学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察 ― 高信頼性組織(HRO)理論を手がかりとして ―
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(2) 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 第10号. 自由投稿論文. 学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察 ― 高信頼性組織(HRO)理論を手がかりとして ― 小 沼 豊*. 概 要 本研究の目的は、 「学校安全」の整理を行った上で、学校の「危機管理」の理論的背景と実践への 示唆を行うことと、「高信頼性組織(HRO) 」理論に着目し、学校への応用について検討することで ある。「危機管理」では、 「リスク・マネジメント」と「クライシス・マネジメント」の2つの枠組み から捉える必要があるが、その具体的な手立てに関しては研究の蓄積が少ないのが現状である。 HRO理論の学校への応用は、児童生徒の安全・安心の確保といった視点を持ちながら、学校組織と して迫り来る危機のマネジメントに期待できる。そして、教員養成の段階から、 「学校安全」に関係 する知識・実践の体得が要求されており、学校版HRO理論の実践プログラムの開発も必要と言える。 危機管理体制を学校組織に根付かせるような実証的な研究が進むことが望まれる。. はじめに 「危機」について上地(2003)は、 「危機(crisis)とは,ギリシャ語のクリシス(krisis)が語源 であり,重大な事態が良い方向へ向かうのか,逆に悪い方へ向かうのかの分かれ目となる重要な『分 岐点』を意味する」 (p.3)と述べている。そして、 「危機管理」という言葉が一般的に使用されるよ うになったのは、阪神大震災及び地下鉄サリン事件をはじめとするオウム真理教関連事件の発生以降 であると言われている(加藤,1999) 。その中で学校における危機管理については、 「学校安全」の中 で論じられ「安全な場所」としての学校の役割の検討がなされている。 しかしながら、不審者対策、不登校、いじめ、自殺などの問題においてはマネジメントが上手くい かないことがある。例えば、2010年に群馬県桐生市で発生した、当時6年生であった女児(12歳)の いじめ自殺や、2011年に発生した滋賀県大津市いじめ自殺、そして2015年に発生した岩手県矢巾町の いじめ自殺等の児童生徒の生死に関わる事態のマネジメントの失敗が挙げられる。そしてまた、2001 年の大阪教育大学教育学部附属池田小学校の不審者侵入事件を契機に、文部科学省通知が発出され事 件・事故の予防や事件・事故後の介入に関する危機マネジメント(危機管理)の再考が求められ、学 校における危機介入が注目された。一方で、危機介入に関する研究は少ない(飯田,2008)と指摘さ れている。 そこで本研究では、学校における「危機管理」の理論的背景を「学校安全」から概観し、実践への 示唆を得ることを第1の目的とする。 「危機管理」では、 「リスク・マネジメント」と「クライシス・ マネジメント」の2つの枠組みからの検討が必要(栗田,2015)であるが、こうした枠組みを前提と ───────────────────── *. 北海道教育大学教職大学院(大学院教育学研究科高度教職実践専攻)札幌. 145.
(3) 小 沼 豊. して、法的整備の過程や原子力発電所などの施設で実践されている「高信頼性組織(High Reliability Organization 以下:HRO) 」理論の学校現場への応用についての検討を行い、 「学校安全」 「危機管理」 の課題を明らかにしていくことを第2の目的とする。. 1.学校安全における教育・管理の視点 学校は児童生徒が安全で安心できる場所を提供しなくてはならない。学校安全は、 「安全教育」 と「安 全管理」その両方の活動を円滑に進めるための「組織活動」から成り立つとされている(文部科学省, 2001a,2010,2013a)。文部科学省(2010)によると、まず「安全教育」は「日常生活全般における 安全確保のために必要な事項を実践的に理解し,自他の生命尊重を基盤として,生涯を通じて安全な 生活を送る基礎を培うとともに,進んで安全で安心な社会づくりに参加し貢献できるような資質や能 力を養う」と述べられ、その具体的目標の1つとして「日常生活の中に潜む様々な危険を予測し,自 他の安全に配慮して安全な行動をとるとともに,自ら危険な環境の改善をする」 (p.31)と挙げられ ている。すなわち、児童生徒に自らの安全を確保できる知識や技術、能力、態度について学校教育を 通じて身につけさせていく教育実践である。そこでは、 「通学の登下校(通学路の交通安全) 」 (小林・ 永岡,1995)や「自然災害(地震,火災,津波,台風)訓練」 (石毛,2002)そして、授業時間や課 外活動を含めた「学校活動(学校の日常生活:体育や理科実習の授業など) 」 (比松・石田・今村・川 本・佐藤・豊田・山下,2005)といったものが指摘できよう。次に「安全管理」は、 「児童生徒等の 安全を確保するための環境を整えること」「事故の要因となる学校環境や児童生徒等の学校生活にお ける行動等の危険を早期に発見し,それらの危険を速やかに除去する」 「万が一,事件・事故災害が 発生した場合に,適切な応急手当と安全措置ができるような体制を確立して(略) 」 (p.61)と述べら れている。すなわち、児童生徒の取り巻く危険を除去、施設や設備の整備などの安全を確保するもの と言える。そして、「組織活動」によって、両機能の円滑な実施が期待されている。このように、学 校安全の中に位置づく「安全教育」と「安全管理」の目的は明確に異なっており、児童生徒の安全で 安心できる学校のために教育と管理を整えていく必要がある。 (1)「安全教育」と学習指導要領の位置付け 「安全教育」は、児童生徒に対して自らが安全を確保できるように、教育を通じて育むことを目的 としている。そこで「安全教育」について、教育活動を規定している学習指導要領から見ていく。す なわち、「安全教育」という安全に関わる教育内容は、関連する各教科(体育や社会など)での指導 の記述は確認できるが、特に「特別活動」の中の「学級活動」において直接的に安全の確保を指導し ている。 *1 の「学級活動」 『小学校学習指導要領 特別活動編(解説)』 (文部科学省:平成29年7月告示). における内容の中の「日常の生活や学習への適応及び健康安全」において、 「安全教育」を「防犯を 含めた身の回りの安全,交通安全,防災など,自分や他の生命を尊重し,危険を予測し,事前に備え るなど日常生活を安全に保つために必要な事柄を理解し,進んで決まりを守り,危険を回避し,安全 に行動できる能力や態度を育成する」と記述されている。つまり、教員には児童生徒が自らの安全を 確保できるよう、 「学級活動」の中で如何に「安全教育」を実施していくかが求められている。 「特別 活動」として配当される時間は、学校教育法施行規則第24条の2(第2章 小学校第2節教科)で定 められ年間35時間(小学校1年のみ34時間)となっている。 (ただし、学校行事は別途の時間として 集計される)限られた時間数で、児童生徒に対しての「安全教育」を展開していくことになり、教育 146.
(4) 学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察. の目的意識を高めていくことが重要である。 (2)「安全管理」と危機管理マニュアル 「安全管理」が想定している内容は、前述のように、事故の危険因子の速やかな除去と事件・事故 に対応するための体制の確立(応急手当・安全措置)にあると言える。そして、 「対人管理」と「対 物管理」とに区分されている(文部科学省,2001a,2010) 。すなわち、 「対人管理」は、児童生徒の 心身の状態の管理(健康診断、体力測定など)や生活や行動の管理(休憩時間中、各教科の学習での 安全など)である。 「対物管理」は、学校の環境管理(校舎内外の施設・整備の点検、事件・事故に 対する備え(安全対策マニュアル)など)である。ここから、 「安全管理」 (特に、 「対物管理」 )が想 定していることは、児童生徒におよぶ可能性のある危険を早期に発見し除去するという「リスク・マ ネジメント」の観点と、事件・事故や災害が発生した場合に迅速に対処するという「クライシス・マ ネジメント」の観点である「危機管理」と言える。 「危機管理」の重要性は、大阪教育大学教育学部 附属池田小学校事件によって再考されるようになり、 『学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル』 (文部科学省,2001b)や『学校の危機管理マニュアル-子どもを犯罪から守るために-』 (文部科 学省,2007a)等で不測の事態に備える必要性を唱えている。そして、学校保健安全法(2009)*2にお いては、 「学校安全計画」の策定(第27条)と「危険等発生時対策要領」の作成(第29条)によって、 各学校の危機管理マニュアルの整備が義務づけられた。整備された危機管理マニュアルは、Web上 でも公開(東京都教育委員会,2013;千葉県教育庁,2009;福山市教育委員会,2018;八王子市教育 委員会,2015など)がなされ、避難訓練、自然災害、不審者対策そしていじめ自殺まで含んだ、「リ スク・マネジメント」と「クライシス・マネジメント」から構成されている。しかしながら、予測し ていない危機にどう対応するのかという課題や(上北・狩野・戸塚,2008) 、危機に対する学校組織 *3 。学校の「安全管理」 の脆弱性も指摘されている(元吉・金井・中西・氏家・瀧野・水野,2010). としての危機管理は、 マネジメント理論や法的整備(学校保健安全法の改正、 いじめ防止対策推進法) によって補完されてきている。. 2.法整備と危機管理からみる児童生徒の安全確保のための環境整備 (1)学校保健安全法 学校保健安全法の改正の背景には、2001年に起こった、大阪教育大学池田附属小学校などの不審者 侵入事件をはじめ、登下校中の連れ去り事件など、児童生徒の被害事件が背景にある。学校(教師) 側が、児童生徒のために行う「安全管理」として果たすべき義務として明記したのである。同法の第 27条では「学校安全計画」を策定し実行することが義務付けられ、①学校の施設設備の安全点検、② 児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全指導、③教職員に関する研 修、という3点について安全計画の中に位置づけることになった。そしてまた、同法26条では、児童 生徒間等に生じる安全確保について、学校の果たすべき責務を明記した。すなわち、 「学校において, 事故,加害行為,災害等により児童生徒等に生じる危険を防止」ということである。 「加害行為」に 関して、文部科学省(2007b)の通知では「他者の故意により,児童生徒等に危害を生じさせる行為 を指す」とされ、 「不審者が児童生徒等に対して危害を加えるような場合等」 「いじめや暴力行為など の児童生徒同士による傷害行為も含まれる」と記されている。児童生徒が「身体的危害を受けるよう な状態」には、安全確保の観点から本法の対象となるのである。学校として、不審者等の危険から児 童生徒を「守る」ことと、児童生徒間において、他児に危険を及ぼす「加害行為」を危機管理の観点 147.
(5) 小 沼 豊. からマネジメントすることが要求されていると言えよう。これまで、他児の学習権の保障・学校秩序 から「出席停止」制度(学校教育法第26条, 第40条)や、 文部科学省(2001c)通知が発出されてきた。 本法はそれらに加えて、 「加害行為」 (いじめの加害者)の対処を児童生徒の安全確保という面から強 調したものとも言える。 (2)いじめ防止対策推進法 滋賀県大津市のいじめ対応の不備は、児童生徒の安全確保を責務とする学校の危機管理能力を問わ れる結果となった。我が国で初めて、いじめ防止に関する法律「いじめ防止対策推進法」*4が成立し、 文部科学省(2013b)通知を発出している。同法は、いじめが「①いじめを受けた児童生徒の教育を 受ける権利を侵害し,②いじめを受けた児童生徒の心身の健全な成長および人格の形成に重大な影響 を与え,③いじめを受けた児童生徒の生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれがある。」と 示しており、学校として児童生徒の安全確保に務めなければならないことを要求している。第1条の 目的にある児童生徒の尊厳を保持するために、各条文において明記されている。例えば、学校はいじ めの早期発見のための定期的な調査等適切な措置を講じ(第16条1項) 、相談体制を確立し(第16条 3項)、関係機関との連携体制整備に努め(第17条) 、 教職員に対する知識向上のための研修(第18条)、 いじめの兆候を発見した者は、学校へその旨を通報し(第23条1項) 、学校は速やかに事実関係の有 無を確認しその結果を設置者に通告し(第23条2項)しなくてはならない。などといった条文はいじ めを未然に防ぐという「リスク・マネジメント」における学校安全(安全管理)と言える。そして、 いじめの加害者に対して教育上必要がある場合には、学校長は学校教育法に基づき加害生徒に懲戒を 加え(第25条)、被害生徒との関係で必要であれば加害生徒に出席停止等の措置を講じる(第26条)。 と規定され、なおかつ、いじめが「重大事態」である、①被害生徒の生命心身または財産に重大な被 害が生じた疑いがあるとき、②被害生徒が長期欠席を余儀なくされているとき、という2点を生じさ せている場合には、学校は速やかに対策組織を設置して事態を調査し(第28条) 、設置管理者ないし 監督機関に対して、調査結果を報告しなければならない(第29条、第32条)と規定されている。これ は、いじめが発生してからの事態の拡大を防ぐという「クライシス・マネジメント」に関しての規定 と考えられる。学校安全としての危機管理の視点が重要になると言え、いじめ問題への的確な対応に ついて、文部科学省(2013c)通知では、警察と連携していくことの必要性を指摘している。. 3.学校安全としての危機管理理論の視点「リスク・マネジメント」と「クライシス・マネジ メント」 瀧野(2006)は、学校の危機管理に関して、一次予防(prevention) ・二次予防(intervention)・ 三次予防(postvention)という3つの考えを示している。一次予防は、 危機に陥らないように予防(「リ スク・マネジメント」 )することであり、安全管理・安全教育・危機管理体制を挙げている。二次予 防は、危機に早期に気付き、迅速に対応して被害を最少限に留めることである。この二次予防が効果 的に実施(応急手当など)されることで、予後の回復に寄与することになる。三次予防は、児童生徒 の安全・安心感を回復させるような取組であると同時に、再発防止に向けて対策をとることである。 小沼(2014)は児童生徒間トラブルや教員による保護者対応の拗れによって学校が機能不全に陥る危 険性を述べており、 「リスク・マネジメント」として危険因子の除去・回避が重要となる。小沼・中 谷(2012)によれば、 「クライシス・マネジメント」について、 「事件・事故が発生際に、平常時の学 校の機能の回復を目的」 (p.32)と述べられている。そしてまた、学校心理学的支援として「リスク・ 148.
(6) 学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察. マネジメント」の観点から「児童生徒の見立て図」提示や四次的援助サービスとして「クライシス・ マネジメント」の理論を提唱している。児童生徒の学校生活における安全・安心のために、学校組織 として高い意識と確かな理論をもとに実践していくことが求められており、HRO理論の学校現場へ の応用について検討していくことにする。. 4.高信頼性組織(High Reliability Organization)理論の学校現場への応用 HRO理論は、①失敗から学ぶ、②単純化を許さない、③オペレーションを重視する、④復旧能力 を高める、⑤専門知識を尊重するという5つの特徴を有しており、中西(2007)が Weike& Sutcliffe (2001)の理論を整理している。HRO理論の5つの特徴に関して、小沼(2016)は「リスク・マネ ジメント」と「クライシス・マネジメント」の機能を内包していることを指摘し、学校における危機 管理を具現化し実践する上で参考になると述べている。特徴の①~③について、中西(2007)は、事 件・事故が起こらないように予防するためのものであるが、 「一方で『完全なシステムはありえない』 という前提のもとに、 ひとたび不測の事態が起こったら、 そのシステムを復旧させることに力を注ぐ。 つまり、失敗やミスを絶対に犯さないと考えるのではなく、小さな過ちを犯しても深刻な事態に陥ら ないように努力する」 (p.60)ことと述べている。すなわち、危機管理の観点から議論されている「リ スク・マネジメント」と言える。そしてまた、④⑤については、事態の拡散防止や迅速に収束させる 「クライシス・マネジメント」ということが言える。 HRO理論の5つの特徴を生かした学校危機管理 「リスク・マネジメント」と「クライシス・マネジメント」という危機管理の機能を内包している HRO理論は、学校現場での危機管理の検討に有効と考える。なぜなら、学校は、児童生徒のいじめ・ 不登校、保護者の要望、そして自殺など、あらゆる不確実性の中にさらされており、事件・事故に対 してのマネジメントが必要になるからである。そこで、5つの特徴からなるHRO理論に依拠し、学 失敗から学ぶ. 管理職や教員は、過去のマネジメントに対する 「失敗」体験を認識している。 学校やクラスでのマネジメントに対する「失. 単純化を許. 敗」体験を意識する。. 専門知識を. さない. 重視する 日々の教育実践の出来事に対して、単純化した. 事態の収束に向けて、最も適した者に意志決. 解釈や省略をしない慎重な思考を行う。. 定の権限を一次的に「委譲」する。. 「ケンカ」なのか、「いじめ」の可能性はない. いじめによる自殺未遂など緊急事態に対して. のかを単純な解釈や省略をしないで検討する。. の専門的知識・実効性を優先する。. オペレーシ. 復旧能力を. ョンを重視. 高める. する 学校の日常性が保たれているときでも、些細な欠陥. 不測の事態が発生したとしても、組織が機能不全に. (不備)を発見し、修正を行う。. 陥らないように「起きてしまった」事態に心を向け. 児童生徒に関する連絡事項等が、適切に担任教員や. る。. 管理職となどに伝われない状況に対する原因の分析. 自殺や自殺未遂そして登下校時の事故などに対し. や修正を行う。. て、事態が悪化し被害が深刻化する前に対処する。. 図1 学校現場におけるHRO(高信頼性組織)理論の展開 (中西(2007)の図を一部改変して再構成(作成:小沼)). 149.
(7) 小 沼 豊. 校現場への応用について検討していくことにする(図1) 。 ①失敗から学ぶ:HRO理論は過去の「失敗」体験をつねに脳裏に焼きつけている。失敗はシステ ムのどこかに問題があることを示す徴候として受け止められている。1つひとつは些細なことでも、 重なって発生すれば深刻な事態になりかねないという認識を持っている。だからこそ、HRO理論は ミスを報告するように指導がなされ、 「失敗」経験をつぶさに検討していくことを怠らないのである。 事態の深刻化は些細な徴候を見逃したときに起こるという観点について、Reason(1997)の「スイ ス・チーズモデル」においても指摘されている。そこでは、事件・事故は多重防護壁の穴をすべて貫 通したときに生じ、なおかつ、穴は潜在的にも存在し、即発的にも発生すると述べられている。つま り、事件・事故を防ぐには「失敗」体験を重視し、些細な徴候に気を配ることが重要になると言えよ う。 ②単純化を許さない:HRO理論は 「単純化を許さない」 としている。活動を効率的に調整するには、 重要な課題と課題解決に示す指標に集中し、単純化した方が都合がよい。しかし、HRO理論はより 完璧に微妙な意味合いまで捉えようとする。単純化するものを減らし、多くのものに目を向けるので ある。単純化した解釈や省略を許さない慎重な思考様式であると言えよう。例えば、学校現場におけ る友人トラブルをAとBだけの単純なトラブルだと単純化することよりも、その背後にある児童生徒 間の力関係・日々の児童生徒の様子など多角的な視点で検討することが大切になる。学校心理学の3 段階の心理教育援助サービス(石隈,1999)と同様に、多角的な視点で検討することは、それが児童 生徒間の「ケンカ」であるのか、 あるいは「いじめ」の可能性が高いのかを検討する上で重要である。 ③オペレーションを重視する:HRO理論は「オペレーションを重視する」としている。予想もし ていない事態の発生に気を配るということである。そして、実際に事件・事故が起きてはじめて気づ くことがあり、オペレーションが正常に働いているときでも、システムの欠陥を発見しそこから学ぶ ことが重要になると言えよう。Reason(1997)は、予想もしていない事態の発生について「潜在的 原因」から説明している。すなわち、 「潜在的原因は長い間,何の害ももたらさずに潜んでおり,そ してあるとき局所的な環境と作用し合ってシステムの防護を破壊してしまう」 (p.13) 。つまり、シス テムの欠陥は事態の発生のしばらく前から存在していながら、オペレーションを実行できている状態 であり、システムの欠陥を見えにくくし事態を深刻なものにしてしまう。例えば、学校は管理職と一 般教員との関係や一般教員同士の関係が険悪であっても、それで組織が直ちに機能しなくなることは ない。児童生徒の自殺などの深刻な事態が発生しない限りは、これまで通りのオペレーションを疑問 なく実行するだろう。しかし、ひとたび事態の発生によって、システムの欠陥が露呈し、傷口を広げ ることとなる。児童生徒が深刻な事態に出会う前にシステムの不全に気づくためには、管理職の危機 管理意識における「リーダーシップ」や、教員間での「風通しの良さ」が大きな役割を果たす。教員 間での「風通しの良さ」は、小沼(2018)によって教員の被援助志向性にも関係していると述べられ ており、些細な異変に気付いたときに他者に援助を要請する体制づくりにも繋がると言えよう。シス テムの欠陥を発見し予想していない事態に対して気を配ることが重要である。 ④復旧能力を高める:HRO理論は過ちを犯さないのではなく、犯しても機能不全に陥らないよう に「復旧能力を高める」としている。中西(2007)は、 「復旧能力を高める」ということについて、 「『起 きてしまった』過失に心を向けるということであり、それが悪化し被害が深刻化する前に是正する」 (p.54)ことを意味する。予想していない事態が起きてしまった場合、その事態に上手く対処するた めには、発生を予測する際とは違う捉え方が必要になる。そしてまた、Wildavsky(1988)は「復旧 能力」の捉え方について、 「出来事を予想する」ということと比較して述べている。すなわち、復旧 150.
(8) 学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察. 能力による対処法の前提となっているのは、 「予測していない事態はどこにでも発生し、予測困難な ため解決法について正確なことを事前に知ろうとしても限りがある」 (p.120) という捉え方である。 「過 失から学び,その教訓から問題の広がりを抑えるような迅速なネガティブ・フィードバック・ループ (システムを安定させ均衡に向かわせるためのフィードバック・ループ,仕組み)を通じて活かすこ と,それが復旧能力の核心と言える」と述べている。つまり、 「失敗」体験から事態の深刻化を抑え るための手立てを検討し、迅速に実行していくことが必要なのである。 ⑤専門知識を尊重する:HRO理論は「専門知識を尊重する」としている。事態の収束に適した専 門知識を有する人やチームの重要性が述べられている。なぜなら、閉鎖的なヒエラルキー型組織は、 過失に対して独特の脆弱性を有していると指摘(元吉・金井・中西・氏家・瀧野・水野,2010)され ており、不測の事態によって組織が機能しなくなることがあるからである。事態の深刻化を防ぐとい う観点からも重要と言える。閉鎖的なヒエラルキー型組織では、専門知識よりも地位や身分で意思決 定権者が決まり、重大な意思決定を行うのは「重要」な高い地位にある人である。学校においては、 校長を意思決定権のトップとするヒエラルキー型組織ということが言える。そこに、校長を補佐をす る役として、教頭(副校長)や教務主任が意思決定の過程を補完するというシステムがある。学校の 組織体は、教員のみで構成されていることから、閉鎖的なヒエラルキー構造であると言える。そこで は、校長などの上位層の過ちが下位層の過ちと結びつく傾向が強いため、事態が拡大してしまうこと が指摘されている。だからこそ、地位や身分よりも専門知識を有する人や第三者を交えたチームに、 事態の収束にかかる意思決定権限を一次的に「移譲」する必要がある。そして、意思決定権限の「移 譲」においては、柔軟性かつ秩序に基づいて実行されることが重要である。このときの秩序は、説明 責任、担当職務、事態の特異性、周囲の状況によって判断することの重要性が指摘されている (Roberts,1992) 。. 5.事態の急迫性と組織が危機に陥る危険性-学校におけるHRO理論- 不測の事態によって「重大な」意思決定を誤ったり、適切なタイミングを逃したりするなど、組織 の構成員もまた心理的に 危機に陥ることがある。 事態の深刻化を防ぐため に、 「事象の単純化を許 さない」 「専門的知識を 尊重する(権限を移譲す る) 」といったことが学 校現場に求められる。児 童生徒のいじめ自殺を例 に考えてみれば、いじめ の実態について丁寧にア セスメントが実施される 図2 事態の急迫性からみるHRO理論の展開. ことでいじめの深刻化が. 高橋・小沼(2018)p50の図を一部改変(作成:小沼). 防ぐことができると考え られる。出来事の意味を 151.
(9) 小 沼 豊. 見逃さず、また仮に出来事が深刻化したとしても、収束に向かってマネジメントしていかなければな らない。ところが、事態の急迫性を見誤ったことによって、学校組織として機能不全に陥ることは珍 しくない。高橋・小沼(2018)は「事態の急迫性」と学校における「組織が機能不全に陥る可能性」 について、モデル図を示しておりHRO理論の実践的な示唆を与えてくれる(図2) 。図2に関して、 高橋・小沼(2018)によると、 「①は事態の急迫性が高いと認識され,それに伴って,組織的に柔軟 な対応の必要性も強いととらえられている状態である。時間(組織における援助を実施)によって, 組織的な対応の必要性は低下していくこと」 (p.49)を示している。つまり、事態の発生直後から「ク ライシス・マネジメント」が要求され、HRO理論でみてきた「復旧能力を高める」 「専門知識を尊重 する」といったことが必要と言え、事態収束のための組織マネジメントを展開していけるかが鍵にな る。CRT(クライシス・レスポンス・チーム)などの整備がある自治体では、迅速に出動要請する といった観点も重要になろう。②について、事態の急迫性はある段階を境に加速的な高まりを見せる ことがある。児童生徒の危機を認識していながら、対処の遅れなどから事態が危機的な状態まで発展 する。それに伴って組織的に柔軟な対応の必要性も急激に高まる状態であることを示している。そし てまた、③については、事態の急迫性は認識されていない状態を示している。時間の経過と共に、徐々 に深刻化していく状態である。②の状態よりも、時間(組織における援助を実施)によって、組織的 な対応の必要性が高まっていくことを示している。この②③に関しては、初期対応として「リスク・ マネジメント」の展開が鍵になると言えよう。すなわち、 これまでの「失敗」体験( 「失敗から学ぶ」) や、日常の児童生徒間のやりとりの単純化を行わず( 「単純化を許さない」 ) 、組織内における連絡体 制などの欠陥(不備)に気を配る( 「オペレーションを重視する」 )といったマネジメントが展開され ていれば、防げた(予防)事態なのかもしれないということである。そして、 事態が発生した際には、 「復旧能力を高める」 「専門知識を尊重する」といった「クライシス・マネジメント」を展開してい く必要がある。 このように、学校安全としての危機管理の体制を理論と実践から結びつけて、検討することが重要 と言え、高い安全性と信頼性をどのように担保していくかが学校に求められている。高い意識をもっ て事例検討や部会(教育相談、生徒指導)そして組織体制の確認などを行うことによって、HRO理 論の学校現場での応用が可能になろう。出来事の意味を見逃さず、集団(組織)にいる人が「失敗」 や「間違い」に対して臆することなく、声を上げられるような組織づくりが大切である。. まとめ (1)今後の「学校安全」 「危機管理」研究 本研究では、学校における「危機管理」の理論的背景を「学校安全」から概観し、法的整備の過程 やHRO理論の応用について検討した。学校の安全管理・安全教育・危機管理体制の知識・実践は重 要になる。例えば、 文部科学省(2012)は、 「学校安全の推進に関する計画」を策定した。この中では、 学校安全に関する教員研修等の推進や、教職を志す学生への学校安全教育のあり方について言及され ている。すなわち、 教員養成の段階から学校安全(安全管理・安全教育)や危機管理に関係する知識・ 実践の体得が要求されており、危機をマネジメントする学校版HRO理論の実践プログラムの開発も 必要と言える。そしてまた、児童生徒に対する学校安全(安全教育)として、仮にいじめや嫌なこと をされた事態に直面した際にどのような行動をとればいいのかということを教育していくことも重要 である。例えば、高橋・小沼(2018)が「いじめの非難訓練」の必要性として提唱しており、ロール 152.
(10) 学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察. プレイ*5を通して、援助(SOS)の出し方を教育することが重要であると考える。ロールプレイといっ たプログラムに関しても、教員養成の段階で如何にして教育していけるかが重要な視点になろう。 学校危機管理においては、 「失敗」から如何にして学び、そして、 「失敗」や「間違い」に臆するこ となく、組織内で声を上げやすくなるような組織づくりが重要である。声の上げやすい組織づくりが、 学校版HRO理論の応用を可能にするだろう。池田・三沢(2012)大学生246名に対して、「失敗」に 対するイメージについて検討している。その結果、 「失敗のネガティブ感情価」 「失敗の発生可能性」 「失敗からの学習可能性」 「失敗回避欲求」といった4つの因子があることを明らかにした。この中 の「失敗の学習可能性」について、 「失敗を学習の機会と考える価値観を意味している。失敗に対し て前向きな態度を保持していることから、過去の失敗体験を糧にして自信を獲得し、自己評価も高い と予想される」 (p.370)と述べている。個人の失敗に対して、 学校組織は、 「失敗」を小さく見せたり、 隠そうとしたりすることがある。しかし、個人の「失敗」から学び、次の出来事に対して準備をする という意識をもつことが、学校危機管理においては重要になろう。 (2)今後の展望 今後の「学校安全」 「危機管理」は、児童生徒の安全・安心の確保といった視点を持ちながら、学 校組織として迫り来る危機のマネジメントが重要になる。そして、HRO理論などのような危機管理 体制を学校組織に根付かせるような実証的な研究が進むことが望まれる。ところで実践的な学校とい う場において、危機管理に関する体制づくりは、どちらかというと管理職の責務として検討されてき たことが多かったように思われる。実際問題として学校運営の根幹にかかわる安全管理は管理職が担 うことが多いのだが、これまで論考してきたような危機管理の視点を踏まえ、危機に対して的確にマ ネジメントできる存在が不可欠になる。すなわち、 「チーム学校」として、教職員全体で対応してい くという観点と同時に、児童生徒に寄り添いながら彼らの態度や行動の変化に気づき、危機に対応で きる「心理危機マネージャー」としての公認心理師の働きである。そこには、学校組織において危機 管理意識を高めるような働きかけや、 危機管理プログラム(研修)の企画・実施が含まれる。そして、 不測の事態には、マネージャーとして的確に危機をマネジメントできる能力が求められるのである。 児童生徒の直近にいる教師と、危機管理を統括する管理職と、そして彼らを調整する学校危機管理に 関する専門的知識を持った職員の有機的な連携の展開に、公認心理師や教職員に期待される役割は大 きいと言える。 <註> 小・中学校の学習指導要領においては,平成20年3月告示のものから,平成10年12月告示の「総則」にはなかった. *1. 「安全に関する指導」が加筆された。そこでは,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導は,体 育科,家庭科,特別活動等において行うよう努めるものとしている。 危機管理に関する重要な国の方針として,2008年1月の中央教育審議会答申で児童生徒の安全に関して提言がなさ. *2. れ「学校保健安全法」が整備された。学校保健安全法は,児童生徒の安全・安心に着眼を置き,危機管理を規定し ている法律である。同法は, 「学校保健法等の一部を改正する法律」が,2008年6月に公布(文部科学省(2008) 学校保健法等の一部を改正する法律)され,2009年4月1日より施行された。同法は,2008年1月の中央教育審議 会答申「子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策につ いて」を受けて,学校保健法の一部が改正されて成立したものである。 学校における心理危機マネジメント研究の展開:学校を安全で安心できる育ちの場とするために(自主シンポジウ. *3. ム)元吉忠寛・金井篤子・中西晶・氏家達夫・瀧野揚三・水野治久 日本教育心理学会総会発表文集,174175,2010. 153.
(11) 小 沼 豊. 「いじめ防止対策推進法」は,2013年6月に成立し9月より施行された。. *4. ロールプレイ「いじめの避難訓練」 (参考資料)北海道教育大学「令和元年度学長戦略経費(公募型プロジェクト) 」. *5. の助成を受けて開発した「小学生の援助要請を促進させる授業実践に関する一考察:「いじめの非難訓練」より. 引用文献 千葉県教育庁教育振興部学校安全保健課 2009『危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル) (平成21(2009)年 2月) 』 www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/anzen/.../kikikanri_manual1.pdf.(2019年7月12日:確認) 中央教育審議会答申 2008『子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進め るための方策について』 (2008年1月) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1216829_1424.html(2019年7月12日:確認) 福山市教育委員会 2018『東村小学校危機管理対応マニュアル』 http://www.edu.city.fukuyama.hiroshima.jp/shou-higashimu/home/2018/20kikikannri/ kikikannrimanyuaru2018.pdf(2019年7月12日:確認) 八王子市教育委員会 2015『学校危機管理マニュアル』 https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kurashi/kyoiku/003/012/p004826.html(2019年7月12日:確認) 此松昌彦・石田智巳・今村律子・川本治雄・佐藤史人・豊田充崇・山下晃一下 2005「学校における危機管理(リス クマネジメント)の現状と課題 : 集中講義「教師のためのリスクマネジメント」を通して」『和歌山大学教育学部 紀要. 教育科学』,67-74. 飯田順子 2008「学校心理学に関する研究の動向と課題-援助サービスの統合に向けて-」 『教育心理学年報』, 137-147. 池田浩・三沢良 2012「失敗に対する価値観の構造 -失敗観尺度の開発-」『教育心理学研究』,367-379. 石毛昭治 2002「安全各社社会を生み出す「生活安全条例」」『都市問題』,10,66-70. 石隈利紀 1999『学校心理学-教師・スクールカウンセラー・保護者のチームによる心理教育的援助サービス』 誠信書房. 加藤朗 1999「危機管理の理念と類型」 『日本公共政策学会年報』,セッション1. http://www.ppsa.jp/pdf/journal/pdf1999/1999-01-002.pdf(2018年5月14日:確認) 小林一他・永岡順 1995 『新学校教育全集11 学校安全』 ぎょうせい. 小沼豊 2014 「 「聴く」ことから始まる保護者との関係づくり : 上手な保護者対応の考え方(特集 "不易"と"流行"を バランスよく いま求められる教師の力) 」 『月刊生徒指導』⑻,35-40. 小沼豊・中谷素之 2012 「学校危機管理としての「心理危機マネジメント」に関する一考察 -学校心理学的支 援モデル構築の試み」 『名古屋大学中等教育研究センター紀要』⑿,31-51. 小沼豊 2016 「学校安全マネジメントに関する研究-幼児児童生徒の安心・安全を守るために-」 日本生徒指 導学会第17回,p17. 小沼豊 2018 「小学校教師の困難を支える援助体制の構築-グランデッド・セオリー・アプローチによる仮説モ デルの生成-」 『生徒指導学研究第』⒄,52-63. 栗田昌之 2015 「我が国の災害政策と危機管理研究の一考察 ─「危機」への認識の変化と「災害政策」の変化─」 『法政大学大学院公共政策研究科』⑶,29-45. 文部科学省 2001a 『学校安全参考資料 「生きる力」 をはぐくむ学校での安全教育』 https://anzenkyouiku.mext.go.jp/mextshiryou/data/seikatsu03.pdf(2019年5月12日:確認) 文部科学省 2001b 『学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル』 www.kenkoukyouikusidousyakousyuukai.com/img/file96.pdf(2018年5月14日:確認) 文部科学省 2001c 『出席停止制度の運用の在り方について(通知)』 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/013.htm(2019年6月4日;確認) 文部科学省 2007a 『学校の危機管理マニュアル-子どもを犯罪から守るために-』. 154.
(12) 学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察. www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/.../45759.pdf(2018年5月14日:確認) 文部科学省 2007b 『問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)』 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/07020609.htm(2016年8月31日:確認) 文部科学省 2008 『学校保健法等の一部を改正する法律の公布について(2008年7月9日付け)における 「三 学校安全に関する留意事故」 (通知) 』 . 文部科学省2010『学校安全参考資料(改訂) 「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育』https://anzenkyouiku.mext. go.jp/mextshiryou/data/seikatsu03.pdf(2019年6月12日:確認) 文部科学省 2012『学校安全の推進に関する計画』(平成24年4月27日) http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/__icsFiles/afieldfile/2012/05/01/1320286_2.pdf(2019年 6 月28日: 確認) 文部科学省 2013a 『学校防災のための参考資料(改訂)「生きる力」をはぐくむ学校での防災教育の展開』 https://anzenkyouiku.mext.go.jp/mextshiryou/data/saigai03.pdf'(2019年7月12日:確認) 文部科学省 2013b 『いじめ防止対策推進法の公布について(通知)』 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337219.htm(2019年6月20日:確認) 文部科学省 2013c 『平成25年1月24日 いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携について(通知)』 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2018/05/29/1331896_001.pdf(2016年 6 月20日:確認) 文部科学省 2017 『小学校学習指導要領 特別活動編(解説)』(文部科学省:平成29年7月告示)p.57 中西晶 2007 『高信頼性組織の条件-不測の事態を防ぐマネジメント』 生産性出版. Reason,J. 1997 Managing the risk of organizational accidents,Ashgate Publishing Limited. (塩見弘(監訳),高野 研一・佐相邦英(訳)1999 組織事故- 起こるべくして起こる事故からの脱出日科技連) Roberts, K.H. 1992 "Structuring to Facilitate Migrating Decisions in Reliability Enhancing Organizations",in Gomez-Mejia,L.and Lawless,M.W.(Eds),Advances in Global High Technology Management: Top Management and Effective Leadership in High Technology Firms,JAI Press,Greenwich,pp.171-191. 高橋知己・小沼豊 2018 『いじめから子どもを守る学校作り-いますぐできる教師の具体策』 図書文化社. 瀧野揚三 2006 「学校危機への対応-予防と介入-」 『教育心理学年報』,162-175. 東京都教育委員会 2013 『学校危機管理マニュアル』 http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/school/document/safety/crisis_management_manual.html(2019年 7 月12日: 確認) 上地安昭 2003 『教師のための学校危機対応実践マニュアル』金子書房. 上北彰・狩野勉・戸塚唯氏 2008 「学校安全と危機管理教育-安全教育から危機管理教育へ-」 『千葉科学大 学紀要』⑴,119-133. Weich, K.E., & Sutcliffe, K.M. 2001 Managing theunexpected: Assuring high performance in an age of complexity. San Francisco: Jossey-Bass.(ワイク,K.E.,サトクリフ,K.M. 西村行功(訳) (2002).不確実性のマネジメント―― 危機を事前に防ぐマインドとシステムを構築する ダイヤモンド社) Wildavsky, A. 1988 Searching for Safety.New Brunswick,NJ:Transaction Press.. 155.
(13) 参考資料. 小 沼 豊. 【ロールプレイ台本】 (パ ター ン1 ) 「 友 達に 相談 す る/ 相談 さ れた ら 」 ・( ) は 自分 の心 の 中の 気 持ち を表 す 。 ・「 」 は 実際 に声 に 出し て 、ロ ール プ レイ する 。 ・ 嫌な 想 いを して い る子 ど も=子 ど も A ・ 相談 さ れた 子ど も =子 ど も B A 児 ・( 朝 、 あ ま り 学 校 に 行 き た く 気 持 ち ). B児 A児 B児 A児. B児. A児 B児 A児 B児 A児 B児. ・( ああ 最近 、 何だ か気 持 ちが 晴 れな いな ぁ ) ・( 最 近 、 無 視 さ れ て い る の か な ぁ 。 何 か 避 け ら れ て 、 陰 で 悪 口 を 言 わ れ て い る よ う な 感じ が する ) ・( 何か 、悪 い こと した か な) ・( B さ ん に話 し てみ よ うか な・ ・ ・で も、 迷 惑じ ゃ ない かな ) 「 あっ B さん 、 おは よう 。 今日 、少 し 話し た いん だけ ど ・・ ・」 「 おは よ う、 A さん 」「 うん いい よ 。話 そう 」 「 うん ・ ・・ 放課 後 とか で 、み んな が 帰っ た後 が いい ん だけ ど・ ・ ・い いか な 」 「 分か っ た、 放課 後 に話 そ う」「 その 方が い いか もね 。 何か 『 A ち ゃん と 話さ ない よ う に しよ う』、み たい な感 じ があ る なっ てい う のも 、感 じ てい た から 」 【 放課 後 の時 間】 「 B さ ん 、あ りが と う」「 何か 、 最近 みん な から 無 視さ れて い るよ うな 感じ が して 、 教 室でも少し話してくれたけど、私と話さないようにしようみたいな感じがあるの?」 「 3 日 く ら い 前 か ら 、 み ん な と 話 が で きな く な っ て 、 すご く 教 室 に 居づ ら い ん だ」「 私 何 かし た のか な? 」 「うーん。A さんとは話さない、無視しようみたいな感じが△△さんからあって、み ん あ、 そ れに 従っ て いる 感 じな んだ 」「 3日 前に A さ んが △ △さ んの 遊 びの 誘 いを 断っ た か ら 、 △ △ さ ん が 、『 何 っ ! 』 っ て い う 感 じ に な っ た の 」「 本 当 は 、 話 し た い ん だ け ど ・ ・ ・ 」「 話 し て い る 姿 を み ら れ る と 、 後 で △ △ さ ん に 言 わ れ そ う だ か ら 、 み ん な 避 けて い るん だと 思 う」 「 そ う だ っ た ん だ 。 教 え て く れ て あ り が と う 」「 △ △ さ ん の 遊 び は 、 や り た く な か っ た か ら 断 っ た ん だ け ど ・ ・ ・ 」「 そ れ が 原 因 だ っ た ん だ 」「 で も 、 B さ ん も 私 と 話 し て い ると 、 △△ さん か ら攻 撃 され ちゃ う し・ ・・ ど うし た ら、 いい ん だろ う」 「 う ー ん 。 ど う し よ う 。 △ △ さ ん に 謝 る と か か な 」「 ・ ・ ・ で も 、 ど う し た ら い い ん だ ろう 」 「 最 近 、 学 校 に 来 た く な い っ て 、 思 っ て い る ん だ 」「 親 や 先 生 に 言 っ て 、 大 ご と み た い にな っ ちゃ うの も 嫌だ し ・・ ・」 「そうなんだ、私も中々、どうしたらいいのか分からないから、一緒に誰かに相談し に い か な い ? 」「 こ の 前 、 配 ら れ た 電 話 相 談 に か け て み る と か ・ ・ ・ 」「 秘 密 に し て く れ るっ て 、言 って た し」 「 電 話 相 談 か ぁ 。 で も 、 ど う し よ う 。 ち ょ っ と 心 配 だ な 」「 電 話 す る か ど う か 、 も う 少 し考 え てみ る」「 B さ ん、 また こ うや って 悩 み相 談 して もい い」 「 うん 」「 電話 相談 する と きは 、 私も 一緒 に いる から ね」「ま た、 話 そう 」. 北海道教育大学「令和元年度学長戦略経費(公募型プロジェクト) 」の助成を受けて開発した「小学生の援助要請を 促進させる授業実践に関する一考察: 「いじめの非難訓練」より. -1156.
(14) 学校安全・危機管理マネジメントに関する組織論的考察. (パ ター ン2 ) 「電 話 相談 ダイ ヤ ルに 相談 して み る」. 子ども. 相談員 子ども 相談員 子ども 相談員 子ども. 相談員 子ども. 相談員 子ども 相談員. ・( ) は自 分 の心 の中 の 気持 ち を表 す。 ・「 」 は実 際 に声 に出 し て、 ロ ール プレ イ する 。 ・ 嫌な 想い を して いる 子 ども =子 ども ・ 相談 員 ・( 辛 い 想 い を 誰 に も 相 談 出 来 ず に 悩 ん で い た ) ・( ど う し た ら い い の か 分 か ら な か っ た の で 、 学 校 で 配 ら れ た 「 電 話 相 談 ダ イ ヤ ル 」 に かけ てみ よ う) ・( 秘密 にし てく れ るっ て 本当 かな ) 「 はい 、も し もし 。相 談 員の 〇 〇で す」「 お電 話 して く れて あり が とう 」 「 あ の 、 少 し 学 校 で 嫌 な こ と が あ っ て ・ ・ ・ ・ 。 電 話 し ま し た 」「 自 分 の 名 前 と か 学 校 とか 言わ な くて もい い です か ?」 「 も ち ろ ん で す 。 学 校 も 名 前 も 言 わ な く て 大 丈 夫 で す よ 」「 あ な た の お 話 は 、 勝 手 に 誰 かに 言う こ とは ない の で、 安 心し て話 し てく れた ら と思 い ます 」 「 名前 も学 校 も言 わな く てい い し、 秘密 に して くれ る んで す ね」 「 そう です よ 。安 心し て 話し て 下さ いね 」 「 実 は 、 最 近 、 仲 の 良 か っ た 人 た ち か ら 、 無 視 さ れ て ・ ・ ・ 」「 何 か 近 く に い く と 、 避 け ら れ て い る ん で す 」「 話 し か け て も 、 以 前 は 楽 し く 会 話 が 弾 ん だ の に ・ ・ ・ 。 す ぐ に 『 そ う な ん だ 』 っ て い う 感 じ で 、 終 わ っ て 違 う と こ ろ に 行 っ ち ゃ う 」「 何 か 、 辛 く て嫌 な気 持 ちに なっ て 、学 校 に行 きた く なく なっ て きて ま す」 「 詳 し く お 話 し て し て く れ て あ り が と う 」「 最 近 、 お 友 達 と の 関 係 で 困 っ た こ と が あ っ たん です ね 」 「 はい 。み んな から 、無 視さ れ 始め て・ ・ ・。で も、1人 の子 は 少し 話し て くれ る し、 心 配 も し て く れ て い ま す 」「 思 い 出 し て み た ら 、 そ の 子 と は 少 し だ け 楽 し く で き て い る から 、前 み たい に戻 れ るよ う に、 もう 少 し頑 張っ て みた い と思 いま す 」 「 1人 の お 友 達 と は 楽 し く 過 ご せ て い る よ う で 、 少 し 安 心 し ま し た 」「 辛 く な っ た と き は、 また 電 話し てき て もら っ ても 大丈 夫 です から ね」「1人 で悩 まな い で下 さい ね 」 「 また 、電 話 して もい い んで す か」 「 もち ろん で す」「 お電 話 して くれ て 大丈 夫で す よ」「 あま り 頑張 り過 ぎ ない よう に 、 気 軽に また お 話し てく れ たら と 思い ます 」. 北海道教育大学「令和元年度学長戦略経費(公募型プロジェクト) 」の助成を受けて開発した「小学生の援助要請を 促進させる授業実践に関する一考察: 「いじめの非難訓練」より. -2-. 157.
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