• 検索結果がありません。

障害者歯科診療に携わる指導歯科衛生士および認定歯科衛生士と一般歯科衛生士間における研修ガイドライン達成状況の比較

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "障害者歯科診療に携わる指導歯科衛生士および認定歯科衛生士と一般歯科衛生士間における研修ガイドライン達成状況の比較"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

緒   言  近年,全身の健康と口腔との関連性が注目され,口腔 の健康維持における歯科の関わりが重要視されるように なった1~3).このことは,健常者のみならず,障害児・ 者にとって重要であるが,障害の多様性により歯科医療 を安全かつ適切に提供するためには,従事する歯科衛生 士の各種障害に対する知識や臨床経験が求められる4)  一般社団法人日本障害者歯科学会(以下:障害者歯科 学会)は,歯科医療の立場から障害児・者の社会生活や

障害者歯科診療に携わる指導歯科衛生士および認定歯科衛生士と

一般歯科衛生士間における研修ガイドライン達成状況の比較

松 岡 陽 子

1,2,3)

・倉 重 圭 史

4)

・毛 利 志 乃

1,3)

・梶 美奈子

5)

片 山 博 道

1,3)

・伊 藤   誠

3)

・芝 田 憲 治

3)

・蓑輪映里佳

4)

齊 藤 正 人

4)

・福 本   敏

2,6)

・山 田 亜 矢

2) 1)四日市市歯科医療センター 2)東北大学大学院歯学研究科小児発達歯科学分野 3)四日市歯科医師会 4)北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系小児歯科 学分野 5)北海道医療大学病院歯科衛生部 6)九州大学大学院歯学研究院小児口腔医学分野 (原稿受付日:2020 年 2 月 12 日) (原稿受理日:2020 年 8 月 1 日) 日常生活を支援し,社会福祉の向上と障害者歯科に携わ る歯科衛生士の養成および発展に寄与することを目的と して,平成 20 年から認定歯科衛生士制度を導入してい る.認定歯科衛生士(以下:認定 DH)とは,認定歯科 衛生士臨床経験施設において障害者歯科の 5 年以上の実 務経験および論文投稿や学会発表等を行い,学会にて審 査・推薦を行うとともに,認定機関である公益社団法人 日本歯科衛生士会において「認定分野 B:障害者歯科」 としての認定審査によって認定された歯科衛生士であ る.指導歯科衛生士(以下:指導 DH)は,日本歯科衛 生士会認定歯科衛生士「認定分野 B:障害者歯科」取得 後,5 年以上の実務経験および論文投稿や学会発表等を 行い,学会の審査委員会が行う審査により適切と認めら れた者が取得できる認定資格である.  本邦では障害児・者に関する法律や対応などは,その 社会環境や医療提供環境の変化により改正,改定される 機会も多い.したがって,指導 DH あるいは認定 DH は,人材育成を行う立場から日々更新される関連事項に ついて自己研鑽の必要性が求められている.障害者歯科 学会の認定歯科衛生士研修ガイドライン(以下:研修ガ  要旨:一般社団法人日本障害者歯科学会は,平成 20 年に日本障害者歯科学会指導歯科衛生士(以下:指導 DH), 日本歯科衛生士会認定衛生士(認定分野 B:障害者歯科,以下:認定 DH)制度を導入した.本制度の下,障害者歯 科診療のための歯科衛生士養成の認定 DH 研修ガイドライン(以下:研修ガイドライン)が作成され,指導 DH は 本研修ガイドラインに沿って認定 DH 等の育成を行うことが望ましいとされている.しかし,歯科衛生士(以下: DH)の障害者歯科研修あるいは指導等において,本ガイドラインに提示されている項目の達成状況を検討した報告 はない.  そこで本研究は,研修ガイドラインに準じたアンケート調査を行うことで,障害者歯科に携わる DH のガイドライ ン項目の達成状況を把握することを目的とした.  調査は,指導 DH,認定 DH,および認定資格を有していない DH(以下:一般 DH)を対象とした.本調査にお いて,指導 DH,認定 DH,一般 DH の各研修ガイドラインの項目の達成状況の評価に特徴が認められた.研修ガイ ドラインの項目によっては,臨床経験だけでなく,時代背景や教育課程の違いが関与していることが示唆された.  これらの結果より,DH 育成において研修ガイドラインの項目ごとにその達成状況を調査分析することは,今後の DH 教育に必要とされる項目の検討や,臨床現場で働くそれぞれの立場に応じた DH に対する研修項目の拡充を検討 する際に活用できると考えられた.  Key words:Dentalhygienist,Clinicaltrainingguidelines,Questionnaire

(2)

イドライン)は,「障害者歯科学会が認定した指導 DH が,認定 DH を育成するに当たり,その指導指針となる 必要性の高い項目が挙げられており,その指導内容が認 定 DH として一定の基準を満たすための指標」と位置づ けられている5).しかしながら,これまでに障害者歯科 診療に携わる DH の積極的な研修や指導が行われている 一方で,研修ガイドラインに沿った達成状況の評価に関 する報告はない.  そこで本研究では,研修ガイドラインに準じたアン ケートを作成し,指導 DH,認定 DH,また認定資格を 有さない障害者歯科診療に携わる歯科衛生士(以下:一 般 DH)を対象として,それぞれの立場の DH の障害者 歯科に関する知識および技術の習得および達成状況につ いて調査した. 対象および方法 1.対 象  本調査を開始するにあたり,2019 年 2 月,障害者歯 科学会認定の指導 DH または認定 DH が従事している 全国の口腔保健センターおよび障害者歯科診療施設 73 施設に,本調査への参加の可否を確認するために予備調 査票を送付した.その中で調査協力可能と回答した 54 施設,372 名を対象として 2019 年 4 月に研修ガイドラ インに準じたアンケート用紙を送付した.その中で,ア ンケートの返信が得られた 37 施設,指導 DH27 名,認 定 DH53 名,一般 DH172 名を本研究の調査対象とし た(図 1).本調査においては指導 DH,認定 DH の両 方の資格を有する者は指導 DH に分類した. 2.方 法 1)調査項目  アンケートの項目は,①性別および年齢,②歯科衛生 士資格取得の教育機関種別,③歯科衛生士資格取得から の年数,障害者歯科診療における従事年数,現在の職場 の従事年数,④研修ガイドライン項目の達成状況の自己 評価,⑤一般 DH に対する認定 DH 資格取得の意思の 有無とした.  研修ガイドラインに準じたアンケート用紙は,障害者 歯科学会の研修ガイドラインに準じた大項目 12 項目, 小項目 61 項目を参考に作成した.評価方法は,指導 DH,認定 DH および一般 DH におけるアンケート用紙 を用いた自己評価とした.評価基準は,4:他者に指導 できる,3:(自身は)できる,2:(自身は)あまりでき ない,1:(自身は)できない,の 4 段階とした.また, アンケート対象者に対して評価基準の参考となるよう に,障害者歯科学会認定歯科衛生士の筆記試験の参考図 書である「最新歯科衛生士教本障害者歯科第 2 版」「ス ペシャルニーズデンティストリー障害者歯科第 2 版」 「歯科衛生士講座 障害者歯科学」「歯科衛生士のための 摂食・嚥下リハビリテーション」より関連項目内容を一 部抜粋し,まとめたものを,アンケート用紙とともに参 考資料として配布した6~9).なお,アンケートは無記名 とし個人名が特定できない状態(連結不可能匿名化)と し,施設ごとに DH の責任者が取りまとめて返送するこ ととした. 図 1 調査対象 ※指導歯科衛生士,認定歯科衛生士,両方の資格を有する者は指導歯科衛生士に分類した. アンケート(61 項目)回答 37 施設 252 名 (回収率 69%) 日本障害者歯科学会 指導歯科衛生士(27 名) 認定資格を有していない 一般歯科衛生士(172 名) 予備調査票 73 施設 調査協力の確認 協力施設 54 施設 372 名の抽出 日本歯科衛生士会認定歯科衛生士 「認定分野 B:障害者歯科」 (53 名)

(3)

2)統計解析  アンケートに協力の同意が得られた指導 DH27 名,認 定 DH53 名,一般 DH172 名において,各調査項目に お け る 評 価 点 数 を IBMSPSS®Statisticsversion21 (IBM,Armonk,NY,USA)を用いて解析した.3 群間 の検定には一元配置分散分析後,Scheffé の多重比較検 定を行い,p<0.05 を統計学的に有意差ありとした. 3.研究倫理  本研究は,日本障害者歯科学会倫理審査委員会の承認 を受け実施した(承認番号:19004). 結   果 1.性別および年齢分布について  性別は,すべて女性で全体の平均年齢は 44.8 歳であっ た.その内訳は,指導 DH の平均年齢は 49.9 歳,認定 DH は 43.5 歳,一般 DH は 40.9 歳であった.各 DH の 年齢分布は,指導 DH20 歳代 0 名(0%),30 歳代 3 名 (11.1%),40 歳代 9 名(33.3%),50 歳代 14 名(51.9%), 60 歳 代 以 降 1 名(3.7%), 認 定 DH は 20 歳 代 3 名 (5.7%),30 歳代 17 名(32.1%),40 歳代 14 名(26.4%), 50 歳代 19 名(35.8%),60 歳代以降 0 名(0%),一般 DH は 20 歳 代 35 名(20.3%),30 歳 代 34 名(19.8%), 40 歳 代 62 名(36.0%),50 歳 代 33 名(19.2%),60 歳 代 6 名(3.5%),70 歳 代 1 名(0.6%), 未 回 答 1 名 (0.6%)であった(図 2). 2.歯科衛生士資格取得の教育機関種別について  歯科衛生士資格取得の教育機関の種別は,2 年制の専 門学校が指導 DH23 名(85.2%),認定 DH36 名(67.9%), 一般 DH114 名(66.3%)と最も多かった.3 年制以上の 教育機関に関しては,認定 DH,一般 DH がそれぞれ, 9 名(17.0%),44 名(25.6%)であったのに対し,指導 DH は 1 名(3.7%)と少なかった(図 3). 3.業務経験年数について  歯科衛生士資格取得後の歯科衛生士業務従事年数の平 均は,指導 DH29.3 年,認定 DH22.4 年,一般 DH19.2 年であった.障害者歯科診療における従事年数の平均に ついては,指導 DH24.6 年,認定 DH14.7 年,一般 DH 6.9 年であった(一般 DH において 1 名未回答).指導 DH はすべて 10 年以上であり,20~25 年未満が 9 名 (33.3%)で最も多かった.認定 DH は,5 年以上から分 布を示し 10~15 年未満が 18 名(34.0%)で最も多かっ た.一般 DH は,0~5 年未満が 84 名(48.8%)で最も 多く,年数の増加に伴い減少を認めた(図 4).  現在の職場の従事年数の平均については,指導 DH 22.1 年,認定 DH13.4 年,一般 DH6.3 年であった.指 導 DH は 15~20 年未満,20~25 年未満がそれぞれ 6 名 (22.2%)で最も多かった.認定 DH は,10~15 年未満 が 19 名(35.8%)で最も多かった.一般 DH は,0~5 年 未満が 94 名(54.7%)で最も多く,次いで 5~10 年未 満が 43 名(25.0%)であった(図 5).また,現在の職 場における従事年数は,障害者歯科診療における従事年 数と類似の分布を示していた. 4.研修ガイドライン項目達成状況の評価について  調査に用いたアンケートは,大項目:A~L の 12 項 目,小項目:1~61 の 61 項目に分類されている.研修 ガイドラインの評価結果について,大項目を表 1 に,小 項目を表 2 に示す.大項目および小項目のすべての項目 において,達成状況の自己評価は指導 DH が最も高く, 次いで認定 DH,一般 DH の順であった.達成評価の全 体の平均値は,指導 DH3.46,認定 DH2.99,一般 DH2.60 であった.研修ガイドライン小項目 61 項目のうち 34 項 図 2 歯科衛生士の年齢分布 0 3 9 14 1 0 0 3 17 14 19 0 0 0 35 34 62 33 6 1 1 0 10 20 30 40 50 60 70 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上 未回答 指導DH 認定DH 一般DH 名 図 3 歯科衛生士資格取得の教育機関種別 2 23 1 1 0 0 0 4 36 4 5 1 3 0 7 114 6 39 2 3 1 0 20 40 60 80 100 120 1年制専門 2年制専門 2年制短大 3年制専門 3年制短大 4年制大学 その他 指導DH 認定DH 一般DH 名

(4)

目(55.7%)において,指導 DH よりも認定 DH が有意 に低い評価をしていた.一般 DH では,研修ガイドライ ン小項目 61 項目のうち 59 項目(96.7%)において,指 導 DH および認定 DH と比較して有意に低い評価を示し ていた.「大項目 J.高齢者対策」および「大項目 K.口 腔機能障害のリハビリテーション」は,指導 DH と認定 DH 間で有意差はなかった(大項目 J.p=0.49,大項目 K.p=0.11).一方,「大項目 L.文書の書き方と症例報 告のまとめ方」の 5 項目すべてにおいて有意差が認めら れた.指導 DH,認定 DH および一般 DH 間すべてにお いて有意差を認めなかった項目は,「大項目 I.障害者 の歯科保健指導」の中の「小項目 49.個別,口腔保健 指導・管理計画の立案の理解」(指導 DH・認定 DH 間 p=0.60,指導 DH・一般 DH 間 p=0.05,認定 DH・一 般 DH 間 p=0.24)および「大項目 J.高齢者対策」の 「小項目 50.認知症の理解」(指導 DH・認定 DH 間 p= 0.99,指導 DH・一般 DH 間 p=0.75, 認定 DH・一般 DH 間 p=0.75)であった.  指導 DH の自己評価の高い大項目は,「大項目 H.障 害者の行動調整と支援」(3.84)であり,小項目の上位 3 項目は「小項目 41.行動調整の基本的考え方について の理解」(4.00),「小項目 19.Down 症候群の障害の特 徴や口腔症状の特徴の理解」(3.96),「小項目 20.自閉 スペクトラム症の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解」 (3.96)であった.指導 DH の自己評価において低い大 項目は,「大項目 K.口腔機能障害のリハビリテーショ ン」(2.88)であり,小項目の下位の項目は,「小項目 56. 口腔機能訓練の種類・方法の理解(訓練の実践)」(2.81), 「小項目 3.医療を受けるための制度と社会保障につい て」(2.89),「小項目 53.機能障害の基礎知識,診断と評 価の理解」(2.89),「小項目 55.摂食嚥下機能障害に対す る支援の理解」(2.89)であった(表 3). 図 5 現在の職場の従事年数 13 1 3 6 6 4 3 3 0 0 16 19 4 3 4 3 1 0 0 94 43 24 5 2 0 2 0 1 1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 指導DH 認定DH 一般DH 名 図 4 障害者歯科診療における従事年数 0 0 1 5 9 4 4 4 0 0 0 16 18 6 5 3 5 0 0 0 84 46 20 8 5 4 3 1 0 1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 指導DH 認定DH 一般DH 名 表 1 大項目における自己評価の平均値 大項目 指導 DH 認定 DH 一般 DH A.障害者福祉や障害者の生活 B. 障害者歯科医療 C. 障害者歯科における歯科衛生士の役割 D.家族や介護者への支援 E. 障害の種類と特徴や病態 F. 障害者と薬剤 G. 障害者歯科診療補助 H.障害者の行動調整と支援 I. 障害者の歯科保健指導 J. 高齢者対策 K.口腔機能障害のリハビリテーション L. 文書の書き方と症例報告のまとめ方 3.16 3.52 3.52 3.66 3.56 3.24 3.71 3.84 3.61 3.01 2.88 3.30 2.81a 3.13a 3.14a 3.22a 3.15a 2.88a 3.20a 3.31a 3.15a 2.91 2.55 2.53a 2.07b.c 2.35b.c 2.45b.c 2.47b.c 2.42b.c 2.21b.c 2.49b.c 2.40b.c 2.44b.c 2.50b.c 2.12b.c 1.98b.c a:指導 DH と認定 DH 間で有意差あり(p<0.05) b:指導 DH と一般 DH 間で有意差あり(p<0.05) c:認定 DH と一般 DH 間で有意差あり(p<0.05)

(5)

表 2 小項目における各自己評価の平均 評価基準  4 →他人に指導できる  3 →(自身は)できる  2 →(自身は)あまりできない  1 →(自身は)できない A. 障害者福祉や障害者の生活について 指導DH 認定DH 一般DH 1. 障害者の定義,WHOの概念(ICIDH,ICF) 障害 者基本法・障害者総合支援法の理解 3.22 2.75a 2.08b.c 2.ノーマライゼーションの 理念とバリアフリー の考え方についての理解 3.56 3.11a 2.24b.c 3.医療を受けるための制度と社会保障について 2.89 2.72 2.01b.c 4.障害者福祉(教育制度,障害者施設)について 2.96 2.66 1.96b.c B. 障害者歯科医療について 指導DH 認定DH 一般DH 5.基本的理念と特殊性の理解(障害者歯科の定義) 3.52 3.15 2.28b.c 6.かかりつけ歯科医院,口腔保健セ ンター,病院歯科障害 専門医療施設な どそれぞれの医療支援についての理解 3.56 3.17 2.36b.c 7.診療連携や他職種とのかかわり方についての理解 3.48 3.06a 2.40b.c C. 障害者歯科における歯科衛生士の役割 指導DH 認定DH 一般DH 8.障害者に対する基本的姿勢,(対本人・保護者・ その他の関与者との信頼の構築)についての理解 3.78 3.42a 2.67b.c 9.障害者歯科診療補助,(障害別特徴の把握と注意を 理解し診療上の安全確保)についての理解 3.81 3.49 2.68b.c 10.歯科保健指導と予防処置,(口腔機能訓練を含 む。個々の環境で 適切な実施)についての理解 3.59 3.28 2.57b.c 11.情報管理,(歯科医師・連携診療・障害者施設・ 学校との架け橋)についての理解 3.48 2.91a 2.27b.c 12.障がいのある人の医療福祉の仕組みの理解 2.96 2.62 2.07b.c D. 家族や介護者への支援 指導DH 認定DH 一般DH 13.障害の受容についてその過程の理解 (ショック,否認,悲しみと怒り,順応,再起) 3.78 3.43 2.63b.c 14.受容が不十分な状況からの支援に関しての 理解(心への寄り添いと診療への支援) 3.63 3.19a 2.42b.c 15.家族,看護職員,介護職員,学校教員への 支援についての理解 3.56 3.04a 2.35b.c E. 障害の種類と特徴や病態について 指導DH 認定DH 一般DH 16.脳性麻痺の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.93 3.45a 2.61b.c 17.知的能力障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.93 3.47a 2.63b.c 18.てんかんの障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.81 3.47 2.57b.c 19.Down症候群の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.96 3.49a 2.69b.c 20.自閉スペクトラム症の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.96 3.42a 2.60b.c 21.統合失調症の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.23 2.92 2.30b.c 22.発達障害の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.78 3.28a 2.55b.c 23.高次脳機能障害の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.22 2.94 2.27b.c 24.筋疾患の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.26 2.87 2.18b.c 25.重症心身障害の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.48 3.19 2.24b.c 26.先天障害の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.48 2.94a 2.28b.c 27.循環器疾患の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.26 2.85a 2.20b.c 28.血液疾患の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.19 2.72a 2.24b.c 29.糖尿病の障害の特徴や口腔症状の特徴の理解 3.41 3.06 2.52b.c F. 障害者と薬剤 指導DH 認定DH 一般DH 30.抗けいれん薬の効果と副作用についての理解 3.48 2.98a 2.21b.c 31.高血圧治療薬の効果と副作用についての理解 3.22 2.89 2.28b.c 32.抗凝固薬効果と副作用についての理解 3.26 2.91 2.27b.c 33.向精神薬効果と副作用についての理解 3.00 2.75 2.09b.c a:指導 DH と認定 DH 間で有意差あり(p<0.05) b:指導 DH と一般 DH 間で有意差あり(p<0.05) c:認定 DH と一般 DH 間で有意差あり(p<0.05) G. 障害者歯科診療補助 指導DH 認定DH 一般DH 34 .医療面接の仕方(単なる既往の聴取ではなく障害の発生 経過・ 現状が治療行為に及ぼす影響が探れる様な 工夫) 3.70 3.09a 2.23b.c 35.障害についての評価の仕方 (歯科診療との関連性を理解する) 3.56 2.85a 2.15b.c 36.口腔の検査,診査,治療方針の理解 3.74 3.40 2.68b.c 37.行動調整と治療計画の理解 (歯科医師との検討事項を理解) 3.85 3.30a 2.50b.c 38.医療安全への配慮の理解(呼吸・循環な ど全身状態把握と吸引 技術,急な体動による危険防止策,発作等急変時の対応など) 3.67 3.25a 2.43b.c 39.感染予防対策 3.70 3.28a 2.81b.c 40.インフォームドコンセン トの理解 3.78 3.25a 2.66b.c H. 障害者の行動調整と支援 指導DH 認定DH 一般DH 41.行動調整の基本的考え方についての理解 4.00 3.40a 2.47b.c 42.行動変容法,行動変容の技法についての理解 3.85 3.36a 2.44b.c 43.体動のコントロールについての理解 3.85 3.45 2.54b.c 44.薬物や全身管理による調整法についての理解 3.63 3.08a 2.23b.c 45.情報の構造化と視覚支援についての理解 3.88 3.26a 2.32b.c I. 障害者の歯科保健指導 指導DH 認定DH 一般DH 46.障害者への口腔保健,障害別の特徴の理解 3.74 3.23a 2.44b.c 47 .特別支援学校,グループホ ーム,障害者施設に おける保健指導の実施の理解 3.52 3.08a 2.28b.c 48 .歯科衛生士が行う口腔保健,指導ならびに管理の理解 3.67 3.28a 2.58b.c 49.個別,口腔保健指導・管理計画の立案の理解 3.52 3.02 2.47 J. 高齢者対策 指導DH 認定DH 一般DH 50.認知症の理解 3.04 2.96 2.72 51.脳血管障害後遺症の理解 2.96 2.87 2.38b.c 52.口腔機能低下に対する診療上の注意点の理解 3.04 2.89 2.41b.c K. 口腔機能障害のリハビリテーション 指導DH 認定DH 一般DH 53.機能障害の基礎知識,診断と評価の理解 2.89 2.47 2.08b.c 54.リハビリテーションに対する理解と取り組みの理解 2.93 2.55 2.10b.c 55.摂食嚥下機能障害に対する支援の理解 2.89 2.62 2.17b.c 56.口腔機能訓練の種類・方法の理解(訓練の実践) 2.81 2.55 2.12b.c L. 文書の書き方と症例報告のまとめ方 指導DH 認定DH 一般DH 57.情報の整理の仕方の理解 3.30 2.53a 2.02b.c 58.文献の検索と収集の理解 3.22 2.34a 1.99b.c 59.指導計画書の書き方の理解 3.15 2.30a 1.88b.c 60.カルテ記載,紹介状や医療情報問い合わせ文に ついての理解 3.37 2.79a 2.12b.c 61.症例報告や報告書の書き方の理解 3.44 2.68a 1.90b.c

(6)

 認定 DH における自己評価の高い大項目は,「大項目 H.障害者の行動調整と支援」(3.31)であり,小項目の 上位の項目は,「小項目 9.障害者歯科診療補助,(障害 別特徴の把握と注意を理解し診療上の安全確保)につい ての理解」(3.49),「小項目 19.Down 症候群の障害の 特徴や口腔症状の特徴の理解」(3.49),「小項目 17.知 的能力障害の特徴や口腔症状の特徴の理解」(3.47),「小 項目 18.てんかんの障害の特徴や口腔症状の特徴の理 解」(3.47)であった.認定 DH の自己評価において低い 大項目は,「大項目 L.文書の書き方と症例報告のまとめ 方」(2.53)であり,小項目の下位 3 項目は「小項目 59. 指導計画書の書き方の理解」(2.30),「小項目 58.文献 の検索と収集の理解」(2.34),「小項目 53.機能障害の 基礎知識,診断と評価の理解」(2.47)であった(表 3).  一般 DH における自己評価の高い大項目は,「大項目 J.高齢者対策」(2.50)であった.小項目の上位 3 項目 は,「小項目 39.感染予防対策」(2.81),「小項目 50.認 知症の理解」(2.72),「小項目 19.Down 症候群の障害 の特徴や口腔症状の特徴の理解」(2.69)であった.一般 DH の自己評価において低い大項目は,「大項目 L.文書 の書き方と症例報告のまとめ方」(1.98)であり,小項目 の下位 3 項目は「小項目 59.指導計画書の書き方の理解」 (1.88),「小項目 61.症例報告や報告書の書き方の理解」 (1.90),「小項目 4.障害者福祉(教育制度,障害者施設) について」(1.96)であった(表 3). 5.資格取得の意思の有無  一般 DH に対する認定 DH 資格取得の意思の有無に関 する質問では,取得の意思あり 107 名(62.2%),取得の 意思なし 61 名(35.5%),未回答 4 名(2.3%)であった. 表 3 研修ガイドライン小項目における各歯科衛生士の高評価および低評価項目 高評価 指導 DH 高評価 認定 DH 高評価 一般 DH 1st 小項目 41. 行動調整の基本的考え方につ いての理解 (4.00) 1st 小項目 9. 障害者歯科診療補助(障害別特 徴の把握と注意を理解し診療上 の安全確保)についての理解  (3.49) 1st 小項目 39. 感染予防対策 (2.81) 2nd 小項目 19. Down 症候群の障害の特徴や 口腔症状の特徴の理解(3.96) 1st 小項目 19. Down 症候群の障害の特徴や口 腔症状の特徴の理解 (3.49) 2nd 小項目 50. 認知症の理解 (2.72) 2nd 小項目 20. 自閉スペクトラム症の障害の 特徴や口腔症状の特徴の理解  (3.96) 3rd 小項目 17. 知的能力障害の特徴や口腔症状 の特徴や口腔症状の特徴の理解  (3.47) 3rd 小項目 19. Down 症候群の障害の特徴や 口腔症状の特徴の理解(2.69) 3rd 小項目 18. てんかんの障害の特徴や口腔症 状の特徴の理解 (3.47) 低評価 指導 DH 低評価 認定 DH 低評価 一般 DH 61st 小項目 56. 口腔機能訓練の種類・方法の 理解(訓練の実践) (2.81) 61st 小項目 59. 指導計画書の書き方の理解  (2.30) 61st 小項目 59. 指導計画書の書き方の理解  (1.88) 60th 小項目 3. 医療を受けるための制度と社 会保障について (2.89) 60th 小項目 58. 文献の検索と収集の理解  (2.34) 60th 小項目 61. 症例報告や報告書の書き方の 理解 (1.90) 60th 小項目 53. 機能障害の基礎知識,診断と 評価の理解 (2.89) 59th 小項目 53. 機能障害の基礎知識,診断と評 価の理解 (2.47) 59th 小項目 4. 障害者福祉(教育制度,障害 者施設)について (1.96) 60th 小項目 55. 摂食嚥下機能障害に対する支 援の理解 (2.89) (評価)

(7)

考   察  今回のアンケートにおける指導 DH の平均年齢は 49.9 歳,認定 DH は 43.5 歳,一般 DH は 40.9 歳であった.障 害者歯科診療に携わっている平均年数は,指導 DH24.6 年,認定 DH14.7 年,一般 DH6.9 年であった.現在の 職場の平均従事年数は,指導 DH22.1 年,認定 DH13.4 年,一般 DH6.3 年であった.2018 年に厚生労働省で行 われた賃金構造基本統計調査10)において,歯科衛生士 は平均年齢 34.8 歳,勤務年数 5.8 年,労働者数 23,530 人 と報告されている.本調査と賃金構造基本統計調査とを 比較すると,全国の口腔保健センターおよび障害者歯科 診療施設に従事する DH の年齢層は高い傾向にあり,勤 続年数においては長期間従事している傾向があると考え られた.また指導 DH,認定 DH および一般 DH の順で, その傾向が顕著であった.障害者歯科診療に携わってい る期間と現在の職場勤務年数において,指導 DH,認定 DH,および一般 DH 間の比較では有意差は認められな いことから,一度勤めた障害者歯科診療施設に長期間従 事する傾向があり,別の障害者歯科診療施設に転職する ことが少ないと考えられた.また障害者歯科診療に長期 間従事している者のほうが,学会の認定資格を有してい る傾向が認められた.このことは,障害者歯科診療にお いては専門的な知識や経験が必要となるため,その習得 に付随する形で資格取得を目指すことに繋がること,ま た資格取得することでやりがいや責任感が高まり,その ことは長期間の診療従事に反映された可能性が示唆され た.  また,一般 DH に対する認定 DH 資格取得の意思につ いての質問においては,取得意思のある者が 107 名(62.2%) と半数を超えていることから,障害者歯科診療施設に勤 務する DH における専門性に対する意識の高さもうかが える.しかし一方で 61 名(35.5%)の一般 DH が取得 意思をもっていなかった.本調査において障害者歯科診 療に従事している DH のうち約 7 割が一般 DH であり, 障害者歯科診療従事期間は平均 6.9 年であった.認定 DH の資格は,歯科衛生士臨床経験施設において障害者 歯科の 5 年以上の実務経験および論文投稿や学会発表等 を行い,学会での審査・推薦が必要である.5 年以上の 実務経験を有するものの資格取得の意思がないことは, 専門性の高い領域であり重責を担うこと,さらに「大項 目 L.文書の書き方と症例報告のまとめ方」の一般 DH の自己評価が低かったことから,学会発表や論文投稿等 の症例や研究に関する部分に関して困難であると感じて いる可能性が考えられる.したがって一般 DH に対し て,学会発表や論文作成などの支援を含めた,より効率 的で魅力的な研修や指導を実施することで,さらに認定 歯科衛生士資格の取得希望の増加が図れるのではないか と考えられた.  研修ガイドライン項目についての達成度の評価に関し ては,指導 DH と比較し認定 DH は,小項目 34 項目 (55.7%), 指 導 DH と 一 般 DH 間 は, 小 項 目 59 項 目 (96.7%),認定 DH と一般 DH の比較においても,小項 目 59 項目(96.7%)が一般 DH において評価が有意に 低かった.このことは,指導および認定 DH は一般 DH と比較して障害者歯科診療での経験年数が長いことや, 資格取得の際の知識習得などの学習効果が達成度の評価 の向上に寄与していると考えられた.また,診療従事の 実績や職種における立場の違いが,自己評価においても 影響を及ぼしていると推察された.指導 DH,認定 DH, および一般 DH の 3 群間すべてで,達成度評価において 有意差を認めなかった項目は,「小項目 49.個別,口腔 保健指導・管理計画の立案の理解」および「小項目 50. 認知症の理解」であった.「小項目 50.認知症の理解」 において達成度評価に有意差が認められなかった点に関 しては,一般社会において認知症に関する認識が向上し ていたという背景があると考えられた.2000 年頃,高 齢化社会の進展に伴い,痴呆性高齢者の数が増加するこ とが予測され,早期発見・早期診断・早期介入などの取 り組みの重要性が指摘されてきた.しかし,「痴呆」と いう用語の使用に関する問題点が指摘され,2004 年の 介護保険法改正により,「認知症」という用語が「痴呆」 に替わる行政用語として使用されるようになり,さらに 日本老年精神医学会が「認知症」を学会で使用する学術 用語として定めた11).またこのような人口動態の変化 による時代背景に伴い 2003 年には,歯科衛生士教育機 関でのカリキュラムにおいても高齢者歯科学が導入され た12).これは,これまでの 2 年制の専門学校過程から 3 年制の教育課程の導入とともに行われたという背景から, 3 年制以上の歯科衛生士教育を受けている割合の高い認 定 DH および一般 DH において「小項目 50.認知症の 理解」の項目が高評価であったことで,3 群間において 有意差が認められなかった可能性が示唆される(指導 DH・認定 DH 間 p=0.99,指導 DH・一般 DH 間 p=0.75, 指導 DH・一般 DH 間 p=0.75).また指導 DH,認定 DH および一般 DH に共通して高い評価値を示した項目が, 「大項目 E.障害の種類と特徴や病態について」の「小項 目 19.Down 症候群の障害の特徴や口腔症状の特徴の理 解」であり,指導 DH3.96,認定 DH3.49,一般 DH2.69 であった.Down 症候群は,最も一般的な染色体異常を 伴う遺伝子疾患とされており歯科的な特徴も多く,高い 発症頻度から臨床でも接する機会が多いことから,達成 度が高く評価されたと考えられる.

(8)

 一方で,指導 DH においては,「大項目 K.口腔機能 障害のリハビリテーション」の 4 項目すべてにおいて, 3 点未満という低い評価であった.また大項目 K は,認 定 DH,一般 DH においても低い評価であった.口腔機 能の低下が全身の健康を損なう原因であるとされ,口腔 機能を適切に管理する必要性が認識されるようになり, 平成 30 年度の診療報酬改定において口腔機能発達不全 症,口腔機能低下症という新たな病名とともに,その管 理加算料が設定された.口腔機能の管理・指導を行うた めに,新たに口腔機能低下を判断する診断基準や検査お よび管理・指導法が紹介されているが,それらの項目に 加え,各 DH に対する口腔機能に関する教育が十分に行 われていないなどの背景から,まだ十分にその内容を習 得できていないとの判断で低く自己評価がなされた可能 性が示唆される.また,摂食嚥下障害に対しては,医師, 歯科医師,言語聴覚士,歯科衛生士,看護師や管理栄養 士など多職種との連携によりアプローチすることも多 い.しかし,現実的には多職種が協働できる環境が整っ ている施設は限られているため,専門的な対応を行う機 会やその経験が少ないことから,低い自己評価となった 可能性も考えられた.学会等でこれらの経験を補うため の教育プログラムが必要であると考えられる.  認定 DH および一般 DH では,「大項目 L.文書の書 き方と症例報告のまとめ方」がともに評価値が下位であ り,認定 DH,一般 DH ともに本大項目の 5 つの小項目 中 2 項目が下位を占めた.特に,「小項目 59.指導計画 書の書き方の理解」がともに低かった.これらの項目は 日常の診療業務において直接実施する頻度が少ないと考 えられる項目である.一方で指導 DH においては,「大 項目 L.文書の書き方と症例報告のまとめ方」は評価値 がさほど低くないことから,指導 DH 資格取得の際に必 要な症例報告等の作成などの経験が,評価値の差として 現れたのではないかと考えられた.認定 DH および一般 DH において評価の低かったこれらの項目,特に「大項 目 L・文書の書き方と症例報告のまとめ方」は,今後習 得することが大切な項目であると思われる.近年,各学 会において認定歯科衛生士制度が発足し,歯科衛生士も 学会発表を行う機会が増加しており,歯科衛生士の学会 や地域の研修会等での学術活動が活発になっていくこと によって,この「大項目 L・文書の書き方と症例報告の まとめ方」の達成度評価も向上していくと考えられる. 今後,歯科衛生士が学術活動に取り組みやすくするため にも,より多くの学術的な情報を収集できるようなシス テムを学会主導で確立していくことも,これら評価値を 上げていくためには必要な対策である.本アンケートに よる評価の差は,指導 DH は歯科衛生士の教育課程が 3 年制となる以前に教育を受けていた者が 96.3%であった こともあり,教育課程の変更による履修科目の差も今回 の評価結果に影響を及ぼしていると考えられる.さら に,障害者歯科診療に必要とされる技術や情報は日々変 化しており,指導的立場にある DH に衛生士教育課程に おいて不足している内容の補足や新しい情報を得る機会 があれば,さらに DH 全体の障害者歯科医療のレベルの 向上が期待されると考えられた.  また社会的背景を反映させていると考える内容とし て,一般 DH においては「小項目 39.感染予防対策」 が最も高い評価であった.厚生労働省は平成 17 年 5 月 6 日付で歯科医療従事者と各都道府県等に対して,2003 年米国 CDC の「歯科院内感染予防ガイドライン」およ び 2004 年度厚生労働科学研究費補助金・エイズ対策研 究事業の成果として作成した「HIV 感染症の歯科治療 マニュアル」の内容について周知徹底を図ること,すな わちスタンダードプリコーションを周知徹底するように 通知した.またスタンダードプリコーションは,障害者 歯科のみではなくすべての診療科に関わることから最も 基礎的で重要なところであり,教育機関での教育および 指導内容への反映から高い評価となったと考えられる.  本研究のアンケート調査では,研修ガイドラインの達 成状況について自己評価を用いて実施した.しかしなが ら実技試験や筆記試験あるいは一定の評価基準を統一し たうえでの他者評価と比較すると,その客観性の担保に は限界があると考えられる.一方で,今回障害者歯科の 認定資格を有する DH と認定資格を有していない DH それぞれに達成状況の自己評価を実施したことによっ て,歯科衛生士の教育的な環境や社会的な背景なども研 修ガイドラインの達成状況に影響を与えていることがわ かった.すなわち,このようなアンケート調査を定期的 に実施することは,その調査結果を基に認定更新制度の 立案やセミナー・講習会のテーマの選定,客観的指標に 基づいた評価方法等を検討する際の参考になると期待で きる. 結   論  今回の調査より,指導歯科衛生士,認定歯科衛生士, 一般歯科衛生士において研修ガイドライン項目の達成度 の自己評価にはそれぞれ特徴がみられ,教育機関におけ る教育内容や時代背景などの影響が認められる傾向が あった.  本研究結果より,研修ガイドライン項目についての達 成状況の評価を行うことは,今後障害者歯科に携わる歯 科衛生士教育に必要とされる研修項目や,すでに障害者 歯科医療に従事している歯科衛生士に必要な研修項目を 検討する際に活用可能で,日本障害者歯科学会における

(9)

歯科衛生士対象セミナーや研修会等の立案,認定歯科衛 生士の制度設計に関する再評価,新たな指導項目の設定 などに役立てられる可能性があると考えられた. 謝  辞  本アンケート調査にご協力いただきました全国の障害者歯 科に従事する歯科衛生士の皆様に感謝申し上げます.  本論文に関して,開示すべき利益相反状態はない. 文  献 1)小林 恒.口腔と全身との関係.日本調理科学会誌 2017; 50:213-5. 2)田村好拡,乾 明成,小山俊朗,他.RedComplex の 割合が糖尿病に与える影響.体力栄養免疫学雑誌2016; 26:130-2.

3)Haraszthy VI,Zambon JJ,Trevisan M,et al. Identificationofperiodontalpathogensinatheromatous plaques.JPeriodontol2000;71:1554-60. 4)皆川久美子,葭原明弘,佐藤美寿々,他.歯科医師およ び歯科衛生士数と歯科診療所で担うことのできる診療内 容との関連.口腔衛生会誌 2019;69:10-8. 5)日本障害者歯科学会認定歯科衛生士審査委員会編集. 認 定 歯 科 衛 生 士 研 修 ガ イ ド ラ イ ン .h t t p :// w w w . kokuhoken.or.jp/jsdh-hp/html/nintei/file/hygienist/ guideline_hygienist.pdf(参照2020-6-15). 6)全国歯科衛生士教育協議会.最新歯科衛生士教本障害者 歯科.第 2 版.東京:医歯薬出版;2013. 7)日本障害者歯科学会.スペシャルニーズデンティスト リー障害者歯科.第 2 版.東京:医歯薬出版;2017. 8)緒方克也,柿木保明.歯科衛生士講座 障害者歯科学. 第 2 版.京都:永末書店;2014. 9)日本歯科衛生士会.歯科衛生士のための摂食・嚥下リハ ビリテーション.第 1 版.東京:医歯薬出版;2011. 10)厚生労働省.平成 30 年賃金構造基本統計調査.内閣府 2018(参照 2020-6-15). 11)厚生労働省ホームページ.「痴呆」に替わる用語に関す る検討会報告書.https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/ 12/s1224-17.html(参照 2020-6-15). 12)全国歯科衛生士教育協議会.歯科衛生学教育コア・カリ キュラム―教育内容ガイドライン―2018 年度改訂版. 2018.

(10)

ComparisonofAchievementStatusofClinicalTrainingGuidelineItems

betweenInstructor,Certified,andGeneralDentalHygienists

InvolvedinPatientswithDisabilities

MATSUOKAYoko1,2,3),KURASHIGEYoshihito4),MOURIShino1,3),KAJIMinako5),

KATAYAMAHiromichi1,3),ITOMakoto3),SHIBATANoriharu3),MINOWAErika4),

SAITOHMasato4),FUKUMOTOSatoshi2,6)andYAMADAAya2)

1)YokkaichiCityDentalClinicCenter 2)DivisionofPediatricDentistry,DepartmentofOralHealthandDevelopmentSciences, TohokuUniversityGraduateSchoolofDentistry 3)YokkaichiDentalAssociation 4)DivisionofPediatricDentistry,DevelopmentofOralGrowthandDevelopment, HealthSciencesUniversityofHokkaido 5)DepartmentofDentalHygiene,HealthSciencesUniversityofHokkaidoHospital 6)SectionofPediatricDentistry,DivisionofOralHealth,GrowthandDevelopment, FacultyofDentalScience,KyushuUniversity  TheJapaneseSocietyforDisabilityandOralHealth(JSDH)establishedthequalificationsofJSDHauthorized instructorforcertifieddentalhygienists(instructorDH)andtheJapanDentalHygienists’Associationauthorized dentalhygienists(AccreditationB:Disabilitydentistry)(certifiedDH)in2008.Theguidelineforcertifieddental hygienistsrecommendsthatDHinstructorsmusttraincertifiedDHaccordingtotheguideline.However,there arenoreportsthatexaminedtheachievementstatusoftheitemspresentedinthisguidelineindentaltrainingor guidanceforDH.  Therefore,thepurposeofthisstudywastounderstandtheachievementstatusofDHguidelineitemsinvolved in dentistry for patients with disabilities by conducting a questionnaire survey according to the training guidelines.  ThesurveywasconductedoninstructorDH,certifiedDH,anduncertifiedgeneralDH.Thesurveyexamined thecharacteristicsoftheachievementstatusofeachtrainingguidelineitemofinstructorDH,certifiedDH,and generalDH.Itwassuggestedthatnotonlyclinicalexperiencebutalsodifferencesinhistoricalbackgroundand curriculumwereinvolvedinsomeofthetrainingguidelineitems.  Basedontheseresults,itisnecessarytoinvestigatetheachievementstatusofeachtrainingguidelineitemin DHtraininginordertoexaminetheitemsrequiredforDHeducationinfuture.Itisalsoconsideredthatthis couldbeusedwhenconsideringaddingtrainingitems.

表 2 小項目における各自己評価の平均 評価基準  4 →他人に指導できる  3 →(自身は)できる  2 →(自身は)あまりできない  1 →(自身は)できないA. 障害者福祉や障害者の生活について 指導DH認定DH一般DH 1.障害者の定義,WHOの概念(ICIDH,ICF)  障害者基本法・障害者総合支援法の理解 3.222.75a2.08b.c2.ノーマライゼーションの 理念とバリアフリーの考え方についての理解 3.563.11a2.24b.c3.医療を受けるための制度と社会保障について 2.892

参照

関連したドキュメント

認定研修修了者には、認定社会福祉士認定申請者と同等以上の実践力があることを担保することを目的と

(2) 交差軸(2軸が交わる)で使用する歯車 g) すぐ歯かさ歯車.

PAD)の罹患者は60歳では人口の7.0%に,80歳では 23.2%にのぼるとされている 1) .本邦では間欠性跛行

日歯 ・都道府県歯会 ・都市区歯会のいわゆる三層構造の堅持が求められていた。理事 者においては既に内閣府公益認定等委員会 (以下

中学生 高校生 若年者 中高年 高齢者 0~5歳 6~15歳 16~18歳 19~39歳 40~65歳

 履修できる科目は、所属学部で開講する、教育職員免許状取得のために必要な『教科及び

 履修できる科目は、所属学部で開講する、教育職員免許状取得のために必要な『教科及び

小児科 あしだこども診療所 西宮市門戸荘 17-18 0798-51-0811 歯科 なかつじ矯正・小児歯科 西宮市高木西町 3-20 0798-65-6333 耳鼻科