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領域「環境」の研究 指導法のあり様をめぐって

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(1)

要旨  本研究では,2017(平成29)年改訂の『幼稚園教育要領』と2008(平成20)年改訂の『幼 稚園教育要領』との対比を試みた。それを基に領域「環境」の「ねらい」及び「内容」の特 徴を,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」との関りより探った。このことを踏まえて, 領域「環境」の指導法,つまり「七夕飾り」という単元を取り上げ指導法について考察を加 えた。 Abstract

 This study focuses on comparing Course of study for Kindergarten revised in 2017 to Course of study for Kindergarten revised in 2008. Based on the comparison, characteristics of “aim” and “content” in the “environment” are discussed in relation to “how children should be at the end of their early childhood.” Furthermore, A teaching method on “Tanabata decorations” is devised as a part of teaching methods on “environment.”

キーワード

 指導案,資質・能力,領域「環境」,指導法

Keyword

 Teaching plan, Qualifications and competencies, Area "Environment", Teaching method

Ⅰ はじめに

 2017(平成29)年に『幼稚園教育要領』が改訂された。領域「環境」の「ねらい」の内容 を200(平成20)年に改訂された『幼稚園教育要領』の「ねらい」と対比してみる。

領域「環境」の研究

― 指導法のあり様をめぐって ―

生 野 金 三

Research on the “Environment” - Aiming for Teaching Methods -

Kinzo Shono

(2)

生 野 金 三 14  両者の内容を対比してみると,「ねらい」の(2)の「……自分からかかわり」の部分が 「……自分から関わり」に変更されている。それ以外は,従来と同じである。しかし,ここ で着目すべきは,前述の「ねらい」を達成するに当たっては,2017〈平成29〉年改訂の『幼 稚園教育要領』において重要視されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」との関 わりで「ねらい」の内容を捉えていくことである。それは,「幼児期の終わりまでに育って ほしい姿」は,領域の「ねらい」及び「内容」に基づいて,幼児期にふさわしい遊びや生活 を積み重ねることにより,幼稚園教育において育みたい資質・能力が育まれている幼児の具 体的な姿であるからである。この資質・能力は,学校教育法第30条第2項に共通する内容で あり,グローバル社会において極めて重要視される内容である。  以上のことを踏まえ,本研究では,領域「環境」に視点を当て,「ねらい」及び「内容」 の特徴を「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」との関わりより探り,と同時に領域「環 境」の指導法のあり様を探ることを目的とする。

Ⅱ 領域「環境」の「ねらい」及び「内容」について

 1 領域「環境」の「ねらい」  領域「環境」の「ねらい」の(1)に「自然と触れ合う中」,(3)に「物の性質や数量,文 字など」とあるが,これらの「ねらい」を達成するに当たっては,「幼児期の終わりまでに 育ってほしい姿」の10の項目の⑦と⑧に着目することである。それは,⑦に「自然との関わ り・生命尊重」,そして⑧に「数量や図形・標識や文字などへの関心・感覚」等の内容が掲 げられているからである。  まず,前者の⑦の「自然との関わり・生命尊重」の内容について見てみる。そこには, 自然に触れて感動する体験を通して,自然の変化などを感じ取り,好奇心や探究心を 幼稚園教育要領(2008〈平成20〉年) 幼稚園教育要領(2017〈平成29〉年) 1 ねらい (1)身近な環境に親しみ,自然と触れ合 う中で様々な事象に興味や関心を持つ。 (2)身近な環境に自分からかかわり,発 見を楽しんだり,考えたりし,それを 生活に取り入れようとする。 (3)身近な事象を見たり,考えたり,扱っ たりする中で、 物の性質や数量,文字 などに対する感覚を豊かにする。 文部科学省『幼稚園教育要領』(フレーベル館) 1 ねらい (1)身近な環境に親しみ,自然と触れ合 う中で様々な事象に興味や関心を持つ。 (2)身近な環境に自分から関わり,発見 を楽しんだり,考えたりし,それを生 活に取り入れようとする。 (3)身近な事象を見たり,考えたり,扱っ たりする中で、 物の性質や数量,文字 などに対する感覚を豊かにする。 文部科学省『幼稚園教育要領』(フレーベル館) 02 p013-024 生野金三先生.indd 14 2020/03/24 11:14:10

(3)

もって考え言葉などで表現しながら,身近な事象への関心が高まるとともに,自然への 愛情や畏敬の念をもつようになる1) としている。ここでは,幼児は園内外の身近な自然の美しさや不思議さに触れて感動する体 験を通して,自然の変化などを感じ取り,関心をもつようになるとし,そして好奇心や探究 心をもって考えたことを言葉などで表現しながら,身近な事象への関心を高めていくとして いる。そして,幼児は自然や出会った自然の変化等を遊びに取り入れ,教師がそれについて の話題を取り上げることによって,さらに関心をもって自然に関わり,次第に自然への愛情 や畏敬の念をもつようになっていく。⑦のこのような内容を念頭に置いて,「ねらい」(1) の「身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ。」を達成す るように考えていく必要がある。  以上は,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に掲げられている⑦に関する内容であ る。次いで,⑧に関する内容について見てみる。そこでは, 遊びや生活の中で,数量や図形,標識や文字などに親しむ体験を重ねたり,標識や文字 の役割に気付いたり,自らの必要感に基づきこれらを活用し,興味や関心,感覚をもつ ようになる2) 。 としている。ここでは,幼児は遊びや生活の中で,身近にある数字や文字に興味や関心を 持ったり,物を数えることを楽しんだりする場面がみられるなど,教師や友達と一緒に数量 や図形,標識や文字などに触れ,親しむ体験を重ねていくとしている。このような体験を基 に,幼児は遊びや生活の中で必要感をもち,時として物の大小を比較するために数えたり, 長さや広さ等の量を比べたりして,数量や図形への興味や関心を深め,感覚が磨かれていく。 また,遊びや生活の中で関係の深い標識や文字などに興味をもち,その役割に気付いたり, 使ってみたりすることで,興味や関心を深め,感覚が磨かれていく。⑧のこのような内容を 念頭に置いて,「ねらい」(3)の「身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物 の資質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。」を達成するように考えていく必要が ある。  2 領域「環境」の「内容」 幼稚園教育要領(2008〈平成20〉年) 幼稚園教育要領(2017〈平成29〉年) (1)自然に触れて生活し,その大きさ,美 しさ,不思議さなどに気付く。 (2)生活の中で,様々な物に触れ,その性 質や仕組みに興味や関心を持つ。 (3)季節により自然や人間の生活に変化の あることに気付く。 (1)自然に触れて生活し,その大きさ,美 しさ,不思議さなどに気付く。 (2)生活の中で,様々な物に触れ,その性 質や仕組みに興味や関心を持つ。 (3)季節により自然や人間の生活に変化の あることに気付く。

(4)

生 野 金 三 16  両者を対比して気付くことは,(6)の内容「日常生活の中で,我が国や地域社会における 様々な文化や伝統に親しむ。」が追加されたこと,加えて従来の(7)の内容「身近な物や遊 具に興味をもってかかわり,考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。」が「身近な物や遊具 に興味をもって関わり,自分なりに比べたり,関連付けたりしながら考えたり,試したりし て工夫して遊ぶ(8)。」に変更されたことである。以下に,この両者について考察を加える。 前者の(6)の内容であるが,それは幼児が,日常生活の中で我が国や地域社会における 様々な文化や伝統に触れ,長い歴史の中で育んできた文化や伝統の豊かさに気付くことを 願っている。例えば,幼児が教師と一緒に飾りを作りながら七夕の由来を聞くという体験を 通して,次第にそのいわれやそこに込められている人々の願いなどに興味や関心をもつこと ができるようになることを願っている。さらに,ここではこのような幼稚園生活で親しんだ 伝統的な遊びを家族や地域の人々と一緒に楽しむことを通して,幼児が豊かな経験を体験す ることも願っている。こうしたことが延いてはグローバル化社会の中で,自分とは異なる文 化に触れることにも結び付き,より豊かな体験していくことも考えられる。  一方,後者の(8)の内容であるが,それは前述の如く従来の(7)の内容に「……自分な りに比べたり,関連付けたりしながら」という文言が付加されている。ここでは,幼児が身 (4)自然などの身近な事象に関心をもち, 取り入れて遊ぶ。 (5)身近な動植物に親しみをもって接し, 生命の尊さに気付き,いたわったり,大 切にしたりする。 (6)身近な物を大切にする。 (7)身近な物や遊具に興味をもってかかわり, 考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。 (8)日常生活の中で数量や図形などに関心 をもつ。 (9)日常の生活の中で簡単な標識や文字な どに関心をもつ。 (10)生活に関係の深い情報や施設などに興 味や関心をもつ。 (11)幼稚園内外の行事において国旗に親し む。 (4)自然などの身近な事象に関心をもち, 取り入れて遊ぶ。 (5)身近な動植物に親しみをもって接し, 生命の尊さに気付き,いたわったり,大 切にしたりする。 (6)日常生活の中で,我が国や地域社会に おける様々な文化や伝統に親しむ。 (7)身近な物を大切にする。 (8)身近な物や遊具に興味をもって関わり, 自分なりに比べたり,関連付けたりしな がら考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。 (9)日常生活の中で数量や図形などに関心 をもつ。 (10)日常の生活の中で簡単な標識や文字な どに関心をもつ。 (11)生活に関係の深い情報や施設などに興 味や関心を持つ。 (12)幼稚園内外の行事において国旗に親し む。 文部科学省『幼稚園教育要領』(フレーベル館) 文部科学省『幼稚園教育要領』(フレーベル館) 02 p013-024 生野金三先生.indd 16 2020/03/24 11:14:10

(5)

近にあるものを使って工夫して遊ぶようになるためには,指導者である教師は,幼児が心と 体を働かせて物とじっくり関わることができるような環境を構成し,対象となるその物に十 分関わることができるようになることが大切であるとしている。対象となる物に関わる際, 幼児は手で触ったり,全身で感じてみたり,あることを繰り返してみたり,考えたりする。 今回は,これに加えて,自分なりに比べたり,これまでの体験と関連付けたりするというこ とも重要視している。ここに関連付けたりとあるが,これは幼児期における遊びの特性から みても極めて重要なことである。そのことは,『幼稚園教育要領』において「遊びを展開す る過程においては,幼児は心身全体を働かせて活動するので,心身の様々な側面の発達に とって必要な経験を相互に関連し合い積み重ねていく3) 」「幼児期は諸能力が個別に発達し ていくのではなく,相互に関連し合い,総合的に発達していくのである4)。」とあることか らも理解できよう。    先に「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は,領域の「ねらい」及び「内容」に基づ いて,幼児期にふさわしい遊びや生活を積み重ねることにより,幼稚園教育において育みた い資質・能力が育まれている幼児の具体的な姿であるとした。領域「環境」の内容を幼稚園 教育において育みたい資質・能力との関りより見てみる。幼稚園教育において育みたい資 質・能力とは,「知識及び技能の基礎」 「思考力,判断力,表現力等の基礎」「学びに向かう 力,人間性等」で ある。「知識及び技能の基礎」とは,具体的には,豊かな体験を通じて, 幼児が自ら感じたり,気付いたり,分かったり,できるようになったりすること,「思考力, 判断力,表現力等の基礎」とは,具体的には,気付いたことや,できるようになったことな どを使い,考えたり,試したり,工夫したり,表現したりすること,「学びに向かう力,人 間性等」とは,具体的には,心情,意欲,態度が育つ中で,よりよい生活を営もうとするこ とである5)。幼稚園教育において育みたい資質・能力を念頭に置いて,領域「環境」の内容 に目を転じてみると,例えば,内容の(1) (3) (6) (10) 等においては,「知識及び技能の基 礎」となる内容が認められる。内容の(1)「自然に触れて生活し,その大きさ,美さ,不思 議さなどに気付く。」を見てみる。「知識及び技能の基礎」とは,具体的な体験を通して幼児 が感じたり,気付いたりすることであるが,前述の(1)の内容は正にこれに相当しよう。 幼児は身近な自然と触れ合うことによって,その自然に心を動かされ,自然の大きさ,美し さ,不思議さなどを全身で感じ取るであろう。例えば,蜘蛛の巣に光る露に心を動かされた り,自分が育てた鳳仙花の実が熟すると皮が裂け種をはじき出す姿に不思議さを感じたりす る。斯様な幼児の自然との出会いを見逃さないようにすることが教師の関りとして重要であ る。(3)の内容もそうである。その内容を見てみる。幼児は,日々の生活の中で季節の変化 を感じ取る場面に遭遇することが多い。地域社会の人々は,幼児が意識する,しないにかか わらず,季節の変化に伴い,食べ物,衣類及び生活の仕方等を様々に変えている。斯様な日 常の生活の自然に触れる機会を通して,幼児は季節の変化に気付いていくようになる。幼児

(6)

生 野 金 三 18 自身が全身で季節による自然や生活の変化を感じ取るように,教師は援助していくことであ る。(6)の内容もそうである。その内容を見てみる。幼児は,日常生活の中で正月の餅つき や七夕の飾り等四季折々に行われる我が国の伝統的な行事に参加したり,いにしえより親し まれてきた唱歌,わらべ歌等を楽しんだり,独楽回し,凧揚げ等の伝統的な遊びをしたりし て,そこに込められている人々の願い等に興味や関心をもつようになる。斯様なことは,将 来の国民としての情操や意識の芽生えを培う上で極めて重要である。(9)の内容もそうであ る。その内容を見てみる。幼児は,日常生活の中で知らず知らずのうちに数量や図形等に触 れている。例えば,花びらや葉の数,昆虫や魚の体形等とそれは多岐に亘っている。教師が 幼児に対して注意を促すことを通して,幼児は数えたり,量を比べたり,形に気付いたりし て次第に数量や図形等に関心もつようになる。斯様に教師は状況に応じて適切に援助してい くことである。(10)の内容もそうである。その内容を見てみる。幼児は,日常生活の中で, 様々な標識に触れたり,幼稚園の中で自分の名前の文字や友達の名前の文字に触れたりして いる。例えば,学級の標識,グループの標識,靴箱の標識等に触れることによって,それら が意味やメッセージを持っていることに気付く。また,日常使用している「のり」,「はさ み」等の言葉が「壁」や「整理棚」等に書いてある「の」,「り」,「は」,「さ」,「み」とう文 字に対応していることに気付く。斯様に教師は,幼児が標識や文字に関心をもち,それに気 付くように援助していくことである。以上は,「知識及び技能の基礎」に関する内容である。  「知識及び技能の基礎」という観点より(1) (3) (6) (10) 等の内容について考察を加えて きた。ここに「気付く」という文言がしばしば登場する。「気付く」というのは,幼児が直 接かかわる活動や体験の中で生まれる知的な気付きである。それは,一人一人の認識であり, 幼児の主体的な活動によって生まれるものである。そこには,知的な側面も存在するが,ま た情緒的な側面も存在する。この「気付く」を契機にしてその質を高めるような遊びや活動 を展開していくことが重要であろう。それをめぐって,安彦忠彦は,次のように指摘する。 「気付く」から「分かる」に高まることです。子どもは,直接体験の中からふといろい ろなことに気付きます。直感的な気付きといってもよいでしょう。それが「なるほど」 と納得を伴うような気付きに高まるように支援するのです。……二つめは,「一つ一つ の(個別的な)気付き」から「関連付けられた気付き」に高まることです。……三つめ は,「対象のへの気付き」から「自分自身への気付き」に高まることです6)  このように対象への気付きを関連付けた気付き,そして自分自身への気付きへということ を志向して,幼児の気付きを援助していくことが重要である。こうしたことが「知識及び技 能の基礎」を活用した「思考力,判断力,表現力等の基礎」の育成に結び付くのである。  次いで,「思考力,判断力,表現力等の基礎」という観点より(2) (5)等の内容を見てみ る。内容の(2)「生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心を持つ。」 を見てみる。幼児は,日常生活の中で,様々な物に触れたり,確かめたりしながら楽しんで 02 p013-024 生野金三先生.indd 18 2020/03/24 11:14:10

(7)

いる。さらに,それに興味をもって繰り返し関わる中で,次第にその性質や仕組み等に気付 いていく。例えば,幼児が絵本の読み聞かせの後,園内でコオロギ探しをしていた。探して も見付からなかった。その時 A 児が「溝(側溝)のふたのある暗い所で見つかったよ。」と 言った。それを聞いた B 児が「コオロギは,枯れた葉っぱの下の少し水(湿気)のある所 にいるかも。」と言った。それを受けて皆でコオロギを探したところ,コオロギが見付かっ た。この B 児は,コオロギの住処を A 児の言葉を基に暗い湿気のある所と推察したのだろ う。ここでは,仲間の存在は,幼児が物と多様な関りをすることを促し,それに触発されて 再びコオロギ探しが始まったのである。この過程を整理すると,コオロギ探しに興味をもっ た仲間が集まり,新しいアイデアが付加され,その物の性質等について新たな一面を発見す るという展開である。(5)の内容もそうである,幼児は,幼稚園において動植物の飼育や栽 培の手伝いをするという体験を行っている。具現すれば,身近な小動物に対して餌を与えた り,手で触れたり,抱いたりして愛情を持ってその成長を楽しんでいる。時として,小動物 を飼育している中で小さな命が失われることに直面することもある。そのような折,なぜそ のようになったのかを話題にすることによって,いたわりの意味や命についても考え,生命 の尊さに次第に気付いていくようになるであろう。

Ⅲ 領域「環境」の指導法

 我が国では,四季折々に様々な伝統的・文化的な行事が行われている。そうした伝統的・ 文化的行事に触れることによって,幼児は自国の伝統文化に興味や関心をもつようになる。 このような体験が将来の国民としての情操や意識の芽生えを培う上で極めて重要である。ま た,この活動は,延いては異なる文化に対する興味や関心に結び付く。  以上のことに鑑み,以下においては伝統文化に親しみをもつという観点より七夕飾りを取 り上げ,その指導法につて触れてみる。 【指導案】(生野作成) [子供の実態]  子供たちは,昨年の七夕祭りを思い 出し,今年はどんなことを短冊に書い てお願いしようかなとそれぞれ話して いる。 ねらい ・古くから親しみのある七夕の笹飾りを楽しみ,そこに込められている人々の願い に興味や関心を持ち,同時に季節の変化 に気付く。 内容 ・願い事を短冊に書いたり,輪飾りを作ったりして楽しむ。 ・自分のもの,みんなのものを大切にし, 協力して楽しむ。

(8)

生 野 金 三 20 環 境 構 成 予想される幼児の活動 援    助 [七夕飾りのビデオ]7) 1 どんな七夕飾りかなと興 味や関心を示す。 ・七夕飾りの様子をビデオで 視聴させ,七夕飾りへの興 味や関心を喚起させる。   [天の川]8) 2 七夕飾りの話を聞く。 ・7月7日 ・おり姫と彦星 ・天の川 ・「おり姫」のカードを黒 板に貼る。 ・「彦星」のカードを黒板 に貼る。 ・「天の川」のカードを黒 板に貼る。 ・昨年の七夕飾りの挿絵を黒 板に貼り,また昨年の七夕 飾りの様子を想起させ,お り姫と彦星が会うことがで きる日は,いつかと問い掛 けながら,七夕飾りつくり への意欲を高めさせる。 ・個々人が自分の思いを伝え 合う姿を受け止め,その様 相を見ながら援助する。 知・技 七夕飾りの話を聞き ながら「7月7日」「おり 姫と彦星」「天の川」「短 冊」等の言葉を口々に言う。 [七夕飾り]9) 3 七夕飾りつくりについて, グループごとに材料を確か める。 ・クレヨン ・鋏 ・糊 ・短冊カード ・輪飾りの用紙 ・七夕飾りの挿絵を黒板に貼 り,短冊や輪飾り等をつく ることを確認させる。そし て,グループごとに材料が 整っているか否かを,黒板 に貼ってある挿絵を見なが ら確認させる。 ・活動に必要な材料(短冊 カード,輪飾りの用紙,ク レヨン,鋏,糊等)はグ ループごとに準備しておく。

てお願いしようかなとそれぞれ話し

ている。

・願い事を短冊に書いたり、輪飾りを作ったり

して楽しむ。

・自分のもの、みんなのものを大切にし、協力

して楽しむ。

環 境 構 成

予想される幼児の活動

援 助

[七夕飾りのビデオ]

7)

[天の川]

8)

[七夕飾り]

9)

1 どんな七夕飾りかなと

興味や関心を示す。

2 七夕飾りの話を聞く。

・7 月 7 日

・おり姫と彦星

・天の川

「おり姫」のカードを黒

板に貼る。

「彦星」のカードを黒

板に貼る。

「天の川」のカードを黒

板に貼る。

3 七夕飾りつくりについ

て、グループごとに材料

を確かめる。

・クレヨン

・鋏

・糊

・七夕飾りの様子をビデオで視聴

させ、七夕飾りへの興味や関心

を喚起させる。

・昨年の七夕飾りの挿絵を黒板に

貼り、また昨年の七夕飾りの様

子を想起させ、おり姫と彦星が

会うことができる日は、いつか

と問い掛けながら、七夕飾りつ

くりへの意欲を高めさせる。

・個々人が自分の思いを伝え合う

姿を受け止め、その様相を見な

がら援助する。

知・技七夕飾りの話を聞きながら

「7 月 7 日」「おり姫と彦星」

「天の川」「短冊」等の言葉を

口々に言う。

・七夕飾りの挿絵を黒板に貼り、

短冊や輪飾り等をつくること

を確認させる。そして、グルー

プごとに材料が整っているか

否かを、黒板に貼ってある挿絵

を見ながら確認させる。

[短冊]

10)

「輪飾り」

11)

・短冊カード

・輪飾りの用紙

4 七夕飾りを作る。

[短冊]

・自分の願いを書く。

・自分の名前を書く。

[輪飾り]

・用紙の点線の部分を鋏

で切って、二列ずつに

する。

・それぞれ半分に折る。

・糊で輪にしてつなぐ。

5 七夕を笹に飾る。

・短冊カードを受け取る。

・輪飾りを受け取る。

・笹に短冊カード、輪飾

・活動に必要な材料(短冊カード、

輪飾りの用紙、クレヨン、鋏、

糊等)はグループごとに準備し

ておく。

「短冊カード」は、少し丈夫な用

紙を準備する。

・個々の思いをそれぞれが話すこ

とができるように援助する。

・文字が分からない幼児について

は、教室の壁面にある五十音の

文字を見るように援助したり、

個々に教えたりする。

思・判・表自分の願いごとを書い

ている。

・鋏を使う場合、留意することを

確認させる。鋏は人に向けな

い、必ず座って使う、使い終わ

ったら、刃を閉じてケースに入

れる等について確認させる。

・半分に折る際、少しずれが生じ

る場合があるので、その様相を

見て援助する。躊躇している幼

児に対しても援助する。

・輪にしてつないだら、出来上が

りとする。友達と比べて楽しま

せる。

思・判・表鋏で用紙を二列ずつに

切り離し、それを半分に折り、

それで輪作りをしている。

・幼児が作成した短冊カー ド及

び輪飾りに予め準備した紙こ

よりを教師が付ける。紙こより

の付いた短冊カード及び輪飾

てお願いしようかなとそれぞれ話し

ている。

・願い事を短冊に書いたり、輪飾りを作ったり

して楽しむ。

・自分のもの、みんなのものを大切にし、協力

して楽しむ。

環 境 構 成

予想される幼児の活動

援 助

[七夕飾りのビデオ]

7)

[天の川]

8)

[七夕飾り]

9)

1 どんな七夕飾りかなと

興味や関心を示す。

2 七夕飾りの話を聞く。

・7 月 7 日

・おり姫と彦星

・天の川

「おり姫」のカードを黒

板に貼る。

「彦星」のカードを黒

板に貼る。

「天の川」のカードを黒

板に貼る。

3 七夕飾りつくりについ

て、グループごとに材料

を確かめる。

・クレヨン

・鋏

・糊

・七夕飾りの様子をビデオで視聴

させ、七夕飾りへの興味や関心

を喚起させる。

・昨年の七夕飾りの挿絵を黒板に

貼り、また昨年の七夕飾りの様

子を想起させ、おり姫と彦星が

会うことができる日は、いつか

と問い掛けながら、七夕飾りつ

くりへの意欲を高めさせる。

・個々人が自分の思いを伝え合う

姿を受け止め、その様相を見な

がら援助する。

知・技七夕飾りの話を聞きながら

「7 月 7 日」「おり姫と彦星」

「天の川」「短冊」等の言葉を

口々に言う。

・七夕飾りの挿絵を黒板に貼り、

短冊や輪飾り等をつくること

を確認させる。そして、グルー

プごとに材料が整っているか

否かを、黒板に貼ってある挿絵

を見ながら確認させる。

02 p013-024 生野金三先生.indd 20 2020/03/24 11:14:11

(9)

領域「環境」の研究 21 [短冊]10) 4 七夕飾りを作る。  [短冊]  ・自分の願いを書く。  ・自分の名前を書く。 ・「短冊カード」は,少し丈 夫な用紙を準備する。 ・個々の思いをそれぞれが話 すことができるように援助 する。 ・文字が分からない幼児につ いては,教室の壁面にある 五十音の文字を見るように 援助したり,個々に教えた りする。 思・判・表 自分の願いごと を書いている。 「輪飾り」11)  [輪飾り] ・用紙の点線の部分を鋏で 切って,二列ずつにする。 ・それぞれ半分に折る。 ・糊で輪にしてつなぐ。 5 七夕を笹に飾る。  ・短冊カードを受け取る。  ・輪飾りを受け取る。  ・笹に短冊カード,輪飾   り等を結び付ける。 6 七夕の歌を歌う。 ・鋏を使う場合,留意するこ とを確認させる。鋏は人に 向けない,必ず座って使う, 使い終わったら,刃を閉じ てケースに入れる等につい て確認させる。 ・半分に折る際,少しずれが 生じる場合があるので,そ の様相を見て援助する。躊 躇している幼児に対しても 援助する。 ・輪にしてつないだら,出来 上がりとする。友達と比べ て楽しませる。 思・判・表 鋏で用紙を二列 ずつに切り離し,それを半 分に折り,それで輪作りを している。 [笹]12) ・幼児が作成した短冊カー  ド及び輪飾りに予め準備し  た紙こよりを教師が付ける。  紙こよりの付いた短冊カー ド及び輪飾りを幼児に渡し, 笹に付けるように援助する。 ・動作化させながら,歌を歌 わせる。

[笹]

12)

り等を結び付ける。

6 七夕の歌を歌う。

りを幼児に渡し、笹に付けるよ

うに援助する。

・動作化させながら、歌を歌わせ

る。

「予想される幼児の活動」の2に「七夕飾りの話を聞く。」とあるが、この活動を展開するに

当たって、教師は予め子供に話す内容(「七夕」について)を考えておくことである。例えば、

「黒板に貼ったおり姫と彦星の挿絵を指しながら、おり姫と彦星は、結婚してから遊んでばか

りいました。その様子を見ていた神様が怒ってしまい、二人を天の川(黒板の挿絵の天の川を

指しながら)の両側に別れさせました。二人は、会うことが出来なくて悲しんでばかりいまし

た。その様子を見た神様はかわいそうにと思い、一年に一度、7 月 7 日に会うことを許したの

です。おり姫と彦星が無事に会うことができるように晴天を祈ったのが七夕の始まりだと言わ

れています。」といった内容を準備しておくことである。

[ねらい及び環境の構成]

「ねらい」に「季節の変化に気付く」としたが、子供達は毎日幼稚園及び保育所に来て生活

する中で、子供なりに四季折々の景色を肌で感じながら遊んでいる。しかし、子供達が感じて

いる四季折々の景色は漠然としているだけでなく、ややもすれば意識に上らないものとなって

しまう。斯様な子供の実態に鑑みるとき、子供達が四季の変化を感じている姿を捉え、それを

共に感じたり、楽しんだり、具体的な形である言葉にしたり、友達と共に体験するといった活

動を組織することが重要である。このような活動を通して、子供達は、四季折々の景色が、心

地よく、美しく、儚く、時として厳しいものだということを感じ取ることができよう。斯様な

意図のもとに「ねらい」を設けたのである。

環境への関りをめぐって、ピアジェは認知発達の理論の中で、子どもが環境と関わることを

通して、自分の中の枠組みに合うように外界の事象を理解したり(同化)、外界の事象に合わせ

[短冊]

10)

「輪飾り」

11)

・短冊カード

・輪飾りの用紙

4 七夕飾りを作る。

[短冊]

・自分の願いを書く。

・自分の名前を書く。

[輪飾り]

・用紙の点線の部分を鋏

で切って、二列ずつに

する。

・それぞれ半分に折る。

・糊で輪にしてつなぐ。

5 七夕を笹に飾る。

・短冊カードを受け取る。

・輪飾りを受け取る。

・笹に短冊カード、輪飾

・活動に必要な材料(短冊カード、

輪飾りの用紙、クレヨン、鋏、

糊等)はグループごとに準備し

ておく。

「短冊カード」は、少し丈夫な用

紙を準備する。

・個々の思いをそれぞれが話すこ

とができるように援助する。

・文字が分からない幼児について

は、教室の壁面にある五十音の

文字を見るように援助したり、

個々に教えたりする。

思・判・表自分の願いごとを書い

ている。

・鋏を使う場合、留意することを

確認させる。鋏は人に向けな

い、必ず座って使う、使い終わ

ったら、刃を閉じてケースに入

れる等について確認させる。

・半分に折る際、少しずれが生じ

る場合があるので、その様相を

見て援助する。躊躇している幼

児に対しても援助する。

・輪にしてつないだら、出来上が

りとする。友達と比べて楽しま

せる。

思・判・表鋏で用紙を二列ずつに

切り離し、それを半分に折り、

それで輪作りをしている。

・幼児が作成した短冊カー ド及

び輪飾りに予め準備した紙こ

よりを教師が付ける。紙こより

の付いた短冊カード及び輪飾

[短冊]

10)

「輪飾り」

11)

・輪飾りの用紙

4 七夕飾りを作る。

[短冊]

・自分の願いを書く。

・自分の名前を書く。

[輪飾り]

・用紙の点線の部分を鋏

で切って、二列ずつに

する。

・それぞれ半分に折る。

・糊で輪にしてつなぐ。

5 七夕を笹に飾る。

・短冊カードを受け取る。

・輪飾りを受け取る。

・笹に短冊カード、輪飾

輪飾りの用紙、クレヨン、鋏、

糊等)はグループごとに準備し

ておく。

「短冊カード」は、少し丈夫な用

紙を準備する。

・個々の思いをそれぞれが話すこ

とができるように援助する。

・文字が分からない幼児について

は、教室の壁面にある五十音の

文字を見るように援助したり、

個々に教えたりする。

思・判・表自分の願いごとを書い

ている。

・鋏を使う場合、留意することを

確認させる。鋏は人に向けな

い、必ず座って使う、使い終わ

ったら、刃を閉じてケースに入

れる等について確認させる。

・半分に折る際、少しずれが生じ

る場合があるので、その様相を

見て援助する。躊躇している幼

児に対しても援助する。

・輪にしてつないだら、出来上が

りとする。友達と比べて楽しま

せる。

思・判・表鋏で用紙を二列ずつに

切り離し、それを半分に折り、

それで輪作りをしている。

・幼児が作成した短冊カー ド及

び輪飾りに予め準備した紙こ

よりを教師が付ける。紙こより

の付いた短冊カード及び輪飾

[短冊]10) 「輪飾り」11) ・短冊カード ・輪飾りの用紙 4 七夕飾りを作る。 [短冊] ・自分の願いを書く。 ・自分の名前を書く。 [輪飾り] ・用紙の点線の部分を鋏 で切って、二列ずつに する。 ・それぞれ半分に折る。 ・糊で輪にしてつなぐ。 5 七夕を笹に飾る。 ・短冊カードを受け取る。 ・輪飾りを受け取る。 ・笹に短冊カード、輪飾 ・活動に必要な材料(短冊カード、 輪飾りの用紙、クレヨン、鋏、 糊等)はグループごとに準備し ておく。 ・「短冊カード」は、少し丈夫な用 紙を準備する。 ・個々の思いをそれぞれが話すこ とができるように援助する。 ・文字が分からない幼児について は、教室の壁面にある五十音の 文字を見るように援助したり、 個々に教えたりする。 思・判・表自分の願いごとを書い ている。 ・鋏を使う場合、留意することを 確認させる。鋏は人に向けな い、必ず座って使う、使い終わ ったら、刃を閉じてケースに入 れる等について確認させる。 ・半分に折る際、少しずれが生じ る場合があるので、その様相を 見て援助する。躊躇している幼 児に対しても援助する。 ・輪にしてつないだら、出来上が りとする。友達と比べて楽しま せる。 思・判・表鋏で用紙を二列ずつに 切り離し、それを半分に折り、 それで輪作りをしている。 ・幼児が作成した短冊カー ド及 び輪飾りに予め準備した紙こ よりを教師が付ける。紙こより の付いた短冊カード及び輪飾 [短冊]10) 「輪飾り」11) ・短冊カード ・輪飾りの用紙 4 七夕飾りを作る。 [短冊] ・自分の願いを書く。 ・自分の名前を書く。 [輪飾り] ・用紙の点線の部分を鋏 で切って、二列ずつに する。 ・それぞれ半分に折る。 ・糊で輪にしてつなぐ。 5 七夕を笹に飾る。 ・短冊カードを受け取る。 ・輪飾りを受け取る。 ・笹に短冊カード、輪飾 ・活動に必要な材料(短冊カード、 輪飾りの用紙、クレヨン、鋏、 糊等)はグループごとに準備し ておく。 ・「短冊カード」は、少し丈夫な用 紙を準備する。 ・個々の思いをそれぞれが話すこ とができるように援助する。 ・文字が分からない幼児について は、教室の壁面にある五十音の 文字を見るように援助したり、 個々に教えたりする。 思・判・表自分の願いごとを書い ている。 ・鋏を使う場合、留意することを 確認させる。鋏は人に向けな い、必ず座って使う、使い終わ ったら、刃を閉じてケースに入 れる等について確認させる。 ・半分に折る際、少しずれが生じ る場合があるので、その様相を 見て援助する。躊躇している幼 児に対しても援助する。 ・輪にしてつないだら、出来上が りとする。友達と比べて楽しま せる。 思・判・表鋏で用紙を二列ずつに 切り離し、それを半分に折り、 それで輪作りをしている。 ・幼児が作成した短冊カー ド及 び輪飾りに予め準備した紙こ よりを教師が付ける。紙こより の付いた短冊カード及び輪飾 [短冊]10) 「輪飾り」11) ・短冊カード ・輪飾りの用紙 4 七夕飾りを作る。 [短冊] ・自分の願いを書く。 ・自分の名前を書く。 [輪飾り] ・用紙の点線の部分を鋏 で切って、二列ずつに する。 ・それぞれ半分に折る。 ・糊で輪にしてつなぐ。 5 七夕を笹に飾る。 ・短冊カードを受け取る。 ・輪飾りを受け取る。 ・笹に短冊カード、輪飾 ・活動に必要な材料(短冊カード、 輪飾りの用紙、クレヨン、鋏、 糊等)はグループごとに準備し ておく。 ・「短冊カード」は、少し丈夫な用 紙を準備する。 ・個々の思いをそれぞれが話すこ とができるように援助する。 ・文字が分からない幼児について は、教室の壁面にある五十音の 文字を見るように援助したり、 個々に教えたりする。 思・判・表自分の願いごとを書い ている。 ・鋏を使う場合、留意することを 確認させる。鋏は人に向けな い、必ず座って使う、使い終わ ったら、刃を閉じてケースに入 れる等について確認させる。 ・半分に折る際、少しずれが生じ る場合があるので、その様相を 見て援助する。躊躇している幼 児に対しても援助する。 ・輪にしてつないだら、出来上が りとする。友達と比べて楽しま せる。 思・判・表鋏で用紙を二列ずつに 切り離し、それを半分に折り、 それで輪作りをしている。 ・幼児が作成した短冊カー ド及 び輪飾りに予め準備した紙こ よりを教師が付ける。紙こより の付いた短冊カード及び輪飾 02 p013-024 生野金三先生.indd 21 2020/03/24 11:14:12

(10)

生 野 金 三 22  「予想される幼児の活動」の2に「七夕飾りの話を聞く。」とあるが,この活動を展開す るに当たって,教師は予め子供に話す内容(「七夕」について)を考えておくことである。 例えば,「黒板に貼ったおり姫と彦星の挿絵を指しながら,おり姫と彦星は,結婚してから 遊んでばかりいました。その様子を見ていた神様が怒ってしまい,二人を天の川(黒板の挿 絵の天の川を指しながら)の両側に別れさせました。二人は,会うことが出来なくて悲しん でばかりいました。その様子を見た神様はかわいそうにと思い,一年に一度,7月7日に会 うことを許したのです。おり姫と彦星が無事に会うことができるように晴天を祈ったのが七 夕の始まりだと言われています。」といった内容を準備しておくことである。    [ねらい及び環境の構成]  「ねらい」に「季節の変化に気付く」としたが,子供達は毎日幼稚園及び保育所に来て生 活する中で,子供なりに四季折々の景色を肌で感じながら遊んでいる。しかし,子供達が感 じている四季折々の景色は漠然としているだけでなく,ややもすれば意識に上らないものと なってしまう。斯様な子供の実態に鑑みるとき,子供達が四季の変化を感じている姿を捉え, それを共に感じたり,楽しんだり,具体的な形である言葉にしたり,友達と共に体験すると いった活動を組織することが重要である。このような活動を通して,子供達は,四季折々の 景色が,心地よく,美しく,儚く,時として厳しいものだということを感じ取ることができ よう。斯様な意図のもとに「ねらい」を設けたのである。  環境への関りをめぐって,ピアジェは認知発達の理論の中で,子どもが環境と関わること を通して,自分の中の枠組みに合うように外界の事象を理解したり(同化),外界の事象に 合わせて自分の枠組みを変化させたり(調節)することを通して,子どもの知的な発達が進 むとしている。  ここでは,環境の重要性を指摘している。環境は子供にとって単に周囲に存在するもので なく,関わるものであり,関わることによって意味をもつものであるとする。『幼稚園教育 要領』及び『保育所保育指針』等においては,「環境を通して行う教育」を重要視している が,ここでは子供が主体者となって自ら環境へ取り組み,その中で成長発達に必要なことを 蓄積するとある。これは,正にピアジェが指摘していることと軌を一にしている。  上記のことに鑑みるとき,教育・保育の活動するに当たって,如何に環境の構成が重要で あるかが分かる。前述した「七夕飾りのビデオ」「天の川」「七夕飾り」「短冊」「輪飾り」 「笹」等を「環境の構成」の部分に配した。ここでは,子供達が環境に関わって刺激を受け, 経験の中で様々なことを感じたり,新たな気付きを得たりして,本時の活動に興味や関心を もって取り組むことを願った。斯様な意味で「活動を刺激する環境」づくりが極めて重要で あることが分かる。子供の活動意欲が生ずるような環境づくりは,子供の認知を媒介として 子供の活動や遊びヘの構えを構築し,活動や遊びの主体的な展開が可能となる。このような 02 p013-024 生野金三先生.indd 22 2020/03/24 11:14:12

(11)

ことが活動や遊びの質を高めることに結び付くであろう。また,子供の活動意欲を重要視し ながら子供が活動や遊びをより促進するような場面を考える必要があろう。斯様なことを念 頭に置いて,前述した指導案においては,「予想される幼児の活動」の場面の「4七夕飾り を作る。」に「[輪飾り]・用紙の点線の部分を鋏で切って,二列ずつにする。・それぞれ半分 に折る。・糊で輪にしてつなぐ。」等の挿絵を黒板に貼り,手順を明示した。これは,正に 「活動を促進する」環境であると言ってよいであろう。この環境は,時としてそれ自体が子 供達の活動や遊びの対象となり,より直接的に活動や遊びを支える13) であろう。斯様なこと から「環境を通しての教育」が如何に重要であるかが理解できよう。

Ⅳ おわりに

 本稿は,領域「環境」をめぐっての研究である。まず,2017(平成29)年改訂の『幼稚園 教育要領』と2008(平成20)年改訂の『幼稚園教育要領』との対比を試みた。その結果, 「ねらい」をめぐっては,「ねらい」の文言に平仮名が漢字に変更されている以外は異同が認 められず,「内容」をめぐっては,新たに「(6)日常生活の中で,我が国や地域社会におけ る様々な文化や伝統に親しむ。」という内容が新設され,と同時に従来の(7)に「……自分な りに比べたり,関連付たりしながら……」という文言が付加されている。それは(8)となっ ている。前者の(6)の内容は,幼児が日常生活の中で我が国や地域社会における様々な文化 や伝統に触れ,長い歴史の中で育んできた文化や伝統の豊かさに気付くことを願っている。 一方,後者の(8)の内容は,前回の内容に加えて,自分なりに比べたり,これまでの体験と 関連付けたりするということも重要視している。そして,「ねらい」及び「内容」を捉える 際,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」との関わりで見ていくことの重要性も指摘し ている。斯様なことを踏まえ,「七夕飾り」という単元を取り上げ指導法について考察を加 えた。この単元では,前述した「内容」の(6)を具現化した試みである。これは,従来『幼 稚園教育要領』において掲げられていなかった「内容」であり,ここでは我が国の文化や伝 統を「七夕飾り」を通して触れ,「季節の変化に気付く。」ことを意図したものである。この 指導案を基に模擬保育及び実践等を試み,そのあり様を探っていくのが今後の課題である。 これについては,稿を改めて論じることにする。

[注]

1)文部科学省『幼稚園教育要領』フレーベル館 2017(平成29)年 P.66 2)同上書 P.68 3)同上書 P.35 4)同上書 P.51 5)同上書 P.50

(12)

生 野 金 三 24 6)文部科学省『小学校学習指導要領の解説と展開 生活編』教育出版 2008(平成10)年 8月 P.7 7)https://www.popgallery.jp/shop/g/gTA2-9041/ 8)https://illustimage.com/?id=3525 9)www.misaki.rdy.jp/illust/kisetu/ivent/tanabata/sozai/803.jpg 10)https://da-inn.com/tanabata-tanzaku-50587/ 11)http://happylilac.net/tanabatakazari-wakazari.html 12)https://www.popgallery.jp/shop/g/gTI2-0210/ 13)水越敏行監『学習環境の改善』国立教育会館 1995(平成7)年 P.175 02 p013-024 生野金三先生.indd 24 2020/03/24 11:14:12

参照

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