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環太平洋パートナーシップ (TPP)協定 -- 始まり、意義および見通し (特集 APECはどこにいくのか? -- APEC研究センターコンソーシアム会議2010)

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(1)

環太平洋パートナーシップ (TPP)協定 -- 始まり、

意義および見通し (特集 APECはどこにいくのか?

-- APEC研究センターコンソーシアム会議2010)

著者

ロバート スコレー

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

183

ページ

10-16

発行年

2010-12

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004352

(2)

●はじめに

  二〇〇八年九月 、アメリカは 、 いわゆる﹁ P4 ﹂ F T A、つまり 太平洋横断戦略的経済連携︵ TP SEP ︶協定への参加に向けて交 渉すると発表した。二〇〇八年一 一月には、オーストラリアおよび ペルーも、協定拡大に向けた交渉 に参加すると発表し 、それ以来 、 同協定は単に TPP 、つまり環太 平 洋 パ ー ト ナ ー シ ッ プ ︵ T rans-P acific P artnership ︶協定として知 られるようになった。二〇〇九年 後半 、バラク ・オバマ大統領は 、 アメリカが拡大された協定を具体 化する過程に﹁関与﹂することを 明言した。 TPP は当時、就任一 年後のオバマ内閣が推進すると公 約した最初の重要な貿易政策で あった。二〇一〇年三月には、ア メリカ、 オーストラリア、 ペルー、 および TPSEP 発足当初の参加 四 カ 国 で あ る シ ン ガ ポ ー ル 、 ニュージーランド、チリ、ならび にブルネイ間で TPP の交渉が正 式に始まり、ベトナムもオブザー バーとしてその交渉に参加した 。 アメリカが TPP への参加に向け て交渉すると決定したことによ り、それまでアジア太平洋地域の 小さな四カ国間の目立たない貿易 協定と認識されていたイニシア ティブが、アジア太平洋地域貿易 のあり方を発展させる大きな潜在 的推進力に変化した。当然のこと ながら、アメリカが対東アジア貿 易・経済政策の手段として TPP を使ってイニシアティブをとるか どうかの可能性に関心がいくだろ うが、さらには TPP が将来的に アジア太平洋諸国のより多くを包 含する可能性があるか、および七 または八カ国の参加国間の交渉に より明らかになる協定の構造なら びに内容がどのようなものになる か、に関しても注目が集まるだろ う。こうした参加国の多くの二国 間貿易関係はアメリカと四つの参 加国︵オーストラリア、チリ、ペ ルーおよびシンガポール︶との既 存の二国間 FT Aを含め、既存の FT Aによってカバーされてい る。同時に、これらの新しい進展 により、そもそも TPP がどのよ うにして始まったのか、という関 心を刺激するのは自然の成り行き であろう。   本論文は最初に、最終的に現在 の TPP 交渉にいたる経緯を簡単 に説明する。つぎに TPP の意義 を述べる。 TPP を拡大すること の意味は、現在の参加国を超えて アジア太平洋地域の他の主要国を 包含するまでに拡大することの将 来的可能性にあり、アメリカを初 めとする他の主要国が自国の経済 的利益を踏まえて TPP を評価す ることが決定的な意味をもつだろ うとの結論を導きたい。 本論文は、 現在の TPP 交渉、および他のア ジア太平洋諸国が TPP に参加す る見通しに関わる主要な問題を提 示して締めくくる。

●TPPの発端

  チリ、 ニュージーランドおよび シンガポール三カ国は当初参加 国であり TPSEP を形成して いた。 これら三カ国はすでに一九 九八年末にも 、﹁太平洋五カ国﹂ つまり ﹁ P 5 ﹂ の貿易協定の可能 性に関して、 アメリカおよびオー ストラリアと非公式の議論を開 始していた。 A PEC 全体のなか では遅々としてなかなか進まな い環太平洋の貿易自由化である が 、同協定は ﹁志を同じくする﹂ A PEC 加盟エコノミーが自由 化を早いペースで前進させる方 策 と 見 な さ れ て い た 。︵ Hoadley [2002], Fallow [1999] ︶ 。   TPP の非公式の議論は、断続 的にではあるが一九九九年まで続 く。この背景にはA PEC の早期 自主的分野別自由化 ︵ E V SL ︶ イニシアティブの成果に対する悲 観的な見方があった。 TPP のコ ンセプトは二〇〇〇年の中頃まで は参加国有望国の間で話題に上っ て い た 。 シ ン ガ ポ ー ル お よ び ニュージーランドは、最も積極的 な姿勢を示した加盟国であった。   しかし、二〇〇〇年末までには ﹁ P 5 ﹂協定の見込みはしぼんで しまった。というのも、 アメリカ、 クリントン政権最後の数カ月間は 他の政策の実行に優先度が置か

環太平洋

PP

協定

       

︱始

意義

見通

APEC研究センター

コンソーシアム会議2010

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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定 

―始まり、意義および見通し れ、大統領には貿易促進権限︵ T P A︶が与えられていなかったこ とによりいかなる交渉を進める上 でも不利な立場にあったこと、ま た、オーストラリアがその頃、優 遇的な貿易協定の新ラウンドに参 加することに依然として慎重で あったためである。関係五カ国は 二国間の交渉を進展させることの 方が容易だと判断した 。例えば 、 シンガポールおよびニュージーラ ンドは二〇〇一年に FT Aをまと め、シンガポールは続いてオース トラリアおよびアメリカと FT A を成立させた︵オーストラリアは これにより FT Aに対する疑念を ひとまず晴らしたといえる︶ 。オー ストラリアおよびチリは二カ国と も、アメリカとの FT A交渉に成 功した。このとき、オーストラリ アはニュージーランドが自国およ びアメリカを三国間の貿易協定に 参加させるべきであるとの提案を 拒絶した。チリおよびニュージー ランドが、二国間の FT Aに向け た交渉に乗り出したがこれは早い 段階で大きな困難に直面してい る。   当初チリ・ニュージーランド間 の交渉にまつわる問題がだんだん と解れてきたのにつれ 、シンガ ポール、チリおよびニュージーラ ンドは、複数国間の環太平洋 FT Aのスキームに再び関心を示しだ した。この三カ国は、アメリカお よびオーストラリアの参加確約を 取り付けることができなかったた め、とりあえず三カ国で維持する ことを決定し、二〇〇二年のA P EC 首脳会合で﹁ P 3 ﹂ FT A交 渉の開始を発表した。その交渉は 二〇〇三年に始まり二〇〇五年六 月に決着した。ブルネイは当初オ ブザーバーとしてその交渉に参加 していたが、二〇〇五年四月に正 規参加に変更した。そのため、同 協定は二〇〇六年七月 、﹁ P 3 ﹂ ではなく、ブルネイをメンバーに 加えた﹁ P4 ﹂として発効した。   P4 参加国の経済規模の小さ さ、および相互間の貿易の全体に 占める割合の低さを考慮すると 、 P4 の貿易面での影響は控えめな ものであった。さらに、 P4 参加 国は、既に相互に FT A協定結ん でいた。こうしたことを前提とし て、 Gao [2009] は 、二〇〇六年 に P 4 協定の下で撤廃された関税 は三〇〇万ドルにも満たなかった と推計した。関税の撤廃は、ブル ネイおよびニュージーランドにつ いては二〇一五年、またチリにつ いては二〇一七年までに完了する 予定である。   サービス貿易に関しては、 P4 は多くの点で 、進捗が見られる 。 例えば、市場へのアクセスおよび 内国民待遇において﹁ネガティブ リスト﹂アプローチが採用された こと、最恵国待遇の規定では P4 参加国があとで結ばれた FT Aの なかで現在の P4 との取り決めよ り自由度の高い条項があれば、そ れは他の P4 参加国にも拡大適用 することを義務付けたことなどで ある。また、 ﹁ラチェット﹂ ︵逆戻 り防止︶条項では、後の一方的な 自由化施策が、 P4 の枠組みのな かでの一歩進んだものとして導入 された場合、その施策が廃止また は改正されたとしても自由化の水 準を後退させることができないと 規定している。 しかし、 Gao [2009] は、こうした自由化効果は、協定 の二つの付属文書の中で各当事者 が一部の重要な部門を除外した り、広い分野において留保条件を つけることによって幾分相殺され ていると述べている。投資の条項 とともに、金融サービスに関する 取り決めは発効後二年以内に交渉 するというきめに基づき 、金融 サービスは完全に同協定から除外 されている 。︵サービス貿易の規 定は既に﹁商業の拠点﹂の下に取 り決めがなされているにもかかわ らず。 ︶   公式声明においては、 P4 参加 国は同協定が貿易面の影響力を大 仰に誇張しようとせず、むしろア ジア太平洋地域全体の自由化およ び連携に貢献する﹁質の高い﹂協 定として戦略的価値の面を強調し た。一方、 Gao [2009] は 、 財 ・ サ ー ビスの貿易に関する規定の詳細な 比較評価研究を行い、 P4 は﹁質﹂ の点では﹁変わったことは何もな い﹂と結論付けている。大部分が Gao の分析の対象には含まれてい ないものの、 TPP の他の章の多 くは、この判断が当てはまるだろ う。即ち、通関手続き、貿易救済 措置、 衛生植物検疫措置 ︵ SPS ︶・ 貿易の技術的障害︵ TBT ︶の方 策、競争方針、知的財産、および 政府調達に関する章が含まれてい る。他の FT A︵アメリカを含む ものを除く︶に必ずしも見られる わけではない特徴は、労働分野で の協力に関する覚書︵ MO U ︶お よび環境面での協力を取り扱う協 定が P4 へ付されていることであ る。これらは、当時のニュージー ランドの労働党内閣が、 FT Aへ の取り組みに向けて幅広い政治的 支援を確保するため労働団体や環 境保護団体との事前合意を履行す るために必須であった。 MO U お よび協定の効果は、政府が P4 に 関する評価や公の議論を行う際 、 必ず労働および環境問題を議題に 盛り込むことを保証するというこ とにある。   おそらく、 P4 が他のスキーム と顕著に異なる特徴は 、﹁当事者 間で合意に達すれば、A PEC 加

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認 め る と い う 加 盟 規 定 6条︶である 。この条項は 、 。 PEC 加盟エコ P4 への参加に関心を示 。 TP 、 P4 協定に追 P4 への完全参 可 能 性 を 探 っ て い た [二〇〇八A] ︶。 ︵ U STR ︶ P PEC 首脳会合で、両国 P4 への参加を模索 TPP じて保留の姿勢を続けた。オバマ 政権の政治活動エネルギーはむし ろ内政上の優先事項、特に保険制 度改革に向けられた。オバマ大統 領が最終的に、アメリカが TPP に ﹁関与﹂すると発表したのは 、 二〇〇九年一一月、シンガポール でのA PEC 首脳会合への途上の こ と で あ っ た︵USTR [ 二 〇 〇九] ︶。アメリカが正式に交渉に 参加することを決定したことを明 言する声明であり、二〇一〇年初 めに交渉は開始されたのである 。 前述のように、これは当時として はオバマ政権が取った最初の主要 な貿易政策のイニシアティブで あった。

●TPPの意義

  TPP 参加国の二国間関係は二 八あるがそのうち 、八つの関係は 既存の FT A関係によってカバー されていない 。この八つの関係に ついては関係するどちらかの一国 、 あるいは両国にとって 、貿易面で それほど重要性がないものである 。 従って 、当然のことながら TPP は FT Aの覆いを広げることに よって現在の加盟国間の貿易量を 劇的に増加させることを意図する ものではない 。もちろん FT Aに おける貿易の範囲を広げること 、 あるいは FT Aに新たな対し内容 を付加する場合もあるが 。表 1 が 示すように 、シンガポー ルは既に 、すべての TP P 参加国との間に既存の F T A 関 係 を 結 ん で お り 、オーストラリアはペ ルー以外 、チリはベトナ ム以外のすべての TPP 参加国との間に既存の F T A関係を有している 。 アメリカにとっては 、 T PP により FT A相手国 の リ ス ト に ベ ト ナ ム 、 ニュージーランドおよび ブルネイが加わった 。ベ トナムは人口の多さから 市場が急速に成長する可 能性を秘めているがそれ 以外の国はアメリカの貿 易相手国としてはすべて 重要度は小さい 。 TPP 参加でペルーは 、オース ト ラ リ ア 、 ベ ト ナ ム 、 ニュージーランドおよび ブルネイとの新たな FT A関係を築いたが 、どの 国も貿易相手国としての 存 在 感 は 薄 い 。 ニ ュ ー ジーランド 、ベトナムお よびブルネイは 、 TPP へ参加することにより 、 アメリカと新たに FT A 関係を持てるというこの 上なく貴重なもの手にす ることができる 。 TPP 表1 既存のFTAによるTPP参加国間の二国間貿易の範囲 アメリカ オーストラリア シンガポール チリ ペルー ニュージーランド ベトナム ブルネイ アメリカ 二国間協定 二国間協定 二国間協定 二国間協定 オーストラリア 二国間協定 二国間協定 二国間協定 二国間協定 シンガポール 二国間協定 二国間協定 二国間協定 二国間協定 チリ 二国間協定 二国間協定 二国間協定 ペルー 二国間協定 二国間協定 二国間協定 ニュージー ランド 二国間協定 二国間協定 ベトナム ブルネイ (出所)筆者作成。

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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定 

―始まり、意義および見通し は 、この三カ国にペルーとの新た な FT A関係ももたらし 、ベトナ ムにとってはチリとの新たな FT A関係をもたらした。   TPP が地域により多くの利益 をもたらすにはアメリカが参加す ることが必須であることは明らか にわかっている 。しかしながら他 の TPP 参加国とアメリカとの貿 易額はアメリカの貿易全体の四 % を占るに過ぎない。 P etri [2010] が 指摘したとおり図 1 で示すように 、 アメリカの貿易がもたらす TPP の真の潜在的な重要性は 、将来 、 アジア太平洋諸国がどんどん TP P へ参入し続けるかどうかで決ま る 。カナダ 、メキシコ 、韓国およ びマレーシアが参加することによ り 、 TPP がアメリカの貿易全体 に占める割合は三六 % に上昇する だろう 。日本および残りのA SE A N 加盟国が参加するとその割合 はさらに四四 % に上昇し 、中国 、 台湾および香港も参加すると六 〇 % に達するだろう。   ただし、こうした図表も、アメ リカの TPP 参加の潜在的な重要 性を示す指標ものとして適切なも のとは言えない。ひとつには、ア メリカはすでに、現在の TPP 参 加国のうち四カ国との間に FT A 関係があり、 N A FT Aを通じて カナダおよびメキシコの間に既存 の FT A関係を有し、さらに KO RU S FT Aが批准され発効す れば韓国との間に、 FT A関係を 有することになるためである。こ うした国々は、 TPP 参加国に含 めたとしても、アメリカの FT A 相手国リストのメンバーが増える わ け で は な い 。 Barfield [2009] が強調しているように、 TPP は、 アメリカにとっては、環太平洋地 域経済統合構想の実現に向けての 具体的な一歩、というより広い文 脈の中で大きな意義を持っている のである。地域の経済統合は、最 初にA PEC において、またより 最近ではアジア太平洋自由貿易圏 ︵ FT AA P ︶において具体化さ れてきている。他方、それらに対 峙、並行するものとしてA SE A N + 3 ︵A PT ︶および東アジア サミット︵ E A S ︶グループ国の 間では ﹁アジア諸国に限定した 、 より狭くより排他的な地域主義構 想﹂が提唱されている。アメリカ 大統領の二〇〇八年﹁貿易協定プ ログラムに関する年次報告﹂ ︵ U S T R [ 二 〇 〇 八 B] の 中 で 、 U STR は﹁アメリカを排除する いくつかの地域的経済統合イニシ アティブの﹂アジア太平洋地域に おける進展に関し懸念を表明して いる。 TPP において具体化され た環太平洋構想を漸進的に実現さ せていく方針は、いきなり FT A A P 設立にむけて同意を模索する という直接的な方針に比べて、ア ジア太平洋全体にまたがる貿易協 定実現への現実的な道筋をつける ことなろう。   この点からみればアメリカは 、 自国の地位を背景に TPP を支持 することによって 、東アジアへの 経済的関与を維持し深化させてい こうという決意を明確に示してい る。 P etri [2010] は、 アメリカの姿 勢の基本には 、輸出を増加させア メリカ経済の均衡を回復すること で対外ポジションを維持していこ うとする経済的使命があることを 指摘している 。今後五年間で東ア ジアがアメリカ全 体の輸出のシェア の四一 % にまで達 するであろうこと を予測しているの である。   このアメリカの 経済的使命の重要 性に鑑みると 、ま たそれを達成する うまい代替施策が ないことを考慮す れば 、おそらくア メリカ通商代表部 ︵ U STR ︶が T PP への支援を構 築するための資源 の大きさは 、国内 のアウトリーチ ・ プログラムに充てた財源︱ Elms [2010] は ﹁前代未聞﹂の額と表 現している︱と同程度のものにな ろう。   アメリカが東アジアとの貿易関 係を強化する意思を示すに当たっ て TPP に言及したことは 、東ア ジアがそれに対しどう対応するか が重大であることを際だたせる 。 そのため 、東アジアが 、かつては 東アジア経済統合の議論の裏側で 隠れて静かに進んでいた問題と四 つに組むことになったことを意味 する 。つまり 、東アジア諸国の経 済統合とアメリカ経済との関係が 図1 アメリカとTPP参加国・潜在的参加国との貿易規模の予測 中国、香港、台湾 0 50 100(%) 日本 他の ASEAN 諸国 カナダ、韓国 マレーシア メキシコ オーストラリア ペルー、アメリカ ベトナム ブルネイ チリ ニュージーランド シンガポール 2009年のアメリカの輸出・輸入に 占める割合 (出所)Petri [2010]

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。この問題は 、 。二〇〇八年にオーストラ ︵当時︶が ﹁ア 、ま ﹁東アジア共同体﹂構 、その際にも さ れ た︵ T ay [2010], K oh ︶。最近 、A SE A N 外相 、前記の文脈にお TPP にどう対応 、︵特に︶そ E U ︶と FT Aを FT A FT A政策をどう推し進めるかについ て懸念が広がっている 。同時に 、 TPP への参加を模索する決定に は、日本の農業関連の利益団体か らの激しい反対が必至である。韓 国は、まだ批准されていない︵ま た、その条件に関しておそらくい くらかの再交渉の対象になるだろ う︶ものの、既にアメリカとの F T Aを締結し、オーストラリアお よびニュージーランドとも FT A の交渉中であり、 TPP への対応 にはそれほど緊張はない。東南ア ジアでは、 TPP への正式参加を 模索するための措置をまだ講じて いないものの、マレーシアが、第 一〇次五カ年計画において TPP 参 加 を 規 定 し て い る︵ Elms [2010] ︶ ① 。より最近では 、新た に選出されたベニグノ・アキノ大 統領率いるフィリピン政府が、 T PP 参加に強い関心を示している 旨の声明を出した。A SE A N 加 盟国のなかではインドネシアおよ びタイが、 TPP への姿勢をまだ 示していないだけとなった。

●潜在的な困難

  TPP は、その組み立ておよび 政治経済面での潜在的な難しさが 顕れる。いずれの場合にも、現在 の参加国間の協定の交渉、および これから参加しようとする国に対 する条件ならびにその誘致に関す る問題が存在する。 TPP の場合、 将来参加することになる国々の利 益を考慮にいれることが特別の重 要性を持つ。現在の TPP 参加国 間の新たな貿易協定により予想さ れる経済的便益は比較的小さい 。 しかし協定がより大きな経済的利 益の実現を期待させるような価値 の高いものなるかどうかは、東ア ジアの主要な国々を TPP に新規 参入させられるかどうかに係って いるのである。 ①構造上の問題   構造上の鍵となる問題は、 TP P が、参加国間の既存の二国間協 定を代替すべきか、それともそれ らを補完すべきか、またその場合 どのような基準に基づくべきかで ある。当然のことながら同様の問 題は、すでに二国間協定で結ばれ ている国々がより大きな複数国間 協定を作り出そうと計画する場合 においても生じる。それは、 TP P 交渉の当初のラウンドにおいて 取り組まれた主要な問題のひとつ であり、まだ完全には解決されて いない。 TPP が既存の FT Aに 取って代わることは構造的には最 もしっくりといく解決策だが、問 題は起きる 。 Elms [2010] は﹁ 既 存の FT A協定における規定の多 くは、慎重に作り上げられた妥協 の産物であり、各参加国の経済的 利益、機会、損失の均衡の上に成 り立っている﹂と述べている。こ のことは、アメリカとの二国間 F T Aにおける相手国に特に当ては まる。 TPP で既存の FT Aを置 き換える交渉は、こうした関係国 が骨を折って築いてきたバランス を部分的にでも容易く、そして不 可避的に崩してしまう恐れがあ る。 Elms [2010] の表現を借りれ ば 、﹁満身創痍﹂状態で 、アメリ カとの二国間の交渉を切り抜けた 国々は、さらなる問題でアメリカ とタフな交渉のテーブルに再びつ く の を 躊 躇 す る だ ろ う 。 Elms [2010] も 言 及 し て い る よ う に 、 特にチリは、アメリカとの新たな FT A交渉に参加するのに消極的 であると言われている。また、ペ ルーの交渉代表もこの問題に関し ては強硬な考えを持っていること で知られている。他方、アメリカ との二国間交渉では合意に達する ためには分野によっては納得のい かない条件も飲まざるをえないと 判断した国々からすれば、 TPP 交渉過程で第三国がアメリカと二 国間の取り決めをする際、同一の 問題でより有利な条件で交渉を進 めることができたとしたら、その 結果を、そのまま容認するのは難 しいだろう。   また基本的には TPP が既存の 協定にどの程度まで準拠すべきな

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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定 

―始まり、意義および見通し のかという問題がある。二つのモ デルが考えられよう。第一は、既 存の P4 協定であり、アメリカが 各 P 4 参加国と結んでいるすべて の FT Aにおいて適用を望んでい る堅牢な作りの雛形である。ただ しそれぞれの個別事情を斟酌して 多少の配慮やカスタマイズはある 程度行われてきた 。アメリカに とってみれば P4 は、多くの点で 理想とする雛型にまだ及ばない点 があると考えられている 。他方 、 アメリカ以外の各 TPP 参加国に とって、アメリカの雛型はいくつ かの点において受け入れるのが難 しい。肝心なことは、アメリカの 雛型に準拠することには、東アジ ア諸国を TPP に参加させる魅力 を減ずることになり、結果、 TP P により現在の参加国が享受でき るであろう経済的便益が減ってし まうことである。アメリカの雛型 において特に、知的財産権に関わ る条件は、東アジア諸国の新規参 加の障害となりかねない。交渉各 国は、ひとつの協定を組み立てる のに非常な困難に直面することだ ろう。各国は﹁質の高い﹂協定で あることを希望しつつ自国の基本 的利益を守ることも同時に満たさ なければならない。特に、アメリ カは不用意にメンバー国の拡大の 妨げになるような代物になってし まうことは避けつつもアメリカ内 で政治的に容認されるような協定 にしなければならない。   TPP にこれから参加しようと する国々にも選択肢がある。 TP P は、すでに参加している P4 と 同様に、形式的には開かれており 常に新規参加は可能である。しか し参加しようする場合、既存の協 定の諸条件改正に求められる交渉 能力には限界があろう。参加を望 む国の同協定内容設計に影響を及 ぼす能力は、現在の交渉に参加し た場合に最も大きくなるだろう 。 それにより、 TPP 参加国である ことから生まれる経済的利益の増 分に由来する交渉力を行使するこ とが可能になるだろう。これまで ベトナムがそうであったように 、 将来の参加国がオブザーバーとし て交渉に参加できるとする規定が あるが、参加国は、オブザーバー 資格が有効なのは交渉会議出席三 回までとすることを取り決めた ︵ Elms [2010] ︶。オブザーバー資 格国はその後、完全参加国として 交渉に参加するか離脱するかを決 めなければならない 。︵この点に 関して、ベトナムは二〇一一年二 月の国民党大会を控えておりそれ まで何らかの決定を下すことの難 しさを勘案し柔軟な対応がなされ る可能性がある︶ 。 ②政治的経済問題   TPP の交渉には、どのような 貿易交渉にも共通して、程度の差 こそあれそれぞれの国にとって慎 重に扱わざるをえない問題が含ま れることは当然である。これまで の FT A交渉の標準から見ると 、 TPP において個別の慎重に扱う べき問題が引き起こす難しい課題 は、特に深刻であるようには見え ない。参加国間の従来の二国間 F T Aにそれら問題はある程度、解 決されているし、 TPP における 生産品の範囲、議論すべき点は可 能な限り包括的であるべき合意が 広く、参加国間なされている。   Elms [2010] が 主 張 す る よ う に、困難の主要因は、参加国が現 状のまま増えなければ、多くの参 加国が TPP から得られるであろ う経済的利益が期待したより少な いということだ。即ち、参加国が 不確実ながらも、 TPP の将来の 拡大から獲得できるであろう大き な利得を計算に織り込まない限 り、慎重に扱うべき問題に関して 合意にむけて苦労することのイン センティブが大してわかないとい うことである。   貿易交渉の多くにいえるよう に、農業部門は慎重に扱うべき問 題である。ただ、どの参加国から も、農業部門はすべてあるいは大 部分を、 TPP から除外すべきだ との提案は出されていないようで ある。その代わり神経を使う生産 物は、他の参加国にとって強い輸 出の利益がある特定の商品カテゴ リー、特にアメリカの乳製品、砂 糖および牛肉に注目が集まるだろ う。ベトナムが正式参加国になっ た場合、繊維製品および衣料品も アメリカにとって慎重に扱うべき ものになるだろう。しかしベトナ ムの参加は、現在の交渉によりア メリカのベトナム市場へのアクセ スの拡大という魅力によって相殺 されよう。一方、ベトナムにとっ ての TPP への参加は、神経を使 う交渉になろう。なぜなら近年ベ トナムが W TO に加盟したときに 求められた調整以上の追加的な調 整を、 TPP 参加で要求されるの ではないかという懸念もあり、お そらく他の参加国より慎重になっ ていると思われる。ニュージーラ ンドも、補助金で開発された医薬 品購入を管理する制度をめぐるア メリカからの圧力、および W TO の政府調達協定に不参加であるこ とをめぐるアメリカなどの参加国 からの圧力に直面することを予期 している。ベトナムおよびニュー ジーランドは、既存の TPP 参加 国との間にある四つの FT Aにお いてその相手国が負う知的財産保 護に関する義務と同等の義務をア メリカが押しつけてくる可能性が

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TPP の最大の受益者 の意義は、それがさらに P ︶︱の構築につなげ TPP に参加 TPP に TPP を推進す A︶がなく、現下のアメ 。 P etri [2010] 〇一一年一一月のハワイにおける A PEC 首脳会合に及ぶ期間が好 機であると主張している。その期 間中に協定の完全な締結の実現は 無理だとしても、オバマ大統領の 現在の任期中の締結に実現可能性 を持たせるためには、交渉がその 期間中に一歩前進している必要が あるだろう。 ︵ Robert Scollay /ニュージーラン ド・オークランド大学・A PEC 研究センター︶ ︽注︾ ① マレーシアは 、正式交渉メンバー に加わった。 ︵一一月一八日現在︶ ︽参考文献︾ ● Barfield, C., Levy , P .I. [2009] ﹁ T ales of the South P acific: President Obama and the T ranspacific P artnership ﹂ ︵ ア メ リ カ ン ・ エ ン タ ー プラ イ ズ 研 究 所 ︵ A E I ︶、 国 際 経 済 の 見 通 し 第 二 号 、 ワ シ ン ト ン D C、二 〇 〇 九 年 一 二 月 ︶ . ● Elms, D . [2009] ﹁ From the P4 to the TPP : Explaining Expansion Interests in the A sia-P acif ic ﹂ ︵ E S CA P 会 議 向 け論 文 ﹁ T rade-Led Growth in Times of C risis ﹂ 、 バ ン コ ク 、 二 〇 〇 九 年一一月二∼三日︶ . ● ︱ [2010] ﹁ Ev olut ion of the T rans-P acific P artnership (TPP) T alks ﹂ ︵ PECC 会議向け論文 ﹁ A P ost-2010 A genda for the Asia-P acific ﹂、日本 、東京 、二〇一〇年 七月六∼七日︶ . ● Fallow , B. [1999] ﹁ NZ, Sing apore Spring Surprise on P artners ﹂ ︵ニュージーランドヘラルド紙、 一 九九九年九月一〇日︶ . ● Gao, H. [2009] ﹁ The T rans-P acific Strateg ic Economic P artnership A g reement: High Standard or Missed Opportunity? ﹂︵ E S C A P 会 議 向 け 論 文 ﹁ T rade-Led Growth in Times of Crisis ﹂バンコ ク、二〇〇九年一一月二∼三日︶ . ● Hoadley , S. [2002] ﹁ Strateg ic Goals, Diplomat ic Pro cesses and P olit ical Obstacles in Negot iat ing Free T rade A g reements: Lessons from the New Zealand-Sing apore Experience ﹂︵オークランド大学 、 謄写版︶ . ● K oh, T . [2010] ﹁ Asia-US Bond Remains Strong ﹂ ︵ 東 ア ジ ア フ ォ ー ラ ム、 http :/ /www .e astasiafo rum . org/20 1 0 /07/ 1 9 /asia-us-bond-remains-strong/ 、二 〇 一 〇 年 七 月 一九 日 ︶ . ● P etri, P . [2010] ﹁ Are W e Back? US Strateg y in the Asia-P acific ﹂ ︵ P E C C 会 議 向 け プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ﹁ A P ost-2010 A genda for the Asia-P acific ﹂、 東 京 、 二 〇 一 〇 年 七月六∼七日︶ . ● T ay , S. [2010] ﹁

Asia and the United

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