日本に. 人児童生徒を日本社会に生活し、社会をつくり. 生きる「市民」としての教育の転換が求められ. 上げていく「構成員」とみなし、外国人児童生. ている。. 徒の受入が、日本人児童の国際社会に生きる態.  本研究では、ニューカマーの子どもの教育に. 度や能力の育成、学校における一人ひとりを大. 関して、三つの側面(①国・自治体の教育施策、. 切にした教育の実現につながることが明記され. ②日本の学校・教師、③子どもの日常世界)か. た。. ら考察を行う。また、これらの考察を通して、.  地方自治体の教育施策においては、愛知県豊. 教室における多文化共生の実現に向けて考察す. 橋市の教育施策を取り上げ、学校現場の二一ズ. ることを目的とする。. に対応した施策を実施するために必要なことを. 一8一.

(2) 考察した。その結果、教育委員会が学校の悩み.  言葉については、津田(2002)が指摘する、. を共有化し、また、地域を巻き込み、「地域全体」. 英語が国際語になることで生じるr不平等と差. の問題として外国人児童の教育を捉えていくこ. 別」の視点を通して、日本語がニューカマーの. とが重要であることが明らかになった。. 子どもにもたらす不平等と差別について、また、.  第二章では、ニューカマーの子どもと日本の. 名誉挽回としてのr言葉」と「学力」の力につ. 学校・教師について考察を行った。パウロ・フ. いて、パウロ・フレイレ地域学校におけるフィ. レイレ地域学校におけるフィールド調査をもと. ールド調査の事例を通して考察を行った。その. に、ブラジルと日本の学校文化の比較を行い、. 結果、言語が子どもの学力を規定し、また、ア. ニューカマーの子どもにとっての日本の学校を. イデンティティ形成に大きな影響力を持ってい. 考察した。その結果、r日本人のための学校」と. ること、ニューカマーの子どもが不安定な日常. いう前提がある日本の学校に、日本とは異なる. を送っていることが明らかになった。. 価値観・行動様式・言語などを持つニューカマ.  最後に、これらの考察を通して、教室におけ. ーの子どもが適応していく過程は、彼らの固有. る多文化共生について考察を行った。その結果、. の文化を剥奪する過程になりうることが明らか. 多文化共生の教育を実現するためには、教師が. になった。. 一人ひとりの子どもが持つ社会的差異に目を向.  次に、ニューカマーの子どもに対する教師の. け、その上で、一人ひとりの子どもを同じスタ. 認知・対応を取り上げ、日本の教師にみられが. ートラインに立たせる、「機会の平等」を実現す. ちな特有の認知と、その結果生じる子どもの姿. ることが重要であり、その一つの方法として、. について考察を行った。その結果、教師の「や. 「学力」を提起できると考えた。. れている」という誤認知を防ぐためには、ニュ ーカマーの子どもの日本語能力を測る基準が必. 4.今後の課題. 要であることが明らかになった。.  r学力」がもつカについて考察を深め、ニュ.  第三章では、ニューカマーの子どもの日常世. ーカマーの子どもの「学力保障」の具体的手立. 界に影響を与えている、r家族」とr言葉」につ. てを明らかにすること、また、r市民」、r市民の. いて考察を行った。めまぐるしい発達をする子. 教養」について考察することが今後の課題であ. どもにとって、家族との関係、言葉は人間形成、. る。. 自分の日常をどのように認識するかに大きな影 響を与えている。  家族との関係については、「デカセギ」、rなし. 崩し的な定住化」、「親の戦略」をキーワードに 考察し、「なし崩し的な定住化」が親の教育戦略. を規定し、子どもの学力不振に影響を与えてい. 主任指導教員  杉尾 宏. 指導教員  杉尾 宏. ることが明らかになった。. 一9一.

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