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水稲の高密度播種苗における無加温出芽による被覆資材の利用

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Academic year: 2021

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(1)日作東北支部報(Tohoku Journal of Crop Science)№62(2019). 水稲の高密度播種苗における無加温出芽による被覆資材の利用 工藤予志夫 (青森県産業技術センター農林総合研究所) Utilization of Covering Materials by Non-warming Emergence for Rice Seedlings Sown in High-density Condition Yoshio KUDO (Agriculture Research Institute, Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center)  播種量を慣行より多くした高密度播種苗では,出芽. ゆっくりと引っ張り,中央部付近で切断された時の強. の揃いを斉一にし,かつ短い育苗期間内で生育量をで. 度をフォースゲージで測定した(大谷ら 2000) .育. きるだけ確保するため,育苗器による加温出芽が推奨. 苗ハウス内の温度管理及びシルバー除覆後の潅水は慣. されている.しかし,青森県では慣行の育苗が中苗で. 行の育苗管理に準じた.. あることや,育苗器の利用が省力的ではないことなど. 結果および考察. から,育苗器の利用自体が少ない.一方,生産現場では,. 2017年の播種後5日間の育苗ハウス内温度は,日. 播種後に用いる保温資材の被覆期間を通常より長くし. 中(6~17時)は両播種時期とも同程度であったが,. たり,育苗期間を長くすることで,生育量を確保しよ. 夜間(18~5時)は4月21日播種で低かった(第2表).. うとする事例がみられている.そこで本稿では,無加. 両播種時期とも播種後5日程度で出芽揃期に達した. 温出芽での高密度播種苗に対し,効果的に保温効果が. が,シルバー被覆はラブシートとシルバーの二重被覆. 得られる被覆資材の利用について検討した.. より出芽長が短く,温度条件等が劣った4月21日播. 材料および方法. 種で出芽不良(出芽長5mm以下)の個体が多かった.. 試験は2017年~2018年の2か年,青森県産業技術. 播種~出芽揃5日後までの被覆資材内の温度は,二重. センター農林総合研究所内の育苗ハウスで行った.供. 被覆にすることでやや高くなり,被覆期間を長くする. 試品種は「まっしぐら」とし,2017年は4月21日及. ことで,第1葉鞘高が伸長し,草丈も長くなる傾向で. び4月28日,2018年は4月13日及び5月1日に催芽. あった.移植時の草丈は,シルバーを出芽揃期に除覆. した種子を乾籾換算で育苗箱当たり300g播種した.. した区が13cm程度で,二重被覆やラブシート被覆を. 育苗箱の施肥は窒素,りん酸,カリ各2.5gとした.ま. 延長した区はそれより1~3cm長かった(第3表).. た,苗立枯病防除としてヒドロキシイソキサゾール・. 葉齢はいずれの区も2.0葉であった.なお,4月28日. メタラキシルM液剤及びTPN剤を1,000倍に希釈し施. 播種ではシルバーの被覆期間が長いほど葉身の黄化程. 用した.播種後は育苗ハウスに平置きし,2018年は. 度が大きく,葉先枯れが散見された.. 育苗器で32℃ 48時間加温出芽した区を比較とした.. マット強度はシルバーの被覆期間が長いほど低下. 平置き後の被覆資材には白色のポリエステル長繊維不. し,中村ら(2018)の報告と資材は異なるものの同. 織布(商品名ラブシート,以下ラブシートと表記)と,. 様の傾向であった(第3表).一方,二重被覆後,通. 水稲育苗用遮光フィルム(商品名シルバーポリトウ遮. 気性がシルバーに優るラブシートの被覆を5日間継続. 光率80%,以下シルバーと表記)を用いた.試験区は,. した区では,マット強度の低下がみられなかった.こ. シルバーの被覆,もしくはラブシート上にシルバーを. のことから,マット強度の低下は中村らが報告したと. 重ねた二重被覆として,除覆時期を出芽揃期,出芽揃. おり,資材の気密性が高く,被覆期間中湿潤に保たれ. 3日後,出芽揃5日後とした6水準のほか,二重被覆. たことが要因と推察された.マット強度の低下を考慮. でシルバーを除覆した後,ラブシート被覆を延長した. すると,出芽揃期以降のシルバーの被覆は適当では無. 区も設けた(第1表) .移植時の調査は,播種後18日. いと考えられた.. 頃に任意の100個体について苗長,第1葉鞘高,葉齢,. 前年の結果を踏まえ,2018年はシルバー除覆時期. 乾物重を測定し行った.また,苗のマット形成を評価. を出芽揃期のみとして試験を行った.播種後5日間の. するため,育苗箱中央部から20cm×10cmを切り出. 育苗ハウス内温度は,日中(6~17時),夜間(18~. し,長辺の両端を固定した後に一方から水平方向に. 5時)とも4月13日播種で低く,4月13日播種のシ. Copyright 日本作物学会東北支部 THE. TOHOKU BRANCH, THE CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN. - 27 -.

(2) 工藤 水稲の高密度播種苗における無加温出芽による被覆資材の利用. ルバー被覆区は出芽揃期の生育が劣った(データ省. 芽が劣ることから,ラブシート上にシルバーを重ねた. 略).移植時の草丈は13~14cm程度で,シルバー被. 二重被覆が適し,除覆時期は出芽揃期が適すると考え. 覆区と二重被覆区は同等であり,シルバー除覆後ラ. られた.また,苗長の確保には出芽揃5日後までラブ. ブシートを5日間被覆した区はそれより1.5cm程度長. シートの被覆を継続することが有効と考えられた.. かった.葉齢はいずれの区も2.0葉程度であった(第. 引用文献 大谷和彦・菊池清人・山口正篤 2000.新育苗箱を用. 4表). マット強度は加温出芽した区には劣ったが,いずれ. いた水稲育苗の軽労化.日本作物学会関東支部会報. の区も同等であった(第4表).シルバー被覆区の苗. 15:14-15. 中村弘和・宇野史生・島田雅博・吉田翔伍 2018.被. を用いた移植作業でも特に支障は無く,オペレーター も「作業性は悪くない」との意見であった.. 覆資材を用いた高密度播種による水稲育苗法に関す. 以上の結果から,無加温出芽での高密度播種苗に用. る研究.北陸作物学会報 53:20-23.. いる被覆資材は,シルバーのみの被覆では低温時の出 第1表 試験区の構成. 被 覆 資 材 シルバーポリトウ. 被 覆 期 間 播種~出芽揃 播種~出芽揃3日後 播種~出芽揃5日後 ラブシート+シルバーポリトウ 播種~出芽揃 播種~出芽揃3日後 播種~出芽揃5日後 ラブシート+シルバーポリトウ ⇒ ラブシート 播種~出芽揃 ⇒ その後5日間 播種~出芽揃3日後 ⇒ その後2日間 (比較)加温出芽 ⇒ シルバーポリトウ 32℃48時間 ⇒ 置床~出芽揃. 試験年次 2017年~2018年 2017年 2017年 2017年~2018年 2017年 2017年 2017年~2018年 2017年 2018年. 第2表 播種後5日間の温度条件(2017年). 播種後5日間 育苗ハウス内 被覆資材内 日中 夜間 日中 夜間 (6-17時) (18-5時) (6-17時) (18-5時) シルバーポリトウ 30.3 15.5 4月21日播種 22.8 9.5 ラブシート+シルバーポリトウ 30.6 16.0 区 分. 4月28日播種. シルバーポリトウ ラブシート+シルバーポリトウ. 22.8. 10.9. 30.8 31.6. 出芽揃時(播種5日後) 出芽不良 不発芽 出芽長 [5mm以下] (%) (mm) (%) 8.4 13 3 17.4 4 3. 19.1 19.8. 23.4 28.7. 2 2. 2 2. 第3表 苗の生育状況及びマット強度(2017年). 被覆資材 シルバーポリトウ. 被覆期間 播種~出芽揃 播種~出芽揃3日後 播種~出芽揃5日後. ラブシート+シルバーポリトウ 播種~出芽揃 播種~出芽揃3日後 播種~出芽揃5日後. 移植時(播種18日後) マット強度 備 考 葉齢 風乾重 充実度 (育苗期間中) (kgf) (葉) (g/100本) (mg/cm) 4.3 a 2.0 0.94 0.72 2.5 ab 初期生育ややムラあり やや黄化,葉先枯れあり 5.4 b 2.0 0.98 0.68 1.6 c 黄化,苗焼け,葉先枯れあり 6.0 cd 2.0 0.97 0.62 1.3 c. 草丈 (cm) 13.0 a 14.7 b 15.7 c. 第1葉鞘高 (cm). 14.1 d 14.6 bd 16.3 e. 4.7 e 5.1 f 6.2 c. 2.0 2.0 2.0. 1.00 0.97 0.98. 0.71 0.67 0.61. 2.7 a 1.7 c 1.3 c. やや黄化,葉先枯れあり 黄化,苗焼け,葉先枯れあり. ラブシート+シルバーポリトウ 播種~出芽揃 ⇒ その後5日間 16.5 e ⇒ ラブシート 播種~出芽揃3日後 ⇒ その後2日間 16.3 ce ** 分 散 分 析. 5.4 b 6.0 d. 2.0 2.0 -. 1.07 1.05 -. 0.65 0.65 -. 2.7 a 1.9 bc. やや黄化,葉先枯れ. **. **. 1)マット強度は播種19日後調査. 2)同一英文字間には5%水準で有意差が無いことを示す(Tukey法、以下の表も同様). 3)**は1%水準で有意であることを示す(以下の表も同様).. 第4表 苗の生育状況及びマット強度(2018年). 被覆資材 シルバーポリトウ. 被覆期間 播種~出芽揃. ラブシート+シルバーポリトウ 播種~出芽揃 ラブシート+シルバーポリトウ 播種~出芽揃 ⇒ その後5日間 ⇒ ラブシート 加温出芽⇒シルバーポリトウ 32℃48時間 ⇒ 置床後~出芽揃 分 散 分 析. 草丈 (cm). 移植時(播種18日後頃) マット強度 葉齢 風乾重 充実度 (kgf) (葉) (g/100本) (mg/cm). 第1葉鞘高 (cm). 12.8 a. 4.2 a. 2.0 a. 0.94. 0.74. 2.2 a. 12.8 a. 4.3 a. 2.0 a. 1.00. 0.79. 2.5 a. 14.3 b. 4.7 b. 2.0 a. 1.04. 0.74. 2.5 a. 13.6 c. 4.4 a. 2.1 b. 1.09. 0.82. 4.0 b. **. **. **. -. -. 1)マット強度 4月13日播種:播種20日後調査,5月1日播種:播種18日後調査.. - 28 -. **. 備 考 (育苗期間中) 低温時出芽やや遅い. 出芽揃2~3日早い.

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