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倒立振子のモデル化と制御-学習教材としての活用を意識して-

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Academic year: 2021

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倒立振子のモデル化と制御

学習教材としての活用を意識して

2009SE129児島圭 指導教員:大石泰章

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はじめに

本研究では, 倒立振子は不安定なシステムであり, 制御 を用いることにより安定化できることが視覚的に実感でき るので,制御の学習に適している. そこで,車輪型倒立振子 のモデルを導出し, 極配置法, 最適レギュレータ理論を用 いたコントローラ設計を行う. また, コントローラ設計を 行うまでの状態方程式の導出, フィードバックゲインを求 める際のポイントを挙げることにより教材としての活用を 意識する.

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モデリング

今回, 車輪型倒立振子として使用するヴイストン社の Beauto Balancerの外観を図1に示す[1]. 図1 Beauto Balancer l Y M m X ψ θ R 図2 概略図 図2に横から見た倒立振子の概略図を示す. ただし, 車 輪の回転角度θ[rad],車体の傾斜角度ψ[rad]である. また, 倒立振子の物理パラメータは表1の通りである. この概略 図に基づいて数式モデルを作る. 表1 倒立振子の物理パラメータ 項目  表記 値 重力加速度   g   9.81[m/g2] 車体の重量 M 0.177[kg] タイヤの 重量 m 0.005[kg] タイヤの半径 R 0.021[m] 重心位置 l 0.084[m] 車体の慣性モーメント 14.83× 10−5[kgm2] タイヤの慣性モーメント 1.136× 10−6[kgm2] タイヤと床の摩擦係数 0 タイヤとモータの摩擦係数 f 0 モータの抵抗 r 0.6[Ω] モータのトルク係数 Kt 0.00204[Vs/rad] モータの逆起電力 Kb 0.00204[Nm/A] 並進方向の運動エネルギーをT1,回転方向の運動エネル ギーT2, 位置エネルギーをU と置くとラグランジュ関数 Lは以下のようになる. L = T1+ T2− U  = 1 2M (R 2θ˙2+ 2R ˙θl ˙ψ cos ψ + l2ψ˙2) +1 2mR 2θ˙2+1 2 ¨ θ2+1 2 ¨ θ2 − mgR − MgR − Mgl cos ψ (1) このLに基づいてラグランジュの運動方程式をたて, θ = 0, ψ = 0を中心として線形化を行い, さらに,モータ の関係式をまとめると以下を得る. E [¨ θ ¨ ψ ] + F [˙ θ ˙ ψ ] + [ 0 0 0 −Mgl ] [ θ ψ ] = [ K t r −Kt r ] v (2) ただし, uはモータへの入力電圧であり, E = [ M R2+ mR2+ Jθ M Rl M Rl M l2+ Jψ ] (3) F = [ KtKb r + f KtKb r − f −KtKb r − f KtKb r + f ] (4) である. 以上により状態方程式は, v = u, x = [ θ ψ θ˙ ψ˙ ]T とすると ˙ x = Ax + Bu (5) ˙ x = [ 02×2 I2×2 −E−1G −E−1F ] x + [ 02×1 E−1H ] u (6) となる. 以上で求めたモデルを安定化するため,状態フィー ドバックゲインKを用いる. このときのブロック線図は 図3となる. A B K ∫ x(t) u(t) コントローラ 制御対象 x(t) 図3 コントローラKを用いたブロック線図

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極配置法

状態フィードバックゲイン K の設計方法として, 極 配置法を用いたコントローラ設計を行う. 極配置法とは

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A + BKの固有値を指定した値とすることである. ここで の指定する値とは,倒立振子が安定化するような値である. 指定した極の実部を負側に大きくすると, フィードバック ゲインKが大きくなるために入力電圧の値も大きくなる. しかし, Beauto Balancerのモータの最大電圧が3.3[V]な ので, この値を超えないようにする必要がある. シミュ レーションでは実験機で試して安定化できた場合とできな かった場合を示す. 実験機で安定化できた場合の極 (−30 −20 −4 −5) (7) 導出したフィードバックゲインK K = [−0.21 −14.85 −0.115 −0.78] (8) 実験機で安定化できなかった場合の極 (−1 −1 −1 −1) (9) 導出したフィードバックゲインK K = [0.00 −7.34 −0.002 −0.02] (10) 時間はt[s], 状態の初期値はθ = 0, ψ = π/12, ˙θ = 0, ˙ ψ = 0である. 決定した値でのシミュレーション結果を以 下に示す. 0 1 2 3 4 5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 t [s] u [V] 実験機で安定化できた 実験機で安定化できなかった [(a)電圧のグラフ] 0 1 2 3 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 t [s] ψ [V] 実験機で安定化できた 実験機で安定化できなかった [(b)車体の角度のグラフ] 図4 極配置法のシミュレーション結果 極配置の問題点としては, 極の配置が難しいところであ る. そこで, 次に最適レギュレータによるフィードバック ゲインKの導出を行う.

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最適レギュレータ

最適レギュレータ理論を用いたコントローラ設計を行 う. 参考文献[2]より, 制御対象が可制御である状態方程式 に対して評価関数Jは式(8)である. J = 0 (x(t)TQx(t) + u(t)TRu(t))dt (11) この評価関数を最小化する状態フィードバック形式のコ ントローラを求める問題が,最適レギュレータ問題である. 今回は,モータの入力電圧の限界が3.3[V]といった制約が あるため, Rの値を大きくすることにより入力電圧を抑え る. シミュレーションにおいてそれらの制約条件を満たし, シミュレーション結果が良くなるように重み行列Q, Rを 決定する必要がある. 決定した値は以下のようになる. 実験機で安定化できた場合の重みと導出したゲインK Q =    3 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1.5 0 0 0 0 2    , R = 100 (12) K = [−0.17 −20.14 −0.17 −1.17] (13) 実験機で安定化できなかった場合の重みと導出したゲイン K Q =    1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1    , R = 10000 (14) K = [−0.01 −14.62 −0.025 −0.49] (15) 決定した重みでのシミュレーション結果を以下に示す. 時 間はt[s],状態の初期値はθ = 0, ψ = π/12, ˙θ = 0, ˙ψ = 0 である. 0 0.5 1 1.5 2 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 t [s] u [V] 実験機で安定化できた 実験機で安定化できなかった [(a)電圧のグラフ] 0 1 2 3 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 t [s] ψ [V] 実験機で安定化できた 実験機で安定化できなかった [(b)車体の角度のグラフ] 図5 最適レギュレータのシミュレーション結果 実験機で安定化できなかった原因としてはゲインが小 さく, まだ考えていない摩擦の影響を受けているためと考 える.

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おわりに

今回は,学習教材としての活用を意識して極配置法,最適 レギュレータを用いたコントローラ設計を行った. 導出し たフィードバックゲインを用いて倒立を実現することがで きたが,より良い安定な状態を実現するために,さらに正確 なモデルを考えてみる必要がある. また, 学習教材として 考えると実験データを取得することが今後の課題である.  

参考文献

[1] Beauto Balancer http://www.vstone.co.jp/robot/ [2] 川田昌克: MATLAB/Simulinkによる 現代制御入門,

参照

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