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身体的負担が聴覚に及ぼす影響について

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Academic year: 2021

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(1)

身体的負担が聴覚に及ぼす影響について

    土居栄城・曽我部忠教・

      (農学部 農業機械学研究室)

Influence of Physical Load to Auditory Sensation

         Eiki Doi and Tadanori SOGABE

Laboratory of Agricultural Machinery, Faculty of AgricultuT・e

 Abstract : The authers measured the influence of the physical load by the operation on.

sitting and standing condition to the auditory sensation.

 The results were as follows ;

 1)On both operation, it occured to sensible fatigue, but it had littlevariation to flicker

value and body reaction time on the working time as long as this experiments.

 2) As the temporary reduction of the hearing power by the physical load was recognized

distinctly (reduction ratio 40−50%),theoperator needed to consider this facts when an

operator drived agricultural machines.

 3) It was dぼicult to find a certain relation between the working time and the hearing

power on this experitnnts.

 4)The limit value that was capable of being endured noise was little affected by the

physical load.

      緒    言

 近年農業においても,他産業の後を追って急速に機械化が押し進められてきており,今日では機

械を使用しない農業は考えられなくなってきている。 その結果,農作業の能率は非常に向上した

が,一方では農作業時における事故か増加してきている。事故の原因は機械側と作業者側の両者に

求められる。この内機械側からはfool

proof 的なものから,自動運転1・2'による無人化まで種々の

方策が考えられている。しかし作業者側からの対応は未だ研究の端緒についたばかりである3'。

 ここでは農作業時におけるオペレータの安全性の面から,身体的負担かオペレータの聴覚に与え

る影響を調べた。聴覚については,一般に騒音,振動による影響が研究されているか,身体的負担

との関係に関するものはほとんどみられない。これは身体的負担による影響が少ないからだと思わ

れるが,しかし一部時な影響は当然生じると考えられる。そこで農作業を念頭においた立位動作で

ある反復横跳び,座位動作であるローイングマシンによる模擬作業を行ない。,聴力および騒音評価

への影響を調べた。

       実 験 方 法

被験者 被験者は,年令22∼23才の男性3名とした。生理的条件は,

Table 1 のごとくである。

      Tableし Ph-ysical

condition of

subjects

Subject

Age

Sex

Height

Weight

A B C 22 22 23

male

male

male

,^cm 162 167 58*^8 58 62

(2)

 18        高知大学学術研究報告 第30巻 農 学      ’  負荷作業 作業としては,座位作業と立位作業を選び,座位作業としてはローイングマシンをこ ぐ勁作で,立位作業としては反復横跳び動作で,それぞれ代用した。  ローイングマシンは,メトロノームに合わせて,1分間に17ストロークの速さでこぐようにし た。また反復横跳びは,線間90 cm とし,これもメトロノームに合わせて,1分間に80回の速さ で行なった。  作業時間は,ローイングマシンでは, 15, 20, 25分間,反復横跳びでは, 5, 7, 10分間の各3 種類変えて行なった。  作業負担度 作業負担度の指標としては,一般にRMRが使用されるが,これは測定に非常な手 間を必要とするため,本実験では,フリッカー値(竹井機器工業製・TKKポータブルフリッカ ー)と全身反応時間(竹井機器工業製,皿型)を指標とした。  聴力の測定 聴力測定は,オージオメータを使って,各種の周波数について可聴音圧を測定する のが一般的であるが,ここではストップウォッチの針音の可聴距離を測定することにより代用し た。本実験では,定性的なものをみるのか主であるので,これでも十分であると考えられる。

Tab\e 1、Agricultural machine iised to the test、 recording condition    and noise le・d.

 Agricultural machine Kinds   I   Type

Ride tractor

KubotaL27

でJ窓臨。

Recording condition No load. 2000rpm operator seat Noise level 88ホン(A)

Power tiller

Suzue tiller rating power  5 ps/1800rpm

No load, 1800rpm

operator position

89ホン(A) Transport     vehicle Eruta light carrier TW-1 max power 2. 2ps/6000rpm N0 load, 1200rpm operator position 86ホン(A)

Blower

Mitsubishi     DF―40B require power        4 PS

At a distanceof l m

to blastdirection

86ホン/、(A)

 騒音レベルの闇値の測定 騒音源としては,乗用トラクタ;動力耕うん機,運搬車,送風機の4

種類とし,これらをTable.

2.のごとき条件で運転し,カセットレコーダ(ソニー製CFS−686)

に録音した。なお録音時の詳細は.

Table. 2.に示してある。’

 次に騒音の再生は,カセットテープに録音した音をボリューム一杯に上げて再生し,遠くの方よ

゛り音源に近づいていき,聴くのに耐えられない位置での騒音レベルを測定した。騒音レベルの測定

は,普通騒音計(リオン製NA−09)によって行なった。

 上記フリッカー値,全身反応時間,聴力および騒音レベルの閥値の測定は,作業前と作業直後に

おいて,各3回毎行ない,それらの平均値でもって表わした。

      実験結果および考察

 作業負担度 作業の負担度を評価する指標としでフリッカー値と全身反応時間を取り上げ,それ

らの結果をFig.

1∼4に示す。 図の縦軸は,個人差や環境の影響をなるぺけ少なくするため,作

(3)

身体的負担か聴覚に及ぼす影響について(土居・曽我部)

業前と作業後の比で表わした。

 (1)りーインクマシンの場合 実験結果をFig.

1。2に示す。

 2    1    0    9  t    1     t″   a SuDjjOM sjoigq.SA jauB 10 opey 0.8 liP ○Φe

Subject)   A   B   C

      15      20      25

      Working time (min)

Fig. 1. Variation of flicker value in respect of rowing machine operation.

3UIM0M ajoigq  sa jauB lo oqBM 1.2 1.1 1.0 0.9 0.8 ○Φe Φ ○ e Θ ○ Φ Subject ABC Φ O e        15      20      25        Working tims (mm)

Fig. 2. Variation of body reaction time to the sound C500Hz) in respect of

  rowing machine operation.

(4)

20

高知大学学術研究報告 第30巻 農 学

2       ‘ o         9 1         1           1         0   3 U 1 M J 0 M   a i o i g q . S A     J 3 U B   1 0 O p B M 0.S        5    7    9    11

       Working time (min)

Fjg、3. Variation of flicker value in respect of side step action

1.2           i 一           0           9           1         1           0 s u T M J O M   a j o i s q . S A     J 3 U B     1 0 O q B M 0.8 Subject        5    7    9    11        Working time (mm)

Fig. 4. Variation of body reaction time to the sound (SOOHz) in respect

(5)

       身体的負担が聴釦こ及ぼす影響について(土居・・曽我部)      ”  21  Fig. 1はフリッカー値についてまとめたものであるか,これによると15分間作業ではほとんど 低下はみられないが, 20, 25分間では,わずかではあるが低下が認められる。  Fig. 2.は全身反応時間に関するものであるが,この場合はかなりの個人差がみられるが,全体 的な傾向としては,作業時間15,20分間では,ほとんど変化せず,25分間ではやや大きくなるとい える。  次に両者を総合してみると,作業時間か25分間程度になると,生理的な疲労が認められ始めると いえる。      ●  (2)反復横跳びの場合Fig. 3∼4に結果を示す。      ,  Fig. 3 はフリッカー値について表わしたものであるか,作業時間5分間ではほとんど変化かみ られないか, 7 , 10分間ではわずかではあるか低下が認められる=。  Fig. 4は全身反応時間の場合であるが,これでは■ 5,7分間作業でほほとんど変化はみられ ず,10分間では個人差はあるが,大きくなる傾向がみられる。      \  両者を総合してみると,作業時間10分間程度より疲労が出始めるといえる。  以上(1),(2)を樋口らが行なった農業機械使用時のフリッカー値の測定例4・5)と比較してみると, 動力耕うん機による耕うん作業では1時間作業,刈取,脱穀作業では,2時間作業七おける疲労に 相当するといえる。      i  身体的負担の聴力への影響 結果をFig. 5, 6に示す。測定値は生理的条件や環境条件の影響 を少なくするために作業前,後の値の比で表わした。 1.6 1.4 sutMjoM aioiaa.SA jguB 10 opey 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 Right Φ | | 日e□○ ○Φe ・ | II ○ □8 Left □ 皿9 Subject   A   B   C =l Φ aχ︰yロ m        15     20    25

      Workig time (min)

(6)

SURJJOM s j o i a q ・ S A   j s y s   1 0 』

高知大学学術研究報告 第30巻 農 学

Righ、t ○ Φ e 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 Φ日 (EB ロ ○ ローΦC3B> ! Left ロ ー ’日 SubjectA B C iupgi 一Φ       5      7      9      11

      Working time (min)

      Fig. 6. Variation of the hearing power in respect of side step action。

       1・     I  Fig. 5はローイングマシンの場合であるか一部作業後の値が大きくなったものもあるが,全体 の傾向としては,低下しており,15分間作業で40∼50%の低下がみられ, 20, 25分間と作業時間が 長くなるにつれて,低下割合か減少する傾向がみられる。  次にFig. 6は反復横跳びの場合であるが,この場合も,すべて作業後の値が低下しており,5 分間作業で約20%の低下がみられる。作業時間との関係は,ローイツグマシンの場合とは逆に時間 と比例して低下する。  このように両者ともに,作業後に一時的ではあるが,かなりの聴力低下か認められるので,機械 作業を行なうに当たっては,これらのことを考慮して,作業を行なう必要かある。  身体的負担と騒音に耐えられる限界値の関係 実験に使用した機械騒音の大きさはTable. 2. に示す通りである。これらの内乗用トラクタ,動力耕うん機,運搬車は実際の作業時での作業者の 位置におけるものであるが,送風機においては,直接関連のない位置である。  これらの騒音と騒音レベルの具体例6’と比較してみると,トラックの始動時に相当し,会話が非 常に困難で,いらだちやすい状態にあり,精神的な面においてかなりの影響があると考えられる。 このように農業機械騒音は作業者にとって非常に影響の大きいものであるか,このような騒音に対 する評価は身体的負担によっても影響されると思われる。そこで本実験では,騒音に耐えられる限 界値と身体的負担との関係を調べた。その結果はFig. 7, 8に示す。  Fig. 7.はローイングマシンの場合であるか,機種による差はほとんどみられないか,作業時聞 か長くなるにつれて,わずかではあるが作業後の値か大きくなる傾向がある。すなわちより小さい 騒音レベルで耐えられなくなるということである。  Fig. 8は反復横跳びの場合であるが,この場合は送風機による値がわずかに大きくなっている

(7)

s u i i i J O M   s j o p q .   S A   J 3 U B   1 0   O T i ' e y 一 身体的負担か聴覚に及ぼす影響について(土居・曽我部) 1.2 1.1 1.0 0.9 0.8        15      20      251

      Working time (min)

Fig. 7. Variation og noise level on endurable limit in respect of rowing

  machine operation.  2      1   n) OJ  1    1     1    0 3UMJ0M aioiaq  sa j3ub io oqey 0.S

@必

5 ○ (D e ●

7 /Ride tractor Power tiller Transport vehiele Blower 9

11

      Working time (min)

Fig. 8. Variation of noise level on endhrable limit in respect of side step

  action.

(8)

 24        高知大学学術研究報告 第30巻 農 学

が,その他のものはほとんど差かみられない。また作業時間が長くなるにつれて,わずかに減少す

る傾向がみられる。

       摘   要

 身体的負担(座位作業であるローイングマシンおよび立位作業である反復横跳び)による聴覚へ

の影響を調べたか,その結果は次のようである。

 (1)両作業とも本実験程度の時間では感覚的疲労は生じるが,フリッカー値および全身反応時間

には,大きな変化はみられなかった。

 (2)身体的作業による一時的聴力低下は,かなりはっきり(40∼50%)認められるので,機械作

業を行なう場合には,このことを考慮して行なう必要がある。

 (3)作業時間との関係は,はっきりした傾向はつかめなかった。‘

 (4)騒音に耐えられる限界値に対する身体的負担の影響は,本実験の範囲ではほとんど認められ

なかった。        参 考 文 献 1)居垣千尋・堀尾尚志・三沢一雄,農用トラクタの自動操縦に翻する研究(第1報),農機関西支部報,  No. 37, 6 ― 9 (1975).       ∧ 2)堀尾尚志・居垣千尋,農用トラクタの自動操縦に関する研究(第2報),農機関西支部報, No. 41, 5 ―  8 (1977). 3)田中 孝・小松 実・今井敏昭,動力耕うん機の操作労力軽減に関する研究,農機関西支部報, No. 40,  23-25 (1976X 4)樋口英夫・石原 昂,農業機械使用時の疲労に関する研究(第1報),農機関西支部報, No. 9, 13―15  (1970). 5)樋口英夫,農業機械使用時の疲労に関する研究(第2報),農機学会講演要旨> p. 127, (1971). 6)前滓正殿,概説安全工学, p. 426,共立出版,東京(1977). (昭和56年8月10日受理) (昭和56年10月5日発行)

Fig. 1. Variation of flicker value in respect of rowing machine operation.
Fig. 4. Variation of body reaction time to the sound (SOOHz) in respect   of side step action.         ヽ
Fig. 5. Variation of the heaping power in respect of rowing machine operation.
Fig. 7. Variation og noise level on endurable limit in respect of rowing   machine operation

参照

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