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携帯端末向け高効率電力増幅器に関する研究

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Academic year: 2021

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博士論文の内容の要旨

論文題目 携帯端末向け高効率電力増幅器に関する研究 専攻名 システム創成工学 氏 名 加藤 貴之 携帯電話などの無線通信端末装置には,待ち受け時間,通話時間,およびデータ通信時間の拡 大のために,その低消費電力化が求められている.端末装置の中で,送信信号を所望のレベルま で増幅する電力増幅器は,消費電力の最も大きい部品の一つであり,その高効率動作が端末の低 消費電力化に欠かせない.増幅器を高効率動作させる場合,その飽和出力レベルギリギリのとこ ろで動作させるのが一般的である.一方,現在使用されているデジタル無線通信方式においては, 増幅器出力信号の低歪み化は必須である.低歪み化のためには,増幅器の飽和出力レベルからあ る程度下がったレベルで動作させるのが有効であるが,そうすると,特に入力信号の電力レベル が低い瞬間,飽和出力状態から大きくかけ離れるので動作効率が極端に低くなる.すなわち無線 装置用の増幅器には,高効率動作と低歪み化という,相反する要求が課せられている.基地局用, 中継局用の比較的大形の無線装置の場合,既にこの課題に対していくつかのアプローチがなされ ている.しかし,端末用小形無線装置にそれらをそのまま適用することは難しい. 本論文は,携帯端末向け高効率電力増幅器に関する研究と題して,有望な2形式であるドハテ ィ型増幅器と電源変調型増幅器を取り上げ,両技術の将来の無線通信システム用電力増幅器に対 する適用について検討,考察した. まず, 1.9 GHz 帯 W-CDMA 端末用の4 mm 角小形ドハティ型増幅器モジュールを設計・試作し, W-CDMA 信号を用いた特性評価を行った.その結果,従来型の電力増幅器の理論限界と比較して 10%の効率改善量を得た.この優位性は,HPSK 変調信号やOFDM 64QAM 信号など携帯電話システ ム用信号方式を導入する際にも保たれることを評価実験により確認した.これらの知見から,近 い将来の無線通信システム端末用高効率化技術としては,ドハティ型増幅器が有用であるという 結論を導いている. 次に,電源変調型増幅器については,新しく専用の評価系を考案・開発し,それを用いて電源 変調型増幅器の2 方式であるEER 方式とET 方式を採用した送信機それぞれに対し,送信可能な 信号帯域幅,エンベロープ信号経路とRF 信号経路間の時間整合,電源電圧変調深さとACLR,お よび動作効率などを測定・評価した.この結果よりエンベロープ信号経路に配置される増幅器の 非線形補償が特に重要であることを突き止め,この点を考慮して設計・試作された電源変調型増 幅器が所望の特性を実現できることを実証した.これら知見は,小形モジュール内に電源変調型 増幅器を実装する場合に非常に有用である.また,ET 方式とEER 方式の比較に関しては,特に 早期実現性の観点で,ET 方式が有利であることを明らかにした. 以上を総合して,特に広帯域化の観点で電源変調型増幅器が優れている点を明らかにし,その 更なる小形化が進めば将来的にはドハティ型増幅器より有望であるという結論を導いている. 本論文は全5章で構成されている.以下に各章の内容を述べる. 第1章は序論であり,本研究の背景,意義,目的を述べている.第2章は,小形ドハテ ィ型増幅器モジュールの開発について,まず,その動作原理,目標性能,それに基づいた 設計指針を示している.続いて,入力電力分配器並びに出力インピーダンス整合回路のモジュ ール化に関する検討結果,ならびにそれを用いた小形ドハティ型増幅器モジュールの試作結果 について述べている.第3章は,小形電源変調型増幅器の開発について,まずその評価シ ステムの構築と評価結果および解析結果を示している.次いで新たに考案した歪み補償方 式について述べ,その妥当性の検証などを行っている.第4章は,開発したドハティ型増 幅器モジュールと電源変調型増幅器の性能比較ならびに特徴比較を行い,将来の無線通信 システム用携帯端末向け小形電力増幅器に対する両技術の有用性と適応性について考察し ている.第5章は,結論であり各章で得られた知見を取りまとめている.

参照

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