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音楽科における学習指導案に関する一考察 : 教授行為の記述を中心に

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(1)Title. 音楽科における学習指導案に関する一考察 : 教授行為の記述を中心に. Author(s). 篠原, 秀夫. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 44(2): 251-265. Issue Date. 1994-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5315. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成6年3月. 4巻 第2号 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4. lowゴロalofHokkaido University of]&lucation(SectionIC) VOL44,No‐2. MarCh ,1994. 音楽科における学習指導案に関する一考察 --教授行為の記述を中心に-- 篠. 原. 1. 秀. 夫. は じ め に. 学習指導案は, 授業の仮説と言われるように, 一時間の授業をどのように展開 していくかという 授業の計画書である. そこには, 教師の教育観, 教材観, 児童・生徒観, 指導技術, 構想力等が凝 集的に表現される‐ つまり, 授業 づくり構想の仕上げの段階がこの学習指導案であり, その作成は 教師の重要な仕事の一つと言える. ところが, この指導案 (以下, 学習指導案を略して指導案とする) の役割・機能に関する認識が 不足していたり, 指導案の内容や書き方に関して, あまり注意が払われていないというのが, 音楽 科の現状ではなかろうか‐ 研究会等では, かなりの時間をかけ, 苦労して作成されるにもかかわらず, 指導者にとっ ても, 授業参観者にとっ ても, 有益ではない, わかりにくい指導案が多い‐ 形は整っ ていても, 抽象的な 表現が多く, 授業内容がほうふつ としてこないのである‐ また, 授業後に反省材料 として使われた り, その後の授業実践に活用されることが少ないと言える‐ このような背景として, 「音楽的な力量さえあれ ば, 授業はいく らでもやれる」 , 「指導案な どは なくても授業はできる」 , 「指導 , 「指導案を細かく書きすぎる から柔軟な授業ができないのである」 案というものは参観者に知っ てもらう ためのものであっ て,授業の流れさえ明らかにされれ ばよい」 といった音楽科教師の授業観があるように思われる‐ アンケー ト調査を実施してみても, 次のように, 指導案は年間に一度書く か書かないか, という. のが教育現場の現状である. アンケート調 査① 調査対象. 北海道, 網走・根室・十勝・釧路管 内 高等学校音楽担当教師25名, 中学校音 0名, 計 楽担当教師135名, 小学校 (音楽専科, 及び音楽の免許 を持つ 教師) 4 200名. 回収率. 11 2/200=56%. 調査内容. 音楽の学習指導案 (略案は除く) は, 年間にどのく らい書くか‐ 書く機会がない 18名. 結果. 1回. 85名. 2回. 6名. 3回. 2名. 4回以上. 1名. そこで本研究では, 先ず指導案の変遷を外観し, 次に指導案がどのような役割・機能を持つもの かを考察する. さ らにそれをふまえ, 音楽科の望ま しい指導案の内容 (書き方) に関して, 教師の 251.

(3) . 篠 原 秀 夫. 力量形成に関連させなが ら私見を述べる.. n. 指導案の変遷. わが国の場 合, 明治1 6年の 『改正教授術』 の 「方法書」 が本格的な指導案の出発点と言われてい ) 1 る. この著の中で, 教師は授業の前に, 次のような 「方法書」 を作成することが説かれている( .. 〔方法書〕 -, 目的. 此処ニハ其課ニ於 テ練習スベキ諸心力 ヲ記 シ 且其他陶冶スベキ事項ヲ書ス. ニ, 大意. 此処ニハ 開発ス ベキ観念ヲ記シ且教授ス ベキ. 三, 題目 四, 方法. 此処ニハ教授ス ベキ事項 ヲ記ス. 言語文字ヲ書ス 方法ノ・即教授ノ手続ニシテ次ノ如ク区分 ス. (-) 復 習 (二) 教 授. (三) 演習 (四) 約習 明治10年代は, 江戸時代に見られた記謡注入的教授法が否定され, それに代わるものとして子ど もの能力の開発を 目的とする ペスタロッチ主義の教授法が取り入れられた時期である ‘その教授法 . は,実物を媒介として,教師と生徒の問答を通して自然に導いていこうとするものである したがっ . . 方法のところでは, 教師の問いと生徒の答えを詳しく書くことが, 説かれている て, 四, . その後, ヘルバ ルト及びヘルバ ル ト学派の 影響を受け, 授業過程の段階に多少の修正がなされる が, この授業過程に基 づく指導案が, 終戦の昭和20年頃まで主流を占めるのでる . それは, 教科書にある内容や知識を, 予備‐提示-比較‐統括‐応用といっ た五段階, あるいは それを簡略した予備-教授-応用といっ た三段階, 等々の形で説明し, 与え, 覚えさせようとする ものである. 2 )である 資料1は, 昭和初期の唱歌科の実 際案 (指導案)( ‐ これは, 明らかにヘルバ ルト学派の教授段階説に基づく指導案と言える. また, この指導案から もうかがえるように, 終戦の昭和20年頃まで見られる指導案は, 多少形式は異なるにせよ, 教師指 導型, 教材伝達型の教育のあり方を反映していると言える. 戦後は, 戦前までの教育思潮が全面的に否定され, 主としてアメリカの教育思潮が直接的な形で 流れこみ, 戦後新教育が展開される. すなわち, 教師指導型の教育が否定され 児童中心の教育で , ある. 指導案の呼び名 も 「学習指導案」 に変わり, 次のような一般的な スタイル (本時の展開の部 分) ができあがる‐ 時. 252. 間. 学 習 活 動. 指導上の留意点.

(4) . 音楽科における学習指導案に関する-考察. 資料1 尋常第二学年第三学期 (-) 教材 雪, へ認四分の二拍子 (文部省尋常小学唱歌第二学年用) (二) 主眼 美しい雪景色の有様を想像せしめ, 雪の降る様を歌って美的感情を養成する (三) 教授時間 三時間, 第一時 第一歌詞 第二時 第二歌詞 第三時 総練習. 第一時取扱実際案 準備 絵画 音階図. 方法 一‐ 予備 1. 発声練習 下の諸音をア音にて教師の範唱につれて行ない, 一音一呼吸とし呼吸練習と連絡をとり気息のつづく限り発 声させる この際口形を正しく整へること及発声に雑音の交らぬ様に注意する.. 2‐ 音階練習 音階図の視唱を行なひ, 階名にて下の如く行なはせる‐ この際各音の高さを理解させる様につと め る.. 3‐ 目的指示 この頃は寒くなったので時々雪が降りますね‐ この間などはずいぶんつもりましたね. あの時み なさんはどんなことをしてあそびましたか‐ 雪の降る様子はどうですか‐ 今日は雪の唱歌を教えてあげます‐ 今歌を書きますからよく見ていなさい. 二‐ 教授 1. 歌詞の提出 仮名で板上に横書し小節毎に縦線を引く. 2. 歌詞の読方 先づ-, 二の児童に読ませ, 後斉読させる. 3. 曲を知って居る児童あるときは歌はせて見る. 4. 範唱 二三回 5‐ 分節範唱模唱, はじめは二小節毎に行なひ, 次は四小節毎に行なふ. この際発想方面も合せて取扱って行く‐ 但し徹底を期するのではなく, 大体の観念を与へる位の軽い意味に 於て行なふのである. 6‐ 全曲を通して歌はせる. この際不完全のところは訂正する‐ 7‐ 歌詞の内容取扱い, 絵画を利用して実況を想像させることにつとめる‐ 三‐ 練習 1‐ 教師の範唱を一, 二回きかせる. 2‐ 通曲の練習 斉唱, 分唱, 互唱, 個唱, 及座唱, 立唱等を適当に按配して十分に練習させる. 3. 聴音練習 楽器によって前後二音を発し, 其の高低を判断させる‐ 4‐ 既授歌曲の練習, タクトによって指導する. 5‐ 個唱 既授歌曲の中児童の好むものを希望の児童 (或は教師の指名) に教壇上で歌はせる. この際教師も鑑 賞教材をひっさげて児童の仲間入りをする‐ 6‐ 本時の教材雪の斉唱‐. 253.

(5) . 篠 原 秀 夫. 以前と比較すれば, 児童・生徒の学習活動が前面に出て, 教師の指導性が後退するようになる. 教師の指導に関わる事は, 指導上の留意点を表す程度のものになっ たのである. このような児童中 心主義の教育観に基づく指 導案は, 今日まで根強く存続していると言える. 3 )である 資料2は, 昭和36年の音楽科の指導案例( ‐. 資料2 音. 楽. 科. 学. 習. 指, 導. 案 第6学年. 1組 53名. 指導者. 菊. 田. 君. 子. 「風にのせて」 (ヘ長調, 4分の3拍子, 2部合唱). 1. 題 材 2. 指導計画. 第1次・・・o高音部, 低音部の階名視 唱をする o歌詞をつ けて合唱する o発想をつけて合唱する. 本時扱. 第2次・・・o 階名, 歌詞の暗唱をする o小人数で合唱を し, お互いにきく o 2重唱をする. 第3次 …. oハーモニカ, たて笛, 木琴, 鉄琴などの旋律楽器で合奏する. 3. 本時の目標 o 2部合唱の美しさ面白さを あじわわせる o歌いながら曲の感じをくみとり, 曲想を正しく理解させる o楽しみながら旋律の創作になれると共に, 創作意欲を高める 4.準. ピ ア ノ,電 蓄, レコ ー ド, 風 に の せ て 楽 譜 メ トロノ ー ム オ ル ガ ン ア コ ー ディ , , ,. 備. オ ン. 5. 本時の学習 学. 習. 活. 動. おぼろ月夜の2部合唱をする (既習曲) ヘ長調の終止形で和音練習をする 「風にのせて」 (2部合唱) の練習をする ・高音部階名視唱 ・低音部階名視唱 ・2部合唱 (階名唱) ・正しい速度を考える ・歌詞をつけてパート練習をする ・曲想を考えてつける 創作の練習をする ・始めの2小節を歌い, 空白のリズムを 考える ・旋律を考える 既習曲器楽練習をする 6. 評. 価. o楽しい音楽の時間であっ たか o創作の意欲が出たか. 254. 指導の留意点 無理のない発声 和音のひびきを味わい楽しむ. 低音部1拍目の に 注意 ことばをはっきり歌う. ことばの抑揚を考える o曲の理解ができたか.

(6) . 音楽科における学習指導案に関する一考察. このような流れの中で, 斉藤喜博は, 「子 どもの学習が尊重されるとしても, 教師があくま でも 授業展開の主体にならなければならない‐ また教師が生身の人間としての教材解釈を持ち, 方法 プ ランを持ち, それを授業の中で子 どもにぶつけることにより, 子どもの可能性を引き出すような授 4 )と主張する 業展開が行われる」 ( .. 次は, 斉藤喜博をはじめとする群馬県島小学校の教師がつくり出し, 実践した指導案の形式であ 5 ) る( .. 1‐ 題材 2‐ 教師の解釈 3. 授業展開の角度. 4. 全体の指導計画 (○時間予定) 5. この時間の目標 6‐ この時間の計画 展開の核. 子どもの可能性. 授業の結晶点. 予想される難関. ‐、 ‐. この島小の教師達は, 自らの 「教材研究から授業」 までの過程を, そのまま指導案に表そうとし ている‐ その現れとして, 次のような特徴をあげることができる. ①1‐ ~5. の部分の記述が, きわめて具体的であること. 「教師の解釈」 では, 授業とは切り離された教師個人の教材に関する解釈 が書かれ, 「授業展開 の角度」 では, 「教師の解釈」 をもとに, 子 どもに即 した授業の計画が書かれる. ②6‐ の 「この時間の計画」 の4つの欄が有機的な関連性をもつこ と. 教師の教材解釈に基 づき, そこから導かれる 「子どもの可能性」 を予測し, これらを基に教師の 指導が 「展開の核」 に書かれる-,と同時に, 前もって 「予想される難関」 も考えられる‐ また, こ の 「展開の核」 に基づき, 教師と子どもの ぶつ かりあいの結果, どういうことが実現するか, 「結 晶点」 や 「難関」 も予め考え られるのである. また一方では, 昭和40年代に入り, 教育工学研究の流れからフローチャ ー トという形式を使っ た 指導案も書かれるようになっ た. フ ロ ー チ ャ ー ト と は 次 の よ う な も の で あ る‐. 「コン ピュ ーターにさせようとする手順を, その順序関係や論理構造が誰にでもはっ きりわかる ように, 記号を用いて図式的に表現したものである‐ 記号で表すことによっ て, 複雑な仕事も直感 的に理解できるようになるし, また誤り -の発見も容易になる {6)」 7 )である 資料3は, フロー チャ ー トを使っ た指導案例( ‐ フローチャ ートを使い授業を図式化する指導案には, 授業の全体像が直観的に把握できるという 利点がある‐ ところが, (下位) 目標に関わる教師の具体的な働きかけを どのように記述 していく かが難しいといえる. それらが 「指導上の留意点」 の記述に留ま っ ているもの が多いのである. ところで近年,向山洋一を中心とした「法則化運動」 が 「追試をめざす」 指導案を提唱している‐ 向山は, 「これまでの指導案のほとんどは, 再利用する価値がない‐ 『読まれない指導案』 を 『読 まれる指導案』 『追試ができる指導案』 に変えていかなければならない‐ そのためには, 次の記述 255.

(7) . . 篠 原 秀 夫. 資料3 指. 導. 内. 容. 指導の流れ, 使用機器, 経過時間 G つ. 1. ・笛・ギターの音合わせ‐. チュ. 丁 ーニ. ピアノ. L[. ング. 囲 怖. 十 へ. \か しく合っているが. ー一 \ ツ っ. ′′ ′′′yes. 、、、 、. ・クリーゲル作曲 「メヌエッ ト」 ソ プラノ笛3部十ギター. ふせ- i鍵 語. Fdurの音階と運指. .手拍子によるリ ズム 練習 . パ ー ト3. . リ「「「 「 ふ‘ 「r「・ 「UUー. no. ー 既習曲の復習 l. s. l. 1 ステ レオ. 畢 指導曲の鑑賞. ・ バ ッ ハ 作 曲 「メ ヌ エ ッ ト」. …. -. ⑦. ト長調の音階と運チ. ” ). 寧冨. ‘ =\ 諏. ミミ亨者 十. ◎ 1墓 でるトのリズム1 をしろ 各 パ ー トのリズム. 0日P. I. -. る.. 1 留意点の練習. ・机間巡視. 卓 三 Q 重 き 馨塚善 識 パ誓.キ 一, ? ー平 , ,ー しく表現されたが. \、、 ′′ 、v′′′yes. ・前半の1 2小節をパー ト練習. ・後半の1 2小節をパー ト練習. ・全員一緒に演奏する.. る.. ,. ・範奏 してもよい.. ・机間巡視 ・途中で進度状況を RAで調べ, それ によっ て練習時間 の調整を行なう.. RAで調べる.. ・お互いに相手の パー トをよく 聞き 合うように‐. ュ ′ ′ 獅 ; ネギ 、 ′ 予定のコ ース 、 ′ 、 ′ 、. マスターした ′ n 雄三 払 巻. 1 パート別演奏 1 l. 1. の i まとめ( まとめ (合奏) l. ①. 256. .生 徒 に 行 な わ せ. ー ・机間巡視 発露 α窮 ・途中で進度状況を 翻紹 ・机間巡視 2 ト 滋± ,警畔, , ー. .各パー トを全部通して演奏. ・はじめはゆっくり した速度から行な い, だんだん演奏 に適した速度にす ・リズム奏から, 生 徒各自パー トを選 ぶ目安とする. ・範奏をする.. l. パート別に行う‐ や装飾音など演奏上注意す. ・楽曲のアウトライ ンをつかむように する. ・音の美しさに注意. る‐. 1生徒のパートわけー. 各パートの演奏上 ” 意 一 畿ふ際挙1 の留意点を示す べき点を指摘し練習を徹底させ. ・. 指導上の留意点 ・RA (アナライ ザ 一) 調整. ・本時は曲の大体の g. 様子をつかめれば よ い‐. 能力下位生徒は, 次 園のグループ別練習 別練習でより徹底さ せ る..

(8) . 音楽科における学習指導案に関する一考察. が必要である‐ 1‐ 教材 (教具) 2. 発問 (順番と所要時間が示され, かつ子 どもに言う時の言葉にな っ ている) 3. 指示 (子どもに言う言葉になっ ている) 4. 留意 点 (発 問・指示を与えた 時の 子 どもの反応の予測 およ び整理の 方向) 」 と述 べ てい 8 ) る( -. つ まり向山のめざす指導案は, 授業の流れに即 して発問, 指示を子 どもに言う言葉どおりに書く ことである. そ してそのままを書くことによっ て, 追試が可能になるのである. さらに同じ法則化の岩下修は, 発問, 指示その他教師の働きかけが, どのような技術や原則で支 9 ) えられているか, その理由づ けを書くことを提案 している( . こう した指導案の移り変わりの中で,現在音楽科で多く見られる指導案(本時の展開の部分) は, 次のような形式で書かれることが多い (資料4を参照) .. 耐寒 段. 学 習 内 容. 指 導 内 容. 指 導 上 の 留 意 点. このような形式の指導案を見るかぎり, 戦後新教育の中で生まれた指導案と現在多く用いられて いる指導案とでは, 本質的にさ ほど変化していないと言える‐ つまり両者とも, 児 童・生徒の活動 が指導案の中心に置かれ, 教師の指導に関わる事が 「指導上の留意点」 の記述に留ま っ ているので ある.. m. 指導案の役割・機能. それでは次に, 指導案は本来どのよう な役割・機能を持つ ものなのかについて考えてみる‐ これ を行うに当たっ て, 「なぜ指導案を書くのか」 を明らかにすることにより, 指導案の役割や機能 を 捉えていくこととする. 筆者は, 「なぜ指導案を書くのか」 , つ まり指導案を書く目的を次の二つに捉えて考えている‐ 1 ) 授業構想の明確化 ( 指導案を書く目的の一つ は, 授業構想をより明確に, より具体化するためである‐ 何のために, 何を, どのように指導していくかを明らかにするのである‐ そのためには, 教師は児童・生徒理解 を含む教材研究・教材解釈を綿密に行うことが前提になる‐ 指導案を書くことにより, 何をどのような方法で教えようとするのかを自覚できる‐ 実際に言葉 として書き表すことによ って, 初めて明確になることも多いのである‐ しかしながら, 「指導案は頭の中にあるので, わざわざ書かなく ても授業はできる」 と経験豊富 なある教師は言う (アンケー ト調査②の少数意見) ‐ 確かに, 頭の中で構想はできるであろうが, ない このような発想からは, 授業の上達論は生まれ . 何故 ならば, 授業が常に場当たり的になっ て しま う か ら で あ る. 経 験 を 積 ん だ 教 師 で あ っ て も, さ ら に 自 分 の 力 量 を 高 め よ う と 考 え る 257.

(9) . 篠 原 秀 夫. 資料4 第1学年A組音楽科学習指導案 ・年・月・日 第・時限 指導者 0000⑩ 1 題材 「曲想を昧わいながら」 2 指導目標 { ) 詩の内容や気分を感じ取り, 気持ちを込めてのびのびと表現できるようにする‐ i { ) フレージングと全体のまとまりを意識させ, 曲趣に合った曲想表現を工夫させる‐ 2 ( 3 ) 弦楽合奏の音色及びその組み合わせの響きと効果を感得させ, その表現の美しさを味わわせる‐ 3 教材 ( )主教材 「花の街」(江間章子作詩, 圏伊玖麿作詩) ◎ 「春」(ビバルディ 作曲) 1 { 2 )副教材 「春の風」(和田徹三作詩, 広瀬量平作曲) ◎ 「春の海」(宮城道雄作曲) 6 本時の指導 ( 1 ) 目標 ① 「花の街」 の詩情へ想いをひろげながら, のびのびと表現ができるようにする‐ ②フレージングと全体のまとまりを意識にのせ, 語感を生かした歌唱ができるようにする. 2 ( } 学習の展開. 指導内容 ①「花の街」 の詩情へ 想いをひ るげなが ら歌詞. 提示 資料 OHP. (歌詞). 板書 1目当てl. 唱。. 指導上の留意点 価 評 ・前時の学習を思い出 ・Aリズムや音程, 発声や ・本時を展開 息つぎ等, 前時に不十分 して, 歌唱唱をす するための る。 だった所を補い, 気持ち 診断的評価 を込めて歌わせる。 ・本時の学習の目当て とする。 をもつ。 ・Bフ レー ズ感を牛 か した ・目的意識は 歌唱表現の工夫を示唆す よ いか。 学 習 活 動. る。 ②フ レーズ. 感を意識 した歌唱 表現。. ・VTR ・スライ ド. (春の情景). 拡大楽譜① 「花の街」. 旋律線 l フレーズl ③「春の風」 拡大楽譜② の歌唱表 「春の風」 現と比 較。. 暁善 一. テー プ・ レコー. ダー (録音). ・C詩の韻律を生かし ・歌詞内容の理解を深めさ ・詩情豊かに せ, いっそう曲想表現に て音読し, 詩情の感 朗読できた か。 得をさらに深める。 気をつけて表現できるよ ・D言葉の抑揚と旋律 うに導く。 ・旋律の流れ の動き に着目 し, フ ・E旋律が歌詞の抑揚を率 や歌詞の語 直に生か していることに レーズ感を意識して 感を生かし 歌詞唱をする。 気づかせる。 て歌えた か。. ・軽快なリズムにのり ・小学校で既習の曲。 学級 ・曲趣をとら F明るい声で 「春の の レパ ー トリーと して親 え, 歌い比 しんでいる 「春の風」 を べることが 風」 を歌い, 「花の 街」 のG勲練と比べ 曲趣の比較に活用する。 できたか。 ・感覚的にとらえた曲趣比 ・意欲的に学 \ 詞, 肌 族種線 較の印象を, 拡大楽譜あ 習に取り組 ‐ っ u / 柳, ”・ す “十ュ - -ス ム 」Z るいは, H2台のOHP よ リス んだか。 0ムトレ砕の鰹占 し 活用により視覚的にも比 Uし u執り闘凧 」 \して 較しその特徴を意識づけ /. 』. る。. ④学習のま とめと評 価。. 258. ・つとめて向上した点を取 ・表現力は高 体のま とまりを意 り上げ, 賞揚すること。 ま っ たか。 識, 気持ちを込めて 歌う。. .1フ レー ジ ン グと全.

(10) . . 音楽科における学習指導案に関する一考察. のであれ ば,指導案は必要ではなかろうか.漠然と頭の中で考えるので はなく, 書くという作業と, それに基 づく授業実践 を積み上げることにより, よりよい授業を作り出 していくことが可能になる のではないかと考える‐ またある教師は, 「授業は指導案 どおりにいくものではない. 指導案にこだわるのはおかしい」 と言う (アンケー ト調査②の少数意見) . 勿論実際の授業で は指導案どおりに運 ばないこともある. しかし, それが指導案 を軽視することにはつ ながらない‐ 運ばない時には, それなりの理由がある ことが多い‐ それらには, 授業構想のあまさ (児童・生徒理解のあまさを含む) や授業者の力量の 問題, あるいは予想外のハ プニ ング, 等があげられる‐ こう した指導案どおりに運ばない時は, 直 ちに授業展開を変更 していかなければな らない‐ その場合の変更も, 教師が予 め児童・生徒の様々 な反応を予想しつつ, いろいろな展開を構想しながら指導案 を作成し, それを基に授業にの ぞんで いるからこそできるのではなかろう か.. ( ) 授業構想の伝達 2 指導案を書く目的の二つ目 は, 授業構想としての仮説 を, 自分自身で把握するのみでなく, 他人 にも分かち伝えていく ためである. 教師の授業力量 を高めるには, す ぐれた実践家の授業 を多く見ることが大切である. しかし, た だ漠然と見る だけでは効果はない. その際, 重要な役割を果たすのが指導案である‐ すぐれた授業 を指導案を手がかりに検証 したり, 追試していくことも必要である‐ こう した検証や追試を繰り 返 すことによっ て, 教師は力量を高 めていくのである. また, すぐれた授業 を多くの教師が共有化していくには, 小手先の技術 を断片的に捉えるのでは なく (勿論, 断片的に学 べることもある) , 部分的な技術の背景にある授業観, 授業方針を学んで いくことが大切である.指導案は,単元の名称から本時の展開, 評価まで, 一貫した授業の方針 (授 業観) で貫かれているものである‐ したがっ て, 指導案からこう した教師の授業観や授業方 針を検 討していくことは大切なことであり, 教師の力量形成につ ながるとも言える. しかしながら, 実際にす ぐれた実践 家の授業をみる機会はあまり多いとは言えない. そうであれ ば, 授業が見れなくても, 指導案や授業記 録からす ぐれた実践を検討していくことも必要ではなか ろうか‐ このように考える と, 指導案の作成は教師の力量形成には欠かせない作業と言える. 自分の力量 形成につながる,そして他人に検討 してもらえるよう な指導案 づくりを心がけることが大切である. アンケー ト調査② 調査対象 回収率 調査内容. .授業構想 (目標, 授業の流れ, 指導法等) を明らかにするため . ・他人に授業構想を知 らせるため ・授業後, 検討し, 授業改善にい かすため ・授業内容 (教材研究を含む) , 指導法の研究のた め ・自分自身への刺激のた め ・ よく わ か ら な い. 3 節 3 5 4 7 製 2 1. 指導案を書く 意義や目的は何だと思いますか (記述式) . (以下は筆者が集約 したものである). 名 名 名 名 名 名 名. 結果. アンケー ト①と同じ アンケー ト①と同 じ. ・その他. 259.

(11) . 篠 原 秀 夫. W. 指導案の内容. 指導案の役割・機能を, 「授業構想の明確化」 「授業構想の伝達」 と捉えれば 指導案はどのよう , な内容が必要であろうか. ここでは特に, 「本時の展開」 を中心に考え てみる . l o )の一部分である 資料4は, 教員養成大学の学生向けのテキストに掲載されている指導案例( . 音楽科では一般的によく見られるタイ プの指 導案である. 筆者は, かつて指導学生と共に, この指導案を検討した ことがある この指導案を使っ て授業を . すると仮定し, 実際にどうすればよいかわか らない箇所を取り出してみたのである A~1の部分 . (下線筆者) が, 取り出された箇所 である. 例えば, Aの部分の 「気持ちを込めて歌わせ る」 では どのような働きかけをすれば 気持ちを , , 込めさせる ことができるのか,またBの部分の「フ レーズ感を生かした歌唱表現の工夫を示唆する」 では, どのような示唆をしたらよいのか, 具体的にわからない. 全体的に, 「生徒にさせ ること」 ばかりが書かれていて, 実際にどのように指導するかが書かれ ていないと言える‐ これでは授業の流れは大まか につ かめても, なかなか授業光景を思い浮かべる ことはできない. たとえ経験豊富な教 師にお願いして授業をしていただくとしても このような指 , 導案では, 授業が円滑に進まない ことが予想できる‐ またこのような場面こそ, 多くの教師 (初心者からベテラ ンまで) が具体的な指導 (教師の働き かけ) を知りたい場 面ではなかろうか. 今回の検討は, 「この指導案で授業をしてみる」 という追試をする立場からのもの である した . がっ て, この指導案が人 に見せるためのもの ではなく 自分自身の授業のためと考えれば 一概に , , ) しかしながら たとえ自分のために書かれるものであ ても 問題視できないかもしれない ql っ . , , この指導案 では,実際にどのように指導するかが明確でなく,常に場当たり的な授業 (指導) になっ てしまうと言える‐ このように, 個々の指導の記述がきわめて抽象的であり, 大切な情報を欠落させ ている指導案が 意外 に多いのである. 「本時の展開」 の部分では当然ながら児童・生徒の学習内容 (学習活動) に 関わるものが書かれな ければならない. しかしそれだけではなく 筆者は次の二点も書かれること , が大切であると考えている‐. ) 教師の働きかけ (教授行為) の具体的な記述 ( 1 児童・生徒の学習内容 (学習活動) が決まれば, それを実際にどう指導するか 教師の働きかけ , の具体的な記述が必 要である.,これがないと, 授業 (指導) はどうしても場当たり的にな って しま う. またこの記述により, 検証や追試が可能 になる. 例えば,資料4の中のAの部分「リズムや音程, 発声や息つ ぎ等 前時に不十分だっ た所を補い , , 気持ちを込めて歌わせる」 では, 特にどの部分のリズム, 音程, そして発声 息つ ぎを補おうとし , ているのかを明らかにし, また気持ちを 込めて歌わせるため に, どのよう に働きかけるかも明らか にし, 記述するのである. 教師の働きかけの記述 は, 児童・生徒をどのように理解しているかという ことの反映でもある . つ まり, 対象となる児童・生徒 の学習能力 がどんな状態 にあるのかを正確に把握し 「000のよ , うに働きかけたら, 児童・生徒が000の ように変わ っ ていく」 をある程度 予想 しておかな けれ , ばならない. このような児童・生徒 に関わる理解がなければ 具体的な働きかけ (教授行為) を組 , 織していくことは難しいと言える. ところで音楽科の場合, 教師の働きかけ (教授行為) は多様である その中でも 次の二つ は特 ‐ , 260.

(12) . 音楽科における学習指導案に関する一考察. ) これらは 指導内容に即 してできる限り具体的に記述するこ とが大切である. 12 に重要である( , ‐ ① 指示, 発問, 助言, 説明, 等の言葉による働き かけ ② 伴奏, 範唱, 範奏, 等の音楽による働き かけ 一つの 中で ②が音楽科特有のもの と言える ②の具体例をいくつ かあげてみる‐ ‐ , ・教材曲の00の部分では, 伴奏型をAの型 からBの型に変え, 工夫してみる‐ ・この場面で, 一番の歌詞を使いゆっくり二回範唱してみる‐ ・教材曲の00の部分では, 指揮をしながらアルトパー トを一緒に歌う‐. ( 2 ) 教師の働きかけ (教授行為) の意味づけや根拠の記述 なぜこの場面でこのよう な働きかけをするのか, 特にポイ ントになる部分では, 意味づ け, 根拠 等を明示するこ とが必要であると考える. 例え ば, 前時に児童・生徒にこのよう な働きかけをして, このレベルま で仕 上がっ ているので, 今日はこういう働きかけから入っていく. あるいは, この指導場面で は, クラスの認識能力か らし て, 間接的なイメー ジをふく らませる働きかけ (言葉) が必要である, 等である‐ こう した意味づけ, 根拠を書くこ とにより, なぜこの場面でこのよう な働きかけをしたのか, そ の理由が明らかになり, 授業場面での応用の幅 が広がる‐ また, 追試に生かすことができるのであ る.. ここで 「追試をする」 ということを考えてみる. 前述したように向山洋一を中心とした 「法則化運動」 が, 追試のできる指導案づくりを提唱 し, そのために指示や発問をそのまま書くことを提案している‐ 筆者は, この考え方に基本的には賛成 である. 具体的な教師の働きかけが書かれていない指導案よりは, はるかに追試がしやすいと考え るからである‐ ところが, 追試というものが, ともすると 「指示や発問はじめ, そっくりそのまま 追いかけるも の」 と受け取られがちである‐ 確かにそのよう な追試も必要な場合があろう‐ しかし追試は, 追試 する教師の主体性が示されてこそ, 追試本来の意味がある. 指導案はあくまでも仮説であり, 授業 者によっ て修正 が必要なのである. つ まり, 「このよう な場面では, こんなふうに働きかければいいんだな ぁ」 という部分と, 「い や, ここはちょっ と問題だ‐ 自分な らこうしよう」 という部分が存在するのである. また当然ながら, 自分のクラスの実 態に応じて, あるいは教師自身の力量や個性に応じて, 働き かけを工夫していかなければな らない‐. V. 「本時の展開」 の一試案. 筆者は, 指導案に教師の働きかけが具体的にしかもわかりやすく記述され, さらにその意味づ け や根拠が明らかにされるので あれば, 指導案は様々な形式のものがあっ てよいと考えている. 学習 領域 (表現 「歌唱・器楽・創作」 , 鑑賞) や指導内容によっ ては, 当然なが ら異な っ た指導案が考 えられる. そこで次に, 「本時の展開」 に関する-試案 を取り上げてみる. 北海道教育大学附属釧路中学校 13 )を作成した の桜井敬 一先生に協力をいた だき, 資料5の合唱の指導案{ . 今回の作成では, 本時案 (資料5-1) の中で, 単元の目標や本時の目標に大 きく関わり, しか も本時の山場とも言える下位目標の6. の部分を別表 (資料5ー2) で示すことにした‐ 261.

(13) . 篠 原 秀 夫. 資料 (5ー1). 音. 楽. 科. 学. 習. 指. 導. 案. 日 時 平成4年8月3 1日 (月) 生 徒 2年B組 男子2 0名 女子19名 授業者 桜 井 敬 一 「混声合唱の楽しみ」 1‐ 単元名 V. 本時案 目 標 { ) 重厚な混声四部合唱の響きに心を傾け, 合唱を味わい楽しむことができる 1 . 2 ( ) 自分の声部の役割を把握しながらパート練習をし, 音程を正しく取り表情を工夫して歌うことができる‐ { )3 3 5小節目から始まる女声と男声のポリフォニックな部分を中心に彫りの深い合唱表現をすることができる‐. 授業過程. 過程. 下 1. 基 礎 基. 位. 目. 標. 「He l l l lo」 を Hdur で o He. 主 な 働 き か け I. 歌い四声体の響きを味わうこと 2 ができる. 2 「ハ レルヤのカノ ン」 の輪唱 を通して Hdur の音階とポリ. フォニックな音構成を感得する. Cdur の主和音の響きを作ろう。. 「大地讃頒」 の主和音で歌ってみ. よう. 3 Hdur の調性 で 「ハ レルヤのカノ ン」 を輪唱 してみよう.. 備. 考. ・Hdurの1度. の主和音の響 きを感じ取ら せる. ・ポリフ オ ニ ッ. クな動きを身 に着 けさ せ. ことができる‐. Hdur の 音. 本. 構成を理解さ せる‐. 3 他学年の 「大地讃頒」 合唱表 4 他学年の合唱表現から今日, 取り .VD視聴 現を手がかりにして本時で取り 課題 組む合唱練習の手がかりを得よう. 組むべき事柄を明らかにするこ 把握 とが で きる. 4 ・パート練習を中心にした部分 5. 練 習. 練習をすることができる‐. パート毎に工夫した練習をしよ ・ パ ー ト練習の 中でペアーを 1 ( } 後半部分の音取りの練習を確実に 意識した練習 しよう. を組織させ ( 2 ) 表情の記号を大切にした練習をし る. つ.. よう.. 批正 表. 現 展 望. 26 2. 5 自分の練習の成果を確認する 6 ここまでの練習の成果を確認し合 ・自己評価 ことができる‐ おう. 6 パート練習を生かした合唱表 7 35小 節目か ら男声がf fで mae ‐ ・相互評価を組 現を全体で作り出すことができ t み込むことで s o so(荘厳に) , 女声がfで低音域 る. の発声を工夫しよう‐ 美意識の醸成 8 2 7小節からの8小節間の和音の動 に務めさせ きを感じながら音楽を作ろう. る. 9 音の方向を見定めた合唱を作ろ つ-. 7 この時間で作り出した合唱を 10 この時間の合唱を振り返 っ てみよ ・次時への意欲 手がかりにして次時への創造的 つ‐ 付けを狙った な意欲を持つことができる‐ 補足をする‐.

(14) . . 音楽科における学習指導案に関する-考察. 資料 (5ー2) 指 過程 ・ 下位目標. 主な働きかけ. 表 イメ ー ジ言 語. 導 現. 細 内. 音 楽 言 語. 項. 案. 目. 容. 教授行為の応用. く教室平面図〉. 7‐3 5小節目 から男声がf f でma t e s o s o , 女声がfで低 音域の発声を 工夫しよう。. SATB 授業者. ( 1 )女声の響き ・あたたかいお母 ・低音をfで表現 .同じ言葉が繰り を豊かなもの さんのように包み するけれども鼻か 返し使われている パ 6 ート練習 にしよう。 ら下の響きを使わ 部分は音を集める 込んだ響きで。 場所を変えていく .確信に満ちた表 ないように。 現にしよう。 表. SATB. 」 ( 2 )男声は密度 の濃い響きで 高らかに歌い を生かした合唱 あげよう。. 表現技術 (歌唱領域). ボディーランゲージ. f t ・男子の歌声で地 ・ma o s oでf e s 面がグラグラ揺れ の昔の幅をしっか るような響きで。 り保って。 ・何物にもたじろ がずにぐんぐん前 に進むように。. ・2回目のE音か らの 「我ら」 は一 歩突き進んだ表現 をする。 SATB. / .. .「恩寵の豊かな」 の「 r X ) 》 q i 」 と「 」 c u に重心を持ってき て尚かつ膨らませ るように。. *a音の方向を 手の平で受け止 めることで声の 方向性を示しな がら音を空間に 置かせ音楽を立 ・体を固くしない 体的に感じ取ら で充分に息を吸い せる。 込んで。. ・体を開いてどん どん前に持って来 るように。 ・腰を使って歌う *b. *b口先の表現 でなく自己表現 活動の一つとし ての身体表現を 実感させること が大切である。. ( 3 )女声部と男 声部の歌詞と 昔の動きを鮮 明に表現しよ つo. ・描かれているも のが全く違う二つ の絵があります。 でも2枚とも強烈 に 「平和」 を願っ ている一人の画家 の絵です。. ・ 「恩寵の豊かな 大地」 と 「我ら人 の子の大地をほめ よ」 の違う歌詞を 同時に歌うことで 作詩者の主張をよ り強めている。. ( 3 )言葉と旋律 線を結び付け た表現の仕方 を身につけよ つo. ・女声の 「恩」 と 「縄」 の間, 男声 の 「ひ」 と 「と」 の間に宝物があり ます。 *c. ・名詞の頭の音は はっきりと歌い, 単語のつながりを 充分によく表現す ること。. 〈教室断面図〉 I ・. *c音と音の間 を意識させるこ とで音の方向性 と同時にそこに 置かれている音 の質までも掴ま せることにな る。. )同じ和音進 ( 1 行でフレーズ を構成してい る箇所の表現 方法を工夫し よう。. ・ 「やすらぎ」 か ら 「緊張」 を繰り 返しながら小さな 山の頂に登ろう。 *d. .主和音から届和 ・ 「Na」 を空間 音への繰り返しを で膨らませるよう しながらフレーズ に動かす。 のまとめの和音ま で持ってこよう。 ・ 「大地」 を強調 するために 「Na 」 をp s o c oc r e cする. *d歌詞の内容 を使いながらこ とばの方向性を 掴ませることが 大切である。. ( 2 )4小節間の ノンプレスの 息の使い方を 工夫して表現 の幅を広げよ. ・マラソンのゴー ・4小節間でpか ル前でへたり込む らfまでc r e s cで のでなく駆け抜け 一息に持ってくる る勢いで。. 表現を全体で作. / .W. ・童心を前に持っ てきて腹筋を支え にした発声を常に 心がける。 ・ 「ひとの子」 の 「H」 を準備して おいてはっきりと 発音すること。 ・腕を下げたら息 をはいて上げたら 吸って, 腕の速さ に合わせて一緒に 動いて下さい。 こ I この場所は素早く 吸わないと間に合 いません。. 8.2 7小節か り出すことがで らの8小節間 の和音の動き を感じながら 音楽を作ろ つo 現 きる。. キジ.l SATB. ・ 「大地をほめよ 讃え よ土 を」 の 「Tu鉱io 」 に入 る前のところで息 は6割は残してお l io ・ 「お」 を後に移 いて 「Tud 」 に入る。 勤しながら引く. ↓. *e息の量を数 字で意識させコ ントロールさせ ることで呼吸法 の転移力を付け させる。. 263.

(15) . 篠 原 秀 夫. この授業の場合, 授業を支える内容を表現内容と表 現技術に大別 し, それぞれの内容にせまる教 師の働きかけを指導細案項目としてあげた。その具体的な項目として,表現内容 に関わるものでは, )を そして表現技術は特に分けることなくその 14 イメ ージ言語, 音楽言語, ボディ ーラ ンゲージ( , まま用いた。 これらの項目は, あくまでも桜井氏の働きかけの例である。 授業内容によっ ては, あるいは教師 によっ ては, 伴奏, 範唱, 板書, 等に関わる様々な項目が考えられる であろう。 なお桜井氏の場合, 次のような基本的な授業方 針がある。 イメ ージ言語やボディ ーラ ンゲージを 中心に働きかけをし,これらを支えるものとして表現技術に関するものを取り入れる。さ らにイメー ジ言語やボディ ーラ ンゲージがだめなら, 音楽言語も使っ ていく というものである。 したがっ て, 表の中の働きかけをすべて使うわけではなく, どの部分から入っ ていくかは その , 時の生徒の実態から判 断していくのである (表は横を規準に見る)。 この指導案例は, 教師の働きかけを記述する一例 である。 一時間の授業をすべ てこのような細案 で準備する必要はない (勿論, できるに越したことはない)。 しかし本時の目標に大きく 関わる場 面, 本時の山場 (もりあがり) の場面, あるいは教師の働きかけの記述が特に大切だと思われる場 面では, 部分的に細案が必要である。 こう した綿密な 指導案をできる限り多く書い ていくことが力 量形成につ ながると考えるからである。 このような細案を提案すると, 「実際の教育現場 では, 日頃からこのような細案を用意するのは 困難である」 という反論が 出されるであろう。 確かに, 教育現場の多忙を考えると, 毎日のように 細案を用意するのは, 現実的に不可能かもしれない。 しかしながら, たとえ月 に一度でも, あるい は学期に二~三度 でも, 指導案 (細案) を書いていく ことが, 教師の力量形成において大切ではな かろうか。. 班. おわりに. ) この教授行為をどの 15 筆者は, これまで指導言を中心とした教授行為の大切さを述べてきた( 。 ように指導案の中に位置 づ け記述していっ たらよいか, これが指導案研究のきっ かけである。 したがっ て今回の試案では, 特に 「本時の展開」 を中心に取り上 げた。 今後の課題として, 「本 時の展開」を含め指導案全体の試案を作成していきたい。また今回は, 合唱の授業を取り上げたが, 合唱のみならず, 器楽, 創作, 鑑賞の授業に関わる様々なタイ プの指導案を模索していきたいと考 え て い る。. 16 )の授業である 尚今回の試案で扱った授業は,授業システム論で言われる教師主導 目標達成型( 。 そのためこの試案は, 創造的音楽学習に代表される学習者主導型の自己学習モデルの授業 には当然 な じまない試案と言える。 そこで今後の発展として, 指導案を検討 していくことにより 授業その , もののスタイル, つ まり授業システムの研究 にもつなげていけたらと考えている。. 264.

(16) . 音楽科における学習指導案に関する-考察. 89 3年 (1) 若林虎三郎・白井毅編著 『改正教授術』 第1巻 普及舎 1 27年 pp 1‐ 194 (2) 初等教育学会編 『各科教授の要領』 上巻 東京蜜文館 19 .19 9 61年 5月号 p‐64 (3) 菊田君子 「研究授業」 『教育音楽』 音楽之友社 1 9 68年 (4) 斉藤喜博 『授業の展開』 国土社 1 9 (5) 斉藤害博 注 (4) の文献 p.22 98 0年 p.13 (6) 沼野一男編著 『教授フローチャート』 日本視聴覚教育協会刊 1 73年 p‐3 14 (7) 浜野政雄監修・伊波久雄編著 『中学校 音楽指導の研究とその実践』 葵書房 19 6年 3月号 p‐30 (8) 向山洋一 「『追試』 ができる指導案づくりの提唱」 『授業研究』 明治図書 198 3 ‐1 4 8年 5月号 pp (9) 岩下修 「授業の流れがわかる指導案とは」 『授業研究』 明治図書 198 ‐1 0年 pp 4 0 4 1 ‐ 10 ) 中等科音楽教育研究会 『新版 中等科音楽教育法』 音楽之友社 199 ( . ( ) あるいは, 紙幅の都合で省略した形で書かれたのであれば, 同様に問題視できないかもしれない。 11 1 2 ) その他にも, 指揮, 教材の提示, 教具の操作, 板書, 等がある。 さらに, 教師のしぐさ, 顔の表情, 目の動き, 間 ( の取り方, 立つ位置, 等も教授行為である。 1授業にあたって, 頂単元の目標, W単元における基礎・基本の構成, は省略した。 1 3 ) 紙幅の都合で, 1 ( ( 14 ) ボディ ーランゲージとは, 指導言だけでは具体性に欠ける内容やイメージ化できない内容を, 教師の体の動き (身振り, 体の移動, 手の動き, 等) を使って補おうとするものである。 1・6 3・67号』 音楽 ( 15 ) 拙稿 「音楽科教育における指示語に関する研究①~⑤」 『季刊音楽教育研究 58・60・6 之友社 ( 16 ) 八木正一 「音楽科の授業モデルとシステムに関する研究」 『音楽教育学 第20‐2号』 日本音楽教育学会 1991年. pp ‐11‐20. (本 学 助 教 授. 釧 路 校). 265.

(17)

参照

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