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速度・加速度に関する関係理解についての発達的研究

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(1)学. 位. 藷命. 文. 速度・加速度に関する 関係理解についての発達的研究.   兵庫教育大学大学院 学校教育研究科  (修士課程). 学校教育専攻 教育基礎コース.    曽 我 昇 平. 学籍番号  M85010B.

(2) ノ事. が逆に、認知心理学を受け入れない要因に転化していることも事実 であろう。.  今日の心理学において、数学の学習の中心である概念学習を、そ.  数学教育では、数学的な見方・考え方の育成が指導の中心に位置. の人が概念的知識体系の中に新しい課題の持つ共通属性を位置付る. される。そして、この数学的な見方・考え方は数学の概念的・一般. こととして表している(丸野,1983)。それは、個々の知識よりも. 的知識として、水平的にも・垂直的にも転移・発展可能だとされて. 知識体系の基本的な構造と、知識を翻り出す探究や発見の能力の獲. いる。特に、中学校における数学教育は、対象とする生徒の年齢が. 得を目指す数学教育においてのものとは、明らかな違いをみせてい. Piaget理論の形式的操作段階に位置することより、形式的・一般的. る。. な概念の獲得にのみ指導の重点がおかれ、具体的な事実・知識は形.  この数学の知識体系と個々人との係わりについて、例えば、論理. 武的な体系の下位段階に位置されてきた。ここでの具体と形式の関. 的な筋道を立てた考え方の育成に関して、数学の方法である演繹的. 係は相互浸透でなく、形式の一方的な優位性である。個々での明確. 推論の学習が、日常生活で人間が用いる演繹的な推論の熟逮にどう. 化は形式にのみ存在し、具体ではなんら発展性をみないものになる。. 関係するのかが調査されている(松尾,1977) (川婿,1985)。これ. このように形式にのみ依存した明確性は、生徒の出した仮説をすぐ. らの調査は、年齢が進んでも論理性が増すのではなく、かえって事. に否定ないし制限する方向性を持ち、仮説の発展性はなくなるので. 実によって判断する傾向が生まれることを示し、数学を学習するこ. ある。. とによって日常の論理性が高まるわけではないことを記述している。.  現在までの認知心理学の研究は、従来のPiaget理論の修正を求め、. これは、一つの体系を前提にした断片的知識の理解では生活的な実. 具体と形式の行き来の中で定着する知識と子達化に、発達の基本を. 感がなく、共通属性としても身に付かないことを示しているもので. 見いだしている。そして、手続き的知識の領域固有性の問題は、数. ある。. 学的な概念を生み出す具体的な事実に基づいた基礎知識の解明と、.  心理学が数学教育に影響を及ぼした最大のもので、4なお及ぼし. 概念的な知識に至る関係統合の有り様の解明を求めている。. 続けているものは、Piaget理論であろう。このPiaget理論の構造主.  本研究は、上記の立場からの追究である。そして、中学数学にお. 義的追究が、現代数学の構造を模したものであることが、数学教育. いて最も抽象化が進み、学習・指導が難しい事象である、関数概念. で受け入れられる要因ともなっているのである。しかし、そのこと. を研究領域に選んだ。. 一1一・. 一2一.

(3) 【目次】.   11222344555. 序. 問題 目的  ・. 方法. 結果 1    2    3    4 考察. 引用文献 要約 要約(訳). 附記. 一一 3一. 一4 一一.

(4)             【問題】. 整の過程を重要視している。そしてシェマを特徴付けている操作に よって段階理論を構築しているのである。:.  運動的な速度,加速度に関して、心理学実験の多くは、2っの運 動体を並走的に走行させ、諸条件を変動させて行われてきた(松井,.  このPiagetの段階理論のうち、形:式的操作期の研究を上野直樹. (1982)は、組み合わせ操作のようないくつかの手続きに関する知. 1984)。ここでの変化させる条件としては、速度,加速度,距離,. 識の獲得に焦点を充てたものであり、形式的操作に関するモデルは、. 時間及び追い越し時のマズクの有無などがあげられる。このうち、. 汎用性の高い推論規則や方略が、それちが適用される内容や事実と. 速度・時間・距離は同一の基礎公式によって相互関連した物理的次. は独立に貯蔵されでいる知識表現モデルであるとしている。Piaget. 元であり、加速度についても同様である。. の段階理論では、具体的操作期の判断や推論の論理的形式が形式が 内容と結びついているのに対して、形式的操作期では形式と内容が.  速度の認識に関して、Piaget(1970)の示した結論は、速度の認識. 分化し、その分化によって命題の経験的な真偽にとらわれずに、演. は先行関係の直観が一般化されたものであって、距離と時間との関. 繹的な論理形式にのみ基づいて推論できるとするものである。この. 係から導き出されたものではないこと、つまり速度の認識に関数関. 段階理論の形式的操作期では、思考が具体的なものから解放される. 係の理解が必要条件であり、5v一一 8歳の1時期に物理的な時間や速度. ことによって、2っの構造が生ずるとしている。そのモデルが命題. の評価が、 {速いと時間がかかる}型から{速いから少ない時間で. 操作とINRC群であるとしている。. 済む}型への移行が見られるとするものである。.  そして、Piagetの実験では、子供の時闘の認識は空間に左右され、.  ここでPiagetが認知発達の機構を捉えた立場は、知識の在り方と. その時間と速度の空間の未分化は時間と速度の混同に由来するとし. 処理方略とを分離せず、その全体が発達すると考えるものであり、. ている。また、心理学的時間の概念発達は物理的時間の概念発達と. 発達とは個体と環境との相互作用の中で個体が行なう同化と調節の. きわめてよく対応しているとし、形成途上の速さと時間の概念とし. 作用を通して認知発達構造全体が変化する過程であると捉えるもの. て{関数概念}があるとしている。. である(丸野,1982)。そして、Piagetは認知発達に関与する要因 として、成熟・経験の役割・社会的役割・均衡化ないしは自己調整.  Piageti理論を、数学における関数概念の成立に適用させた例とし. の要因をあげ、この中でも特にシエマの同化・調整をふくむ自己調. て、Love11(1971)の研究がある。 Lovellは関数概念の発達について. ・一. T一. 一6一.

(5) 次の4段階を示している。. 留まるといえる。. 段階1.集合間の要素を対応付けられるが、関数を関係の特別な.  上記のPiaget批判は、認知心理学の研究の中で示されたものであ.    ものとしてみることはできない. る。それは、Piagetモデルの発達の斉一性と順次性の仮定に対して. 段階2.関数概念の関係的な面については理解できるが、ある関. の反証の提出である。そして、これらの研究によって明らかにされ.    係が関数であるために必要】な判断基準をまだもっていない. たことが認知心理学の理論の核となっている。. 段階3.ある関係が関数であるかの判断ができるが、逆関数にっ.  現在までに明らかになったことをまとめると以下のようである。.    いては十分でない. 段階4。関係がどんな表わし方であってもそれが関数かどうかが. ①熟達化の強調.    判断でき、逆関数についても十分である.  Piagetは発達のメカニズムとして均衡化を強調した。この理論は 感覚運動期から形式的操作期の、段階の移行過程について定義を与.  しかし、Piagetの形式的操作の理論に対する多くの追試は、形式. えるものではなく、段階の移行過程に影響すると考えられる成熟卵. 的操作期にあるはずの成人ですら、推論能力が具体的なものかち解. ・均衡的要因を特定しているわけではない(Case,1978)。そして、. 放されているわけではないことを示している。そのことは、Piaget. 認知心理学の多くの研究ほ年齢と熟達が必ずしも正比例的に進展す. の形式的操作モデルの持つ、般用性の高い手続き的知識が事実的知. るのではなく、発達は年齢依存より、むしろ新しい問題状況での経. 識とは独立に貯蔵されているとの考えが現実性がないことを示すも. 験の関数によるとされている。それは、発達の捉え方が基本的には. のである。. 長期記憶に、その領域に関連した情報がより多く集積され、そして.  しかも、たとえ現代数学での関数概念が写像であっても、それが. よりょく構造化され、形式と具体の相互浸透が容易になっていくこ. 子供の{対応}に置き換えること、あるいは発達の根源的なものが. と (高橋・波多野,1984)、つまり熟達化の強調である。. {関数作用的なシエム}に結びつくことなどには、心理学的として. の妥当性・有効性としては決定的なのもではないし、実験的な裏付. ②基本的能力の生得性. けも十分ではない。上記の段階説も、純粋な数学論からの妥当性に. 一一. 一7一一. oiagetの実験に対する方法論批判から、 乳幼児の種々の有能さ. 一8一.

(6) が指摘され、その乳幼児研究の成果として、発達の考え方に修正が. ている(波多野,1982)。それは、子供が特定の事物の概念を獲i得. 求められることとなった。特に、発達において構造は不変であると. するときは、すでに、その事物をめぐる文化的活動を獲得している. いうMandlerの考え方は、子供と大人の違いは何かという問題提起. ことより、人間(大人社会)と子供と自然界との三つどもえの関係. ともいえる(落合,1985)。これは、Piagetは機能は連続で構造は. で発達を捉えることであり、Piagetの自然法則と子供の対置から捉. 不連続とするのに対して、Mandlerは構造も機能も不変的・連続的. えることではない。この社会的相互作用の視点から、教育の概念は. であるとするものである。. 教示活動による知識の一方的な伝達として考えられているのではな く、親や教師や社会全体と子供達との相互交渉的な営みと考えられ. ③ 形式的操作の領域固有性の強調. ているのである(佐伯,1982)。.  Piaget以外の研究者によって成されたほとんどの形式的操作に関 する実証研究では、PiagetのINCR群によるコンビテンス・モデルに. 依存したものはない。つまり、形試的操作期にあるはずの子どもが.  以上の認知心理学の立場より、Piaget実験やPiaget理論を適用し. 命題操作を用いているかどうかを確かめるのではなく、むしろ組織. た研究の見直しがされっっある。. 的な組み合わせ方略をどう用いているかや、変数を分離したり統制.  運動的な速度,加速度に関する実験についての認知心理学的実験. 実験を行うことができるかどうかに焦点になつでいる(上野,1982)。. で、Sie91er&Richards(1979)は子供がどの様な特定規則を理解. そして、形式的操作期にあるはずの成人ですら、推論能力が具体的. したか、どの様な手がかりを使用したのかを特定する「規則評価法. なものから解放されているわけでないこと、論理的=な推論規則を一. (rule assessment method)」を用いて実験した。そして、速度の. 般性の高い手続き的知識として獲得しているわけではないことが明. 認識について、最初に使用するのは手がかりは「車の移動した最終. らかにされている。. 地点」であり、 「出発地点、出発時間、停止時間、距離、時間」等. の手がかりは遅れて使われること、そして、これらの手がかりを関 ④ 社会的相互作用(相互解釈・相互理解の強調). 係付る規則は「距離=速度×時間」であると報告している。.  Piagetは個体と環境の相互作用から個体内に生ずる認識を問題と.  また、Acredolo&Adams(1984)は、子供に情報として与えられ. する点で個人主義的側面に焦点をあて、文化的継承の側面を落とし. る、速度に関する物理的な3っの次元である距離・速度・時間のう. 一g一. 一10一.

(7) ち、2っの次元を関係から第3の次元を推論する相互関係の理解や. 全体として何かということが分らないからであると述べている。そ. その方法について実験調査した。そして、速度の認識に関し速度と. れは、関数の難しさが、式,グラフ,表,:定義域・値域などの問題. 時間の問の反比例的な関係理解より、速度と距離及び時間と距離の. が解けないこととか、定義が理解できないことからくるのではなく、. 間の比例的な関係理解が先行すること、前思春期の児童がこれらの. 数学としての関数が持つ形式性・演繹性め高さによって、生徒が関. 関係を統合できることを報告している。. 数の持つ全体的な意味・意義を感じ取れ旧いことである。.  これらは、知識全体と情報処理方略とを一一応分離して考え、処理.  そして、この関数を指導する難しさを三三(1976)は、関数理解. 方略の変化を捉えようとしたものである。. では関数の一一一 me概念に先立って具体的関数を知らねばならず、その. 具体的関数を理解するのに逆に一般概念が前提となるとする循環論 に陥るからだと論じている。それは、関数の考え方といった形式的  上記のような心理学で実験された運動的な速度,加速度は、小・. な方略の獲得が、十分具体的なことや内容に結びついていかないこ. 中学校で学習する1次および2次の関数概念の数学史的な基礎をな. とによるものであろう。つまり、関数を[数の集合A,Bがあって、. すものである。ここで、数学教育における関数概念の捉え方および. 集合Aの要素を決めると、それに対応して集合Bの要素が1っ決ま. 指導について見てみる。. るとき、この対応が関数である]という定義を理解し、関数的考え.  数学教育で関薮概念を重視することの必要性はPerry (1902),. 方が高まれば、それが直ちにあらゆる内容に適応できるということ. Klein (1907)以来今日まで指摘され続けている。わが国において. は現実味がないことを示している。. も、昭和10年から発行された国定教科書『小学算術』に関数的な考.  しかし、現在の数学教育においては「原因が決れば結果が決る」. 察が取り入れられ、戦後の学習指導要領にも引き継がれている。し. という物理的な因果関係を、一意対応が数学的に表現しているとこ. かし、中島(1982)が指摘するように、関数に関する考察の重視が、. ろに、関数関係の持つ教育的・認識論的な重要さを見出している. 算数・数学の進展にどのような形で表れているかという立場で考え. (重松,1985)。ここでは、一般式,グラフ,表を基にした関数指. たときには、必ずしも満足すべき状況ではない。その進展を妨げて. 導が中心となり、生徒が様々な情報をどう統合し認知するのかはあ. いる原因について小川(1984)は、関数:が生徒にとって理解し難い. まり解明されていない。これは入間の持つ演繹的な合理性が、論理. のは、関数が他の領域と違い与えられた問題が解けないのではなく、. ・数学における演繹とは異質のものであること、人は推論の形式的. 一11一. 一12一.

(8) な規則のみに従うのではなく、その事熊に様々な内在的知識を投入. 度の概念は学校数学での関数理解の基礎を成すものと言えよう。. して考えるとする、認知心理学的な事実認識を欠いているためであ.  しかし、加速度が単元の導入として扱う概念にもかかわらず、生. ろう。そのため、学校数学での関数指導は「関数の考え」「数理化. 徒が加速度をどのように理解しているのかは明確でない。また理科. の考え」「論理的な考え」といった数学的な考え方の育成が指導の. 教育の中でも、加速度はその指導の難しさを指摘され、今回の学習. 中心となり、生徒がどんな知議や事実に基づいて関数を捉えている. 指導要領の改定から高校の理1に移行された。そこで、数学教育,. のかは重視されず、その点に関する調査もあまりされていないのが. 理科教育からも、この加速度・速度・距離・時間についての関係理. 現状である。. 解を調べ、その加速度を速度・時間・距離との関係から統合し理解.  特に、中3における関数の単元は、思考がより形式的になる2次. する際の実相を明らかにすることは有意義であると考える。. 関数の理解と集合の対癒における関数概念の理解を目的としている.  また、認知心理学においても、速度,加速度概念の解明に多くの. ので、生徒の戸惑いも大きい。しかし、今までの教科教育の研究は. 研究があるが、前述した研究を含め、その被験者は幼児と小学校低. {生徒にどのように関数関係を理解させる}かが中心であった。し. ・中学年の児童を対象として扱うものがほとんどであり、数学教育. かし、生徒の思考が具体的なものから解放されているわけでない以. で必要とする年齢である小学校高学年の児童および中学校生徒を対. 上、それだけでは十分でない。それゆえ、関数における処理方略の. 象としたものは余りないのである。. 変化を調べることを主とする、 {関数関係がどのような事実や知識.  そこで、課題の文書提示可能な小学4年から中学3年までの児童. のもとで認知されるか}の研究が必要であろう。. ・生徒に、Acredolo&Ada孤sが実験の中で与えた課題を数学的な手. 法で再構成し質問紙の形で与え、速度,加速度に関する関係理解の 発達について調査した。.  学校数学では、速度概念を小5の[単位あたり量]で取り扱い、. 加速度概念を中3の[二乗に比例する関数]の導入として取り扱っ ている。この速度,加速度の概念は関数関係の原点であり、生徒に は親近性の高いものである。そして、親近性の高さによってスキー. マの働かせる状況がより強く造り得るものとなるので、速度,加速. 一13一一. 一14一一.

(9) 【方法】. 【目白勺】. 本研究の目的は以下のようである。. 1,被験者.  * 岐阜県各務原市立のU小学校の児童(341名) 1, 生徒が加速度の概念理解において、加速度の変数間の関係が理.              一一一一・一一小学4年生(104名).  解しやすく、関係を統合する時に基になると考えられる公式は、.                   小学5年生(113名).  (速度=加速度×時間)か(距離=1/2×加速度×時間の2乗)か.                   小学6年生(124名).  を明らかにする。.  * 岐阜県各務原市立のN中学校の生徒(364名)              一一一一一中学1年生(122名). 2, 児童・生徒は速度,加速度の概念理解において、加速度,速度,.                   中学2年生(121名).  距離,時間のうち、どの次元を最初に理解するのか、その理解が.                   中学3年生(121名).  発達に伴ってどう変化するのかを明らかにする。.    合計 児童・生徒(計705名). 3, 児童・生徒は速度,加速度の概念理解において、加速度,速度,. 2,調査時期.  距離,時間のうち、どの2っの次元の組み合わせが、最も第3の.  * 昭和60年12月. (各務原市立N中学校)a.  次元を関係付けて理解できるかを発達的に明らかにする。.  * 昭和61年2月. (各務原市立U小牽校)di N. 4,児童・生徒は速度,加速度の概念理解において、与えられた変. 脚注一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 一一一一一.  量の関係を、どの学年で理解し統合できるのかを明らかにする。. a 調査した時点で小5の[単位あたり量]は未学習であった。 as. 一一. @15一. イ査した時点で中3の[二乗に比例する関数]は未学習であった。. 一16一.

(10) 3,質問項目の構成.  各々の問題には①一一⑤の問があり、それは2変量の関係かち以下.  質問項目は次の、3っの公式1・一一 IIIかちなり、それら3っの公式は. の様に構成した。. 各々3っの問題で構成される。.   ①は第1変:量、第2変量とも同値関係blである 1,速度について     公式(d=S・t).   ②は第1変量:のみ同値関係である.  (1)時間と距離の間の関係から速度を非める  s=d/t.   ③は第2変:量のみ同値関係である.  (2)速度と時間の間の関係から距離を求める d=s・t.   ④は第1変量、第2変量とも同値干網でない.  (3)距離と速度の間の関係から時間を求める t・d/s.   ⑤は第1変量、第2変:量とも同値関係になく、第2変量が他か    ら導きだす必要のあるもの. II,加速度1について  公式(s・a・t)  (4)速度と加速度の間の関係から時間を求めるt=s/a. (以下、結果の集計においては、次の記号を用いた。.  (5)加速度と時間の間の関係から速度を求めるs=a・t. S:速度,T:時間, D:距離 大文字:同値関係にない, 小文字:.  (6)時間と速度の間の関係から加速度を求めるa=s/t. 同値関係にある,/:逆)aa. 一一. r注一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. HI,加速度2について   公:式(d=1/20a’t2).  tl同値関係一一例えば、 Aの速度をSa, Bの速度をSbと.  (7)距離と加速度の間の関係から時間を求めるt・》稲.         すれば、Sa= Sbである関係のことである。.  (8)加速度と時間の間の関係から距離を求めるd=1/2・a・t2.  nn記号一一例えば、(1)の①は時間と距離が同値のとき.  (9)時間と距離の間の関係から加速度を求めるa=2d/t2.       速さを比べる問なのでtdで表し、②は距離が.      (a:加速度,s:速度, d:距離, t:時間).       同値:でないので大文字のDで表しtDとする。. 一17・一. 一18一.

(11) 4,質問紙の内容. Tabe11問題の例. 2っの運動体が同じ地点から同時に同じ方向に走ったとき、どち らが速いか,遠くに行っているか,長い時間かかっているかを判断 一、ウサギのタWとジロは、同じところがら・同時に・同じ向きに走ったとき.次の問題に答えて下さい。. させる。. (1)タロとジロの速さをくらべて、速い方にOをつけてください。. 答え方一一・タロが速いと思うときは 、タロをOでかこむ      ・ジロが速いと思うときは 、ジロを○でかこむ. 5,問題場面の設定と問題.      ・同じときは      、同じ を○でかこむ      ・タロが速いときもジロが速いときもあり. 小学4年生に.おいても課題事態をはっきり提えさせるために、次 の様な(Fig.1;)問題場面を設定して問題(Table l)を提示した。.      どちらともいえないときは、? を0でかこむ ①タロもジロも同じ時間かかって、同じ道のりを走る ②タロもジロも同じ時間かかり、タロの方が先まで進む ③タロが多くの時間走り、タロもジロも同じ道のりを走る ④一日が多くの時間走り、一門の方が先まで進む ⑤タロが多くの時間走り、ジロの方が先まで進む. タロ、同じ、ジロ、?. タロ、同じ、ジP、? タロ、同じ、ジロ、? 口角、同じ、ジロ、? タロ、同じ、ジロ、?. (2)タロとジロの進んだ道のりをくらべて、先に進んだ方に○をつけてください。. o o,. o. ク. o. O. 0. 9 o. o 9. O. 。. 。 ’一〇. ;’i. ・傷. o ‘”. j. O 9. 0 (つ. う. o. oO. p. o. p. Q. ク. o.      0. 幽ブろ          止#る. ①タロもジロも同じ速さで、同じ時間走る            タロ、同じ、ジロ、? ②タVもジロも同じ速さで、タロの方が多くの時間走る       タロ、同じ、ジロ、? ③タロが速く走り、タロもジロも同じ時間走る          タロ、同じ、ジロ、? ④タロが速く走り、タロの方が多くの時間走る          タロ、同じ、ジV、? ⑤タロが速く走り、ジロの方が多くの時間走る          タロ、同じ、ジロ、? (3)タロとジロの進んだ時間をくらべて、多くの時聞かかった方に○をつけてください。. ①タロもジロも同じ速さで、同じ道のりを走る    ;     タロ、同じ、ジロ、? ②タロもジロも同じ速さで、タロの方が先まで走る        タロ、同じ、ジロ、? ③タロが速く走り、タロもジロも同じ道のり.. 走る  i     タロ、同じ、ジロ、?. ④タロが速く走り、タロの方が先まで走る     1.     タロ、同じ、ジロ、? ⑤タロが速く走り、ジロの方が先まで走る            タロ、同じ、ジロ、?.  ウサギのタロとジロとがキャベツ畑を荒すので、犬が番をしています.犬が眠ったときに、タロとジロとがキ ャベツ畑に入り、キャベツを食べます.キャベツをかじる音で犬が目をさまし、ほえて追いかけます.タロとジ. 二、一では速さの問題を解きましたが、二では速さの変わり方の問題を考えます       《ビューンと速くなるのはどちらか、ゆっくりと速くなるのはどちらか》. ロは道をまっすぐにかけだします.犬はくさりのとどくところまでしか追ってこれないので、それぞれ安全な場 所まで逃げると、止まって,}’たたび畑にはいるチャンスをうかがっています.. Fig.1 問題場面の設定. 一19一一. (4)タロとジロの走っていた時問をくらべて、多くの時間かかった方にOをつけてください。 ①タロもジロも同じように速くなり、今同じ道のりを走っている ②タロもジロも同じように速くなり、タロの方が先まで走っている. タロ、同じ、ジロ、?. ③タロの方がビュ・一ンと速くなったが、走った道のりはタロもジロも同じである ④タロの方がピューンと速くなり、タロの方が先まで走っている. タロ、同じ、ジロ、?. ⑤タロの方がビューンと速くなったが、ジロの方が先まで走っている. タロ、同じ、ジロ、?. 一20一. タロ、同じ、ジロ、? タロ、同じ、ジロ、?.

(12) 【系吉果】 (5)タロとジロの進んだ道のPをくらべて・先に進んだ方にOをつけてください・ ①タロもジロも同じよう停速くなり、’今同じ時間走っている ,. タロ、同じ、ジロ、?. ②タロもジロも同じように速くなり、タロの:方が多くの時間走うている. タロ、同じ、ジロ、?. ③タロの方がビューンと速くなったが、走った時間はタロもジロも同じである ④タロの方がビューンと速り、タロの方が多くの時間走っている. タロ、同じ、ジロ、?. ⑤タロの方がビューンと速くなったが、ジロの方が多くの時間走っている. タロ、同じ、ジロ、?. タロ、同じ、ジロ、?. 1,加速度の概念理解において基になる公式  中学校実施分の、公式(速度),公式(加速度1),公式(加速 度2)の平均点の集計表がTable 2である。. (6)タロとジロのどちらの方がビューンと速くなったをくらべて、速くなった方に○をつけてください。. ①タロもジロも同じ時間走り、今同じ道のりを走っている ②タロもジロも同じ時間走り、タロの方が先まで走っている ③タロの方が多くの時間走ったが、走った道のりは鷹司もジロも同じである ④タロの方が多くの時間走り、タnの方が先まで走っている ⑤タロの方が多くの時間走ったが、ジロの方が先まで走っている. タロ、同じ、ジロ、? タロ、同じ、ジロ、? タロ、i感じ、ジロ、? タロ、i司じ、ジロ、?. タロ、同じ、ジロ、?.  各々の問について、 [タロ,同じ,ジロ,?]の4つから1っ選. 択させ、正解に1点を与えて集計した。加速度の用語は金ての生徒 が未学習であるので、用語説明として、速さの変わり方として捉え. Table 2中学校実施分、公式(各15点満点),学年 (各45点満点)別の平均点集計表.  学年   中l. 中3. SSD. 全体. SSD.  速度  10.302.91 10.383.2?. 佐SD. 11.27 3.15. 10.64 3.15. カロ速度1   6.06 2.08   6.25 1.89. 6.80 1.71. 6.37 1.93. 8.99 2.59   8.82 2.64. 9.76 2.79. 9.19 2.71. A     t/SD.  、束   2   . させ、《ビューンと速くなるのはどちらか、ゆっくりと速くなるのは. 中2. 全体  25.356.2725.456.4527.836・11 26・206・28. どちらか》を問題にさせた。.  中学校実施分については、公式(速度),公武(加速度1),公 式(加速度2)について調査した。.  小学校実施分については、公式(速度)と中学校での結果から加.  中学校・学年(3)×公式(3)について分散分析を行った。その結. 速度の変数間の関係が理解しやすく、関係を統合する時に基になる. 果、学年間の得点差(F(2,361)=6.09,P〈.01),;および公式間の得点. と考えられる公式(加速度1か加速度2のいつれか一方)について. 差(F(2,361)=466.16,P〈.001)は有意であったが、学年×公式の交互. 調査した。. 作用はなかった。.  公式間の得点差の下位検定で、各学年とも公式(加速度2)と公 式(加速度1)問の差は有意であり(t=16。51,df=121;t=14.77,df=. 一21一. 一22一.

(13) ユ20;t=1271.25,df=120,いずれもp〈.001)、公式(加速度1)の理解. 6年以上で、速度を求める問題に対しては中学2年生以上で明らか. 度より公式(加速度2)の理解度が明らかに高かった。そして、公. に高い値を示した(Table 4)。. 式(加速度1)の正答率は各学年とも4割台の低いものであり、公 式(速度)との得点差も公式(加速度2)のほぼ3倍の大きなもの.  Table 3小・中学校実施分,公式(速度)の問題(各5点. であった。. 満点),学年(各15点満点)別の集計表.  この結果、公式(加速度1)を基にした問題と公式(加速度2). えられる公式は、 (公式:速度=加速度X時間)より, (公式:距. 離=1/2×加速度×時間の2乗)であろう。.   口. 設. の変数間の関係が理解しやすく、関係を統合する時に基になると考. 問皿. を基にした問題の理解度には明らかな差がある。それゆえ、加速度. 小4. 記号. SSD. (1) (D td.  @ tD  @ Td  @ TD    TID 一一一一_.一____一.一_._.一.._一___.NI題9 速度を求める問題. (2) O st. 2,速度,加速度概念の三次元の理解. 距離を求める問題.  その結果、学年間の得点差(F(5,699)=31.32,P〈.001)、問題間の得. d dS DS茄 SD  S S.  学年(6)×問題(3)についての分散分析を行った。. 時間を求める問題. ⑧. ①②③④⑤. 別得点の変化をFig.2に表した。. 鍵. _」凱三型. (1)速度概念について、小・中学校実施分の、公式(速度)の問題. 別学年別平均点の集計表がTable 3である。そして、問題別・学年.  @ sT  @ st  @ ST. 一一一一m一一wwwwJeqi nt.            学年計. (記号 S:速度 ,T:時間, D:距離. った(F(10.1398)=2.63,p〈.01)。.  距離を求める問題の理解度は、時間を求める問題に対しては小学. Q3一. NSD. 小6. SSD. O.71 O.46 O.80 O.40 O.86 O.35 0.60 O.49 O.79 O.41 O.81 O.40 0.44 O.50 O.55 O.50 O.71 e.46 0.16 O.37 O.12 O.33 O.25 e.44 0.55 O.50 O.66 O.48 O.73 ・O.45 2.46 1.22 2.91 L24 3.36 1.30 O.71 O.46 O.79 O.41 O.89 O.32 0.43 O.50 O.65 O.48 O.68 O.47 0.51 O.50 O.60 O.49 O.77 O.43 0.39 O.49 O.62 O.49 O.73 O.44 0.18 O.39 O.18 O.38 O.38 O.49 2.23 1.14 2.84 1.27 3.44 1.2g o.so e.40 o.s7 o.34 o.go o.30 0.49 O.50 O.61 O.49 O.69 O.46 0.42 O.50 O.58 O.50 O.65 O.48 0.12 O.31 O.14 O.35 O.27 O.44 0.40 o.4g o.so o.so o.4g o.so  2.23 1.14 2.70 1.25 3.00 1.23  6.92 2.61 8.45 2.83 9.80 2.92. 点差(F(2,702)=18.23,p〈1001)、および両者の交互作用が有意であ. 一一. 小5. 一24一一.

(14) 5. ○一一距離 X……・・日寺間. 絵. 4. △一・・速度. 日. 一. 均. 目3 点.  2 1. 中1. SSD. 中2. 輩SD. 中3    ノ」、叫靖全f本. 姓旦D 弛_旦旦. O.70 O.46 O.61 O.49 0.85 O.36 O.85 O.36 0.80 O.41 O.79 O.41 0.43 O.50 e.37 O.49. e.85 O.36 O.76 O.44 0.79 O.41 O.78 O.41 0.75 O.43 O.68 e.47 0.55 O.50 O.32 O.47. 0.71 e.4s o.74一一〇. gg.. Q一,.Ze73−Q.,一f1LO一一,.6...一一.,9 O,.,一awh6. 3.48 1.33 3.36 1.37 O.89 e.32 O.86 O.35 0.79 O.41 O.79 O.41 0.84 O.36 O.88 O.32 0.63 O.48 O.69 O.46 0.45 e.50 O.46 O.5Q 3.60 1.32 3.69 1.27 O.89 O.31 O.86 O.35 0.69 O.47 O.71 e.46. 3,”6,.,一”6  1一,3−9一,一3nv. 一一一一一一23  1.32. 0.80 O.42 i O.74 O.44. O.90 O.30 O.84 O.36 0.84 O.37 O.70 O.45 0.87 e.34 O.7S O.43 0.77 O.42 O.65 O.48 0.72 O.45 O.40 O.49 4.09 1.25 3.35 1.26 O.94 O.25 O.88 O.32 0.74 e.44 O.66 O.47 0.81 O.39 O.67 O.47 0.57 O.50 O.31 O.46. 0.32 O.47 O.42 O.50 0.47 o.so o.Jro o.so 0.54 O.50 O.60 O.49 3,52 1.27 3.02 1.26 3.22 1.30 3.34 1.36   10.3 2.91 iO.4 3.28 11.3 3.15. 大文字 :同値関係でない,小文字:同値関係,/:逆). 2.   小4 小5 小6 中1 中2 中3         斡 Fig.2 速度概念の問題別・学年別得点の変化.  学年間の変化(Table 5)では、どの問題に対しても小学4年と5. 年、5年と6年の間に理解度の伸びが見られた。小学6年以降はど の問題も一定の高い理解度を示したが、中学2年までに明らかな伸 びはなかった。.  この結果は速度概念の理解度の変化が、小学6年を境にほぼ一定 となることを示した。そして、小学6年以降で距離次元の問題が理 解しやすいことを示したが、3っの次元の問題のうち、どの次元が 最初に理解されるのかは示されなかった。. 一25一. 一26一.

(15) (2)加速度概念について、小・中学校実施分の、公式(加速度2). Table 4 各学年における問題間の得点差の検定. の問題別学年別平均点の集計表がTable 6である。そして、問題別 ノ、4  . 公式(速度). ノ、5  ノ、6 ユ1.___ua.  距離問題一時間問題  ns  ns.  3.58噸.購 2.84“. 2.88“卿  4.89“皐申.  距離問題一速度問題 』1.80+ 皿s  速度問題一時間問題  1.71+ ns.  ns ns  2の75申・  1・90 +. 2.74騨.  3,40申.“. 公式(加速度2)  距離問題一時間問題  ns  5.15Pt ’. Table 6小・中学校実施分,公式(加速度2)の問題     (各5点満点),学年(各15点満点)別の集計表. 購.  距離問題一加速度問題2.52− 2.12一. 4ゆ44“.申 8.77叡.“ 9.62申噛申11.0,顧卓. 1.79 + ns ns 2.95” 鰯.. 設問  記号. 6.12購.顧 9 39“喚“ 8 51“噛串 6.83串甲“.  H寺…間問題    1.83 +. 2.05pt. 2. 85”. 3. 14pt ’. 1. 93 +.  聡S  ns  加速 Pt’401’騨  ns (=’一 :一一iJCi6−i;’M;一=iiZ’” p〈.oo1, “’ pi’ol, “ p〈.os, +p〈.1, ns p l.1). 一一. Q7一一. NSD. SSD. ワー︻﹂0︾00凋唖 0 り09444 0nUOOn︾.  ns. ウゐOn◎nOn◎.  ns. 加速度を求める問題. 潮湘溺調理 4︻U4り乙4. 公式(青翠速度2).  距離問題  4.25’鱒.  ns. O O nU nU nU O 0nりnUO.  2.59一. 1.81 +. ハU nり nU ︵り 0.  1. 82 +. 2.49・. 000nUnり.  3.66申艸. SSD. 小6. O.36 O.86 O.35 O.85 0.50 0.54 O.50 O.49 0.49 0.42 O.50 O.61 0.45 0.05 O.23 O.27 0.4g e.41 O.49 O.40 曇 2 0 02 95 2.02 O.95 2.30 1.17 2.61 1.32 O.35 O.85 O.39 O.86 ⑧ 0.48 0.66 O.38 O.66 0.65 O.48 O.69 0.47 0.48 0.62 O.49 O.65 0.46 0.14 O.35 O.30 1 2 闇 頴計 2.18 1.i2 2.g3 1.23 3.15 1.34 銘 並 O.89 O.32 O.84 (9)O td O.74 O.44 @ tD O.60 OA9 0.86 O.35 O.86 0.50 O.50 O.61 @ Td O.42 O.50 0.20 O.40 O.30 @ TD O.19 0.40 0.77 O.42 O.74   TID O.57 O.50. ①②③④. る. 題. ・b旦2感1止_由ユ豊一. ノ、5→ハ6. S S SS S 皿S nn n人血踊. 公式(速度)  距離問題 3。55’”’  時間問題  2.71”  速度問題  2.51’. Sn $S n n.      ハ4→ハ5. め. 問. 求. 蹴蜷. 小5. 小4. 700eOQ︾ワー 託略溺託旧﹂2 7 4り00忽3. Table 5 各問題における学年間の得点差の検定. ﹄qD﹄qnり/. 題. aa凸皿凸n凸皿就航飢興醒. る. 問. を 間 時. 求め. ω. ①②③④.   目. ( ゆ喚ゆ p〈.001,  巾噛 p〈,01,  . p〈。05,  + p〈.1,  ns p≧●1).  D.  、束   ロ   一  ・H ロ     3.65噂」ゆ吻 7.54申.. ns ns. ・学年別得点の変化をFig.3に表した。. ロ  善      2.52 1.29 3.20 1.05 3.36 1.36. 学年言f      6.71  2.40   8.43  2.62   9.11  3.30.     (記号 A:加速度 ,T:時間, D:距離. 一28一.

(16)    ロコ. 遼メ.  版.  壌.  欧. ノ/. 溌沢. 3  平均点.  診. 4.   度 離聞速 距時加. 蜜. 5. 2. 1. 小中全体. 中3.  ’. OnUnUOO. 中2. 0000nU.  中l. 弓 乙900000 り04Fh︾00﹂堕 06∪OnりnU. 001凸¶1ΩU9. Ωり4︻﹂−轟ウ﹂. AURU縄◎6n◎. 244触4壕qり一. 〇nUn︾00一. 0.38 O.49 O.41 OA9. ρ0︻U407. 0.87 O.34 O.89 O.31 0.71 O.46 O.69 O.46 0.74 O.44 O.69 O.47 0.69 O.47 O.6g O.46. ︵り︵∪OnU6U. 0.22 O.42 2.19 1.18 2.12 i,O”5. 0﹂3心Uり0℃三. ︻﹂7nり︻U−高 り 乙45り04. 0.51 O.50 0.21 O.41. Oりームリ乙4αU. 0.34 e.48. Oり00︻U−占2. e.go o.30. 0︵UnりnUnU. A11fl.S−LDNigELSJ)LLwhlUZrsj   SD. z. 小4 小5 小6 中1 中2 中3.      斡 Fig.3. 加速度概念の問題別・学年別得点の変化. Z.,.一tl141−1一.2M4−th.一2.pt..H28nvl.一.1..5. 0.94 O.23 O.86 O.35 0.73 O.45 O.64 e.48 0.82 O.39 O.69 O.46 0.81 O.3g O.65 O.48 0.60 O.49 O.33 O.47. 3.38 1.33 3.37 1.31 0.87 O.34 O.88 O.32 0.87 O.34 O.80 O.40 0.70 O.46 O.63 O.49 0.34 O.47 O.37 O.49. 3..,ep89−L.一3Lt  −a..3.Ut  1.2Lt. 0.66 O.48 O.64. Q,4.8. 0.58 O.SO O.65 .0..一4−7−. 3.43 LO9 3.32 .1.3P. 3.46 1.37 3.23 1.24. o.go o.30 o.s6 o.36 0.79 O.41 O.80 O.40 0.69 O.47 O.60 O.49 0.51 O.50 O.32 O.47.  8.99 2.59 8.82 2.64 9.77 2.80 大文字 :同値:関係でない,小文字:同傾関係,/:逆).  学年(6)×問題(3)についての分散分析を行った。  その結果、学年間の得点差(F(5,699)=16.62,p〈.OOI)、問題間の. 得点差(F(2,702)=188.02,P〈.001)、および両者の交互作用も有意 であった(F(10.1398)=2.63,p〈.01)。.  距離を求める問題の理解度は、時間を求める問題に対して小学5 年かち中学3年までの学年で明らかに高い値を示した(Table 4)。. しかし、加速度を求める問題に対しては小学4年から6年で低く、. 中学1・2年で差がなく、中学3年で高い値を示す逆転傾向を示し た。また加速度を求める問題は、時間を求める問題に対して小学4 年から中学3年までの全ての学年で明らかに高い値を示した。. 一29一. ・一. R0一・.

(17)  学年間の変化(Table 5)では、距離を牟める問題と加速度を求め. 距離・時間の問群、(i)③と(3)③は速度×時間=(一定)の反比例. る問題では、小学5年から中学2年までに大きな変化は見られなか. 的な関係であり時間・速度の問群とした。:                     . ったが、時間を求める問題では小学6年を境にして明らかな理解度.  各学年における問群間の差の検定(Tab’le 7)で、速度・距離の. の低下が見られた。. 問群の得点は、距離・時間の問群の得点に対して小学6年から中学.  加速度概念の理解度の変化は、速度概念の問題と比較して、各問. 2年まで、時間・速度の問群の得点に対しては小学4年から小学6. 題によって違った傾向を示した。それは、距離を求める問題が単調. 年までと中学2年においてそれぞれ有意な差が認められた。しかし、. 増加傾向、加速度を求める問題が高原現象、時閥を求める問題が小. 速度・距離の問群と距離・時闘の問群とに有意な得点差はなかった。. 学6年以降の低下傾向を示したことである。.  学年間の変化(Table 8)では、速度・距離の問群の得点は小学6.  以上は、加速度概念の理解において、距離次元以外の問題での混. 年以降に、距離・時間の問群の得点は小学5年以降に有意な変化は. 乱と、加速度概念を捉えることの難しさを示唆するものである。. 見られなかった。時間・速度の問群の得点については、小学5年か ら中学1年にかけて明らかな変化があった。 2. ○一一速・距群.   .  ガ. 速度に関する知覚実験の設定の基本でもある、2変量の関係が1変.   x勢. (1)児童・生徒が速度概念をどの様に関係統合するかの分析のため、. 平均点. 1.5e.    ∠. 3,第3の次元の関係付け理解. 絵. 〉く・……。2巨.日寺群. △一一一時・声払. 、  喚. 州. 1. 量のみ同値関係である問②と問③を取り出して集計しグラフ化した ZsZ. (Fig. 4)..  このうち(1)②と(2)③は、時間が一定であり距離と速度が変量と. なっている。そして距離と速度の関係は距離=(一定)×速度の比 例的な関係である。この両者を合わせて速度・距離の問群とした。 同様に、(2)②と(3)②距離=(一定)×時間の比例的な関係であり. 一31一. 2.   小4 小5 小6 申1 中2 中3         斡 Fig.4 各問群の学年別平均点の変化. 一32一・.

(18) ての平均点より明らかに高く(X2=19.79;κ2=22.90,いずれも. Table 7 各学年における問群間の得点差の検定      lI         ノ、4                              2 rp 3 ノ、5  』ノ、6   r11. 公式(速度). 速度・距離の問群一距離・時間の問群   ns  皿s 3・16” 2・78” 3・39”“ ns 速度・距離の問群一時間・速度の問群   2.69’3。76愉●“3.05噛’ ns 2.85“  ns.  時間・速度の問群一距離・時間の問群   ns  ns  ns   ns  ns   ns 公式(加速度2)  加速度・距離の問群一距離・時間の問群  7.47’”6.00’”7.11’鋼’5.02”。3。36” 3.99”●  加速度・距離の問群一時間・加速度の問群 5.06’”5.20’■■5A6◆“’4.44’一’6.70‘”3.77”’. P〈.001)、またStの平均点はTd, Sdについての平均点よりも高かっ た(X2 :7.65;X2=9.65,いずれもp〈.01)。.  これは、速度と距離の間の比例的な関係が、時間と速度との反比 例的な関係より理解しやすいことを示すものである。そして、速度 を時間の関数として捉えることの難しさを示唆している。.  fi$FM ・haL“ww!tlllL一一uE一.mN一; . 3 40         (‘:”::−ailZ’66’iZ“’ p〈.ooi,7−M:一;’MiiC〈.oMi;”“ p〈.os, + p〈.i, ns p l.i). (2)児童・生徒が加速度概念をどの様に関係統合するかの分析のた. め、速度概念と同様に、2変量の関係が11変量のみ同値関係である 問②と問③を取り出して集計しグラフ化した(Fig.5)。. 各回群における学年間の得点差の検定. Table 8. _一小5 公式(速度). 2. 28’. 2.40−. ns. 2.27・. ns. 篇S 2.79+・. 時日・ ’束  Pt. 3. 59”“ ns. 3.42”“ ns. ns 3.65”’. 2.38・. S nS nS n. 公式(加速度2). 加速度・距離の問群 距離・時間の問群. 皿S. 2. 壇 ns ns ns. ns 胤S. 1.78 +. ( ... pく.001,  。伽 pく.01,  ・ p〈。05,  + p〈.1,  ns p≧。1). (》一一一加・距群. ×一一距・時群 △r・・時・加群 1.5Z. 平均点. 速度・距離の問群 距離・時間の問群 時間’速度の問群. S Sq SS nS 皿n n nUP.      ノ、5→ノ、6 ノ、6→11   1→「 2. 1. 臼.S巳. 巳.  次に、慰問群を構成する問で、速度次元が関係する2っの問群、.    小4 小5 小6 中1 中2 中3. 速度・距離の半群を構成するtD, Stと時間・速度の晶群を構成する.         斡. Td, SdをTable 3より比較した。全体のtDの平均点はTd, Sdについ. Fig.5 各問群の学年別平均点の変化(加速度2). 一33一. 一34一.

(19)  加速度・距離の問群の得点は、距離・時閻の問群および時間・加. そして、. 速度の問群の得点に対して、小学4年から中学3年までの全学年で. いる。. 加速度を時間の関数として捉えることの難しさも示唆して. 明らかな差が見られた(Table 7)。.  また、距離・時聞の問群と時間・加速度の問群とには・小学5年 を除いて有意を得点差は見られなかった。つまり加速度・距離の問. 4,与えられた変量の関係統合. 群と他の問群との得点差は、速度桜念の速度・距離の問群と他の問. (1)速度概念における関係統合を、2変量の関係からまとめた。. 群との得点差に比べ非常に大きく、一種類の関係理解に関する問群.  2変量とも同値関係である場合の各問①は、どの問題・学年の平. の得点が突出したものであった。. 均点も高かった(平均点はTable 3,検:定はTable9,10にi提示)。.  学年間の得点の伸びについて、加速度・距離の問群および時間・. 加速度の問群の碍点は変化が少tsく、大変なだらかな単調増加傾向. Table 9 各学年における速度と加速度2の得点差の検定. を示した。これに対して、距離・時間の問群の得点は小学5年を頂 点として減少傾向を示した。ここに、速度概念に関する問題と大き. 一nv一一一一一一一M一一一一一一一de.2N5ew 2変量とも同値関係にある問題. な違いが見られた。.  (速度の問題の  加速度2の問題の.    問①の計一    問①の計)  ns  ns  ns  ns.  次に、各回群を構成する閻で、加速魔次元が関係する2っの問群 である、加速度・距離の問群を構成するtD, Atと時間・加速度の問. 3. 4.45”’ ns. 2変量とも同値関係にない問題’  (速度の問題の  加速度2の問題の 1.90 +  4.42r’.’”3.tt O.   一fi(4)e.na)gLt一一 ru7c4)cs)(D Et) ns..“t ns (…Pく.001,・・P〈.01,’P〈.05,・P〈.1,nsp≧・1). 群を構成するTd, AdをTable 6より比較した。全体のtDの平均点は Td, Adについての平均点より明らかに高く(X 2 ・68.88;X2=129.52,. いずれもp〈.001)、またAtの平均点はTd, Adについての平均点より 高かった(X2=13.51;X 2=47.03,いずれもp〈.001)。.  これは、加速度と距離の2乗との間の比例的な関係が、時間と加 速度との反比例的な関係より理解しやすいことを示すものであり、 速度概念の場合と同じであが、その差は速度概念より顕著である。. 一35一一. 2. 一36一.

(20) 4.  1変量のみ同値関係である場合の各問②③は、小学4・5年では、. ○一速度 △一加速度2. 距離に対する比例的な関係によって答えられるtD, sD, sTおよびSt 3. の平均点が、速度と時間の反比例的な関係を必要とするTdとSdの平. 占“. は、各問②③の平均点が全て高い値を示し、2っの次元の関係を統. 日守. 均点より高い値を示した。しかし、小学6年から中学3年において. 2. 合して理解できる可能性を示唆した。  2変:量とも同値関係にない、各問④⑤の中でTD,S/T, SDは、正解. 1. が[?]であり、順序関係が一つに決らないものである。当然、他. の問と比べて低い値を示していた。その中でも、小学4・5年では.  の.    小4 小5 小6 中1 中2 中3. 極端に低い値を示していたが、小学6年から中学3年においてはそ.          学年. のような極端さはなかった。また、問④⑤の総平均点は学年が進む. Fig.6 速度および加速度2の問④⑤の総平均点の学年変化. につれて単調増加し、問②③より各学年の伸びは大きいものであっ た(Fig.6)。. (2)加速度概念における関係統合を、2変量の関係からまとめた。.  2変量とも同値関係である場合の各①は、各問題・各学年とも平 均点が高かった(平均点はTable 6に提示)。そして、各一学年の平均. 点は速度概念の問題の平均点に対し、中学2年を除いて有意な差は 見られなかった。.  1変量のみ同値関係である場合の各回②③では、距離に対する比 例的な関係を必要とするもののうちtD,aT,およびAtの平均点が、速. 度と時間の反比例的な関係を必要とするTdとAdの平均点より高い値 を示した。この結果は、速度概念について示した傾向とも一致する. 一一. R7一. 一38一.

(21) 【考察】. ものであったが、同じく比例的な関係にあるal〕はTdとAdの平均点よ り低い値を示した。.  2変量とも同値関係にない各間④⑤の中で、正解が[?コである.                      加速度の概念理解において、関係付け統合するときに基にする公. TD,A/T,ADは他の問と比べて低い値を示していた。その中でも、小. 式として設定した①式と②式、. 学4・5年では極端に低い値を示した。小学6年一中学3年におい.  ①速さ=加速度×時間  . てA/Tは、学年が進むにつれて平均値が下がる傾向を示し、加速度.  ②距離=1/2×加速度×時間の2乗d=1/2・a・t2. と時間の関係での混乱がみられた。この間④⑤の計を速度概念の問. この両者の関係は、a=ds/dt=d2d/dt2である。. ④⑤の計と比較すると、小学4年から6年までに有意な差はなく、.  加速度概念を構成する物理的次元は加速度,速度,時間,距離の. 中学1年から3年で速度概念の得点が高かった。この差は、加速度. 4っ存在するが、この4っの次元が1っの物理的公式として成立し. 概念の問④⑤の計が小学6年以降にほとんど伸びがないことから生. ているのではなく、物理的公式は加速度・速度・時間か加速度・距. じたものである。. 離・時間のいずれかで構成される。それは、心理実験においても、. s』a・t. 加速度の質的評価として継時的に与えられる1っの運動の、加速度 Table 10 速度と加速度2における学年間の得点差の検定. a。と加速度a。を比較させる時、速度s。と速度s.の違いを判断さ せるのか、距離d.と距離d。の違いを判断させるのかの差である。速. ノ、4→5 ノ、5→ノ、6 /1、6→  1  11→  2   2→  3. 2変量:とも同値関係にない問題.   速度の問題の問④⑤の計 ns   3・30”    ns __力凍 2  ロ  ロ4  9 1,73+  292’馴 @   ns. 度の場合は時間の1次関数であり、距離の場合は時間の2次関数と. 1.74 + 3.45・・.. ns ns. なる。. Sn S n. 2変量とも同値関係にある問題   速度の問題の問①の計  1.67+ 2.23’   2.05. 加速度2の問題の問①の計  3.03.’   ns    ns.  この2っの式は、歴史的には①式を仮定して②式を実験的に確か. 2.11’ 2.63・“. (…P〈,001,・・Pく.01,・P〈.05,・P〈・1… p≧・1). めたものである。心理学実験においては、 Piaget(1970)が加速度:. を時間と距離の複合比を尺度とし、②式1ご位置付けている。この場. 合、加速度は2次の関係となり、距離と時間の違いに影響された間 接的な知覚となる。Rosenbaum(1975),山田と塩見(1986)は、加速. 度を見えの動きを直接延長する方法で、距離の割合に影響を受けな. 一39一一. 一40一.

(22) い知覚が可能であることを報告している。この場合は、瞬間的な速. つの数:量問の関係を対象として、変化や対応の特徴で考察できる]、. 度と時間からの加速度知覚であり、1次的な①の式を基にしたもの. ②式を第二水準[変化や対旛の特徴を対象として、関数でその変化. と考えられる。 1. の様子を考察できる]に位置付けて論じている。この展開は現在の 数学教育の主流でもある。ここでは、①式と②式は段階として分断.  これらの研究の教科教育への適用を見てみる。第1にPiaget理論. され、しかも礒田の認識段階は、Van Hieleらの思考水準論[学習. は、形式的操作段階においては物理的世界に頼ることなしにいくつ. は不連続の仮定であり、その不連続は学習曲線における飛躍である]. かの仮定または命題を考え、結果に関しで必要な演繹をすることが. を基にしているので、認知心理学的に思考を形式と具体の行き来と. できると適用された。そしてLovellの現卸した関数概念の第1から. 捉らえてはいない。そのため、 [第一水準に子供がすでにあるもの. 4までの発達段階は、第4段階を関数がどんな表され方をされても、. とみなして、指導を組み立てる] (礒田)と結論し、 (結果3,4). それが関数であるかどうかを、生徒はただひとつの基準で判断でき. からも困難であると示されたag 一一水準での関係・統合が、できるも. ると表されている。それは、2次関数を変化率が一様に変化する関. のとして仮定されることになってしまう。それは、第一水準と第二. 数、すなわち等加速度変化する関数として押え、微分法の初歩を導. 水準の関係や、より日常的・具体的である第0水準との行き来から. 入して一般の2次関数を解析すべきだとする宮本(1978)の考え方に. 生まれる思考を軽視することであり、 (結果3,4)の示唆とも矛. よる教示につながるものであろう。しかし、これらの適用は②式に. 盾するものである。. よる理解ができれば、容易に①式の理解に転移することが前提とな. っている。このことは本研究の(結果1)とは相いれないものであ.  第3として、Rosenbaumや山田・塩見Pt指摘した①式の重要性を. る。      1. 基にした数学教育の展開例はない。しかし、本研究の結果は、学校.        ). 数学が加速度概念の導入に、あたりまえのこととして、仮定されて.  次に、Piaget理論をそのまま適用するのではなく数学の内容を含. きた①式の考え方が、生徒に取っては逆に、2次的な関係理解より. めて修正したものに、礒田(1985)が関数の認識段階として、Van. 困難であることを示し、この指摘の重要さを裏付けている。そして、. Hiele(1952)の思考水準論を基にして、0かち4までの5段階の水. 加速度を時間の関数として捉えることの難しさ、加速度を距離次元. 準を設定し同定したものがある。そのなかで、①式を第一水準[二. を基にして直接的に理解させる、教示の重要性を示唆しているもの. 一41一. 一42一.

(23)  Acredolo&Adamsが示した結論のうち、時間と距離の間の比例的. であろう。. な関係が時間と速度との反比例的な関係より理解しやすいことにつ. いては、小学1・2年についてのものであり、小学4・5年では差  児童・生徒は速度の概念理解において、速度と距離の間の比例的. がなく、本研究の結果とも一致している。その理由としてAcredolo. な関係が時間と速度との反比例的な関係より理解しやすいこと、加. &Adamsは、時間と距離の間の比例的な閑係は速度と距離の間の比. 速度の概念理解においては、加速度と距離の2乗との間の比例的な. 例的な関係とは違い、問題場面から間接的に理解されるからだとし. 関係が時間と加速度との反比例的な関係より理解しやすいこと(結. ている。このことは、Piaget実験で重視されてきた比例的な関係か. 果3)が示された。このうち速度の概念の結果はACredolo&Adams. 反比例的な関係かの違いだけでなく、3っの物理的次元のうち関係. の示した結論とも一致するものであるt) N al。. 理解に関与するもの、あるいは関与しないものによる違いから考察 する必要性を示している。この点から本研究を見ると、上記の結論. 一一. r注一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. は3つの物理的次元のうち時間に関与するもの、つまり時間の関数. の鋤一Acredolo&Adamsの示した結果との一致について. と捉えることの困難さと言い換えることができるであろう。.   Acredolo&Adamsは小1一小5の子供60名(各学年12名)に、.  例えば、速度の設問では、小学6年から中学3年中でと小学4・.  具体的に模型を使って提示し、判断させた。そこで示された各項. 5年の間に大きな差があった(結果2・3)。ここに示された理解.  目(15項目)の正答者数と、本研究で得た各項旨の正答者数とを. 度は、多くの心理実験の主な設定でもある問②③に関わる度合が大.  筆者が比較・分析すると、Acredolo&Adamsの各項目の正答者数. きいものである。それゆえ、小学6年以降で理解度が高くなったこ.  と本研究の小タ・5年・小6一中3・および全学年の各項目の正. とから、そこで速度概念の関係が統合でき・理解できると結論する.  三者数との間に有意差はなく(X2=13.32;Z2=16.01;Z2=10.25,. ことができるかもしれない。しかし、 (結果2・3)は小学6年以.  いずれもdf=14, P>.5で皿s)また各項目の正答率の相関も高か. 降でも、より日常的な関係でもある距離との関係からの理解度が高.  つた(r=.92;r=.89;r=.93)。これは、本研究の質問紙で得た各. いこと、 (結果4)は問②③より複雑な関係である問④⑤において、.  項目の正答傾向が、 Acredolo&Adamsの実験で得た各項目の正. 小学6年からも伸びが大きいことを示した。それは、上記のように.  答と同等の傾向を示している。一一一一一一・一一一一一一一一一一. 速度概念の関係が統合でき・理解できるとした結論が、隈定的な意. 一43一. 一44一.

(24) 味で用いられるべきであることを示す。そして、この限定は速度を. 間と距離の間の比例的な関係が時間と速壌との反比例的な関係より. 時間の関数と捉えることの困難さから生ずるものであることを(結. 理解しやすいことは、教科の内容から見てごく当然なことと解釈で. 果2・3)が示唆するであろう。. きるが、時間と距離の間の比例的な関係と速度と距離の間の比例的.  この困難さは加速度概念の場合、より明確である。特に、加速度. な関係との違いについては説明できない。. の問題の距離と三三の閻の関係理解では・小学5年を最高点にして.  この時間と距離.の間の比例的な関係が難しいことについて、滝内. 小学6年,中学1年,2年と下がっていき、中学3年も小学6年よ. (1983)は、速度の指導が、距離と時間が与えられた表を基にして. り低いというはつきりした減少傾向を示した(結果3)。ここで表. 速度の公式を導くことが中心となり、速度の計算の指導におわって、. れた低下は、加速度が一定の時、到達距離の違いからかかった時間. 速度が距離と時間の関係から生み出された量であることの意識が不. を比較する問題の中にあり、誤答者の多くは距離が大きくなれば時. 足しているからだと指摘している。この指摘は数学教育での速度の. 間が減ると答えていた。この低下は加速度が一定の時で距離が大き. 指導では一般的なものである。しかし、指導のねらいが数学的な見. くなれば時間が増すときの関係を、速度が一定の時で距離が大きく. 方・考え方を育てることにあり、個々の生徒が速度について具体的. なれば時間が減るときの関係と混乱しているからである。つまり距. で自分なりの意味付けを育てるところにはない。そのため時間と距. 離が時間の2乗に比例する関係を、距離が時間に反比例する関係を. 離の間の関係は、距離が時間の関数と表され、対応をブラックボッ. 使って答えているのである。そして、低下を示した学年と、教科学. クスとして教材化されることが多い。そして、関数の担い手として. 習で反比例を学習した学年(小学6年,中学1年)が一一.Xすること. このブラックボックスを知ることが、関数の理解につながるとされ. は、学習した反比例の考え方の誤適用であり、学習の負の効果を示. ている(野沢,1985)。もしブラックボックスによる指導で、速度 ・加速度概念を学習するなちば、生徒にとって、ここでの時間と距. している。. 離の間の関係は数学の体系から切り取られた基礎知識そのものであ.  最後に、学校数学の観点から見てみると、速度概念は小学5年で [単位あたり量]として学習しており(ただし、調査対象の5年は. り、実感に欠けるものとなってしまう。その傾向は、より抽象的な 関数概念において一層強まるものとなるであろう。. 未学習)、小学6年以降での問②③に関わる理解度が高まったこと は、その学習効:果を示すものでもあろう。しかし(結果3)の、時. 一一. S5一. 一46一.

Table 4 各学年における問題間の得点差の検定 ノ、4   ノ、5  ノ、6 ユ1.___ua 公式(速度)  距離問題一時間問題  ns  ns  距離問題一速度問題 』1.80+ 皿s  速度問題一時間問題  1.71+ ns 公式(加速度2)  距離問題一時間問題  ns  5.15Pt   距離問題一加速度問題2.52− 2.12一  、束   ロ   一  ・H ロ     3.65噂」ゆ吻 7.54申.  3.58噸.購 2.84 ns ns  2の75申・  1・90 +購鰯. 2.88
Table 7 各学年における問群間の得点差の検定      lI         ノ、4   ノ、5  』ノ、6   r11 Table 8 _一小5 各回群における学年間の得点差の検定     ノ、5→ノ、6 ノ、6→11   1→「 2公式(速度)速度・距離の問群 距離・時間の問群 時間 速度の問群 公式(加速度2) 加速度・距離の問群 距離・時間の問群 時日・  束  Pt 2. 28 2.40−ns 2.27・篇S 2.79+・3. 59 ns3.42 ns ns 3.65 皿S ns 2.38・

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