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リース取引における残余価値の機能 : 残余価値の資本コストが損益計算に与える影響

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Academic year: 2021

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1 はじめに  現在,国際会計基準審議会(IASB)と 米国 財務会計基準審議会(FASB)は,リース 会 計共同 プ ロ ジェク ト(以下,共同 プ ロ ジェク ト)に着手している.その目的は,レシーのオ フバランス行動を規制すべく,国際会計基準 書(IAS)17 号 Leases お よ び FASB 財務会計 基準書(SFAS)13 号 Accounting for Leases(以 下,現行リース会計基準)が定めるファイナン ス・リースとオペレーティング・リースの区分 を廃し,短期リースを含むすべての(ノンキャ ンセラブル)リースをオンバランスすることに あ る(IASB [2006], par. 40).そ れ を 可能 と する会計手法として,共同プロジェクトは,概 念フレームワークの資産・負債の定義に基づ き,使用権 モ デ ル(right of use model)を 提 唱する.すなわち,レシー側において使用権 と支払義務を認識し,レサー側で受領権と残 余持分(residual interest)を認識する(IASB [2007b], pars. 1, 9).ここで残余持分とは,リー ス期間終了時にレシーから返却されるリース物 件の残余価値(residual value)1)の現在価値を あらわす.  使用権モデルでは,当初認識におけるリース 物件の公正価値と契約上のキャッシュ・フロー (リース料総額)の現在価値が,残余価値の現 在価値,すなわち残余持分だけ乖離する(図 1 参照;以下,残余持分という用語は,レサーの 会計処理方法の一項目として取り上げる場合に 用いることとする).その差額は,リース物件 の経済的耐用期間を所与とすれば,リース期間 が短期になるにつれ大きくなる.このように考 えると,短期リースをもオンバランスする使用 権モデルにおいては,残余価値の存在は無視で きないこととなる.なぜなら,固定資産額と受 領(支払)総額が大きく乖離する短期リースに おいては,残余価値にかかわる会計処理方法が, リース契約当事者のストック計算およびフロー 計算に多大な影響を及ぼすと考えられるからで ある.  そこで本稿は,今まで等閑視されてきた残余 価値の機能を明らかにすべく2),第一に,使用 権モデルにおけるレサーの残余持分に関する会 計処理方法の論点を考察する.第二に,レシー 側における残余価値の影響を考察する.そして この考察を通じて,最終的に,リース取引に対 する新たな分析視角を看取することを試みる. 2 レサーの残余持分にかかる代替的会計処理 方法  本節では,使用権モデルにおけるレサーの会 計処理方法を概観した上で,残余持分にかかる 代替的会計処理方法(以下,代替法)について 数値例を用いて説明する.  G4+1 が 2000 年に公表したスペシャル・レ ポート Lease: Implementation of a New Approach (以下,G4+1 レポート)によれば3),レサーは リース開始時にリース物件の全部または一部の 認識を中止してリース債権という金融資産を認

リース取引における残余価値の機能

──残余価値の資本コストが損益計算に与える影響──

佐  藤     恵

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82 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月)

識し,それを原則としてリース料総額の現在価 値をもって測定する.他方,認識を中止しな い非金融資産の簿価は残余持分となる(Nailor and Lennard [2000], pars. 8. 8, 8. 13─8. 14, 9. 6). なお,残余持分は非金融資産の減損処理の対象 とされるが,当初見積額を超過する増加は認識 さ れ な い(Nailor and Lennard [2000], pars. 12. 15, 12. 18).つ ま り,実物資産 と 同様 に 原 価額を評価の上限とする.  一般に,提供する財の公正価値は,受領する 財の公正価値と同額と仮定される.かような 測定対価主義の観点から,当初の債権と残余 持分の合計額は,リース物件の公正価値と等 価となる.したがって,収益は当初認識され ず,レシーからの収入を待って期間配分される. G4+1 レポートは,リース活動を本質的に金融 活動(financial activities)と 解 す こ と が 妥当 であるとして,レサーの収益総額をリース期間 にわたり発生する金融収益(financial income) として計上する(Nailor and Lennard [2000], pars. 8. 16─8. 18).

 ここで注目すべきは,残余持分の会計処理で ある.当該処理に関して,G4+1 レポートは次 の 3 つの代替法を検討し(Nailor and Lennard [2000], par. 12. 6),最終的に C 法の採用を勧 告している. A 法: リース 開始時 お よ び リース 期間中 に お い て 割引前金額 で 残余持分 を 記録 す る(す な わ ち,残余持分 を 割り引かない). B 法: リース開始時に割引後金額で残余持 分を記録するが,リース期間中は割 引額を収益化しない. C 法: リース開始時に割引後金額で残余持 分を記録し,リース期間にわたり割 引額を収益化する.  表 1 から 4 は,設例 1(短期ノンキャンセラ ブルリース.以下,短期リース)および設例 2 (長期ノンキャンセラブルリース.以下,長期 リース)の数値に基づき,代替法を適用した場 合におけるレサーのストック計算およびフロー 計算(端数調整後)を 示 し た も の で あ る.な お,議論の簡略化のため,各設例の割引率は貨 幣の時間価値を反映するリスクフリー・レート のみを考慮する(Monson [2001], pp. 283─284; Nailor and Lennard [2000], ch. 12; 米山 [2003], 71─72 頁参照). [設例 1:短期リース] レサーは,第 1 期首に機械(公正価 値 100,000)を 現金購入 し,そ れ を 年間 リース 料 10,500 で 3 年間にわたりレシーにリースする契約を締結し,即時引き渡 す.リース期間終了後,レシーはレサーへ機械を返却し,レ サーはそれを即時売却する.なお,売却価格は第 3 期末の残 余価値 の 公正価値 95,083 と 同額 と し(注),レ サーの 計算利子 率およびレシーの追加借入利子率は 9% とする. (注)本稿の単純な設例においては,残余価値の見積誤りを 問題視しない.Johnson et al. [1993, pp. 63─65] によれば,残 余価値の過大見積によるレサーの利益操作が考えられるもの の,再リース・売却時に残余価値の損失を報告するレサーは 最大 13.7% であることから,レサーの多くは見積残余価値を 保守的に報告すると解釈できる.以下の設例においても同様 とする. [設例 2:長期リース] レサーは,第 1 期首に機械(公正価 (390) ᱷ ૛ ଔ ୯ ߩ ⃻ ࿷ ଔ ୯ ࡝ 䏚 ࠬ ‛ ઙ ߩ ౏ ᱜ ଔ ୯ ࡟ࠪ࡯B/S ᡰᛄ⟵ോ ฃ 㗔 ᮭ ૶ ↪ ᮭ ᱷ૛ᜬಽ ࡟ࠨ࡯B/S ࡝࡯ࠬᢱ✚㗵ߩ⃻࿷ଔ୯ 㧔㊄Ⲣ⽶ௌߩ౏ᱜଔ୯㧕 図1 使用権モデルにおけるストック評価

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値 100,000)を 現金購入 し,そ れ を 年間 リース 料 9,330 で 20 年間にわたりレシーにリースする契約を締結し,即時引き渡 す.リース期間終了後,レシーはレサーへ機械を返却し,レ サーはそれを即時売却する.なお,売却価格は第 20 期末の 残余価値の公正価値 29,668 と同額とし,レサーの計算利子率 およびレシーの追加借入利子率は 7.75% とする.  以下,それぞれの方法を概観する.まず,A 法では,次のように会計処理される(仕訳の数 値は設例 1 に基づく.以下同様とする). [当初認識時点]  (借)リース物件 100,000  (貸)現  金   100,000  (借)リース債権 4,917     残余持分 95,083  (貸)リース物件   100,000 [第 1 期末]  (借)現  金 10,500  (貸)リース債権   366     金融収益(リース債権) 10,134 [第 3 期末]  (借)現  金 10,500  (貸)リース債権   3,430     金融収益(リース債権) 7,070  (借)現  金 95,083  (貸)残余持分   95,083  A 法 は,見積残余価値 に 係 る キャッシュ・ アウトフローを一切考慮せずに,すべての収益 表1 レサーのストック計算(設例1) 表2 レサーのフロー計算(設例1) 表3 レサーのストック計算(設例2) 表4 レサーのフロー計算(設例2) 1 期首 1 期末 2 期末 3 期末 A法 現金 -100,000 -89,500 -79,000 26,583 リース債権 4,917 4,551 3,430 - 残余持分 95,083 95,083 95,083 - 合計 0 10,134 19,513 26,583 B法 現金 -100,000 -89,500 -79,000 26,583 リース債権 26,579 18,471 9,633 - 残余持分 73,421 73,421 73,421 - 合計 0 2,392 4,054 26,583 C法 現金 -100,000 -89,500 -79,000 26,583 リース債権 26,579 18,471 9,633 - 残余持分 73,421 80,029 87,232 - 合計 0 9,000 17,865 26,583 1 期 2 期 3 期 期間合計 A法 金融収益(リース債権) 10,134 9,379 7,070 26,583 金融収益(残余持分) - - - - 残余持分売却益 - - - - 合計 10,134 9,379 7,070 26,583 B法 金融収益(リース債権) 2,392 1,662 867 4,921 金融収益(残余持分) - - - - 残余持分売却益 - - 21,661 21,661 合計 2,392 1,662 22,528 26,583 C法 金融収益(リース債権) 2,392 1,662 867 4,921 金融収益(残余持分) 6,608 7,203 7,851 21,661 残余持分売却益 - - - - 合計 9,000 8,865 8,718 26,583 1 期首 1 期末 2 期末 20 期末 A法 現金 -100,000 -90,670 -81,340 116,268 リース債権 70,332 69,340 68,229 - 残余持分 29,668 29,668 29,668 - 合計 0 8,337 16,557 116,268 B法 現金 -100,000 -90,670 -81,340 116,268 リース債権 93,333 91,236 88,977 - 残余持分 6,667 6,667 6,667 - 合計 0 7,233 14,304 116,268 C法 現金 -100,000 -90,670 -81,340 116,268 リース債権 93,333 91,236 88,977 - 残余持分 6,667 7,184 7,741 - 合計 0 7,750 15,378 116,268 1 期 2 期 20 期 期間合計 A法 金融収益(リース債権) 8,337 8,220 989 116,268 金融収益(残余持分) - - - - 残余持分売却益 - - - - 合計 8,337 8,220 989 116,268 B法 金融収益(リース債権) 7,233 7,071 671 93,267 金融収益(残余持分) - - - - 残余持分売却益 - - 23,000 23,000 合計 7,233 7,071 23,672 116,268 C法 金融収益(リース債権) 7,233 7,071 671 93,267 金融収益(残余持分) 517 557 2,134 23,000 残余持分売却益 - - - - 合計 7,750 7,628 2,805 116,268

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84 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月) が債権から生ずるように計算する方法である. したがって,次式に示すように,見積残余価値 相当額の多寡に伴い,設定利子率は高くなる(設 例 1 の数値に基づく)4) 10,500 (1+r)-1 + 10,500 (1+r)- 2 + 10,500 (1+r)-3   = (100,000-95,083) ・・・(式 1)      r = 206.1%     ※ 第 1 期首のキャッシュ・アウトフローから見積残 余価値相当額 95,083 が控除されている.  G4+1 レポートは,次の理由により A 法を棄 却する. ① 割引前残余価値価額がその公正価値と明ら かに乖離すること. ② リース初期に収益が多額に認識されること (以上,Nailor and Lennard [2000], pars.

12. 6─12. 9).  図 2 および図 3 は,設例 1 および設例 2 の数 値に基づき,A 法のストック計算およびフロー 計算を図示したものである.  B 法では,次のように会計処理される. [当初認識時点]  (借)リース物件 100,000  (貸)現  金   100,000  (借)リース債権 26,579     残余持分 73,421  (貸)リース物件   100,000 [第 1 期末]  (借)現  金 10,500  (貸)リース債権   8,108     金融収益(リース債権) 2,392 [第 3 期末]  (借)現  金 10,500  (貸)リース債権   9,633     金融収益(リース債権) 867  (借)現  金 95,083  (貸)残余持分   73,421 残余持分売却益   21,661  B 法は,レサーの計算利子率で割り引いた残 余価値の現在価値を残余持分として認識した上 で,残余価値の当初割引額をリース期間にわた り据え置き,売却時に一括して収益認識する方 法である.この方法における設定利子率は,次 式に示すように,(見積残余価値相当額を含む) リース取引にかかるすべてのキャッシュ・フ ローを考慮して決定されるため,リースの内部 利益率5)と一致する(設例 1 の数値に基づく)6) 10,500 (1+r)-1 + 10,500 (1+r)- 2 + (10,500+95,083) (1+r)-3 = 100,000 ・・・(式 2)    r = 9%   ※ 第 3 期末のキャッシュ・インフローには,見積残余価値 相当額 95,083 が含められている.  G4+1 レポートは,次の理由により B 法を棄 却する. (392) 㪇 㪉㪃㪇㪇㪇 㪋㪃㪇㪇㪇 㪍㪃㪇㪇㪇 㪏㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪉㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪊ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪊㪇㪃㪇㪇㪇 㪋㪇㪃㪇㪇㪇 㪌㪇㪃㪇㪇㪇 㪍㪇㪃㪇㪇㪇 㪎㪇㪃㪇㪇㪇 㪏㪇㪃㪇㪇㪇 㪐㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪇㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪊ᐕ䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪉㪇ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪊ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪉㪃㪇㪇㪇 㪋㪃㪇㪇㪇 㪍㪃㪇㪇㪇 㪏㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪉㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪊ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪊㪇㪃㪇㪇㪇 㪋㪇㪃㪇㪇㪇 㪌㪇㪃㪇㪇㪇 㪍㪇㪃㪇㪇㪇 㪎㪇㪃㪇㪇㪇 㪏㪇㪃㪇㪇㪇 㪐㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪇㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪊ᐕ䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪉㪇ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪊ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪉㪇ᐕ䋩 図2 レサーのストック計算(A 法) 図3 レサーのフロー計算(A 法)

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① リース期間中の収益が債権利息のみであら わされること. ② 借入を前提にリースする場合,支払利息控 除後の利益が非常に小さくなること. ③ リース期間にわたり残余価値が過少表示さ れ,残余価値処分時に収益が多額計上され ること(以上,Nailor and Lennard [2000], pars. 12. 6─12. 7, 12. 10─12. 11).  図 4 および図 5 は,設例 1 および設例 2 の数 値に基づき,B 法のストック計算およびフロー 計算を図示したものである.  C 法では,次のように会計処理される. [当初認識時点]  (借)リース物件 100,000  (貸)現  金   100,000  (借)リース債権 26,579     残余持分 73,421  (貸)リース物件   100,000 [第 1 期末]  (借)現  金 10,500  (貸)リース債権   8,108     金融収益(リース債権) 2,392  (借)残余持分 6,608  (貸)金融収益(残余持分) 6,608 [第 3 期末]  (借)現  金 10,500  (貸)リース債権   9,633     金融収益(リース債権) 867  (借)残余持分 7,851  (貸)金融収益(残余持分) 7,851  (借)現  金 95,083  (貸)残余持分   95,083  C 法は,レサーの計算利子率(式 2 参照)で 割り引いた残余価値の現在価値を残余持分とし て認識し,リース期間にわたり当初割引額を収 益化する方法である.  G4+1 レポートは,次の理由により C 法を採 用する. ① 前述した二つの方法の欠点がないこと. ② 残余持分は金融資産ではないものの,残余 価値の便益がレサーに接近する時にその価 値が増加するという性質を備えているこ と. ③ それゆえ,時間価値の認識はレサーの財政 状態と経営成績の適切な理解に不可欠であ ること(以上,Nailor and Lennard [2000], pars.12. 6─12. 7, 12. 10, 12. 12).  図 6 および図 7 は,設例 1 および設例 2 の数 値に基づき,C 法のストック計算およびフロー 計算を図示したものである.  以上,G4+1 レポートの棄却理由および採用 理由に見受けられる代替法の特徴は,長期リー スに比して短期リースの場合に顕著にあらわれ ることが確認される.その要因は,代替法の違 㪇 㪌㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪌㪃㪇㪇㪇 㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪉㪌㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽᄁළ⋉䋨㪊ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽᄁළ⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪊ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪈㪇㪇㪇㪇 㪉㪇㪇㪇㪇 㪊㪇㪇㪇㪇 㪋㪇㪇㪇㪇 㪌㪇㪇㪇㪇 㪍㪇㪇㪇㪇 㪎㪇㪇㪇㪇 㪏㪇㪇㪇㪇 㪐㪇㪇㪇㪇 㪈㪇㪇㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪊ᐕ䋩ᱷ૛ᜬಽ䋨㪊ᐕ䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪉㪇ᐕ䋩ᱷ૛ᜬಽ䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪌㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪌㪃㪇㪇㪇 㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪉㪌㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽᄁළ⋉䋨㪊ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽᄁළ⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪊ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪈㪇㪇㪇㪇 㪉㪇㪇㪇㪇 㪊㪇㪇㪇㪇 㪋㪇㪇㪇㪇 㪌㪇㪇㪇㪇 㪍㪇㪇㪇㪇 㪎㪇㪇㪇㪇 㪏㪇㪇㪇㪇 㪐㪇㪇㪇㪇 㪈㪇㪇㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪊ᐕ䋩ᱷ૛ᜬಽ䋨㪊ᐕ䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪉㪇ᐕ䋩ᱷ૛ᜬಽ䋨㪉㪇ᐕ䋩 図5 レサーのフロー計算(B 法) 図4 レサーのストック計算(B 法)

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86 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月) いが,リース期間が短期になるにつれ,相対的 に大きくなる傾向を有する残余持分の会計処理 に顕在することに求められる. 3 レサーの投資過程における残余価値の機能  残余持分は,リース期間終・ ・ ・了後にリース物件の 使用から流出する経済的便益に対する権利と定 義され,残余権(residual right; residual property rights)をあらわす(Nailor and Lennard [2000], par. 8. 6; IASB [2007a], par. 41; IASB [2007b], par. 8).したがって,字義通り解釈すれば,レ サー側において残余価値は,リース期間中・に生 起する便益の源泉として捉えられていない.だ が,残余価値の存在は,レサーの投資回収にあ たり計算上当然に認識されることから(たとえ ば,McGregor [1996], p. 24),この定義は再考に 値する.そこで,本節では,レサーの投資・回 収過程における残余価値の機能を検討し7),それ を踏まえて前節の代替法の違いを考察する.  レサーのリース物件に対する投資は,当初の リース契約期間にかかる「リース投資過程」と 当初のリース契約期間終了後の「再投資過程」 に区別される.すなわち,リース投資過程期間 と再投資過程期間の合計は,リース物件の経済 的耐用年数となる.  まず,リース投資過程(当初のリース契約期 間)において,レサーは,リース物件に貨幣資 本を投下してリース料総額と残余価値の合計額 を回収する.すなわち,レサーは,事前にリー ス料総額と見積残余価値の合計額が投資額と等 価となる内部利益率を算定し,その採算性を把 握した上でリース投資案を実行する.ここで計 算される期待割引額たる投資利益は,拘束され る投下資本(リース物件相当額)にかかる機会 原価,つまり,資本コスト(運用資本コスト) を意味する.したがって,リース債権と残余持 分は,投資回収(リース物件への投下資本)お よび投資利益(投下資本の割引額)の稼得に貢 献するという点において同一の機能を有すると 解釈できる8)  しかしながら,G4+1 レポートによれば,リー ス債権と残余部分は,負担するリスクが異なる がゆえ別個の資産として認識される.すなわち, 前者はレシーの信用リスク(the lesseeʼs credit risk)に,後者はさらに市場変動に伴う財産固 有 リ ス ク(property-specific risks)に 依存 す る(Nailor and Lennard [2000], pars. 1. 16, 8. 11)9).要するに,リース債権と残余持分は,リー ス投資過程において同一の機能を有するもの の,リスクの異質性から区別して認識される. (394) 図6 レサーのストック計算(C 法) 図7 レサーのフロー計算(C 法) ࿑㧢߅ࠃ߮࿑㧣 㧔ߏෳ⠨㧕 㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪊㪇㪃㪇㪇㪇 㪋㪇㪃㪇㪇㪇 㪌㪇㪃㪇㪇㪇 㪍㪇㪃㪇㪇㪇 㪎㪇㪃㪇㪇㪇 㪏㪇㪃㪇㪇㪇 㪐㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪇㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪊ᐕ䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪉㪇ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪊ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪈㪃㪇㪇㪇 㪉㪃㪇㪇㪇 㪊㪃㪇㪇㪇 㪋㪃㪇㪇㪇 㪌㪃㪇㪇㪇 㪍㪃㪇㪇㪇 㪎㪃㪇㪇㪇 㪏㪃㪇㪇㪇 㪐㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨ᱷ૛ᜬಽ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨ᱷ૛ᜬಽ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪊ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⴫㧡 䋱ᦼ㚂 䋱ᦼᧃ 䋲ᦼᧃ 䋳ᦼᧃ ⃻㊄ 㪇 㪄㪈㪇㪃㪌㪇㪇 㪄㪉㪈㪃㪇㪇㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ࿕ቯ⾗↥䋨䊥䊷䉴⾗↥䋩 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 ᷫଔఘළ⚥⸘㗵 㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 䇭⚐࿕ቯ⾗↥ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪏㪃㪏㪍㪇 㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ᵹേ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪏㪃㪈㪇㪏 㪏㪃㪏㪊㪏 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 ࿕ቯ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪈㪏㪃㪋㪎㪈 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 㵪 ⇐଻೑⋉ 㪇 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪉㪈㪃㪎㪎㪊 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ⾗ ↥ ⽶ ௌ 䊶 ⾗ ᧄ ⴫㧢 䋱ᦼ 䋲ᦼ 䋳ᦼ ᦼ㑆ว⸘ 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪄㪉㪃㪊㪐㪉 㪄㪈㪃㪍㪍㪉 㪄㪏㪍㪎 㪄㪋㪃㪐㪉㪈 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪈㪇㪃㪌㪉㪉 㪄㪐㪃㪎㪉㪎 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ⚐೑⋉ ᡰᛄ೑ᕷ ᷫଔఘළ⾌ ⴫㧡߅ࠃ߮⴫㧢 㧔ߏෳ⠨㧦ේᧄ㧕 䋱ᦼ㚂 䋱ᦼᧃ 䋲ᦼᧃ 䋳ᦼᧃ 䋱ᦼ 䋲ᦼ 䋳ᦼ ᦼ㑆ว⸘ ⃻㊄ 㪇 㪄㪈㪇㪃㪌㪇㪇 㪄㪉㪈㪃㪇㪇㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 ࿕ቯ⾗↥䋨䊥䊷䉴⾗↥䋩 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪄㪉㪃㪊㪐㪉 㪄㪈㪃㪍㪍㪉 㪄㪏㪍㪎 㪄㪋㪃㪐㪉㪈 ᷫଔఘළ⚥⸘㗵 㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪈㪇㪃㪌㪉㪉 㪄㪐㪃㪎㪉㪎 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 䇭⚐࿕ቯ⾗↥ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪏㪃㪏㪍㪇 㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ᵹേ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪏㪃㪈㪇㪏 㪏㪃㪏㪊㪏 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 ࿕ቯ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪈㪏㪃㪋㪎㪈 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 㵪 ⇐଻೑⋉ 㪇 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪉㪈㪃㪎㪎㪊 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ⚐೑⋉ ᡰᛄ೑ᕷ ᷫଔఘළ⾌ ⾗ ↥ ⽶ ௌ 䊶 ⾗ ᧄ ࿑㧢߅ࠃ߮࿑㧣 㧔ߏෳ⠨㧕 㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪊㪇㪃㪇㪇㪇 㪋㪇㪃㪇㪇㪇 㪌㪇㪃㪇㪇㪇 㪍㪇㪃㪇㪇㪇 㪎㪇㪃㪇㪇㪇 㪏㪇㪃㪇㪇㪇 㪐㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪇㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪊ᐕ䋩 䊥䊷䉴ௌᮭ䋨㪉㪇ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪊ᐕ䋩 ᱷ૛ᜬಽ䋨㪉㪇ᐕ䋩 㪇 㪈㪃㪇㪇㪇 㪉㪃㪇㪇㪇 㪊㪃㪇㪇㪇 㪋㪃㪇㪇㪇 㪌㪃㪇㪇㪇 㪍㪃㪇㪇㪇 㪎㪃㪇㪇㪇 㪏㪃㪇㪇㪇 㪐㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪃㪇㪇㪇 㪈 㪉 㪊 㪋 㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 䋨ᐕ䋩 䋨㊄㗵䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨䊥䊷䉴ௌᮭ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨ᱷ૛ᜬಽ䋩䋨㪊ᐕ䋩 ㊄Ⲣ෼⋉䋨ᱷ૛ᜬಽ䋩䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪊ᐕ䋩 ⚐೑⋉䋨㪉㪇ᐕ䋩 ⴫㧡 䋱ᦼ㚂 䋱ᦼᧃ 䋲ᦼᧃ 䋳ᦼᧃ ⃻㊄ 㪇 㪄㪈㪇㪃㪌㪇㪇 㪄㪉㪈㪃㪇㪇㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ࿕ቯ⾗↥䋨䊥䊷䉴⾗↥䋩 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 ᷫଔఘළ⚥⸘㗵 㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 䇭⚐࿕ቯ⾗↥ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪏㪃㪏㪍㪇 㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ᵹേ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪏㪃㪈㪇㪏 㪏㪃㪏㪊㪏 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 ࿕ቯ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪈㪏㪃㪋㪎㪈 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 㵪 ⇐଻೑⋉ 㪇 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪉㪈㪃㪎㪎㪊 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ⾗ ↥ ⽶ ௌ 䊶 ⾗ ᧄ ⴫㧢 䋱ᦼ 䋲ᦼ 䋳ᦼ ᦼ㑆ว⸘ 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪄㪉㪃㪊㪐㪉 㪄㪈㪃㪍㪍㪉 㪄㪏㪍㪎 㪄㪋㪃㪐㪉㪈 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪈㪇㪃㪌㪉㪉 㪄㪐㪃㪎㪉㪎 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ⚐೑⋉ ᡰᛄ೑ᕷ ᷫଔఘළ⾌ ⴫㧡߅ࠃ߮⴫㧢 㧔ߏෳ⠨㧦ේᧄ㧕 䋱ᦼ㚂 䋱ᦼᧃ 䋲ᦼᧃ 䋳ᦼᧃ 䋱ᦼ 䋲ᦼ 䋳ᦼ ᦼ㑆ว⸘ ⃻㊄ 㪇 㪄㪈㪇㪃㪌㪇㪇 㪄㪉㪈㪃㪇㪇㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 ࿕ቯ⾗↥䋨䊥䊷䉴⾗↥䋩 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪄㪉㪃㪊㪐㪉 㪄㪈㪃㪍㪍㪉 㪄㪏㪍㪎 㪄㪋㪃㪐㪉㪈 ᷫଔఘළ⚥⸘㗵 㪇 㪄㪏㪃㪏㪍㪇 㪄㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪄㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪈㪇㪃㪌㪉㪉 㪄㪐㪃㪎㪉㪎 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 䇭⚐࿕ቯ⾗↥ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪈㪎㪃㪎㪈㪐 㪏㪃㪏㪍㪇 㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ᵹേ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪏㪃㪈㪇㪏 㪏㪃㪏㪊㪏 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 ࿕ቯ⽶ௌ䋨䊥䊷䉴⽶ௌ䋩 㪈㪏㪃㪋㪎㪈 㪐㪃㪍㪊㪊 㵪 㵪 ⇐଻೑⋉ 㪇 㪄㪈㪈㪃㪉㪌㪉 㪄㪉㪈㪃㪎㪎㪊 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ว⸘ 㪉㪍㪃㪌㪎㪐 㪎㪃㪉㪈㪐 㪄㪈㪉㪃㪈㪋㪇 㪄㪊㪈㪃㪌㪇㪇 ⚐೑⋉ ᡰᛄ೑ᕷ ᷫଔఘළ⾌ ⾗ ↥ ⽶ ௌ 䊶 ⾗ ᧄ

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 このような割引率に基づき決定される投資利 益の性格に着目すると,リース投資過程におい て投下資本として拘束される残余価値(残余持 分)の機能は,期待割引額たる確定的収益の稼 得を前提とする(リース債権と同様,投資利益 がリース料に含めて回収される)ことから,貨 幣的現象として捉えられる.つまり,損益計算 上,残余価値(残余持分)は金融投資のごとく 機能する10)(資本循環公式で表現すると,G → Gʼ となる)11)  これに対して,再投資過程(当初のリース契 約期間終了後)における残余価値は,(リース 投資過程において,資本コストやリスクに相応 する利益を獲得する機能を果たしたのち,)不 特定の第三者に対する売却・再リース,または 自らの使用等によって,利益を獲得する機能を 果たす.したがって,再投資過程における残余 価値にかかる投資利益は,レサーの用途如何で 変化するため,未だ不確定である.なお,本節 の冒頭で述べた残余持分の定義は,リース投資 過程ではなく,このような再投資過程における 残余価値の機能に言及したものといえる.  再投資過程における残余価値にかかる投資利 益の性格に着目すると,この過程において投下 資本として拘束される残余価値の機能は,(本 稿の設例で言えば)売却による不確定な売却収 益の実現を前提とすることから,物的現象とし て捉えられる.つまり,損益計算上,残余価値 は事業投資と同様に機能する(資本循環公式で 表現すると,G → W → Gʼ となる).  以上のように,レサーの投資過程の文脈に 沿って表現すると,A 法は,リース債権のみ をリース投資過程にかかわる投下資本とみなす ことにより,投資利益全額を債権利息として認 識する.つまり,残余価値を,リース投資過程 ではなく,再投資過程にかかわる投下資本と位 置付け,リース投資過程における残余価値の機 能を一切無視する.次に,B 法は,残余価値を リース投資過程にかかわる投下資本とみなすも のの,リース物件(残余価値)の返却に伴うレ サーへの支配の移転を契機としてかかる投資利 益を認識する.つまり,リース投資過程にかか る残余価値の投資利益をその投資期間内に完了 させず,再投資過程をまって認識する.  要 す る に,A 法 は,リース 投資過程 の(特 に投資回収にかかる)残余価値の機能を無視し, B 法は,リース投資過程(金融投資)と再投資 過程(事業投資)の残余価値の機能を識別しな い.そして,C 法のみが各投資過程における残 余価値の機能を明示的に区別して表現すると解 釈できる.このように解せば,C 法の収益認識 パターンを見る限りにおいて,貨幣の時間価値 をあらわす資本コストに特定のリスクを加味し た利子率を割引率として用いる G4+1 レポート が C 法の採用を勧告することは,論理的に一 貫性を有するといえる. 4 レシー側における残余価値の影響  冒頭で述べたとおり,使用権モデルを所与と すれば,残余価値は,レシーのストック計算上 認識されない.したがって,残余価値の存在は, 一見するとレシーの会計処理に何ら影響を及ぼ さないと解される.この点を改めて検討すべく, 本節では,G4+1 レポートおよび共同プロジェ クトにおけるレシーの会計処理方法を概説した 上で,レシーのストック計算とフロー計算に潜 在する残余価値の影響について数値例を用いて 考察する.  G4+1 レポートは,その冒頭で,公正価値で はなく歴史的原価モデルの文脈で使用権モデ ルに取り組むという趣旨を示している(Nailor and Lennard [2000], par. 1. 22).し た がって, 使用権 お よ び 支払義務 を 契約上 の 権利・義務 の公正価値で測定することを第一義とするもの の,このような趣旨に照らして,使用権に関し ては,一般の取得資産の原価による測定と同様 に,与えられた対価の公正価値を示す最低支払 額の現在価値による測定を勧告している(Nailor and Lennard [2000], pars. 3. 13─3. 15)12).そ し て,レシーが最低支払額に適用する割引率は,

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88 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月) レシーの追加借入利子率,またはレシーが知り

え,かつレシーの追加借入利子率と妥当な近似 をあらわす場合に限り,リースの内部利益率と す る(Nailor and Lennard [2000], 6).な お, 支払義務に関しては,具体的測定値は明示され ていない.つまり,資産のミラーイメージによ る負債の測定が仮定されている.しかしながら, G4+1 レポートは,その最終章において,支払 義務を金融負債として認識し,それを公正価値 で測定することを今後の課題として掲げている (Nailor and Lennard [2000], ch. 14).

 2007 年 6 月 に 公表 し た Agenda Paper 4A, B に お い て,共同 プ ロ ジェク ト は,G4+1 レ ポートの掲げた課題に沿った議論を展開してい る.すなわち,共同プロジェクトは,Agenda Paper 4B において,リースと購入をともに, 企業が営業に供する資本財の使用を獲得する ための代替的な財務的手段と捉えている.し た がって,リース と 購入 を 類似取引(similar transactions)として処理すべく,有形固定資 産のリースから生起する使用権を企業結合以外 で取得される有形固定資産に関する現行の会計 基準13)と整合するように,また無形資産のリー スから生起する使用権を企業結合以外で取得さ れる無形資産に関する現行の会計基準14)と整合 するように測定するという暫定的合意を表明す る(IASB [2007d], pars. 4, 22, 59).そ の 理由 の一つとして,共同プロジェクトは,リースと 購入を区別するルールを廃することで,資産取 得を構成する企業に対して恣意的な選択の余地 を与えないことを挙げている.ここで企業の 恣意的な選択とは,たとえば,企業がリース に適用される測定モデルと購入に適用される 測定モデルの有利・不利を比較考量し,リー スまたはプット・オプション付購入として(as purchases, perhaps, with an associated put option)資産取得を構成することをいう(IASB [2007d], pars. 51, 60).  Agenda Paper 4B の 暫定的合意 を よ り 具体 的 に 述 べ る と,現行 の 有形固定資産会計基準 や 無形資産会計基準 の 規定 に 準 じ て,使用権 は,原則として,与えられた対価の公正価値, すなわち支払義務に基づき当初認識時に測定 さ れ る(IASB [2007d], pars. 7, 9, 26─27).な お,当初認識以降の測定については,IFRS と 米国 GAAP でコンバージェンスに至っていな い(IASB [2007d], pars. 31─35, 53).  このように使用権の測定は,支払義務の当 初認識時の測定に依存する.Agenda Paper 4A の 暫定的合意 に よ れ ば,支払義務 は,現行 の 金融商品会計基準15)に お け る 金融負債 の 定義 に合致することを論拠として(IASB [2007c], pars. 5-9),当初認識において公正価値で測定 さ れ る.し た がって,Agenda Paper 4A は, G4+1 Position Paper の目標を踏襲したといえ そうである.しかしながら,支払義務の公正価 値測定の支持理由の 1 つに「レサーに支払う契 約上のキャッシュ・フローの公正価値は通常確 実に測定されること」を挙げることから,結局 のところ,レシーの見積キャッシュ・アウトフ ローに基づく測定を前提とするものと解釈され る(IASB [2007c], pars. 5─9, 29─32).ま た,当 初認識以降における支払義務の測定については, 契約当初に公正価値による測定を選択する場合 を除き,実効金利法による償却原価で測定され ることに暫定的に合意している(IASB [2007c], par. 47).ここで,実効金利法においては,見 積 キャッシュ・フ ローの 変動額 は 簿価修正方 式(catch up approach)に基づき処理される (IASB [2007c], par. 47).な お,簿価修正方式 とは,負債の帳簿価額を当初実効利子率で割り 引くことによって見積キャッシュ・フローの現 在価値を計算する方法をいう(IASB [2007c], par. 18; FASB [2000a], pars. 97─98).

 共同 プ ロ ジェク ト は,Agenda Paper 4A と 4B に 続 き,2008 年 7 月 に Agenda Paper 13D を公表している.Agenda Paper 13D は, SFAS13 および IAS17 におけるファイナンス・ リース と 同様 に,レ シーの 使用権 と 支払義務 の測定が最低リース料支払額(minimum lease (396)

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payments)の現在価値に基づくことを提案す る.したがって,使用権の当初測定は,支払義 務またはリース項目の公正価値のうちいずれか 低い方とするよう勧告される.他方,支払義務 の当初測定は,リース開始日におけるリース項 目の公正価値または最低リース料支払額の現 在価値のいずれか低い方とするよう勧告され る.なお,最低リース料支払額は,決定できる ならば内在利子率,または追加借入利子率のい ずれかをもって割り引かれると勧告されている (IASB [2008], pars. 2, 4, 10, 14, 21).  また,Agenda Paper 13D によれば,使用権 の当初認識以降の測定については,所有資産 の償却と同様に,予想使用期間にわたり使用 権の償却可能価額を各期に配分するよう勧告さ れる.他方,支払義務の当初認識以降の測定に ついては,支払義務を財務費用と負債残高の減 少の間に配分するよう勧告されている(IASB [2008], pars. 25, 26, 33).  以上,G4+1 Position Paper お よ び 共同 プ ロ ジェク ト が 公表 し た 2 つ の Agenda Paper (2007 年 6 月公表 お よ び 2008 年 7 月公表)を 比較すると,次のような共通点・相違点が指摘 されうる.  資産・負債の当初測定については,結局のと ころ,最低リース料総額の現在価値という将来 キャッシュ・アウトフローに基づくことで首尾 一貫している.すなわち,使用権モデルにおけ る原価による測定の論拠は,いずれにおいても, 現行リース会計基準におけるファイナンス・ リースと同様に,「購入との類似性」に求めら れることが指摘される.  しかしながら,当初割引率に関しては相違 が見受けられる.すなわち,G4+1 レポートで は,第一義にレシーの追加借入利子率の適用を 勧告する.また,2007 年公表の Agenda Paper 4B では,(支払義務の)公正価値測定が暫定的 に合意されていることから,現在の市場利子 率を前提としている.これに対して,2008 年 公表 の Agenda Paper 13D で は,レ シーの 追 加借入利子率かリースの内在利子率のいずれ かにより適用することを勧告しており,G4+1 Position Paper お よ び Agenda Paper 4B で 棄 却された内在利子率を再び議論の俎上に載せて いる.この点を念頭に置き,レシー側の(損 益)計算構造において残余価値の影響が顕在す るか,考察を試みる.  表 5 から表 8 は,設例 1(短期リース)およ び設例 2(長期リース)の数値に基づき,使用 権モデルを適用した場合におけるレシーのス トック計算およびフロー計算(端数調整後)を 示したものである.なお,機械は,リース期間 を耐用年数とし,リース期間終了時の残余価値 を残存価額とする定額法により減価償却される こととする.  ここで使用権モデルの計算構造の特徴を浮き 上がらせるために,購入の設例と比較する.表 9 から表 12 は,設例 3(短期プット・オプショ ン 付購入)お よ び 設例 4(長期 プット・オ プ ション付購入)の数値に基づき,購入者(以下, 買手)のストック計算およびフロー計算(端数 調整後)を示したものである.なお,リースと 購入の本質的な違いを端的に示すために,これ らの設例における債務条件(借入額,利子率, 支払期間および毎期支払額)および取得資産の 使用期間は,設例 1 および設例 2 と同一に設定 している. [設例 3:短期プット・オプション付購入] 買手は,第 1 期 首に機械(公正価値 100,000)を購入し,代金のうち 73,421(第 3 期末の残余価値の公正価値の割引現在価値と同額)を現金 にて支払い,残額 26,579 を借り入れる契約を締結する.借入 金は 3 年にわたり年間 10,500 を支払うことで返済される.機 械はリース期間を耐用年数として定額法により減価償却され る.また,この契約にはプット・オプションが設定されてお り,第 3 期末に行使される.なお,残存価額および売却価格は, 第 3 期末の残余価値の公正価値 95,083 と同額とし,借入利子 率は 9% とする. (注)本稿 は,前述 し た 共同 プ ロ ジェク ト の 記述(IASB [2007d], par. 51)を 受 け て,「プット・オ プ ション 付購入」 を,(リース期間終了後にリース物件の返却が予定されてい るリースと比較すべく,)「将来の特定の期日に売却が予定さ れている購入」という意味で捉えている.したがって,当該

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90 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月) プット・オプション付購入は,ディープ・イン・ザ・マネー, かつ,ヨーロピアンタイプであることを条件とする.なお, 議論の簡略化のため,プット・オプションの公正価値を考慮 しない.以下の設例においても同様とする. [設例 4:長期プット・オプション付購入] 買手は,第 1 期 首に機械(公正価値 100,000)を購入し,代金のうち 6,667(第 20 期末の残余価値の公正価値の割引現在価値と同額)を現金 にて支払い,残額 93,333 を借り入れる契約を締結する.借入 金は 20 年にわたり年間 9,330 を支払うことで返済される.機 械はリース期間を耐用年数として定額法により減価償却され る.また,この契約にはプット・オプションが設定されてお り,第 20 期末に行使される.なお,残存価額および売却価 格 は,第 20 期末 の 残余価値 の 公正価値 29,668 と 同額 と し, 借入利子率は 7.75% とする.  リースと購入のフロー計算に着目すると,た とえば,短期リースの総費用(31,500;表 6 参 照)と短期プット・オプション付購入の総費用 (9,839;表 10 参照)との差額 21,661 は,レサー の残余持分にかかる資本コスト相当額(表 2 参 照)と一致することがわかる16).つまり,レシー 側におけるリースと購入の決定的な違いは,残 余価値の資本コストを負担するか否かにある.  さらに付言すれば,レシーの費用総額(リー ス料総額)は,次の 3 つの要素から構成される (括弧内は , 短期リースおよび短期プット・オ プション付購入の設例の数値に基づく)17) ① 購・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・入とリースの選択の区別なく認識される 機械の公正価値(購入価格)から残存価額 を控除した「減価償却費の要素」(4,917) ② 購・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・入とリースの選択の区別なく負担する借 入資金にかかる資本コストに相当する「利 息の要素」(4,921) ③ 購・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・入ではなくリースを選択したことにより 余計に支払うことになる残余価値にかかる 「資本コストの要素」(21,661)  単純なノンキャンセラブルリース取引を想定 すると,残余価値にかかる資本コスト(③)は, 本来の減価償却費(①)とともに原価に含めら (398) 表5 レシーのストック計算(設例1) 表6 レシーのフロー計算(設例1) 表7 レシーのストック計算(設例2) 表8 レシーのフロー計算(設例2) 1 期首 1 期末 2 期末 3 期末 資産 現金 0 -10,500 -21,000 -31,500 固定資産(リース資産) 26,579 26,579 26,579 26,579 減価償却累計額 0 -8,860 -17,719 -26,579 純固定資産 26,579 17,719 8,860 0 合計 26,579 7,219 -12,140 -31,500 負債・資本 流動負債(リース負債) 8,108 8,838 9,633 - 固定負債(リース負債) 18,471 9,633 - - 留保利益 0 -11,252 -21,773 -31,500 合計 26,579 7,219 - 12,140 -31,500 1 期 2 期 3 期 期間合計 減価償却費 -8,860 -8,860 -8,860 -26,579 支払利息 -2,392 -1,662 -867 -4,921 純利益 -11,252 -10,522 -9,727 -31,500 1 期首 1 期末 2 期末 20 期末 資産 現金 0 -9,330 -18,660 -186,600 固定資産(リース資産) 93,333 93,333 93,333 93,333 減価償却累計額 0 -4,667 -9,333 -93,333 純固定資産 93,333 88,666 84,000 0 合計 93,333 79,336 65,340 -186,600 負債・資本 流動負債(リース負債) 2,097 2,259 2,434 - 固定負債(リース負債) 91,236 88,977 86,543 - 留保利益 0 -11,900 -23,637 -186,600 合計 93,333 79,336 65,340 -186,600 1 期 2 期 20 期 期間合計 減価償却費 -4,667 -4,667 -4,667 -93,333 支払利息 -7,233 -7,071 -671 -93,267 純利益 -11,900 -11,737 -5,338 -186,600

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れ,減価償却費として費用化される.他方,支 払義務にかかる資本コスト(②)は,支払利息 として区別して費用化される18).しかしながら, 現実のリース料総額には,資本コストやリス クの要素のほか,維持管理費等プロフィット・ マージンが加味されることが多い.このような 取引事実に鑑みると,利息要素のみを区別する レシーの費用認識の正当性には次のような疑問 が呈せられる.  支払義務の割引計算に際して,レシーの追加 借入利子率が適用されるならば,支払義務の期 待割引額は利息要素とみなしうる.前述のとお り,G4+1 レポートは,レシーがリース料総額 に適用する割引率として,一義的にレシーの追 加借入利子率を挙げる.なぜなら,一般に,支 払額を公正価値に割引く利子率とは,貨幣の時 間価値とキャッシュ・フローに伴うリスクを反 映する市場利子率をいい(Nailor and Lennard

[2000], pars. 6. 1─6. 2),これを所与とすれば, 支払リース料に伴う主要リスクは通常レシー の信用リスクであることから,リース契約と同 程度の安全性をもってリース期間中にレシーが 借り入れる場合の利率が最適な割引率とみなさ れるからである(Nailor and Lennard [2000], par. 6. 4).以上 よ り,レ シーの 追加借入利子 率が適用される限りにおいて,割賦購入の擬制 に基づくレシーの費用認識は理にかなう.  他方,リースの内部利益率は,前述のとおり, レシーの信用リスクと残余価値リスクという異 質なリスクを反映する 2 つの利率から構成され る.この複合利率を適用すると,残余価値リス クの一部は,支払義務の測定値に反映されるこ とになる(Nailor and Lennard [2000], pars. 6. 5, 6. 12).たとえば,リース物件 10,000(残余 価値 3,000)を年間リース料 3,228 で 3 年間リー スする場合において,リスクフリー・レートに 表9 買手のストック計算(設例3) 表 10 買手のフロー計算(設例3) 表 11 買手のストック計算(設例4) 表 12 買手のフロー計算(設例4) 1 期首 1 期末 2 期末 3 期末 資産 現金 -73,421 -83,921 -94,421 -9,839 固定資産(購入資産) 100,000 100,000 100,000 - 減価償却累計額 0 -1,639 -3,278 - 純固定資産 100,000 98,361 96,722 - 合計 26,579 14,440 2,300 -9,839 負債・資本 流動負債(借入金) 8,108 8,838 9,633 - 固定負債(借入金) 18,471 9,633 - - 留保利益 0 -4,031 -7,333 -9,839 合計 26,579 14,440 2,300 -9,839 1 期 2 期 3 期 期間合計 減価償却費 -1,639 -1,639 -1,639 -4,917 支払利息 -2,392 -1,662 -867 -4,921 純利益 -4,031 -3,301 -2,506 -9,839 1 期首 1 期末 2 期末 20 期末 資産 現金 -6,667 -15,997 -25,327 -163,600 固定資産(購入資産) 100,000 100,000 100,000 - 減価償却累計額 0 -3,517 -7,033 - 純固定資産 100,000 96,483 92,967 - 合計 93,333 80,486 67,640 -163,600 負債・資本 流動負債(借入金) 2,097 2,259 2,434 - 固定負債(借入金) 91,236 88,977 86,543 - 留保利益 0 -10,750 -21,337 -163,600 合計 93,333 80,486 67,640 -163,600 1 期 2 期 20 期 期間合計 減価償却費 -3,517 -3,517 -3,517 -70,332 支払利息 -7,233 -7,071 -671 -93,267 純利益 -10,750 -10,587 -4,188 -163,600

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92 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月) レシーの信用リスクを加味した利率 10%,さ らに残余価値リスクを加味した利率 15% とい う条件を与える.この場合において,レシーの 追加借入利子率(10%)を適用するならば,リー ス料総額の現在価値は 8,027 と計算される.他 方,リースの内部利益率は 11.4% と計算され, これを割引率とするならば,リース料総額の 現在価値 は 7,831 と 計算 さ れ る(Nailor and Lennard [2000], pars. 6. 7─6. 8, 6. 10 参照)19)  リースの内部利益率は,現行リース会計基準 におけるファイナンス・リースの場合に適用さ れるところであるが20),ファイナンス・リース に分類されるリース取引は一般に長期リースで あるから,残余価値リスクは小さく適用上問題 とはならない.しかしながら,残余価値リスク はリース期間が短期になるにつれ大きくなる (但し,残価保証が設定されていない場合に限 る).以上より,短期リースを認識対象とする 使用権モデルにおいてリースの内部利益率を適 用する場合,支払義務の期待割引額に残余価値 リスクの要素が当然に含まれることから,(割 賦)購入の擬制に基づくレシーの費用認識は表 現の忠実性に欠く.  このように考えると,たとえば,支払義務と 残余価値相当額にかかる資本コスト(レシーに とっての調達資本コスト)を含めた減価償却費 を毎期均等償却する年金法の援用など,(割賦) 購入の擬制に囚われているレシーの費用認識パ ターンには再考の余地があるかもしれない21) ただ,そのためには,「購入との類似性」とは また別に,レシーとレサー双方においてストッ クとフローの両面を整合的に説明しうるリース 取引オンバランス化の論理が求められるはずで ある.リース取引オンバランス化の論理とし て,リスク・経済価値アプローチの時代から引 き続いて「購入との類似性」という外延的な説 明が用いられているが22),本節の考察によれば, このような説明は,総費用に占める残余価値の 資本コストの割合が高い短期リースを認識する 使用権モデルにおいて妥当性を欠く.したがっ て,使用権モデルにおけるオンバランス化の論 理は,残余価値の資本コストの存在を合理的に 説明する新たな分析視角によって展開される必 要がある. 5 リース取引における残余価値の機能―財務 弾力性の供与  管理会計のテキストによれば,現行リース会 計基準を前提するリースと購入の選択は,金融 戦略(債務条件)の優位性に依存する(たとえ ば,Maher et al. [1994], ch. 11; Bierman et al. [2007], ch. 14).しかしながら,債務条件を同 一と仮定し,タックス・シールド等の節税効果 を考慮しない場合,リースという選択肢は,購 入に比して明らかに不利である.なぜなら,前 節で指摘したように,残余価値相当部分の資本 コストを余計に支払わねばならないからであ る.だが,リースが合理的な経済取引である限 りにおいて,レシーは,そのようなコストを負 担する以上,何らかの見返りを受けていると考 えるべきであろう.以下,試論として,残余価 値の資本コストの存在を合理的に説明すべく, リース取引オンバランス化に対する新たな分析 視角を呈示する.  使用権モデルの一般的な効果として,G4+1 レ ポート は,レ シー側 に お け る 財務弾力性 (financial flexibility)の反映を挙げる(Nailor

and Lennard [2000], par. 4. 24).こ こ で 会計 基準設定団体が財務弾力性概念をはじめて詳 述 し た 文献 で あ る FASB 討議資料 Reporting Funds Flows, Liquidity, and Financial Flexibility に よれば,財務弾力性とは,企業が予期しない ニーズや機会に対応すべく,将来キャッシュ・ フローの金額とタイミングを変更する効果的な 行動をとる企業の能力をいう(FASB [1980], par. 6).企業は,好況期に予期しない投資機会 に恵まれ,また,不況期には資金不足に陥るか もしれない(FASB [1980], par. 250).財務弾 力性は,このような不確実性に対する企業の適 応能力の尺度をあらわし,新規投資への配分額 (400)

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や新規借入の限度額といった貸借対照表項目に 直接関連しない潜在的なキャッシュの源泉を示 す(FASB [1980],p. i, par. 184).

 し た がって,財務弾力性 の 高 い プ ロ ジェ ク ト は,非裁量 キャッシュ・ア ウ ト フ ロー (nondiscretionary cash outflow)23)の比率が低 いという特徴を有する.なぜなら,プロジェク トへの再投資は必要条件ではなく,リターンに よってカバーされる支払利息や固定費の比率は 小さいからである.このようなプロジェクトを 多く抱える企業は,頻繁に資本を変更する機会 を有するため,環境変化への適応度が高い.そ の典型的な業種は,短期間で商品を売り上げ て,顧客の好みの変化に即時対応する小売業で ある.他方,財務弾力性の低いプロジェクトを 抱える業種の典型例は,鉄鋼業である.このよ うな業種は,投資回収に長期間を要するため, 環境変化 へ の 即時対応 は 困難 で あ る(FASB [1980], par. 260 参照).  しかしながら,企業は,プロジェクトの性格 によらず,次の方法により,新たな資金調達源 泉を捻出して財務弾力性を高めることができる (FASB [1980],par. 252). ①投資家・債権者からの追加的資本調達 ②営業外資産の流動化 ③予定された営業活動および投資活動の変更  これらの企業活動は,通常の営業活動以外の 新たな資金源泉の取得を意味する.したがって, 通常の営業活動にあたるプロジェクトの性格に より財務弾力性が低い企業は,これらの企業 活動に目を向けることになる(FASB [1980], par. 260).  ここでリースと購入の選択は,③の営業・投 資活動の変更による内的な資金調達源泉の取得 に関連する.ここで③の営業・投資活動の変更 とは,資金インフローの増加または資金アウト フローの減少を意味し,とくに後者は裁量的支 出のレベルに依存する(FASB [1980], pars. 284, 291).たとえば,購入をリースに切り替え る場合,リース物件相当額の非裁量項目がリー ス料総額まで減少し,その差額(残余持分相当 額)は裁量項目に転換する.裁量項目の性格を 有する資金は,非拘束の状態にあると解釈でき, 予期しない投資機会や資金不足に対応可能な財 務的資源として位置付けられる.このように, レシーにとってリースは,残余価値相当額の資 金アウトフローの減少を図る活動であり,まさ に財務弾力性の源泉といえる.  たとえ将来売却が予定されるプット・オプ ション付購入であっても,リースと同様の財務 弾力性は得られない.確かに支払義務に着目 する限りにおいて,リースと購入はともに,① の追加的資本調達(追加借入)による外的な資 金調達源泉の取得と同一視され,ゆえに(同 一の債務条件を仮定すれば)同等の財務弾力 性を得る投資活動と解釈される.しかしなが ら,残余価値に着目すると,購入の場合には, 売却による資本回収まで残余価値相当額の資 本は,拘束され続ける一方(設例 3 では,残余 価値相当額の資本 73,421 は当初の支払により 拘束され,売却により非拘束となる),リース の場合には,当初より非拘束の状態にある.要 するに,リースの場合,購入と比較して,残余 価値相当額の利用可能資金を生み出すことが できる.したがって,リースと購入の違いは, 使・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・用期間にわたる残余価値相当額の資本に対す る投資選択の自由度の程度に求められる.以上 より,リースにより得られる財務弾力性は,購 入によるそれに比して高いと解釈できる.  このようなレシーの投資活動を前提とすれ ば,レサーにとってリースとは,残余価値相当 額の拘束資本を肩代わりすることによって,レ シーに財務弾力性を供与するサービス取引の一 面を有する(図 8 参照).  リースが合理的な経済取引であることを所与 とすれば,レサーは余計に拘束する資本である 残余価値に対する資本コスト(機会原価)をレ シーに最低限求めるはずである.ここで,レサー 側における残余価値の資本コストたる収益は, レサーの財務弾力性の喪失に対する補償として

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94 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月) の対価,換言すれば,レシーへの財務弾力性の 供与に対する対価としての性格を有すると解釈 できる.同様に,レシー側における残余価値の 資本コストたる費用は,残余価値相当額の資本 を節約することによって財務弾力性を高める サービスに対する対価としての性格を有する. すなわち,リース取引は,契約当事者間におい て,信・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・用取引とは別に,財務弾力性を供与する サービス取引を含む複合取引と解される.この ように残余価値相当の資本コストは,財務弾力 性の供与というサービス取引にかかる対価とし て,レシーとレサー双方において合理的に説明 される.  レシー側における使用権モデルの特徴は, リース物件相当額を支払義務として金融商品化 する部分(リース料総額の現在価値)と残余部 分(残余価値の現在価値)に画するストック表 現において端的にあらわれる.この境界を資金 の拘束/非拘束(オンバランス部分/オフバラン ス部分)の状態表示と解せば,レサーが信用を 供与する取引のほかに,より特殊なサービスで ある財務弾力性を供与する取引が,ストック計 算上,表現される24).とりわけ短期リースの場 合,いわば,使用権モデルによってオフバラン スされるストックの高(残余価値相当額)が, 財務弾力性の供与という事実をあらわしている のである.  これに対して,使用権モデルのフロー計算に ついては,財務弾力性の供与を含む複合取引を 反映すべきという観点から改善の余地がある. レサー側においては,数ある代替法のうち,残 余価値の資本コストをあらわす収益を財務弾力 性の供与に対する対価として使用期間にわたり 認識する C 法が求められる.他方,レシー側 においては,リースの内部利益率をもって支払 義務の現在価値を測定する場合,残余価値リス クの要素の一部が利息費用に含まれるという問 題がある.また,レシーの追加借入利子率によ り測定する場合であっても,残余価値の資本コ ストの要素を原価算入し,減価償却費として費 用化すること,すなわち(割賦)購入を擬制す ることの正当性が,特に短期リースの場合にお いて問われることになる. 6 リース会計において投資の実質を反映する 妥当性  2 節におけるレサーの代替法のうち,A 法と B 法における残余価値(残余持分)の資本コス トたる投資利益の処理方法は,いわゆる利息法 に従った収益認識パターンを回避する方法であ るという点で共通する.最後にその根拠を探り たい.  1986 年に公表された FASB 技術公報第 86─2 号 Accounting for an Interest in the Residual Value of a Leased Asset Acquired by a Third Party or Retained by a Lessor That Sells the Related Minimum Rental Payments(以下,FTB86─2 号)25)は,リース 期 間中に残余持分にかかる収益を認識する理由と して次の 2 つを挙げる. ① 金融取引たる直接金融リース・販売型リー (402) 図8 リースにより拘束される貨幣資本

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ス の 見積残余価値 は,実物資産 で は な く リース投資の一部分として最終支払額とみ なされること.

② 残余持分の価値の増加は時の経過により 稼得 さ れ る た め,FASB 概念書第 5 号 Recognition and Measurement in Financial Statements of Business Enterprises(以 下, SFAC 5 号)第 83 項の稼得基準に該当す ること.  しかしながら,FTB86─2 号は,①に関して, 残余価値は金融的要素が欠如するため最終支払 額とみなされないこと,また,②に関して,残 余持分にかかる収益は最終的な売却・処分まで 実現可能 と み な さ れ ず,か つ SFAC 5 号第 84 項に列挙される稼得の例示に合致しないこと をもって,これら肯定理由を棄却する(以上, FASB [1986], pars. 18, 19).つまり,FTB86─2 号は,実物資産に実現基準が適用されることを 所与として26),(リース物件の残価部分である) 残余価値を実物資産とみなす関係上,かかる 収益を実現基準に基づき認識する.ここで,A 法と B 法は,FTB86─2 号の論法を踏襲し,実 物資産と収益認識(実現基準)の整合性を図る べく構築された処理方法であると推知される.  これに対して,C 法は,前述のとおり,リー ス投資過程における残余価値の機能を金融投資 と捉えることによって,実現基準に囚われない 収益認識を可能とする.つまり,投資の実質(金 融投資)と収益認識(稼得基準)の整合性が図 られている.ここで,資産の外形と投資の実質 のいずれかを根拠として収益認識が決定される とすれば27),A 法と B 法は,資産の外形を根 拠とし,C 法は,投資の実質を根拠とするとい える.さらにこの考えを推し進めると,A 法 と B 法は,物的資産の購入との類似性に基づ く処理方法であり,C 法は,財務弾力性の供与 という購入取引には含まれない投資活動をも表 現する処理方法であると理解できる. 7 おわりに  一般にリース取引の経済実質は,レシー側に おいてオ・ン・バ・ラ・ン・ス・される権利と義務に着眼 することによって,所有権または使用権の売 買取引,および,金融または賃貸借サービス取 引等の経済実質と同一視される(たとえば,佐 藤[2007],33─35 頁).これに対して,本稿は, 使用権モデルを前提とする場合にレシー側にお いてオ・ ・ ・ ・ ・ ・フバランスされる残余価値およびその資 本コストの存在に着眼し,残余価値の機能の考 察を通じて,最終的にリース取引のもうひとつ のかくれた経済実質を浮き彫りにした.  第一に,非金融資産とされる残余価値(残余 持分)の収益認識に関する代替法を概説した. 第二に,レサーの投資過程における残余価値の 機能を考察し,リース投資過程では,残余価値 の資本コストに相当する投資利益の確定性から 金融資産として,再投資過程では,投資利益の 不確定性から事業資産として機能すると論じ た.第三に,レシー側における残余価値の影響 を考察し,リースの特徴として残余価値の資本 コストを余計に費用負担する点を指摘した.そ して,第四に,レシーとレサー双方がフロー計 算上認識する残余価値の資本コストの存在に着 目することで,リース投資過程における残余価 値の金融資産としての機能を掘り下げた.合理 的な経済取引を前提とすれば,残余価値の資本 コストに対する補填が当然に仮定される.そし て,この仮定から,レサーのレシーに対する財 務弾力性の供与というリースの経済実質の一面 を浮き上がらせた.そして,最後に,残余価値 の資本コストを収益として認識する論拠として 投資の実質を反映する会計思考に言及した.  とくに短期リースを含むすべてのノンキャン セラブルリースをオンバランスする使用権モデ ルにおいて,投資の実質に基づく会計表現が要 請されるならば,リースの財務弾力性を供与す る一面は無視できない.さらに付言すれば,こ の一面は,使用権モデルにおいてもオフバラン

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96 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 4・5 号(2009 年 1 月) スされるキャンセラブルリースの経済実質に通 底するだろう.このように使用権モデルの有す るリース取引に対する分析視角は,現行リース 会計基準においてオンバランスの論拠とされる 購入との類似性とはまた異なる新局面を提示す る. 参考文献

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参照

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