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喪失体験に「意味の再構成」が果たす役割に関する研究―阪神淡路大震災遺族を対象に―

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(1)平成21年度 学位論文. 喪失体験に「意味の再構成」が果たす役割に関する研究. 一阪神淡路大震災遺族を対象に一. 兵庫教育大学大学院 学校教育学専攻 臨床心理学コースー. M08074K 植松 秋.

(2) 目次. 第1章 問題と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 1−1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 2. 1−2背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… ユー3 「意味の再構成」・・・・…. 2. 2. .’.’’.’...’.3. 1−4用語の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 5. 1−5悲嘆からの回復に影響する要因 ・・・・・・・・・… 1−6 目白勺 ・ ・ ・・・・・・・・ ・ ・・・ ・・ ・・・・ ・…. 6. 6. 第2章 研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 2−1方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 7. 2−1−!調査対象と手続き ・・・・・・・・・・・・・… 2−1−2質問項目 ・…. 2一ト3分析・…. 7. 7. ’’’’.’’’.’.’...’’7. 。・・・・・・・・・・・・・・…. 7. 2−2被験者属性とソーシャル・サポート得点の結果・・…. 2−3分析Iの結果・・・…. ’H・・・・・・・・…. 8. 王0. 2−4 分析■の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 13. 第3章考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. .25. 3−1分析Iの考察・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 25. 3−2 分析■の考察・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 26. 3−3 内容分析・・・・・…. ’・’・’..’’’’.’’27. 第4章 総合考察・・・・・・・・・・・・・・・・…. ...一32. 文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 34. 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 37. 資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 39. 1.

(3) 第1章 問題と目的 1−1 はじめに. 近親者などの身近な人を失うような死別体験が,身体的・精神的に苦痛をも たらす場合があることは多くの研究で明らかにされている(河野,1993).日. 本では1995年の阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件を契機に,家族や親しい 仲間が死ぬというような,脅威の体験によって外傷後ストレス障害(PTSD)や 急性ストレス障害(ASD)(DSM−W−TR,2000)が発症する可能性があることが広. く社会に知られ,注目を浴びてきた.また,近年では遺族の心理的反応も多 く研究されており,「悲嘆が複雑化した場合,心身への影響が大きく,他者か らの支援が必要となる」(宮井・内海・加藤,2008)といわれている.そのため,. 専門家による心理的なケアを必要とせずに,通常の悲嘆のプロセスを経て回 復する場合と,それ以外の複雑化し,支援が必要となる悲嘆を区別し,これ までに病的悲嘆や外傷性悲嘆,複雑性悲嘆といった様々な概念が提唱されて きた(G.M.Bume11&A.L.Burnell,1989;平山,1991)、. 1−2 背景. 悲嘆と死別は,古くから研究されている.Freud(!917)は「悲哀は,愛する. ものを失ったとき(中略)に起こる反応である.この別離の苦痛から回復する ためには,人は,時間とエネルギーを費やして『喪の作業(楓。umi㎎ w・rk)』. を成し遂げなくてはならない」としている.また,Lind㎝amは1944年,大 規模火災で死亡した493人の遺族らの悲嘆反応について研究している.この 反応プ1コセスは「急性悲嘆反応」と呼ばれ,悲嘆研究分野の基礎を築いた、 Lindemam(ユ944)は,死別等などの大きな喪失体験を経験した人が,白ら「悲 しむ」ということによってなし,曖する人(や物)との別れを深く悲しみ嘆く, 一連の喪の作業」をグリーフ・ワ』ク(grief work)と名づけた.そして愛する. 人を亡くした人々の悲嘆反応が遅滞するのは,その人がグリ』フ・ワークを適 切に進めることができなかった場合に起こると主張した.Worden(1982)は, 対象喪失に対する反応を悲嘆(grief),対象喪失後に生ずる心理的過程を悲哀. (醐Oumi㎎)と定義しているが,一般的には両者は交換可能な用語としてとら.

(4) えられている(平山,1997).. さらに研究が進むと,悲嘆反応は心理的ステージ・モデルとして段階に分け て理論化されるようになった.こうした例として,R.ssの「喪失の五段階説」 が有名である.R.ss(1969)は終末期にある患者との面談を重ね,死に直面し た人は,(1)否認,(2)怒り,(3)取引,(4)抑うつ,(5)受容,という5段階の. ステージを通ると述べている.そしてこのステ]ジは喪失体験をした周囲の. 者にも適応できるとしている.他にも,Deeken(1983)の12段階や, Worden(1991)の4つの課題などがある、日本においても,平山(1991)の「悲哀 の過程」があり,それによると初期(パニックの段階),第I期(苦悶の段階),. 第■期(抑うつの段階),第皿期(無気力の段階),現実直視の段階,見直しの. 段階,自立の段階,に分けられるとしている.しかしながら,ステージ・モデ. ルには,悲嘆反応を一般化することに重点を置きすぎているとか,ある一定 の悲しみからの立ち直り方を「正常」とする考え方があるなどの批判もある.. !−3 「意味の再構成」. ステージ・モデルヘの批判から現在では「意味の再構成」というパラダイム が提唱されつつある.この分野の主要な研究者であるNei鵬yer(2002)による. と,自分の喪失体験をどのように理解し,どういった意味づけをするのか, 自分の人生をどう構築し直すのか考えるプロセスが「意味の再構成(拠。ani㎎. reC㎝StruCtiOn)」である1(なお,㎜eani㎎reCOnStruCtiOnに対して,「意 味の再構築」と訳す場合もあるが,本研究では統一して「意味の再構成」とし た.)愛する子供を亡くした場合,その子供の存在がその人の人生でどういう. 意味を持っていたかとか,その人がその子供の死をどのように理解し意味づ けたか,といらたようなことがその人の悲嘆からの回復に大きな影響を与え るといわれている.. この理論においては,griefをstageではなく,様々なr局面(phase)」に繰. り返し対処しながら折り合いをつけていく経験であるとし,もっとも典型的 なプロセスとして「回避・同化・適応」の3つの局面があるとしている(Figure 1).可避」は喪失という現実の認識を拒否している局面,「同化」は抑うつ状. 態から,喪失体験を自分の中に取り入れようとする局面,「適応」は現実の生.

(5) 活に向き合うことと,喪失を想起することとの再調整を行う局面とされてい る.しかしながら,この理論の視点としては,3つの局面はあくまでもgrief を理解する一つの基盤として考えるべきであり,必ず経験するというもので はないとしている.このようにステージ・モデルが悲嘆反応を単純化するのに 対し,多様性を認め,また喪失体験者を受動的な者とするのに対し,積極的・ 能動的に対処する者と考えることが重要であるとしている.. 日本においても死別に限らない喪失体験者を対象として行った研究で,喪 失体験に意味づけをしていると自己成長感が高いという結果が出ており(大 塚,2008),癌で亡くなった患者の家族を対象にした研究では,喪失に対する 意味了解(この場合の意味了解とは「自らの信念体系に基づき喪失を自分なり に解釈し,意味が通るものとして理知的・認知的に受け入れること」と定義さ れている.)ができている遺族ほど,精神的健康の状態が良好であることが確 認されている(坂口,2008).このように喪失に対して何らかの意味づけを行 うことが悲嘆からの回復に有効であると言われている.そして植松(2006)が 行った阪神淡路大震災の遺族を対象とした研究でも,「死んでしまってもその (故人にまつわる)記憶は宇宙に記録されている」とかF速やかに葬儀を行えた. ことで死者に対して良いことができた」などの,自分の死別体験をどのように とらえて理解し,意味づけるかといった反応が見られた. さらに「意味の再構成」の内容を分析したものとして小林(2005)の,夫を亡. くした妻を対象とした死別体験の意味づけを分類したものや,宅(2005)のス. トレスに対する意味の付与尺度などがある.しかし,災害での死別に対する 「意味の再構成」の内容を分析した研究は見当たらなかった..

(6) 意味の再構成. 悲嘆. 回復 適応. Figure1 「意味の再構成」悲嘆反応の3つの局面(phase). (Neimeyer,2002を参考に筆者作成). 1−4用語の定義 ここで用語を整理する.N・im・y・r(2002)によると,喪失体験者は喪失の意. 味を探り,一変してしまった世界のただなかで「なぜそうなったのか」を間い かけ,自分なりに意味づけをしようとする.そういったr自己の体験に意味を 見出すこと」が,「意味の再構成」であり,そのプロセスである.これは「構成 主義」の考え方を反映したものである.Ne1meyerら(2001)によると「構成主義」 においては,それぞれの観察者(一般的な人間,個人ととらえてもよい)が,「同. 一」の出来事に対して,それぞれのストーリー,理論,あるいは説明を作り出 す.そして人は自らのライフストーリーの(共同)執筆者であり,人生におけ. る重要な出来事に対して,意義深い説明を行おうと一生懸命になり,このよ うな説明ができる前提が,思いがけない出来事や不条理な出来事(例えば喪失 など)によって疑問視されるときには,自分のライフストーリーを改訂し,編. 集し,あるいはさらに大幅に書き直したりする存在であるとしている.そし て,そこで語られる物語りは「誰にとっても正しいものではなく,人それぞれ, また時間や場所によっても変化する」(やまだ,2002)とされている.したがっ. て「意味づけ」とはその出来事をどのように認知するかだけではなく,どのよ. うな意味を持たせるかという個々人の意図が含まれており,主観的なもので あるといえよう.. 5.

(7) 1−5悲嘆からの回復に影響する要因 悲嘆からの回復に影響する要因として「意味づけ」の他に故人との生前の関. 係性や,ソーシャル・サポートの有無が挙げられている.坂口・柏木・恒藤 (1999)は配偶者喪失者の精神的健康と死別前要因との関連を検討し,闘病中. に故人との良好なコミュニケーションが取れていた人ほど,精神的健康の状 態が良好であったと報告している.また池内・藤原(2000)は阪神淡路大震災. の仮設住宅居住者に対しての研究で,ソーシャル・サボ』ト・ネットワーク が大きいほど心身の健康得点が高くなると報告している.. 1−6 目的. このように喪失体験に対して「意味づけ」を行うことが効果的であるとの研. 究は行われているが,その具体的な内容が研究されているものは少なく,災 害を対象とした喪失体験については研究されていない.このことを踏まえ, 本研究では阪神淡路大震災の遺族を対象に死別体験とそれによってもたらさ れる悲嘆反応に焦点を当てて研究する.具体的な「意味づけ」の内容を分析す. ることで,支援の在り方を考える手立てとしたい.なお一般的には喪失とい うと死別だけでなく資産や物質の損失・友人関係の解消等も含まれるが,本研 究では死別による喪失(bereavement)を取り上げることとする、分析Iとして 阪神淡路大震災遺族を対象として,死別体験への意味づけの内容を検討する. また分析■として悲嘆からの回復に関係する要因と,「意味の再構成」の内容. との関連を,分析Iで分析した意味づけの内容を用い検討する.. 6.

(8) 第2章 研究 2一王 方法. 2−1−1調査対象と手続き 阪神淡路大震災の遺族,10名に対してユ回,60分程度の半構造化面接と 質問紙調査を行った.. 2−1−2質問項目. 質問紙の内容は以下のとおりである.①被験者の基本属性として被験者 のインタビュー時年齢,性別.②故人の基本属性として故人の死亡時年齢,. 性別,被験者との続柄.③故人との生前の関係性 先行研究(桂・佐々木, 2006)を参考に「とてもよい関係だった」から「とても悪い関係だった」まで. の4件法で回答を求めた.④ソーシャル・サポート尺度 先行研究(福岡・ 安藤・松井,2003)を参考に暖災当時の家族・親戚」「震災当時の友人・そ の他」「現在の家族・親戚」「現在の友人・その他」についてのサポートの有無 を一「いない」から確かにいる」までの3件法で回答を求めた、. 半構造化面接の内容は⑤「意味の再構成」Neimeyer(2002)を参考に「死. 別を体験してから今日までの間に,その経験をどんな風に考え,感じて来 たか」と提示し回答を求めた.. 2−1−3 分析. 分析Iとして質問項目⑤に対しての逐語録から死別体験への意味づけと 思われる文を抽出し,KJ法(川喜多,1967)によって分類した.なお,意味. づけの抽出とKJ法は筆者を含む臨床心理学専攻の大学院生4名で行った. 分析■として分析1で得られた内容と,質問項目①から④の内容を各カ テゴリとし,カテゴリ間の関連を多重応答分析によって検討した.被験者 数が少ないことや,得られたデ』タが多重回答のカテゴリカル・データで あるため,多重応答分析による分析を採用した.. 7.

(9) 2−2被験者属性とソーシャル・サポート尺度の得点の結果 被験者(〃…王O)の平均年齢は56.80歳(SD・6.32,48∼67歳),男性4名女性 6名で,故人(ハ』14)の平均年齢は33.96歳(SD=24.42,1.5∼74歳),男性8. 名女性6名であった.故人との生前の関係性得点は平均1.29(SD二.47)で,4 件法の申で「!.とても良い関係だった」「2.良い関係だった」のみの選択とな. った.被験者属性の結果をTable1に,被験者のソーシャル・サポート尺度 の得点(以下ソーシャル・サポート得点)の結果をTable2に示す.なお2名. の近親者を亡くしている場合に故人①,故人②としたがE氏,F氏は夫婦で あり実の息子と共に当時預かっていた者を亡くしているので,「預子」と表記 した.. ソ』シャル・サポート得点の平均はTabユe3のとおりとなった.. Table1被験者プロフィール 敬人①. 被験者. D 年齢. 性別. A. 48. B. 51 女. 57 女. 実母. C. 67 男. 21 男. 子. D. 62 男. 47 女. 56 男. 16. 男. 子. 24. 男. 預子. 57. 女. 16. 男. 子. 24 男. 預子. 65. 女. 52 男. 配偶者. 57 男. 74 男. 実父. 68 女. 実母. I. 50. 5. 子. J. 55 女. I三. 1=. G I−l. 女. 女. 年齢. 性別. 続柄. 1,5. 男. 女. 12 男. 関係性. 故人② 年齢. 性別. 続柄. 関係性. 手. 58 女. 配偶者. 配偶者. 手. 2.

(10) Table2. 被験者のソーシャル・サボ』ト得点. 震災当時. lD 家族・親戚. 現在. 友人1その他. 家族・親戚. 友人・その他. 総合. A. 19. 13. 22. 19. 73. B. 14. 10. 10. 22. 56. C. 22. 22. 21. 21. 86. D. 12. 10. 14. 10. 46. E. 23. 24. 23. 24. 94. F. 20. 16. 24. 17. 77. G. 14. 8. 16. 16. 54. H. 24. 22. 23. 24. 93. l. 24. 20. 20. 20. 84. J. 16. 12. 16. 12. 56. Table3. ソーシャルサポート得点(最小値8∼最大値24)炸10 平均. 震災当時. 現在. SD. 最小値. 最大値. 家族・親戚. 18.8. 4,52. 12. 24. 友人・その他. 王5,7. 5,89. 8. 24. 家族・親戚. 18.9. 4,65. 10. 24. 友人・その他. 王8,5. 4.77. 10. 24. 71.9. 17.65. 46. 94. 総合. 全ての平均:17,98. 9.

(11) 2−3 分析Iの結果. 被験者10名の語りから得られた「意味づけ」の文,190文をKJ法で分類 した結果,分類1.r死別に対しての直接的な意味づけ」79文,分類2.r人 生に対する意味づけ」32文,分類3.「生死へのとらえ方」11文,分類4.「そ. の他」66文,の4つに分かれた.なお「その他」には残り3つの分類に含ま れなかったものが含まれている.. 分類王.腕別に対しての直接的な意味づけ」 下位分類として5カテゴリが抽出された. ①r肯定的外的原因帰属」. 故人が亡くなった理由を「運命」あるいは「神様が選んだ」のように外的な. 力によって方向づけたり,その後の生活を考えて「やっぱ,あなたが生き残. ってくれてよかったと言われた」と自分が生き残った意味を外的な原因に 帰属させている.さらに「痛みも苦しみも知らないで逝ってくれたのがせめ てもの救い」と言うように肯定的な事象を探す意味づけが見られた. ②「否定的認知」. 「私が殺したって思う」と罪悪感を抱えているといったように自分(内 的)に故人が亡くなった原因があると意味づけていたり,「なんでうちの子 だけ選ばれて」と外的に原因を探求するような帰属が見られた. ③r否定的認知の適応化」. 「故人はいくら頑張っても泣いても悲しんでも笑っても帰ってこない,. じゃあ笑おうって」と否定的な認知を持ちつつ,それを肯定的な行動につ なげたり,「激しい悲しみから静かな,絶えず心にはあるんだけど,でも. それは泣き叫ぶような悲しさじゃなく」と悲しさや辛さは確かにあるのだ が,それが変化レこ・申に持ち続ける形に変化しているとの言及が見られた. ④「あきらめ」. 「人の余ってわからない」暖災で死んどったらどうしようもない」「しゃ. あない」と、自分ではどうしようもない出来事だったと認識してあきらめ るといった納得のさせ方が生じている. ⑤r故人の自分の中での変化」. 10.

(12) 現在から振り返って「やっぱり故人は良かった」との故人の再評価や, 「私の中に故人がいて,生きてて,私の背中を押していってる」と,故人像. の変化として物理的なものから精神,イメ」ジ的なものへの変化が見られ た.. 分類2.「人生に対する意味づけ」. 下位分類として3カテゴリが抽出された. ①「生き方を見直す」. 「我々は生かされたのだから私に求められているちっちゃなことでいい から出来る事をやっていきましょう」「どうせ生きるなら,生きていかなく. ちゃいけないなら楽しんで生きよう」というように,自身の生き方につい ての言及が見られた. ②「死を意識する」. 「死ぬときはどんなふうに自分の人生を振り返ってどんなふうに死ぬん だろうなっていうのが私の中に今ある」「故人は無駄に死んだんじゃなく. て故人の死を通してたくさんの子供たちが命の大切さを考えてくれるよ うな活動をしている」と死別をきっかけに,自分や故人の死の生かし方を 考えるようになった. ③吟が大事」 「仕事は大事,健康も大事」「今笑おうかと思えるようになった自分って すごい」と今を大事に生きる姿勢が見られた.. 分類3.「生死へのとらえ方」. 下位分類に,2カテゴリが抽出された. ①「命を意識する」. 「命の大切さ、それに気づかされてくれたのは震災」「故人の命をっない でいく」と命を意識した語りが見られた. ②「死を受け入れる」. 震災をきっかけにr死は遠いようやけど実は近くにあるもの」「人の死を 受け入れる部分が出てきた」と死への意識変容が見られた.. u.

(13) 分類4.「その他」. ①「震災を知ってほしい,忘れてはいけない」という,震災が世間から忘れ去 られることへの不安が見られた.. ②吟まで亡くなった子供のことしか目がいかなかったけど,私には残された 子供がいるって気がつくわけですよ」と自己の別の役割に気付き,故人から の距離をとる行動が見られた.. ③故人を亡くしたことで失われた生きがいを「慰霊と復興のモニュメントで あり,希望の明かりをお世話するのが我々の仕事」と震災に関わることで別 の生きがいを見つけている.. ④時間の経過とともに認知の変化が起こるという言及がなされた. ⑤「4年間,ほんとにトンネルの中にいた」とか,「自分の殻に,暗闇の中にい ました」と自己状態の語りが見られた.. ⑥一人の被験者の語りの中に「これで,自分の人生も終わった.終わったけど,. 故人の人生を生き直してる.…義務感で,故人役をやらないかん.…亡 くなった故人の後を,あとをついでやってる.それが罪滅ぼしみたいにな って取引というか」と自分の人生に対する認知,とらえ方が揺れ動いている 様子が語られた.. ⑦「震災は区切りとして一っ大きな出来事」と人生において震災が大きな影響 を与えたことを示唆する言及が見られた.. ⑧「多くを失った、一番大きいのは命でしょ.家を取られてる.家族のつなが りも」と失ったものの語りが見られた.. ⑨「震災で失ったものは多いけど,それ以上に得たものは多い」「震災がなけれ. ば絶対に会わない人たちが集まってくれる」と震災を契機に得たものの語 りが見られた.. 12.

(14) 2−4 分析■の結果. 分析Iで得られたカテゴリの中から,「死別に対しての直接的意味づけ」の. 5カテゴリに関して,被験者の年齢・性別・故人の年齢・性別・被験者との 続柄・故人との生前の関係性・ソーシャルサポート得点,について多重応答 分析を行った.. ①被験者の年齢群(高低)(Figure2). 被験者の年齢を平均年齢(56.80歳)で,島群(件5)・低群(件5)の2群に分. け,分析を行った.その結果,島群は「肯定的外的原因帰属」との関連が見ら れ,低群は「否定的認知」「否定的認知の適応化」との関連が見られた.(α・.55). ○あきらめ 口故人の自分の中でのま化 X肯定的外的原因婦馬 △否定的認知 十否定的認知の適応化 0被験者年齢群 静低箒 0 し. なし. 否定的8匁の選 化. 十 置素訟. ◎ 敬人の自分の中での査. 次 元. ロ. N. なし. ロ あきらω ◎. ・I・. ▲. なし. 年厳高酵 0. ■ 定的外的原因帰. ・1. 一 一2. −1. 0. 次元1. Figure2被験者の年齢群(高低)と腕別に対しての直接的意味づけ」の関連. 13.

(15) ②被験者の性別(Figure3). 被験者の性別で分析を行った.その結果,顕著な関連は見られなかった. (α=.55). ○あきらめ 口故人の自分の中での変化 X肯定的外的原因婦震 △否定的認知 十否定的蟄知の適応化 ○被義者性別. 易. なし 口 資. 書定的外的原因婦種否定的理知. 次 元. ▲. なし. N. ◎ 十. 否定的電知の選応化. なし. 十 〇. 戸し. あきらめ. 戸し. 女. 故人の自分の中での書. 口 一1 一1. ○. 次元1. Figure3. 被験者の性別とr死別に対しての直接的意味づけ」の関連. 14.

(16) ③故人の年齢群(若年と壮年)(Figure4). 故人の年齢を若年(1.5∼21歳,件6),壮年(47∼74歳,件4)の2群に分け 分析を行った.その結果「若年」群は「否定的認知」「否定的認知の適応化」「あき. らめ」との関連が見られ,「壮年」群は「故人の自分の中での変化」との関連が見 られた.(α=.63). ○あきらめ 口故人の自分の中での変化. 肯定的外的原因婦間. X散人年齢群. ▲. △肯定的外的原因帰属 十否定的認知 ○否定的認知の速応化. ら. O. なし. 壮年 十. 次. x. 元. N. 手し. 。なし. 否定的理知の竈 化. x. 故人の自分の中で 変. + 定的醒知. 年. 8し 戸し. 一1. 一1. 0. 次元1. Figure4故人の年齢群(若年と壮年)と「死別に対しての直接的意味づけ」の関連. 15.

(17) ④故人の性別(Figure5) 故人の性別で分析を行った.その結果「男性」を亡くした者は「肯定的外的原 因帰属」との関連が見られ,「女性」を亡くした者は「故人の自分の中での変化」 との関連が見られた.(α=.62). あさらめ 銭大の自分ω中での重化. ∼し. X銭大讐” ム真定山外的■■I■図’●■. 十音定釣締知. 撮. o蓄定釣棚豊ω■竈化. 肌。なし ◎. 次 元. N. ω真なし ^. 心さら続. 00. 、.一 音■崎Il;電ω…iO化. 香1釣認竜. 一1. 一1. 0. 次元1. Figure5故人の性別とr死別に対しての直接的意味づけ」の関連. 16.

(18) ⑤被験者との続柄(Figure6) 被験者との続柄を「配偶者(件2)」「子(件6)」「親(件2)」で分析した.阪神淡路. 大震災では,地震による直接的な死を直接死,地震後の復旧活動による過労 死や精神的ストレスによる病死などを関連死ということが一般的であるが, 今回の被験者の中には両方の死を経験している者が一人含まれている.また,. 被験者の中には実の息子と共に当時預かっていた者を亡くしている夫婦が含 まれている.いずれも被験者数が限られるため分析からは除いた.その結果 「配偶者」を亡くした者は「故人の自分の中での変化」との関連が見られ,「子」. を亡くした者は「肯定的外的原因帰属」「否定的認知」「否定的認知の適応化」. 「あきらめ」との関連が見られた.「親」を亡くした者は顕著な関連が見られな かった.(α=.66). ○あきらめ □故人の自分の中での変化 X肯定的外的原因帰属 △続柄 十否定的認知 0否定的認知の適応化. 新 ^. なし. 口. ◎ なし. 十. 子. 缶し. なし. 0. 次 元. 湾 x. ▲ o 否定的雇知の. 応化. 的外的原因帰間否定的圏知 十. 皆らめ. N. 故. 自分の での実. 一1. 芸脂. 一1. 0. 次元1. Figure6被験者との続柄と呪別に対しての直接的意味づけ」の関連. 17.

(19) ⑥故人との生前の関係性(Figure7) 「1.とても良い関係だった」から,「4.とても悪い関係だった」の4件法の 内,選択された2項目「1.とても良い関係だった(件7)」「2.良い関係だった (件3)」)で分析を行った.その結果,顕著な関連は見られなかった.(α・.55). 8し. なし △とても良い関係だった x. なし. 口 否定的認知の適応化 ○. ○あきらめ 口故人の自分の中での変化 X肯定的外的原因帰属 △生前の関係性 十否定的認知 0否定的認知の適応化. 否定的目知 十. なし 十. 次 元. なし 0. 皆舳. ” 故人ω自分の中での査. 口 肯定的外的原因鴉風. 一1. 良い閨保だった ▲ 一1. ○. 次元1. Figure7. 故人との生前の関係性とr死別に対しての直接的意味づけ」の関連. 18.

(20) ⑦震災当時の家族・親戚によるソーシャル・サポート(Figure8) ソーシャル・サポート得点を平均値(18.80)で,島群(件6)・低群(件4)に 分け分析を行った.その結果「島群」は「否定的認知」「否定的認知の適応化」と. の関連が見られ,「低群」は「故人の自分の中での変化」との関連が見られた. (α=.56). 8. 肯定的外的原因珊口 あきらめ. O. ▲. 畝 の自分の中で. 否定的. 次. o. ○あきらめ 口家族内サポート当時 X故人の自分の中での変化 △肯定的外的原因帰間 十否定的認知 0否定的認知の適応化. の適応化. 否定的 知. +. 糺なし. 元. N. 十 0 なし. x. 戸し. 高 口. 。なし. ・1. −1. 0. 1. 次元1. Figure8震災当時の家族・親戚によるソーシャル・サポートとr弼11に対しての直灘情味づけ」の関連. 19.

(21) ⑧震災当時の友人・その他によるソーシャル・サポート(Figure9) ソーシャル・サポート得点を平均値(15.70)で,島群(件4)・低群(件6)に. 分け分析を行った.その結果「島群」は「肯定的外的原因帰属」との関連がみら れ,「低群」は「故人の自分の中での変化」との関連が見られた.(α=.50). ○あきらめ 口故人の自分の中での実化 X肯定的外的原因帰属 △否定的認知 十否定的謹知の適応化 0友人内サポート当時. 人の自分の中での実なし. 口. 湾 但群. 0. △否定的圏知の適応{. 否定的認知. 十. あきらめ ◎. 次 元 ”. なし ○. なし 十. ’し. なし ▲. 押 定的外的 因帰度. 一1. ・1. ○. 次元1. Figure9震災当時の友人・そ剛也によるソーシャル・サポートと「死別に対しての直接的意味づけ」の関1車. 20.

(22) ⑨現在の家族・親戚によるソーシャル・サポート(Figure1O) ソーシャル・サポート得点を平均値(18.90)で,島群(件6)・低群(件4)に. 分け分析を行った.その結果「島群」は「否定的認知」「否定的認知の適応化」と. の関連が見られ,「低群」は「故人の自分の中での変化」との関連が見られた、 (α:.57). 口榊. 構定的外的原因婦間 あきらめ. △. ◎. 故人 自分の中で. 否定. の書応化. 否. 次 元. ○あきらめ 口家族内サポート現在 X故人の自分の中での変化 △肯定的外的原因帰風 十否定的認知 0否定的認知の適応化. o. 国知 +. なしなし. N. 十 〇. なし x. 高評 ロ. ム. なし. 8し. 一1. −1. 0. 次元1. Figure10現在の家族・親戚によるソーシャル・サポートと「死別に対しての直蘭釆意味づけ」の関連. 21.

(23) ⑩現在の友人・その他によるソーシャル・サポート(Figure11) ソーシャル・サポート得点を平均値(18.50)で,島群(件6)・低群(件4)に. 分け分析を行った.その結果顕著な関連は見られなかった.. 高冒 ○. (α=.53). ○あきらめ 口故人の自分の中での変化 X肯定的外的原因婦度 △否定的認知 十否定的認知の適応化 0友人内サポート現在. なし 口. 否定的言知の運脚 十 。なし. 戸し 否走的認知. 次 元. ▲. 戸し. N. 肯定的外的原田川■. 資. あきらめ. ◎. 。なし. 散人の自分の中での書. 。醐. 口 一1. 一1. 0. 次元1. Figure11現在の友人・その他によるソーシャル・サポートとr弼1』に対しての直接的意味づけ」の関連. 22.

(24) ⑪ソーシャル・サポート総合得点(Figure12) 「震災当時の家族・親戚」,「震災当時の友人・その他」,「現在の家族・親戚」,. 「現在の友人・その他」,4つの対象全てのソーシャル・サポート得点を合計 し,それを総合得点とした.平均値(71.9)で,島群(件6)・低群(件4)に分け 分析を行った.その結果「島群」は「否定的認知」「否定的認知の適応化」との関 連が見られ,「低群」は「故人の自分の申での変化」との関連が見られた. (α=.57). 押. 肯定的外的原因掃肩. あきらめ. o. 、. 故人 自分の中. ○あきらめ □故人の自分の中での実化 ×肯定的外的原因帰属 △総合サポート 十否定的認知 0否定的認知の適応化. 否定的.知の適応化. 次. 0. 元. 否定的固. +. なしなし. N. “ o なし 口. 高群 ▲. なし x. 8し. 一1. −1. ○. 次元1. Figure12 ソーシャル・サポート総合得点と「死別に対しての直接的意味づけ」の関連. 23.

(25) 以上の分析結果を踏まえて,相互の関連をT.ble4にまとめた目その結果「故. 人の自分の中での変化」とその他4カテゴリとの違いが見られた.「肯定的外 的原因帰属」「否定的認知」「否定的認知の適応化」「あきらめ」は若年の子を亡. くした被験者,ソーシャル・サポート得点高群との関連が見られ,「故人の自 分の中での変化」は壮年の配偶者を亡くした被験者,ソーシャル・サポート得 点低群との関連が見られた.. Table4 被験者属性と呪別に対しての直接的意味づけ」との関連 ソーシャル・サポート得点. 家族・. 被験者. 年齢. 意味づけ. 性別. 肯定的外的原因帰属 否定的認知 否定的認知の適応化. あきらめ. 男性. 島群. 友人・. 家族1. 友人・. その他. 親戚. その他. 総合. 続柄. 親戚. 年齢. 現在. 震災当時. 散人. 島群. 子. 低群. 若年. 子. 島群. 島群. 島群. 低群. 若年. 手. 島群. 島群. 島群. 若年. 子. 故人の自分の中での 壮年. 女性. 配偶者. 変化. 24. 低群. 低群. 低群. 低群.

(26) 第3章 考察 今回の研究では,阪神淡路大震災の遺族10名に対して,死別への意味づけ と故人との生前の関係,ソーシャル;サポートとの関連,また意味づけの内. 容に焦点を当てて研究した.10名全員が死別に対して何らかの意味づけを行 っており,以前に何らかのケアを受けている者はいたが,現在医療や心理療 法を受けている者はいなかった.そのため語りの申からうかがえた精神健康 度はいずれも高いと判断した、また,死別体験というネガティブな出来事を 自身のプラスととらえる意味づけをしている者も多かった.. 3−1分析Iの考察 本研究では死別に対しての直接的な意味づけとして5カテゴリが得られた が,罪悪感や,辛い出来事だったという否定的認知がある一方で,その否定 的認知を適応的に受け入れていた.出来事から受けたマイナスの感情は変わ ることはないが,それを変化させ持ち続けられるように,そのマイナスの感 情へも意味づけを行っていた.つまり「激しい悲しみ」から「静かな悲しみ」と. いったように変化させ,「それはずっと私が持ち続けていくもの」と意味づけ を行っていた.. また,原因帰属の方法に2つのパタンがあることが分かった.原因を外的 に帰属させる場合と,内的に,つまり自分自身に帰属させる場合があった.. 先ほど触れたように,怒りを感じる相手が存在しないため,原因を自分自身 に帰属させ,自責感や罪悪感を感じていることが分かった.しかし,これは 自然災害に特有というわけではなく,多くの死別研究でみられている(富田・. 瀬戸・鏡・上里,2000).また,被験者!0名がこれらのパタンのどちらかに. 属するというわけではなく,段階を経て内的帰属から,外的帰属へと変化し たり,同時期に両方の意味づけを行っている場合もあった.. 否定的認知の申では,悲しみや自責といった感情は見られたが,怒りの感 情は見られなかった.富田地(2000)が行った質問紙調査によると,「怒り」を. 感じている人が死別の初期段階で全体の7.7%いるが,死別の状況は特定され. ておらず,長期の入院の末に亡くなったケースが59.6%,事故などで突然に. 25.

(27) 亡くなった,または発病後すぐに亡くなったケ]スが32.7%,その他・不明. が7.7%という内訳になっている、本研究のような自然災害の場合,被験者 の「どこを恨むの、恨まれへん」「自然災害やからね,戦争やったら戦争したの. が悪かったと言えるけどね」という語りにあるように,怒りを感じる相手が自. 然災害であるため,夫とか神といったものに怒りを抱いても仕方がないとい う内容の発言があった.怒りではなく疑問という形で「どうしてうちの子が選 ばれたのか」という悲しみが見られた.否定的認知の適応化として,否定的認. 知はあるのだが,それを適応化させている者が見られた.これは,否定的な 認知を全て取り除いてしまうのではなく,それらを持ち続けた上での意味づ けが重要な役割を果たしていることが示唆される.そのため,否定的認知を 取り除く援助ではなく,死別体験者がその形を変化させるための援助が考え られる.. 3−2分析nの考察 各カテゴリ間の関連を分析した結果,故人との続柄とソーシャル・サポー ト得点の高低によって,死別への意味づけが異なることが分かった.. 子を亡くした場合は,強い悲嘆反応が見られ,否定的な意味づけとも大き く関連するが,それらをより肯定的,適応的に変化させ(再構成)ていた.一. 方配偶者を亡くした場合は,故人の自分の申での変化が見られた.つまり,. 死別体験への意味づけよりも,亡くなった者に対する意味づけと,その変化 を重視していることが分かった.物理的存在としては失われてしまったが, 仏壇の前やイメージの中で語りかけアドバイスをもらうことができるなど,. イメージ化しやすい、逆にいえば,子を亡くした場合,亡くしたという事実 をいかに自分の中で消化させるかに焦点が置かれ,故人に対する意味づけは 行われにくいのではないか.死別の対象によって悲嘆反応やその後の経過が 異なることは,多くの研究で明らかにされているが(Harvey,2002),今回の 研究では意味づけの対象の違いが明らかにされた.. 次にソーシャル・サポート得点の高低による意味づけについて述べる.ソ ーシャル・サポート得点低群の場合,「故人の自分の中での変化」との関連が. 高かったが,これは周囲のサポートを得られなかった,あるいは必要としな. 26.

(28) かったことで,周囲からの働きかけではなく,故人との向き合い方に焦点を 当てた結果,こういった意味づけになったといえよう.一方ソーシャル・サ ポート得点高群は,「否定的認知」と「否定的認知の適応化」との関連が見られ. た.福岡他(2003)によると死別後の家族・友人からのソーシャル・サポート は死別後の肯定的な心理的変化(質問紙による,例:生命の大切さを実感する ようになった)と正の有意な関係にあった.死別体験後に周囲から必要に応じ. てサポートが得られた人は,死別後に肯定的な心理的変化を経験する傾向に あるという結果が出ているが,本研究によると否定的な認知を持つが故にソ. 』シャル・サポートを求め,必要に応じて,サポートが得られると,適応化 した認知という意味づけが得られるといえる.しかし,rこんなん(サポート). 必要なかったもんな,全部自分でやった」という発言から推測すると,サボ』. トが低くても肯定的変化へと到達する可静性がある.サポートの有無よりも. 希求されたサポートが,どれだけ得られ,満足したかが影響している可能性 がある.. 3−3 内容分析. Tabユe4から,「否定的認知」と「否定的認知の適応化」という意味づけを行. っている被験者の属性と,「故人の自分の中での変化」という意味づけを行っ. ている被験者の属性には差異が見られた.前者は若年の子を亡くし,ソーシ ャル・サポート得点高群であり,後者は壮年の酉己偶者を亡くし,ソーシャル・. サポート得点低群であった.そのため「意味の再構成」には2つのパタンがあ. るのではないかと考察された.そこで,両者をそれぞれ代表する被験者を選 択し,その語りの内容を分析する.語りを意味のまとまりごとに抽出し,そ れを分類したのち,時系列にまとめ,結果を模式図にまとめた.. 1.疑問一成長(Figure13). A氏プロフィール 40代女性で,当時幼い息子を亡くした、ソーシャル・サポート得点は震災 直後に,被災地を離れていたこともあり,当時の友人のみ低群だが,総合で は島群となっている.A氏は,様々な疑問を持ち,それに答えていくことで. 27.

(29) 死別体験に意味づけを行っている.. ①震災当時 出来事に対して「辛い思い」「悲しい経験」「どん底」とマイナスの意味づけの. みがあり,「死にたい」と自殺を考える.自己認識としては「子供を失った私」. 「震災より前の私がなくなった」「震災前の楽しかった時間は震災後の自分の 生活とははみ出たところになった」と,死別以前の世界の崩壊が見られた.. ②意味の再構成 様々な疑問に答えを見つけていく過程が語られた.「どうして故人を助けら れなかったのか」「私は生きてて良かったのか」「どうして私は地震で死ななか. ったのか」といった疑問からr死にたい」と思うが,r自殺をしちゃいけない」 という考えを持つため,rどうして私は死んではいけなかったのか」r自殺しち ゃいけないということは生きないといけないということ」r生きなきゃ」rどう やって生きるか」と死別後の生き方を模索した過程が語られた.その中で「が んばっても泣いても悲しんでも笑っても故人は帰ってこない.じゃあ笑おう」 と人生を楽しむ姿勢が生まれている.. ③現在 意味の再構成の後,出来事に対して「故人の死はすごい思いをさせてくれた 出来事」「辛い経験をしてもその時をどうにか過ごしたら,また本当に笑える. ことに気づかせてくれた」とプラスの意味づけをしており,r楽しいことがで きるようになった」r心から笑えるようになった」,またr私,今はすごい幸せ」 と感じている.その結果自己認識が「一人の私自身として楽しんでる」「自分の. いろんな面を受け入れるようになった」と崩壊した以前の人生を取り戻し,さ らに「故人が亡くなってるから自分の死は全く怖くない」「残された時間をち ゃんと生きよう」と新たな生き方を形成している.. ④意味の再構成 しかしながら,マイナスの意味づけが全てプラスに変わったわけではない. 「よかったとかでは全くない」「そういう体験ができてよかったとまでは言え ない」「100%の幸せは絶対がなわない」という意味づけをおこなっている、つま. り,意味づけが終了したわけではなく,現在の意味づけを持ちつつも,何ら かのきっかけで「楽しいと感じていいのか」「楽しく生きると思っていいのか」. 28.

(30) と疑問がわき,意味の再構成が行われている,そしてr去年の今頃はこうだっ. たのに今はこう,一年間で大分自分の考え方が変わってるのがわかって」r2 年後とかにお会いしたら,やっぱり駄目だったつて言うかもしれない」と終わ. らない変化を語り,r来年の自分ってどんなふうに変わってるんだろうなって すごい楽しみになる」と変化をも肯定的にとらえている様子がうかがえる.. 過程 情動一楽しまなくちゃ 生き方一楽しく生きなきゃ. 現在. 震災当時 情動一つらい. 情動一幸せ. 生き方一死にたい. 生き方一楽しんで生きる. 自己認識一子供を失った私. 自己認識一一人の私自身. ! 野間一とうして自殺し ちゃいけ;ないの?. 解答一生きなきゃいけ ない. Figu・。13A氏「意味の再構成」模式図. 29.

(31) 2.疑問回避一安定(Fig岨e14). G氏プロフィ』ル 60代女性,当時50代の夫を亡くす、ソーシャル・サボ』ト得点は「こんな ん必要なかった,全部自分でやったから」ということで低群である.明るく笑 いながら語り,「しゃあない」という意味づけによって,心身の安定化を図っ. ている様子である.地震の揺れによって家が全壊した後,火災にあっている が,r苦しかったやろうかとか考えるとこっちの気が狂う」とあえて疑問をも つことをやめている.そうすることによって,「今が大事」と仕事や健康を重 視して現在を生きることに焦点が当たっている.. ①震災当時 当時からrしゃあない」rどうしようもない」r運命」であるととらえており, 「運命だって線を引いといた方が,生きとる方は楽」「運命と考えた方が救われ. る」と語るように,そう意味づけることによって死別を受け入れている.また 故人に対して「亡くなったのは夢違うんかなと思った」と亡くなってからも一 緒に過ごしているような感覚があったことが語られる.. ②意味の再構成 A氏で見られた疑問はなく「苦しんだかと考えるとおかしくなる」「苦しがつ たかと考える事は何にもならない」と「苦しかったかとは一切考えなかった」.. 考えなかった代わりにト生懸命生きてきた」と夫の死後,残された借金を返 し自身の生活の為,働きに出るなど,日々の仕事に懸命になっていたと語る.. ③現在 震災当時からの意味づけが保持されており,「どっちか死なないといけない ときには,上の方が選んでくれてる」という納得のさせ方をしている.また「生. 前は理解できなかったが,やっぱり夫はよかったなと思う」「精神的な友達が. ほしいとたどっていくと夫にたどりつく」と生前の夫に対する認識が変化し 故人の肯定的な面をみている.. 30.

(32) 現在. 震災当時 死別一しゃあない. ン]〃」. 故人一亡くなったのは. 故人一精神的友人. π則1−1.{淑か1ハ し 、.ぴノ 小、. 夢じゃないか I l I l. l l. 疑間一一切考えなかった. Figure 14. G氏r意味の再構成」模式図. 31.

(33) 第4章 総合考察 今回の研究によって「意味の再構成」のプロセスは各被験者にとっては,. 様々な疑問という形をとって現れることが分かった.そして,その疑問にど のように向き合うのかによって,死別への意味づけやその後の人生に対する 意味づけが異なるのではないかと示唆された.また,そのプロセスは14年を 経ても終わることはなく,新たな意味づけや,以前の状態に戻る,「行きつ戻 りつを繰り返している」(Nei岬er,2002)ことも確認された.新たな意味づけ. を獲得するために,喪失体験者が積極的,能動的に死別体験に対処している. 過程も例えた.死別体験というネガティブな出来事から何らかの成長を得て いることも確かめられた.. 研究の限界と今後の展望. 今回の研究では,故人との生前の関係性を質問紙によって調査したが,そ の結果「とても良かった」と「良かった」のみの選択となった、これは実際の故. 人との生前の関係性によらず,現在から捉え直したり,故人を悪く言えない といった価値判断が含まれ,正確に捉えられなかった可能性がある.また, 被験者の大部分が比較的関係性のよかった者であったため,サンプルの偏り が見られた可能性もある.. ソ]シャル・サポートを質問紙によって調査したが,サポートの有無のみ を聞く質問紙であったため,サポートをどれだけ必要としていたか,それが どれだけ満たされたかといったサポートの質によって,意味づけが影響され るのかを調べる必要がある.. そしてインタビュー調査の内容を半構造化面接とし,一つの質問に対して 被験者が自由に答え,適時調査者が質問を加える形をとっているので,被験 者が重視している内容を聞き取ることはできたが,それ以外で聞き取ること ができなかった部分も大きい.またインタビュアー側の影響を出来る限り排 除するよう努めたが,繰り返し被験者とのインタビューを重ねることで共同 生成された要素が出てきた可能性もある.インタビューの形態は今後の課題 である.. 32.

(34) 今後は,今回の研究で得られたカテゴリをふまえ,カテゴリの有無や,そ こに至ったきっかけ,どのような支援が有効であったのかを構造的に聞き取 り,研究することが必要であろう.また今回の研究によって,故人の続柄や,. ソーシャル・サポート,意味づけの内容や方法によって,支援のあり方を検 討する必要があることが示唆さ札た.死別体験後,現在とのような意味づけ をしているのかを,聞き取り,それに沿うような形での支援が望ましい.今 後具体的にどのような支援を望んでいるのか,現在の意味づけに至ったきっ かけを調査,研究していく必要があろう.. 33.

(35) 文献 A棚er i can Psychiatr i c Assoc i at i on. 2000. .0ゴ∂厚刀08C/o ∂刀ゴ 8C∂C/8C/o∂ノ. 栃m∂ノ0f施批∂ノ〃80Mθr8地α打力励行ノ0刀,rθ打児鉗加プ0刀〃W一〃L〃. A皿eri can Psychi atr i c As soc iat i on.. アメリカ精神医学会 高橋三郎・大野裕・染矢俊幸(訳) 2004DSHV−TR 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院 Burne1ユ,G. M. &Burne11, A. L. βθ∫θ∂γθ泌θη亡 ∫ノ. !989. 07ノ刀ゴ。∂ノ. 脆η∂8θnθ刀C. of. Mヨηゴわ00女 戸0r ”θ∂ノ亡ゐ0∂rθ 戸rOfθ38ゴ0刀∂ノ8. NeW. York:Hu㎜an Sciences Press,Inc.. ジョージ M.パーネル・エイドリエン L.パーネル. 長谷川治・川野 雅資(監訳) 1994死別の悲しみの臨床 医学書院 Deek㎝,A. 1983悲嘆のプロセスを通じての人格成長 看護展望,8(10), 17−2ユ.. Freud, S.. 1917. 6班4雌乙〃m鮒。8♂. フロイト 井村恒朗(訳) 1970 フロイト著作集第6巻 悲哀とメランコ リー 人文書院.. 福岡欣治・安藤清志・松井豊 2003死別体験後のソーシャル・サポートと心理 的適応に関する予備的検討 静岡文化芸術大学研究紀要 4,55−60 Harvey,、〕一.H.. 2002. 戸θrβρθo Cプγθ80ηZ083∂刀ゴクナ∂αm∂∫ノ88∂αノC80刀亡ゐθ8θノf. Sage Publications,Inc.. J,H.ハーヴェイ 和田実・増田匡裕(編訳) 2003 喪失体験とトラウマ. 一喪失心理学入門一 北大路書房. 平山正実 1991死生学とはなにか 日本評論杜.. 平山正実・松井豊(編)1997悲嘆の心理サイエンス社85−112. 池内裕美・藤原武弘 2000物的所有物の喪失およびソーシャル・サポート・ネ ットワークが生活の質(QOL)に及ぼす影響一阪神大震災の被災者を対象と して一 社会心理学研究 16(2),92−102. 桂昌子・佐々木明子 2006在宅介護終了後の家族介護者の達成感・満足感およ び空虚感と死別前要因との関連 宮城大学看護学部紀要 9(1),1−9. 34.

(36) 川喜多二郎 1967発想法一創造性開発のために 中公新書 河野友信 1993死別ストレスと健康障害 心身医 33,35−38.. 小林裕子 2005夫を亡くした妻の喪失体験の意味づけ一夫婦としての存在の 意味づけ一 日本看護研究学会雑誌 28(5),71−79 Linde㎜ann, E.. 1944 Symptomat1o logy and Management of Acute Gr i ef.. ノmθ∫ゴ。∂刀ノbαr刀∂ノ of P8γoゐゴ∂C∫アー 101, 141−48.. 宮井宏之・内海千種・加藤寛 2008遺族における心理的影響に関する研究一 生活の質(QOL)と援助要請(help−seeki㎎)に注目して一 心的トラウマ研 究 4 27−36 Neimeyer, R. A.. 2001. M6∂刀ゴ刀g. 戸θoo刀8方∫αcCゴ。刀 ∂刀ゴ C力θ秋ρθrプθ刀。θ of. Z038. A伽erican Psychologicaユ Association.. ロバート・A・二一マイアー 富田拓郎・菊池安希子(監訳) 2007喪失と 悲嘆の心理療法:構成主義による意味の探求 金剛出版 Neimeyer, R. A.. 2002. Zθ330刀30f Z088ニノ 0αノゴθ 亡。 Oqρノη&. ロバート・A・二一メヤー 鈴木剛子(訳)2006 〈大切なもの〉を失った あなたに一喪失をのりこえるガイド 春秋壮. 大塚小百合 2008喪失体験に対する意味の付与と自己成長感に関する研究一. 体験の領域による生じ方の差異に注目して一九州大学心理学研究 9 n9−13! Ross, E. K.. !969. 0η刀θ∂Cゐ8刀ゴ刀γノ刀8二 腋ac蜘illan Co㎜pany.. E・キューブラー・ロス 鈴木晶(訳) 1998 死ぬ瞬間 死とその過程につ. いて 完全新訳改定版 読売新聞杜. 坂口幸弘・柏木哲夫・恒藤暁 1999配偶者喪失後の精神的健康に関連する死 別前要因に関する予備的研究 死の臨床 24(1),52−57. 坂口幸弘 2008喪失に対する意味了解と生活・人生志向対処が遺族の精神的 健康に及ぼす影響 社会心理学研究 23(3),281−289.. 宅香菜子 2005 ストレスに起因する自己成長感が生じるメカニズムの検討一. ストレスに対する意味の付与に着目して 心理臨床学研究 23(2), 161−172. 35.

(37) 富田拓郎・瀬戸正弘・鏡直子・上里一郎 2000死別体験後の悲嘆反応と対処 行動一探索的検討一 ∫∂ρ刎θ8θ力〃棚ノ。fOoα万3θ方略3oゴθ〃θ 33 48−56. 植松秋 2006経験を語ることがストレス軽減に果たす役割に関する研究一眼 神・淡路大震災を経験している方を対象に一 徳島大学総合科学部卒業諭 文(未刊行) Worden, J. W. 199! θrゴθf ooαη3θ一Zノη皇∂ηゴθrノθf肋θr3ρアニノ舶刀ゴわ。o女ヂ。r. C力θ〃6刀C∂ノ伯∂ノ左方ノケ80C/C/oηθz 5θco刀ゴ万aノ方ノ。刀.. New York:SPringer. Pub l i sh i ng Company.. J.W.ウォーデン 鳴澤寛(監訳) 1993 グリ]フカウンセリング 川島. 書店. やまだようこ 2002喪失といのちのライフストーリー 日本保健医療行動科. 学会年報 2134−48. 36.

(38) 謝辞 本論文は,多くの方々のお力添えがあって,完成させることができました.. 私にとってこの研究を行うことは,大変難しいことでありました.何度も泣き ごとを言い,投げ出しそうになりながらも最後までたどり着くことができたの は,皆様のおかげであります、この研究を通して,学問分野のみならず,ずい ぶんと成長することができました.巻末ではありますが,この場をお借りして 心より御礼申し上げます.. 2年間ご指導いただきました,市井雅哉先生に感謝いたします.ありとあら ゆるご迷惑をおかけしました、計画的に動けず,いつも時間が迫ってしまい,. 申し訳ありませんでした.そんな中,市井先生は丁寧に論文指導してください ました.本当にありがとうございました.. 研究に協力いただいた阪神淡路大震災の遺族の方々に感謝いたします.辛い 体験を語っていただきました.話したくないこともあったかもしれません.こ の研究が遺族支援に活かせるよう,また自分の臨床に活かせるよう今後もがん ばります.インタビューにご協力いただいた際に,私の為にお茶やお菓子,お 食事をご用意いただき,ごちそうになりました.研究に対してももちろんです が,私の人生において貴重な出会いとなりました.ありがとうございました.. 同じ研究室の中西健二さんにはよきアドバイザーになっていただき,研究の ヒントをたくさんいただきました.突然の質問にも丁寧に答えていただいたこ と,感謝いたします.津目ヨ麻美さんには安らぎをいただきました.後輩の佐藤. 文彦さん,松澤三奈さん,佐々木健行さんに加えて,臨床心理学コ』スの田代 祥子さん,上目ヨ敏司さん,龍崎博文さんには研究をお手伝いいただきました.. 自身の研究で忙しい中,お時間を割いていただきました.たびたび一緒に集ま. って,それぞれの研究に取り組んだり,勉強会をしたりと,充実した日々を過 ごすことができました、他にも名前を挙げきれないほどの先輩や同輩,後輩の. 皆様にも大変お世話になりました.同じ期間に院生として学べたことをうれし く思います、そして大北有希さん,西口珠貴さんといった友人たちの存在は, 私に力を与えてくれました.心より感謝いたします.. 37.

(39) 最後に私の父と母に感謝いたしますヨ阪神淡路大震災の遺族でもある両親の 応援がなければこの研究を行うことは不可能でした.この研究を行うにあたっ て一番不安だったのは,両親の賛成が得られるかどうかでした.私がこのよう. なテーマで研究を行うことで,触れたくない記憶を思い出させることもあった と思います.それでも生活面から,誤字脱字のチェックに至るまで支えていた. だきました.本当にありがとうございました.この研究を通して,家族で震災 の話ができたことをうれしく思います.. 私の姉を含め,阪神淡路大震災で犠牲となった方々のご冥福をお祈りします.. 2010年工月王2目 兵庫教育大学大学院 学校教育学専攻 臨床心理学コース. M08074K 植松 秋. 38.

(40) 資料 資料 1.説明と同意のための書類 兵庫教育大学修士論文課題研究にご協力いただく方へ. 説明と同意のための書類 このたびは,課題研究にご協力いただき,ありがとうございます.本研究は「喪. 失体験に『意味の再構成』が果たす役割に関する研究一阪神淡路大震災遺族を 対象に一」と題して,阪神淡路大震災の遺族の方が,喪失体験をどのようにとら. えているか,喪失体験からの回復へ至る方法を知るために行います.そのため 皆様に下記のことをご協力いただきたいと考えています.どうぞ,ご理解とご 協力いただきますよう,お願い申し上げます.. ・1時間程度のインタビューへの協力と,その録音 ・質問紙への回答. 得られたデータは修士論文課題研究のためにのみ利用し,個人が特定される ことはありません.皆様にご迷惑のかかることがないよう,プライバシーを厳 密に守ります.また,ご質問がありましたらお気軽におたずね下さい.どうぞ よろしくお願いいたします.. 兵庫教育大学大学院学校教育研究科臨床心理コース 植松 秋. 上記の説明を受け,協力することに同意したので署名します. 年. 月. 目. 氏名. 39.

(41) 資料 2.質問紙 これからあなた自身と喪失体験についてお聞きします.以下の質問にお答え ください.お聞きした内容は修士論文作成のみに利用し,個人が特定されるこ とはありません.わからないことがありましたら,ご遠慮なくお聞きください.. 1 あなたについてお聞きします.. 年齢. 歳. (丸で囲んで下さい). 性別 男 ・ 女. 2,震災で亡くなった方についてお聞きします.. A.年齢(当時). 歳. 性別 男 ・ 女. (丸で囲んで下さい). あなたとの続柄. 性別男・女(丸で囲んで下さい). B.年齢(当時). あなたとの続柄. C.年齢(当時). 歳. 性別男・女(丸で囲んで下さい). あなたとの続柄. 3.亡くなった方との生前の関係について,4項目からひとつお選びください.. A.①とても良い関係だった. ②良い関係だった. ③悪い関係だった. ④とても悪い関係だった. B.①とても良い関係だった. ②良い関係だった. ③悪い関係だった. ④とても悪い関係だった. C、①とても良い関係だった②良い関係だった. ③悪い関係だった. ④とても悪い関係だった. 40.

(42) 4、喪失体験に対して,周囲の人からのサポートについてどのように感じてい るかについてお聞きします.以下の質問に5項目からひとつお選びください.. 震災当時:家族・親戚についてお聞きします.. ①. あなたの気分をなごませたり,くつろがせてくれる人. ②. ふだんやらなくてはならない用事を手伝ってくれる人. ③. 不満や悩みやつらい気持ちを受け止め,耳を傾けてくれる人. ④. 日中に外出するとき,必要なことを代わりにやってくれる人. ⑤. 困ったことやわからないことがあるとき,相談に乗ってくれる人. ⑥. 1目以上留守にしなくてはならないとき,. @ ⑦. 物事を決めなくてはいけないとき,. @ ⑧. その間の世話をしてくれる人. 参考になる意見を言ってくれる人. 身体の具合が思わしくないとき,面倒をみてくれる人. 41. 確かにも、た. も、 ネかった. 一応いた.

(43) 震災当時:友人その他についてお聞きします,. な チ、’一った. ①. あなたの気分をなごませたり,くつろがせてくれる人. ②. ふだんやらなくてはならない用事を手伝ってくれる人. ③. 不満や悩みやつらい気持ちを受け止め,耳を傾けてくれる人. ④. 日中に外出するとき,必要なことを代わりにやってくれる人. ⑤. 困ったことやわからないことがあるとき,相談に乗ってくれる人. ⑥. 1目以上留守にしなくてはならないとき,. @ ⑦. にいた. 参考になる意見を言ってくれる人. 身体の具合が思わしくないとき,面倒をみてくれる人. ①. あなたの気分をなごませたり,くつろがせてくれる人. ②. ふだんやらなくてはならない用事を手伝ってくれる人. ③. 不満や悩みやつらい気持ちを受け止め,耳を傾けてくれる人. ⑧. 日中に外出するとき,必要なことを代わりにやってくれる人. ⑤. 困ったことやわからないことがあるとき,相談に乗ってくれる人. ⑥. 1目以上留守にしなくてはならないとき,. @. その間の世話をしてくれる人. 物事を決めなくてはいけないとき,. @ ⑧. か. いた. その間の世話をしてくれる人. 現在:家族・親戚についてお聞きします.. ⑦. 応. 物事を決めなくてはいけないとき,. @ ⑧. 確. し、. 参考になる意見を言ってくれる人. 身体の具合が思わしくないとき,面倒をみてくれる人. 42. 確かにいる. いなレ、 一応し、る.

(44) 現在;友人その他についてお聞きします、. レ、. 確かにいる. 一応いる. ネレ、. ①. あなたの気分をなごませたり,くつろがせてくれる人. ②. ふだんやらなくてはならない用事を手伝ってくれる人. ③. 不満や悩みやっらい気持ちを受け止め,耳を傾けてくれる人. ④. 目中に外出するとき,必要なことを代わりにやってくれる人. ⑤. 困ったことやわからないことがあるとき,相談に乗ってくれる人. ⑥. 1日以上留守にしなくてはならないとき,. @ ⑦. 物事を決めなくてはいけないとき,. @ ⑧. その間の世話をしてくれる人. 参考になる意見を言ってくれる人. 身体の具合が思わしくないとき,面倒をみてくれる人. ご協力ありがとうございました.引き続き,インタビューにご協力ください.. 5、死別を体験してから,今日までの間に,その経験をどんなふうに考え,感 じてきたかについてお聞きします.. ご協力ありがとうございました.. 43.

(45) 資料 3.. フォローアップのための連絡先. 課題研究にご協力いただき,ありがとうございました.辛い経験を話してい ただき感謝しております.調査終了後,何らかの気分の落ち込みや不調を感じ られましたら,ご遠慮なく以下の連絡先までご連絡ください.. 兵庫教育大学大学院学校教育研究科臨床心理コース 植松 秋 メ]ルアドレス. 電話番号. ・・・…. ・.’・... 44.

(46)

参照

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